Return to Video

忘れ去られることのないファラオ ― ケイト・ナレフ

  • 0:07 - 0:10
    3500年前のエジプトで
  • 0:10 - 0:14
    ある高貴なファラオが
    激しい暴力を受けました
  • 0:14 - 0:16
    しかし 身体的な暴力ではありませんでした
  • 0:16 - 0:20
    それはこの王の死から
    20年後に起こったのです
  • 0:20 - 0:22
    その暴力は 歴史に対する攻撃であり
  • 0:22 - 0:27
    名声への罵りというべき行為でした
  • 0:27 - 0:30
    誰かがファラオの像を破壊し
  • 0:30 - 0:36
    ノミで このファラオの名とイメージを
    歴史から抹消しようとしたのです
  • 0:36 - 0:39
    このファラオとはどんな人物で
    なぜこのように攻撃されたのでしょうか?
  • 0:39 - 0:41
    鍵となるのは
  • 0:41 - 0:44
    このファラオ―
    ハトシェプストが女性だったということです
  • 0:44 - 0:48
    通常であれば 彼女は
    ファラオになるべきではありませんでした
  • 0:48 - 0:51
    女性が君主となることは
    法律上可能ではありましたが
  • 0:51 - 0:54
    エジプトの根本的な信仰を乱したのです
  • 0:54 - 0:58
    まず ファラオは男性の神ホルスの
  • 0:58 - 1:00
    生ける化身として知られていました
  • 1:00 - 1:04
    さらに 男性による統治という伝統を乱したことは
  • 1:04 - 1:07
    エジプト人にとって重要な「マアト」に
    大きく反するものでした
  • 1:07 - 1:12
    これは真実という意味で
    法と正義を重んじることを
  • 1:12 - 1:14
    表す言葉です
  • 1:14 - 1:16
    ハトシェプストはおそらく
    自らの称号を通じて
  • 1:16 - 1:21
    法と家父長制の繋がりに対する
    この信仰に適応しようとしたのでしょう
  • 1:21 - 1:22
    彼女は即位名をマアトカラーとし
  • 1:22 - 1:25
    時には自らのことを男性形で
  • 1:25 - 1:28
    ハトシェプスと称することもありました
  • 1:28 - 1:32
    しかし こうした努力は
    誰もを納得させたわけではなく
  • 1:32 - 1:34
    ある者がハトシェプストのイメージを
    抹消することで
  • 1:34 - 1:38
    ハトシェプストが起こした
    「マアト」への混乱を世間に忘れさせ
  • 1:38 - 1:41
    平穏なエジプトに戻そうとしたのかもしれません
  • 1:41 - 1:45
    それに加え ハトシェプストの立場は
    正式な王位継承者ではなく
  • 1:45 - 1:48
    「摂政」という 共同統治する
    王の代理のようなものでした
  • 1:48 - 1:52
    エジプトの王位は伝統的に
    父から息子へと継承されてきました
  • 1:52 - 1:56
    王位はトトメス1世から
    息子のトトメス2世―
  • 1:56 - 1:58
    ハトシェプストの夫へと継承されました
  • 1:58 - 2:03
    本来はトトメス2世から直接
    トトメス3世に継承されるはずでしたが
  • 2:03 - 2:07
    父親が亡くなった際
    トトメス3世は まだ幼かったのです
  • 2:07 - 2:10
    そこで 亡き王の正妻であり
    未亡人のハトシェプストが
  • 2:10 - 2:13
    義理の息子の摂政を
    務めることになったのですが
  • 2:13 - 2:18
    結果的には 正式なファラオとして
    共同統治を行いました
  • 2:18 - 2:21
    トトメス3世は
    これに腹を立てていたのでしょうか
  • 2:21 - 2:24
    もしかすると 彼こそがイメージを葬った
    張本人かもしれません
  • 2:24 - 2:27
    ハトシェプストが悪いファラオだったから
