ミナ・ビッセル「癌の新しい理解につながる実験」
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0:00 - 0:03漫画ってあまり好きじゃないんです
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0:03 - 0:06面白いって思うものも 少ないし
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0:06 - 0:11変なのも多いと思うのですが
このニューヨーカーの漫画は気に入っています -
0:11 - 0:13「箱の外は考えるな (慣用句: はみ出た事をするな)」
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0:13 - 0:16飼い主が猫に決まった場所にしか
絶対するなと 言っているわけです -
0:16 - 0:21飼い主が猫に決まった場所にしか
絶対するなと 言っているわけです -
0:21 - 0:25実は私はこの猫に似ていたんです
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0:25 - 0:28「当たり前」からはみ出して
考えるのが好きでした -
0:28 - 0:31普通と違った経路でこんな研究をすることに
なったからかもしれません -
0:31 - 0:36もともと化学や細菌遺伝学が専門だったので
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0:36 - 0:39当時 癌の原因や要因と考えられていたものや
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0:39 - 0:42当時 癌の原因や要因と考えられていたものや
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0:42 - 0:45私達の体がどう作られているのかという事に
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0:45 - 0:47納得できませんでした
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0:47 - 0:50この様な疑問の背景や
その疑問にどう取り組んだか お話しましょう -
0:50 - 0:53この様な疑問の背景や
その疑問にどう取り組んだか お話しましょう -
0:53 - 0:55本題に入る前にとても簡単に
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0:55 - 1:00発生生物学の話をします
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1:00 - 1:01発生生物学の話をします
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1:01 - 1:05生物に詳しい方は我慢して聞いて下さいね
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1:05 - 1:08ママとパパが一緒になると
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1:08 - 1:11このような受精卵がつくられます
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1:11 - 1:13この丸く ちょっと何かが飛び出しているものです
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1:13 - 1:16これが育って 育って
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1:16 - 1:20このようなハンサムな人間になります
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1:20 - 1:22(拍手)
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1:22 - 1:28この人の体にある細胞は全て
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1:28 - 1:32どれも同じ遺伝子情報を持っています
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1:32 - 1:36ではなぜ鼻は鼻になり
肘は肘になるのでしょう? -
1:36 - 1:38なぜ朝起きてみたら鼻が足になっていた
なんて事が起こらないのでしょう? -
1:38 - 1:41なぜ朝起きてみたら鼻が足になっていた
なんて事が起こらないのでしょう? -
1:41 - 1:44そうなってもおかしくありません
持っている遺伝子情報は同じなのです -
1:44 - 1:45あの羊のドリーですが
元となったのはたった一つの乳腺細胞です -
1:45 - 1:48あの羊のドリーですが
元となったのはたった一つの乳腺細胞です -
1:48 - 1:50なぜ きちんとした羊になるのでしょうか?
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1:50 - 1:55彼の体全体に幾つ細胞があると思いますか?
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1:55 - 2:0310兆から70兆だと言われています
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2:03 - 2:05兆なんてすごい数です
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2:05 - 2:09これらの細胞は皆おなじ遺伝子を持っていながら
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2:09 - 2:11どうやって違う組織となるのでしょう?
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2:11 - 2:14先ほどの疑問は
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2:14 - 2:18我々一人一人の体の規模を考えると
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2:18 - 2:23ますます興味深いものになります
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2:23 - 2:26従来の癌の理論では
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2:26 - 2:28がん遺伝子 一つを含む がん細胞が 一つでもあると
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2:28 - 2:32癌になってしまうというのが定説です
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2:32 - 2:34癌になってしまうというのが定説です
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2:34 - 2:38でも これには納得できませんでした
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2:38 - 2:41兆という数がどんなものか
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2:41 - 2:43見なおしてみましょう
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2:43 - 2:48桁の部分にゼロがこれだけ並ぶのです
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2:48 - 2:55もしこの数の0.0001にあたる細胞が
突然変異を起こし -
2:55 - 3:00そのうちの0.00001が癌化しても
人間は癌の固まりになってしまうというのです -
3:00 - 3:02皆 癌だらけになるかというと
実際はそうではありません -
3:02 - 3:05なぜでしょう?
