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音楽と感情の奏でる歴史

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    今回TEDの講演を頼まれて
    つい うれしくなりました
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    亡き父の名もテッドだからです
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    私は日ごろから
    特に音楽に関しては
  • 0:11 - 0:14
    今でも私の心の中に生き続ける
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    父と会話をしています
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    テッドはニューヨーク出身で
    演劇界の仕事を何でもこなし
  • 0:22 - 0:26
    絵も描きましたし
    ミュージシャンでもありました
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    楽譜は全く読めず
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    耳も良く聞こえなかったんです
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    でも いろいろな事を 教えてくれました
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    補聴器からは
    きれいな音は聞こえなくても
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    父はとても良く音楽を理解していたんです
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    父にとって音楽とは
    単にどう聞こえるかではなく
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    何を描き 何を伝えるかだったのです
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    父はこの経験を絵に描きました
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    「音楽の世界で」というタイトルです
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    父は即興を通じて毎日
    この世界に入っていたのです
  • 1:00 - 1:03
    この様な ティン・パン・アレーのスタイルで
  • 1:03 - 1:10
    (音楽)
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    でも 父は音楽に対しては厳しく
  • 1:13 - 1:16
    よく言いました
    「音楽で大切なのは2つだけ
  • 1:16 - 1:18
    『何』を『如何に』伝えるかだけだ
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    クラシック音楽では
  • 1:22 - 1:25
    これが無限にある」
  • 1:25 - 1:27
    こんな熱意を持って音楽に接していたのです
  • 1:27 - 1:29
    両親 二人とも音楽が大好きで
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    あまり音楽に詳しくはありませんでしたが
  • 1:31 - 1:35
    その素晴らしさを発見していく
    機会を与えてくれました
  • 1:35 - 1:37
    その素晴らしさを発見していく
    機会を与えてくれました
  • 1:37 - 1:40
    その様に育ったせいか
  • 1:40 - 1:42
    音楽をより多くの人に楽しんで欲しいと
  • 1:42 - 1:43
    思うようになりました
  • 1:43 - 1:47
    あらゆる方法で 音楽を伝えたいのです
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    人々の生活に
    音楽がどう入り込むかには
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    とても興味があります
  • 1:53 - 1:56
    ある日通りを歩いていて
  • 1:56 - 2:01
    家の前で車や消火栓の間を使って
    野球をしている子供たちを見かけました
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    頑丈そうで もさっとした子が打席に立ち
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    バットを振り しっかり球をとらえ
  • 2:06 - 2:08
    球が飛んでいくのを眺めると
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    「ラーラ ラーラ ラララララー
  • 2:11 - 2:15
    ラーラ ラーラ ラララララー」と歌いながら
  • 2:15 - 2:17
    ベースを回って行きました
