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がん細胞を飢餓状態にする:ドミニク・ダゴスティーノ TEDxTampaBay

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    アメリカ海軍特殊部隊のダイバーたちは
    その任務に優れた能力を発揮します
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    しかし 一つ問題があります
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    ミッションを遂行する上で
    能力に限界をきたす問題です
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    我々はその問題解決に
    集中して取り組んでいたのですが
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    予期しなかった発見へとつながりました
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    神経系疾患とがんに関する発見です
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    問題は海軍特殊部隊が用いている
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    酸素リブリーザー(再呼吸装置)を含む
    特殊機器にありました
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    酸素リブリーザー(再呼吸装置)を含む
    特殊機器にありました
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    リブリーザーを使用するメリットは
    気泡を放出しないため非常に静かで
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    リブリーザーを使用するメリットは
    気泡を放出しないため非常に静かで
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    特殊部隊が敵に察知されることを
    防ぐことに役立ちます
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    酸素リブリーザーのデメリットは
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    高濃度の酸素と
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    海底環境における高圧状態が
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    けいれん発作を起こす可能性を
    生み出すことです
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    このようなけいれん発作はほとんど
    あるいは まったく警告なく起こり
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    それを防ぐための効果的な予防策がありません
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    それで 我々が疑問に思ったのは
    なぜけいれん発作が起きるのか
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    そして どうしたら防止できるのかでした
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    その疑問に答えるには
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    海軍の研究所からの研究費が必要でした
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    顕微鏡を開発し
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    ハイパーバリック・チェンバーの中に
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    高圧室ともいいますが
    その中に設置するためです
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    この高圧室で海底環境と
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    水中環境での圧力を再現することができました
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    その技術を駆使し
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    我々は脳内の神経細胞が
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    高圧と高濃度の酸素にさらされると
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    過剰に刺激されることを証明しました
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    高濃度と高圧酸素による脳への過剰刺激は
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    高濃度と高圧酸素による脳への過剰刺激は
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    脳のエネルギー代謝を
    減少させる原因となります
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    それが起きたときに
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    けいれん発作が起きる
    潜在的原因となるのです
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    そういった酸素発作はほとんど
    あるいは まったく警告なく発生し
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    効果的な予防法はありません
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    こういった薬剤抵抗性の発作は
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    薬剤抵抗性の
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    てんかん患者に似ており
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    このような患者では
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    特別な食事療法で
    発作を予防することが可能です
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    その食事療法を使った患者の1例が
    マイク・ダンサーです
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    マイクはさまざまな発作抑制剤を使いましたが
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    薬剤が重症の副作用を引き起こし
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    発作を抑制できませんでした
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    その重症の副作用が理由で
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    発作抑制剤をやめた途端
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    マイクの発作の頻度は高まりました
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    マイクの発作の頻度は高まりました
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    その頃 マイクは食事による
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    発作を抑制する可能性のある
    食事療法があることを知りました
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    発作を抑制する可能性のある
    食事療法があることを知りました
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    それを実践してみると
    発作の頻度が激減することがわかったのです
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    それを実践してみると
    発作の頻度が激減することがわかったのです
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    マイクがその食事療法を取り入れてから
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    5年が経ちましたが
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    てんかん発作を薬剤なしに
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    抑制できているということで
    大変喜ばしいことです
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    では ケトジェニックダイエットとは
    何でしょうか?
