森で交わされる木々の会話
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0:01 - 0:03森の中を歩いていると
想像してみてください -
0:04 - 0:07木々の集合体が
頭に浮かんでくるでしょう -
0:07 - 0:10我々 森の管理人たちが
「林分」と呼ぶその集合体は -
0:10 - 0:13木々の粗い幹と美しい林冠から
なっています -
0:13 - 0:16樹木は確かに森林の基盤ですが
-
0:16 - 0:19森林は見えているものが
全てではないのです -
0:20 - 0:23今日 私は皆さんの森林観を
変えたいと思います -
0:24 - 0:27地下には もう1つの世界—
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0:27 - 0:30延々と経路が張り巡らされた
生物学的世界が -
0:30 - 0:33木々を繋げ互いに交流させ
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0:34 - 0:37森を あたかも1つの生き物のようにしていて
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0:38 - 0:41それは知的動物さえをも思わせます
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0:42 - 0:43こんな事を どうして知ったのか
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0:43 - 0:45その経緯をお話しします
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0:45 - 0:48私はブリティッシュ・コロンビアの
森の中で育ちました -
0:49 - 0:52森の中で仰向けに寝転がり
林冠を見上げていたものでした -
0:52 - 0:54壮観な眺めでした
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0:54 - 0:56私の祖父も大きな人でした
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0:56 - 0:57木こりで
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0:57 - 1:01内陸部の雨林で杉の木を
択伐して馬で運び出していました -
1:02 - 1:05祖父は私に森が密やかに1つに繋がり
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1:05 - 1:09その中に私の家族がどのように
編み込まれているか教えてくれました -
1:09 - 1:11そして私は祖父の志を継いでいます
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1:11 - 1:14祖父も私も 森に対する好奇心を
持っていました -
1:15 - 1:17最初に私の森に対する目が
大きく開かれたのは -
1:17 - 1:19湖畔の屋外トイレでの出来事ででした
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1:20 - 1:23家族の犬のジグスがその穴に
滑って落ちた時のことです -
1:24 - 1:27祖父はシャベルを片手に駆けつけ
ジグスを助け出そうとしました -
1:27 - 1:29可哀想なジグスは
糞尿の中で泳いでいました -
1:31 - 1:34祖父が地面を掘ったその時
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1:34 - 1:36そこに現れた根に
私はとても興味を覚えました -
1:36 - 1:39その下には のちに私が知ることになる
白菌糸体があり -
1:39 - 1:43さらに その下には
赤や黄色の鉱物の層がありました -
1:43 - 1:46最終的には祖父と私は
ジグスを助け出しましたが -
1:46 - 1:49その時 私は気付いたのです
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1:49 - 1:51木の根と土壌が一緒になった層が
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1:51 - 1:54森林の本当の土台になっているのだと
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1:55 - 1:56私はもっと知りたいと思い
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1:57 - 1:58林学を勉強しましたが
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1:59 - 2:04気付けば 商業伐採を
管理している有力者の側で -
2:04 - 2:06仕事をしていました
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2:06 - 2:10森林皆伐はもはや警戒レベルでした
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2:10 - 2:13そんな仕事の中で 私には葛藤がありました
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2:14 - 2:19それだけでなくアスペンやカバノキは
除伐や薬剤で取り除かれ その場所に -
2:19 - 2:23もっと商業的に価値のある
マツやモミの木を植えるのには -
2:23 - 2:24驚きました
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2:25 - 2:29この容赦ない産業機構の歯車は
何ものも止められないかのようでした -
2:30 - 2:31それで私は大学に戻り
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2:32 - 2:34森の隠れた分野の研究を始めました
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2:35 - 2:40その頃 研究室での実験で
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2:40 - 2:42マツの幼根同士が
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2:42 - 2:45炭素を送り合えると
分かったばかりでした -
2:46 - 2:48これは研究室でのことですが
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2:48 - 2:51森林でも起きているのだろうか
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2:51 - 2:53きっとそうだと
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2:53 - 2:57また木々は地下で情報も交換し合っている
かもしれないとも思いました -
2:58 - 3:00でもそんな理論はあまりにも問題があり
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3:00 - 3:03ばかな話だと思う人もいて
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3:03 - 3:06研究費が なかなか下りませんでした
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3:06 - 3:07それでも 私は諦めず
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3:08 - 3:12森の奥深くに入り
実験をするに至ったのです -
3:12 - 3:13それは25年前のことです
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3:14 - 3:173種の樹木から80株の子苗を育てました
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3:17 - 3:20アメリカシラカバ
ダグラスモミ、ベイスギです -
3:20 - 3:24シラカバとモミは地下網で繋がっていても