  • 2:17 - 2:19
    信じられませんでした
  • 2:19 - 2:25
    18世紀のオーストリアの
    貴族が楽しんだものを
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    ニューヨークの こんな子が
    勝利の歓声に使うなんて
  • 2:29 - 2:34
    いったい この子は
    モーツァルトにどこで出会ったのでしょう
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    クラシック音楽は
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    音楽の宝庫です
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    モーツァルト、ベートーベン
    チャイコフスキーに限りません
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    クラシックは千年もの間
  • 2:43 - 2:47
    絶えず続いてきたものです
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    絶えず続いてきたものです
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    そのすべての期間を通じて
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    生きるとは何かについて
    独特な方法で力強く
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    伝えてきたのです
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    題材はもちろん
  • 3:01 - 3:03
    日々の暮らしに基づいた音楽で
  • 3:03 - 3:06
    国歌や 流行のダンス
  • 3:06 - 3:08
    バラードとか行進曲とかですが
  • 3:08 - 3:10
    クラシック音楽はそこから
  • 3:10 - 3:15
    不純物を取り除き
  • 3:15 - 3:19
    核心となるものに凝縮して
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    そこから新しい言葉を作り出しているのです
  • 3:22 - 3:28
    その言葉は私たちの本質を見つめ
  • 3:28 - 3:30
    とてつもなく美しく奏でるのです
  • 3:30 - 3:33
    この言葉は今でも進化し続けています
  • 3:33 - 3:36
    年月を経て人々に親しまれる
  • 3:36 - 3:39
    協奏曲とか交響曲となりましたが
  • 3:39 - 3:42
    どんな大がかりな名作でも
  • 3:42 - 3:45
    核心にある動機は
  • 3:45 - 3:49
    聞く人 それぞれの持つ
    デリケートな感覚を呼び戻すことです
  • 3:49 - 3:53
    例えばこのベートーベンの
    バイオリン協奏曲です
  • 3:53 - 4:15
    (音楽)
  • 4:15 - 4:21
    とてもシンプルですが
    強い感情を引き起こします
  • 4:21 - 4:24
    たくさんの感情が隠れているようです
  • 4:24 - 4:26
    でも どの音楽も
  • 4:26 - 4:28
    それ自体 意味はないんです
  • 4:28 - 4:32
    音の高低や静寂 タイミングを
    組み合わせただけなんです
  • 4:32 - 4:36
    音符で表される音の高さは単なる振動で
  • 4:36 - 4:39
    聞こえる周波数域の特定の場所を
    示しているにすぎません
  • 4:39 - 4:43
    毎秒440回の振動と呼ぶか
    それを「ラ」と呼ぶか
  • 4:43 - 4:50
    3729回なら「シのフラット」か
  • 4:50 - 4:54
    それは単なる現象です
  • 4:54 - 4:58
    でもこの現象の組み合わせ方によって
  • 4:58 - 5:01
    私たちは複雑に感情的に反応しますが
    その仕組みは完全にわかっていません
  • 5:01 - 5:05
    反応の仕方も
    歴史とともに変化し
  • 5:05 - 5:08
    好みも変わっています
  • 5:08 - 5:11
    例えば 11世紀には
  • 5:11 - 5:15
    音楽はこの様に終わるのが
    好まれていました
  • 5:15 - 5:26
    (音楽)
  • 5:26 - 5:32
    17世紀になると このように変わります
  • 5:32 - 5:37
    (音楽)
  • 5:37 - 5:41
    21世紀になると こうです
  • 5:41 - 5:48
    (音楽)
  • 5:48 - 5:54
    21世紀のみなさんは
    このようなコードを「いいな」なんて思うのですが
  • 5:54 - 5:57
    少し前までは
    理解に苦しみ 不快に感じたり
  • 5:57 - 5:59
    逃げ出したくなったかもしれません
  • 5:59 - 6:00
    心地よく感じるようになったのは
  • 6:00 - 6:02
    意識的にか無意識に
  • 6:02 - 6:05
    何百年という間に起こった
