幸福は親には高すぎるハードル
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0:00 - 0:02私が生まれた頃
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0:02 - 0:04子どもの育て方に関する本は
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0:04 - 0:061冊しかありませんでした
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0:06 - 0:09著者はスポック博士です
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0:09 - 0:11(笑)
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0:11 - 0:12ありがとうございます
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0:12 - 0:16このジョーク やってみたかったんです
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0:16 - 0:18本当はベンジャミン・スポックの
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0:18 - 0:22『スポック博士の育児書』という本です
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0:22 - 0:27著者の存命中に約5千万部
売れました -
0:27 - 0:31今日 私が6歳の子を持つ親として
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0:31 - 0:32大型書店へ行くと
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0:32 - 0:35目に飛び込んでくるのは これです
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0:35 - 0:37圧巻です
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0:37 - 0:41こうした棚には多種多様の本が
並べられています -
0:41 - 0:45手引書はいろいろ
環境に優しい子どもを育てるガイドに -
0:45 - 0:47グルテン抜き子育てガイド
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0:47 - 0:50病気知らずの子育て なんてのは
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0:50 - 0:54私に言わせれば
ちょっと気味が悪いです -
0:54 - 0:561ヶ国語しか話さない家庭でも
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0:56 - 0:59バイリンガルが育つガイドもありますし
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0:59 - 1:03経済に長けた子を育てるガイドから
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1:03 - 1:06科学志向の子どもや
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1:06 - 1:09ヨガの達人の子どもの育て方も
あります -
1:09 - 1:12幼児に原爆処理の仕方を教える本は
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1:12 - 1:13さすがに ありませんが
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1:13 - 1:20それ以外は だいたい揃っています
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1:20 - 1:22こうした本は どれも
善意から出版されています -
1:22 - 1:27きっと多くは素晴らしい本でしょう
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1:27 - 1:31でも全体としては 申し訳ないのですが
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1:31 - 1:33この棚を見たとき 私の目に映るのは
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1:33 - 1:37「救い」ではありません
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1:37 - 1:39そこにあるのは「不安」です
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1:39 - 1:42巨大でカラフルな
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1:42 - 1:45皆のパニックの象徴が
そびえ立っています -
1:45 - 1:48それで私は知りたくなりました
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1:48 - 1:50なぜ私たちの子育ては
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1:50 - 1:52こんなにも多くの苦悩や
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1:52 - 1:54戸惑いを伴うのでしょう
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1:54 - 1:57育児掲示板もなく
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1:57 - 2:00研究発表もなかった大昔から
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2:00 - 2:02人類が何千年もの間
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2:02 - 2:04ずっと上手くやってきたことなのに
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2:04 - 2:07いま私たちが
大混乱しているのは何故でしょう -
2:07 - 2:10大勢のお母さん お父さんが
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2:10 - 2:16子育てを ある種の危機として
経験しているのは何故でしょう -
2:16 - 2:19「危機」は言い過ぎと
思われるかも知れませんが -
2:19 - 2:22データによると
言い過ぎではなさそうです -
2:22 - 2:24その名もズバリ
『育児という危機』という論文が -
2:24 - 2:281957年に発表されています
