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誇りが変える街の可能性 | 松下 麻理 | TEDxKobe

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    誰もが住み続けたい街 誇りに思える街
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    それはどんな街だと思いますか?
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    そしてそんな街にするために 私達が
    できることは どんなことだと思いますか?
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    私は五年前に 広報の専門職として
    神戸市役所に入りました
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    神戸市役所の色んな部署に取材に行く中で
    私が気付いたのは
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    この社会の中には 私が想像していた以上に
    多種多様な課題が存在するということでした
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    例えば環境問題 子供の安全や子育て
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    防災や減災
    人口減少社会 超高齢社会
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    こういった問題はとても根深く
    そして複雑に絡み合いながら
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    私達の日常生活に深く影響しています
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    社会課題の解決は
    そう簡単なことではありません
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    誰もが 「どこかで誰かが
    なんとかしてくれてるんだろう」と
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    遠い世界のことのように考えがちです
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    実は私も市役所には入るまでは
    そう考えていました
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    例えば 超高齢社会に関する課題
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    日本の高齢化比率は 急速に進んでいます
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    人口統計調査では 平成22年には
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    働く世代の人3人で1人のお年寄りを支える
    という状況でした
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    それが平成37年には 働く世代の人2人で
    1人のお年寄りを支える
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    という時代に突入すると言われています
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    こういう時代をいかに生き抜くか これは
    私達みんなに突き付けられた課題です
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    大切なのは 見守り合う目を持つことです
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    認知症の初期には
    同じことを何回も聞くとか
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    自分で電話番号を調べて
    かけることができない
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    というような症状が現れます
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    このようなサインに早めに気付いて
    お医者様に相談することで症状は改善されます
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    家族はもちろん 近所の人
    いつもお買い物に行くお店の人が
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    「あれ?最近おじいちゃんの様子ちょっと
    変だな」ということに気付いてあげることで
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    その人は少しでも長く自分らしい
    暮らしをすることができるようになるのです
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    見守り合う目を持つことは 
    子供を虐待から守る上でも重要です
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    神戸市子供家庭センターが
    対応するケースの中で一番多いのは
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    虐待者が実の両親であるということです
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    93%もの子供が実の親から
    虐待を受けているのです
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    どんなにひどい虐待を受けても
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    子供は親との関係性を
    絶たれたくない一心で
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    自分から他の人に訴えることはしません
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    保護されてからも
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    「自分が悪い子だったから」と
    親をかばう子供が少なくないと言います
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    近所の人が
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    「夜中に独りでポツンと
    公園にいる子供がいる」とか
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    「異様な泣き声が近くから聞こえる 」
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    こういったことに気付いて
    通報することによって
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    虐待の連鎖は止められるかもしれません
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    このように 近隣の人たちが果たす役割は
    大きく そして重要です
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    一人暮らしのおばあちゃんの異変や
    子供の深刻な状況に
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    誰かが気付きそして
    適切な行動を起こすことによって
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    その人達の未来は大きく変わるのです
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    私は行政広報の仕事をしながら
    このような情報を発信し続けてきました
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    けれども 反応は驚くほど少なく
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    多くの人の関心を集めることは
    とても困難なことでした
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    もちろん このような情報が
    大切なことであるということは
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    ほとんどすべての人に
    理解していただけると思います
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    助けあう社会ができれば良いに決まっている
    みんなそう思っているはずです
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    けれども 実際の行動に結びつかない
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    それはなぜでしょうか?
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    「自分ごとにできない」というのが
    その答えなのではないでしょうか?
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    現代社会は 無縁社会という言葉で
    言い表わされるように
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    人と人との繋がりが希薄になって
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    「自分のプライベートに
    入り込んで欲しくない」
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    「おせっかいだと思われたくない 」
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    と思うような人が増えてきています
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    また 「自分一人が何かをしたところで
    社会が変わるわけはない」
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    という風に考える人もいるでしょう
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    でもそれでいいのでしょうか?
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    今は元気で順調に暮らしていても
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    ある日突然 誰かの助けが必要に
    なることが あるかもしれません
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    そんな人が第一歩を踏み出すきっかけは
    どこにあるのだろう?
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    それは「街を想う人を増やす」という
    ごくシンプルなことではないのかな?
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    と私は考えました
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    神戸は20年前に
    阪神淡路大震災を経験しました
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    震災の発生直後から 復興の
    長い過程の中で
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    様々な社会課題が浮き彫りになりました
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    今まで経験したことのないような
    状況の中で
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    みんなが生きるために 近所の人と繋がり
    そして助け合うという状況になりました
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    震災発生直後に倒壊家屋の中に
    閉じ込められた人を救ったのは
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    多くが近所の人
    その割合は64%にも上ります
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    その後も 避難所で仮設住宅で
    様々な地域で
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    多くの助け合いの活動が
    生まれていきました
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    中には うまくいったことも
    うまくいかなかったこともあったと思います
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    けれども 「大きな困難に出逢った時には
    助け合う」 という気持ちが
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    神戸の人の心の中に刻み込まれたことは
    間違いないと思います
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    そして今 神戸の中には
    自分たちのアイデアで
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    街の課題を解決しようと
    活動する人たちがいます
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    その活動のきっかけは
    多くが震災なのです
