非公式経済のパワー
-
0:01 - 0:03システムDでは
-
0:03 - 0:05これが店舗です
-
0:05 - 0:07ナイジェリアのラゴスにある ―
-
0:07 - 0:13マココというスラム街で
撮影しました -
0:13 - 0:15ラグーンの上にあるため
陸には店はなく -
0:15 - 0:17その代わり
-
0:17 - 0:19店が移動します
-
0:19 - 0:20このコミュニティーでは
-
0:20 - 0:22これがビジネスの相乗効果です
-
0:22 - 0:26これは 先ほど
お見せしたボートです -
0:26 - 0:29職人が船体とパドルを作り
-
0:29 - 0:30それを求める人に ―
-
0:30 - 0:33直接販売します
-
0:33 - 0:35これは世界規模の
ビジネスでもあります -
0:35 - 0:39オガンディーロさんが
魚のくん製を作っています -
0:39 - 0:42彼女に 魚の産地を
聞きました -
0:42 - 0:45私が期待したのは
その辺のラグーンか ― -
0:45 - 0:47アフリカの向こう側
という答えでした -
0:47 - 0:49しかし実際は
-
0:49 - 0:51ここ北海産でした
-
0:51 - 0:53水揚げ 冷凍された魚は
-
0:53 - 0:56くん製にされ ラゴスの路上で
-
0:56 - 0:58安く販売されるのです
-
0:58 - 1:00ここではビジネスが生まれます
-
1:00 - 1:03ラゴスで最大の規模の
オルソスン廃棄場です -
1:03 - 1:072,000人が働いています
教えてくれたのは -
1:07 - 1:09この人 ― アンドリュー・サボルさんです
-
1:09 - 1:13彼は16年の間
ゴミの中から原材料を探し出し -
1:13 - 1:16お金をためて
「契約計量業者」になりました -
1:16 - 1:19彼は秤をもって歩き
-
1:19 - 1:21みんなが拾った物を量ります
-
1:21 - 1:24彼は「廃品回収業者」になったのです
-
1:24 - 1:27後ろに見えるのが廃品置き場です
-
1:27 - 1:31ナイジェリアの最低賃金の
2倍を稼いでいます -
1:31 - 1:33こちらはショッピング・モールです
-
1:33 - 1:36ラゴスにある
オショディ・マーケットです -
1:36 - 1:38ホルヘ・ルイス・ボルヘスの
小説『エル・アレフ』の中で -
1:38 - 1:40エル・アレフは全てが存在する
-
1:40 - 1:42世界の1地点ですが
-
1:42 - 1:44私にとって このイメージこそ
まさに全てが ― -
1:44 - 1:47存在する場所です
-
1:47 - 1:50さてシステムDとは
どのようなものでしょうか -
1:50 - 1:52これまでは
非公式経済とか -
1:52 - 1:56地下経済 闇市場と
呼ばれていました -
1:56 - 1:58私の考え方は違います
-
1:58 - 2:01この経済がオープンだということを
理解することが大切です -
2:01 - 2:05みなさんの見える所にある
経済なのです -
2:05 - 2:08全てオープンで
やましい所や -
2:08 - 2:10隠された部分はありません
-
2:10 - 2:14地下経済と呼ぶのは
私たちの偏見です -
2:14 - 2:18私はシステムDという用語を
旧フランス植民地からとりました -
2:18 - 2:21フランス語の
“Débrouillardise”は -
2:21 - 2:23「自立した」という意味です
-
2:23 - 2:27旧フランス植民地では
-
2:27 - 2:29「システムD」という自立した経済や
-
2:29 - 2:33DIY経済を表します
-
2:33 - 2:36しかし政府は
DIY経済を嫌います -
2:36 - 2:39だから 2007年に
私が撮影したこの場所は -
2:39 - 2:442009年にはこうなりました
-
2:44 - 2:46TEDの関係者が意図する
-
2:46 - 2:47「徹底した開放性」とは
-
2:47 - 2:50道路をオープンにして
人を追い出すことでは― -
2:50 - 2:52ないでしょう
-
2:52 - 2:56これは
「ピクルス問題」だと思います -
2:56 - 2:58ピクルス工場で働く友人は
-
2:58 - 3:00ベルトコンベアから流れてくる
-
3:00 - 3:04見た目の悪い
キュウリを選び -
3:04 - 3:07「付け合せ」用の容器に入れます
-
3:07 - 3:09キュウリはみじん切りにされ
-
3:09 - 3:12酢と和えられて
新たな利益を生みます -
3:12 - 3:14これがピクルスの経済です
-
3:14 - 3:17これは今月初めに
-
3:17 - 3:19フィナンシャル・タイムズに
