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ベン・ソーンダーズ: なぜ家を出なきゃいけないの?

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    そりを引くことが私の本来の仕事
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    知性を問われる
    なんてことはないですね
  • 0:06 - 0:07
    今年受けたインタビューの中で
    こんな質問がありました
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    今年受けたインタビューの中で
    こんな質問がありました
  • 0:10 - 0:13
    ”哲学的に
    継続的な情報の供給は
  • 0:13 - 0:16
    私達の想像力を
    奪うのでしょうか?
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    または 達成への期待を
    取り換えてしまうのでしょうか?
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    結局は どこかで
    誰かがやっていることに
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    ネット上で参加が出来るのなら
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    わざわざ家を出る
    必要があるでしょうか?"
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    私は極地探検家として
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    紹介されることが多いです
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    とても今時な肩書きだとは
    思いませんが
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    私は人生の2%を北極圏のテントで過ごしています
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    要は 私はよく外出します
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    私は本質的に
    傍観者や思索家ではなく
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    行動を起こす人間です
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    今日探っていくのは
    この二分性
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    アイデアとアクションの隔たりです
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    12年間 ずっと私に付きまとっている
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    ”なぜ?”という質問の
    もっともな解を見つけたのが
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    後列 左から2番目のしゃれた紳士
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    みなさんもご存じかと思いますが
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    ジョージ・リー・マロリーです。
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    1924年 彼はエベレストの山頂近くで
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    雲の中に消えていきました
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    彼がエベレストに登った最初の
    人間かもしれない
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    エドモンド・ヒラリーの
    30年以上も前にです
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    真実は 未だ謎のままですが
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    「そこに山があるから」
    という名言を残したとされています
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    本当に彼がそう言ったのかという
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    証拠はありません しかし実は
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    彼は他にもすばらしい言葉を
    残しているのです
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    印刷してきたので 読みます
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    ”まず1番はじめに問われて
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    私が必ず答えなければいけない
    質問がこれです
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    何のためにエベレストに登頂するのか?
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    即答です
    何のためでもありません
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    得なんてちっともない 見込もない
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    まぁ 山の上での人間の
    生命現象について
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    少しは分かるかもしれません
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    そして 医者たちが 私たちの発見を
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    航空学に活かしてくれるかもしれません
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    でも メリットはそれぐらいでしょう
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    金や銀の欠片を持って帰る
    こともありません
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    宝石や石炭や鉄もです
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    耕作できるような土地も見つかりません
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    本当に何のためにもならない
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    人間には エベレストからの挑戦に
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    反応し それに立ち向かう何かが
    あるということ
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    上へ上へと登っていかなければならない
    山の厳しさは
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    人生の厳しさそのものでもあること
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    それが理解できなければ 山に登る
    理由なんて 見当たらないでしょう
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    この冒険で手に入るのは
    最高の喜び
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    人生を満たす 喜びです
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    私たちは 稼いだり食べるために
    生きているのではない
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    これらは人生を楽しむための
    手段でしかない
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    人生は楽しむもの
    楽しむためにあるのです”
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    マロリーの結論は
    家を出て冒険に出ると
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    楽しい 喜びが溢れた体験が
    できるということです
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    しかし 私の経験と
    ぴったり一致はしません
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    家から一番遠く離れたのは
    2004年の春のことでした
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    未だに 自分の正気を疑いますが
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    私のプランは 独りで援助なしに
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    北極海を横断することでした
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    ロシアの北岸から 北極まで歩いて