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3:24 - 3:26スギはそうではなく
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3:26 - 3:28自分だけの世界にいると
私は予想していました -
3:28 - 3:30そこで 私は自分の機器を掻き集め
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3:30 - 3:33お金がなかったので
倹約するため -
3:33 - 3:36ホームセンターの
カナディアン・タイヤに行き -
3:36 - 3:37(笑)
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3:37 - 3:40ポリ袋、ガムテープ、ブラインド・クロス
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3:40 - 3:43タイマー、使い捨て上着
ガスマスクを買いました -
3:44 - 3:47それから 大学からハイテク機器—
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3:47 - 3:52ガイガーカウンタ、シンチレーション検出器
質量分析計、顕微鏡を借り -
3:52 - 3:54そして とても危険な物を用意しました
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3:54 - 3:59炭素14、放射性同位体の
炭酸ガスが一杯の注射器と -
3:59 - 4:01高圧ボンベです
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4:01 - 4:05ボンベには炭素13、安定同位体の
炭酸ガスが入っています -
4:05 - 4:07ちゃんと許可はもらっていましたよ
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4:07 - 4:09(笑)
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4:09 - 4:10でも大事なものを忘れてしまいました
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4:11 - 4:13虫除けのスプレーと
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4:14 - 4:16熊除けスプレーと
ガスマスクのフィルター -
4:17 - 4:19あーあ
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4:20 - 4:22実験の第一日目
予定の場所に行くと -
4:22 - 4:25子連のハイイログマに
追い払われてしまいました -
4:26 - 4:29熊除けのスプレーを
持っていなかったからです -
4:29 - 4:32カナダの森での研究は
こんな宿命にあります -
4:32 - 4:34(笑)
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4:34 - 4:35その翌日戻ってみると
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4:35 - 4:38母熊と子熊は
もういませんでした -
4:38 - 4:40今度こそ ちゃんと研究を始めます
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4:40 - 4:42紙の使い捨て上着を着て
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4:42 - 4:44ガスマスクをつけ
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4:46 - 4:47それから
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4:47 - 4:50ポリ袋を苗木にかぶせ
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4:51 - 4:53巨大注射器を取り出し
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4:53 - 4:55ポリ袋に
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4:55 - 4:58炭素同位体トレーサーの
炭酸ガスをまず最初に -
4:58 - 5:00カバノキに注入しました
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5:00 - 5:02放射性ガス 炭素14を
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5:02 - 5:04カバノキの苗木にかぶせた袋に注入し
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5:04 - 5:05次はモミの木に
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5:05 - 5:09炭素同位体 炭素13の
炭酸ガスを注入しました -
5:09 - 5:11同位体は2種類使いました
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5:11 - 5:12これら3種の木々の間で
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5:12 - 5:16お互いに交流し合っているのか
調べたかったからです -
5:18 - 5:2080番目の最後の袋に
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5:20 - 5:22取りかかろうとした所
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5:22 - 5:24突然ハイイログマの母親が再び現れ
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5:24 - 5:26私を追ってきました
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5:26 - 5:28私は注射器を頭上に持ち上げ
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5:28 - 5:31蚊を追い払いながら
トラックに飛び乗り -
5:31 - 5:32思いましたよ
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5:32 - 5:34「だから みんな研究室で
研究するんだ」ってね -
5:34 - 5:35(笑)
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5:37 - 5:391時間待ちました
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5:39 - 5:40これ位の時間があれば
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5:40 - 5:43木は光合成から二酸化炭素を生成し
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5:43 - 5:46それを糖に変えて根に送り
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5:46 - 5:49そして 恐らく
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5:49 - 5:53地下で近くの木々に炭素を
送っているだろうと推測したのです -
5:53 - 5:551時間して
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5:55 - 5:56トラックの窓を開け
-
5:56 - 5:58母熊がいないか確かめると・・・
-
5:59 - 6:02良かった!向こうの方で
ハックルベリーを食べていました -
6:02 - 6:04それでトラックを降りて
仕事に再び取りかかりました -
6:04 - 6:08最初のカバノキの袋を外し
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6:08 - 6:11ガイガーカウンタを
カバノキの葉に当てると -
6:11 - 6:12シューーー!
