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私たちの想像を超える生命の探求

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    私の経歴は一風変わったものです
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    例えば私の同僚も 私のところへやって来て
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    「君の経歴は変わっているね」と
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    言ってくるくらいですから
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    それに 私には彼らの言いたいことが分かります
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    というのも 私は
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    理論核物理学者として
    キャリアを始めたからです
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    私が考えていたのはクォークやグルーオン
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    重イオン衝突についてでした
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    まだ私がほんの14歳の頃のことです
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    というのは冗談ですがね
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    しかしその後
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    計算論的神経科学部の中に
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    自分の研究室を持ったのです
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    ただし神経科学については
    何もしていませんでした
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    そしてその後は進化遺伝学と
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    システムズバイオロジーを研究していました
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    ただ今日皆さんには
    別の話をします
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    皆さんにお話しするのは
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    生命について私が学んだことです
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    私は実はロケット科学者でした
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    厳密にはロケット科学者ではありませんでしたが
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    私が働いていたのは
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    温暖なカリフォルニアにある
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    ジェット推進研究所で
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    今住んでいる
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    寒い中西部とは大違いですが
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    とても刺激的な経験でした
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    ある日 NASAの部長が
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    私のオフィスにやって来て
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    腰を下ろしてこう言ったのです
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    「地球外生命体を探し出す方法を
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    教えてくれないか?」と
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    私は大変驚きました
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    なぜなら私の仕事は
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    量子計算の研究でしたから
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    でも いい答えを思いつきました
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    「見当もつきません」と
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    彼は こう言いました
    「バイオシグネチャーだよ
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    バイオシグネチャーを探すんだ」
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    「それは一体何ですか?」と私が聞くと
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    彼はこう言いました
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    「生命の存在を示す
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    測定可能な現象のことだよ」
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    「本当ですか?
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    だって それって簡単なことでしょう?
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    私たちの周りには生命がありますよね
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    生命の定義を当てはめては?
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    最高裁の決定みたいに
    絶対的な定義を」
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    そして少し考えてから
    言い直しました
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    「いや 簡単じゃないかもしれませんね
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    だって 例えばこんなものを見て
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    『よし 間違いない これを生命と呼ぼう』
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    そう言ったとしても
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    こんなのもいますよ」
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    「わかってるさ それも生命だ」と
    彼は言いました
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    もし皆さんの中で
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    生命とはいつか死ぬものである
    と捉える人がいるなら
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    こいつには当てはまりません
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    本当に奇妙な生物だからです
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    この生物は 成長して成熟段階に入り
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    ベンジャミン・バトンのように
    若返りの段階を経て
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    最後はまた小さな胚のようになるまで
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    どんどん若返ります
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    まるでヨーヨーが伸び縮みするように
    成長と若返りを繰り返し
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    決して死ぬことがありません
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    だから これは生命ですが
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    私たちが考えるような
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    生命体とは異なりますよね
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    それからこんな物もあります
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    部長は「これはどんな生物だ?」と
    驚いていました
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    分かる人はいますか?
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    実はこれは生物ではなく結晶です
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    また さらに小さなものを
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    よくよく観察した結果
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    この発見者は
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    一本の論文を書き上げ
    「これはバクテリアだ」と言いました
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    ただし もう少し詳細に検討すれば
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    バクテリアにしては
    小さすぎることが分かります
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    彼は生き物だと確信していましたが
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    納得しない人がほとんどでした
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    その後 ご存知の通り
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    NASAでも大きな発表があって
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    クリントン大統領が
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    火星隕石に生命が存在したという
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    素晴らしい発見について
    記者会見を開きました
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    しかし 近頃はこれについて
    異議が唱えられています
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    これらの写真からお気付きでしょうが
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    生命体であるかどうか区別するのは
    簡単ではないのです
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    私に必要なのは
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    そんな区別をするための
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    生命の定義です
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    では生命の定義は可能でしょうか?
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    どう取り掛かればいいのでしょうか?
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    それはもちろん
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    分厚いブリタニカ百科辞典の
    Lのページを開けば…
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    いえ そうではないですよね
    じゃあグーグルで調べてみましょうか
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    そうしたらきっと何かしらの
    答えが見つかるでしょう
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    しかし そこで得られるような
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    おなじみの事しか書いていないものは
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    役に立ちません
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    そこで このようなものを思いつくかもしれません
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    何か複雑で
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    たくさんの概念が書かれています
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    いったい誰がこんな
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    複雑で難解で意味のないものを
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    書いたのでしょうか?
