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人類の家系図

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    ジャンボ、ボンジュール、ズドラーストヴィチェ、ダヨ
    いずれも「こんにちは」です
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    この6週間
    これらの言葉を使ってきました
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    17カ国ほどを回る
    思えばとてもクレイジーな旅でしたが
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    私たちのプロジェクトの
    様々な面を確認しました
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    そのことについては後ほど少しお話します
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    この旅では 大変面白い場所にも行きました
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    モンゴル、カンボジア、ニューギニア、南アフリカ
    タンザニアは今回 2回目です
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    1ヶ月前にも来ましたから
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    駆け足でこのような世界旅行が出来たことは
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    多くの点で 実に素晴らしい経験でした
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    目を見張るようなモノとの出会い
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    また 世界中の人々のあいだに
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    違いを見出すこともできました
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    そこから分かること
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    一見して明らかなことは
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    世界は1つではないということ
    - 今からこの話をするのですが
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    人々が いかに違っていることか
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    世界は多様性に満ちています
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    650億人によって話されている
    6,000もの言語があり
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    様々な色の肌 身体の特徴や大きさ
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    都会を歩いたり
    世界旅行したりすると
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    人類の多様性に驚きます
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    どうやったら この多様性に説明がつくのか
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    今日はそのためにここに来ました
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    どのように どれくらいの時間をかけて
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    このような多様性が生まれたのか
    遺伝学 特に集団遺伝学を使って
  • 1:28 - 1:30
    私が調べている方法を 紹介します
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    人類の多様性の問題を
  • 1:32 - 1:34
    - どのように説明がつくか とか
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    そういう他の漠然とした疑問と同じく -
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    具体的な問題に置き換えてみましょう
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    小さな問題に分けて解いていくのです
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    まず1つ目は 起源についての疑問
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    私たちは全員
    起源は同じなのでしょうか
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    もしそうだとすると
    おそらく
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    ここにいる皆さんは思うでしょう
    「起源っていつ?」
  • 1:51 - 1:53
    人類としての始まりはいつなのか
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    いつから 見た目が
    大きく違ってきたのか
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    2つ目の疑問は それと関連はありますが
    少し違っています
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    もし私たちが同じ1つの起源を持つなら
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    どのようにして地球上に散らばったのか
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    世界中で このような多様性
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    生活様式や 見た目の違い
    異なる言語を
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    生み出しながら
    どう拡散していったのか
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    起源の問題は
    他の多くの生物学の問題と同じく
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    1世紀前に
    ダーウィンが答えています
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    『人間の由来』の中で
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    「世界各地で 生きている哺乳類は
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    同じ地域の絶滅種と
    密接な関係がある
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    従って かつてアフリカに
    ゴリラやチンパンジーと同類の
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    絶滅した類人猿が
    生息していた可能性があり
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    これら2つの種が人類に
    最も近い種であることから
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    初期の人類が
    アフリカ大陸に居たという
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    可能性は
    他の地域よりも高いであろう」
  • 2:35 - 2:39
    以上です 帰りましょう
    起源の疑問は解けました
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    いや そうでもありませんね
    ダーウィンのは遠い祖先の話です
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    類人猿と共通の祖先
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    もちろん類人猿は
    アフリカ大陸で誕生しました
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    2300万年前の化石が発見されています
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    当時アフリカ大陸は
    他の大陸から分断されていました
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    プレートテクトニクスですね
    インド洋を漂っていました
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    1600万年前 ユーラシア大陸にぶつかり
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    そしていわゆる
    最初の出アフリカが果たされました
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    そのとき移動した類人猿は
    東南アジアで
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    テナガザルとオランウータンになりました
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    アフリカに残ったものは
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    ゴリラとチンパンジーと
    人類へ進化しました
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    そうです
    類人猿と共通の祖先のことは
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    化石を見ると明らかなのです
    そこから始まったのです
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    でも 私の疑問はそんなことではなく
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    私が知りたいのは 人間の祖先
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    今この場にいても
    違和感がない
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    私たちのような姿の祖先
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    もしあなたの肩越しに覗いていても
  • 3:30 - 3:33
    こんな風にのけぞったりしないで済む
    私たちの先祖のことです
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    ずっとずっと遠くの昔まで戻れば
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    地球上全ての生物と共通の祖先がいます
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    私たちは皆DNAで1つにつながっていて
    10億年前には
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    魚やバクテリアやキノコとも
    共通の祖先がいるのです
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    しかし知りたいのは
    人類の祖先です
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    どうやって確かめるのか
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    昔から一般的には
    古人類学を用いて研究されてきました
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    発掘作業をして
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    主に形態学に基づき
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    モノの形 - たいてい頭蓋骨の形を見て
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    「こっちの方が少し僕たちに似てるな
    よし これが祖先に違いない
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    僕はこの人の子孫なんだな」
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    古人類学の分野は 人類の祖先について
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    夢のような可能性をたくさん示してくれますが
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    科学者が望む
    確実性の高い可能性は示してくれません
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    それは -
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    ここに良い例があります
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    ヒト科の3つの絶滅種で
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    人間の祖先かもしれません
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    リーキー夫妻が
    タンザニアのオルドヴァイ峡谷で発見し
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    どれも ほぼ同じ年代に生きていました
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    左から
    ホモ・エレクトス、ホモ・ハビリス
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    アウストラロピテクス -
    今はパラントロプス・ボイセイ
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    「頑丈なアウストラロピテクス」と呼びます
    3つの絶滅種 同じ場所 同じ年代
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    つまり この3人全てが
    私の直接的な先祖ということはない
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    では一体 この中の誰なんでしょうね?