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    一般の食事に比べ
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    ケトジェニックダイエットでは
    非常に少ない炭水化物と
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    非常に多くの脂質を摂取します
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    この食事療法は何年も
    活用されてきています
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    体重調整をしたり
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    減量ですね
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    血糖値を制御
    あるいは下げる目的のためにです
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    しかし 最も重要なのは
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    ケトジェニックダイエットは
    薬剤が効果を示さないときにも
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    けいれん発作を制御することが
    証明されているということです
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    ケトジェニックダイエットの
    治癒効果の可能性について
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    ケトジェニックダイエットの
    治癒効果の可能性について
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    チャーリー財団以上に公共教育に
    努めてきた団体はありません
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    ハリウッドプロデューサーの
    ジム・アブラハムスが創設した財団です
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    ジムの息子 チャーリーは
    てんかん発作を患っていました
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    非常に重症の発作が続き
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    どんなに薬剤を増やしても
    効果はありませんでした
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    それでジムは代替療法に目を向け
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    息子の発作をどうにかしたいと思ったのです
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    いろいろ調べた結果
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    ケトジェニックダイエットが
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    ジョンズホプキンス病院で
    活用されていることを知りました
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    特に小児のてんかん発作に
    使われていた治療法だったのです
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    特に小児のてんかん発作に
    使われていた治療法だったのです
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    そこで ジムはチャーリーを
    ジョンズホプキンス病院に連れていき
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    病院の栄養士と緊密に実践すると
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    短期間のうちに
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    チャーリーの発作は
    制御可能になりました
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    そして 実にチャーリーは
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    ジョンスホプキンス病院で
    ケトジェニックダイエットを使って
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    てんかんを完治することができました
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    現在 チャーリーは実際には
    ケトジェニックダイエットはしていません
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    それでも彼は発作を起こすことはないのです
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    ケトジェニックダイエットは
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    1型グルコース輸送体欠損症候群を含む
    さまざまな神経系疾患に効果があります
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    1型グルコース輸送体欠損症候群を含む
    さまざまな神経系疾患に効果があります
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    この疾患をかかえた子供たちは
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    グルコースを脳細胞に
    輸送することができません
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    それによって脳はまさに飢餓状態になり
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    発作を起こす原因となります
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    皆さんもご存じのように
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    脳はグルコースを主要燃料として使いますが
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    ケトン体をエネルギーとして
    使うことにも容易に慣れることができます
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    脳は いわば
    ハイブリッドエンジンのようでしょう?
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    グルコースを主要燃料として使いますが
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    グルコースの量が限られている間は
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    脳は簡単に
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    他の燃料源を使うことに順応できるのです
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    それで 我々はケトン体の
    神経保護効果について研究するため
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    海軍特別部隊ダイバーの酸素発作治療用に
    ケトン体サプリを作りました
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    海軍特別部隊ダイバーの酸素発作治療用に
    ケトン体サプリを作りました
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    ケトン体サプリのメリットは
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    食事制限が不要なところにあります
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    血中のケトンレベルを
    高く維持するために
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    食事制限が
    必要でしたから
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    ケトン体の治療への応用はたくさんあります
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    体内の健康な細胞のほぼすべてが
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    代替エネルギー源である燃料として
    ケトン体を使用できるからです
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    驚くことに がん細胞は
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    グルコースからケトン体へと
    使う燃料を切り替える能力に欠けています
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    ですから ある意味
    がん細胞は壊れたハイブリッドエンジンなのです
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    がん細胞は健康な細胞と比較すると
    膨大な量のグルコースを使うのですが
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    がん細胞は健康な細胞と比較すると
    膨大な量のグルコースを使うのですが
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    代替エネルギー源へと切り替える能力は
    欠けているのです
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    代替エネルギー源へと切り替える能力は
    欠けているのです
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    ということは 「糖依存症」は
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    がん細胞にとっては
    「アキレス腱」だといえるのです
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    研究室でこの所見に発奮した私は