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    そのまま カナダの北岸に
    向かう計画でした
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    史上初への挑戦 当時26歳でした
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    多くの専門家に不可能だと言われました
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    母さんもなかなか納得して
    くれませんでした
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    (笑)
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    シベリア北岸のある小さな観測所から
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    最終的な出発点であった
    パックアイスの端
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    北極海側の岸まで5時間かかりました
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    恐れ知らずのフェリックス・
    バウムガルトナーが
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    スカイダイビングのために
    気球で上昇するのを見た人ならば
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    北へと向かうヘリに乗り込み
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    差し迫った運命のことを考える
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    私の不安がどんなものだったか
    おわかりでしょう
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    自分はなんてことをしているのだと
    考えていました
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    まだ26歳だった私には
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    旅を満喫する余裕はありません
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    ヘリからそりを見下ろしていました
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    スキーも衛星電話も
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    シロクマに襲われた時の
    ショットガンもあります
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    窓の外を眺めていると
    私たちの2台のヘリは
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    目を奪うようなシベリアの夜明けの
    なかを飛んでいました
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    私の半分は ウィルフレッド・セシジャーと
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    ジェイソン・ボーンをかけ合わせた気分
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    もう半分は 誇らしい気持ちもありましたが
    完全にビビッていたことを覚えています
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    横断の旅は10週間
    72日間かかりました
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    ずっと1人でした
    この写真はヘリの横で撮ったものです
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    それ以降 10週間誰にも
    会わなかったのです
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    北極は広い海の真ん中にあるので
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    北極海の凍った水面を
    歩いているわけです
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    NASAの観測史上
    最悪の天候のなか
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    180キロの食材・燃料・消耗品を
    引いて進みました
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    ポンドに換算すると 400ポンドくらいです
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    10週間の平均気温が-35℃でした
    -50℃まで下がったこともありました
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    楽しいことなんて少しもありません
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    しかし 素敵な体験もありました
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    私は海の上を歩いていました
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    北極海を漂流している
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    氷の塊の上をです
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    変化が絶えない環境でした
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    海を漂う氷塊は 崩れてはまた固まり
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    姿かたちを変え続けます
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    3か月間 私が目にした景色は
    私だけのものです
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    後にも先にも 同じ景色は
    二度とないのですから
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    これが家から出る最大の理由でしょう
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    経験を言葉で伝えることはできますが
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    実際の味わいは分からないでしょう
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    540万平方マイルの土地に人間が1人
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    どれほど孤独だったのか
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    -75℃の極寒で襲ってくる雨風
    その寒さなど
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    伝えようがないのです
    伝えきれる言葉がありません
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    私が思うには 間接的に
    見たり考えたりするより
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    自分で行動する つまり
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    何かを体験し 従事し 
    挑戦したほうが
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    人生に充実感が湧き
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    思う存分に 人生を楽しめるでしょう
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    だが 一つ忠告があります
    私の経験から言うと
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    人類の限界ギリギリへの挑戦
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    この味は知ってしまうと 癖になる
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    これは馬鹿げた エドワード王風の
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    冒険だけでなく
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    膵臓がんにも関係あるのです
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    何かしらの中毒性があるのです
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    私にとって 極地探索はコカイン中毒と
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    よく似ていると思います
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    説明できないけど 一度やると
    はまってしまう
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    すべての財産を費やし
