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将来に備えるために今できること | リンダ・グラットン | TEDxLondonBusinessSchool

  • 0:17 - 0:18
    ありがとうございます
  • 0:18 - 0:22
    人生の中でときどきですが
  • 0:22 - 0:26
    考え方や行動を変えてしまうような
    出来事があります
  • 0:26 - 0:30
    まず はじめに
    5年ほど前に起きた
  • 0:30 - 0:33
    出来事について
    お話ししたいと思いますが
  • 0:33 - 0:37
    そのことをきっかけに
    つぎのようなことを考え始めました
  • 0:37 - 0:40
    私たちはどのように
    自分を再生させてゆけばよいのか?
  • 0:40 - 0:46
    さて 4年ほど前
    私は下の息子を連れてアフリカに行きました
  • 0:46 - 0:50
    息子はロンドンに住んでいるごく普通の
    10代の若者で
  • 0:50 - 0:53
    いつもその辺でぶらぶらと
    過ごしていましたが
  • 0:53 - 0:56
    私は彼にそのときアフリカで
    起きていたことを理解させたかったのです
  • 0:56 - 0:59
    彼は当時 ちょうど多感な思春期に
    さしかかっていたこともあり
  • 0:59 - 1:03
    マサイ族の戦士と一緒に
    過ごして欲しかったのです
  • 1:03 - 1:09
    旅客機から
    小型の自家用機に乗り換え
  • 1:09 - 1:12
    そして車に乗り
  • 1:12 - 1:14
    2日半がかりでやっと
  • 1:14 - 1:21
    タンザニアのマサイ・マラにある村に着きました
  • 1:21 - 1:24
    そして期待どおり
    何人かのマサイの戦士と
  • 1:24 - 1:28
    数日間を一緒に過ごして
    彼らの儀式や
  • 1:28 - 1:30
    いろいろ素晴らしいことを
  • 1:30 - 1:33
    教わることになりました
    十代の息子にとって
  • 1:33 - 1:37
    戦士の生活が理解できたら
    素晴らしい体験ですよね
  • 1:38 - 1:42
    ある朝 若者は
    私たちと丘に登り
  • 1:42 - 1:44
    マサイの領地を示して
  • 1:44 - 1:49
    マサイの戦士になるとは
    どういうことか
  • 1:49 - 1:52
    彼らが生きる上で
  • 1:52 - 1:55
    意味するところを
    説明してくれました
  • 1:55 - 1:59
    彼は民族衣装の美しい赤いローブを
    身にまとい
  • 2:01 - 2:05
    手にはライオンを射止める
    ための槍を持っていました
  • 2:05 - 2:07
    マサイらしさを感じるひと時でした
  • 2:07 - 2:12
    そのときどこからか
    変な音がしました
  • 2:14 - 2:17
    一体
    何の音だったと思います?
  • 2:18 - 2:19
    (オーディエンス:電話)
  • 2:19 - 2:23
    そうです 携帯電話でした
    彼はポケットというか
  • 2:23 - 2:24
    ヒョウ皮でつくった
    ポシェットの中から
  • 2:24 - 2:26
    携帯電話を取り出し
  • 2:26 - 2:29
    普通の23歳の
    若者らしく
  • 2:29 - 2:32
    とても興奮した様子で話し始めました
  • 2:32 - 2:38
    その瞬間 私は自分の世界が変わったと
    悟りました
  • 2:38 - 2:42
    しかも私の想像の範囲を
    はるかに超えて
  • 2:42 - 2:46
    しかし その日は
    他にも驚かされることがありました
  • 2:46 - 2:50
    彼が電話を切ったあと
    私はいかにも好奇心旺盛な
  • 2:50 - 2:52
    ロンドン・ビジネススクールの
    教授らしい質問をしました
  • 2:52 - 2:55
    「今 どんなことを話していたの?