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3:05 - 3:08長年の実験を重ねるうちに解ったのは
-
3:08 - 3:10長年の実験を重ねるうちに解ったのは
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3:10 - 3:15こうならないのは
環境と構造の影響だという事です -
3:15 - 3:17それでは 簡単に
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3:17 - 3:21この考えを裏付ける鍵となった
幾つかの実験を紹介しましょう -
3:21 - 3:25本来 私は このウイルスを研究していました
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3:25 - 3:29鶏に醜い腫瘍を発生させるウイルスです
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3:29 - 3:321911年に病理学者のラウスにより
発見されたものです -
3:32 - 3:36発がん性ウイルスの元祖ともいえます
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3:36 - 3:40がん遺伝子という言葉は
癌化を起こす遺伝子を意味します -
3:40 - 3:43ラウスが ろ過液 つまり
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3:43 - 3:48腫瘍をフィルターでろ過した液体を
-
3:48 - 3:52正常な鶏に注射すると
新しい腫瘍が発生しました -
3:52 - 3:54この結果に当時の科学者はとても興奮して
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3:54 - 3:56がん遺伝子 一つで癌ができる
-
3:56 - 3:59がん遺伝子たった一つが
癌の原因だとしたのです -
3:59 - 4:02そして鶏の培養細胞に
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4:02 - 4:04このウイルスをふりかけ
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4:04 - 4:05細胞が増えて塊になると
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4:05 - 4:08これが悪性で これは良性だと
皆はそんな実験をしたのです -
4:08 - 4:10これにも納得がいきませんでした
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4:10 - 4:13我々のチームは様々な理由から
このがん遺伝子に青いマーカーをくっつけて -
4:13 - 4:16我々のチームは様々な理由から
このがん遺伝子に青いマーカーをくっつけて -
4:16 - 4:19鶏の胚胎に注入してみました
-
4:19 - 4:23見て下さい
この胚胎内の美しい羽毛一本一本の -
4:23 - 4:27青くなっている部分の細胞に
がん遺伝子が入っているのです -
4:27 - 4:32つまりこれらの癌細胞が
羽の一部になっているわけです -
4:32 - 4:36羽を分離しシャーレに入れると
-
4:36 - 4:39青い細胞の塊になりました
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4:39 - 4:40成熟した鶏のなかで癌になるものが
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4:40 - 4:42胚胎内では癌になりません
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4:42 - 4:46それを分離し シャーレにいれると
また癌になります -
4:46 - 4:47なぜでしょう?
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4:47 - 4:50ここから解る事は 微小環境や
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4:50 - 4:54細胞を取り巻く周囲の状況が
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4:54 - 5:01がん遺伝子や癌細胞に何をすべきか
伝えているということです -
5:01 - 5:05それでは正常な細胞の例を見てみましょう
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5:05 - 5:08ヒトの乳腺細胞です
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5:08 - 5:09私は乳癌を研究をしています
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5:09 - 5:12これは美しいヒトの乳房です
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5:12 - 5:14外側からは見慣れていますが
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5:14 - 5:17中の樹のような美しい構造は
あまり知られていません -
5:17 - 5:20中の樹のような美しい構造は
あまり知られていません -
5:20 - 5:23我々の研究ではこの乳腺の ほんの一部を
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5:23 - 5:26見てみることにしました
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5:26 - 5:28これは腺房です
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5:28 - 5:32乳房の中にはこの様に腺房が沢山あって
-
5:32 - 5:36ミルクが作られ 菅の先にある乳頭を
赤ちゃんが吸うとミルクが出てくるのです -
5:36 - 5:39ミルクが作られ 菅の先にある乳頭を
赤ちゃんが吸うとミルクが出てくるのです -
5:39 - 5:42素晴らしい!
我々はこの素敵な構造を見て考えました -
5:42 - 5:46この構造を人工的に作ってみたいけれど
細胞はどうやっているのだろう? -
5:46 - 5:48この構造を人工的に作ってみたいけれど
細胞はどうやっているのだろう? -
5:48 - 5:50試しに 赤い細胞を取り出しました
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5:50 - 5:53赤い細胞は青い細胞に囲まれています
-
5:53 - 5:56青い細胞は赤い細胞を絞る役割をします
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5:56 - 6:00その周りにあるのは不活性な物質で
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6:00 - 6:04形状を保つための構造か何かだと
思われてきたものです -
6:04 - 6:07取り出したばかりの細胞の
写真を撮りました -
6:07 - 6:09これは何年も何年も前に撮った
電子顕微鏡を使ったイメージです -
6:09 - 6:12この細胞はとても美しいものです
-
6:12 - 6:15細胞極性があり
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6:15 - 6:18妊娠初期のマウスから採った細胞ですから
沢山のミルクを分泌しています -
6:18 - 6:21妊娠初期のマウスから採った細胞ですから
沢山のミルクを分泌しています -
6:21 - 6:23これらの細胞を取り出し
シャーレに入れ -
6:23 - 6:263日も経つと このようになってしまいます
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6:26 - 6:30なんだかすっかり忘れてしまうのです
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6:30 - 6:32取り出して シャーレに入れると
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6:32 - 6:35ミルクを作りません
すっかり役割を忘れてしまいます -
6:35 - 6:40この美しい黄色のミルクの雫が
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6:40 - 6:42左側にはありますが 右側は何もありません
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6:42 - 6:46細胞核を見てみましょう
左側の細胞核は -
6:46 - 6:49生体内にあるもの
右側のはシャーレにあるものです -
6:49 - 6:52まったく同じものとは思えません
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6:52 - 6:54いったい何が起こっているのでしょう?
