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街に死者を葬る場所が足りなくなったらどうなるか

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    見過ごされがちですが
    儲かりそうな
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    投資の機会をご紹介しましょう
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    イギリスでは過去10年に渡って
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    不動産市場における墓地の運用益が
    およそ3対1の割合で
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    平均を上回っています
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    私営墓地ができつつあり
    投資家向けの区画が
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    およそ70万円から
    販売されていて
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    約40%の成長が見込まれています
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    最大の利点は この市場には
    常に需要があるということです
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    さて この事業提案は本物ですし
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    このような投資を実際に提供する企業も
    世の中にありますが
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    私は 別のところに関心があります
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    私は建築家で 都市計画家です
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    この1年半
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    死そのもの
    死を迎えることの捉え方 そして
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    死が どのように私たちの街や建築物を
    形作るのかを調べてきました
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    そこで 2014年の夏に
    死と建築を扱った展覧会を
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    初めて ベニスで開きました
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    タイトルは『ベニスに死す』
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    死というテーマは
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    話しづらいという人も多いので
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    展覧会に遊びの要素を取り入れて
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    誰でも参加しやすいようにしました
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    作品の1つが
    ロンドンのインタラクティブ・マップで
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    この街の不動産のうち どの程度が
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    死にまつわるものかを示しました
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    マップ上で手を振ると
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    建物や墓地といった不動産の名前が
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    現れます
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    白い部分は全部
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    ロンドン市内の病院やホスピス
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    葬儀場や墓地です
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    ただ実際は 大部分が墓地です
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    私たちが明らかにしたかったのは
    葬儀や死は
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    普段は頭になくても
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    私たちを取り巻く
    重要な 街の一部だということです
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    イギリスでは毎年
    約50万人が亡くなりますが
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    そのうち4分の1ほどが
    埋葬を希望します
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    ところがイギリスは
    他の西欧諸国と同様
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    特に大都市で
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    埋葬場所が不足しています
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    大ロンドン庁は 以前から
    この事態を把握しています
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    主な原因は人口増加で
    今ある墓地は
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    ほぼ満杯という事実があります
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    イギリスでは慣例として
    墓は永久に所有されるものとされますが
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    開発による圧力もあります
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    その土地を住宅や事務所や
    商業地に利用したい人もいるのです
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    そこで解決策が提案されました
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    50年経過したら墓地を
    再利用できないかとか
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    遺体を4倍深く埋葬し
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    同じ区画に4人 埋葬すれば
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    土地をもっと有効活用でき
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    しばらくは埋葬場所を
    確保できるのではという
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    期待があるのです
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    一方 地元当局は伝統的に
    墓地の管理を
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    してきませんでした
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    意外にもイギリスでは
    埋葬場所を確保する
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    法的義務を負う者はいないのです
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    伝統的に 埋葬場所の確保は
    教会、モスク、シナゴーグといった
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    私的な宗教団体の手で行われてきました
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    ただ時折 一口乗ろうとする
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    営利団体もあります
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    墓地の区画は小さい上に
    価格が高いという点に
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    目を向ければ
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    大きな利益を上げられそうです
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    実は自分で墓地を運営しようと思えば
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    できなくは ありません
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    サウス・ウェールズに住む
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    この夫婦は農家で
    自宅の隣に広がる土地を
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    活用しようと考えました
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    アイデアは 色々ありました
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    最初はトレーラーパークに
    しようとしましたが
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    認可が下りませんでした
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    次に養魚場はどうかと考えましたが
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    それも認可が下りません
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    そこで思いついたのが
    墓地を作ることでした
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    そうすれば 計算上
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    元々1,700万円ほどだった地価が
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    1億8千万円以上になることが
    わかりました
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    ただ墓地で お金が儲かるなんて
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    少しおかしいと感じませんか?
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    実は 墓地が一見 高額なのは
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    誤解なのです
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    高額なように見えますが
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    実際は 墓地の維持費が
    価格に反映されているのです
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    例えば 50年先まで
    草刈りを続けなければなりません
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    つまり 墓地で収益を上げるのは
    とても難しいのです
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    だから墓地は主に
    地方自治体や非営利団体が
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    運営しているのです
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    それでも自治体の認可が下りれば