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    あぁでも これは実は
    本当に重要な概念を集めたものなのです
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    重要な単語をいくつか
    抜き出して
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    説明しましょう
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    この定義は
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    アミノ酸とか 木の葉といった
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    耳慣れたものではなく
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    プロセスに基づく定義なのです
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    ここでもう一度先ほどの文章に戻ってみると
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    実はこれは
    人工生命に関する私の著書の一節なのです
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    そもそもNASAの部長が
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    私のオフィスにやってきたのはこのためでした
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    というのも こういった概念に基づいて
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    生命体を作り出せるかもしれないと
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    部長は考えたからです
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    というわけで もし皆さんが
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    「一体 人工生命って何だ?」と
    お思いなら
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    その研究の生い立ちを
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    駆け足で説明しましょう
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    事の始まりは 1990年
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    初めてコンピュータウィルスが
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    作られたときまで遡ります
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    当時を知らない若い方々には
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    このウィルスがどう感染したか
    想像もつかないでしょう
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    感染経路はフロッピーディスクでした
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    コンピュータウィルス感染に関して
    興味深いのは
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    次のような点です
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    感染の発生数をグラフにすると
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    このように先の尖った
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    インフルエンザの
    発生数のようなグラフになります
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    実はこの原因となっているのは
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    ハッカーとOS開発者の間の
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    いたちごっこの開発競争です
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    その結果 ウィルスの
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    系統図のようなものができました
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    この系統図は
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    一般的なウィルスの系統図と
    ほぼ一致するものです
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    ではこれは生命でしょうか?
    いいえ そうではないでしょう
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    コンピュータウィルスは
    自力では進化しないからです
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    ハッカーが進化させていますからね
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    しかしすぐに
    このアイディアをより発展させた人がいました
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    サンタフェ研究所で働く
    ある科学者が こう考えたのです
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    「この小さなウィルスたちを
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    コンピュータ内の人工の世界で
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    勝手に進化させたらどうだろう?」
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    その科学者が
    スティーン・ラスムセンです
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    彼はこのシステムを設計しましたが
    うまくいきませんでした
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    彼のウィルスたちは
    絶えず殺し合っていたからです
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    しかし このシステムを見ていた
    ある生態学者は
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    「自分ならこのシステムを
    修正できる」と言って
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    ティエラシステムを作りあげました
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    これが私の本の中における最初の
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    本物の人工生命システムの1つです
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    ただ これらのプログラムは
    複雑化しませんでした
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    このシステムを見て
    少し研究した後で
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    私が登場したわけです
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    私はシステムを作ることにしました
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    複雑化することができる
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    あらゆる必要な性質を備え
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    より複雑な問題が
    絶え間なく展開するようなシステムです
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    私はコードの書き方を知らないので
    人の助けを借りました
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    私はカリフォルニア工科大学で
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    2人の学部生と一緒に研究をしていました
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    左がチャールズ・オフリアで
    右がタイタス・ブラウンです
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    今では2人ともミシガン州立大学の
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    立派な教授です
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    ただ当時は立派なチームとは
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    言えないことは確かでした
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    私たち3人が一緒にいる写真が
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    残っておらず 一安心です
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    さて これはどんなシステムでしょう?
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    ここで詳しく説明することはできませんが
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    少し中身を説明しましょう
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    焦点を当てたいのは
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    このような集団の構造です
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    ここには約1万個のプログラムがあります
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    異なる系統のプログラムは
    異なる色で区別されていて
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    それぞれが増殖するので
    ご覧のとおり
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    集団が重なりあって成長します
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    どんなときも あるプログラムが
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    この世界で生き抜くのにより適した性質を
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    何らかの突然変異で身に付けた場合
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    そのプログラムは
    他のプログラムを絶滅に追いやるでしょう
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    それではここで起こることをお見せしましょう
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    こういった実験は
    私たちが自作した
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    プログラムを使って始めました
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    独自のものを何度も作りました
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    私たちの自信作です
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    このプログラムを
    システムに入力すると
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    すぐに新種が
    どんどん出てきます
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    ところで これは時間を短縮しています
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    1,000世代を
    1秒にまとめたようなものです
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    このシステムはすぐに
    こう反応します
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    「この馬鹿げたコードは何なんだ?