掲載された統計です -
3:19 - 3:23誰もがぜい沢品の経済に注目します
-
3:23 - 3:26その価値は
毎年1.5兆ドルに上ります -
3:26 - 3:27ものすごい金額です
-
3:27 - 3:31スイスの国内総生産額の
3倍にあたります -
3:31 - 3:35巨額ですが
注釈が必要です -
3:35 - 3:40すなわち ここには
世界の労働力の3分の2は -
3:40 - 3:41含まれていないのです
-
3:41 - 3:44世界で18億人が
-
3:44 - 3:50規制のない非公式の経済で
働いているのです -
3:50 - 3:53膨大な数ですが
何を意味しているのでしょうか -
3:53 - 3:58仮に これを1つの政治システム ―
-
3:58 - 4:02または1つの国 例えば
-
4:02 - 4:05「ストリート商人連合共和国」とか
-
4:05 - 4:07「バザーリスタン」にまとめると
-
4:07 - 4:11その価値は毎年10兆ドルになり
-
4:11 - 4:13世界で第2位の経済圏になります
-
4:13 - 4:16これはアメリカに次ぐ規模です
-
4:16 - 4:18今後15年間の予測によれば
-
4:18 - 4:22経済成長の大部分は
発展途上の -
4:22 - 4:25新興国によるものなので
-
4:25 - 4:28この経済圏は容易に ―
-
4:28 - 4:31アメリカを抜いて
世界最大になるでしょう -
4:31 - 4:34これは大きな意味をもちます
-
4:34 - 4:38なぜなら そこには
18億人分の雇用があり -
4:38 - 4:43ゴミ回収の彼のように
みんながお金を稼ぎ -
4:43 - 4:47生活が成り立ち
より平等な世界を ― -
4:47 - 4:50作りだすことができるのです
-
4:50 - 4:52巨大企業はこのことを
よく理解しています -
4:52 - 4:54この写真の面白い所は
-
4:54 - 4:56みんなが頭に箱を載せて
-
4:56 - 4:58落とさず走り回っている
ことではありません -
4:58 - 5:02このGalaソーセージ・ロールは
アフリカと中東で -
5:02 - 5:04事業を展開する
UAC foodsという -
5:04 - 5:07多国籍企業が
作っているのですが -
5:07 - 5:11面白いことに
店では売られていません -
5:11 - 5:14UAC foodsは店に置いても
売れないと わかっています -
5:14 - 5:18これを売るのは
行商人の集団です -
5:18 - 5:21ラゴス中の通りを駆け回り
-
5:21 - 5:25軽食として売るのです
-
5:25 - 5:2840年間 販売方法は同じです
-
5:28 - 5:30これが企業の
ビジネス・プランなのです -
5:30 - 5:33これはアフリカに
限った事ではありません -
5:33 - 5:36ミスタークリーンが
P&Gの製品を -
5:36 - 5:38うっとりと眺めています
-
5:38 - 5:40P&Gの統計では
-
5:40 - 5:43最大の顧客はウォルマートです
-
5:43 - 5:48確かに1つの店としては
その通りです -
5:48 - 5:51ウォルマートは商品の
15%を購入しているので -
5:51 - 5:54P&Gの取引の15%は
ウォルマートが相手と言えます -
5:54 - 5:58でもマーケットを部門ごとに
見ると 最大のものは -
5:58 - 6:01「高頻度店舗」と呼ばれる
小さなキオスクや -
6:01 - 6:04カヌーに乗った女性など
-
6:04 - 6:09システムD つまり非公式経済に
関わるビジネスです -
6:09 - 6:13P&Gは利益の20%を
-
6:13 - 6:15この部門から得ていて
-
6:15 - 6:18しかも 唯一の成長部門です
-
6:18 - 6:21P&Gはこう説明します
「私たちにとって 顧客が -
6:21 - 6:24株式会社だろうが
登記済みだろうが 関係ありません -
6:24 - 6:28店舗に商品を
並べてもらいたいんです」 -
6:28 - 6:30次に携帯電話です
-
6:30 - 6:32これはMTNの看板です
-
6:32 - 6:35MTNは南アフリカの
多国籍企業で -
6:35 - 6:37およそ25か国に展開しています
-
6:37 - 6:39新規参入したとき
-
6:39 - 6:41ナイジェリアは
アフリカでは大国でした -
6:41 - 6:43アフリカの人口の7人に1人は
ナイジェリア人なので -
6:43 - 6:46誰もが参加したい
携帯電話市場です -
6:46 - 6:48MTNが参入を決めた時
-
6:48 - 6:51販売しようとしていた
モバイル・サービスは -
