Black Lives Matter（黒人の命は大切）運動の発起人らとの対談

SNSに端を発したBlack Lives Matter（黒人の命は大切）運動は、人種問題や世界に広がる格差問題の議論に火を付けました。ミア・バードソングとの対談で、この運動の発起人３名は、リーダーシップについて彼女たち自身が何を学び、つらい現実に直面した時に希望と励みとなるものは何かを語ります。全ての人たちの自由を守るために活動していくには「まず何かに参加し、何かを始めること。そして切磋琢磨して共に前に進みましょう」と訴えかけます。

「Black Lives Matter」は
なぜ アメリカや世界中で

支持されているのでしょう？

Black Lives Matterは
行動を起こすきっかけです

この運動は
黒人が自由に暮らし

自由に生きる世界を 改めて思い描くための

手段であり

私たち一人ひとりの存在を
明確に示す手段です

私は重点的に警戒される地域で
育ちました

兄弟姉妹が警察に呼び止められ

身体検査を受けるのを
よく目にしました

我が家が家宅捜索されたことを
覚えています

私は幼心に思いました「なぜ？」

「なぜ私たちが？」

Black Lives Matterは
この問いに答えを与えます

世界中の黒人の少女たちに
自分たちのために闘うのは当然のことであり

自分たちのために
自治体に働きかけても構わないのだと

新しいビジョンを与えます

そして反黒人主義…

（拍手）

反黒人主義の問題は
アメリカだけではありません

実は世界中で起きています

そしてこれまで以上に必要なのは
人権運動で―

どのような状況下で起きているものであっても
制度的人種差別と戦うことです

（拍手）

というのも世界の現実といえば

黒人があらゆる困難な状況下で
格差に苦しんでいることが

私たちの直面している
最大の課題だからです

気候変動に関して言うと

気候変動で最も大きな被害を受ける国
10か国中６か国は

実のところ
アフリカ大陸にあります

人々は次々に起こる異常な災害に
見舞われ

先祖代々の住まいから追い出され

人並みに暮らす機会すら
与えられずにいるのです

他にも最近では
ハリケーンマシューが

多くの国々に
大惨事をもたらしましたが

ハイチの被害は壊滅的でした

ハイチは西半球の最貧国で

その住民のほとんどが黒人です

そこで私たちが目にしたのは

ハイチの人々が
このハリケーン以前から

あらゆる難題に直面する姿でした

彼らは地震に恐怖を感じ

PKO部隊が持ち込んだ
コレラに怯え

その病は
未だに根絶されずにいます

実に許しがたいことです

ハイチが黒人の国でなければ
この惨事は起こらなかったと思います

この現実と
向き合う必要があります

しかし最近よく耳にするのは

これらの困難にもかかわらず

アフリカ人ネットワークが

アフリカ大陸全域で

立ち上がり 公平な温暖化対策を
求めているということです

（拍手）

それはつまり

黒人が自由になれば全ての人が―

自由になるということですか？

どういう意味か教えてくれますか？

ええ

私が思うに この国では
人種や人種差別について

社会 経済そして政治的に
よく研究されていますが

全く理解されていません

実は アメリカ人の人種には

黒人から白人まで
グラデーションがあります

その中間の人種なら
差別を受けないというのではなく

より白人に近い人種ならば
少しは良い生活を送れる

という意味です

そしてより黒人に近い人種の場合は

生活はより惨めになります

この国における
様々な問題の取り組み方は

トリクルダウン理論を用いて
始めることがよくあります

つまり白人が
私たちの言葉を代弁するのです

白人の状況が良くなれば

他の人種にもその恩恵が及ぶ
という理論です

実はそう上手くはいきません

私たちはこの問題に
根底から取り組むべきであり

黒人社会の問題に取り組めば

活力が沸き起こると思いませんか？

滴り落ちる（トリクルダウン）よりも
沸き立たせましょう

一つ例を挙げましょう

賃金格差の話をすると

この話が出ます「男性が1ドル稼ぐときに
女性は78セントしか稼げない」

皆さんご存知ですね

しかしこれは
白人の男女間の統計値です

現実は白人男性が1ドル稼ぐときに

黒人女性は
64セントほどしか稼げません

ラテンアメリカ系女性の場合は
58セントに下がります

先住民の女性や

トランスジェンダーの女性は

さらに低い賃金になります