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    こんなもの あらゆる方法で
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    あっという間に改良できる」
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    新しい種の波が
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    他の種にとって代わっていきます
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    プログラムが最も重要で
    シンプルなものを獲得するまで
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    このような活動がしばらく続きます
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    ここでは停滞状態がみられますが
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    システムは待機しているだけで
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    このように新種が生じると
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    それが拡大し
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    以前は新種だったものを飲み込み
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    それまで存在していた遺伝子を全て消し去り
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    より複雑性を増した
    新しいプログラムが完成します
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    このプロセスは永遠に続くのです
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    このシステムは
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    生命と全く同じように
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    展開していることがわかります
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    一方でNASAの人々が
    知りたがっていたことがあります
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    「このプログラムには
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    バイオシグネチャーはあるか?
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    この種の生命を捉えられるか?
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    仮に出来るとすれば
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    アミノ酸のような物質の有無に
    惑わされることなく
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    地球外生命体を
  • 8:53 - 8:55
    発見できるかもしれない」
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    そこで私が提案したのは
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    普遍的なプロセスとしての生命に基づいて
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    バイオシグネチャーを構築することでした
  • 9:03 - 9:05
    「それなら 私が展開した
  • 9:05 - 9:07
    この概念を用いて
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    シンプルな生命のシステムが
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    どんなものかを捉えられるでしょう」
  • 9:11 - 9:13
    そこで私は思いついたのですが ―
  • 9:13 - 9:15
    まずはアイディアを
    説明しなければなりませんね
  • 9:15 - 9:17
    私が思いついたのは
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    生命の存在そのものを
    探知しようとするというよりは
  • 9:20 - 9:23
    生命が持つ「意味」を
    捉えるということです
  • 9:23 - 9:25
    ではどのように「意味」を捉えるのか
  • 9:25 - 9:27
    手始めに100万匹の猿が書いた文章と
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    本に書いてある文章を
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    区別する方法を
    探ることにしましょう
  • 9:32 - 9:34
    しかも書かれている言語を
  • 9:34 - 9:36
    読む必要がないようにしたいのです
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    すべて読むのは無理ですからね
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    アルファベットのようなものが
    あることさえ分かればいいんです
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    そこでこのようなグラフが得られました
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    これは どれだけ頻繁に
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    アルファベットの26文字それぞれが
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    猿の文章に使われているかを示しています
  • 9:50 - 9:52
    ご覧の通り それぞれの文字は
  • 9:52 - 9:54
    概ね同じ回数使われています
  • 9:54 - 9:58
    ところが 今度は英語で書かれた文章から
    同じグラフを作成してみると
  • 9:58 - 10:00
    このようになります
  • 10:00 - 10:03
    本当ですよ
    英語の文章ではこんなに特徴が現れるのです
  • 10:03 - 10:05
    フランス語の文章であれば
    グラフはやや異なります
