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恐竜の化石探しを通して知った、宇宙における人類

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    どうやって恐竜を見つけるのか?
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    無理そうですよね?
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    でも そうでもありません
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    その答えは古生物学者なら
    誰でも使う ある公式のおかげです
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    これから秘訣をお話しします
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    まず 正しい年代の岩石を見つけること
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    次に その岩石が堆積岩であること
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    それから 堆積岩の地層が
    自然に露出したものであること
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    それだけです
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    その3つを備えた場所に行けば
  • 0:33 - 0:36
    化石が見つかる可能性は高まります
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    その公式を一つずつ見ていきましょう
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    生物は それぞれ特定の
    地質時代に生息します
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    だから自分の興味に応じて
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    正しい時代の岩石を
    見つけ出さねければなりません
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    三葉虫を見つけようと思ったら
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    とっても とっても古い古生代の岩石-
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    5億年前〜2.5億年前の岩石を
    見つけなければなりません
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    でも恐竜を見つけたいのなら
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    古生代の岩石を探しても
    見つかりません
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    まだ恐竜は出現していませんから
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    より新しい 中生代の岩石
    さらに その中でも
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    恐竜の場合なら
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    2億3千5百万年〜6千6百万年前の
    岩石を探さなくてはなりません
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    正しい年代の岩を見つけるところまでは
    まあまあ簡単です
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    なぜなら地球上どこでも
    ある程度の精度の地質図が
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    作成されているからです
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    これは苦労して入手した情報です
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    地球の年代記は 岩石に書きつけられ
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    次々と重なっていって
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    一番古いページが下で
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    一番新しいページが上になります
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    そんなに簡単なら
    地質学者にとって喜ばしいことですが
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    実際は違います
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    地球という図書館は とても古い上に
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    順序を整理する図書館員もいません
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    長い時間の流れの中で
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    無数の地質学的過程が
    古い岩石に
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    あらゆる損傷をもたらします
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    大半のページは書かれると
    すぐに壊されます
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    ページの中には何度も上書きされた
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    太古の光景を記録する羊皮紙のように
    判読が難しいものもあります
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    時と共に積み重なった砂の下で
    守られたページでも
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    真に安全とは言えません
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    地球の相棒の月は
    岩だらけで すでに死んでいますが
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    地球は生きていて
    創造と破壊の力がみなぎり
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    地質的な新陳代謝の源となります
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    アポロの宇宙飛行士が
    持ち帰った月の岩石は全て
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    太陽系とほぼ同じ年齢を示していました
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    月の岩石は不変です
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    一方 地球の岩石は 岩石圏の活動により
    危機に直面しています
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    破断、圧縮、褶曲、熱などが
    組み合わさることで
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    岩石が破壊されるのです
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    だから 地球史という書物は
    不完全で乱雑です
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    その図書館は膨大で素晴らしいですが
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    老朽化しているのです
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    岩石に残された記録の
    混乱と複雑さのせいで
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    比較的最近まで
    その意味が捉えにくかったのです
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    自然は蔵書目録を
    与えてくれなかったので
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    地質学者が考案する必要がありました
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    シュメール人が粘土板に
    考えを記録することを思いついてから
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    5千年経っても
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    人間にとって地球史という書物は
    謎のままでした
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    私たちに地質を読み解く力はなく
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    我が地球に残された記録にも気付かず
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    遠い昔と自分たちとの繋がりにも
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    無知でした
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    開眼したのは19世紀になってからでした
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    まず ジェームズ・ハットンは
    『地球の理論』で
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    地球には 始まりの痕跡も
    終わりの兆しも
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    見当たらないと述べました
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    次にイギリス本土全体の
