競争企業入門

企業には一体どのような行動原理があるのでしょうか？ 我々は、概して企業の主な目的は利潤の追求にあると憶測してしまいます。ほとんどの企業では、ほとんどの場合、特に競争市場であれば、この憶測は正しいと言えます。 今回は、売り手と買い手が沢山いる競争的な環境で企業がいかにして利潤を最大化するか勉強していきます。
企業は本当に価格を制御する力を持っているのでしょうか？それとも、市場が価格を決定するのでしょうか。 一つ考えてみてください。 あなたが油井を所有しているとしましょう。あなたの油より他所の油の方が安ければ、 あなたの母親だって買いはしません。どういうことでしょうか？続きは動画でご覧ください。
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[アレックス] 　今回の動画から数回に分けて、

費用について、また、
企業の費用をどのように表現するか、

いかにして企業が利潤を最大化するか、
勉強していきましょう。

前半部分では、

完全競争企業の利潤を最大化することについて、

後半部分では、

独占企業の利潤を最大化することについて、
勉強していきます。

それでは始めましょう。

我々が最終的に見つけたいのは、

「企業はどのように行動するのか」
という質問への答えです。

この答えを見つけるにあたって、
ある仮定を設定します。

「利潤の追求が企業の主な目的である」
という誘導的な仮定です。

この仮定は完全に正しいとは言えません。

ただ、ほとんどの企業にとっては、大抵いつも、

利潤の追求が企業の振る舞いの主な動機となっているのです。

競争相手の多い企業にとっては、
競争の存在自体が、

利潤を最大化させる動機になります。

なぜなら、競争相手の多い企業が、

利潤を最大化しなければ、

早々と倒産に追いやられるからです。

市場支配力の大きい企業、
または独占企業については、

利潤を最大化しようとする必要はありません。

それでもなお、企業の所有権者は利潤を追求します。

利潤が欲しくない人なんて、いませんよね？

つまり、ほとんどの企業については、
ほとんど常に、

この仮定は正しいと言えるでしょう。

では、企業はどのようにして
利潤を最大化するのでしょうか。

一言で言うと、価格と供給量の選択です。

価格と供給量を決定することによって、
利潤を最大化させます。

企業の中には、価格の制御が
より簡単にできる企業もあります。

次の章では、制限がありつつも、
価格と供給量を決定できる、

独占企業を見ていきます。

今回は、競争企業について学びましょう。

競争企業は市場価格を「与えられたもの」と捉え、

価格を制御する力はあまりありません。

なぜ、価格を制御できないのでしょうか。
どのように供給量を決定するのでしょうか。

競争企業では、

供給量の決定が重要になってきます。

供給量こそが、企業の利潤を決定づけるからです。

今回は、この競争企業に注目します。

競争企業とは、競争市場にある企業のことです。

競争企業や競争市場の特徴はなんでしょうか？

企業の販売する製品は、

多くの企業で類似しています。

ストリッパー・ウェル（生産量が少なく、ほとんど
利潤を見込めない油井）を例に挙げましょう。

この小さな油井から油を生産することができますが、

この油は、

隣りの油井から生産される油と、
同じような油です。

サウジアラビアの油井から生産される油と、

同じような油です。

メキシコ産の油とも、北海産の油とも、

違いはありません。

油は、世界のどこで生産しても、
だいたい同じなのです。

あるいは、小麦、大豆、鉄鋼、コンクリートや紙を
例に挙げてもいいでしょう。

これらはいずれも競争市場であって、

売り手が違っても、製品はだいたい同じです。

加えて、今挙げた製品の市場には、

売り手と買い手はたくさんいて、

それぞれが市場全体に占める価値は
相対的に大きくありません。

すると、このストリッパー・ウェルは、
全世界の油生産量と比較すると、

ほんの少しの油しか生産していません。

どんな小麦農場でも、
世界の小麦総生産量と比べると、

ほんの少しの小麦しか生産していないのです。

あるいは、

潜在的な売り手がたくさんいる場合もあります。

例えば、ある食料雑貨店が、

その町に唯一の食料雑貨店だとしても、

その店は競争市場の一部だと言えます。

もしその店が値上げを行ったとして、

その町で店を開こうとする潜在的な売り手は、

長期的に考えると沢山いるからです。

競争企業についてまとめましょう。

他の売り手が似たような製品を販売していて、

売り手と買い手がたくさんいる上に、

それぞれが市場全体に占める価値は相対的に小さいか、

あるいは他の潜在的な売り手が沢山いるのです。

ここで、ストリッパー・ウェルを
所有していると想像しましょう。

前のスライドに出てきたような油井です。

価格の設定はどのようにすればいいのでしょうか？

この質問には簡単に答えることができます。

競争市場にある企業には、

価格を制御する力がないからです。

市場が、各企業の価格を決定します。

では、油の市場を見てみましょう。

世界的に見た油の需要と供給が、

均衡状態にあり、

1バレルあたり50ドルだとして、

8,200万バレルもの油がこの価格で
毎日売買されているとしましょう。

次に、あなたの油の需要を考えましょう。

あなたのストリッパー・ウェルで
生産される油の需要です。

あなたの油の需要は、

市場価格で一定となります。

どういうことでしょうか。

例えばあなたは、油の価格を、

市場価格より高く、

例えば1バレルあたり55ドルと設定しました。

油は売れると思いますか？
売れるわけがありません。

例えあなたの母親であっても、
他の油と変わりないものを、

わざわざ市場価格より多く払って
買おうと思わないでしょう。

あなたの油とほとんど同じ油を、

他所では1バレル50ドルで買える以上、

55ドルの油を買おうとはしません。

あなたの母親ですら買わないのです。
他に買い手は出てこないでしょう。

自分の製品を市場価格より高く設定すれば、

その製品は全くもって売れません。

一方で、市場価格より安ければ、
いくらでも売れるでしょう。

でも、安く設定する必要はありません。

あなたは、持っている限りの油を、

市場価格ぴったりで売ることができるからです。

なぜ、あなたの油は、市場価格で
全部売れるのでしょうか？

一言で言えば、あなたの油井での生産量は、

一日あたり10、20、30バレル程度と、

世界の総生産量と比較すると、
大した量ではないからです。

世界では8,200万バレルもの油が
毎日生産されています。

たった一つの油井で、どんなに沢山油を生産しても、

油の価格が影響を受けることはないのです。

つまり、あなたの油の生産量を二倍、三倍にしても、

1バレルあたり50ドルで売れることに
変わりはありません。

つまり、あなたが利潤を最大化するために
唯一できることは、

供給量の決定です。

市場価格を見て、

今日の油は1バレルあたり50ドルで
売れると気づいたあなたは、

その値段で供給したい量を、

決めることになります。

2バレルがいいのか、20バレルがいいのか、
どれくらい生産すればいいのでしょうか？

供給量の決定が重要になってくるのです。

次回は、供給量の決定について勉強し、

費用についても考えていきます。

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