  • 10:05 - 10:07
    イタリア語やドイツ語でもね
  • 10:07 - 10:10
    それぞれの言語には
    特有の頻度のパターンがありますから
  • 10:10 - 10:12
    でも必ず 特徴が現れます
  • 10:12 - 10:15
    内容が政治であろうが科学であろうが
  • 10:15 - 10:18
    詩であろうが
  • 10:18 - 10:21
    数学的な文章であろうが
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    必ず 特徴があるのです
  • 10:23 - 10:25
    しかも 同じパターンの特徴がね
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    その文章が英語で書かれている限りは
  • 10:27 - 10:30
    私たちは文章の書き直しや
    写し直しを繰り返すわけですから
  • 10:30 - 10:32
    同じパターンが現れます
  • 10:32 - 10:34
    ここに発想を得た私は
  • 10:34 - 10:37
    このアイディアを使ってみようと思ったのです
  • 10:37 - 10:39
    意味のある文章の中から
  • 10:39 - 10:41
    ランダムに書かれた文を探すためではなく
  • 10:41 - 10:45
    そこになんらかの「意味」が存在する
    という事実を
  • 10:45 - 10:47
    たくさんの生体分子の中から
    見つけ出すためにです
  • 10:47 - 10:49
    でもそのためにはまず
  • 10:49 - 10:52
    文章におけるアルファベットのような
    構成要素を突き止める必要があります
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    さて そういった構成要素には
    候補がたくさんあることが
  • 10:55 - 10:57
    分かってきました
  • 10:57 - 10:59
    アミノ酸が使えるかもしれないし
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    核酸やカルボン酸
    脂肪酸が使えるかもしれません
  • 11:02 - 11:05
    実際 化学物質は実に多様で
    私たちの体にはその多くが使われているので
  • 11:05 - 11:08
    アイディアを検証するために
  • 11:08 - 11:11
    まずはアミノ酸と
    いくつかのカルボン酸を調べました
  • 11:11 - 11:13
    これがその結果です
  • 11:13 - 11:16
    このようなグラフが得られるのは
  • 11:16 - 11:19
    例えば彗星や星間空間 あるいは
  • 11:19 - 11:22
    実験室で作った
    生物が入っていないことが確実な
  • 11:22 - 11:24
    原始スープの
  • 11:24 - 11:26
    アミノ酸の頻度分布を
  • 11:26 - 11:28
    調べた場合です
  • 11:28 - 11:31
    観察されるのはもっぱら
    グリシンとアラニンであり
  • 11:31 - 11:34
    あとは その他のアミノ酸の
    痕跡です
  • 11:34 - 11:37
    同じような特徴が現れるのは
  • 11:37 - 11:40
    地球に似た環境で
  • 11:40 - 11:42
    アミノ酸はあるけれど
  • 11:42 - 11:44
    生命のないところです
  • 11:44 - 11:46
    しかし地球上で
  • 11:46 - 11:48
    泥を掘ってみたとして
  • 11:48 - 11:51
    その泥を分光計にかけると
  • 11:51 - 11:53
    バクテリアだらけですし
  • 11:53 - 11:55
    地球上 どこで水を採取しても
  • 11:55 - 11:57
    水は生命に溢れていますから
  • 11:57 - 11:59
    同じ分析をしてみると
  • 11:59 - 12:01
    全く異なるグラフが得られます
  • 12:01 - 12:05
    もちろん グリシンやアラニンはありますが
  • 12:05 - 12:08
    その他に分子量の大きなアミノ酸があるのです
  • 12:08 - 12:10
    このアミノ酸が生成されるのは
  • 12:10 - 12:12
    それが生物に欠かせない物質だからです
  • 12:12 - 12:14
    タンパク質を構成する
  • 12:14 - 12:16
    20種類のアミノ酸を除く
  • 12:16 - 12:18
    他のアミノ酸は
  • 12:18 - 12:20
    全く現れません
  • 12:20 - 12:22
    つまり これも明確な特徴です
  • 12:22 - 12:25
    どんな堆積物を使おうが
  • 12:25 - 12:28
    それがバクテリアであろうが
    植物であろうが動物であろうが
  • 12:28 - 12:30
    生命のあるところでは必ず
  • 12:30 - 12:32
    このような頻度分布が得られるのです
  • 12:32 - 12:34
    こちらの分布ではなくてね
  • 12:34 - 12:37
    そしてこれは
    アミノ酸だけに言えることではありません
  • 12:37 - 12:39
    次に「アヴィディアン」の場合を
  • 12:39 - 12:41
    見てみましょう
  • 12:41 - 12:45
    アヴィディアンとは
    コンピュータの中の生き物で
  • 12:45 - 12:48
    複製を繰り返し
    複雑化していきます
  • 12:48 - 12:51
    これは生命が存在しない時の
  • 12:51 - 12:53
    分布を表しています
  • 12:53 - 12:56
    アヴィディアンは
    28個ほどの命令群を持っています
  • 12:56 - 12:59
    そして 命令が他のものと
    交換可能なシステムでは
  • 12:59 - 13:01
    その分布は
    猿の文章の特徴に似たものになります
  • 13:01 - 13:04
    つまり これらの命令は
  • 13:04 - 13:07
    だいたい同じような頻度で現れるということです
  • 13:07 - 13:11
    しかし 先ほどのビデオのような環境で
  • 13:11 - 13:13
    複製をしていくと
  • 13:13 - 13:15
    分布はこのようになります
  • 13:15 - 13:17
    命令の中にはアヴィディアンにとって
  • 13:17 - 13:19
    非常に重要なものがあり
  • 13:19 - 13:22
    その命令が現れる頻度は高くなるのです
  • 13:22 - 13:24
    さらに一度しか使われない
  • 13:24 - 13:26
    命令すらあるのです
  • 13:26 - 13:28
    そういう命令は有害なものか
  • 13:28 - 13:32
    あるいは偶然よりも
    低い確率で使われるべき命令で
  • 13:32 - 13:35
    この場合は頻度が低くなります
  • 13:35 - 13:38
    これは確かな特徴と言えるでしょうか?