    初の地質図となる
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    ウィリアム・スミスの
    地図が出版されたことで
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    初めて私たちが
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    どこに どういう種類の岩石があるのかを
    予測できるようになりました
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    これを契機に
    こう言えるようになったのです
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    「そこに行けば ジュラ紀の地層に
    なっているはずだ」とか
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    「あの丘を越えれば
    白亜紀の地層が見つかるはずだ」と
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    だから 三葉虫を発掘したいなら
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    正しい地質図を入手し
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    古生代の岩石のある所へ行ってください
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    皆さんが私のように
    恐竜を見つけたいのなら
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    中生代の岩石のある所へ行ってください
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    無論 化石は砂や泥からできた
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    堆積岩の中にしか見つかりません
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    花崗岩のように
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    マグマから作られた火成岩や
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    熱や圧力によって作られた変成岩には
    化石は見つかりません
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    さらに 砂漠へ行かなければなりません
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    ただし砂漠だけに恐竜がいた
    という意味ではありません
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    恐竜は全ての大陸の
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    考えうる あらゆる環境下で
    生きていました
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    今は砂漠になっている場所に
    行くべきだという意味です
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    岩石を覆う植物が多すぎず
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    浸食により常に新しい骨が
    地表に露出する所だからです
  • 4:51 - 4:53
    だから この3つを探しましょう
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    目指す年代の
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    堆積岩で 砂漠にあるものです
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    そして自分で その場所に行き
  • 4:59 - 5:01
    文字どおり歩き回って
  • 5:01 - 5:03
    岩から突き出した骨を
    見つけるのです
  • 5:05 - 5:08
    この写真は私が
    パタゴニア南部で撮ったものです
  • 5:08 - 5:11
    地面にある小石はすべて
  • 5:11 - 5:13
    恐竜の骨の破片です
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    適切な状況下にいれば
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    化石が見つかるかどうかは
    問題ではありません
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    化石は見つかるものです
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    それより 科学的に重要なものが
    見つかるかどうかが問題です
  • 5:24 - 5:28
    この点を解決する
    4つ目の公式をお話ししましょう
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    こういうことです
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    他の古生物学者から
    出来る限り遠くへ離れること
  • 5:33 - 5:35
    (笑)
  • 5:35 - 5:37
    他の古生物学者が
    嫌いなわけではありません
  • 5:37 - 5:40
    比較的調査が進んでいない所に行けば
  • 5:40 - 5:43
    化石が見つかるだけでなく
    科学に貢献する
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    新しい発見の可能性が
    ずっと高くなるからです
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    これが恐竜を見つける 私の方法で
  • 5:48 - 5:50
    世界中で試しています
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    2004年 南半球の夏季に
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    私は南アメリカの果て―
  • 5:54 - 5:56
    アルゼンチンのパタゴニアの奥地まで
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    恐竜が見つかることを期待して行きました
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    そこには適切な年代の
    陸成の堆積岩があり
  • 6:02 - 6:03
    砂漠であり
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    古生物学者がほとんど行かない所です
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    そしてこれを見つけたのです
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    これは大腿骨 つまり腿の骨で
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    巨大な植物食恐竜のものです
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    その骨は2.2メートルの長さがあり
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    つまり7フィートを超えています
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    ただ残念なことに これ1本だけでした
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    私たちは掘りまくったのですが
    周辺では別の骨は出ませんでした
  • 6:25 - 6:28
    でも おかげで翌年も来て
    もっと調べたくなりました
  • 6:28 - 6:30
    そして翌年の現地調査の初日に
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    私はこれを見つけました
    またもや2メートルもある大腿骨です
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    今回は1本だけでなく
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    巨大な1体の植物食恐竜の145個の骨を
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    見つけることができました
  • 6:41 - 6:45
    とても大変で 過酷な
    3度の野外調査期間を終えると
  • 6:45 - 6:47
    石切り場はこうなりました
  • 6:48 - 6:52
    私を取り巻いているのが
    巨大恐竜の尻尾です
  • 6:52 - 6:55
    ここに横たわっている恐竜は新種で
  • 6:55 - 6:59
    後に「ドレッドノータス・シュラニ」と
    命名しました
  • 7:00 - 7:03
    ドレッドノータスは鼻先から尻尾まで
    26メートルあります
  • 7:03 - 7:06
    肩までが2.5階に相当します
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    肉付けして復元すると
    体重は65トンありました
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    ドレッドノータスは ティラノサウルスより
    大きかったか よく聞かれます
  • 7:15 - 7:18
    ティラノサウルスの8~9倍の体重です
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    古生物学者の特権といえば
  • 7:22 - 7:25
    新種を発見した時
    名前を付けられることがあります
  • 7:25 - 7:28
    私が日頃から残念に思っているのは
    この巨大な植物食恐竜が
  • 7:28 - 7:33
    復元図の中では 消極的でウスノロな
    肉の塊として描かれることが
  • 7:33 - 7:34
    あまりに多い点です
  • 7:34 - 7:35
    (笑)
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    でも違うのです
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    大型草食動物は短気で
    縄張り意識が強い場合があります
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    カバやサイや水牛に
    ちょっかいを出してはいけません
