天才が奏でる音
-
0:00 - 0:02アダム・オッケルフォード:
私の話よりデレクの演奏に -
0:02 - 0:04多くの時間を割くことを
最初にお約束します -
0:04 - 0:07でも まずは
デレクが歩んできた人生について -
0:07 - 0:11少しばかり
お話しさせて下さい -
0:11 - 0:13今や彼の背が私より高いのは
素晴らしいことですが -
0:13 - 0:15彼が生まれた時は
-
0:15 - 0:17手のひらに収まるぐらいでした
-
0:17 - 0:203ヶ月半も早く生まれてきたのです
-
0:20 - 0:26生きるために
一生懸命闘ってくれました -
0:26 - 0:27大量の酸素吸入のために
-
0:27 - 0:29視力や
-
0:29 - 0:31言語能力
-
0:31 - 0:34世界の捉え方にも影響が出ました
-
0:34 - 0:36しかし 悪い話はここまで
-
0:36 - 0:39病院から帰宅したデレクのために
-
0:39 - 0:42家族は素晴らしい
乳母を雇ったのです -
0:42 - 0:44彼女はデレクの幼少期の間
-
0:44 - 0:47ずっと世話をすることになります
-
0:47 - 0:49彼女の洞察力は 素晴らしく
-
0:49 - 0:52目の見えないデレクには
-
0:52 - 0:55音楽こそが大事だと考えたのです
-
0:55 - 0:59彼女は 赤ちゃんのデレクに
毎日歌って聞かせました -
0:59 - 1:03デレクに言わせると
さえずりのようだったそうです -
1:03 - 1:07毎日 何時間も
彼女の歌声を聞いたことが -
1:07 - 1:10デレクに影響して
-
1:10 - 1:13彼の音楽の才能が
-
1:13 - 1:16呼び覚まされた
きっかけとなったのでしょう -
1:16 - 1:18この写真を見て下さい
-
1:18 - 1:22デレクと乳母です
-
1:22 - 1:25乳母の洞察力が素晴らしかったのは
-
1:25 - 1:29デレクに楽器を与えようと考えたことでした
-
1:29 - 1:32そして この小さなキーボードを
-
1:32 - 1:35屋根裏から
引っ張り出してきたのです -
1:35 - 1:37当時は特に何も
期待していなかったようです -
1:37 - 1:40しかしデレクは小さな手で
-
1:40 - 1:42キーボードを 叩いたのです
-
1:42 - 1:45壊れてしまうくらい
バンバン叩いたのだそうです -
1:45 - 1:49キーボードを叩き始めてから数ヶ月後
-
1:49 - 1:52美しい音楽を
奏でるようになったのです -
1:52 - 1:55世界に溢れるどんな音も
-
1:55 - 2:00キーボードで真似できるということに
気づいたのは -
2:00 - 2:03まさに奇跡的瞬間だったのでは
ないでしょうか -
2:03 - 2:06それは大発見でした
-
2:06 - 2:08見えないわけですから
-
2:08 - 2:10彼は独学で学んだのです
-
2:10 - 2:11デレク・パラヴィチーニ:自分で
ピアノの弾き方を覚えたんだ -
2:11 - 2:12アダム:確かにそうだね
-
2:12 - 2:15独学の結果として
-
2:15 - 2:16彼の弾き方は
-
2:16 - 2:18げんこつや空手チョップ―
-
2:18 - 2:21鼻の先も使っていました
-
2:21 - 2:24そして乳母は
-
2:24 - 2:27初期の小さなテープレコーダーで
-
2:27 - 2:30デレクの演奏を録音していました
-
2:30 - 2:32今から流すテープは
デレクが4歳の時に -
2:32 - 2:33録音されたものです
-
2:33 - 2:36デレク:『モリー・マローン』という曲だよ
-
2:36 - 2:37アダム:今から流すのは
-
2:37 - 2:39『イングリッシュ・カントリー・ガーデン』です
-
2:39 - 2:42デレク:『イングリッシュ・カントリー・ガーデン』
-
2:42 - 2:50(音楽:『イングリッシュ・カントリー・ガーデン』)
-
3:19 - 3:20アダム:いかがでしょう?