  • 13:38 - 13:40
    そう言えるでしょう
    なぜなら
  • 13:40 - 13:43
    文章の例やアミノ酸の例で見られたような
  • 13:43 - 13:45
    このようなタイプの分布は
  • 13:45 - 13:48
    環境をどういうふうに変えたとしても
    その環境にあわせて
  • 13:48 - 13:50
    ある特徴を示すからです
  • 13:50 - 13:52
    次にお見せするのは私が行った実験ですが
  • 13:52 - 13:54
    まずグラフの説明からすると
  • 13:54 - 13:56
    上のグラフは
  • 13:56 - 13:59
    先ほどの頻度分布です
  • 13:59 - 14:02
    生命がない場合の分布なので
  • 14:02 - 14:04
    それぞれの命令が
  • 14:04 - 14:06
    同じ頻度で現れます
  • 14:06 - 14:09
    そして下のグラフは
  • 14:09 - 14:12
    その環境で突然変異の起こる確率です
  • 14:12 - 14:15
    普通ならば複製プログラムが機能して
  • 14:15 - 14:17
    世界を埋め尽くすまで
  • 14:17 - 14:19
    複製を続けるのでしょうが
  • 14:19 - 14:21
    突然変異が起きやすいように設定して
  • 14:21 - 14:23
    実験を始めると
  • 14:23 - 14:27
    すぐに変異をして死んでしまうのです
  • 14:27 - 14:29
    変異の確率が高すぎると
  • 14:29 - 14:32
    生命は生きていけないのですね
  • 14:32 - 14:36
    次に変異の確率をだんだん下げていって
  • 14:36 - 14:38
    生存が可能になる閾値に達すると
  • 14:38 - 14:40
    複製をして生き延びることが
  • 14:40 - 14:42
    できるようになりました
  • 14:42 - 14:45
    この間も この世界に生命体を
  • 14:45 - 14:47
    投入し続けます
  • 14:47 - 14:49
    結果はこのようになります
  • 14:49 - 14:52
    はじめは何も起きません
  • 14:52 - 14:54
    まだまだ変異率が高すぎます
  • 14:54 - 14:57
    ここで生存可能な閾値に達して
  • 14:57 - 14:59
    頻度分布も
  • 14:59 - 15:02
    大きく変化し そして 安定しました
  • 15:02 - 15:04
    次に私がしたことは
  • 15:04 - 15:07
    すこし意地悪ですが
    また変異率を上げていったのです
  • 15:07 - 15:10
    もちろん
    また生存閾値に到達して無反応になります
  • 15:10 - 15:13
    もう一度お見せしましょう
    すばらしい分布ですからね
  • 15:13 - 15:15
    生存閾値に到達し 分布は
  • 15:15 - 15:17
    「生きている」状態になります
  • 15:17 - 15:20
    そしてまた生存閾値以上になると
  • 15:20 - 15:22
    変異率が高すぎるため
  • 15:22 - 15:24
    自己複製を行うことが出来なくなります
  • 15:24 - 15:27
    つまり遺伝情報をコピーして
  • 15:27 - 15:29
    子孫に伝える際に
  • 15:29 - 15:31
    エラーが多くなりすぎて
  • 15:31 - 15:34
    複製する能力が失われ
  • 15:34 - 15:37
    特徴のない分布となります
  • 15:37 - 15:39
    この実験から
  • 15:39 - 15:43
    いくつものことを学ぶことができますね
  • 15:43 - 15:45
    一つは
  • 15:45 - 15:48
    生命とは何かを抽象的に考えることが
  • 15:48 - 15:50
    できるようになれば ―
  • 15:50 - 15:52
    つまり 植物とか
  • 15:52 - 15:54
    アミノ酸とか
  • 15:54 - 15:56
    バクテリアについてではなく
  • 15:56 - 15:58
    プロセスの点から考えると
  • 15:58 - 16:01
    生命を地球上だけでなく
  • 16:01 - 16:03
    どこにでも存在しうるものとして
  • 16:03 - 16:06
    考えることができるということです
  • 16:06 - 16:08
    生命と関係しているのは
  • 16:08 - 16:10
    物理的な媒体に蓄えられた情報
  • 16:10 - 16:12
    ただそれだけなのですから
  • 16:12 - 16:14
    媒体となるのは
  • 16:14 - 16:16
    ビットだろうと 核酸だろうと
  • 16:16 - 16:18
    アルファベットになるものなら
    何でもいいのです
