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科学者を信頼すべき理由

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    私たちは日々
    気候変動やワクチンの安全性などの
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    問題に直面し
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    答えを出さなければならないわけですが
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    その答えは科学的な情報に
    かなり依存しています
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    科学者は世界が温暖化していると
    言いますし
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    ワクチンが安全だとも言いますが
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    彼らが正しいと
    どうして分かるのでしょう
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    なぜ科学を信用すべきなのでしょうか?
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    実際 科学を信用しない人も大勢います
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    世論調査が絶えず示すのは
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    アメリカ国民のうち
    かなりの割合の人々が
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    人類の活動のせいで
    温暖化が起きているとは思わず
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    自然淘汰による進化を信じず
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    ワクチンの安全性を疑っています
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    なぜ私たちは
    科学を信じるべきなのでしょうか
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    科学者は科学を信じる信じないで
    語ることを好みません
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    事実 彼らは科学と信仰を
    正反対のものと考え
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    信じるというのは
    信仰の範疇のものだと言うでしょう
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    信仰は科学とはかけ離れた
    まったく別のものです
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    科学者に言わせれば
    宗教は信仰に基づいているか
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    パスカルの賭けの論法に
    基づいているのです
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    ブレーズ・パスカルは
    17世紀の数学者で
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    神を信じるべきかどうかという問題に
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    科学的論拠を使おうとした人です
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    彼の賭けはこんな感じです
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    もし神が存在しないのに
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    私はその存在を信じることにしても
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    あまり損はない
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    日曜日の数時間が取られる程度
  • 1:22 - 1:23
    (笑)
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    でも もし神が存在するのに
    私がそれを信じなければ
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    非常にまずいことになる
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    だからパスカルが言うには
    「神は信じた方がいい」
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    大学時代のある先生の言葉を借りれば
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    「彼は信仰の手すりを求めた」
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    彼は科学と合理主義を捨てて
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    論理を超えた賭けに出たわけです
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    ところが実際のところ 大抵の人にとって
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    ほとんどの科学的主張は
    論理を超えた賭けです
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    ほとんどの場合 私たちは自分で
    科学的主張を評価することはできません
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    実は ほとんどの科学者にとっても
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    自分の専門以外の分野では
    そうなのです
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    考えてみてください
    地質学者はワクチンが安全か
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    答えられません
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    ほとんどの化学者は
    進化論の専門家ではありません
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    物理学者には
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    他の科学者が断言しようとも
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    タバコがガンの原因かどうか
    わかりません
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    当の科学者たちでさえ
    専門外に関しては
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    論理を超えて
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    賭けに出なければならないなら
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    なぜ科学者は他の科学者の主張を
    聞き入れるのでしょうか
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    なぜ彼らは
    お互いの主張を信じるのでしょう
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    そして私たちはその主張を
    信じるべきなのでしょうか
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    私の意見はイエス 信じるべきです
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    ただし大抵の人が考えるのとは
    理由が違います
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    大抵の人は学校で
    科学を信じるべき
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    理由となるのは
    科学的手法だと教わりました
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    科学者はある手法に従い
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    この手法が 彼らの主張が真であることを
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    保証するのだと教わりました
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    大抵の人が学校で教わった―
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    教科書どおりの手法は
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    仮説に基づく演繹法です
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    標準的な教科書どおりのモデルによると
  • 2:57 - 3:00
    科学者は仮説を立て
  • 3:00 - 3:02
    その仮説の論理的結論を推論し
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    実際に試して こう問います
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    「さあ この結論は合っているか?」
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    「自然界で この現象が観測できるか?」
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    そして合っていれば科学者はこう言います
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    「よし 仮説は正しいと立証された」
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    まさにこれを行った科学者の
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    有名な例が科学史上にたくさんあります
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    最も有名な例は
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    アルベルト・アインシュタインです