    だれと話していたの?」
  • 2:55 - 2:58
    彼は言いました
    「ああ 今のは弟」
  • 2:58 - 3:03
    若者の仕事は
    牛の世話でしたが
  • 3:03 - 3:07
    彼の12歳の弟は
    私の息子よりも若く
  • 3:07 - 3:10
    ヤギの世話をしていました
  • 3:10 - 3:13
    その日 朝6時ごろ
    ヤギを連れて
  • 3:13 - 3:17
    出かけましたが
    すでに12時になっていました
  • 3:17 - 3:22
    そして彼は言いました
    「弟と話していたんだ」
  • 3:22 - 3:24
    私は聞きました
    「何を話していたの?」
  • 3:24 - 3:28
    すると彼は「ヤギの食べる
    草が青々と茂っている
  • 3:28 - 3:32
    場所が見つかったという電話だった」
    と教えてくれました
  • 3:32 - 3:36
    この出来事こそが
    私にとって未来の逆説です
  • 3:36 - 3:40
    何故ならば多くのことが
    想像以上に変化しているからです
  • 3:40 - 3:43
    4年前 マサイの戦士が携帯電話を
  • 3:43 - 3:45
    使いこなす姿を誰が想像したでしょう?
  • 3:45 - 3:47
    ちなみに 電気もなく
    車も持たず
  • 3:47 - 3:50
    冷蔵庫も持っていない彼が
    携帯電話は持っていたのです
  • 3:50 - 3:53
    それにも拘わらず
    彼の人生の中で
  • 3:53 - 3:56
    基本的に変わらないものもあったのです
  • 3:56 - 3:59
    それは価値観や信条
    彼にとって大事なものなどです
  • 3:59 - 4:03
    私たちが今直面している課題は
  • 4:03 - 4:06
    かつて誰も経験したことない
  • 4:07 - 4:08
    大きな転換期にいることです
  • 4:08 - 4:11
    私が『ワーク・シフト』を執筆したとき
  • 4:11 - 4:14
    「産業革命以来の最大の転換期」と
    書きましたが
  • 4:14 - 4:16
    それ以上のことが起きていると
    実感しています
  • 4:16 - 4:19
    本の執筆から2年の間で
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    かつて経験したことのないような
    大転換期であることに気が付きました
  • 4:22 - 4:26
    「これからどんな世の中に
    していきたいのか」
  • 4:26 - 4:29
    という問いへの答えを求められてます
  • 4:29 - 4:33
    さらに重要な問いは
    「どのような人生を送りたいのか?」です
  • 4:33 - 4:36
    間違いなく言えるのは
  • 4:36 - 4:40
    将来 厳しい現実が
    待ち受けているということです
  • 4:40 - 4:43
    将来について考えたときに
    明らかなのは
  • 4:43 - 4:47
    何の予測もせずに
    突き進むこともできます
  • 4:47 - 4:49
    与えられた将来を
  • 4:49 - 4:53
    そのまま受け入れ 取捨選択をせず
    成り行きに身を任せることも
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    あるいは どんな将来を
    作り出していきたいのか
  • 4:58 - 5:00
    じっくり考えることもできます
  • 5:00 - 5:03
    言い換えると「自分に合わせた将来」を
    迎えることもできるのです
  • 5:03 - 5:06
    そのためには 世の中で
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    この先の何十年間の間に
    どのような変化が起きるのか
  • 5:09 - 5:11
    予測する必要があります
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    光と影の両面を
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    見る必要があります
  • 5:19 - 5:23
    将来のことや
    私たち そして子どもたちの
  • 5:23 - 5:26
    人生についてひとつ
    はっきり言えることは
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    すべての時間が3分間毎の断片に
  • 5:29 - 5:34
    区切られたような
    人生になって
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    いるかもしれません
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    自身のことを考えてみると
    今でさえも
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    テクノロジーの発達のせいで
    常に邪魔が入るような生活です
  • 5:43 - 5:46
    それはまるで
    不機嫌な2歳児のようです
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    日々の生活の中で
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    ゆっくりと振り返ったり
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    物事を深く考える時間は
    あまりありません
  • 5:54 - 5:59
    これからは孤独や断片化された
    時間で満ちた人生になってしまう
  • 5:59 - 6:03
    可能性があります
    しかし そんな状況は防げます
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    邪魔者扱いされる
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    まるで不機嫌な2歳児のような
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    振る舞いをするテクノロジーには
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    共同作業による創造の