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6:54 - 6:59ここでも環境が鍵となっているのです
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6:59 - 7:02違う環境では細胞が違う振る舞いをするのです
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7:02 - 7:05でも環境がどうやって信号を送ったりするのでしょう?
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7:05 - 7:08アインシュタインは言いました
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7:08 - 7:14「一見して馬鹿げていないアイデアは見込みがない」
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7:14 - 7:20もちろん私のアイデアも懐疑的な目で見られました
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7:20 - 7:23研究費も出なかったので
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7:23 - 7:25出来なかった事も多かったのですが
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7:25 - 7:26なんとか上手く行って良かったです
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7:26 - 7:30マウスの乳腺の一部を作ることにしました
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7:30 - 7:33美しい腺房が並んでいます
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7:33 - 7:38赤で囲まれているのは全部腺房です
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7:38 - 7:41これを作ってみようということになりました
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7:41 - 7:45この腺房を囲む赤い部分は
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7:45 - 7:50単なる構造的な足場だと思われていますが
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7:50 - 7:52何か情報を持っていて
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7:52 - 7:56細胞に何をするか 細胞核に何をするか
伝えているのかもしれないと考えたのです -
7:56 - 8:01この細胞外マトリックス、ECMと呼ばれるものが
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8:01 - 8:05細胞に何をすべきか信号を送っているのではないかと
仮定したのです -
8:05 - 8:09そこで これと似た物を作ることにしました
-
8:09 - 8:12丁度良いECM を含んだ
ドロリとした物質をみつけ -
8:12 - 8:14丁度良いECM を含んだ
ドロリとした物質をみつけ -
8:14 - 8:17そこに細胞を入れると驚いた事に
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8:17 - 8:204日程経つと細胞が構成を変え
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8:20 - 8:23右にあるようなものを培養することができました
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8:23 - 8:28左側は動物の中
つまり「生体内」のものです -
8:28 - 8:30培養細胞もミルクで一杯で
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8:30 - 8:33あの素晴らしい赤い部分はミルクであふれています
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8:33 - 8:36アメリカの牛乳の宣伝を真似すると
「Got Milk(ミルクあるよ)」です -
8:36 - 8:42ここにあるのは 美しい人間の細胞です
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8:42 - 8:47ご想像の通り ここでも環境が大切です
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8:47 - 8:49そこで何をしたかというと
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8:49 - 8:52革新的な仮定をしたのです
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8:52 - 8:58構造が何をするか決めるものだとしたら
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8:58 - 9:03構造が補正された癌細胞は
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9:03 - 9:06正常な細胞のように振る舞うだろうと
考えたのです -
9:06 - 9:07そんなこと出来るでしょうか
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9:07 - 9:10試しにやってみました
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9:10 - 9:12そのためには
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9:12 - 9:17正常な細胞と悪性な細胞を
区別する方法が必要でした -
9:17 - 9:21左側は正常な細胞
-
9:21 - 9:25ヒトの乳細胞です ECMを含んだ
ドロリとしたゲルの中で 3次元培養すると -
9:25 - 9:29この様な美しい構造になります
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9:29 - 9:32右は とても醜いもので
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9:32 - 9:33細胞は増え続けます
正常なものなら自然に止まります -
9:33 - 9:35細胞は増え続けます
正常なものなら自然に止まります -
9:35 - 9:38これは拡大したイメージ
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9:38 - 9:42正常な腺房と醜い腫瘍です
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9:42 - 9:46いったいこの醜い腫瘍の表面にあるのは何でしょう
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9:46 - 9:48これを落ち着かせる方法はあるでしょうか
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9:48 - 9:53信号を狂ったように送り
経路が滅茶苦茶になっています -
9:53 - 9:56これを通常のレベルに戻せるでしょうか?