-
2:28 - 2:31以来50年余りの間に
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2:31 - 2:33多くの研究がなされ
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2:33 - 2:35育児の苦悩について
ある明確なパターンが -
2:35 - 2:37示されてきました
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2:37 - 2:41子どもがいる人は いない人より
ストレスが多く -
2:41 - 2:44結婚の満足度が低いのです
-
2:44 - 2:45自分の子どもと一緒に
-
2:45 - 2:46時間を過ごす際の
-
2:46 - 2:49親の感情を調べた研究は
たくさんありますが -
2:49 - 2:53結果は多くの場合
あまり芳しくありません -
2:53 - 2:55去年 私はマシュー・キリングワースという
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2:55 - 2:56研究者と話しました
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2:56 - 3:00彼の研究は大変 創意に富んでいて
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3:00 - 3:02人々の幸福を追跡しているのですが
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3:02 - 3:05こんな発見があったそうです
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3:05 - 3:07「友達とのやり取りは
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3:07 - 3:10配偶者との やり取りよりマシで
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3:10 - 3:13配偶者との やり取りは
親戚との やり取りよりマシで -
3:13 - 3:17親戚との やり取りは
知り合いとの やり取りよりマシで -
3:17 - 3:20知り合いとの やり取りは
親との やり取りよりマシで -
3:20 - 3:23親との やり取りは
子どもとの やり取りよりマシ -
3:23 - 3:25子どもは赤の他人と同等」
-
3:25 - 3:30(笑)
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3:30 - 3:32しかしポイントはここです
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3:32 - 3:35私は このデータの根拠を
-
3:35 - 3:373年間 調べているのですが
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3:37 - 3:40問題は子どもではないのです
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3:40 - 3:45問題は 現在の
今まさに行われている― -
3:45 - 3:47育児にあるのです
-
3:47 - 3:50具体的に言えば
-
3:50 - 3:52育児とは何なのか
誰も知らないということです -
3:52 - 3:55「子どもを育てる」という言葉が
-
3:55 - 3:59一般的に使われるようになったのは
つい最近 1970年のことです -
3:59 - 4:02母親 父親としての役割が変わりました
-
4:02 - 4:05子どもの役割も変わりました
-
4:05 - 4:07現在 私たちは皆
-
4:07 - 4:09台本のない難局を必死になって
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4:09 - 4:13即興で切り抜けている状態です
-
4:13 - 4:15もし あなたがジャズの名奏者なら
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4:15 - 4:17即興も結構でしょうけど
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4:17 - 4:20そうでない私たちにとっては
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4:20 - 4:23それは まるで危機なのです
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4:23 - 4:26では何故こんなふうに
なったのでしょう? -
4:26 - 4:28何故 私たちは現在のように
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4:28 - 4:30ガイドの基準も持たず
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4:30 - 4:32子育ての舵を取ることに
なったのでしょう? -
4:32 - 4:35始まりは
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4:35 - 4:36大きな歴史的変化でした
-
4:36 - 4:39ごく最近まで
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4:39 - 4:42子どもは働いていました
主な職場は農場ですが -
4:42 - 4:45他に工場や鉱山でも働いていました
-
4:45 - 4:48子どもは経済的資産と
考えられていました -
4:48 - 4:50進歩主義時代と呼ばれた頃に
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4:50 - 4:52この仕組みは廃止されました
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4:52 - 4:54子どもには権利があると認め
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4:54 - 4:56子どもの労働を禁止し
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4:56 - 4:58代わりに教育に力を入れ
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4:58 - 5:02学校が子どもの仕事になりました
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5:02 - 5:03そうなって良かったですよね
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5:03 - 5:06ただ この変化のせいで親の役割は
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5:06 - 5:07以前より 分かりにくく なりました
-
5:07 - 5:09昔の仕組みは
-
5:09 - 5:12道徳的ではないにせよ