-
6:13 - 6:15上出来
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6:15 - 6:18カバノキは放射性ガスを
吸い込んでいました -
6:18 - 6:19審判の時が来ました
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6:19 - 6:21モミの苗木まで行き
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6:21 - 6:23袋をとり
-
6:23 - 6:25ガイガーカウンタを
モミの木の葉に近づけると -
6:25 - 6:28世にも美しい音を聞いたのです
-
6:28 - 6:30シューーー!
-
6:31 - 6:33カバノキがモミの木に
-
6:34 - 6:37「お手伝いしましょうか?」と話しかけ
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6:37 - 6:41モミの木がこう答えています
「少し炭素を分けてもらえませんか? -
6:41 - 6:43誰かが私の上に布を被せて
日陰になっているんです」 -
6:44 - 6:48私はスギに近づきガイガーカウンタを
その葉の上にかざしました -
6:48 - 6:50すると予想通り
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6:51 - 6:52反応無し
-
6:53 - 6:55スギは自分だけの世界に居て
-
6:55 - 6:59カバノキとモミの木との会話網には
繋がっていないのです -
7:00 - 7:01私は興奮して
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7:02 - 7:06次から次に80ヶ所全部
植樹した苗を調べて回りました -
7:06 - 7:08この結果 明らかに
-
7:08 - 7:11炭素13と炭素14で
-
7:11 - 7:15アメリカシラカバとダグラスモミの
活発な交流が証明されたのです -
7:16 - 7:18この実験をした
-
7:18 - 7:19その年の夏には
-
7:19 - 7:23カバノキは モミの木からもらう量より
多くの炭素をモミの木に送っていました -
7:23 - 7:25特にモミの木が
陰になっている時はそうでした -
7:25 - 7:28それから後の実験で
その反対もあることが分かりました -
7:28 - 7:32モミの木はカバノキからもらう量より
多くの炭素をカバノキに与えていました -
7:32 - 7:35葉を落としていたカバノキのそばで
モミの木がまだ成長していた時です -
7:35 - 7:39この様にこの2種の樹木は
相互依存の関係にあると検証されました -
7:39 - 7:40陰と陽のようにです
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7:41 - 7:44その時点で 全てが明らかとなり
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7:44 - 7:46私はこれは大きな発見だと分かっていました
-
7:46 - 7:51森の樹木の相互関係に対する
それまでの見方を変える大発見— -
7:51 - 7:53木々は競い合っているだけではなく
-
7:53 - 7:55協力し合っているのだという
-
7:56 - 7:58確固たる証拠—
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7:58 - 8:01壮大なる地下の交流ネットワークという
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8:01 - 8:04知られざる世界の証拠を見つけたのです
-
8:04 - 8:06この時 私が心から願い
信じてやまなかったのは -
8:06 - 8:09この発見で林業のあり方が変わること―
-
8:10 - 8:12皆伐や薬剤で樹木を枯らす方法から
-
8:12 - 8:14もっと包括的で持続可能
-
8:14 - 8:17実用的でもっと低コストな方法に
変わることです -
8:18 - 8:20私は何を考えていたのでしょう?