-
3:20 - 3:27(拍手)
-
3:27 - 3:29素晴らしいとしか
言いようがありません -
3:29 - 3:31目が見えなくて
-
3:31 - 3:33まだ世の多くのことを
理解できない小さなデレク -
3:33 - 3:36家族に楽器を弾ける人は
誰もいないのに -
3:36 - 3:38自分でピアノの
弾き方を覚えたのです -
3:38 - 3:40写真から分かるように
-
3:40 - 3:42デレクは演奏中
-
3:42 - 3:44色んな動きをしていました
-
3:44 - 3:48私がデレクに出会ったのは
彼が4歳半のときです -
3:48 - 3:52初めて会った時は
正直に言って -
3:52 - 3:54とても機嫌が悪いのだと思いました
-
3:54 - 3:57というのも デレクは
全ての鍵盤を弾きたがり -
3:57 - 3:58私が邪魔をすると
-
3:58 - 4:00よく叩いてきたのです
-
4:00 - 4:02私がピアノに近づく度に
-
4:02 - 4:04すぐに向こうに追いやられました
-
4:04 - 4:07君のお父さんのニックに
-
4:07 - 4:10君にピアノの演奏を教えると
約束しておきながらも -
4:10 - 4:11ピアノに近づくことができないのに
-
4:11 - 4:14どうやって教えるんだと
困ってしまいました -
4:14 - 4:16しばらくして 思いついた
唯一の解決策は -
4:16 - 4:20デレクを部屋の向こうに
無理やり連れて行き -
4:20 - 4:23彼がピアノのそばに
戻ってくるまでの10秒間に -
4:23 - 4:25急いで戻って演奏してみせて
-
4:25 - 4:27教えるということでした
-
4:27 - 4:29ついに デレクは
-
4:29 - 4:33一緒に演奏する楽しさに気づいてくれました
-
4:33 - 4:35この写真に写っているのは
-
4:35 - 4:38茶色い髭を生やした結婚前の私と
-
4:38 - 4:41ピアノの演奏に集中している幼いデレクです
-
4:41 - 4:44そうだ これは録画されているのでしたね
-
4:44 - 4:45(笑)
-
4:45 - 4:49そして 彼は10歳までに
-
4:49 - 4:51世界を席巻する存在になりました
-
4:51 - 4:54これはロイヤル・フィルハーモニー・ポップス管弦楽団と
-
4:54 - 4:56バービカンで演奏している写真です
-
4:56 - 5:01これまでは実に刺激的な道のりでした
-
5:01 - 5:03デレクは当時
あまり話さなかったので -
5:03 - 5:05常に緊張感を伴う瞬間がありました
-
5:05 - 5:08これから演奏する曲を
ちゃんと理解しているかとか -
5:08 - 5:11正しいキーで弾けるかどうかなど
-
5:11 - 5:12そういったことについてです
-
5:12 - 5:15しかし オーケストラも驚嘆し
-
5:15 - 5:19世界中のメディアも
素晴らしい演奏をする -
5:19 - 5:22その才能に魅了されました
-
5:22 - 5:25デレクがどんな風に演奏するのか
-
5:25 - 5:28できれば今日 皆さんに
-
5:28 - 5:31お見せしたいと思います
-
5:31 - 5:33デレクの幼少期に
-
5:33 - 5:34起こったことの1つとして
-
5:34 - 5:362歳になるまでに
-
5:36 - 5:41普通の大人を上回る
音楽的な感性を持っていたことがあります -
5:41 - 5:44例えば どんな音を聞いても―
-
5:44 - 5:46適当にある音を弾いてみましょう
-
5:46 - 5:48(ピアノの音)
-
5:48 - 5:50デレクは その音を理解し
-
5:50 - 5:54どの鍵盤の音か
瞬時に判断できるのです -
5:54 - 5:56これは絶対音感と呼ばれるものです
-
5:56 - 5:59中にはピアノの中央の
いくつかの白鍵に限って -
5:59 - 6:00絶対音感を持つ人もいます
-
6:00 - 6:06(ピアノの音)
-
6:06 - 6:10私たちの練習がどんな風だったか
お分かりでしょうか -
6:10 - 6:13(拍手)
-
6:13 - 6:16ですが デレクの聴力はもっとすごいのです
-
6:16 - 6:18少しマイクを下に置いて
-
6:18 - 6:21今から和音を弾きます
-
6:21 - 6:23私の手を見れば 音がいくつか
分かりますが -
6:23 - 6:24デレクには見えません
-
6:24 - 6:27彼は 音の数を把握するだけでなく
-
6:27 - 6:32それらの音を弾くこともできます
-
6:32 - 6:39(和音を弾く)