もう一度言います

もし 一番の被害者たちに対処すれば

誰もが恩恵を受ける
可能性が広がります

悪影響がそれほどでもない人たちを
助けて その恩恵が―

さらに下に届くのを
期待するよりましです

だからこそ
沸き立つ活気が大好きです

シャンパンの泡みたいにフツフツと

（笑）

シャンパンは
皆さん好きですよね？

シャンパンも自由も
好きですよね？

（笑）

最高の組み合わせですよね？

つまり皆さんが行ってきた
この運動が

さらに数年続けば―

想像もできませんが

かなりの影響力があるのは
確かです

皆さんはリーダーシップについて
多くを知っています

リーダーシップの何を

会場の皆さんに伝えたいですか？

パトリス どうぞ

黒人のリーダーシップに
力を入れるべきだと

この数年間で学びました

（拍手）

私たちは 何千人もの黒人が
インフラ整備や生活支援が―

全くない状況を訴えているのを
目にしました

社会的運動のリーダーという仕事は
自分たちが前に立つだけでなく

どうやって全体が見えるようにするか
という問題です

どの様に戦えば
個々のためだけではなく

皆のためになるだろうか？

また私が思うに

Black Livesで見られる
リーダーシップは

この会場の皆さんと似ています

皆さんはここへ来て
話を聞くだけはありませんよね？

職場であろうと
家であろうと

リーダーになる方法を考え

この運動は
自分たちだけのためではなく

皆のためになると信じています

（拍手）

オパール あなたはどう？

私は互いに任せあうことを
大いに学んだところです

そしてチームを信じることを
学んだところです

３か月のサバティカル休暇の後

私は 新たなスローガンを見出しました

黒人女性リーダーのサバティカルは
まれなことですが

でも私のリーダーシップと
チームの皆にとって

私が一歩引くことも大事なんだと感じました

ときには打って出ることも
大事なのはもちろんですが

この過程で私はこんなことを学びました

個々人が持つ
様々な能力を活かすことが

チーム全体のためになることを
認識して

お互いに意見を交わし
輝けるようにするべきです

私が長期休暇の間に

チームが 私が関わっているある組織と

私がいなくても協働プロジェクトを
開始したと知りました

彼らは
新たなプログラムの立ち上げと

資金集めに成功しました

チームに戻った私は

たっぷりの感謝の気持ちと賛辞を
送らねばなりませんでした

というのも 彼らは
見事に私の穴を埋め

お互いに協力しあって
これを達成してくれたからです

この時の出来事で

ふと頭に浮かんだのは

正にアフリカ南部のUbuntu
（思いやり）の哲学でした

「あなたがあって私がいる」

「私があってあなたがいる」

そこでリーダーシップを
明確に理解しました

彼らの協力があってこそ

私は成果が出せるのだと
そうですよね？

私はその事実を認め
目を向けるべきです

そこから導き出したスローガンは
「穏やかな気持ちでチームを信頼すること」

そして

「穏やかな気持ちでチームに感謝すること」

Black Lives Matterの活動において

他の何よりも耳にするのは

優れた統率力と

素晴らしいコンセプトです

私が思うに

女性がリーダーシップを
度々話題に挙げられるのは

全員参加の集団だからです

アリシア あなたは？

そうですね…

リーダーは孤独だと
聞いた人は何人いますか？

リーダーシップには
孤独の要素があると思います

しかし必ずしもそうとは
限らないとも思います

私たちがそのスタンスに
至るまでには

いくつか
やるべきことがあります

一つは リーダーを
英雄扱いするのを止めることです

私たちは皆
特別な事に挑む普通の人間です

だからこそ 今話したような
支援が必要なのです

その他 リーダーシップについて
学んだことは

リーダーと有名人は
違うということです

問題の解決に挑む人間が
いつの間にか

有名人に変わってしまう事があります

有名人は
気まぐれに振り回されますよね

人気者だったはずが

翌日には
服のセンスが悪いと言われ

突如問題も噴出したりします

つまり より多くの人が
リーダーになるよう

リーダーを祭り上げるのを
止めるべきです

多くの人は
リーダーになることを恐れています

それは
リーダーに対する注目度や

人々の残忍さが関係しています

リーダーシップについての学びの
最後の点はこうです

皆に気に入られているときなら