    可能性も秘められています
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    この瞬間 世界中の
    何万人という人々が
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    「イノセンティブ(InnoCentive)」のような
    プラットフォームを使って
  • 6:21 - 6:24
    様々なアイディアや可能性を共有し
  • 6:24 - 6:27
    自国はもちろん
    外国で起きている問題についても
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    解決策を見つけようとしています
  • 6:29 - 6:32
    一方で孤独に満ちた世界になる可能性もあります
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    私たちの多くは
    少人数世帯で暮らしている
  • 6:36 - 6:39
    可能性があります
  • 6:39 - 6:45
    都市部へ移り住み
    故郷の家族とのつながりも失い
  • 6:45 - 6:48
    移動も多く 仕事も
    事務所ではなく
  • 6:48 - 6:53
    在宅勤務をしていたり
    孤立しやすい環境になります
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    将来は他人との繋がりが持ちにくくなりつつも
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    一方では今日お話したように
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    社会や地域と積極的に
  • 7:02 - 7:05
    担い手になり 関わりをもつ
  • 7:05 - 7:09
    機会もたくさんあるのです
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    格差が広がる一方の社会です
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    住んでいる地域に関わらず
  • 7:14 - 7:16
    富裕層が今以上に富を独占し
  • 7:16 - 7:19
    貧困層の貧困化が進むでしょう
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    一定以上の教育を受けていなければ
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    グローバル化した労働市場では
  • 7:24 - 7:26
    競争に参加する機会すら与えらず
  • 7:26 - 7:29
    世界中で生み出されている「価値」に
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    手を伸ばす手段すらないかもしれません
  • 7:31 - 7:35
    しかし 逆に他者との繋がりを持つようにして
  • 7:35 - 7:39
    世界中の50億の人々が繋がり合って
  • 7:39 - 7:43
    豊富な知的資源を活用すると
  • 7:43 - 7:48
    先ほどのマサイの戦士が
    もっていたような携帯電話が
  • 7:48 - 7:52
    つながりを無限に生み出す
    ツールにもなり得るのです
  • 7:52 - 7:56
    今の重要課題について
    私はこう考えています
  • 7:56 - 7:59
    つまり
    目隠しをしたまま
  • 7:59 - 8:06
    将来に向かってしまうかもしれませんが
    そうならないよう
  • 8:06 - 8:08
    考え方や行動をシフトさせることで
  • 8:08 - 8:12
    将来像を私たちが望んでいるようなものに
  • 8:12 - 8:16
    変えることもできる ということです
  • 8:16 - 8:21
    私たちは 今まさに選択を迫られていると同時に
  • 8:21 - 8:23
    結果を受け入れることを求められています
  • 8:23 - 8:26
    そこで 私は3つのシフトを提案
    したいと思います
  • 8:26 - 8:29
    そのシフトを一人一人が考えることで
  • 8:29 - 8:32
    どんな将来を切り開いていくのか
    という点は
  • 8:32 - 8:35
    重要なことになると思うのです
  • 8:35 - 8:39
    一つ目は自分たちが持っているスキル
    の捉え方です
  • 8:39 - 8:42
    少し前までは
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    「ジェネラリストは素晴らしい」
  • 8:45 - 8:47
    と思えた時代があったかもしれません
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    「T字型のマネージャーにならなくては」
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    「そのためには色々なことを
    広く浅く知っておけばよい」
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    しかしはっきり申し上げて
    広く浅い知識だけでは
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    中国の高学歴で賢い人々と
    競争することもできません
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    互角な競争相手はせいぜい
    ウィキペディアやグーグルでしょう
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    ですので 専門家を目指すべきです
  • 9:12 - 9:17
    好きで熱意をもって取り組める
    領域に集中しないといけません
  • 9:17 - 9:21
    将来は 超エクスパートの時代だろう
    と私は予想しているからです
  • 9:21 - 9:25
    そんな領域を2つ以上持っていれば
    さらに良いでしょう
  • 9:25 - 9:30
    繰り返すと 一つ目は
    自分の好きなこと
  • 9:30 - 9:34
    夢中になれることは何か考えて
    それに特化すること