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    一つ疑問をもちました
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    がんの弱みに付け込むことができる栄養に
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    なぜもっと着目しなかったのだろうと
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    それで 糖依存症については
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    80年以上前にオットー・ワールブルクが
    すでに着目していたことがわかったのです
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    オットー・ワールブルクによる実験は
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    ノーベル賞を受賞していますが
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    がん細胞は代謝過程に障害があり
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    その代謝障害が
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    大量の糖取り込みの原因となっていることを
    その実験は証明しています
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    近年ではボストン大学の
    トーマス・シーフリード博士が
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    その道のまさにパイオニアで
    ワールブルクの仮説を実証し
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    がんは代謝疾患の一つであることを
    証明しています
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    トムの実験では
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    グルコース依存という特異的な代謝障害が
    がん細胞に認められ
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    グルコース依存という特異的な代謝障害が
    がん細胞に認められ
  • 7:23 - 7:25
    いろいろな毒性のない代替の治療法で
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    それを標的にできると論証しています
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    がん専門医が
    がん細胞のこの弱みを標的にするには
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    それはグルコース過剰消費ということですが
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    FGD-PETスキャンという機器を使います
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    PETスキャンは
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    がん細胞のグルコース過剰消費を
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    その周りの健康な細胞との比較で
    とらえることができます
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    これによってがん専門医が活用できる
    グルコース過剰消費の視覚化が可能になったのです
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    これによってがん専門医が活用できる
    グルコース過剰消費の視覚化が可能になったのです
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    しかし この情報は
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    がん治療法選択に活用されてはいません
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    グルコース過剰消費は
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    低酸素環境における
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    がん細胞の成長や増殖を可能にしています
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    もう一つ興味あることを
    研究室で観察しました
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    高圧の酸素が
    がん細胞にダメージを与えるのです
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    高圧の酸素が
    がん細胞にダメージを与えるのです
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    がん細胞に高圧酸素を与えると
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    がん細胞に高圧酸素を与えると
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    活性酸素を過剰産生し
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    細胞膜に損傷を与えるということを
    我々は実証しました
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    顕微鏡で高倍率に拡大すると
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    細胞膜表面に起伏が観察され
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    細胞膜に損傷があることを示しています
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    さらに興味深いことに
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    がん細胞に損傷を与えるのと
    同圧の酸素は
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    健康な脳細胞には無害だったのです
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    それらの実験結果に奮起した我々は
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    ケトジェニックダイエットと
    高圧酸素の組み合わせを
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    マウスの転移性がんモデルで
    実験することにしました
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    画像で光っている部分は
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    転移性がん細胞の増殖と転移を示しています
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    転移性がん細胞の増殖と転移を示しています
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    この研究ではがん治療にとっての
  • 9:22 - 9:25
    新しい 毒性のない 別の治療法の
    有効性を実証しています
  • 9:25 - 9:28
    新しい 毒性のない 別の治療法の
    有効性を実証しています
  • 9:28 - 9:32
    海軍特別部隊のプロジェクトとして
    発足したものが
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    ケトン体サプリをとりいれた
    酸素発作への有効な予防法へとつながり
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    ケトン体サプリをとりいれた
    酸素発作への有効な予防法へとつながり
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    ケトン体サプリをとりいれた
    酸素発作への有効な予防法へとつながり
  • 9:40 - 9:42
    最終的にはこの予期せぬ発見へと
    我々を導いてくれました
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    最終的にはこの予期せぬ発見へと
    我々を導いてくれました
  • 9:45 - 9:47
    ここで疑問となるのは
  • 9:47 - 9:51
    毒性のない治療法で
    がんを治療することができるのか?です
  • 9:51 - 9:55
    私自身は可能だと信じています
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    それに多くのけいれん発作患者やがん患者の
    皆さんにも励まされました
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    それに多くのけいれん発作患者やがん患者の
    皆さんにも励まされました
  • 10:00 - 10:04
    彼らは自身の完治困難な病気に
    この代替的な治療法を活用しているのです
  • 10:04 - 10:07
    彼らは自身の完治困難な病気に
    この代替的な治療法を活用しているのです
  • 10:08 - 10:13
    多くの疾病に対する将来の治療と予防は
  • 10:13 - 10:17
    ヒポクラテスによる古代の叡智を
    よりどころとすることになるかもしれません
  • 10:17 - 10:20
    ヒポクラテスは「食物を汝の薬とせよ」と
    言い残しているのですから
  • 10:20 - 10:22
    ありがとうございました
  • 10:22 - 10:24
    (拍手)
Title:
がん細胞を飢餓状態にする:ドミニク・ダゴスティーノ TEDxTampaBay
Description:

米国海軍特別部隊(ネイビーシールズ)のダイバーたちの脳に対するガスの影響を研究中に、ダゴスティーノ博士は食事療法と高圧酸素を用いてがん細胞を代謝的に飢餓状態にさせ、化学療法や手術、放射線療法に代わる治療方法を開発しました。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDxTalks
Duration:
10:29

Japanese subtitles

Revisions