  • 6:05 - 6:08
    音楽理論、習慣、流行を
    受け継いできたからです
  • 6:08 - 6:14
    クラシック音楽では この変化を
    かなり正確に理解する事ができます
  • 6:14 - 6:18
    音楽の静かなパートナー
  • 6:18 - 6:21
    音楽を後世に伝えてきた
    「楽譜」を見るとわかります
  • 6:21 - 6:23
    音楽を書き留めたい--
  • 6:23 - 6:26
    コード化と呼んだ方が
    正確かと思いますが
  • 6:26 - 6:29
    この思いは かなり昔からあるものです
  • 6:29 - 6:33
    紀元前200年頃 セイキロスという人が
  • 6:33 - 6:36
    旅立った妻のために
    この曲を書き
  • 6:36 - 6:37
    ギリシャ当時のシステムで
    墓石に刻みました
  • 6:37 - 6:40
    ギリシャ当時のシステムで
    墓石に刻みました
  • 6:40 - 7:07
    (音楽)
  • 7:07 - 7:10
    千年後には
  • 7:10 - 7:14
    表記に対する志は
    かなり違った形態のものを生み出しました
  • 7:14 - 7:15
    これをご覧下さい
  • 7:15 - 7:22
    『我らに幼な子が生まれ給えり』という
    クリスマス・ミサで歌われる
  • 7:22 - 7:24
    曲の一部です
  • 7:24 - 7:29
    (音楽)
  • 7:29 - 7:31
    10世紀にはくねっとした線で
  • 7:31 - 7:34
    曲の大まかな形が記録されました
  • 7:34 - 7:41
    12世紀になると譜線のような
    水平な線が現れます
  • 7:41 - 7:45
    これで音程の場所が少しはっきりします
  • 7:45 - 7:53
    13世紀になると 線の数が増え
    音符の形も変わり
  • 7:53 - 7:57
    音程の概念が しっかりと根付きます
  • 7:57 - 7:59
    そして 現在の様な表記法になりました
  • 7:59 - 8:03
    このような表記によって
    音楽が後世に残されただけでなく
  • 8:03 - 8:08
    音楽のありかたを変えてしまいました
  • 8:08 - 8:10
    書き留めることによって
  • 8:10 - 8:13
    作曲家が音楽を大きなスケールで
    捉えられるようになったのです
  • 8:13 - 8:17
    即興で思いついたメロディーを
  • 8:17 - 8:21
    書き留め保存し
    考えて整理し
  • 8:21 - 8:23
    複雑なものに構築できます
  • 8:23 - 8:26
    これによって クラシック音楽の
  • 8:26 - 8:29
    中心となるものは
  • 8:29 - 8:34
    人間の2つの能力である
    直感と知性の対話になりました
  • 8:34 - 8:36
    人間の2つの能力である
    直感と知性の対話になりました
  • 8:36 - 8:40
    これを期して 音楽というものが
  • 8:40 - 8:43
    即興の芸術と 構成の芸術に
  • 8:43 - 8:44
    分かれたのです
  • 8:44 - 8:49
    即興をする人は次に来る
    粋なフレーズを感じそれを演奏します
  • 8:49 - 8:52
    構成を好む人は
    可能な様々なフレーズを吟味し
  • 8:52 - 8:56
    試したり 並べてみて
  • 8:56 - 9:00
    インパクトがあり バランスの取れた
  • 9:00 - 9:04
    「これだ」という 絶対的なものが見つかるまで
    試行錯誤を繰り返します
  • 9:04 - 9:06
    さて偉大な作曲家 バッハなどは
  • 9:06 - 9:08
    即興と構成の両方の能力の持ち主です
  • 9:08 - 9:13
    バッハは即興も得意でしたが
    チェスの王者の様な頭脳を持ち合わせていました
  • 9:13 - 9:14
    モーツァルトも同様です
  • 9:14 - 9:18
    でも それぞれの音楽家によって
    このバランスは違っています
  • 9:18 - 9:22
    信念と理屈
    直感と知能
  • 9:22 - 9:26
    時代によって これらの
    重要性が変わり
  • 9:26 - 9:30
    「何」を「如何に」伝えるかも
    変わってきたのです
  • 9:30 - 9:35
    最初の8世紀ほどは
  • 9:35 - 9:38
    「何」にあたるものは
    神を崇めることでした
  • 9:38 - 9:40
    1400年代になると 音楽は
  • 9:40 - 9:45
    神の心をなぞらえようと
  • 9:45 - 9:48
    夜空のようなデザインになりました
  • 9:48 - 9:52
    「如何に」にあたる手法は
    ポリフォニーと呼ばれる
  • 9:52 - 9:56
    独立した複数のメロディーです
  • 9:56 - 9:58
    プトレマイオスの天動説に基づいた
    地球を中心に動く天体を
  • 9:58 - 10:01
    表しているかのようです
  • 10:01 - 10:05
    真に天体の世界の音楽です
  • 10:05 - 10:34
    (音楽)
  • 10:34 - 10:39
    レオナルド・ダヴィンチは
    こんな音楽を聞いていたはずです