6:51 - 6:55アメリカやイギリスや
ヨーロッパと同様のものでした -
6:55 - 6:59高価な月額プランに入り
電話を受け取って -
6:59 - 7:01超過料金を払って
-
7:01 - 7:03支払いに追われるのです
-
7:03 - 7:05しかし計画は破たんしました
-
7:05 - 7:07計画を白紙に戻して
-
7:07 - 7:08新たに別の計画を立てました
-
7:08 - 7:12電話機も月額プランも
販売せず -
7:12 - 7:15通話時間だけを
販売することにしました -
7:15 - 7:17どこで販売するのでしょう
-
7:17 - 7:21ストリートに点在する
パラソルの店です -
7:21 - 7:25みんな無認可で無許可ですが
-
7:25 - 7:28MTNは利益の大部分
-
7:28 - 7:30おそらく90%程度を
-
7:30 - 7:35システムDつまり非公式経済を
通して売り上げているのです -
7:35 - 7:37では電話機は
どこから来ているのでしょう? -
7:37 - 7:40中国 広州市です
-
7:40 - 7:43ぱっとしない電子機器店街の
2階に上がると -
7:43 - 7:48「広州大沙島」
-
7:48 - 7:51中古販売センターがあります
-
7:51 - 7:54ここに入って
箱を運んでいる人の -
7:54 - 7:56後に付いていきましょう
箱がどこへ行くかというと -
7:56 - 7:59ラゴスのエディに向かいます
-
7:59 - 8:02この携帯のほとんどは
-
8:02 - 8:03「中古」ではなく
-
8:03 - 8:06「海賊版」なのです
ロゴはありますが -
8:06 - 8:09そのブランドが作った
わけではありません -
8:09 - 8:12これに欠点はあるでしょうか
-
8:12 - 8:15おそらくあるでしょう
ご存じの通り中国では -
8:15 - 8:19(笑) ― 知的財産権がありません
-
8:19 - 8:20母音が抜けたVersaceや
-
8:20 - 8:22ゾルマーニ
-
8:22 - 8:25グーーーッチ
-
8:25 - 8:27(笑)(拍手)
-
8:27 - 8:31世界中で こういった形で
-
8:31 - 8:33製品が販売されています
-
8:33 - 8:36例えば
ブラジルはサンパウロの -
8:36 - 8:38ヴィンチシンコ・デ・マルソ通りでは
-
8:38 - 8:42偽物のデザイナー・グラスや
-
8:42 - 8:44クローンのコロンや
-
8:44 - 8:46海賊版DVDや
-
8:46 - 8:49さまざまな柄の 非公認の
-
8:49 - 8:52NYヤンキースの帽子を
買うことができるのです -
8:52 - 8:56ブランド下着も安く買えます
-
8:56 - 8:58聞いた事もないブランドですが
-
8:58 - 9:02海賊版の伝道ミックス・テープまであります
―(笑) -
9:02 - 9:05業界はこの状況を問題視しているし
-
9:05 - 9:09私も 彼らの不満は
-
9:09 - 9:11もっともだと思います
-
9:11 - 9:15今年になって
ある有名スニーカー・メーカーに -
9:15 - 9:18海賊版をどう考えているか聞くと
-
9:18 - 9:19「オフレコで頼む もしバレたら
-
9:19 - 9:21君を殺さなきゃならない」
-
9:21 - 9:27そして海賊版が市場調査に
活用されていると言うのです -
9:27 - 9:30このスニーカー・メーカーによると
-
9:30 - 9:34PumaやAdidasの海賊版があって
-
9:34 - 9:37自分達のスニーカーに
海賊版がなければ -
9:37 - 9:40商品に問題があると
思うそうです ―(笑) -
9:40 - 9:43ですから海賊版を
追跡することは重要なのです -
9:43 - 9:46そもそも海賊版を買う客は
-
9:46 - 9:48そのメーカーの
顧客ではありません -
9:48 - 9:50本当の顧客は
本物を求めるはずです -
9:50 - 9:52ラゴスの看板です
-
9:52 - 9:55「税金を払いましょう」
と言っています -
9:55 - 9:58システムDは税金を払っていません
-
9:58 - 10:00まず私の頭に浮かぶことは
-
10:00 - 10:04政府とは
人々と政府の社会契約なので -
10:04 - 10:06政府が不透明なら
-
10:06 - 10:09人々も不透明なはずです
-
10:09 - 10:12また税金を払わない弱者を ―
-
10:12 - 10:14非難していますが
-
10:14 - 10:16有名企業でさえ
世界をごまかしていることに -
10:16 - 10:20気づいているでしょうか
-
10:20 - 10:22例をあげましょう
-
