体内で腫瘍を見つけ出すミクロの粒子
-
0:01 - 0:04昔1台のトランジスターを収容するのに
要していた空間には -
0:04 - 0:08今や10億個のトランジスターを
詰め込むことができ -
0:08 - 0:12かつて1つの部屋をまるごと占領していた
大きなコンピューターは -
0:12 - 0:14ポケットに入るサイズになりました
-
0:14 - 0:17進歩とは小型化であると
いえるかもしれませんね -
0:18 - 0:19エンジニアとしての私は
-
0:19 - 0:23コンピューターの小型化革命から
インスピレーションを受け -
0:23 - 0:24医師としての私は
-
0:24 - 0:30それを使い
最も急速に増加しているある病気から -
0:30 - 0:34一人でも多くの命を
救えないかと考えています -
0:34 - 0:36それは癌です
-
0:36 - 0:37そう言うと
-
0:37 - 0:41ほとんどの人は 私たちが
癌治療の研究をしていると思います -
0:41 - 0:42確かにそうですが
-
0:42 - 0:43実際のところは
-
0:43 - 0:46癌の早期発見と予防を通して
人命を救うという— -
0:46 - 0:49素晴らしい機会を見い出したのです
-
0:50 - 0:54世界中の癌による死亡の3分の2以上は
-
0:54 - 0:58今ある方法で完全に予防可能です
-
0:58 - 1:01ワクチン、癌検診による早期発見
-
1:01 - 1:04そして もちろん
喫煙をやめることなどです -
1:04 - 1:08ですが 最高の技術や方法をもってしても
-
1:08 - 1:10癌の中には 検診をすり抜け続け
-
1:10 - 1:13その間 癌細胞が増殖し
-
1:13 - 1:1710年後 5千万個にもなって
やっと見つかるものもあります -
1:18 - 1:20もし このような危険な癌を
-
1:20 - 1:22除去出来るはずの萌芽期に
-
1:22 - 1:24早期発見してくれる—
-
1:24 - 1:27技術があったらどうでしょう?
-
1:27 - 1:30機器の小型化が これに
どう寄与するのかお話ししましょう -
1:31 - 1:34これは ごく普通の実験室にある顕微鏡で
-
1:34 - 1:37病理学者が生検や
子宮がん検診で -
1:37 - 1:39細胞サンプルを見るのに使います
-
1:40 - 1:42この7千ドルもする顕微鏡で
-
1:42 - 1:45何年も専門的な訓練を積んだ専門家が
-
1:45 - 1:47癌細胞を探します
-
1:48 - 1:50これはライス大学の同僚
-
1:50 - 1:53レベッカ・リチャーズ=コルトムの
資料からです -
1:53 - 1:57彼女はチームと共に
顕微鏡を小型化し -
1:57 - 1:591個あたり10ドルにしたので
-
1:59 - 2:02ファイバースコープの先端に
取り付けられるようになりました -
2:02 - 2:06これで 患者から細胞の
サンプルを取って -
2:06 - 2:07顕微鏡で調べる代わりに
-
2:07 - 2:10顕微鏡を患者の体内に送りこめます
-
2:10 - 2:15それから 画像診断の専門家に
読み取ってもらう代わりに -
2:15 - 2:20コンピューターを訓練して
正常な細胞と癌細胞を記録させます -
2:20 - 2:21これが大事な理由は
-
2:21 - 2:25ブラジルの田舎で
こういうことが起きているからです -
2:25 - 2:28子宮癌検診機器が搭載された検診車で
-
2:28 - 2:30地方を回って検診を行い
-
2:31 - 2:32組織を採取して
-
2:32 - 2:35分析のため 中央病院に送っても
-
2:35 - 2:36その数日後
-
2:36 - 2:39細胞診異常の知らせを受け
来院するようにと -
2:39 - 2:43連絡を受けた女性の半分以上は
-
2:43 - 2:45旅費がないので
病院に来ることはないのです -
2:46 - 2:49しかし 手術用顕微鏡と
コンピューター解析機器を持って -
2:49 - 2:52レベッカ達は
診断と治療を同時に行える -
2:52 - 2:56診断治療車を作りました
-
2:56 - 2:59これで診断と治療を
-
2:59 - 3:01出張先のその場で行うことができ
-
3:01 - 3:04治療から漏れてしまう人がいなくなります
-
3:04 - 3:08これは小型化が
人命を救うほんの一例です -
3:08 - 3:10私たちエンジニアにとっては
-
3:10 - 3:12これは単純明解な小型化の例なのです
-
3:12 - 3:15大きなものを小さくしたのですから
-
3:15 - 3:17このように コンピューターが小型化され
-