  • 10:39 - 10:43
    知的な完璧さと
    静寂
  • 10:43 - 10:46
    これは新しい変化が必要になります
  • 10:46 - 10:50
    そして 1600年代に全く新しい
    変化が起こりました
  • 10:50 - 10:57
    (音楽) 歌手: ああ 恐ろしいこと
  • 10:57 - 11:01
    ああ なんていう運命
  • 11:01 - 11:08
    ああ 不吉な星
  • 11:08 - 11:15
    情けのない天なのだろう
  • 11:15 - 11:19
    これはもちろんオペラ時代の始まりです
  • 11:19 - 11:22
    オペラの発展は音楽を
    全く新しい方向に発展させました
  • 11:22 - 11:26
    「何」で伝えるものは
    神の心の反映ではなく
  • 11:26 - 11:29
    人の心の浮き沈みを描くようになり
  • 11:29 - 11:32
    「どう」伝えるかの手段は
    ハーモニーになりました
  • 11:32 - 11:35
    異なる音を組み合わせた和音です
  • 11:35 - 11:37
    和音を使うと
  • 11:37 - 11:41
    実に沢山の感情を
    表す事ができるとわかりました
  • 11:41 - 11:46
    基本的な和音は
    今でも使っています
  • 11:46 - 11:47
    お馴染みの三和音 です
  • 11:47 - 11:51
    長三和音 は
  • 11:51 - 11:55
    うれしく聞こえ
  • 11:55 - 11:59
    短三和音 であれば
  • 11:59 - 12:02
    悲しく聞こえます
  • 12:02 - 12:06
    でもこの2つの和音の違いはなんでしょう
  • 12:06 - 12:08
    音階の中央付近にある この2音だけです
  • 12:08 - 12:11
    「ミ」がナチュラルで
  • 12:11 - 12:16
    毎秒 659回振動しているか
  • 12:16 - 12:20
    「ミ」がフラットで 622回かの違いです
  • 12:20 - 12:26
    人間が幸せか 悲しいかの違いは
  • 12:26 - 12:29
    なんと たった37回の振動数の違いなんです
  • 12:29 - 12:33
    ですから このようなシステムでは
  • 12:33 - 12:35
    人間の微妙な感情を表現出来る可能性が
    膨大にあるわけです
  • 12:35 - 12:37
    人間の微妙な感情を表現出来る可能性が
    膨大にあるわけです
  • 12:37 - 12:40
    実際 人間が自分達の複雑で不安定な
  • 12:40 - 12:42
    感情を認識するにつれ
  • 12:42 - 12:45
    旋律もそれを反映し
    次第に複雑になりました
  • 12:45 - 12:49
    音楽は言葉で表せないことまで
  • 12:49 - 12:51
    表現できるのです
  • 12:51 - 12:54
    この可能性を踏まえ
  • 12:54 - 12:58
    クラシック音楽は大きく変わりました
  • 12:58 - 13:02
    大きな形式が作られ始め
  • 13:02 - 13:06
    技術の発達による影響も
    感じられるようになりました
  • 13:06 - 13:11
    印刷技術の発達により
    暗号として楽譜に記された音楽は
  • 13:11 - 13:13
    様々な所にいる演奏家の手に渡ります
  • 13:13 - 13:15
    新しい楽器や 改善された楽器のおかげで
  • 13:15 - 13:18
    演奏のレベルが上がります
  • 13:18 - 13:22
    次第に 大きな形式がうまれました
  • 13:22 - 13:25
    交響曲やソナタ
    協奏曲など
  • 13:25 - 13:29
    当時の大きな構築物で
  • 13:29 - 13:34
    ベートーベンのような音楽家は
    人生を垣間見せてくれるのです
  • 13:34 - 13:37
    ベートーベンの5番を聞くと
  • 13:37 - 13:41
    ベートーベンの5番を聞くと
  • 13:41 - 13:47
    悲しみや怒りから30分くらいの間に
  • 13:47 - 13:50
    悲しみや怒りから30分くらいの間に
  • 13:50 - 13:54
    彼の注意深く敷いた道をたどって
  • 13:54 - 13:59
    喜びにたどり着けるのです
  • 13:59 - 14:21
    (音楽)
  • 14:21 - 14:26
    交響曲はもっと複雑なことにも使えます
  • 14:26 - 14:29
    心をひきつける人間の活動
  • 14:29 - 14:31
    例えば愛国主義や自由への願望や
  • 14:31 - 14:35
    さらには 官能的なものにも迫ります
  • 14:35 - 14:39
    しかし 音楽がどのような方向をとっても
  • 14:39 - 14:42
    最近まで 変わらぬことがありました
  • 14:42 - 14:45
    それはミュージシャンが演奏をやめると
  • 14:45 - 14:47
    音楽も止まってしまうことでした
  • 14:47 - 14:50
    これはとても興味のある瞬間です
  • 14:50 - 14:52
    とても大切な瞬間です
  • 14:52 - 14:54
    音楽が止むとどうなるか?
