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ディスレクシアと才能 - ジャック・ホーナー(恐竜学者)

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    ジャック・ホーナー モンタナ州立大教授
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    子供相手の講演が多くて
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    皆さんは 子供ほどは恐竜に詳しくないから
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    今日は、普段は話さないこと----
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    私自身について話してほしいと 頼まれました
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    不慣れな点はご容赦を
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    今日は 私がどうしてこうなるに至ったかを……
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    「2 つの視点からの人生」
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    私はモンタナ州の出身
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    シェルビーという 小さな町で生まれました
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    当時の航空写真です
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    「1923 年 モンタナ州シェルビー」
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    1923 年 私の生まれる前ですが この町で--
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    町中みんなディスレクシアだったかも--
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    というのも ボクシングの世界戦が行われたのです
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    人口500 人 モンタナ州の田舎町で
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    ご想像の通り 興行的には失敗
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    赤丸が 父の通った高校です
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    1928 年 父は高校を卒業 総代でした
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    だから ご想像の通り 父と私はいさかいが絶えなかった
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    とにかく 生まれた頃の私は
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    左のようなテント住まいでした
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    テント暮らしは その後何度も
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    今日は2 つの物語を 1つは父の視点から
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    父にとって 私は5 歳までは順調でした
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    「物語#1 父の視点から」
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    5 歳で幼稚園に入るも 落ちこぼれて退園
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    ブロックの文字が 読めなかったからです
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    父は 8 歳の私に代数を教えようとするも---
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    私は理解できなかったそうです 何しろ字が読めない
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    その後は ここにいる人なら経験があると思いますが 通知表に色々書かれ続けて--
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    ところで なぜ ディスレクシアでない人がここに?
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    その話は後にして……
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    なぜここにいるのか 不思議で仕方ない
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    ディスレクシアの秘密を 盗もうとでも?
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    とにかく 学校の成績はいつも最悪
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    通知表には いろんなことを書かれた
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    高校卒業時 英語の成績は D----
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    英語の教師は「落第だが もう顔を見たくない そういう意味だ」
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    別にかまいません
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    卒業後は モンタナ大学に進学
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    当時は 高卒ならだれでも入学可能
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    1964 年に入学、1965 年に落第
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    直後に 徴兵されて海軍に入隊
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    海軍が徴兵活動を行ったのは--
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    後にも先にも この時の1 ヵ月だけ
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    つまり 私はディスレクシアのみならず 不運でもあった
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    それが1966 年 帰還後は大学に復学
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    その後 父によれば 5 年で7 回 落第
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    27 歳 既婚 職業はトラック運転手
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    父に言わせれば 私は 人生終わったも同然
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    経営する砂利会社で 雇うこともできないと
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    別にかまいません
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    でも 私自身は違うふうに 人生をとらえていた
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    「物語#2 自分の視点から」
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    8 歳 父が代数を教えようとする一方で--
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    初めて 恐竜の化石を発見したのです
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    自分にとって 大きな出来事でした
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    母は車で よく採掘場に連れて行ってくれ 私は化石を拾いました
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    学校では 全科目落第でしたが
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    12 歳で 市の図書室に化石を展示 今も残ってます
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    図書室に行っては本を読み…というか絵を眺めては---
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    化石と照らし合わせて 1つずつラベルを貼った
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    高校でも それを続けて----
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    高校卒業時に 科学コンテストで優勝
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    実は 大学に入ったのも----
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    優勝したので 大学が招いてくれたのです
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    1964 年に入学 地質学科 動物学科 人類学科 植物学科に所属
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    4 学科の全講座を受講するも すべて落第
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    ここがポイント 生徒にぜひ伝えて下さい--
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    落第しても 専攻を変えれば 大学側は気づかない
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    だから 専攻をしょっちゅう変えた
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    在学中は……
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    ズボンは見ないで
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    仕方ない 60 年代だから
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    とにかく この頃に 骨格の組み立て方を学んだ
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    この頃 初めて 恐竜の全身を発掘
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    「26 歳 恐竜を発掘」 「初めて恐竜の全身を発掘」
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    自分にとって1973 年は 地質学と動物学の知識を深め----
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    プロジェクトも完了 結婚もして 前途は洋々
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    博物館への求人に 積極的に応募
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    2 年後 プリンストン大学の博物館技術員に採用
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    大卒でないので 技術員にしかなれません
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    高校の卒業証書しかなかった
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    プリンストンでは 化石のクリーニングを担当
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    ある日 学内の研究者から 「読書と映画のどちらが好き?」とか--
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    他にも 初めてされるような質問を色々してきて
