無限大はどのくらい大きい?
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0:14 - 0:16私が4年生のある日
先生がこう言いました -
0:16 - 0:19「偶数は自然数と同じだけあります」
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0:19 - 0:25「本当に?」と思いました 確かに自然数も偶数も
無限にあり 同じだけあると言えるかもしれませんが -
0:25 - 0:30しかしその一方で 偶数は自然数全体の
一部に過ぎず 他に奇数もあるので -
0:30 - 0:33自然数全体は 偶数より
たくさんあるはずです -
0:33 - 0:39先生が言わんとしたことを理解するために まず2つの
集合の大きさが同じとはどういうことか考えてみましょう -
0:39 - 0:44右手と左手に同じ本数の指があると言うとき
その意味するところは何でしょう? -
0:44 - 0:48もちろん どちらの手にも5本の指がありますが
実はもっと簡単に示せます -
0:48 - 0:53数える必要はなく ただ手を合わせて
一本ずつ重ねていけばいいのです -
0:53 - 0:56実際 3より大きい数を表す言葉のない言語を
使っていた古代の人々は -
0:56 - 1:02このトリックを使っていたと考えられています
例えば 囲いから羊を出し放牧するとき -
1:02 - 1:06一匹が出るごとに石を取っておき
帰って来たら石を戻すことで -
1:06 - 1:09何匹が外にいるのか分かり
戻ってない羊がいるかどうか -
1:09 - 1:12頭数を数えることなく
知ることができます -
1:12 - 1:15対応付けが 数え上げより本質的である例を
もう1つ挙げましょう -
1:15 - 1:20私が満員の講堂で話していて 席は全て埋まり
立っている人がいないとすると -
1:20 - 1:23何人いるかは
分からないものの -
1:23 - 1:26席数と同じ数だけ聴衆がいる
ことが分かります -
1:26 - 1:28つまり2つの集合が同じ
大きさであるということは -
1:28 - 1:33それぞれの集合の要素が 何らかの方法で
1つずつ対応づけられるということです -
1:33 - 1:38私の4年生の時の先生は 自然数を1列に並べ
その下にそれを2倍したものを書きました -
1:38 - 1:42見て分かるように 下の列は全ての偶数を含んでおり
1対1で対応しています -
1:42 - 1:45つまり 自然数が存在するのと同じだけ
偶数も存在するのです -
1:45 - 1:51しかし偶数は自然数の一部でしかないという事実が
依然頭に引っかかります -
1:51 - 1:56かといって それで右手と左手の指の数が違う
ことになるのでしょうか? -
1:56 - 2:01もちろん違います ある方法で要素を対応付け
ようとして うまくいかなかったとしても -
2:01 - 2:03そのことから言えることは
何もありません -
2:03 - 2:06でも2つの集合の要素を
対応付ける方法を見つけられたなら -
2:06 - 2:10その2つの集合の要素数は
等しいと言えるのです -
2:10 - 2:15分数は全て列挙できるでしょうか?
難しいかもしれません 何しろ分数はたくさんあります! -
2:15 - 2:19何を最初に挙げたらいいのか?
全て列挙されているか どうすれば分かるのか? -
2:19 - 2:24実は 全ての分数を列挙する
うまい方法があります -
2:24 - 2:28ゲオルク・カントールが
19世紀末に考案しました -
2:28 - 2:36まず 全ての分数を格子状上に並べます
全部あるのが分かります 例えば117/243であれば -
2:36 - 2:39117行223列に見つかります
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2:39 - 2:44次に左上から始め 対角線上に行ったり
来たりしてリストを作っていきます -
2:44 - 2:492/2のように 前に出てきたのと
同じ数は 飛ばすことにします -
2:49 - 2:53すると全ての分数のリストが得られます
分数は自然数より多いはずですが -
2:53 - 2:58それでも自然数全体と分数全体の間で
1対1の対応付けができるのです -
2:58 - 3:01本当に面白くなるのはここからです
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3:01 - 3:06ご存知かもしれませんが 実数 つまり数直線上にある
数は すべてが分数であるわけではありません -
3:06 - 3:092の平方根や πなどがその例です
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3:09 - 3:15このような数は無理数(irrational)といいます
そんな数は不合理だというわけではなく -
3:15 - 3:21分数は整数の比(ratio)であるために有理数(rational)と呼ばれ
それ以外は有理数でない つまり無理数なのです -
3:21 - 3:25無理数は非循環小数で表されます
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3:25 - 3:29自然数全体と 有理数・無理数両方を含む
小数全体の集合の間で -
3:29 - 3:341対1の対応付けは可能なのでしょうか?