  • 16:18 - 16:20
    そしてその情報が消滅していかないよう
  • 16:20 - 16:22
    私たちが考えるよりもずっと長い間
  • 16:22 - 16:24
    情報を蓄えておくための
  • 16:24 - 16:28
    何らかのプロセスが必要です
  • 16:28 - 16:30
    それが確保できれば
  • 16:30 - 16:32
    生命が出現します
  • 16:32 - 16:34
    つまり 私たちはまず
  • 16:34 - 16:37
    プロセスだけを考えれば
  • 16:37 - 16:40
    生命を定義することが出来ます
  • 16:40 - 16:42
    この時 地球上の生命のような
  • 16:42 - 16:44
    私たちが大切にしているものを
  • 16:44 - 16:47
    考える必要はありません
  • 16:47 - 16:50
    この発見は これまで私たちがしてきた
  • 16:50 - 16:53
    多くの科学的発見と同じように
  • 16:53 - 16:55
    「生命は特別な存在だ」という
  • 16:55 - 16:58
    私たちの考えを
    覆しつつあると言えるでしょう
  • 16:58 - 17:01
    私たちはコンピュータの中に
    生命を作ることができます
  • 17:01 - 17:03
    当然 限界はあります
  • 17:03 - 17:06
    でも 生命を作りだすために
  • 17:06 - 17:08
    必要なものはわかっています
  • 17:08 - 17:11
    そして それがわかれば
    難しい問題は
  • 17:11 - 17:13
    なくなります
  • 17:13 - 17:16
    つまり
  • 17:16 - 17:18
    特定の媒体に依らない
  • 17:18 - 17:21
    普遍的なプロセスさえ
    理解してしまえば
  • 17:21 - 17:23
    地球外へ飛び出し
  • 17:23 - 17:25
    調査をして
  • 17:25 - 17:29
    どんな化学物質のアルファベットが
    存在するかを知り
  • 17:29 - 17:31
    その星の通常の化学的組成や
  • 17:31 - 17:34
    地質科学的性質を推測して
  • 17:34 - 17:36
    生命がいない場合の
  • 17:36 - 17:38
    分布を知ることができます
  • 17:38 - 17:41
    その分布から大きく隔たる場合 ―
  • 17:41 - 17:43
    例えば ある物質が
  • 17:43 - 17:44
    目立つとしましょう
  • 17:44 - 17:46
    それでもまだ
  • 17:46 - 17:48
    生命が存在するとは言えませんが
  • 17:48 - 17:50
    少なくとも
  • 17:50 - 17:53
    その化学物質を詳しく調べて
    何に由来するのかを
  • 17:53 - 17:55
    確かめようとするでしょう
  • 17:55 - 17:57
    この試みが 目に見えない生命を
  • 17:57 - 17:59
    発見する可能性を
  • 17:59 - 18:01
    私たちに与えてくれるのです
  • 18:01 - 18:04
    今日はこれだけは覚えて帰ってください
  • 18:04 - 18:06
    他の惑星で生命は
  • 18:06 - 18:08
    どのように存在しているかを
  • 18:08 - 18:10
    考えてみれば 生命は
  • 18:10 - 18:14
    それほど神秘的でないと気付くでしょう
  • 18:14 - 18:17
    神秘的でないとわかれば
  • 18:17 - 18:20
    私たちが生命たる所以や
    人間がそれほど
  • 18:20 - 18:22
    特別な存在ではないということを
  • 18:22 - 18:25
    考えやすくなるのではないでしょうか
  • 18:25 - 18:27
    これが私が伝えたかったことです
  • 18:27 - 18:29
    どうもありがとうございました
  • 18:29 - 18:31
    (拍手)
Title:
私たちの想像を超える生命の探求
Speaker:
クリストフ・アダミ
Description:

地球外生命体が、私たちの知識をはるかに超えたものだとしたら、どうやって探せばいいでしょうか?TEDxUIUCでクリストフ・アダミが解説するのは、人工生命、つまり自己複製するコンピュータプログラムに関する研究を応用して、生命の徴候である「バイオマーカー」を見つける方法です。そしてバイオマーカーは、生命に対する私たちの先入観を超えたものなのです。

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English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
18:31
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