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    人類の祖先についての可能性
    でもそれは本当に探し求めている答えじゃない
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    つい最近まで
    人類の形態学の取り組み方といえば
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    実際に手にしたモノだけを
    - 主に頭蓋骨を
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    データとすること
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    体系的な形態学を作ったのは
    カール・リンネです
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    スウェーデンの植物学者です
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    18世紀に リンネは
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    地球上全ての生物の分類をしました
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    皆さんのお仕事も大変でしょうが -
  • 5:13 - 5:15
    彼は偉業を成し遂げました
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    著書『自然の体系』で
    12,000種もの分類をし
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    ラテン語で「賢い人」を意味する
    ホモ・サピエンスという言葉を造り
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    世界を見渡して 人類の多様性を目にし
    言ったのは
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    「我々人類も さらに小さな
    亜種に分けられるようだ」
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    ここでアフリカ人 アメリカ人 アジア人
    ヨーロッパ人 その上で
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    露骨な人種差別的カテゴリー
    「変人」について述べ
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    基本的にその中には
    彼が嫌っていた人たちや
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    想像上の怪人や妖精などを入れました
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    「善意」だったのかも知れませんが
    実際のところ ダーウィンより前
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    18世紀の科学者が
    知らないことが
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    あったということです
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    しかし 今から2、30年前の
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    形質人類学でも まだ
    あらゆる場面で 基本的に
  • 6:00 - 6:02
    これと同じ分類を教えていました
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    3、40年前まで 形質人類学では
    人種は -
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    ダーウィンの登場後にも関わらず -
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    100万年前 ホモ・エレクトスの時代に
    分かれ始めた と
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    カールトン・クーンなどが言っていました
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    どんなデータを元に?
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    データなんてほとんどない
    形態学と 大部分は推測です
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    今日お話しすることは
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    この問題に取り組む新しい方法です
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    外に出て 人類の祖先について推測する -
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    祖先かも知れない誰かを発掘し
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    形態学的に言うと・・・なんて
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    形態学自体 よく分かっていないのに
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    形状の変異を起こす
    遺伝子的原因は掴めていないのです
  • 6:40 - 6:42
    そうではなく
    全く新しい方法が必要です
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    何故なら 私たちが明らかにしたいのは
    系統学的な問題
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    系統学的な疑問なのです
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    私たちが挑戦しているのは
    今 生きている全ての人の家系図を作ること
  • 6:53 - 6:55
    きっと 過去には
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    この中で 家系図を作ろうとした人
  • 6:57 - 7:00
    または家族でそういう人がいたと思います
  • 7:00 - 7:02
    確実にわかる現在から始めて
  • 7:02 - 7:04
    あなたと兄弟には共通の親がいますね
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    従兄弟とは共通の祖父母がいる
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    そうやってどんどん過去にさかのぼり
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    遠い親戚も付け加えていきます
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    しかしどれほど教会の記録などを
    調べ尽くしても