つまり小数全体は列挙できるのでしょうか? -
3:34 - 3:39カントールはそれが不可能であることを証明しました
単に方法を知らないということではなく 不可能なのです -
3:39 - 3:46仮に小数全体を列挙したとしましょう
これからそのリストにない小数を作ることで -
3:46 - 3:48そのリストが不完全であることを示します
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3:48 - 3:51問題の小数を1桁ずつ作って行きます
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3:51 - 3:55小数第1位を決めるために
リスト中で最初の数の小数第1位に注目します -
3:55 - 4:00もしその数が1だったら2を
それ以外なら1を選びます -
4:00 - 4:05小数第2位を決めるために
2番目の数の小数第2位に注目します -
4:05 - 4:09ここでも同様に その数が1であれば2を
そうでなければ1を選びます -
4:09 - 4:14どうなるかお分かりでしょうか?
そうして作った小数は このリスト中に存在し得ないのです -
4:14 - 4:21なぜでしょう? その数は 例えば143番目の数で
ありうるでしょうか? いいえ この小数の小数第143位は -
4:21 - 4:25リストの143番目の数の小数第143位とは異なります
そうなるように作ったんです -
4:25 - 4:29リストは不完全だったわけです
今作った小数が含まれていません -
4:29 - 4:34どんなリストを与えられようと 同様の操作で
そのリストに無い小数を作ることができます -
4:34 - 4:37つまり 我々は驚くべき
事実に直面したわけです -
4:37 - 4:43小数は列挙不可能なのです 小数の全体は
自然数全体の無限大よりも大きな無限大ということです -
4:43 - 4:49我々に馴染み深い無理数は 2の平方根や
円周率など わずかしかありませんが -
4:49 - 4:52無理数全体の無限大は
分数の無限大よりも大きいのです -
4:52 - 4:57かつてこう言った人がいます
有理数 (分数) は 夜空の星のようであり -
4:57 - 5:01無理数は 夜空の黒い部分のようだと
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5:01 - 5:07カントールはまた どのような無限集合に対しても
その集合の部分集合全体からなる集合を構成すると -
5:07 - 5:12元の集合よりも高位の無限大が得られることも示しました
無限集合があれば -
5:12 - 5:18その部分集合全体の集合を作ることで より大きな集合が得られ
その結果に対して同じ操作をすれば -
5:18 - 5:22さらに大きな集合が得られ
それをいくらでも繰り返していけます -
5:22 - 5:26異なる大きさの無限大が
無数に存在するのです -
5:26 - 5:31この考えに納得いかないとしたら それはあなただけではありません
カントールの時代の偉大な数学者の中にも -
5:31 - 5:35これにうろたえた人がいたのです
彼らはこの概念無しでも数学が成り立つように -
5:35 - 5:38無限大の違いを無意味なものに
しようと試みました -
5:38 - 5:42カントールは個人的にも中傷されたために
重度の鬱に悩まされ -
5:42 - 5:46精神病院への入退院を繰り返しながら
半生を過ごしました -
5:46 - 5:51しかし結果的に彼の考えが勝ちました
今日では根本的かつ偉大な業績だと考えられています -
5:51 - 5:56全ての数学研究者がこのアイデアを受け入れ
全ての数学科の学生が学び -
5:56 - 5:58私は数分でこの考えを
説明しました -
5:58 - 6:01いつの日にか
一般常識になっているかもしれません -
6:01 - 6:06話には続きがあります 全ての小数(実数)の集合は
自然数全体の集合より高位の無限大だと指摘しましたが -
6:06 - 6:10カントールは これら2つの無限大の間に
異なる大きさの無限大は無いかと考えました -
6:10 - 6:14彼は ないだろうと考えていたものの
それを証明することはできませんでした -
6:14 - 6:18カントールの予想は「連続体仮説」として
知られるようになりました -
6:18 - 6:241900年に偉大な数学者ダフィット・ヒルベルトは
数学における最も重要な未解決問題の1つとして -
6:24 - 6:26この連続体仮説を挙げました
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6:26 - 6:3220世紀中にこの問題は解決されましたが その結論は
全く予想外で 旧来の考えを根底から覆すものでした -
6:32 - 6:381920年代にクルト・ゲーデルが 連続体仮説を偽であると
証明することは不可能だと示し -
6:38 - 6:431960年代にポール・J ・コーエンが 連続体仮説を
真であると証明することも不可能だと示したのです -
6:43 - 6:48これらを合わせると
数学には答え得ない問が存在することになります -
6:48 - 6:50実に驚くべき結論です
-
6:50 - 6:53数学は人類の英知の粋だと
考えられていますが -
6:53 - 6:57その数学ですら理解に限りが
あることが分かったのです -
6:57 - 7:01それでも数学には 我々が考えるべき
本当に素晴らしいものあります
- Title:
- 無限大はどのくらい大きい?
- Speaker:
- Dennis Wildfogel
- Description:
-
基礎的な集合論を用いて「無限の無限大」という奇妙な概念を探り、それがどのように数学にも答えられない問題があるという結論に数学者を導くことになったのか辿ってみましょう。
先生: デニス・ワイルドフォーゲル
アニメーション: Augenblick Studios
※この教材のページ http://ed.ted.com/lessons/how-big-is-infinity - Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TED-Ed
- Duration:
- 07:13
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