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9:56 - 10:01素晴らしい事が起こりました
これには私も びっくりしました -
10:01 - 10:03これがその結果です
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10:03 - 10:07悪性形質が正常に戻ったのです
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10:07 - 10:09(拍手)
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10:09 - 10:13この悪性形質を皆さんに見せるのに
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10:13 - 10:14特別に一つ選んだわけではありません
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10:14 - 10:17ここにちょっとボケた動画がありますが
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10:17 - 10:21左側は悪性細胞で
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10:21 - 10:22ここにある全てが悪性です
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10:22 - 10:27実験の始めに一つ抑制要素を加えると
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10:27 - 10:30こうなります 全てこうなるのです
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10:30 - 10:34マウスにこれを注射しても 右にありますが
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10:34 - 10:36どれも腫瘍を形成しません
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10:36 - 10:39もう一方をマウスに注射すると
百パーセント腫瘍になります -
10:39 - 10:42これは癌に対する新しい見方といえます
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10:42 - 10:45希望の持てる見方です
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10:45 - 10:49私たちは癌にこのレベルで立ち向かうことができるはずです
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10:49 - 10:54これらの実験の結果から 細胞の増加や悪性な習性は
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10:54 - 10:58組織形成のレベルで決まるもので
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10:58 - 11:02組織形成はECMや微小環境に
左右されていると考えられます -
11:02 - 11:06組織形成はECMや微小環境に
左右されていると考えられます -
11:06 - 11:14つまり 形態と機能は動的に相互関連し合うのです
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11:14 - 11:18ここで5秒間 とってまた繰り返しますが
「形態と機能」 です -
11:18 - 11:22ここで5秒間 とってまた繰り返しますが
「形態と機能」 です -
11:22 - 11:26この先どう研究を進めるかというと
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11:26 - 11:29このような考え方を臨床に持っていきたいのです
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11:29 - 11:33でもその前に
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11:33 - 11:36ここに座っている間でも常に
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11:36 - 11:39皆さんの体内にある70兆の細胞の
-
11:39 - 11:43ECMが核に信号を送っているのを
考えてみて下さい -
11:43 - 11:46核もECMに信号を送っています
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11:46 - 11:52こうして皆さんの体内の
バランスがとれているのです -
11:52 - 11:54我々のチームはいろいろな発見をしてきました
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11:54 - 11:57ECMがクロマチンと作用する事を証明し
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11:57 - 12:01乳腺の ある特定の遺伝子上のDNA配列が
-
12:01 - 12:04乳腺の ある特定の遺伝子上のDNA配列が
-
12:04 - 12:07ECMに反応することも実証しました
-
12:07 - 12:11研究には何年もかかりましたが
有意義なものでした -
12:11 - 12:15次のスライドに移る前に
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12:15 - 12:21未発見の物がまだ沢山あることを
お伝えしたいのです -
12:21 - 12:23まだまだわからないことが沢山残っています
-
12:23 - 12:27学生や研究生に常に言うのは
-
12:27 - 12:33高慢になるなということです
高慢になると好奇心が失われてしまいます -
12:33 - 12:35好奇心と情熱が失われてしまいます
-
12:35 - 12:39まだどんな発見が必要か
常に考える事が大切です -
12:39 - 12:42私の発見だって追加や修正が
必要かもしれません -
12:42 - 12:44私の発見だって追加や修正が
必要かもしれません -
12:44 - 12:47最近 こんな素晴らしい発見をしました
-
12:47 - 12:51物理学者でもある研究生が
こんな質問をしてきました -
12:51 - 12:53ここに細胞を入れると 細胞に何が起こるか?