  • 9:35 - 9:40
    二つ目 私が子どもの頃は
  • 9:40 - 9:45
    成功の鍵は競争相手に勝つことだ
    と考えました
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    世の中には序列があり
    ランクが上の人たちと
  • 9:49 - 9:51
    下の人たちがいると
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    自分がランクの頂点に立つためには
  • 9:53 - 9:56
    周囲の者との競争に勝ち
  • 9:56 - 10:00
    もっている能力を余すことなく発揮する
    ことが求められました
  • 10:00 - 10:03
    しかし 将来について最近判ってきたのは
  • 10:03 - 10:07
    協働や協力を通じて価値を生み出す
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    信じられないような
    可能性があることです
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    技術革新が何十億人もの人々を繋ぎ
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    豊富な知的資源が
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    競争のためだけではなく
  • 10:21 - 10:24
    ネットワークを活用した
    問題解決を可能にします
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    このネットワークによる繋がりは
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    親しく身近な人々になり
    あなたの有する知識の価値を理解し
  • 10:31 - 10:34
    同じ夢を共有する人々がいるかもしれません
  • 10:34 - 10:37
    それは持続的なコミュニティーかもしれません
  • 10:37 - 10:41
    親しい人々 共に時間を過ごす人々
    あなたの人物が反映されるかもしれません
  • 10:41 - 10:44
    あるいは画期的なアイディアのある人の
    集まりかもしれません
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    これから繋がる可能性のある
    何千人もの人々が
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    思いもつかないアイディアを
    もっていて それが
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    あなたのアイディアと融合すると
    ものすごい価値を生み出すかもしれません
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    そして最後のシフトはこうです
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    産業化が始まった頃の組織における
  • 11:00 - 11:04
    組織と労働者との取引関係は
    判りやすいものでした
  • 11:04 - 11:11
    労働は欲しいモノを買うお金を
    稼ぐための手段で それで幸福になれる
  • 11:12 - 11:14
    しかし 今 限界がきています
  • 11:15 - 11:17
    生活水準を高めることと
    クオリティ・オブ・ライフや
  • 11:17 - 11:21
    幸福感との間に相関関係はあまりないことに
  • 11:21 - 11:25
    私たちは気付き始めています
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    そしてもう一つ気付いていることは
  • 11:26 - 11:31
    もしも75歳まで働き続けるのなら
    おそらくそういう方がほとんどだと思いますが
  • 11:31 - 11:34
    多くの人にとって仕事が人生の中で
  • 11:34 - 11:36
    重要な位置を占め続け
  • 11:36 - 11:39
    自身の存在価値を見出す場所です
  • 11:39 - 11:43
    そして将来起きるシフトは
  • 11:43 - 11:45
    仕事が
    モノを買って消費するためにお金を
  • 11:46 - 11:48
    稼ぐ手段ではなく
  • 11:48 - 11:53
    むしろ仕事そのものを
  • 11:53 - 11:56
    ものすごい創造性や
  • 11:56 - 12:01
    可能性の源泉と考えて どのようにすれば
    私たち一人一人が持っている能力を
  • 12:01 - 12:05
    最大限に発揮できるかの発想転換になります
  • 12:05 - 12:08
    人間の持っている可能性は
    実に無限なのです
  • 12:08 - 12:11
    厳しい現実が
  • 12:11 - 12:15
    待ち受けているのは事実ですが
  • 12:15 - 12:18
    同時に今後10年、20年の間に
  • 12:18 - 12:24
    私たち一人一人にワクワクするような
  • 12:24 - 12:25
    未来が待っていると信じています
  • 12:25 - 12:26
    ありがとうございました
  • 12:26 - 12:28
    (拍手)
Title:
将来に備えるために今できること | リンダ・グラットン | TEDxLondonBusinessSchool
Description:

自身の経験をもとに、リンダ・グラットンは若い世代に3つのシフトを提言しています。一つ目は、ジェネラリストではなく、好きな分野のエキスパートになること。二つ目は、競争に勝つことだけではなく、他者との協力やアイディアを融合する能力がこれからは求められること。そして最後に、仕事の意味合いが単にお金を稼ぐ場所から、人生や自己の存在意義を見出す場所に変わってくること。
このビデオはTEDカンファレンスとは独立して運営されるTEDxイベントにおいて収録されたものです。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDxTalks
Duration:
12:35

Japanese subtitles

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