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サイコパス・テストへの奇妙なこたえ

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    私は友人の家にいました
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    彼女の本棚には
    DSMマニュアルがあります
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    これは精神障害を診断する
    マニュアルで
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    あらゆる精神障害が
    載っています
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    1950年代には
    薄っぺらな冊子でしたが
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    その後 どんどん どんどん
    厚くなり
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    今では886ページもあります
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    現在374種類の
    精神障害を掲載しています
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    自分に精神障害があるか考えながら
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    パラパラとめくっていくと
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    12種類あることが
    わかりました
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    (笑)
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    まず 全般性不安障害です
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    これは予想通りでした
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    そして悪夢障害 ―
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    これは追いかけられる夢や
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    ダメ人間と言われる夢を
    繰り返し見る障害です
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    私は夢でいつも
    誰かに追いかけられて
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    「ダメ人間」と罵られます
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    (笑)
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    親子関係の問題も抱えています
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    これは両親のせいでしょう
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    (笑)
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    冗談です いや本当です
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    いや冗談です
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    仮病もあります
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    仮病と全般性不安障害を
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    両方もっているのは
    かなり珍しいと思います
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    だって 仮病を使うと
    不安になるのですから
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    DSMを読みながら
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    自分は想像以上に
    おかしいのかと考えたり ―
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    訓練されたプロ以外
    自分自身を診断するのは
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    よくないと思ったり ―
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    あるいは精神科医は
    普通の行動を精神障害と
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    名づける奇妙な欲求が
    あるのだと考えたりしました
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    どれが正しいかは
    わかりませんが
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    少し興味がわいてきました
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    だから精神医学に
    批判的な人に話を聞こうと
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    考えたのです
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    それで結局は「サイエントロジー」信者とランチすることになりました (笑)
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    その人の名はブライアン ―
  • 1:47 - 1:50
    サイエントロジストの精鋭
    チームを率いて
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    精神医学を片っ端から
    叩き潰そうとしています
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    チームの名前はCCHRです
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    私はこう尋ねました
    「精神医学は ―
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    いかがわしい疑似科学だと
    証明できるかい?」
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    彼のこたえは
    「ああ 証明できるよ」
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    「どうやって?」
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    「トニーに会えばいい」
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    「トニーって 誰?」
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    「トニーはブロードモアにいる」
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    ブロードモア病院のことです
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    かつてブロードモア刑事犯精神病院と
    呼ばれた所で
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    連続殺人犯や
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    自分を抑えられない人が
    送られます
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    トニーが何をしたのか
    ブライアンにたずねると
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    「大したことじゃない
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    「誰かを殴ったか何かした後 ―
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    狂ったふりをして 刑務所送りに
    なるのを逃れようとしたんだ
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    ただ上手くやりすぎて
    ブロードモアに収監された
  • 2:46 - 2:49
    彼が正気とは
    誰も信じないだろう
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    トニーに会いにブロードモアへ
    行ってみるかい?」
  • 2:53 - 2:54
    「ぜひ」と私は答えました
  • 2:54 - 2:57
    ブロードモア行きの
    列車に乗りましたが
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    ケンプトンパークの辺りで
    あくびが止まらなくなりました
  • 3:01 - 3:04
    犬は不安な時に
    あくびをしますが
  • 3:04 - 3:06
    それと同じです
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    目的地に着き
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    たくさんのゲートを通って
  • 3:12 - 3:13
    健康管理センターに行きました
  • 3:13 - 3:15
    ここで患者と面会するのです
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    あのハンプトン・インを巨大にした感じです
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    桃色 松材 そして落ち着いた色彩で
    まとめられています
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    唯一 鮮やかなのは
    真っ赤な緊急ボタンです
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    患者が入ってきました
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    みんな肥満体で
    スウェットパンツ姿 ―
  • 3:36 - 3:38
    おとなしそうに見えます
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    ブライアンが耳打ちしました
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    「投薬されているんだ」
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    これはサイエントロジストにとって
    最も忌まわしいことなのですが
  • 3:45 - 3:48
    私は内心“よかった”と思いました
  • 3:48 - 3:50
    (笑)
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    ブライアンが言いました
    「トニーだ」
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    男が入って来ました
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    太ってはおらず
    健康そうです
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    スウェットではなく
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    ピンストライプの
    スーツ姿でした
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    『アプレンティス』に
    登場するビジネスマンよろしく
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    男は手を差し伸べました
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    自分が正気だと
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    納得させるような服装を
    しているのだと感じました
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    男が席につきました
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    まず本当に狂気を装ったせいで
    入所したのか聞きました
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    「そう その通り
    17で暴行事件を起こしたんだ
  • 4:22 - 4:25
    裁判まで拘置所にいたんだが
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    同じ房のやつが言ったんだ
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    “わかってるな?