お互い様の関係ができていました -
5:12 - 5:14親は子どもに
食べ物や住まい -
5:14 - 5:17道徳教育などを与え
-
5:17 - 5:22子どもは お返しとして
家にお金を入れる -
5:22 - 5:24子どもが働けなくなってから
-
5:24 - 5:27子育ての経済的側面に
変化が起きました -
5:27 - 5:30冷酷ですが優秀な
ある社会学者の言葉を借りれば -
5:30 - 5:33それ以降の子どもの存在は
こうなりました -
5:33 - 5:38「経済的には無価値だが
感情的に大きな価値がある」 -
5:38 - 5:41子どもに働いてもらう代わりに
-
5:41 - 5:43親が子どものために
働くようになりました -
5:43 - 5:44その理由は ほんの数十年のうちに
-
5:44 - 5:46はっきりしてきました
-
5:46 - 5:48子どもの成功を望むなら
-
5:48 - 5:51学校だけでは足りないということです
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5:51 - 5:56現在 子どもの仕事として
新たに課外活動が加わっていますが -
5:56 - 5:58それは親の仕事でもあります
-
5:58 - 6:01サッカーの練習に連れて行くのは
親ですからね -
6:01 - 6:04山のような宿題は
今の子どもの仕事ですが -
6:04 - 6:05親の仕事でもあります
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6:05 - 6:07宿題のチェックがありますから
-
6:07 - 6:103年ほど前 あるテキサスの女性の
-
6:10 - 6:11ある言葉に
-
6:11 - 6:14ひどく胸が痛みました
-
6:14 - 6:18彼女はサラッと こう言いました
-
6:18 - 6:23「今どきの宿題は夕食と同じくらい
手間がかかる」 -
6:23 - 6:25現代の中流階級は
すべての時間と -
6:25 - 6:29エネルギーとお金を
子どものために使っています -
6:29 - 6:30その中流階級でさえ
-
6:30 - 6:34以前ほどの持ち合わせは
なくなってきています -
6:34 - 6:371965年 ほとんどの女性が
働いていなかった頃の -
6:37 - 6:39母親たちと比べ 現代の母親は
-
6:39 - 6:45より多くの時間を
子どもと一緒に過ごしています -
6:45 - 6:47もし親たちが 自分のしていることが
-
6:47 - 6:48子どもの何の役に立つのか
-
6:48 - 6:52わかっていたら
親の役割も簡単になるでしょう -
6:52 - 6:54これもまた 今どきの子育てを
-
6:54 - 6:56とてつもなく複雑にしている一因です
-
6:56 - 7:00親に知恵があるとしても
その どこが子どもの役に立つのか -
7:00 - 7:02さっぱり わからないのです
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7:02 - 7:03世界の変化は速く
-
7:03 - 7:05予測のしようがありません
-
7:05 - 7:07私の若い頃も すでにそうでした
-
7:07 - 7:10子どもの頃
厳密には高校のとき -
7:10 - 7:12新時代のグローバル経済において
-
7:12 - 7:14これができなかったら
-
7:14 - 7:19どうにもならない と言われていたのが
「日本語」です -
7:19 - 7:21日本人に対して失礼を承知で
言いますが -
7:21 - 7:24そうはなりませんでした
-
7:24 - 7:26昨今は中流階級の中に
-
7:26 - 7:29子どもに熱心に中国語を
教えている親がいます -
7:29 - 7:31彼らの予感は当たるかもしれませんが
-
7:31 - 7:34確信は持てません
-
7:34 - 7:37つまり 未来を予測できない以上
-
7:37 - 7:39良き親として せいぜいできることは
-
7:39 - 7:41どんな未来にも対応できるように
-
7:41 - 7:44私たちの努力が一つでも
報われることを願って -
7:44 - 7:48とりあえず子どもに
準備をさせておくことなのです -
7:48 - 7:50分析の技術が必要になった時に備えて
-
7:50 - 7:53子どもにチェスを教えるし
-
7:53 - 7:55協力の技術が必要になった時に備えて
-
7:55 - 7:59子どもをチームスポーツに
入れるわけです -
7:59 - 8:01ハーバード経営大学院への進学に備え
-
8:01 - 8:04とりあえず経済に長けて
-
8:04 - 8:08科学志向で環境に優しく
-
8:08 - 8:11グルテン抜きの子育てを
やっておくというわけです -
8:11 - 8:13ここで申し上げておきますが
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8:13 - 8:18私は環境に優しくもグルテン抜きでもなく
育てられました -
8:18 - 8:23離乳食はマカロニ・ビーフでした
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8:23 - 8:25そして何と 私はちゃんと生きてます
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8:25 - 8:28税金も納めてますし
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8:28 - 8:31安定した仕事にも就いています
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8:31 - 8:35TEDに招かれ講演までしています
-
8:35 - 8:37ただ 恐らくは
-
8:37 - 8:40私や同世代の子たちには
十分だったことも -
8:40 - 8:42もはや十分ではないということです
-
8:42 - 8:45だから私たちは猛ダッシュで
あの本棚に駆けつけるのです -
8:45 - 8:49何かやり残していることが あるような
-
8:49 - 8:51何もできていないような
-
8:51 - 8:56子どもに対する義務を
怠っているような気がするからです -
8:56 - 8:59現代の母親や父親として
舵を取るのは -
8:59 - 9:00それだけで大変なことです
-
9:00 - 9:03この問題に さらにもう一つ
-
9:03 - 9:05夫や妻としての舵取りが
-
9:05 - 9:06加わります
-
9:06 - 9:10現代女性のほとんどは
仕事を持っていますからね -
9:10 - 9:11私はこれも
-
9:11 - 9:14育児を危機と感じる理由だと思います
-
9:14 - 9:16ルールもない 台本もない 基準もない
-
9:16 - 9:19さらに子どもができた時には
-
9:19 - 9:22ママもパパも仕事があるのです
-
9:22 - 9:25作家のマイケル・ルイスは
-
9:25 - 9:26上手く言ったものです
-
9:26 - 9:28夫婦ゲンカを始めるのに
-
9:28 - 9:30いちばん確実な方法は
-
9:30 - 9:33労働の分担がほんの少しだけ違う
-
9:33 - 9:34他の夫婦と一緒に
-
9:34 - 9:38食事に出かけること
-
9:38 - 9:42なぜなら帰宅する車内での会話が
-
9:42 - 9:44こんなふうになるから
-
9:45 - 9:49「ねぇ聞いた?