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12:53 - 12:56まず最初に どんな変化が起こるのか
と訊かれたのですが -
12:56 - 12:58見たことがないからわからないと答えました
-
12:58 - 13:00かつてそれを見る良い方法は
なかったからです -
13:00 - 13:03彼女は物理に加えイメージングも専門だったので
-
13:03 - 13:05こんな素晴らしい事をしました
-
13:05 - 13:09これはヒトの乳房細胞を
ひとつ取り出して3Dで見たものです -
13:09 - 13:11常にこういう動きをしているのです
-
13:11 - 13:14一貫した動きをしています
-
13:14 - 13:18癌細胞を見てみると
この動きが滅茶苦茶になっています -
13:18 - 13:20こうなります この様には動きません
-
13:20 - 13:24癌細胞を修正すれば
このような動きに戻ります -
13:24 - 13:26全く不思議です
-
13:26 - 13:31細胞が胚胎のように振舞うこともわかりました
すごい発見です -
13:31 - 13:34詩を読んで終わりにしたいと思います
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13:34 - 13:37若い頃 英文学が大好きでした
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13:37 - 13:40大学ではどちらを専攻しようか
悩んだ程です -
13:40 - 13:44幸か不幸か化学が勝ったわけです
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13:44 - 13:50イェイツの詩から最後の2行だけ紹介します
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13:50 - 13:53『学童たちの間で』という題です
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13:53 - 13:57「おお、音楽に揺れ動く肉体よ、おお、輝く眼ざしよ、
-
13:57 - 14:01どうして踊り手と踊りを分つことができようか」
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14:01 - 14:02これは マース・カニングハムです
-
14:02 - 14:05若かった頃 彼のもとで踊る機会に恵まれました
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14:05 - 14:08これは彼が踊っているところです
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14:08 - 14:11踊っているとき
彼は踊り手と踊りの両方です -
14:11 - 14:15踊りをやめると どちらも
存在しなくなってしまいます -
14:15 - 14:18「形態と機能」のようなものです
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14:18 - 14:24これは現在の私のグループです
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14:24 - 14:27この様な素晴らしい学生や
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14:27 - 14:31研究生に恵まれました
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14:31 - 14:34長年の研究の過程で 何人ものメンバーが
巣立っていきました -
14:34 - 14:38彼らがこれからの未来を担うのです
あの猫のように 箱の外を考えるなと言われても -
14:38 - 14:42言いなりになって型にはまる必要はない
と教えてきたつもりです -
14:42 - 14:44言いなりになって型にはまる必要はない
と教えてきたつもりです -
14:44 - 14:46最後にこれをお見せします
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14:46 - 14:51左はNASAの人工衛星が撮った
浜辺に流れこむ水流です -
14:51 - 14:53左はNASAの人工衛星が撮った
浜辺に流れこむ水流です -
14:53 - 14:56右は珊瑚です
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14:56 - 15:00乳腺を取り出してシャーレに広げ
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15:00 - 15:03脂肪を取り除くと こんな感じに見えます
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15:03 - 15:07同じように見えますね
同じパターンを持っていますね -
15:07 - 15:11自然にはこのようなパターンが
繰り返し見られます 何故でしょう? -
15:11 - 15:13ここで考えて頂きたいのですが
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15:13 - 15:15ヒトの遺伝子の配列が解読され
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15:15 - 15:18遺伝子の塩基配列がすっかり解っています
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15:18 - 15:21遺伝子の言葉である 遺伝子の文字列が
解っています -
15:21 - 15:24でも形態がどのような言葉や文字で
書かれているかは 全く解っていないのです -
15:24 - 15:28でも形態がどのような言葉や文字で
書かれているかは 全く解っていないのです -
15:28 - 15:31まだ 素晴らしい未知の世界が広がっています
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15:31 - 15:35若い人たちが発見していくものです
熱心な古い人間もやめられません -- 私もです -
15:35 - 15:38若い人たちが発見していくものです
熱心な古い人間もやめられません -- 私もです -
15:38 - 15:40がんばりましょう
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15:40 - 15:51(拍手)
- Title:
- ミナ・ビッセル「癌の新しい理解につながる実験」
- Speaker:
- Mina Bissell
- Description:
-
乳癌研究者のミナ・ビッセルは、癌細胞はどれもが腫瘍になるのではなく 周囲の環境(微小環境)の送る信号によって腫瘍化が左右されると信じ、この画期的な考えを証明するための研究を数十年に渡って続けてきました。癌の増殖に対する定説の間違いを示した二つの実験について話します。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 16:18
Dimitra Papageorgiou approved Japanese subtitles for Experiments that point to a new understanding of cancer | ||
Naomi Nakayama accepted Japanese subtitles for Experiments that point to a new understanding of cancer | ||
Akiko Hicks edited Japanese subtitles for Experiments that point to a new understanding of cancer | ||
Akiko Hicks edited Japanese subtitles for Experiments that point to a new understanding of cancer | ||
Akiko Hicks edited Japanese subtitles for Experiments that point to a new understanding of cancer | ||
Akiko Hicks edited Japanese subtitles for Experiments that point to a new understanding of cancer | ||
Naomi Nakayama declined Japanese subtitles for Experiments that point to a new understanding of cancer | ||
Naomi Nakayama edited Japanese subtitles for Experiments that point to a new understanding of cancer |