  • 4:28 - 4:29
    狂った振りをしろ
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    自分は狂ってるって言え
    そしたら楽な病院に送られる
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    看護士がピザを運んでくれて
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    PlayStationができる”ってね」
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    私は方法を聞きました
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    「精神科医の
    診察を希望したのさ
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    映画の『クラッシュ』を
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    見たばかりだった 車をぶつけることで
    性的に興奮する人たちの話だ
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    だから医者に
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    “車を衝突させると性的に
    興奮するんです”って言ったのさ」
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    「他には?」と尋ねると
  • 4:55 - 4:57
    「こんなことも言った
  • 4:57 - 5:01
    女が死ぬところが見たい
    そうしたら まともになったような
  • 5:01 - 5:03
    気がするからってね」
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    その話をどこで仕入れたか聞くと
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    彼はこう言いました
    「刑務所の図書室にあった ―
  • 5:08 - 5:09
    テッド・バンディの伝記さ」
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    とにかくトニーは自分の狂ったふりが
    上手すぎたと言っていました
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    結局 楽な病院ではなく
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    ブロードモアに送られたのです
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    彼はここに着くとすぐに
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    精神科医に面会を申し出て
    言いました
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    「大きな誤解だ ―
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    俺は精神病じゃない」
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    私は入所して何年になるか
    聞きました
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    「元々の刑期なら
    5年で出られたはずだ
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    「元々の刑期なら
    5年で出られたはずだ
  • 5:35 - 5:41
    なのにブロードモアに来て
    もう12年になる」
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    トニーによれば 自分が正気だと
    思わせるのは
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    狂っていると思わせるより
    難しいのです
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    「正常だと思わせるには
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    サッカーやテレビみたいな
    普通の話題を
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    普通に話せばいいと
    思っていたんだ
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    俺は「ニュー・サイエンティスト」を
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    とっていて 最近 ―
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    米陸軍が爆発物探知用に
    ハチを訓練する記事を読んだ
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    だから看護士に ―
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    “米軍が爆弾を探すハチを
    訓練してるって
  • 6:06 - 6:08
    知ってたかい?”って
    言ったんだ
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    ある時自分のカルテを見たら
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    こう書いてあったよ
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    “ハチが爆薬を嗅ぎわける
    と信じ込んでいる”ってね」
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    「奴らは俺の精神状態を知るために
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    言葉以外の手がかりを
    いつも探しているのさ
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    でも正常な座り方って
    どうやればいいんだ?
  • 6:23 - 6:26
    正常な足の組み方は?
  • 6:26 - 6:28
    そんなの無理だよ」
  • 6:28 - 6:29
    トニーの話を聞いて
    考えてしまいました
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    私はジャーナリストらしく
    座ってるのだろうか?
  • 6:32 - 6:36
    ジャーナリストの
    足の組み方だろうか?
  • 6:36 - 6:41
    彼は続けます 「俺の隣には
    ストックウェルの絞殺魔がいて
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    反対側には“チューリップ畑”の
    強姦魔だ
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    だから怖くなって
    部屋にこもりがちになった
  • 6:48 - 6:51
    そしたら それがおかしい
    証拠だって言うんだ ―
  • 6:51 - 6:54
    打ち解けず
    気取ってるってね」
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    つまりブロードモアでは
    連続殺人犯を避ける態度が
  • 6:58 - 7:00
    狂気のしるしなんです
  • 7:00 - 7:03
    私には彼が正常に見えましたが
    本当にそうでしょうか?