  • 14:54 - 14:57
    音楽はどこに行ってしまうのか?
    何か残るのだろうか?
  • 14:57 - 15:00
    演奏を聴いた人の耳に何が残るだろうか?
  • 15:00 - 15:02
    メロディーかリズムか
  • 15:02 - 15:05
    感覚かそれとも姿勢か
  • 15:05 - 15:07
    そして 聞いた人の人生が
    どう変わるだろうか
  • 15:07 - 15:11
    これは私にとって 音楽が持つ
    親密でプライベートな一面です
  • 15:11 - 15:16
    伝えるということ
    「なぜ」音楽をするかということです
  • 15:16 - 15:19
    私にとって一番大切な部分です
  • 15:19 - 15:23
    音楽がもたらす影響は
    人から人へと伝えられるものでした
  • 15:23 - 15:26
    先生から生徒にとか 演奏家から観客
  • 15:26 - 15:28
    ところが1880年頃に
    新しい技術がもたらされました
  • 15:28 - 15:31
    最初は機械的で
    後にアナログを経てデジタルになりました
  • 15:31 - 15:35
    これで音楽を驚くような方法で
    伝える事が可能になりました
  • 15:35 - 15:37
    人間性はありませんが
  • 15:37 - 15:41
    だれでも いつでも音楽を聴くことができます
  • 15:41 - 15:42
    楽器や譜を読む知識も要りません
    演奏会に行く必要もないのです
  • 15:42 - 15:46
    楽器や譜を読む知識も要りません
    演奏会に行く必要もないのです
  • 15:46 - 15:52
    技術のおかげで 音楽が民主化され
    皆の手に入るようになったのです
  • 15:52 - 15:53
    これは文化革命につながります
  • 15:53 - 15:58
    カルーソー(テノール歌手)や
    ベッシー・スミス(ブルース歌手)を
    同じ尺度で考えることが出来るのです
  • 15:58 - 16:02
    技術は作曲家のレベルも押し上げます
  • 16:02 - 16:04
    コンピューターやシンセサイザーを使い
    知性では不可能なほど複雑な
  • 16:04 - 16:07
    コンピューターやシンセサイザーを使い
    知性では不可能なほど複雑な
  • 16:07 - 16:11
    演奏家や聞く人の理解を超えるものを
    作れるようになりました
  • 16:11 - 16:14
    同時に技術は
  • 16:14 - 16:17
    表記のもたらした
  • 16:17 - 16:22
    直感と知性のバランスを
  • 16:22 - 16:25
    逆に直感重視に傾かせました
  • 16:25 - 16:27
    現在の風潮では
  • 16:27 - 16:30
    音楽は即興性にあふれ
  • 16:30 - 16:31
    切り刻まれ 再構築され
  • 16:31 - 16:35
    市場に出回ります
  • 16:35 - 16:38
    これが 将来音楽に与える影響は
    何でしょう
  • 16:38 - 16:39
    わかりません
  • 16:39 - 16:43
    でも 疑問は変わりません
    音楽を聞き終わったとき
  • 16:43 - 16:45
    人々の心に何が残るか?
  • 16:45 - 16:49
    音楽が溢れるほど存在する
    この時代に 何が心に残るのでしょう?