-
6:42 - 6:45専門的なことはさておき
素晴らしいです -
6:45 - 6:50これは一斉に鳴る音を
聞き取る能力です -
6:50 - 6:52オーケストラが
演奏しているときにも -
6:52 - 6:54全ての音を聞き取り
-
6:54 - 6:57即座に 何時間も練習することで
-
6:57 - 6:59それを再現できるのです
-
6:59 - 7:04この能力こそ 彼の音楽センスの
基礎だと思います -
7:04 - 7:06とは言っても
-
7:06 - 7:10ピアノの演奏技術がなければ
-
7:10 - 7:12絶対音感があっても
意味がありませんが -
7:12 - 7:13幸いなことに デレクは
-
7:13 - 7:16一緒に学び始めてからは
-
7:16 - 7:18運指法を全て覚えました
-
7:18 - 7:21例えば ハ長調での親指の使い方とか
-
7:21 - 7:26(ピアノの音)
-
7:26 - 7:30こんな風に
-
7:32 - 7:36とても上達が早かったので ついには
-
7:36 - 7:37『熊蜂の飛行』のような曲も
-
7:37 - 7:39問題なく弾けました
そうだね? -
7:39 - 7:40デレク:そうだね
-
7:40 - 7:43アダム:11歳になるまでに
-
7:43 - 7:45デレクはこうやって演奏していました
-
7:45 - 7:48デレク:こう
-
7:48 - 8:01(音楽:『熊蜂の飛行』)
-
8:56 - 8:57(拍手)
-
8:57 - 9:00アダム:デレク 皆さんにお辞儀を
-
9:11 - 9:15よくできたね
-
9:15 - 9:19そして さらに驚くべきことには
-
9:19 - 9:22『熊蜂の飛行』を
ふつうのキーで弾くだけでなく -
9:22 - 9:24デレクは違うキーでも
-
9:24 - 9:26弾くことができるのです
-
9:26 - 9:29では実際に音を
ランダムに選んでみましょう -
9:29 - 9:31(ピアノの音)
-
9:31 - 9:32この音で『熊蜂の飛行』を
弾いてくれるかな? -
9:32 - 9:34デレク:この音で『熊蜂の飛行』です
-
9:34 - 9:39(音楽:『熊蜂の飛行』)
-
9:40 - 9:44アダム:またキーを変えてみる?
ト短調はどうかな? -
9:44 - 9:47デレク:ト短調
-
9:47 - 9:52(音楽:『熊蜂の飛行』)
-
9:52 - 9:54アダム:素晴らしいよ デレク
-
9:54 - 9:58ご覧のように デレクの頭には
どんな曲でも -
9:58 - 10:02即座に音を調整することができる
-
10:02 - 10:04コンピュータのような機能が
ついているんです -
10:04 - 10:06今のように「『熊蜂の飛行』をイ短調でなく―
-
10:06 - 10:08ロ短調で弾けますか?」と
お願いすれば -
10:08 - 10:11ほとんどのピアニストが
心臓発作を起こすでしょう -
10:11 - 10:15事実 初めてデレクが
オーケストラとこの曲で -
10:15 - 10:17共演したとき
練習してきたバージョンが -
10:17 - 10:19オーケストラのものと
異なることがありました -
10:19 - 10:21リハーサルとコンサートの合間の
-
10:21 - 10:232時間の待ち時間に
-
10:23 - 10:26デレクはオーケストラのバージョンを
聞いて すぐに覚え -
10:26 - 10:282時間後にはそれを演奏できたのです
-
10:28 - 10:30素晴らしいです
-
10:30 - 10:33彼のもう1つの才能は記憶力です
-
10:33 - 10:37デレク:記憶力
アダム:君の記憶力は本当にすごいよ -
10:37 - 10:40どのコンサートでも
私たちは観客に -
10:40 - 10:44デレクに演奏してほしい曲を
リクエストしてもらいます -
10:44 - 10:45誰もが「それは大胆だ―
-
10:45 - 10:47デレクの知らない曲だったら
どうするんだ」と言います -
10:47 - 10:48私はこう答えます
-
10:48 - 10:51「そんなことありませんよ
もしデレクが知らない曲だったら -
10:51 - 10:53まずあなたに歌ってもらえば
-
10:53 - 10:55彼は演奏できますから」
(笑) -
10:55 - 11:00突飛なリクエストをお考えなら
再検討された方が良いかもしれません -
11:00 - 11:03リクエストをしたい方はいますか?
-
11:03 - 11:07デレク:選んで 選んでくれる?
アダム:暗いので 大声でどうぞ -
11:07 - 11:10僕の演奏を聴きたい?