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    アインシュタインが
    一般相対性理論を構築した時
  • 3:27 - 3:29
    彼の理論における結論の一つに
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    四次元時空は単なる
    カラッポの空間ではなく
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    そこには布があって
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    その布が太陽のような―
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    大質量の物体によって
    たわむというのが ありました
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    つまり この理論が正しければ
    光は
  • 3:42 - 3:43
    太陽の傍を通過する時
  • 3:43 - 3:45
    その付近で曲げられることになります
  • 3:45 - 3:48
    それはかなり衝撃的な予測でした
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    科学者による確認が可能になるまでに
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    数年かかりましたが
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    1919年に確認し
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    なんと理論は正しいと実証されました
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    太陽の近傍を通る光は
    実際に曲がるのです
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    これが理論を立証する決め手となりました
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    例の斬新な考えが正しいという
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    証拠と見なされ
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    世界中の多くの新聞が
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    大々的に扱いました
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    さて この理論あるいはモデルは
  • 4:11 - 4:15
    演繹的・法則的モデルと
    言われたりします
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    それは主に学者が
    事をややこしくするのを好むせいですが
  • 4:18 - 4:24
    理想的な場合
    法則が関わるせいでもあります
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    つまり法則が関係しているということです
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    理想的な場合
    仮説はただの思いつきではなく
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    理想的には自然の法則なのです
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    自然の法則であることが
    なぜ重要なのでしょう
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    もしそれが自然の法則なら
    絶対だからです
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    それがもし法則なら常に
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    いつでもどこでも
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    どんな条件下であれ 真なのです
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    どなたでも有名な法則を
    1つはご存じです
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    アインシュタインの有名な関係式 E=mc2
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    エネルギーと質量が
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    どんな関係か示してくれる式です
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    そしてその関係は
    どんな時も必ず成り立ちます
  • 4:57 - 5:01
    ところが このモデルには
    いくつかの問題があります
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    主な問題は それが間違っているということ
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    真ではないのです(笑)
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    間違いだという根拠を3つお話しします
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    まずは論理上の問題
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    後件肯定の虚偽という問題です
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    これもまた凝った学術的な言い方ですが
    要は
  • 5:20 - 5:23
    誤った理論からでも
    真の予測は可能だと言うことです
  • 5:23 - 5:25
    つまり予測が真であるからと言って
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    その理論が正しいという
    論理的な証明にはなりません
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    これについても科学史に良い例があります
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    こちらはプトレマイオスの宇宙の図です
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    地球が宇宙の中心にあり
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    太陽と惑星がその周りを回っています
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    プトレマイオスの説は何世紀もの間
  • 5:41 - 5:44
    非常に聡明な多くの人々に
    信じられていました
  • 5:44 - 5:46
    何故でしょうか?
  • 5:46 - 5:49
    答えは その説から真の予測が
    数多くできたからです
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    プトレマイオスの体系のおかげで
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    天文学者は惑星運動を
    正確に予測できました
  • 5:54 - 5:57
    実際 当初の予測は
  • 5:57 - 6:01
    現在の私たちが真と考える地動説より
    正確なものでした
  • 6:01 - 6:04
    これが教科書モデルの
    問題点の1つ目です
  • 6:04 - 6:06
    2つ目は実務上の問題
  • 6:06 - 6:10
    補助仮説の問題です
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    補助仮説とは
  • 6:12 - 6:14
    科学者が持つ前提のことですが
  • 6:14 - 6:17
    彼ら自身も意識していないかもしれません
  • 6:17 - 6:20
    これについて重要な例を
  • 6:20 - 6:22
    最終的に天動説の座を引き継いだ
  • 6:22 - 6:25
    地動説からご紹介します
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    ニコラウス・コペルニクスが
  • 6:27 - 6:30
    地球は宇宙の中心ではなく
    太陽が太陽系の中心で
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    地球は太陽の周りを移動している
  • 6:32 - 6:33
    と言った時 科学者たちは
  • 6:33 - 6:37
    こう言いました
    「いいかいニコラウス それがもし本当なら
  • 6:37 - 6:39
    太陽の周りを回る地球の運動を
  • 6:39 - 6:41
    検出できることになる」
  • 6:41 - 6:43
    こちらは年周視差として知られる
  • 6:43 - 6:44
    概念の説明です
  • 6:44 - 6:48
    天文学者は言いました
    もし地球が動いているなら
  • 6:48 - 6:51
    よく見える星 たとえばシリウスを見て―
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    まぁマンハッタンでは
    星は見えませんけどね
  • 6:54 - 6:58
    田舎にいると思ってください
    田舎暮らしをして―
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    12月に ある星を見ると
    その星の後ろには
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    遠くの星が見えます
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    もし私たちが同じ観察を半年後に行うと
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    6月に地球は
    この位置に動いていますから
  • 7:10 - 7:14
    同じ星を見ると
    その背景が違っているわけです
  • 7:14 - 7:18
    この角度の違いが年周視差です
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    こちらは地動説による予測です
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    天文学者たちは年周視差を探しましたが
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    まったく何も見つかりませんでした
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    これにより多くの人が地動説は
    誤りだと証明されたと主張しました
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    何故そうなったのでしょうか?