-
8:20 - 8:22そのことは後でお話しします
-
8:24 - 8:28森林のような複雑な構造を
科学でどうすれば良いのでしょう? -
8:29 - 8:32森林の科学者ですから
森林で研究をしなくてはなりません -
8:32 - 8:34それは お話しした通り本当に大変です
-
8:34 - 8:37熊からうまく逃げ切らなくてはなりませんが
-
8:39 - 8:40なによりも
-
8:40 - 8:43いかなる困難が立ちはだかろうと屈せず
-
8:43 - 8:46直観と経験を頼りに
-
8:46 - 8:48意義のある疑問を持ち
-
8:48 - 8:51データを集め
検証しなければなりません -
8:51 - 8:56私は 森で何百もの実験を行い
それを発表してきました -
8:57 - 9:01その中でも最も古い実験農園は
30年以上前に作られたものです -
9:02 - 9:03今も確認できます
-
9:03 - 9:06そうやって森の科学者は研究しています
-
9:06 - 9:09では科学についてお話ししたいと思います
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9:09 - 9:12アメリカシラカバとダグラスモミは
どう交流していたのでしょう? -
9:12 - 9:16彼らは 炭素という言葉で
会話していただけでなく -
9:16 - 9:20窒素やリンや水
-
9:20 - 9:24情報としての防御信号、
アレル化学物質、ホルモンという言葉で -
9:24 - 9:26会話をしていました
-
9:26 - 9:29実は 私の発見以前にも
科学者の間では -
9:29 - 9:33地下における「菌根」という
共生関係がこれに関わっていると -
9:33 - 9:34考えられていました
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9:34 - 9:38菌根とは文字通り「菌の根」です
-
9:38 - 9:42森林を歩くと樹木の生殖器官が見られます
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9:42 - 9:44キノコがそうです
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9:44 - 9:47でもキノコは ほんの一部に過ぎません
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9:47 - 9:51キノコの柄からは 菌糸が延び
菌糸体を形成しています -
9:51 - 9:54その菌糸体は
樹木を含む全ての植物の根に -
9:54 - 9:56着生し繁殖します
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9:56 - 9:59真菌細胞が根の細胞と交わると
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9:59 - 10:02栄養分と炭素との交換が行われます
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10:02 - 10:03菌根菌は 土壌内で広がり
-
10:03 - 10:07土の粒子1粒1粒を包み込み
そこから栄養分を吸収します -
10:08 - 10:12菌糸体はぎっしりと張り巡らされており
我々が一歩踏み出すその下には -
10:12 - 10:15何百キロの菌糸体があることでしょう
-
10:15 - 10:20菌糸体はさらに
同種の樹木間だけでなく -
10:20 - 10:26カバノキやモミの木など
異なる樹種間も繋ぎ -
10:26 - 10:28インターネットのような働きをしています
-
10:30 - 10:32ほかのネットワークと同様
-
10:32 - 10:34菌根ネットワークにも
ノードやリンクがあります -
10:35 - 10:39我々が作成したこの地図は
ダグラスモミの森の一角にある -
10:39 - 10:44全ての木と菌根菌のDNAの短配列を
1つ1つ調べて作成されたものです -
10:44 - 10:48この絵の丸はダグラスモミのノードです
-
10:48 - 10:52線は菌根菌で繋がっているリンクです
-
10:53 - 10:57最も大きな濃い色のノードは
一番頻繁に活動している木です -
10:57 - 10:59我々は これらをハブとなる「ハブ木」
-
10:59 - 11:02もっと愛情を込めて
「母なる木」と呼んでいます -
11:02 - 11:05なぜなら こういうハブ木は
-
11:05 - 11:09低木層の若い木々の
世話をしているからです -
11:09 - 11:11黄色い丸が見えると思いますが
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11:11 - 11:15それは 古い母なる木のネットワーク内で
-
11:15 - 11:16根付いた実生苗です
-
11:16 - 11:211つの森の中で 1つの母なる木が
何百もの木と繋がっていることもあります -
11:22 - 11:24同位体トレーサで調査したところ
-
11:24 - 11:26母なる木が
-
11:26 - 11:29菌根ネットワークを通して
余分の炭素を -
11:29 - 11:31低木層の苗に与え
-
11:31 - 11:34苗の生存率を4倍にしていることが
-
11:34 - 11:35分かりました
-
11:36 - 11:39誰でも自分の子供は可愛いものです
-
11:39 - 11:42ダグラスモミも自分の子供を
認識できるのでしょうか? -
11:44 - 11:46母熊が自分の子熊が分かるように
-
11:47 - 11:48それで ある実験をしました
-
11:48 - 11:52母なる木の元で その苗木と
他の木からの苗木を一緒に育てました -
11:52 - 11:55すると母なる木は自分の子供を
確かに認識するのです -
11:55 - 12:00母なる木は自分の子供たちを
自分の庇護下に置き 菌根ネットワークを拡げ -
12:00 - 12:03自分の子供たちには
地下でもっと炭素を送ります -
12:03 - 12:05また自分の根が広がりすぎないようにして