毎朝 子どもを学校へ送ってるのは -
9:49 - 9:53デイブの方だって言ってたわよね?」
-
9:53 - 9:57(笑)
-
9:58 - 10:00この素晴らしき新世界で
台本もなく -
10:00 - 10:03誰が何をすると決まっていなければ
夫婦ゲンカも起きます -
10:03 - 10:07そして母親と父親の双方が
-
10:07 - 10:08当然の苦情を持つことになります
-
10:08 - 10:10家にいる時の母親は
-
10:10 - 10:12同時に複数の仕事をこなす傾向が強く
-
10:12 - 10:15家にいる時の父親は
-
10:15 - 10:18一度に一つの仕事しか
こなせない傾向が強いです -
10:18 - 10:20男性が家にいたら まず間違いなく
-
10:20 - 10:24何でも一つずつやっているでしょう
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10:24 - 10:27実際 UCLAは最近の研究で
-
10:27 - 10:29最もよくある中流階級の
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10:29 - 10:32家族の構図を調べました
-
10:32 - 10:34何だったと思います?
-
10:34 - 10:37「パパが部屋で一人っきり」でした
-
10:37 - 10:39American Time Use Survey(米国民の
時間の使い方に関する調査)によると -
10:39 - 10:42母親が育児にかける時間は
いまだに父親の2倍 -
10:42 - 10:46アーマ・ボンベックの時代よりは
マシですが -
10:46 - 10:48彼女が書いたことは
-
10:48 - 10:51今日にも大いに通ずると思います
-
10:51 - 10:55「10月以来ずっとトイレでも
一人になれなかった」 -
10:55 - 10:59(笑)
-
10:59 - 11:04でも大事なことがあります
男性も たくさんのことをしているのです -
11:04 - 11:06現代の男性はその前の世代に比べて
-
11:06 - 11:09多くの時間を子どもと過ごしています
-
11:09 - 11:11平均して妻よりも
-
11:11 - 11:13労働時間が長く
-
11:13 - 11:15協力的な良い父親になりたいと
-
11:15 - 11:16心から望んでいます
-
11:16 - 11:20今日 仕事と生活の両立の難しさを
最もよく訴えるのは -
11:20 - 11:24母親ではなく父親です
-
11:24 - 11:26いずれにせよ
-
11:26 - 11:28もし この役割の問題を解決するのが
-
11:28 - 11:30従来型の家庭にとって難しいなら
-
11:30 - 11:32従来とは異なる型の家庭ではどうか
-
11:32 - 11:34ちょっと想像してみてください
-
11:34 - 11:36父親が2人いる家族や
母親が2人いる家族 -
11:36 - 11:38ひとり親の家庭
-
11:38 - 11:42彼らはまさに その場その場で
乗り切っていますよ -
11:42 - 11:46もっと先進的な国に目を移せば
-
11:46 - 11:49月並みな例で申し訳ないですが
-
11:49 - 11:52ご存知 スウェーデンでは
-
11:52 - 11:55親は支援について
-
11:55 - 11:57行政を当てにすることができます
-
11:57 - 11:59母親や父親の不安や
-
11:59 - 12:01役割の変化を
-
12:01 - 12:03認める国もあります
-
12:03 - 12:06残念ながらアメリカは
その中には入っていません -
12:06 - 12:08パプアニューギニアやリベリアと
-
12:08 - 12:14アメリカとの共通点って
何かなと思われたら -
12:14 - 12:17これが答えです
-
12:17 - 12:20有給の産休制度がないということです
-
12:20 - 12:28この制度がないのは世界に8カ国で
アメリカはその一つです -
12:28 - 12:31極めて混沌としたこの時代に
-
12:31 - 12:35すべての親が賛同できる
-
12:35 - 12:37ゴールはただ一つです
-
12:37 - 12:38それは どんな親でも
-
12:38 - 12:43タイガー・マザーだろうと ヒッピーだろうと
ヘリコプター・ペアレンツだろうと -
12:43 - 12:47子どもの幸せは何物にも変えがたい
ということです -
12:47 - 12:49それが「経済的には無価値だが
-
12:49 - 12:51感情的に大きな価値がある」
-
12:51 - 12:53と言われる時代に
-
12:53 - 12:55子どもを育てる意味です
-
12:55 - 12:59私たち親の役目は
子どもの自尊心を育み 見守ることです -
12:59 - 13:03親なら当然と思える合言葉があります
-
13:03 - 13:08「願いはただ一つ
我が子に幸せになってもらいたい」 -
13:08 - 13:10誤解しないでいただきたいのですが
-
13:10 - 13:15幸福は子どものゴールとして
素晴らしいとは思います -
13:15 - 13:19ただ それでは捉えどころがないのです
-
13:19 - 13:23幸福や自信を
子どもに教えるというのは -