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    イエローストンのバイソンは
    グリズリーよりも多くの人を傷つけます
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    想像できますか? 65トンもある
    牡牛のようなドレッドノータスが
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    繁殖期に
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    縄張りを守る姿を
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    ドレッドノータスは
    ひどく凶暴だったことでしょう
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    周囲の生き物にとっては脅威である一方
    自らは怖がるものが無かったことでしょう
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    だから 「ドレッドノータス」
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    「何も恐れないもの」なのです
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    これほど巨大に成長するには
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    ドレッドノータスのような動物は
    効率的である
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    必要がありました
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    長い首と尻尾により体外へ熱を放出し
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    受動的に体温調整します
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    さらに その長い首で
    非常に効率的に餌を摂ることができます
  • 8:27 - 8:30
    ドレッドノータスは立っている所から
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    首の届く広範囲の植物を平らげ
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    極僅かなカロリー消費で
    何万カロリーも摂取できました
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    さらにブルドッグのような
    がに股に進化したことで
  • 8:41 - 8:43
    驚異的な安定性を誇りました
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    体重が65トンもあって
    まさに家のような大きさになると
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    転ぶことは死を意味するからです
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    ドレッドノータスは
    大きくて頑丈でしたが
  • 8:54 - 8:55
    そういう衝撃には耐えられません
  • 8:55 - 8:58
    転んでしまうと
    肋骨が折れ 肺に突き刺さり
  • 8:58 - 9:00
    臓器が破裂してしまうのです
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    65トンもあるドレッドノータスは
  • 9:01 - 9:04
    一生に一度だって
    転ぶことは許されないのです
  • 9:06 - 9:09
    さて このドレッドノータスの死体が
    土に埋まり
  • 9:09 - 9:14
    無数の細菌、蠕虫、昆虫によって
    肉が分解され
  • 9:14 - 9:16
    地下水との間で分子の交換が
  • 9:16 - 9:18
    短時間の間に行われ
    骨は変性を受けて
  • 9:18 - 9:21
    墓場の石のように
    ますます固くなっていったのです
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    堆積物が何層にも積み重なると
  • 9:24 - 9:27
    四方からの圧力がかかり
    まるで石のグローブに
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    がっちりと長期間 握られるように
    骨は安定し固定されます
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    長い時間が過ぎ・・・
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    何も起こりませんでした
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    単調な時の流れが続き
  • 9:41 - 9:43
    何も起こりませんでした
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    その間ずっと ドレッドノータスの骨は
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    完璧な静けさの中で石の墓場に
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    延々と横たわっていました
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    一方 地上では
    地球史が繰り広げられていました
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    恐竜は その後1,200万年に渡って
    君臨しましたが
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    その後 恐ろしい大災害により絶滅しました
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    大陸が移動し
    哺乳類が興隆しました
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    氷河期が到来すると
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    東アフリカでは
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    将来有望には見えなかった猿の一種が
    「意識的思考」という奇妙な技を進化させました
  • 10:16 - 10:19
    この賢い霊長類は 格別に速くも
    強くもありませんでしたが
  • 10:20 - 10:22
    広い範囲で生存する能力に優れており
  • 10:22 - 10:24
    驚くべき大移動を成し遂げ
  • 10:24 - 10:27
    その範囲はかつての恐竜の分布域を
    凌駕していました
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    彼らは地球上 至る所に広がり
  • 10:29 - 10:32
    周囲の生態系をすべて略奪し
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    その過程で文化や金属細工や絵画
  • 10:36 - 10:37
    ダンスや音楽を作り
  • 10:38 - 10:39
    科学を生み出し
  • 10:40 - 10:44
    そして12匹の知能をもったサルが
  • 10:44 - 10:47
    ロケットで月面に降り立ちました
  • 10:49 - 10:53
    地球上には70億人もの
    ホモ・サピエンスが歩き回っているのですから
  • 10:53 - 10:54
    たまたまその内の1人が
  • 10:54 - 10:59
    パタゴニア南部の荒れ地に埋まった
    巨大な恐竜の墓を
  • 10:59 - 11:02
    踏みつけることは
    必然だったのでしょう
  • 11:03 - 11:04
    私がそのサルなのです
  • 11:05 - 11:09
    砂漠に独り佇んで
  • 11:09 - 11:10
    分かったことは
  • 11:10 - 11:13
    各々の個体が
    化石記録として残る確率は
  • 11:13 - 11:15
    ほとんどゼロに等しいことです
  • 11:16 - 11:18
    でも地球はすごく古いので
  • 11:18 - 11:22
    膨大な時を経ると
    起こりそうもないことが起こるのです
  • 11:22 - 11:25
    それが地質学的な記録の魔法なのです
  • 11:25 - 11:28
    年月を経た惑星で
    様々な生物が生まれては死んでいき
  • 11:28 - 11:30
    膨大な量の化石を残します
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    1つ1つは小さな奇跡ですが
  • 11:33 - 11:35
    全体としては 必然の結果なのです
  • 11:37 - 11:39
    6千6百万年前
    小惑星が地球に衝突し
  • 11:40 - 11:42
    恐竜は絶滅しました
  • 11:43 - 11:45
    そうならなかった可能性は十分あります
  • 11:45 - 11:48
    でも私たちの歴史は唯一
    今 ここにある歴史だけです
  • 11:48 - 11:50
    しかし この特定の現実に
    必然性はありませんでした
  • 11:50 - 11:53
    地球から遠く離れたその小惑星に
    ほんの僅かな―
  • 11:53 - 11:56
    摂動が加わっていれば
    地球を大きく逸れていたでしょう
  • 11:57 - 12:00
    恐竜を絶滅させるのに決定的となった
    災害が起きた日は
  • 12:00 - 12:03
    我々の知ったる現代社会を産み出す
    時代の幕開けとなりましたが
  • 12:03 - 12:05
    その日である必然性はありませんでした
  • 12:05 - 12:07
    別の日だったのかもしれません
  • 12:07 - 12:09
    木曜日とか
  • 12:10 - 12:15
    恐竜が繁栄した 630億日間の
    どの日でもよかったのです
  • 12:15 - 12:17
    地質学的な時間においては
  • 12:17 - 12:20
    起こるはずもないことが
    ほとんど有り得ないことが
  • 12:20 - 12:21
    実際に起こるのです
  • 12:21 - 12:24
    虫のようなカンブリア紀の私たちの祖先から
  • 12:24 - 12:26
    スーツを着た霊長類に至るまで
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    無数の分岐点があり
    この特定の現実へと導きました
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    ドレッドノータスの骨は7千7百万年も
    土に埋もれていました
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    誰が想像できたでしょうか?