-
11:10 - 11:11(聴衆:「『パガニーニの主題』」)
-
11:11 - 11:14アダム:パガニーニ
デレク:『パガニーニの主題』 -
11:14 - 11:16(笑)
-
11:16 - 11:38(音楽:『パガニーニの主題』)
-
12:51 - 13:02(拍手)
-
13:02 - 13:08アダム:素晴らしい
-
13:08 - 13:11デレクはもうすぐロサンジェルスに行きます
-
13:11 - 13:14これはちょっとした節目にあたります
なぜなら デレクと私は -
13:14 - 13:17100時間に及ぶ長距離フライトを
一緒に過ごしたことになるからです -
13:17 - 13:20興味深いと思わないかい デレク?
-
13:20 - 13:23デレク:面白いね アダム
長距離フライト うん -
13:23 - 13:26アダム:13 時間話し続けるのは
大変だと思うかもしれませんが -
13:26 - 13:28デレクにとっては簡単です
-
13:28 - 13:31(笑)
-
13:31 - 13:32アメリカでデレクは
-
13:32 - 13:34「人間iPod」という呼ばれていますが
-
13:34 - 13:36私は何か違うと思います
-
13:36 - 13:39デレクはiPod よりも
ずっと優れているからです -
13:39 - 13:42君は素晴らしく
創造的な音楽家だよ -
13:42 - 13:45その創造性が最も発揮されたのは
-
13:45 - 13:47スロベニアに行った時です
-
13:47 - 13:53長いコンサートでは観客に
参加してもらうこともあるのですが -
13:53 - 13:56その時舞台に上がった人は
とても緊張していました -
13:56 - 13:59デレク:『チョップスティックス』を弾いた
アダム: 弾いたね -
13:59 - 14:00デレク:『チョップスティックス』
-
14:00 - 14:04アダム:こんな感じです
デレク:こんな感じ うん -
14:04 - 14:05(ピアノの音)
-
14:05 - 14:06アダム:そこにいるデレクのマネージャーに
-
14:06 - 14:08演奏してもらいましょうか
-
14:08 - 14:11デレク:こんな風に弾く人もいるよ
アダム:冗談かな? さあ 弾いてみて -
14:11 - 14:12(音楽:『チョップスティックス』)
-
14:12 - 14:14デレク: デレクに弾かせてよ
-
14:14 - 14:16アダム:どうしたんだい デレク?
-
14:16 - 14:18デレク:これで即興をやりたいんだ アダム
-
14:18 - 14:21アダム:これが音楽家のデレクです
-
14:21 - 14:29(音楽:『チョップスティックス』での即興)
-
15:18 - 15:20(拍手)
-
15:20 - 15:24(音楽) (手拍子)
-
15:24 - 15:26デレクに合わせられますか
-
15:26 - 15:33(音楽)
-
16:20 - 16:27(拍手)
-
16:43 - 16:45TEDの事務局に怒られるかもしれませんが
-
16:45 - 16:47アンコールの時間はあるでしょう
-
16:47 - 16:50デレク:アンコールで1曲
アダム:そう アンコールで1曲ね -
16:50 - 16:53デレクにとっての英雄の1人である―
-
16:53 - 16:55偉大なるアート・テイタムの曲です
デレク:アート・テイタム -
16:55 - 16:57アダム:彼も盲目のピアニストでした
-
16:57 - 16:58デレクのように
-
16:58 - 16:59世界の全てがピアノであると考えていた
-
16:59 - 17:01彼がピアノを演奏すると
-
17:01 - 17:04ピアノが3台あるように聞こえるのです
-
17:04 - 17:10さて デレクがアート・テイタムの
『タイガー・ラグ』を弾きます -
17:10 - 17:14デレク:『タイガー・ラグ』
-
17:14 - 17:33(音楽:『タイガー・ラグ』)
-
19:04 - 19:08(拍手)
- Title:
- 天才が奏でる音
- Speaker:
- デレク・パラヴィチーニ、アダム・オッケルフォード
- Description:
-
3ヶ月半早く未熟児で生まれたデレク・パラヴィチーニは、盲目であり、重度の自閉症です。しかし、絶対音感や生まれつきの才能と多大な努力によって、10歳までに賞賛を受けるコンサートピアニストになりました。このトークでは、彼に長年ピアノを教えてきたアダム・オッケルフォードが、パラヴィチーニの独特な音楽感覚を紹介するとともに、教科書的な『チョップスティックス』という曲をパラヴィチーニがいかにアレンジするか聞かせてくれます。(TEDxWarwickで撮影)
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 19:38
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Moe Shoji
I attempted to contact the translator, Rosa Kai, yet no response. Here is the link for the spreadsheet I shared with her for further editing. Moe Shoji
https://docs.google.com/spreadsheet/ccc?key=0Ardadrx_5eiKdElKNVlQWXdxbFpYRGpyYm84WUpFcHc&usp=sharing