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    私営の墓地を作れます
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    どういう仕組みか説明しましょう
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    国内で何か建てようとする場合
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    例えば墓地を作る場合などですが
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    まず建築許可を申請する必要があります
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    だから私がオフィスビルの
    建築を請け負う場合や
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    自分の家を増築する場合 —
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    店舗を事務所に改築する場合などには
    認可してもらうために
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    大量の設計図を描いて
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    自治体に提出しなければなりません
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    自治体では 建造物が周辺環境に合うか
    といったことを確認し
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    その外観について検討します
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    さらに自治体は その建造物が
    地元の環境に
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    及ぼす影響も検討します
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    それから 検討するのは
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    その建造物が公害の原因になるかとか
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    私が何かを建てることによって
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    交通量は多くなるかといったことです
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    さらに利点も検討します
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    その建造物は 住民が使用したいと思う
    店舗などのサービスを
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    地元に提供できるかといったことです
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    このように長所と短所を
    てんびんにかけて
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    決定を下します
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    大規模な墓地を作る場合でも同じです
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    では もし私がわずかな土地を持っていて
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    ほんの5~6人埋葬したいだけなら
    どうしたらいいでしょう?
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    そんな時 実は 許可は必要ありません
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    イギリスには埋葬に関する規制が
    ほとんどないのです
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    唯一 存在する規制は
    水路汚染 すなわち河川や地下水の
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    汚染の禁止に関わるものだけです
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    だから 自分の小さな墓地を
    作ろうと思えば
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    できます
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    ただ 実際に作ろうとする人は
    いるでしょうか? やります?
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    もし 皆さんが貴族で
    広大な敷地を所有しているなら
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    霊廟を建てて 一族を埋葬することも
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    あるでしょう
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    ところが 奇妙なことに
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    埋葬の許可を受ける上で
    一定の面積の土地を
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    所有している必要はありません
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    つまり 理論上は
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    郊外の自宅の裏庭に
    作ってもいいのです
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    (笑)
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    本気で作ろうとすると
    どうなるでしょう?
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    自治体によっては ウェブサイトに
    ガイドを掲載していていますから
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    参考になるでしょう
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    最初に載っているのは
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    実際に埋葬する前に
    埋葬許可証が必要ということです
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    勝手に人を殺して
    テラスの下に埋めてはいけません
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    (笑)
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    それから 墓の位置を
    記録に残す必要があります
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    でも 形式上の要件は これだけです
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    近所から苦情が来る可能性は
    指摘されていますが
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    だからといって法律上
    隣人にできることは ほとんどありません
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    また仮に 埋葬地がいくらで
    どのくらい収益を上げられるかといった
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    利益を上げようという
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    期待を持っている人のために
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    不動産の価値が20%下落する可能性も
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    指摘しています
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    ただ 実際には
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    墓地を作ると 家を買う人は
    いなくなるでしょう
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    私が こういうことに関心があるのは
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    私たちの死に対する態度を
    端的に表しているからです
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    おそらくヨーロッパならどこでも
    似ているでしょうが イギリスでは
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    自分が死ぬ時 どうしたいか
    人に伝えた経験がある人は
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    ほんの3割程度です
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    75歳以上の人の場合ですら
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    わずか45%しかいません
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    誰もがあげる理由は
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    自分の死はまだ先だし
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    それを口にすると
    周りの人が気まずくなるような
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    気がするという点です
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    ただ 私たちに代わって
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    ある程度
    それを引き受けてくれる人々がいます
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    政府は 死者を葬ることなどに関する
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    様々な規制や組織を持っています
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    また 職業人として 死の問題に
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    すべてを捧げる葬儀社の人々がいます
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    でも 私たちの都市には
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    街に死が どう調和するかを
    考える場合
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    想像以上に 規制やデザインや思想が
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    欠如しています
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    私たちは このことを考えていませんし
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    考えてくれていると思っていた人々も
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    実は責任をもっていないのです
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    ありがとう
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    (拍手)
Title:
街に死者を葬る場所が足りなくなったらどうなるか
Speaker:
アリソン・キリング
Description:

イギリスでは「自分で墓地を運営しようと思えば、できなくはない」と、アリソン・キリングは言います。彼女は、我々が死んでから埋められる場所について掘り下げて考えています。このトークでは、建築家でTEDフェローである彼女が我々の市や町の中で見過ごされた場所である「墓地」について驚くような経済的、社会的な視点を提示します。そしてイギリスの法律を例に挙げながら、我々が埋葬される場所に関わる興味深く、時におかしく、矛盾しがちな法律について解説します。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
08:49

Japanese subtitles

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