  • 7:34 - 7:37
    今の私たちには 当時の天文学者が
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    2つの補助仮説を立てていて
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    そのどちらも不適当だったとわかります
  • 7:42 - 7:46
    1つは地球の軌道の大きさに関する前提
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    天文学者は他の星との距離から算出し
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    地球の軌道を大きく見積もっていました
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    今日 私たちが描くのはこんな図です
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    NASAの画像です
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    地球の軌道はかなり小さいでしょう
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    実は ここに描かれているよりも
    ずっと小さいんですよ
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    そのため年周視差は
  • 8:02 - 8:05
    非常に小さく
    検出するのは非常に困難なのです
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    このことは予測どおり行かなかった―
  • 8:07 - 8:09
    理由の2つ目と関連してきます
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    科学者は自分たちの望遠鏡が
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    視差を検出できるほど高感度だと
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    思っていたのです
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    そうではありませんでした
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    科学者が年周視差を検出するのは
  • 8:21 - 8:22
    19世紀になるまで
  • 8:22 - 8:24
    不可能でした
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    さて問題の3つ目です
  • 8:26 - 8:29
    3つ目の問題は事実に関する問題で
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    科学の多くが教科書モデルに
    該当しないということです
  • 8:32 - 8:34
    科学の多くは決して演繹的ではなく
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    実際には帰納的なのです
  • 8:36 - 8:39
    つまり科学者は必ずしも
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    理論や仮説から出発するわけではなく
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    世界で起きていることの観察から
  • 8:43 - 8:45
    出発することも多々あるのです
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    この例として最も有名なのは
  • 8:48 - 8:51
    かの有名な科学者
    チャールズ・ダーウィンです
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    若き日のダーウィンが
    ビーグル号に乗船して旅に出た時
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    彼は仮説も理論も持っていませんでした
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    ただ科学者としての経歴を持ちたい
    その一心で
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    彼はデータを集め始めました
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    なにしろ彼は医学をやるのが嫌でした
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    血を見ると気分が悪くなるからです
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    だから別の進路が必要だったのです
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    それでデータ収集を始めました
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    あの有名なフィンチを含め
    様々なものを集めました
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    採集の際 彼はフィンチを袋に放り込み
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    その意味も認識していませんでした
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    何年も後 ロンドンで
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    ダーウィンはデータを見直し
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    解釈を見出し始めました
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    その解釈が自然選択説です
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    帰納的な科学に加え
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    科学者がよく使う手法に
    モデリングがあります
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    科学者が人生で実現したいことの一つに
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    原因の説明があります
  • 9:39 - 9:41
    どうやるのでしょうか?