-
12:05 - 12:08子供たちが根を伸ばせる場所を作ります
-
12:08 - 12:12母なる木が傷ついたり死にかけると
-
12:12 - 12:16次の世代に生きる知恵を受け渡します
-
12:17 - 12:20同位体トレーサで突き止められたことは
-
12:20 - 12:21炭素は 傷ついた母なる木から
-
12:21 - 12:24幹を通り 菌根ネットワークに
-
12:24 - 12:26そして周りの若い木々にと
-
12:26 - 12:29防御信号と共に
送られているということでした -
12:29 - 12:31そしてこれら2つの組み合わせで
-
12:31 - 12:35若木が これから受ける
ストレスに対する耐性が強化されるのです -
12:35 - 12:38そうです 木々は話すのです
-
12:39 - 12:41(拍手)
-
12:41 - 12:42ありがとうございます
-
12:45 - 12:48木々は会話を交わし合いながら
-
12:48 - 12:50自分たちのコミュニティ全体の耐性を
強化しています -
12:51 - 12:56それは我々の社会共同体や
家族を思わせます -
12:56 - 12:57そうでない家族もありますが
-
12:57 - 12:59(笑)
-
13:00 - 13:01本題に戻りましょう
-
13:02 - 13:05森は ただの木の集合体というだけでなく
-
13:05 - 13:08ハブとネットワークを備えた
複雑なシステムです -
13:09 - 13:12その中の幾重にもなる繫がりが
木々を繋げ 互いに交流させ -
13:12 - 13:16それが情報交換や環境適応の手段となり
-
13:16 - 13:18森の再生能力を高めています
-
13:18 - 13:23それは多くのハブ木があり
ネットワークも重なり合っているからです -
13:23 - 13:25しかし森はとても傷つき易いものです
-
13:25 - 13:28自然の災い—
-
13:28 - 13:32例えば古い大木を好んで攻撃する
キクイムシだけでなく -
13:32 - 13:34大木を狙った択伐や
皆伐からも痛手を受けます -
13:35 - 13:38ハブ木 1、2本くらい
と思うかも知れませんが -
13:38 - 13:41それだけ無くなっても
森は元に戻れなくなってしまいます -
13:41 - 13:44ハブ木は 飛行機の部品
リベットとは違います -
13:44 - 13:47リベットの1つや2つが外れたとしても
飛行機は飛べますが -
13:47 - 13:49命取りになるのが外れたり
-
13:49 - 13:52翼を止めていたリベットが取れると
-
13:52 - 13:54機体のシステムは崩壊してしまいます
-
13:55 - 13:58さあ 森に対する見方は変わりましたか?
-
13:58 - 13:59(観衆)はい
-
13:59 - 14:00いいですね
-
14:01 - 14:02嬉しいです
-
14:03 - 14:07先程 私の研究での発見で
林業のあり方が変わればいいと -
14:07 - 14:10私が言ったことを思い出して下さい
-
14:10 - 14:14そうなっているか ここ カナダ西部の
30年後の今を調べてみたいと思います -
14:23 - 14:25ここから約百キロ西に行った
-
14:25 - 14:28バンフ国立公園の境界にある森です
-
14:29 - 14:31皆伐された所が多く
-
14:31 - 14:32あまり自然が残っていません
-
14:34 - 14:392014年に世界資源研究所は
過去10年間でカナダは -
14:39 - 14:43世界で最も森林破壊が進んだ国だ
という報告書を出しています -
14:44 - 14:46きっとブラジルだと思われていたでしょう
-
14:47 - 14:51カナダの森林破壊率は年に3.6%です
-
14:51 - 14:55私の推定では それは
再生可能な伐採率の約4倍です -
14:57 - 15:01このような大規模な破壊は
水循環に悪影響を及ぼし -
15:01 - 15:03野生動物の生息環境を乱し
-
15:03 - 15:06大気中に温室効果ガスを放出させる
ということが分かっています -
15:06 - 15:09これは樹木に取って打撃となり
立ち枯れが増えてしまいます -
15:11 - 15:14それだけでなく特定の1、2種だけを植え
-
15:14 - 15:17アスペンやカバノキを除伐し続けることで
-
15:17 - 15:20森が単純化され 多様性がなくなり
-
15:20 - 15:23樹木は感染や害虫に対する
耐性を失ってしまいます -
15:23 - 15:25気候変動が進むにつれ
-
15:25 - 15:28あらゆる厄災が
非常事態を起こしています -
15:29 - 15:33その極端事象の例として
アメリカマツノキクイムシの大量発生が -
15:33 - 15:35北米で広がったことや
-
15:36 - 15:39この数ヶ月間にアルバータ州で起きた
大規模な山火事があります -
15:41 - 15:43最後の質問に移りたいと思います
-
15:45 - 15:47森林を弱体化させないで
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15:47 - 15:50気候変動に立ち向かえるよう
どう森林を強化できるでしょうか? -
15:52 - 15:56複雑なシステムである森林が素晴らしいのは
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15:56 - 15:59その限りない自己回復力です
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16:00 - 16:01最近の我々の実験で
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16:01 - 16:05一部皆伐により ハブ木を残し
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16:05 - 16:09多様な樹種、遺伝子、遺伝子型の
再生を維持することで -
16:09 - 16:13菌根ネットワークが
実に早く回復するとわかりました -