  • 2:27 - 2:29
    何者かが彼女を侮辱したのかもしれません
  • 2:29 - 2:32
    しかし 記録によると
    彼女の統治は良好であったようです
  • 2:32 - 2:36
    彼女は君主としての役割を
    十分に果たしていました
  • 2:36 - 2:37
    優れた建築者でもあり
  • 2:37 - 2:40
    彼女の葬祭殿である
    ジェセル・ジェセルゥは
  • 2:40 - 2:43
    当時 建築物の傑作と呼ばれ
  • 2:43 - 2:45
    現在も高い評価を受けています
  • 2:45 - 2:47
    ハトシェプストは遠いプントの地へ
    貿易使節団を送り
  • 2:47 - 2:52
    大成功に導いて
    エジプトの経済を繁栄させたのです
  • 2:52 - 2:54
    彼女は非常に信仰も厚く
  • 2:54 - 2:58
    自らを国神であるアメンの娘だと
    主張したこともありました
  • 2:58 - 3:02
    ヌビアへ出撃した軍隊経歴もあり
  • 3:02 - 3:06
    その際は自らの率いる兵とともに
    戦ったといわれています
  • 3:06 - 3:10
    もちろん ハトシェプストの
    輝かしい経歴を評価する際に
  • 3:10 - 3:11
    気をつけなければならないのは
  • 3:11 - 3:15
    記録の大半は
    本人の手によるものだということです
  • 3:15 - 3:18
    ハトシェプスト葬祭殿の壁や
  • 3:18 - 3:20
    アメンを祭った赤い祠堂の壁には
  • 3:20 - 3:23
    彼女の経歴が絵と文字で記されています
  • 3:23 - 3:27
    では ハトシェプストの名声を汚すような
    罪を犯したのは誰なのでしょうか?
  • 3:27 - 3:33
    最も有力な容疑者は共治した
    義息にして甥のトトメス3世です
  • 3:33 - 3:36
    王位を奪われた怒りから?
  • 3:36 - 3:39
    攻撃が加えられたのは
    ハトシェプストの死から20年後であったため
  • 3:39 - 3:42
    この可能性は低いと考えられています
  • 3:42 - 3:46
    逆上の末 事件を起こすには
    時間が経ちすぎています
  • 3:46 - 3:49
    トトメス3世が自分の統治の印象を
    良くするためにしたのかもしれませんが
  • 3:49 - 3:54
    最も有力なのは
    トトメス3世か他の何者かが
  • 3:54 - 3:59
    女性がエジプトの王位にあったという
    事実を抹消するためにやったという説です
  • 3:59 - 4:03
    性別における例外は「マアト」に対して
    非常に危険であったために
  • 4:03 - 4:06
    歴史から抹消されなければならなかったのです
  • 4:06 - 4:10
    幸運なことに 古代に行われた検閲は
    完全ではありませんでした
  • 4:10 - 4:13
    私たちが全貌を明らかにするのに
    十分な証拠は残っているため
  • 4:13 - 4:17
    このユニークで力強い女性の物語を
    今に伝えることができるのです
Title:
忘れ去られることのないファラオ ― ケイト・ナレフ
Description:

ハトシェプストは、エジプト新王国時代に実在した女性のファラオでした。ハトシェプストの死後20年経った時、何者かが彼女の像を破壊し、ノミで彼女の名とイメージを歴史から抹消しようとしたのです。しかし、誰が何のためにこのような真似をしたのでしょう?ケイト・ナレフがハトシェプストの経歴を辿り、古代に起きたこの事件を解き明かします。

講師:ケイト・ナレフ
アニメーション:ステフ・リー
*このビデオの教材:http://ed.ted.com/lessons/the-pharaoh-that-wouldn-t-be-forgotten-kate-narev

more » « less
Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TED-Ed
Duration:
04:34

Japanese subtitles

Revisions