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『オデュッセイア』を読む前にこれだけは知っておきたいこと — ジル・ダッシュ

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    人食い巨人との接近遭遇
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    人間を豚に変えてしまう魔女
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    長年 行方知れずだった王が
    玉座を奪還
  • 0:18 - 0:22
    どれ一つとっても
    壮大な物語ですが
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    『オデュッセイア』という
    1万2千行からなる長編の
  • 0:26 - 0:33
    古代ギリシャの歴史と神話と伝説の
    長い年月を詠った叙事詩の一コマにすぎません
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    非常に遠く離れた世界で作られ
    遠い世界を描いた
  • 0:36 - 0:40
    このような膨大な詩を理解するには
    どうしたら良いでしょうか?
  • 0:40 - 0:44
    私達が『オデュッセイア』を
    読めること自体驚くべきことです
  • 0:44 - 0:49
    ギリシャ語アルファベットが現れる
    紀元前8世紀以前に作られた詩だからです
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    詩は 「黙読」のためではなく
    「聞く」ために創作され
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    「rhapsodes(吟遊詩人)」と呼ばれる
    語り手の詩人が朗読しました
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    言い伝えでは 作者はホメロスという
    盲目の人物とされています
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    でも ホメロスが実在したかどうか
    誰にも分かりません
  • 1:05 - 1:09
    ホメロスについての記述が最初に現れるのは
    本人の活動時期よりも数世紀後です
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    しかも ホメロスの作とされる詩は
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    複数の作家によって何度も
    変更編集された後
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    最後に 現在の形に
    書き留められたのです
  • 1:19 - 1:23
    「rhapsode」の意味は
    縫い合わせること —
  • 1:23 - 1:28
    詩人たちは
    元の物語、ジョーク、神話、歌を
  • 1:28 - 1:30
    つなぎ合わせて
    一つの物語として詠いあげたのです
  • 1:30 - 1:33
    このような長編の叙事詩を
    ライブで朗読するために
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    吟遊詩人たちは
    決まった韻律を使い
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    覚えた詩行や決まり文句を繰り返すという
    記憶術を併用しました
  • 1:42 - 1:46
    この中には 情景描写や
    登場人物目録も含まれ
  • 1:46 - 1:50
    詩人が物語のどの部分か
    見失わないようする働きを持っています
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    丁度 歌のコーラスや間奏を聞くと
    次の歌詞を思い出すようにです
  • 1:54 - 1:57
    物語のほとんどが 聴衆にとって
    お馴染みのものであり
  • 1:57 - 2:01
    詩の中の節をバラバラに聴くのが
    一般的でした
  • 2:01 - 2:03
    でもある時点で 順番が確定し
  • 2:03 - 2:07
    今日読まれている部分に
    定着しました
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    でも ここ数千年の間に
    世の中も少し変化したので
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    少し背景知識があると
    詩の世界に入りやすくなります
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    『オデュッセイア』はホメロスの
    もう一つの有名な叙事詩『イリアス』の続編です
  • 2:20 - 2:23
    『イリアス』はトロイア戦争の物語です
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    2つの叙事詩をつなぐ
    1つの大きなテーマがあるとすればそれは
  • 2:27 - 2:32
    「いかなる状況下であっても
    神々の怒りを買ってはならない」です
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    ギリシャ神話の世界は 神々の力と
    人間のもろさの入り混じる
  • 2:37 - 2:41
    壮大なスケールで妬みや恨みが
    渦巻く危険地帯です
  • 2:41 - 2:46
    そして 詩の中で人間が直面する
    問題の原因は「ヒュブリス」 すなわち
  • 2:46 - 2:50
    人間が神々に勝ると思い込む
    過剰な自尊心です
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    神々を喜ばせたい
    という欲望があまりにも強いため
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    古代ギリシャ人は 昔から
    気前よく よそ者を
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    家に招き入れたものでした
  • 2:58 - 3:02
    それは よそ者が 人間に身をやつした
    神かもしれないと恐れてのことでした
  • 3:02 - 3:05
    おもてなしをするという この古代の
    行動規範を「クセニア」と言いました
  • 3:05 - 3:10
    それは 亭主は客人に
    安全と食事とくつろぎを提供し
  • 3:10 - 3:15
    客人は返礼として 礼儀を尽くし
    持ち合わせがあればギフトを贈るというものです
  • 3:15 - 3:18
    『オデュッセイア』でクセニアは
    重要な役割を持っています
  • 3:18 - 3:22
    物語の中で放浪中のオデュッセウスは
    長逗留の客人であり
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    夫不在中の賢妻ペネロペイアは
    ずっと亭主役を務めています
  • 3:27 - 3:31
    『オデュッセイア』はオデュッセウスの
    何年にもわたる旅を全て語ります
  • 3:31 - 3:36
    でも物語部は 前置きなしで
    いきなり始まります
  • 3:36 - 3:41
    トロイア戦争の10年後
    我らが英雄は島に取り残され
  • 3:41 - 3:46
    彼の故郷イタカや
    20年会っていない家族の話はずっと先です
  • 3:46 - 3:52
    元はと言えば 海神ポセイダオンの息子
    巨人キュクロプスを盲目にして海神の怒りを買い
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    オデュッセウスの帰路は
    不運な出来事だらけ
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    故郷ではトラブルが起こりつつあり
    神々は彼の運命を語り合い
  • 3:59 - 4:04
    オデュッセウスは 島の亭主に
    自らの失われた年月を語り始めます
  • 4:04 - 4:07
    『オデュッセイア』の一番の魅力の1つは
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    物語の繰り広げられる期間についての
    私たちの知識の乏しさと
  • 4:11 - 4:15
    テキストそのものに含まれた
    ディテールの豊かさとの間のギャップです
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    歴史学者、言語学者、考古学者たちが
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    何世紀もかけて
    トロイア遺跡を探し求め
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    オデュッセウスが訪れた
    島の特定を試みました
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    物語の英雄と同じく
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    24巻もの叙事詩は
    何世紀にもわたる神話と歴史の長い旅を経て
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    現代なおも
    驚くべき物語を語ってくれます
Title:
『オデュッセイア』を読む前にこれだけは知っておきたいこと — ジル・ダッシュ
Description:

人食い巨人との接近遭遇。人間を豚に変えてしまう魔女。長年行方知れずだった王が玉座を奪還。それぞれ、単独でも立派な物語です。でもどの物語も、『オデュッセイア』という、古代ギリシャの史実と神話を詠った12,000行からなる叙事詩の、逸話にすぎません。では、この長大なテキストをどう理解したらいいでしょう?ジル・ダッシュが、ホメロスの『オデュッセイア』を読むために必要な知識を共有します。

講師: ジル・ダッシュ、アニメーション:デビッド・プライス
*このビデオの教材:ed.ted.com/lessons/everything-you-need-to-know-to-read-homer-s-odyssey-jill-dash

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TED-Ed
Duration:
04:57

Japanese subtitles

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