昆虫の脳が素晴らしいのはなぜか ― アンナ・シュトクル
-
0:07 - 0:11人間の脳は世界で最も
精巧な器官のひとつです -
0:11 - 0:14数十億もの神経細胞で構成された
スーパーコンピュータで -
0:14 - 0:19私たちのすべての感覚 思考
そして行動を処理・統制します -
0:19 - 0:24しかしチャールズ・ダーウィンを
もっと驚愕させたものがあります -
0:24 - 0:27蟻の脳です
ダーウィンの言葉を借りれば -
0:27 - 0:31「世界でもっとも素晴らしい
原子の集合体のひとつ」です -
0:32 - 0:35あんなに小さい生き物が
複雑な脳を持つなんて -
0:35 - 0:37にわかには
信じられないでしょう -
0:37 - 0:38みんなそう思います
-
0:38 - 0:42すべての生物を分類しようと試みた
自身のプロジェクトにおいて -
0:42 - 0:48スウェーデンの博物学者カール・リンネは
昆虫には脳がないと思っていました -
0:48 - 0:51彼は間違っていましたが
無理もありません -
0:51 - 0:54昆虫の脳は
とても小さいというだけでなく -
0:54 - 0:58いろいろな面で人間の脳とは
機能が異なるからです -
0:58 - 1:00もっとも著しい違いのひとつは
-
1:00 - 1:04昆虫は頭部が切断されても
歩いたり -
1:04 - 1:05脚で体を掻いたり
-
1:05 - 1:06呼吸したり
-
1:06 - 1:08飛ぶことさえできるということです
-
1:08 - 1:12これは 人間の神経系統が
たとえるなら君主制で -
1:12 - 1:13脳が全ての権力を握っているのに対し
-
1:13 - 1:18昆虫の神経系統は権力が分散した
連邦政府のように振る舞うからです -
1:19 - 1:22歩行や呼吸というような
昆虫の活動の多くは -
1:22 - 1:26神経節と呼ばれる
体内を走る神経細胞の束により -
1:26 - 1:28統制されています
-
1:28 - 1:33頭部にある脳とともに 体部それぞれにある
神経節が昆虫の神経系を構成します -
1:34 - 1:37その神経節だけでも
いろいろな動作が可能ですが -
1:37 - 1:40生き残るには
脳も必要不可欠です -
1:40 - 1:44昆虫の脳は 視覚と嗅覚を通して
世界の認識を可能にします -
1:44 - 1:45また 適切なパートナーを選択し
-
1:45 - 1:49食料や巣の場所を記憶し
-
1:49 - 1:50コミュニケーションを制御し
-
1:50 - 1:54超長距離の進路決定さえも
統制するのです -
1:55 - 1:58このように
とても幅広い種類の行動を -
1:58 - 2:02100万個未満の脳細胞からなる
ピンの頭の大きさ程度の器官で -
2:02 - 2:04統率しているのです
-
2:04 - 2:06これに対して人間の脳細胞の数は
860億個です -
2:07 - 2:11昆虫の脳は人間とは大きく違う
構造を持つものの -
2:11 - 2:13驚くほど似ている点もあります
-
2:13 - 2:18例えば ほとんどの昆虫の嗅覚器官は
触覚の先にあります -
2:18 - 2:20これは人間の鼻と似ています
-
2:20 - 2:26また 脳で嗅覚を司る主要な部位は
昆虫も人間も似たような構造と機能を持ちます -
2:26 - 2:30特定の匂いのコードに対応して
神経細胞の集まりが正確なタイミングで -
2:30 - 2:33活性化および不活性化するのです
-
2:33 - 2:36科学者たちはこのような類似性に
驚かされっぱなしです -
2:36 - 2:40なぜなら昆虫と人間は
かけ離れた種だからです -
2:40 - 2:44最後の共通の祖先は
5億年以上も前に生きていた— -
2:44 - 2:47単純なミミズのような生物でした
-
2:48 - 2:51まったく異なる進化の道を辿ったのに
どうして -
2:51 - 2:54こんなに似通った脳の構造を
持つようになったのでしょうか? -
2:55 - 2:58科学者たちはこの現象を
「収斂(しゅうれん)進化」と呼びます -
2:58 - 3:04鳥類 コウモリ 蜂がそれぞれ別々に
羽を進化させた原理と同じです -
3:04 - 3:08同じような「淘汰(とうた)圧」があると
-
3:08 - 3:11大きく異なる進化の歴史を持つ種でも
-
3:11 - 3:14自然淘汰が 同じ進化的戦略に
味方することがあります -
3:15 - 3:19昆虫の脳と人間の脳を
比較研究することで -
3:19 - 3:24脳のどの機能が種固有のもので
-
3:24 - 3:28どの機能が進化における
汎用的な解なのか理解できるでしょう -
3:28 - 3:33しかし科学者たちが昆虫の脳に
興味津々な理由はこれだけではありません -
3:33 - 3:36その小ささと構造の単純さから
神経細胞が脳内でどのように相互作用するのか -
3:36 - 3:40より理解しやすくなっています
-
3:40 - 3:42エンジニアにとっても有用です
-
3:42 - 3:46昆虫の脳を調べることが
自動操縦飛行機や -
3:46 - 3:52小さなゴキブリ型救援救助ロボットなどの
制御システムの設計に役立っています -
3:52 - 3:56このとおり 大きさと複雑さだけが必ずしも
一番偉いということはありません -
3:56 - 3:59今度ハエたたきでハエを叩く前に
-
3:59 - 4:04ちょっとだけ その小さな神経系の
抜群な効率を思い出して感心しましょう -
4:04 - 4:07あなたの高級な脳の
裏をかいて逃げる前にね
- Title:
- 昆虫の脳が素晴らしいのはなぜか ― アンナ・シュトクル
- Description:
-
人間の脳はこの世で最も精巧な器官のひとつです。数十億もの神経細胞で構成されたスーパーコンピュータであり、私たちの全ての感覚、思考、そして行動を支配します。でも、チャールズ・ダーウィンをさらに驚愕させたのは、彼が「世界でもっとも素晴らしい原子の集合体のひとつ」と絶賛した、蟻の脳です。アンナ・シュトクルが、小さいけれども驚異的な能力を秘める昆虫の脳を紹介します。
講師:アンナ・シュトクル
アニメーション:Studio Gal Shkedi*このビデオの教材:http://ed.ted.com/lessons/why-the-insect-brain-is-so-incredible-anna-stockl
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TED-Ed
- Duration:
- 04:23
Riaki Ponist approved Japanese subtitles for 1601 14 A Stockl Anna InsectBrain | ||
Riaki Ponist edited Japanese subtitles for 1601 14 A Stockl Anna InsectBrain | ||
Riaki Ponist edited Japanese subtitles for 1601 14 A Stockl Anna InsectBrain | ||
Riaki Ponist edited Japanese subtitles for 1601 14 A Stockl Anna InsectBrain | ||
Riaki Ponist edited Japanese subtitles for 1601 14 A Stockl Anna InsectBrain | ||
Takamitsu Hirono accepted Japanese subtitles for 1601 14 A Stockl Anna InsectBrain | ||
Takamitsu Hirono edited Japanese subtitles for 1601 14 A Stockl Anna InsectBrain | ||
Shuichi Sakai edited Japanese subtitles for 1601 14 A Stockl Anna InsectBrain |