3:17 - 3:20どこにでも持ち運びできるようになり
-
3:20 - 3:23私たちの生活が一変しました
-
3:24 - 3:28この変革は医療に置き換えると
何にあたるでしょうか? -
3:28 - 3:32もし 極小サイズで
-
3:32 - 3:36人体内を自在に循環し
-
3:36 - 3:38自分で腫瘍を発見し
-
3:38 - 3:41体外にシグナルを送る
診断機器があったとしたら? -
3:41 - 3:43SFみたいな話ですね
-
3:43 - 3:47ナノテクノロジーはまさに
これを可能にするのです -
3:47 - 3:52ナノテクノロジーで
診断機器の構成要素を -
3:52 - 3:54人毛の太さ程の
-
3:54 - 3:56100ミクロンから
-
3:56 - 3:58その千分の1の大きさの
-
3:58 - 4:00100ナノメートルまで
縮小出来ます -
4:00 - 4:03これは非常に大きな意味を持ちます
-
4:04 - 4:07物質はナノスケールの大きさになると
-
4:07 - 4:09その性質が変わるのです
-
4:09 - 4:12日常で見られる物質 例えば金は
-
4:12 - 4:15粉砕してナノ粒子にすると
-
4:15 - 4:18金色から赤い色に変わります
-
4:19 - 4:23もっと珍しい物質
例えばセレン化カドミウムは— -
4:23 - 4:25大きな黒い結晶体ですが—
-
4:25 - 4:28ナノクリスタル化して
-
4:28 - 4:29液体に入れて
-
4:29 - 4:31光をあてると
-
4:31 - 4:32光ります
-
4:32 - 4:38青、緑、黄色、オレンジ、赤など
-
4:38 - 4:41粒子のサイズにより
様々な色で光るのです -
4:41 - 4:45ミクロの世界の外でこんなにすごい物質
ありえないですよね? -
4:45 - 4:51クローゼットにあるジーンズが
素材はどれも綿100%だけど -
4:52 - 4:56大きさによって全部
色が違ってきちゃうようなものです -
4:56 - 4:58(笑)
-
4:59 - 5:01これを医師として見たときに
-
5:01 - 5:03同様に興味深いと思うのは
-
5:03 - 5:05ナノスケールになったとき
-
5:05 - 5:07物質の色だけではなく
-
5:07 - 5:11それが人体内を移動する際の動きも
変化することです -
5:11 - 5:14この特質を用いて
-
5:14 - 5:16より高性能の癌診断機器を作ります
-
5:16 - 5:18どういうことか お見せしましょう
-
5:19 - 5:21これは人体内の血管です
-
5:21 - 5:23それを囲んでいるのが腫瘍
-
5:24 - 5:27この血管にナノ粒子を注入して
-
5:27 - 5:31それが血流から腫瘍へと
どのように移動するかを見てみましょう -
5:31 - 5:36腫瘍の多くは
血管が穴だらけなので -
5:36 - 5:40粒子が血管から腫瘍へと漏れ出るのですが
-
5:41 - 5:44それは粒子の大きさで決まります
-
5:44 - 5:45ここでは
-
5:45 - 5:50小さな100ナノメートルの
青いナノ粒子が漏れ出していて -
5:50 - 5:53大きな500ナノメートルの
赤いナノ粒子は -
5:53 - 5:55血流内に留まっています
-
5:55 - 5:57つまり エンジニアとしては
-
5:57 - 6:01作る素材の大小によって
-
6:01 - 6:04体内のどこに届くのかを
コントロールすることができるのです -
6:05 - 6:10私の研究室では最近
ナノサイズの癌診断機器を作りました -
6:10 - 6:15体内で腫瘍を探しまわれるくらい
本当に小さいのです -
6:15 - 6:20腫瘍の侵略を探知するように
デザインされており -
6:20 - 6:25腫瘍の増殖に必要な化学物質のシグナルが
奏でる響きを聞き分けます -
6:25 - 6:28腫瘍が生じた組織内を
出て増殖するには -
6:28 - 6:31酵素という化学物質を作り
-
6:31 - 6:34組織の壁組みを侵食しなくてはなりません
-
6:34 - 6:38そこで この酵素で活性化される
ナノ粒子を作りました -
6:39 - 6:451つの酵素はこうした化学反応を
1時間で千回も引き起こします -
6:45 - 6:49これは 工学では
「1:1000比」と呼び -
6:49 - 6:51活性化の増幅を表します
-
6:51 - 6:53これが超感度のものを作り上げるのです
-
6:53 - 6:57この方法で
超高感度の癌診断機器を作りました -
6:57 - 7:02ではこの活性化されたシグナルを
どのようにして人体外へ発信させ -
7:02 - 7:04治療に使えるのでしょうか?