13:23 - 13:25畑の耕し方を
-
13:25 - 13:26教えるのとは違います
-
13:26 - 13:29自転車の乗り方を教えるのとも
違います -
13:29 - 13:31カリキュラムはありません
-
13:31 - 13:35幸福や自信は他のことをやった
副産物であって -
13:35 - 13:38それ自体が目的ということは
ありえないのです -
13:38 - 13:40子どもの幸せを
-
13:40 - 13:44親の責任にするのは
あまりにも不当です -
13:44 - 13:46幸福を子どもの責任にするのは
-
13:46 - 13:49もっと不当です
-
13:49 - 13:51お伝えしたいことがあります
-
13:51 - 13:55とても奇妙な考え過ぎに
つながりそうですが -
13:55 - 13:58今の私たちは不安でいっぱいです
-
13:58 - 14:01世界の醜いことから
子どもを守るべく -
14:01 - 14:06子どもを『セサミストリート』から
遠ざけなくちゃいけないほどです -
14:06 - 14:08冗談だったらよかったのですが
-
14:08 - 14:10『セサミ・ストリート』の初期の放映分が
-
14:10 - 14:13DVDになっています
私は懐かしくて買いました -
14:13 - 14:16皆さんもご覧になれば わかります
-
14:16 - 14:20冒頭に こんな警告が出るんですよ
-
14:20 - 14:22「子どもには
-
14:22 - 14:24不適切な内容です」
-
14:24 - 14:26(笑)
-
14:26 - 14:27もう一度 言いますよ
-
14:27 - 14:30『セサミストリート』の内容は
もともと -
14:30 - 14:33子どもには不適切だったのです
-
14:33 - 14:37ニューヨーク・タイムズ紙に
この意味を問われて -
14:37 - 14:40番組プロデューサーが
さまざまな説明をしました -
14:40 - 14:43その一つは ある場面で
クッキー・モンスターが -
14:43 - 14:45パイプを吸った後 飲み込んだ
-
14:45 - 14:46悪いお手本…ですかね
-
14:46 - 14:49ただ 私が気になったのは
-
14:49 - 14:52プロデューサーのこの言葉です
-
14:52 - 14:56今だったら ひねくれ者のオスカーは
生み出せなかったかも -
14:56 - 15:01精神的に問題がありすぎるから
-
15:01 - 15:03おかげで私も何度落ち込んだことか
-
15:03 - 15:05(笑)
-
15:05 - 15:07皆さんの目の前にいる この私は
-
15:07 - 15:10『マペット』のキャラクターを配した
元素周期表を -
15:10 - 15:13オフィスの壁に貼っている人間です
-
15:13 - 15:17例の問題児キャラが そこにいます
-
15:18 - 15:23これは生まれたばかりの うちの息子です
-
15:23 - 15:25私はモルヒネで
ひどく興奮した状態でした -
15:25 - 15:29急に帝王切開になったのです
-
15:29 - 15:33鎮静剤のせいで
もうろうと しながらも -
15:33 - 15:36息子を初めて抱いたとき
-
15:36 - 15:38ある明確な考えを持つことができました
-
15:38 - 15:40私はそれを息子の耳元で囁きました
-
15:40 - 15:49「あなたを傷つけないよう
一生懸命 頑張るわ」 -
15:49 - 15:51それは「ヒポクラテスの誓い」
-
15:51 - 15:54その時は自分が何を言っているかも
わかりませんでした -
15:54 - 15:57でも今になって わかるのです
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15:57 - 15:59あのヒポクラテスの誓いは
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15:59 - 16:03「幸福」よりも
ずっと現実的な目標です -
16:03 - 16:07実際 親たちが口を揃えて言うように
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16:07 - 16:10とんでもなく難しいことです
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16:10 - 16:14親なら誰しも
なかったことにしてほしいと神に祈るほど -
16:14 - 16:20傷つけるようなことを言ったりやったり
するものです -
16:20 - 16:23今ほど自分たちに多くを望む時代は
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16:23 - 16:27過去になかったと思います
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16:27 - 16:31重要なのは
今度また胸を高鳴らせて -
16:31 - 16:35あの本棚を見つめることがあったら
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16:35 - 16:39それを思い出すことでしょう