10:22 - 10:26ある会社は
2000年からの10年間で -
10:26 - 10:284,000件の賄賂を支払ってきました
-
10:28 - 10:331営業日につき
100万ドルになります -
10:33 - 10:35世界中です その会社は
-
10:35 - 10:38ドイツの電機大手シーメンスです
-
10:38 - 10:42こういったことは
非公式経済だけでなく -
10:42 - 10:44公式経済でも行われていて
-
10:44 - 10:46非難するのは間違いです
-
10:46 - 10:50シーメンスだけでなく
どの会社もやっているのです -
10:50 - 10:54最後にこんな話をしましょう
もしアダム・スミスが -
10:54 - 10:56自由市場の理論の代わりに
「フリーマーケットの理論」を -
10:56 - 11:00つくっていたとしたら
その原理の総体は -
11:00 - 11:02どんなものになっていたでしょうか
-
11:02 - 11:05まず 市場は共同組合として
構想されたことでしょう -
11:05 - 11:08これはブラジルの法学者 ―
-
11:08 - 11:12ロベルト・マンガベイラ・ウンジェルの
考えです -
11:12 - 11:15共同開発は最善策でしょう
-
11:15 - 11:20第2にオーストリアの無政府主義哲学者
ポール・ファイヤアーベントによれば -
11:20 - 11:24事実は相対的なもので
ナイジェリアの商人にとっては -
11:24 - 11:27自立する権利として
確立していても -
11:27 - 11:31他の人から見ると非公認で
我慢ならないものなのです -
11:31 - 11:33だから物事の定義や
事実といったものが -
11:33 - 11:35人によって違うことを
知るべきです -
11:35 - 11:383つ目は偉大なアメリカのビート詩人 ―
-
11:38 - 11:41アレン・ギンズバーグの言葉です
-
11:41 - 11:44異なる経済圏同士では
物々交換が行われ -
11:44 - 11:47様々な種類の通貨も重要です
-
11:47 - 11:50ここでは 彼は
自分のカッコよさと引き換えに -
11:50 - 11:53必要なものを
買うことについて語っています -
11:53 - 11:57ここで話は終わりです
言いたいことは -
11:57 - 12:01この経済は地球規模の
発展への大きな力であり -
12:01 - 12:03そのようにとらえる
必要があるのです -
12:03 - 12:06どうもありがとうございました ―(拍手)
-
12:06 - 12:09(拍手)
- Title:
- 非公式経済のパワー
- Speaker:
- ロバート・ニューワース
- Description:
-
ロバート・ニューワースは4年間に渡り、露店がならぶ混沌としたストリート・マーケットで過ごしました。カートを押した行商人や「灰色市場」の商人から話を聞き、注目を集めている「システムD」、つまり世界中の無認可経済ネットワークを研究するためです。これはおよそ18億人分の雇用の源泉ですが、そのパワーと広がりは十分に認識されているとは言えません。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 12:29
Retired user edited Japanese subtitles for The power of the informal economy | ||
Dimitra Papageorgiou approved Japanese subtitles for The power of the informal economy | ||
Ayumi McMullen accepted Japanese subtitles for The power of the informal economy | ||
Retired user edited Japanese subtitles for The power of the informal economy | ||
Retired user edited Japanese subtitles for The power of the informal economy | ||
Retired user edited Japanese subtitles for The power of the informal economy | ||
Retired user edited Japanese subtitles for The power of the informal economy | ||
Retired user edited Japanese subtitles for The power of the informal economy |