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    震災から20年を機に 神戸市は
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    「BE KOBE 神戸は人の中にある」
    というメッセージを発信しました
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    震災をきっかけに
    様々な社会貢献活動をしてきた
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    75人の人のインタビューを掲載し
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    神戸の一番の魅力は
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    復興のために力を尽くしてきた
    「人」なのだ と訴えたのです
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    紹介した人のプロフィールは様々です
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    被災体験を基に
    防災訓練を行う地域のリーダー
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    震災の時に支援をしてもらったことが
    きっかけで 今も被災地支援を続ける人達
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    こういった震災関連の
    活動をする人はもちろんですが
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    地域みんなで子供を見守る
    育てることを提唱する育メンや
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    外国人も暮らしやすい社会を創る
    活動を行う地域活動家
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    商店街を中心に街の活気を創りだそうとする
    お惣菜屋さん
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    こういった人たちも含まれます
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    中には 震災の時に何も考えなかった
    ということをバネに
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    今では4万人の人を集めるチャリティー
    イベントを開催する音楽プロデューサーや
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    東北の被災地にボランティアに行った時に
    神戸の被災体験を聞かれて
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    何も答えられなかったこと[に]気づき
    当時の聞き取り調査を始めた高校生
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    こういった人たちも含まれます
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    このような活動をする人達を
    紹介することによって
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    自分たちの街にもこんな人がいるんだ
    ということを知り
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    自分もこの街の一員なんだ
    ということを誇りに思い
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    そして自分にも何かできることがある
    と思う人が増えていくのではないか
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    と考えたのです
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    私達が発信した BE KOBEの想いが
    集約された文章がありますので
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    ここで紹介したいと思います
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    「震災から20年
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    この歳月の中で
    ひとつ はっきりしたことがあります
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    それは 「神戸の様々な魅力の中で
    一番の魅力は人である」 ということ
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    この街には
    街の復興のために力を尽くす人々がいます
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    困っている人に対して 当然のように手を差し
    伸べる人が いまだに数えきれないほどいます
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    人は どれほどの困難に出逢っても
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    それでも前を向き 心を合わせて生きていく
    大きな力を持っている
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    そのことを教えてくれた20年を
    私達は大切にしたいと思います
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    それぞれの心の中で育まれてきた
    それぞれの神戸
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    BE KOBEは
    一人ひとりにそれを語ってもらい
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    みんなで共有し 歩みを進めるための
    取り組みです
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    あなたもあなたの中の神戸と
    今一度向き合ってください」
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    このメッセージには
    発表直後から大きな反響が現れました
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    「これこそが神戸」
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    「この想いを自分たちの手で広めたい」
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    といった声を上げる人が
    次々と現れ始めたのです
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    今からお見せする写真は
    5月の2日から4日に
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    北野町のインフィオラータの会場で
    撮影したものです
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    震災からの心の復興を願って始まった
    花絵のイベント「インフィオラータ」
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    今年は街の人たちが BE KOBEをテーマ
    にした 花絵を作って下さいました
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    会場の一角では
    絵本画家のスズキコージさんが
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    子供たちと一緒に BE KOBEをテーマにした
    巨大な塗り絵を描いて下さいました
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    スズキコージさんは
    震災の後 神戸に移住して来られています
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    子供たちももちろん
    震災を体験していません
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    この絵は
    震災を経験した人も経験していない人も
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    共に神戸が経験したことを
    前向きに 未来に伝えていこう
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    という想いで描かれた絵なのです
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    こういった楽しいイベントに
    参加することからも
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    街への愛着や地域の繋がりは
    生まれると思います
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    阪神淡路大震災は神戸の人にとっては
    とても不幸な出来事でした
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    けれども いずれまた
    そう[いう]災害は起こるであろうし
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    どこかで誰かが
    直面しなければなりません
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    だからこそ私達は 
    あの経験をもう一度みんなで共有し
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    どう助け合っていくか?
    どう立ち直っていくか?ということを考え
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    準備し続けなければなりません
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    そしてそうすることは
    私達が今暮らしている社会の中に
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    山のように存在する社会課題を
    解決することに繋がると思います
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    BE KOBEはまだ産まれたばかりです
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    この言葉が人々の心の中に染みこんで
    いくのには 長い時間がかかると思います
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    そして人々の行動に結びつくのには 気の遠く
    なるような時間がかかるのかもしれません
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    けれども 人々が「BE KOBE 」
    「神戸であれ」と心の中でつぶやく時に
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    この街を誇りに思い 街のために
    そして 自分以外の誰かのために
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    力を尽くす人でありたい 
    そう感じるのであれば
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    社会課題解決の第一歩になるものだと
    私は信じています
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    方法は様々でも それぞれの人が
    そんな第一歩を歩み出すことで
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    街の可能性は大きく拡がります
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    自分が住んでいる地域社会と繋がり
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    自分たちのアイデアで
    暮らしやすい街を創っていく人達
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    誰かがやってくれるのを待つのではなく
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    自分自身が主体者となって
    街に関わっていく人達
  • 15:00 - 15:03
    私達はBE KOBEを通じて
  • 15:03 - 15:07
    街を想う仲間を増やしていきたい
    と思っています
  • 15:08 - 15:10
    ありがとうございました
  • 15:10 - 15:13
    (拍手)
Title:
誇りが変える街の可能性 | 松下 麻理 | TEDxKobe
Description:

このビデオはTEDカンファレンスとは独立して運営されるTEDxイベントにおいて収録されたものです。
市政広報を通し、街を良くしようとした松下麻里は戸惑っていました。必要なことを発信し続けても、地域社会が良くなっていく実感を得られずにいたからです。なぜ、人は地域社会の課題を自分ごとにできないのか?そこで、彼女はあるプロジェクトを開始します。そこには街の未来を輝かせるヒントがありました。

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Video Language:
Japanese
Team:
closed TED
Project:
TEDxTalks
Duration:
15:24

Japanese subtitles

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