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16:40 - 16:44今の世界に合うような
新しい基準の作り方は -
16:44 - 16:45私にはわかりません
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16:45 - 16:48でも私は思います
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16:48 - 16:52子どもの幸せのため
必死に努力する中で 私たち親は -
16:52 - 16:55誤った道徳的責任を勝手に
背負い込んでいるかもしれません -
16:55 - 16:56私が目標としてより良く
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16:56 - 16:59あえて言うなら
より立派だと思うのは -
16:59 - 17:01生産力がある子や
道徳的な子を -
17:01 - 17:03一生懸命 育てて
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17:03 - 17:05子どもの善行や 成果や
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17:05 - 17:08自分に注がれていると感じる親の愛に
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17:08 - 17:10見合うだけの幸福が
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17:10 - 17:13子どもに巡ってくるよう
そっと願うことでしょう -
17:13 - 17:18それも結局 台本がないおかげで
起きることなのです -
17:18 - 17:22現代版の台本はなくても
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17:22 - 17:25本には古くからの教えが載っています
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17:25 - 17:31礼儀 勤労 愛
それに従うだけです -
17:31 - 17:35幸福や自信は
自然にどうにかなるでしょう -
17:35 - 17:37もし親が全員そうしても
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17:37 - 17:41子どもたちは大丈夫
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17:41 - 17:44親たちも大丈夫
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17:44 - 17:48もしかしたら 双方にとって
その方が ずっとマシかも知れません -
17:48 - 17:49ありがとうございました
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17:49 - 17:53(拍手)
- Title:
- 幸福は親には高すぎるハードル
- Speaker:
- ジェニファー・シニア
- Description:
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書店の育児コーナーには圧倒されます。作家のジェニファー・シニアが言うとおり、それは「巨大でカラフルな、皆のパニックの象徴」です。親であることは何故こんなにも不安だらけなのでしょうか?その理由は、現代の中流家庭の親たちが目指す、「幸せな子どもを育てる」という目標があまりに捉えどころがないからです。この歯に衣着せぬトークでは、より私たちに寄り添った達成しやすい目標が示されます。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 18:11
Emi Kamiya edited Japanese subtitles for For parents, happiness is a very high bar | ||
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Mari Arimitsu edited Japanese subtitles for For parents, happiness is a very high bar | ||
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Mari Arimitsu edited Japanese subtitles for For parents, happiness is a very high bar | ||
Mari Arimitsu approved Japanese subtitles for For parents, happiness is a very high bar | ||
Mari Arimitsu edited Japanese subtitles for For parents, happiness is a very high bar | ||
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