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    恐竜が支配する世界の
    隙間に住んでいた
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    トガリネズミのような哺乳類の一種が
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    恐怖の対象だったであろう恐竜の
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    特徴を知り 理解することができる
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    意識を持つ存在に
    進化するなどと?
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    以前 ミズーリ川の源流に立って
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    またいでみたことがあります
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    そこはゴボゴボと音を立てる
    水の流れにすぎません
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    ビタールート山脈の高地にある
    牧草地の巨石の下から
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    流れ出ています
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    その隣にある小川は
    数百メートル流れて
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    小さな池で終わっています
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    2つの小川は よく似ています
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    でも片方は名もない流れで
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    もう1つはミズーリ川です
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    ミズーリ川の河口へと下り
    セントルイスの付近に来ると
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    これが大河であることが よく分かります
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    でもビタールート山脈で
    ミズーリ川を見ても
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    人間の目には
    特別な川に見えないのです
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    さて 白亜紀に遡って
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    小さな毛玉のような
    私たちの祖先を見てみましょう
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    彼らが何か特別な生き物に
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    進化するとは思えなかったでしょうし
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    厄介な小惑星が来なかったら
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    多分こんな進化は遂げなかったでしょう
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    千個の世界と千個の太陽系を作って
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    時を進ませてみても
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    同じ結果は決して得られません
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    きっと どれも驚くほど
    あり得なさそうな世界でしょう
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    ただ 我々の世界や歴史とは
    違っていることでしょう
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    起こり得る歴史は無数にありましたが
  • 14:09 - 14:12
    我々はその1つを―
    良い歴史を得たのです
  • 14:12 - 14:14
    ドレッドノータスのような恐竜も
    実在しました
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    モササウルスのような海の怪獣も
    実在しました
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    ワシほどの翼長のあるトンボや
    全長が車ほどのダンゴムシも
  • 14:23 - 14:25
    実在したのです
  • 14:27 - 14:29
    なぜ古代を研究するのか?
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    大局観や謙虚さを
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    与えてくれるからです
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    恐竜は5回目の大量絶滅で
    死に絶えました
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    恐竜に落ち度はなく
    宇宙で起きた偶然の出来事のせいです
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    恐竜には それを予測する力も
    選択肢もありませんでした
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    でも 私たちには選択肢があるのです
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    化石記録が語るのは
    地球における我々の地位は
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    不確かで はかないものだということです
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    現在 人類は地質学的なスケールで
    環境破壊を広げており
  • 15:03 - 15:07
    その規模は広範囲で深刻なため
  • 15:07 - 15:09
    まさに6回目の大量絶滅と
    呼べるのです
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    ただ恐竜とは違って 我々は―
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    絶滅の危機を見通すことができます
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    また 恐竜とは違って
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    私たちは対策を立てられます
  • 15:20 - 15:23
    我々は選択することができるのです
  • 15:23 - 15:25
    ありがとうございました
  • 15:25 - 15:37
    (拍手)
Title:
恐竜の化石探しを通して知った、宇宙における人類
Speaker:
ケネス・ラコバラ
Description:

恐竜を発見したらどうなるでしょうか。古生物学者ケネス・ラコバラが、自分が発掘したドレッドノータスについて詳しく説明します。この7千7百年前の竜脚類は、2階建家屋ほどの背丈で、ジャンボジェット機ほどの体重があったのです。彼はまた、恐竜が支配する世界にひっそりと暮らす小さな哺乳類が、巨大生物について理解できるほどの知能を持つ生物に進化することが、いかに可能性の低いことだったか考えていきます。地球の地質学的な歴史を彼と一緒に賞賛し、悠久の時の流れの中で私たちが占めてきた地位に思いを馳せてみましょう。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
15:49

Japanese subtitles

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