16:14 - 16:18これを念頭に置き
4つの簡単な解決法を提案します -
16:18 - 16:22行動に移すにはあまりに複雑すぎる
という言い訳は通りません -
16:23 - 16:26まずは みなさん
森に行かなくてはなりません -
16:28 - 16:32地域と森林との関わりを
再び取り戻すべきです -
16:32 - 16:34ほとんどの森は現在
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16:34 - 16:37一律の やり方で管理されていますが
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16:37 - 16:41うまく森林を管理するには
地域の状況を知る必要があります -
16:42 - 16:46第二に 原生林を残さなくてはなりません
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16:47 - 16:53原生林は 遺伝子、母なる木
菌根ネットワークの宝庫だからです -
16:55 - 16:57それには伐採を減らすべきですが
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16:57 - 16:59伐採禁止でなく控えめにという意味です
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17:00 - 17:03第三に 伐採をする時は
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17:03 - 17:05太古から受け継がれて来た自然
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17:05 - 17:07母なる木 菌根ネットワーク
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17:07 - 17:10木々 遺伝子などを
保持する必要があります -
17:10 - 17:13そうして 母なる木の知恵が
次世代の樹木に受け渡され -
17:13 - 17:16若木が これから直面する障害に
対抗できるようにするのです -
17:17 - 17:19我々は自然保護に
真剣に取り組むべきです -
17:20 - 17:23第四番目 最後に
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17:23 - 17:28我々の森を 種や遺伝子型や構造の
多様性が備わった森に -
17:28 - 17:29再生させるのです
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17:29 - 17:32植樹したり 自然回復させたりして
再生しなければなりません -
17:33 - 17:36自然が必要とする
道具を用意してあげ -
17:36 - 17:38自らの力で回復させるのです
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17:39 - 17:41森林では 木々は
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17:41 - 17:44ただ生存競争しているだけではなく
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17:44 - 17:46素晴らしく協力し合っているのです
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17:47 - 17:48私の犬ジグスはというと
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17:48 - 17:53ジグスは屋外トイレに落ちて
私をこの隠れた世界に導いてくれ -
17:53 - 17:56私の森林観を変えてくれました
-
17:56 - 17:59皆様の森林観もこの私のトークで
変わったことを願っています -
17:59 - 18:00ありがとうございました
-
18:00 - 18:06(拍手)
- Title:
- 森で交わされる木々の会話
- Speaker:
- スザンヌ・シマード
- Description:
-
「森は見えているものが全てではない」と言う生態学者のスザンヌ・シマードは、カナダの森での30年間に渡る研究で、木々はお互いに会話をしているという驚くべき発見をしました。それも、かなりの距離を隔ててでも、しばしば会話をしていたのです。調和のとれた、それでいて複雑な木々の社会生活についての話をお聴き下さい。きっと自然を見る目が一変しますよ。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 18:24
Mari Arimitsu approved Japanese subtitles for How trees talk to each other | ||
Mari Arimitsu edited Japanese subtitles for How trees talk to each other | ||
Mari Arimitsu edited Japanese subtitles for How trees talk to each other | ||
Mari Arimitsu edited Japanese subtitles for How trees talk to each other | ||
Mari Arimitsu edited Japanese subtitles for How trees talk to each other | ||
Yuko Yoshida accepted Japanese subtitles for How trees talk to each other | ||
Yuko Yoshida edited Japanese subtitles for How trees talk to each other | ||
Reiko Bovee edited Japanese subtitles for How trees talk to each other |