  • 7:03 - 7:07
    そこで彼の主治医の
    アンソニー・メイデンに連絡し
  • 7:07 - 7:08
    事情を聞きました
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    彼によると 「トニーが刑を逃れるため
    狂気を装ったことは わかっていました
  • 7:13 - 7:18
    そもそも彼の妄想は
    ありきたりで
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    ブロードモアに来たら
    消えてしまったからです
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    それでも私達は
    彼を診察して
  • 7:22 - 7:27
    サイコパスと
    診断したのです」
  • 7:27 - 7:29
    狂気を装うこと自体が
  • 7:29 - 7:33
    サイコパス特有の
    人を操る 悪賢い行為です
  • 7:33 - 7:36
    診断表にもあります
    “狡猾で人を操る”
  • 7:36 - 7:38
    頭がおかしいと
    装うこと自体
  • 7:38 - 7:41
    頭がおかしい証拠です
  • 7:41 - 7:42
    他の専門家によると
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    ピンストライプのスーツは
    典型的な精神病質のしるしです
  • 7:46 - 7:48
    診断表の
    最初の2項目は
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    “口が達者で一見魅力的”
    そして“過剰な自尊感情”です
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    私はトニーが他の患者に
    近付かないと言いましたが
  • 7:56 - 8:00
    典型的なサイコパスには
    誇張と 共感の欠如が見られます
  • 8:00 - 8:04
    トニーの正常そうに見える
    部分こそが
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    狂気の証拠だったのです
  • 8:07 - 8:09
    狂気の証拠だったのです
  • 8:09 - 8:11
    彼はサイコパスでした
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    医師は言いました
  • 8:12 - 8:14
    「サイコパスについて
    もっと知りたければ
  • 8:14 - 8:17
    診断表を作った
    ロバート・ヘアが主催する
  • 8:17 - 8:21
    サイコパス診断講座に
    行ったらいい」
  • 8:21 - 8:22
    だからそうしました
  • 8:22 - 8:24
    サイコパス診断講座に通って
  • 8:24 - 8:28
    今では公認の
  • 8:28 - 8:31
    結構 優秀な
  • 8:31 - 8:33
    サイコパス診断者です
  • 8:33 - 8:35
    ここで統計を紹介しましょう
  • 8:35 - 8:40
    普通の人100人のうち
    1人はサイコパスです
  • 8:40 - 8:44
    ここには1,500人いますから
  • 8:44 - 8:50
    皆さんのうち15人は
    サイコパスです
  • 8:50 - 8:52
    この割合はCEOや会社役員では
  • 8:52 - 8:55
    4%になるので
  • 8:55 - 8:58
    この部屋に30-40人の
  • 8:58 - 9:03
    サイコパスがいても
    おかしくありません
  • 9:03 - 9:05
    夜中には死体の山が
    出来ているかも知れません
  • 9:05 - 9:09
    (笑)
  • 9:09 - 9:14
    ヘアは理由をこう説明します
    徹底した資本主義では
  • 9:14 - 9:17
    精神病質的な行為が称えられる
  • 9:17 - 9:22
    たとえば人に共感しないことや
    弁が立つこと
  • 9:22 - 9:24
    狡猾に人を操ることなどです
  • 9:24 - 9:27
    最も非情な状態の資本主義は
  • 9:27 - 9:32
    精神病質が具現化したものです
  • 9:32 - 9:33
    私達全員に降りかかる
  • 9:33 - 9:38
    精神病質のようです
  • 9:38 - 9:40
    さらにヘアは言いました
    「狂気を装ったかどうかも怪しい
  • 9:40 - 9:42
    トニーみたいな男は問題じゃない
  • 9:42 - 9:44
    大した話じゃない
  • 9:44 - 9:46
    本当の問題は企業の精神病質なんだ
  • 9:46 - 9:51
    企業にいるサイコパスに
    話を聞いてみるといい」
  • 9:51 - 9:54