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    方法の一つは アイディアを試すための
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    モデルを作ることです
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    こちらの写真はヘンリー・キャデル
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    19世紀のスコットランド人地質学者です
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    スコットランド人だというのは
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    鹿撃ち帽にウェリントン・ブーツで
    一目瞭然です
  • 9:53 - 9:55
    (笑)
  • 9:55 - 9:57
    キャデルが解こうとした問題は
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    「山はどうやって出来るのか?」でした
  • 9:59 - 10:00
    彼は気づきました
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    アパラチアのような山脈を見ると
  • 10:03 - 10:04
    岩が褶曲(しゅうきょく)しているのを
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    見かけますよね
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    岩の独特な曲がり方から
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    彼はピンと来ました
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    岩は側面から圧迫を受けていたのです
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    そして このアイディアは後に
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    大陸移動の議論で
    重要な役目を果たしました
  • 10:16 - 10:19
    彼はこれをモデル化し
    テコと木材で
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    奇抜な仕掛けを作りました
    手押し車や
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    バケツや大きなゲンノウもありますね
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    ウェリントン・ブーツの理由は不明です
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    雨だったのかしらね
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    彼がこの物理的モデルを作ったのは
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    側面から圧力をかけると
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    岩や この場合で言うと泥に
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    山にかなり似た模様が作り出せると
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    実証するのが目的でした
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    それは山ができる原因についての
    主張でした
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    最近の科学者は屋内での仕事を好むので
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    物理的モデルはあまり作りませんが
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    コンピュータ・シミュレーションはします
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    コンピュータ・シミュレーションは
    モデルの一種です
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    それは数学によるモデルで
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    19世紀の物理モデル同様
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    原因について思考するために
    非常に重要です
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    気候変動に関する大問題の一つを
    挙げましょう
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    地球の温暖化については
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    膨大な証拠があります
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    こちらのスライドの黒い線は
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    ここ150年間の
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    科学者による測定結果で
