光は宇宙の謎を解き明かす － ピート・エドワード

人類は長年の間、宇宙を眺め「宇宙はいつ始まり、終わるのか? 」という壮大な疑問を問い続けてきました。
宇宙学者は答えを見出すべく熱心に探究してきましたが、一体、手掛かりはどこにあるのでしょうか?
その答えは光です。ピート・エドワードは光がもたらす６つメッセージの概略を説明し、これを統合することで天文学者に膨大な量の情報を開示しています。
講座 ピート・エドワード
アニメーション:ビーバン・リンチ
＊このビデオの教材: http://ed.ted.com/lessons/what-light-can-teach-us-about-the-universe-pete-edwards

いつ どのように宇宙が始まったのでしょう？

どのようにして今の姿になったのでしょう？

終わりを迎えるのはいつ？

人類はこんな疑問について

延々繰り返し議論し
いまだ結論に達していません

今日 宇宙学者は答えを見出そうと
精を出しています

そのような深遠なる疑問に
明確な答えを見いだせるでしょうか？

そして ほとんどの領域が到達不可能である
宇宙という広大な対象を

探求したり 研究したりできるのでしょうか？

その答えは光にあります

宇宙の彼方から来る光は

我々のもとに届くのに何十億年も
かかりますが

光には６つの固有のメッセージを含んでいて
解析手法を心得ている－

天文学者は これらを統合して

膨大な量の情報を引き出すことが出来ます

太陽の光を親しみのある虹色へと
分光するように

彼方から届く光は
その光源に依存して

異なるスペクトルを映し出します

この光のバーコードにより
天体を構成する成分だけでなく

これらの温度や圧力についても
解き明かすことが出来ます

光から得られることは
それだけではありません

駅のプラットフォームに立って
電車の音を聞くと

その方向によって
音が異なることに気づくでしょう

電車が近づくときには音が高く聞こえ

遠ざかる時には低く聞こえます

車掌が次の職を求めて
何かを練習をしているわけではありません

これはドップラー効果といわれるものです

近づいてくるものが発する音波は圧縮され

逆に遠ざかる場合は伸びています

でも これが天文学と
どのような関係があるのでしょう？

音は真空中では伝わらないので 宇宙空間では
あなたの叫びは誰にも届きません

しかし物体が非常に高速で移動すると
光にも同様なドップラー効果が起こります

近づいてくるものに対しては
波長が短くなり

色が青方へと偏移し

逆に遠ざかる場合には

波長が長くなって
色が赤方へと偏移します

望遠鏡でドップラー効果を受けた
光のスペクトルを解析すると

いかなる天体でもその成分と

温度 圧力の様子
それに －

どの方向にどのような速度で
移動しているかが分ります

これら６つの測定によって得られる値から

宇宙の歴史が解き明かされます

遠方の銀河からの光を 初めて詳細に
調べたのはエドウィン・ハッブルで

光が赤方に偏移することを観察しました

遠方にある銀河は全て
我々から遠ざかっており

遠方にある天体ほどより高速に
遠ざかっていくことを発見しました

ハッブルは宇宙が膨張していることを
発見したのであり

これがビッグバン理論の
最初の証拠となりました

可視宇宙が凝縮した一点から

つねに膨張してきたのだという理論と共に

もっとも重要な推測の一つは

初期の宇宙は２種類の気体
水素とヘリウムからなっており

その割合は３対１であったということです

この推測は光の観測から
検証することが出来ます

宇宙遠方の静かな領域からの光を観測し
それを分光すると

２つのガスがこの割合で存在するという
特性が得られます

ビッグ・バン理論のもう一つの大成果でした

しかし 謎はまだ多く残っています

可視宇宙が膨張していることは
分かっていますが

重力がこれにブレーキをかけるはずです

しかし遠方で終焉を迎えている
星の光を観測した最近の結果では

その位置は予測よりも遠くにある事が
分りました

これは宇宙の膨張が加速していることを
意味します

何らかの力が働いています

多くの科学者はダーク・エネルギー
というものがあって

これが宇宙の３分の２を構成し 宇宙を
ゆっくりと引き裂いていると信じています

物質に対する理解と
装置の高い測定精度のおかげで

遠方の星を観測するだけで
宇宙について かつては不可能と

思われていたことが 分かってきました

しかしダークエネルギーの本質といった
謎めいた分野について

我々は光を当てていかなければ
なりません