  • 16:49 - 16:52
    心に焼きつくものとは
    何を意味するのか
  • 16:52 - 16:53
    ひとつ例をご紹介しましょう
  • 16:53 - 16:56
    従兄弟を訪ねるため
    老人ホームに行きました
  • 16:56 - 17:00
    そこで弱々しい年配の男性が
  • 17:00 - 17:02
    歩行器を使って部屋を横切り
  • 17:02 - 17:05
    ピアノの所まで来ると
  • 17:05 - 17:09
    なんとか体のバランスをとりながら
    こんな風に弾き始めました
  • 17:09 - 17:13
    (音楽)
  • 17:13 - 17:22
    そして「僕...子供...交響曲...ベートーベン」と
    口にしました
  • 17:22 - 17:24
    それを聞いて分かったんです
  • 17:24 - 17:27
    「すみません もしかしたら
    これのことですか?」
  • 17:27 - 17:32
    (音楽)
  • 17:32 - 17:34
    それを聞いて「そうそう 私が小さい頃
  • 17:34 - 17:39
    交響曲..アイザック・スターンの協奏曲
    聞いたんです」
  • 17:39 - 17:40
    それを聞いて びっくりしました
  • 17:40 - 17:43
    この曲がこの人にとって
    どんなに大切かわかります
  • 17:43 - 17:47
    ベッドから起き上がり
    部屋を歩いて
  • 17:47 - 17:51
    この曲の記憶を呼び戻すのが
  • 17:51 - 17:54
    全てのものを失いつつある今でも
  • 17:54 - 17:56
    そんなに意味のあるものなのです
  • 17:56 - 18:00
    だから 私は一回一回の演奏を
    真剣に受け止め
  • 18:00 - 18:02
    大切にするんです
  • 18:02 - 18:05
    誰が聴いているかわからない
    誰の心に吸収され
  • 18:05 - 18:07
    その影響もわかりません
  • 18:07 - 18:12
    今まで以上に 様々な人と
    音楽を楽しめる時代になり
  • 18:12 - 18:13
    とても素晴らしい事だと思います
  • 18:13 - 18:15
    サンフランシスコ交響楽団と共同制作の
  • 18:15 - 18:18
    『Keeping Score』という
    テレビ番組のシリーズでは
  • 18:18 - 18:21
    音楽の背景を探索したり
  • 18:21 - 18:24
    ニュー・ワールド交響楽団の
    若い音楽家とともに
  • 18:24 - 18:26
    エンターテイメントと教育のための
    新しいコンサートホールを
  • 18:26 - 18:29
    エンターテイメントと教育のための
    新しいコンサートホールを
  • 18:29 - 18:31
    模索するプロジェクトも行なっています
  • 18:31 - 18:33
    もちろん ニュー・ワールド交響楽団から
  • 18:33 - 18:37
    YouTube シンフォニーや他の
    ネット上のプロジェクトが生まれました
  • 18:37 - 18:40
    世界中のミュージシャンや観衆に
    つながろうとする試みです
  • 18:40 - 18:45
    これらは単なる試みの一例で
  • 18:45 - 18:47
    いろいろな人が いろいろな事をできるんです
  • 18:47 - 18:50
    先生や親
    演奏家が一緒になって
  • 18:50 - 18:53
    いろいろな事を模索できます
  • 18:53 - 18:56
    大きな企画は
    注目を集めますが
  • 18:56 - 18:59
    大切なのは日頃の行いで
  • 18:59 - 19:04
    みなさんの考えや 探求心
    意見が必要です
  • 19:04 - 19:07
    いろいろな人に会って
    うれしくなることがあります
  • 19:07 - 19:10
    旅人や料理人
    プログラマーや タクシーの運転手
  • 19:10 - 19:12
    音楽愛好家だなんて
    思わなかった人たちが
  • 19:12 - 19:14
    音楽を伝えている
  • 19:14 - 19:17
    知識なんてなくても
  • 19:17 - 19:21
    好奇心があって
    もっと知りたいと 生き生きとしていれば
  • 19:21 - 19:24
    それで充分です
  • 19:24 - 19:26
    何をしてもいいんです
    あてもなくウロウロしたり
  • 19:26 - 19:30
    何かを追っても良い
    迷い 驚き 楽しみ 刺激を受けてください
  • 19:30 - 19:35
    「何」を「如何に」伝えるか
    たくさんのものが存在しています
  • 19:35 - 19:38
    皆さんが「なぜ」そうするのか発見し
  • 19:38 - 19:41
    その世界に飛び込んで
    それを伝えていくのを待っているのです
  • 19:41 - 19:43
    ありがとうございました
  • 19:43 - 19:50
    (拍手)
Title:
音楽と感情の奏でる歴史
Speaker:
マイケル・ティルソン・トーマス
Description:

この素晴らしい講演で、マイケル・ティルソン・トーマスがクラシック音楽の進化を表記方法や録音技術、そして編集方法の進化の観点から説明します。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
20:13

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