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    地球の温度の
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    着実な上昇を示しています
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    特に最近50年で このように劇的に
  • 11:23 - 11:24
    上昇しているのがわかります
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    摂氏1度近く
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    あるいは華氏2度ほどの上昇です
  • 11:29 - 11:32
    でも 何がその変化を促しているのでしょう
  • 11:32 - 11:34
    観測された温暖化の原因が何か
  • 11:34 - 11:35
    どうしたらわかるのでしょう
  • 11:35 - 11:37
    科学者はシミュレーションを使って
  • 11:37 - 11:40
    それをモデル化できるのです
  • 11:40 - 11:42
    こちらはコンピュータ・シミュレーションの
    説明図です
  • 11:42 - 11:44
    地球の気候に影響を与え得る
  • 11:44 - 11:47
    様々な因子を残らず調べています
  • 11:47 - 11:50
    大気汚染から出る硫酸塩粒子
  • 11:50 - 11:53
    火山の噴火から出る火山灰
  • 11:53 - 11:55
    太陽放射の変動
  • 11:55 - 11:57
    当然 温室効果ガスも入っています
  • 11:57 - 11:59
    そして科学者は調べます
  • 11:59 - 12:03
    どの変数の組み合わせを
    モデルに入れると
  • 12:03 - 12:06
    現実に起きていることを再現できるか
  • 12:06 - 12:08
    この黒い線が現実です
  • 12:08 - 12:10
    モデルはこの薄いグレーの線
  • 12:10 - 12:12
    そして出た答えは
  • 12:12 - 12:16
    学力試験の選択肢で お馴染みの
  • 12:16 - 12:18
    「上記のすべて」を含むモデルです
  • 12:18 - 12:20
    計測された温度を
  • 12:20 - 12:22
    再現するためには
  • 12:22 - 12:24
    温室効果ガスを含む全ての因子を
  • 12:24 - 12:26
    取り込むより他にないのです
  • 12:26 - 12:28
    とりわけ ご覧のとおり
    温室効果ガスの増加が
  • 12:28 - 12:30
    ここ50年の間の
  • 12:30 - 12:32
    この非常に劇的な気温上昇の
  • 12:32 - 12:34
    動きを追っています
  • 12:34 - 12:36
    ですから これを根拠に気候学者は
  • 12:36 - 12:39
    気候変動が起きているだけではなく
  • 12:39 - 12:42
    温室効果ガスがその理由の
    主要な部分を
  • 12:42 - 12:45
    占めているのは明らかだと
    言えるわけです
  • 12:45 - 12:47
    さて このように科学者が違う研究を
  • 12:47 - 12:49
    行っていることから
  • 12:49 - 12:52
    哲学者ポール・ファイヤアーベントは
    ご存知の通り こう言いました
  • 12:52 - 12:54
    「『何でもあり』の精神こそが
  • 12:54 - 12:58
    科学の進歩を妨げない
    唯一の原理である」
  • 12:58 - 13:00
    実はこれは言葉尻を取られていて
  • 13:00 - 13:03
    ファイヤアーベントは
    科学では「何でもありだ」とは
  • 13:03 - 13:05
    言っていないのです
  • 13:05 - 13:06
    実際に言った
  • 13:06 - 13:08
    全文はこうです
  • 13:08 - 13:10
    「科学の手法とは何か
  • 13:10 - 13:12
    答えろと迫られたら
  • 13:12 - 13:15
    『何でもありだ』と言わざるを得ない」
  • 13:15 - 13:16
    彼が言おうとしたのは
  • 13:16 - 13:19
    科学者は様々な異なることをしており
  • 13:19 - 13:21
    創造性豊かだということです
  • 13:21 - 13:23
    しかし ここであの疑問が戻ってきます
  • 13:23 - 13:27
    科学者の使う手法がバラバラなら
  • 13:27 - 13:29
    何が正しく何が間違っているか
  • 13:29 - 13:30
    どうやって決めるのでしょう
  • 13:30 - 13:32
    誰が判断するのでしょう
  • 13:32 - 13:34
    答えは 科学者が判断するのです
  • 13:34 - 13:37
    その判断は証拠の判断によります
  • 13:37 - 13:40
    科学者は様々な異なる方法で
    証拠を集めますが
  • 13:40 - 13:42
    それが どんな方法であれ
  • 13:42 - 13:45
    証拠を検査にかけなければなりません
  • 13:45 - 13:47
    社会学者ロバート・マートンは
  • 13:47 - 13:49
    科学者がどうやってデータや
  • 13:49 - 13:51
    証拠を検査するかという
  • 13:51 - 13:54
    問題に着目し その方法を
  • 13:54 - 13:56
    「組織的懐疑主義」と呼びました
  • 13:56 - 13:58
    彼が組織化されていると考えたのは
  • 13:58 - 13:59
    科学者たちが共同で
  • 13:59 - 14:01
    集団として検査を行うからで
  • 14:01 - 14:04
    懐疑主義だと考えたのは