    だから試しにエンロンの社員に
    手紙を書きました
  • 9:54 - 9:56
    「刑務所にお邪魔して
    皆さんに面談し
  • 9:56 - 9:58
    サイコパスかどうか
    診断したいのですが」
  • 9:58 - 10:02
    でも返事は来ませんでした
  • 10:02 - 10:04
    そこで方針を変えて
  • 10:04 - 10:08
    “チェーンソー・アル” ダンラップに
    メールしました
  • 10:08 - 10:11
    90年代に会社資産の収奪で
    利益をあげた人です
  • 10:11 - 10:16
    弱体化した企業に参入して
    社員の30%を解雇し
  • 10:16 - 10:19
    街をゴースト・タウンに
    変えてきました
  • 10:19 - 10:20
    今度はこう伝えました
  • 10:20 - 10:22
    「私の推測では
    あなたが特別で ―
  • 10:22 - 10:25
    恐れを知らないやり手なのは
  • 10:25 - 10:29
    脳が特殊だからです
  • 10:29 - 10:31
    その特別な脳について
  • 10:31 - 10:33
    インタビューしたいのですが」
  • 10:33 - 10:36
    彼は 来るように返信してきました
  • 10:36 - 10:39
    アル・ダンラップが住む
    フロリダの豪邸に行くと
  • 10:39 - 10:44
    いたるところに
    捕食動物の彫刻がありました
  • 10:44 - 10:47
    ライオンやトラがありました
  • 10:47 - 10:48
    彼が庭を案内してくれます
  • 10:48 - 10:51
    ハヤブサやワシもあります
  • 10:51 - 10:52
    「向こうにはサメもある」と
    教えてくれました
  • 10:52 - 10:55
    力強い話し方です
  • 10:55 - 11:01
    「サメなら もっとあるし
    トラもある」
  • 11:01 - 11:03
    まるでナルニア国です
  • 11:03 - 11:06
    (笑)
  • 11:06 - 11:09
    次にキッチンへ行きました
  • 11:09 - 11:13
    さて アル・ダンラップは
    倒産寸前の会社を救うためにやって来て
  • 11:13 - 11:15
    労働力の3割を削減しました
  • 11:15 - 11:18
    また彼はよく冗談を言いながら
    人をクビにしました
  • 11:18 - 11:21
    こんな話があります
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    社員が彼に言ったそうです
    「新車を買ったんですよ」
  • 11:24 - 11:26
    彼はこう応えたそうです
    「新車が手に入ったって
  • 11:26 - 11:32
    失ったものがあるだろう
    仕事だよ」
  • 11:32 - 11:35
    キッチンには彼と
    妻のジュディ ―
  • 11:35 - 11:38
    ボディガードのショーンが一緒でした
    私はこう言いました
  • 11:38 - 11:41
    「あなたが特別なのは
    脳が特殊だからだと言いましたよね」
  • 11:41 - 11:43
    「素晴らしい仮説だ」と彼
  • 11:43 - 11:46
    「スタートレックみたいだな
    驚異に満ちた物語ってわけだ」
  • 11:46 - 11:54
    私は続けて言いました
    「心理学者ならこう言うでしょう
  • 11:54 - 11:57
    その脳のせいであなたは...」
    (ぶつぶつと)
  • 11:57 - 11:59
    (笑)
  • 11:59 - 12:00
    「何だ?」
  • 12:00 - 12:02
    「あなたはサイコパスなんです
  • 12:02 - 12:07
    いま精神病質の
    診断表を持っています
  • 12:07 - 12:09
    一緒に見ていきましょうか?」
  • 12:09 - 12:12
    彼は気持とは裏腹に
    興味深げでした
  • 12:12 - 12:13
    「いいだろう」
  • 12:13 - 12:16
    「まず過剰な自尊感情です」
  • 12:16 - 12:19
    これには彼も頷くしか
    ないようでした
  • 12:19 - 12:22
    彼の後ろには巨大な
    肖像画が掛っていたのですから
  • 12:22 - 12:27
    (笑)
  • 12:27 - 12:30
    彼は言いました 「自分を信頼すべきだ」
  • 12:30 - 12:33
    「人を操りたがる」と私
  • 12:33 - 12:36
    「それはリーダーシップだ」
  • 12:36 - 12:38
    「感情の薄さ つまり
  • 12:38 - 12:40
    多様な感情を持てないこと」
  • 12:40 - 12:43
    「くだらん感情で悩みたい奴が
    どこにいる」