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    すべての人間関係をダメにしてしまう
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    だから 何をするかには注意が必要だ
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    人間には 山からの挑戦に立ち向かう
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    ”何か”があるとマロリーは言うが
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    その”何か”は挑戦することそのもの
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    特に 私たち人類を待ち構えているような
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    誰も成功したことのない
    大挑戦に立ち向かうこと
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    その行動にあるのではないか
    と私は考えます
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    まだケリを付けていない挑戦が
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    大人になってから ずっと私に
    付きまとっている
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    みなさんは この話を知っていると思います
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    これはスコット隊長と探検隊の写真です
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    彼らは 今から100年ちょっと前に
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    世界初の南極点到達を目指し
    出発しました
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    当時 南極は地図もない
    未知の世界でした
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    月に関する知識はあっても
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    南極については無知でした
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    知っての通り スコットたちは
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    犬ぞりを使ったロアール・アムンセン
    率いるノルウェー隊に
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    先を越されてしまいました
    スコットたちは徒歩で
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    全員自らそりを引っ張って
    南極点を目指しました
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    着いたときには 既にノルウェー旗が
    刺さっていました
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    ひどい失望を味わったことでしょう
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    引き返して 海岸へ戻ろうとした帰路で
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    5人全員が死亡しました
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    探索や冒険をするところはもうない
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    と 多くの現代人が誤解しています
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    南極について話していて
    よく言われるのが
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    「この前 そこで自転車旅を
    している番組見たよ」
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    とか
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    「あら!私の祖母は来年
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    南極クルーズに行くよ
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    もしかして 会うかもね」 とか
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    (笑)
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    しかし スコットの旅はまだ終わっていない
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    南極大陸の一番端から南極点まで
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    徒歩で往復できた人は まだいません
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    おそらく エドワード王の探検黄金時代で
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    もっとも大胆な挑戦だと言えるでしょう
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    今世紀のなに不自由ない生活
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    壊血病からソーラー発電まで
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    すべて誰かの挑戦によって
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    完成した結果なのです
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    だから 私は挑んで行きます
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    来年の10月 三人のチームを率いて
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    4か月をかけて往復してみます
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    縮尺した地図です 赤線が
    南極点への往路
  • 8:44 - 8:45
    そして回れ右をして また戻ります
  • 8:45 - 8:47
    自分が言ったことに矛盾している
    かもしれないが
  • 8:47 - 8:50
    私たちがブログをしたりツイートしたり
  • 8:50 - 8:53
    それにより 今日のネットを通して
  • 8:53 - 8:56
    みなさんも疑似体験ができます
  • 8:56 - 8:58
    そして この4か月の機会に
  • 8:58 - 9:02
    「なぜ」という質問に
    答えを見つけ出してきます
  • 9:02 - 9:07
    こんなに安全で快適な
    生活を送っている現代
  • 9:07 - 9:10
    探検家が必要とされていない時代です
  • 9:10 - 9:13
    学校の進路相談でも
  • 9:13 - 9:16
    探検家なんて選択肢はなかったです
  • 9:16 - 9:19
    例えば
  • 9:19 - 9:21
    天の川にある星の数や
  • 9:21 - 9:23
    イースター島にある モアイ像の年齢を
  • 9:23 - 9:26
    知りたいと思ったら 座ったままでも
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    すぐに調べることができます
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    しかし 私の12年間にもわたる
  • 9:31 - 9:34
    寒いところで重い荷物を運ぶ
    経験から学んだことは
  • 9:34 - 9:38
    真の感激 成長が
  • 9:38 - 9:42
    苦労や努力からしか生まれない
  • 9:42 - 9:45
    快適ないつもの生活から離れ
  • 9:45 - 9:48
    未知の世界に踏み込んで
    手に入るものです
  • 9:48 - 9:51
    誰にだって人生で 乗り越えるべき壁や
    たどり着くべき目標があります
  • 9:51 - 9:53
    比喩的な話ではありますが
  • 9:53 - 9:56
    勇気を出して 家の外に出る回数を
  • 9:56 - 10:00
    少し増やすだけで
    なにか得ることがあるはずです
  • 10:00 - 10:03
    ドアを開け 外の世界を探索しましょう
  • 10:03 - 10:06
    それは 私からのお願いです
  • 10:06 - 10:07
    ありがとうございました
  • 10:07 - 10:16
    (拍手)
Title:
ベン・ソーンダーズ: なぜ家を出なきゃいけないの?
Speaker:
Ben Saunders
Description:

探検家ベン・ソーンダーズはあなたにも外の世界を見てほしいのです!心地よい幸せばかりではありませんが、人生を底から満足させる冒険があるからです。ソーンダーズの次の挑戦は?史上初 南極大陸の端から南極点までを徒歩で往復することです。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
10:37

Japanese subtitles

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