    科学者がそれを
  • 14:04 - 14:05
    不信をベースに行うからです
  • 14:05 - 14:07
    すなわち 立証責任を負うのは
  • 14:07 - 14:09
    新しい主張を持ち込んだ その人物です
  • 14:09 - 14:13
    この意味で 科学は本質的に保守的です
  • 14:13 - 14:15
    科学界を説得し
    「よし これは明らかに真だ」と
  • 14:15 - 14:19
    言わせるのは 非常に厳しいことです
  • 14:19 - 14:21
    だからパラダイム シフトの概念が
  • 14:21 - 14:23
    支持を集めていようとも
  • 14:23 - 14:24
    実際のところ
  • 14:24 - 14:27
    科学的思考に本当に大幅な
    変化が起きた例は
  • 14:27 - 14:31
    科学史上 比較的まれです
  • 14:31 - 14:34
    このことは いよいよ私たちを
    次の考えへと導きます
  • 14:34 - 14:38
    科学者が集団で証拠を判断することから
  • 14:38 - 14:41
    歴史学者は合意の問題に
  • 14:41 - 14:42
    注目してきました
  • 14:42 - 14:44
    歴史学者の最終的な結論は こうです
  • 14:44 - 14:46
    科学というもの
  • 14:46 - 14:48
    科学的知見というものは
  • 14:48 - 14:51
    組織的で集団的な
  • 14:51 - 14:53
    検査のプロセスを通っており
  • 14:53 - 14:55
    それは証拠を判断し
  • 14:55 - 14:57
    マルかバツかの
  • 14:57 - 14:59
    断定をした科学の専門家たちの
  • 14:59 - 15:02
    総意であるということです
  • 15:02 - 15:04
    つまり科学的知見は
  • 15:04 - 15:06
    専門家の総意だと考えられます
  • 15:06 - 15:07
    科学とは陪審のようなものだと
  • 15:07 - 15:09
    考えることもできます
  • 15:09 - 15:12
    かなり特殊な陪審ですけどね
  • 15:12 - 15:14
    あまり身近にはいないタイプの
  • 15:14 - 15:16
    オタクの陪審です
  • 15:16 - 15:19
    博士号を持つ人たちの陪審です
  • 15:19 - 15:22
    そして有罪か無罪か
  • 15:22 - 15:23
    二者択一の
  • 15:23 - 15:26
    通常の陪審と違って
  • 15:26 - 15:29
    科学の陪審には
    選択肢がいろいろあります
  • 15:29 - 15:32
    科学者は「Yes 真である」
    と言うこともあれば
  • 15:32 - 15:35
    「No 偽である」と言うこともあります
  • 15:35 - 15:37
    あるいは「 真の可能性はあるが―
  • 15:37 - 15:40
    もっと研究を重ね
    証拠を積み上げる必要がある」とか
  • 15:40 - 15:42
    「真の可能性はあるが―
  • 15:42 - 15:44
    答えようがないので
  • 15:44 - 15:45
    ひとまず保留にして
  • 15:45 - 15:48
    後々また考えよう」とか言うこともあります
  • 15:48 - 15:52
    これは科学者が
    「解決困難」と呼ぶものです
  • 15:52 - 15:54
    しかしこれが最後の問題につながります
  • 15:54 - 15:57
    科学が 科学者の意見で
    成立しているのなら
  • 15:57 - 16:00
    単なる権威への訴えかけでは
    ないのでしょうか
  • 16:00 - 16:01
    私たちは学校で
  • 16:01 - 16:04
    権威への訴えは論理上の誤謬だと
    教わったのではないでしょうか
  • 16:04 - 16:07
    ここに現代科学の矛盾があります
  • 16:07 - 16:10
    私が思うに 歴史学者や哲学者や
  • 16:10 - 16:12
    社会学者が至った―
  • 16:12 - 16:16
    科学は権威への訴えだという
    結論の矛盾です
  • 16:16 - 16:19
    ただし権威と言っても
    特定の人物のことではありません
  • 16:19 - 16:22
    プラトンやソクラテスや
    アインシュタインのように
  • 16:22 - 16:26
    どんなに頭脳明晰でも
    ある個人のことではないのです
  • 16:26 - 16:29
    権威とは科学界全体のことです
  • 16:29 - 16:32
    ある種の「集団の知恵」だと
    思えばいいです
  • 16:32 - 16:36
    非常に特殊な集団ですけどね
  • 16:36 - 16:38
    科学は権威に訴えかけますが
  • 16:38 - 16:40
    基準は特定の人物ではありません
  • 16:40 - 16:42
    どんなに頭脳明晰だとしてもです
  • 16:42 - 16:44
    基準となるのは ある問題について
  • 16:44 - 16:47
    研究してきた全ての科学者の集団的英知
  • 16:47 - 16:49
    集団的知見
  • 16:49 - 16:51
    集合体としての研究成果です
  • 16:51 - 16:54
    科学者には ある種の
    集団的不信の文化があります
  • 16:54 - 16:56
    「証明してみろ」の文化です
  • 16:56 - 16:58
    こちらの素敵な女性が良い例です
  • 16:58 - 17:01
    仲間に自分の見つけた証拠を
    見せています
  • 17:01 - 17:03
    勿論 この人たちは科学者にしては
  • 17:03 - 17:05
    ニコニコしすぎですね
  • 17:05 - 17:09
    (笑)
  • 17:09 - 17:14
    さて では私の最後の論点です