リーダーを務めるのは簡単です

しかし 厳しい選択をせまられたときや

正しいけれども

気に入られない行動が求められるときに
リーダーを務めるのは大変です

そういった面で

私たちは別の方法で
リーダーたちを支えられます

共に闘うということですが

個人的にではなく
政治的に闘うということです

対立することなく
議論を重ねるのも良いですが

お互いを高め合うには

鋭くなるのも重要です

素晴らしいですね

（拍手）

つまり皆さんの取り組みの中では

冷酷で痛ましい現実に
毎日のように直面する

ということですね

この活動の何が

皆さんの
希望と励みになっていますか？

私は黒人の将来に期待しています

というのもこの社会では
黒人というと―

死のイメージが
深く根付いています

亡くなった黒人の画像はテレビや

ツイッター

フェイスブックで見られますが

それより生きている黒人を
想像してはどうでしょう？

黒人が生きて活躍する姿を
想像するのです

それこそが

私の励みです

私は移民たちの姿に胸が躍ります

世界中の移民たちが生きるために

自立して逆境を糧にしようと
最善を尽くしています

現在 2億4400万人以上の人々が

母国を離れて暮らしています

これは2000年以来
40パーセント増えています

この数字から分かるのは

世界の格差が
より悪化しているということです

けれどもその中には
決意して渡航する手段を見出し

移住して

家族や愛する人と共に

慎ましく生きようと
努力している人もいます

また移民の中には

不法入国者もいます

非正規移民です

彼らは私のやる気を
さらに高めました

その理由は
社会から邪魔者扱いされ

蚊帳の外に置かれ

そして彼らの存在は実に脆く
虐待や給与泥棒に遭い

搾取され
外国人嫌いの攻撃に遭っても

その多くがコミュニティを
作り始めています

また 私が見たところでは
体制側に立ち向かう

黒人の不法滞在者たちの
ネットワークも台頭し

不法滞在の犯罪化に
抵抗しています

ここにとてつもない力強さを感じ

日々の励みとなっています

ありがとうございます

アリシアは？

現在そして未来を担うのは
若者たちです

しかし 私の励みとなるのは
年配者です

彼らはこの運動に参加する中で
変化しています

人は年を取るにつれて

自分の考えに
固執するようになります

私も例外ではありません

しかしこんな人たちが私の励みになりました
自分の仕事の仕方や

世界の見方を持っている人たちですが

私たちがどんな経験をして
正義のある社会に暮らしたい

公正な世界に暮らしたいと
訴えているのかと

勇敢にも心から耳を傾けています

この運動に尽力する
年配の人たちの行動に

感動しました

権力と主導権を手にすると
こう言うのです

「私らは聖火を渡しているのではない

火おこしを手伝っているんだよ」

（拍手）

素敵な言葉ですね

本当に

行動を起こすという点で

ここに座って
皆さんのお話が聞けて光栄です

広い心で変化を受け入れる
ということですが

それだけでは
黒人の自由は得られませんね

もしもこの会場にいる皆さんや

世界中の視聴者に
一つお願いするなら

それは何ですか？

手短に２点お願いします

まずホワイトハウスに
電話してください

水の保護者
（水源を守る先住民）たちが

命の源泉を守るために設置した
キャンプから強制排除されています

これは私たちの運動と
複雑に関連しています

直ちにこれを止めるよう
ホワイトハウスに訴えてください

そこの水源を守ろうと

抗議している人たちが
今も次々と逮捕されています

（拍手）

二つ目にあなたができることは

何かに参加することです

一員になるのです

グループでも
団体でも良いでしょう

非営利の必要はありません
分かりますね？

しかし現在「黒人の命は大切
故に全ての命は大切」を

確立するために
取り組むグループもあります

参加しましょう

腰を上げて
あなたの考えを伝えてください

共に行動しましょう

付け加えることはありますか？

十分ですか？では―

何かに参加するには

参加する場所が無くても
始めることです

始めましょう

ここで話していることは

他の誰かへとつながります

つまり 言いっぱなしにせずに

実際に何かを始める決意をするのです

その通り

皆さんがその見本です

何かを始めて
結果をしっかりと見て行くのです

貴重なお話
ありがとうございました

ありがとうございます

（拍手）