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    「君はディスレクシア」 と言われた
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    皆さんご存知の通り そう言われても どうでもいい
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    言われたところで 読めるようになるわけでなし
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    だから 「どうも」と言って --
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    仕事に戻った
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    プリンストンに来て3 年後 友人のボブと私は--
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    「15 頭の恐竜の幼体がいる巣」
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    モンタナで休暇中 恐竜の幼体の巣を発見しました
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    恐竜の子育ての証拠を 初めて示したのです
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    翌年 初の論文が 「ネイチャー」誌に掲載されました
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    数多くの発見をしました
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    世界最大の恐竜化石の密集層では----
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    推定115,000 体の全身化石が眠り 現在も発掘中です
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    その当時 モンタナの博物館から--
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    大量に発掘したのだから 一部をここに残してほしいと頼まれた
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    「全部残してもいいですよ 私を雇ってくれるなら」と返事した
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    プリンストンは良い所でしたが 生まれも育ちもモンタナだと--
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    ニュージャージーは ちょっと……
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    こうして1982 年 現在勤務するモンタナ博物館に--
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    恐竜学のキュレーターとして採用されました
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    とはいえ 学位がないので 何もできない
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    キュレーターなので 展示物の管理はできますが--
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    要は 化石の整頓係です
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    大学に所属できたものの 大したことはできない
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    ところが 不思議なことが起きたのです
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    整理作業中 西半球初の恐竜の卵が出てきた
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    かなりの数でした
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    ここで 恐竜の卵をめぐり--
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    ディスレクシア vs 非ディスレクシアの意見を聞きたいのですが
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    恐竜の卵の発見は 19 世紀にさかのぼります
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    19 世紀にフランスで発見され--
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    1920 年代には モンゴルや中国でも発見
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    だが私は 1980 年代に恐竜の卵を見始めて--
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    誰よりも早く 「恐竜の胎児」を発見したのです
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    卵の中に 恐竜の小さな全身骨格を 発見したのです
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    さて ここで ディスレクシア的な質問を
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    恐竜の卵は 一九世紀に発掘されていた
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    恐竜の胎児が発見されたのは 1983 年
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    これだけ長い間 世界中の誰も発見できなかったものを
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    私はなぜ 発見できたのだろうか?
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    金づちがあったから
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    それだけ!
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    私は 金づちを持っていた
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    ずっと人々は……ここに 読めることの弊害がある
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    読み能力は 過大評価されている
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    人々は 「卵は貴重だから 割ってはならない」と納得し合っていた
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    だから 誰一人として 卵を割ろうとしなかった
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    私は 博物館に行っては「卵を割っていいですか」と頼んだ
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    「だめだ 貴重だから」という返答ばかり
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    「この贈り物はきれいだから 包みを開けない」 と言うのと同じだ
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    だから 恐竜の胎児は 誰にも発見できなかった
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    今は「割ってから また接着剤で貼ればいい」と言っている
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    このように ゴムバンドで留めれば 元通りになる
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    その年 初の著書を出版
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    もちろん 高校時代の英語教師に進呈
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    モンタナでは他にも 多くの恐竜を発見しました
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    新種もたくさん発見しました でも--
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    人々の想像力を最もかきたてたのは 恐竜の胎児でした
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    この発見により 私を7 回落第させたモンタナ大学から--
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    名誉博士号を 授与されました
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    40 歳の誕生日でした
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    2 週間後 マッカーサー奨学金を授与
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    すると モンタナ大学は 私を教授にした
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    本当です 教授になれたのです--
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    金づちのおかげで
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    本当ですよ 金づちで教授になったのです
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    こうして研究室を持てた おかげで助成金を受けたり--
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    モンタナ州 さらには世界中で 発掘プロジェクトが可能に
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    1993 年 スピルバーグから電話があり--
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    映画の仕事のオファーを受けた
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    すべてが 金づちのおかげです
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    現在は 世界最大の恐竜研究プログラムを擁し--
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    右上写真のように 今も卵を割っています
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    これは 発達進化生物学の一環で--
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    鳥から 生きた恐竜を作る プロジェクトです
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    名付けて「恐竜鶏(ダイノチキン)プロジェクト」
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    ここでも 金づちは必須
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    モンタナにお越しの際は ぜひ私たちの博物館にもお越しを--
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    いろんなものを 割っています
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Title:
ディスレクシアと才能 - ジャック・ホーナー(恐竜学者)
Description:

ジャック・ホーナー
モンタナ州立大学教授(恐竜学)、マッカーサー基金のジーニアスフェロー。映画『ジュラシック・パーク』技術監修。本プレゼンテーションは「ディスレクシアと才能に関する会議(The conference on Dyslexia and Talent)で行われたもの。同会議には、マッカーサー基金天才賞受賞者、ピュリッツァー賞を受賞した詩人、企業CEO、芸術家、医師、法律家など各界で活躍する著名なディスレクシアの人、さらにはディスレクシア界のリーダーが一同に会しました。詳しくはhttp://dyslexicadvantage.com

ディスレクシアと才能に関する会議
主催:Dyslexic Advantageの著者、Brock & Fernette Eide博士
後援:Emily Hall Tremaine基金
動画:David Kinney、Dsign Digital

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Video Language:
English
Duration:
16:18

Japanese subtitles

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