  • 17:14 - 17:16
    大抵の人は朝起きて
  • 17:16 - 17:18
    自分の車を信頼しています
  • 17:18 - 17:19
    ここはマンハッタンですから
  • 17:19 - 17:21
    例えが悪いですけど
  • 17:21 - 17:23
    マンハッタン以外に住む
    アメリカ人のほとんどは
  • 17:23 - 17:25
    朝起きて車に乗ります
  • 17:25 - 17:28
    エンジンをかければ車は動きます
  • 17:28 - 17:30
    それも非常によく動きます
  • 17:30 - 17:32
    現代の車はめったに故障しません
  • 17:32 - 17:35
    なぜ車はそんなにうまく動くのでしょう
  • 17:35 - 17:38
    ヘンリー・フォードやカール・ベンツや
  • 17:38 - 17:41
    イーロン・マスクらの才能のためでは
    ありません
  • 17:41 - 17:43
    その理由は現代の車が
  • 17:43 - 17:48
    百年以上に渡る
    何百 何千 何万もの
  • 17:48 - 17:50
    人々の仕事の
  • 17:50 - 17:51
    積み重ねだからです
  • 17:51 - 17:53
    現代の車は
  • 17:53 - 17:56
    車に関わる仕事をした すべての人の
  • 17:56 - 17:58
    集合的な研究と知恵と経験の
  • 17:58 - 18:00
    成果であり
  • 18:00 - 18:03
    テクノロジーの信頼性は
  • 18:03 - 18:05
    蓄積された努力の結晶なのです
  • 18:05 - 18:08
    私たちが恩恵を受けているのは
    ベンツやフォードやマスクらの
  • 18:08 - 18:09
    才能だけでなく
  • 18:09 - 18:12
    現代の車に関わった すべての人たちの
  • 18:12 - 18:14
    集団的な知と勤勉の
  • 18:14 - 18:16
    おかげなのです
  • 18:16 - 18:18
    科学も同じです
  • 18:18 - 18:21
    ただし科学は車より歴史が長いですが
  • 18:21 - 18:23
    私たちの科学を信頼する根拠は
  • 18:23 - 18:26
    テクノロジーを信頼する根拠と同じで
  • 18:26 - 18:30
    対象が何であれ
    信頼するときの根拠と同じです
  • 18:30 - 18:32
    すなわち経験がモノを言うのです
  • 18:32 - 18:34
    しかし盲目的な信頼はダメです
  • 18:34 - 18:37
    何事においても鵜呑みはいけません
  • 18:37 - 18:40
    科学自体がそうであるように
    私たちの科学に対する信頼も
  • 18:40 - 18:42
    証拠に基づいていなければなりません
  • 18:42 - 18:43
    だから科学者は もっと上手に
  • 18:43 - 18:45
    伝えるようにしなければなりません
  • 18:45 - 18:48
    科学者は私たちに結果だけではなく
    その過程をも
  • 18:48 - 18:50
    説明しなければなりません
  • 18:50 - 18:54
    そして私たちはもっと上手に
    聞けるようにならなければなりません
  • 18:54 - 18:55
    ありがとうございました
  • 18:55 - 18:57
    (拍手)
Title:
科学者を信頼すべき理由
Speaker:
ナオミ・オレスケス
Description:

世界の重大な問題の多くは科学者の見解を必要としますが、なぜ私たちは科学者の言うことを信じるべきなのでしょうか。科学史の研究者であるナオミ・オレスケスは、私たちと信じることとの関係を深く考察し、科学研究に対する姿勢にまつわる3つの問題点を導き出します。さらに、私たちが科学を信頼すべき理由として、独自の根拠を示してくれます。

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English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
19:14
Natsuhiko Mizutani approved Japanese subtitles for Why we should trust scientists
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for Why we should trust scientists
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for Why we should trust scientists
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for Why we should trust scientists
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for Why we should trust scientists
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for Why we should trust scientists
Misaki Sato accepted Japanese subtitles for Why we should trust scientists
Emi Kamiya edited Japanese subtitles for Why we should trust scientists
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  • こんばんは。
    分かりやすく訳されていて、興味深く拝見しました。細かな点を変更しましたが、好みもあると思いますので、もとに戻していただいても結構です。
    よろしくお願いします。

Japanese subtitles

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