  • 12:43 - 12:46
    彼は診断表を
    読み換えていきました
  • 12:46 - 12:49
    「チーズはどこへ消えた?」
    みたいにです
  • 12:49 - 12:53
    (笑)
  • 12:53 - 12:56
    でもアル・ダンラップと過ごして
    気づいたのです
  • 12:56 - 12:58
    彼が普通のことを話したとします
    例えば ―
  • 12:58 - 13:02
    「青少年の非行はだめ」
  • 13:02 - 13:03
    彼は陸軍士官学校
    出身だそうですが
  • 13:03 - 13:06
    ウエストポイントに
    不良は入れません
  • 13:06 - 13:09
    「結婚を何度も繰り返すのはだめ」
  • 13:09 - 13:11
    彼は2度結婚しています
  • 13:11 - 13:14
    確かに最初の妻は
    離婚届けに こう書いています
  • 13:14 - 13:16
    “彼がナイフで脅してきて
  • 13:16 - 13:19
    人肉はどんな味だろうと
    言った”と
  • 13:19 - 13:23
    でも関係が悪化すると 口論の末に
    馬鹿なことを口走るものです
  • 13:23 - 13:26
    それに2度目の結婚は
    41年も続いています
  • 13:26 - 13:29
    とにかく そんな普通のことなら
  • 13:29 - 13:33
    本には載せられないと
    私は思いました
  • 13:33 - 13:37
    その時気付いたのは
    サイコパスの診断をはじめて ―
  • 13:37 - 13:40
    自分が少しサイコパスに
    近付いたということです
  • 13:40 - 13:45
    私は必死になってサイコパスの
    レッテルを彼に貼り
  • 13:45 - 13:50
    彼の狂っている部分だけを
    見て診断しようとしていたのです
  • 13:50 - 13:53
    さらに気付きました
    ジャーナリストとして自分は
  • 13:53 - 13:55
    こういうことを
    20年間してきたのだ
  • 13:55 - 13:59
    我々ジャーナリストは
    メモ帳を携えて世界を駆けまわり
  • 13:59 - 14:00
    宝石を探します
  • 14:00 - 14:05
    その宝石とは
    インタビュー相手の人格の
  • 14:05 - 14:07
    極端な部分です
  • 14:07 - 14:10
    我々は中世の僧のように
    宝石をつなぎ合わせますが
  • 14:10 - 14:14
    ありきたりの物は
    捨ててしまいます
  • 14:14 - 14:21
    これがある種の精神障害を
    過剰に診断することにつながります
  • 14:21 - 14:24
    小児双極性障害では
    たった4歳の子どもが
  • 14:24 - 14:26
    双極性障害と診断されます
  • 14:26 - 14:29
    子どもは癇癪を起こすので
  • 14:29 - 14:33
    双極性障害の診断表で
    スコアが高くなるためです
  • 14:33 - 14:37
    私がロンドンに戻ると
    トニーが電話してきました
  • 14:37 - 14:40
    「どうして電話をくれなかった?」
  • 14:40 - 14:44
    私は みんな彼がサイコパスだと
    言ってると伝えました
  • 14:44 - 14:46
    「俺はサイコパスじゃない ―
  • 14:46 - 14:49
    診断表の項目に
    “後悔の欠如”があるけど
  • 14:49 - 14:52
    別の項目には
    “狡猾さ”や“人を操る傾向”もある
  • 14:52 - 14:55
    だから犯した罪を
    後悔していると言っても
  • 14:55 - 14:57
    医者は“サイコパスにありがちな ―
  • 14:57 - 15:00
    後悔を装う巧妙な
    手口だ”って言うんだ
  • 15:00 - 15:03
    奴らは魔法みたいに
    何でも逆に解釈するんだ」
  • 15:03 - 15:06
    そしてこう言いました
    「審理があるんだ
  • 15:06 - 15:08
    来るかい?」
  • 15:08 - 15:10
    私は了解して
  • 15:10 - 15:13
    審理に行きました
  • 15:13 - 15:18
    ブロードモアに入って14年
    とうとう彼は釈放されました
  • 15:18 - 15:21
    決定理由はこうです
    彼を無期限に収容すべきでない
  • 15:21 - 15:24
    なぜなら診断表で
    スコアが高くても
  • 15:24 - 15:29
    それが意味するのは
    再犯の可能性がある という程度だからです
  • 15:29 - 15:31
    彼は釈放されました
  • 15:31 - 15:33
    廊下で彼は言いました
  • 15:33 - 15:34
    「ジョン いいか?