-
7:04 - 7:07これには もう1つ
ナノスケールの生物学が関係します -
7:07 - 7:09腎臓に関することです
-
7:10 - 7:12腎臓はフィルターの役割を担っていて
-
7:12 - 7:17血液をろ過し 老廃物を尿に流します
-
7:17 - 7:20さて 腎臓が何をろ過するかも
-
7:20 - 7:22その大きさで決まるのです
-
7:23 - 7:25このように
-
7:25 - 7:28大きさが5ナノメートル以下の粒子は全て
-
7:28 - 7:32血流を流れ腎臓へ
そして尿へと排出されます -
7:32 - 7:35それより大きい粒子は
全て体内に留まります -
7:35 - 7:40もし100ナノメートルの大きさの
癌診断機器を作り -
7:40 - 7:43血流に注入すると
-
7:43 - 7:48血管から漏れ出し 腫瘍へと流れ込み
腫瘍酵素により活性化され -
7:48 - 7:50小さなシグナルを放出します
-
7:50 - 7:54そのシグナルはとても小さいので
腎臓でろ過されて -
7:54 - 7:56尿へと排出され
-
7:56 - 8:00尿に現れるシグナルで
癌を検出できるのですが -
8:01 - 8:03もう1つ問題が残っています
-
8:03 - 8:04この非常に小さなシグナルを
-
8:04 - 8:06どうやって検出するかです
-
8:07 - 8:09このシグナルは単なる粒子で
-
8:09 - 8:12私たちエンジニアが作ったものです
-
8:12 - 8:14完全に人工的なものなので
-
8:14 - 8:18私たちが使いたい機器に
合うように設計できます -
8:18 - 8:22もし 超高感度の高性能機器である—
-
8:22 - 8:24質量分析器を使いたいなら
-
8:24 - 8:27その精度に合わせ
特有の質量を持った粒子を作ります -
8:27 - 8:30もし 安価で手軽に持ち運べるものを
作りたい場合は -
8:30 - 8:33妊娠検査キットのように
-
8:33 - 8:35紙に埋め込める粒子を作ります
-
8:36 - 8:38実際 紙基盤診断の分野では
-
8:38 - 8:43紙素材の診断デバイスが あらゆる診断に
用いられるようになっています -
8:44 - 8:46では 私たちはこれで何を
目指しているのでしょう? -
8:47 - 8:48これからお話しするのは
-
8:48 - 8:50私が研究者人生を通して
-
8:50 - 8:52夢見ていることです
-
8:52 - 8:55この実現が約束されている訳ではありません
-
8:55 - 8:56夢です
-
8:56 - 9:00しかし 夢がなければ
誰も突き進むことはできません -
9:00 - 9:04特に癌研究者にこそ
それが言えるのかもしれません -
9:04 - 9:07私がチームの仲間と共に
全身全霊を傾けて -
9:07 - 9:11この技術で
どんなことを実現したいのか -
9:11 - 9:13お話しします
-
9:13 - 9:15こうです
-
9:15 - 9:18いつか こうなる日を夢見ています
-
9:18 - 9:22高額の診断施設に行き
-
9:22 - 9:23大腸内視鏡検査や
-
9:23 - 9:25マンモグラフィーや
-
9:25 - 9:27子宮がん検診を受ける代わりに
-
9:27 - 9:28注射をして
-
9:28 - 9:301時間待ち
-
9:30 - 9:33紙の検査ストリップを使い
尿検査を行うのです -
9:34 - 9:36この方法だと 検査室に
-
9:36 - 9:41電気や医療従事者が常に必要だ
ということはなくなるでしょう -
9:42 - 9:44医療従事者たちは遠隔地から
-
9:44 - 9:47スマートフォンの画像で
診断できるようになるかもしれません -
9:47 - 9:49これは夢のような話に
聞こえるかもしれませんが -
9:49 - 9:52研究室では これは既に
マウスで実証されており -
9:52 - 9:55肺がん、結腸がん、卵巣がんの診断において
-
9:55 - 9:58従来の方法よりも成果を上げています
-
9:59 - 10:01いつか これを使って
-
10:01 - 10:06患者の腫瘍が
早期発見できるようになること— -
10:06 - 10:1010年して腫瘍が
増殖してしまってからではなく— -
10:10 - 10:13世界中 いかなる状況下でも
-
10:13 - 10:16早期発見で早期治療が可能となり
-
10:16 - 10:20今よりも もっと多くの患者の命を
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10:20 - 10:22救えるようになることを願っています
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10:22 - 10:23ありがとうございました
-
10:23 - 10:25(拍手)
- Title:
- 体内で腫瘍を見つけ出すミクロの粒子
- Speaker:
- サンギータ・バティア
- Description:
-
もし、高価な検査施設や安定した電気の供給が無くても、悪性腫瘍を何年も前に見つけることができたらどうでしょう? 医師、生体工学研究者、そして起業家の顔を持つサンギータ・バティアは、数々の学問領域を横断する研究室を率いて、人間の疾患を理解し、診断し、治療する革新的な方法を探しています。癌による死の3分の2は完全に予防可能であり、彼女の目標は、それを防ぐことだと言います。バティアが複雑なナノ粒子科学をずば抜けた明晰さで解説し、何百万もの命を救うであろう革新的な癌検診法について語ります。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 10:43
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Reiko Bovee accepted Japanese subtitles for This tiny particle could roam your body to find tumors | ||
Reiko Bovee declined Japanese subtitles for This tiny particle could roam your body to find tumors | ||
Reiko Bovee edited Japanese subtitles for This tiny particle could roam your body to find tumors |