  • 15:34 - 15:37
    みんな少しはサイコパスなんだ
  • 15:37 - 15:41
    あんたも 俺も
    まあ俺は明らかだが」
  • 15:41 - 15:43
    私はこれからどうするつもりか
    聞きました
  • 15:43 - 15:46
    彼は
    「ベルギーに行くつもりだ
  • 15:46 - 15:48
    好きな女がいるんだが
  • 15:48 - 15:51
    結婚してる
    だから旦那と別れさせるのさ」
  • 15:51 - 15:56
    (笑)
  • 15:56 - 15:59
    ここまでが2年前の話です
  • 15:59 - 16:01
    私の本はここで終わっていました
  • 16:01 - 16:05
    その後20か月は
    すべて順調でした
  • 16:05 - 16:07
    悪いことは起こりませんでした
  • 16:07 - 16:09
    彼はロンドン郊外で
    女性と暮らしていて
  • 16:09 - 16:11
    サイエントロジストの
    ブライアンによれば
  • 16:11 - 16:15
    失った時間を取り戻しています
    ― 不気味な気もしますが
  • 16:15 - 16:16
    いやそうでもありません
  • 16:16 - 16:19
    20か月経った後
  • 16:19 - 16:21
    彼は1か月間 刑務所に入りました
  • 16:21 - 16:26
    彼によればバーで喧嘩になり
  • 16:26 - 16:28
    1か月 服役したのです
  • 16:28 - 16:29
    悪いことではありますが
  • 16:29 - 16:32
    刑期が1か月であれば
    どんな喧嘩であれ
  • 16:32 - 16:35
    そうひどくなかったのでしょう
  • 16:35 - 16:38
    トニーが電話をくれました
  • 16:38 - 16:42
    私はトニーが出所したのは
    正しいことだと考えています
  • 16:42 - 16:46
    狂った部分だけで
    人を評価すべきではないからです
  • 16:46 - 16:50
    トニーは半分だけ
    サイコパスなのです
  • 16:50 - 16:55
    社会は曖昧さを嫌いますが
    彼はグレー・エリアです
  • 16:55 - 17:00
    でもグレー・エリアこそが
    人の複雑さや
  • 17:00 - 17:03
    人間性が見えるところ ―
  • 17:03 - 17:06
    真実が見えるところなのです
  • 17:06 - 17:08
    トニーが言いました
  • 17:08 - 17:12
    「ジョン 酒でもおごらせてくれ
  • 17:12 - 17:15
    あんたがしてくれたことに
    感謝しているんだ」
  • 17:15 - 17:21
    でも私は出かけませんでした
    皆さんならどうしていましたか?
  • 17:21 - 17:22
    ありがとう
  • 17:22 - 17:39
    (拍手)
Title:
サイコパス・テストへの奇妙なこたえ
Speaker:
ジョン・ロンスン
Description:

狂気と正気を確実に分ける一線はあるのでしょうか?『サイコパスを探せ! 「狂気」をめぐる冒険』の著者ジョン・ロンスンが,身の毛もよだつような話を通して,正気と狂気の間にあるグレー・ゾーンを明らかにしていきます。(ライブ・サウンドミックス:ジュリアン・トレジャー アニメーション:エヴァン・グラント)

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
18:01

Japanese subtitles

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