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    壁にぶつかる時が来ます
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    先祖を辿れなくなる段階に入ると
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    歴史と呼ばれる
    暗くてミステリアスなこの領域では
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    ささやき声を頼りに
    手探りで進まねばなりません
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    この人たちはどこから来たのか
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    記録がない
    いや 実はあるのです
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    私たちの遺伝子 DNAに刻まれた記録 -
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    初期の人類まで辿ることが出来る
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    そんな記録があるのです
    それを調べるのです
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    DNAについて少し説明しましょう
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    皆さんが 全員
    遺伝学者ということはありませんね
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    DNAはとても長い線状の分子で
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    あなたを複製できる暗号 設計図です
    構成しているのは
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    4つの小さな要素で
    A、C、G、Tと呼ばれています
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    その配列で設計図が描かれています
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    長さは その要素の何十億個分にもなり
  • 8:05 - 8:08
    人間の染色体は同じもの2つで1対ですが
    その半数体で
  • 8:08 - 8:12
    小さな要素から作られた最小分子
    ヌクレオチドを 約32億個つなげた長さ
  • 8:12 - 8:14
    1対の染色体では
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    60億個以上のヌクレオチドの長さ
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    身体にある1つの細胞から
    全てのDNAを取り出し
  • 8:19 - 8:23
    伸ばしてみたら
    端から端まで約2メートル
  • 8:23 - 8:25
    身体の全ての細胞から
  • 8:25 - 8:29
    DNAを取り出して 全部つなげたら
    ここから月まで何千回も
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    往復するくらいの長さ
    膨大な情報量ですね
  • 8:32 - 8:38
    だからDNAをコピーするというのは
    大変な作業になるのです
  • 8:38 - 8:42
    思いつく限り長い本を想像して下さい
    例えば『戦争と平和』
  • 8:42 - 8:44
    それを100倍して
  • 8:44 - 8:46
    それを手で書き写す
  • 8:46 - 8:48
    夜遅くまで作業します
  • 8:48 - 8:50
    とても注意深く
    コーヒを飲みながら
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    気をつけてはいるものの
    でも
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    手で書き写していると
  • 8:54 - 8:56
    間違えることもあるでしょう
  • 8:56 - 9:00
    e を i と書き間違えたり
    T を C と書いたり
  • 9:00 - 9:04
    何世代も経る間に
    同じことがDNAでも起こります
  • 9:04 - 9:07
    頻繁ではありません
    私たちに備わった修正機能がありますから
  • 9:07 - 9:09
    しかし書き間違えが起こり
  • 9:09 - 9:12
    それが次の世代に伝えられたら
    マーカー、目印となります
  • 9:12 - 9:14
    誰かと同じマーカーを持っていたら
  • 9:14 - 9:17
    過去 そのDNAを書き間違えた
    共通の先祖が
  • 9:17 - 9:19
    いるということになるのですから
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    世界中の人が持つ
    遺伝的変異のパターン
  • 9:22 - 9:25
    これらの遺伝子マーカーのパターンを見て
  • 9:25 - 9:29
    歴史を通して
    それが起こった年代を割り出すことで
  • 9:29 - 9:32
    今 生きている全ての人たちの
    家系図が出来ました
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    私たちが調査に用いるDNAは2種類
  • 9:35 - 9:38
    ミトコンドリアDNAでは
    母方の血統を辿れます
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    母から 祖母から
    女性から女性へ受け継がれるので
  • 9:41 - 9:43
    一番最初の女性まで辿れるのです
  • 9:43 - 9:46
    Y染色体は 男性にしかない遺伝子で
  • 9:46 - 9:49
    父方の血統を辿ることが出来ます
  • 9:49 - 9:53
    ここにいる誰もが
    世界中の誰もが
  • 9:53 - 9:57
    この系譜のどこかに当てはまります
  • 9:57 - 10:00
    簡略化した系譜とはいえ
    まだ複雑なので
  • 10:00 - 10:02
    もっと簡素化してみましょう
  • 10:02 - 10:04
    各々を横向きにし
    先祖を下に
  • 10:04 - 10:07
    子孫を上にすると
    木のようになります
  • 10:07 - 10:09
    ここで重要なことはなんでしょうか
  • 10:09 - 10:11
    まず真っ先に目を引くことは
  • 10:11 - 10:14
    この系図で一番深い血統が
  • 10:14 - 10:19
    アフリカにあるということです
    アフリカ人がそれを持っているのです
  • 10:19 - 10:22
    つまり この最初の変異は アフリカで
  • 10:22 - 10:25
    長期間 保持されてきたということです
  • 10:25 - 10:29
    人類の起源はアフリカにあるという証拠で
    DNAに記されています
  • 10:29 - 10:34
    アフリカで DNAを比べると
    世界の他の地域よりも 多くの多様性があります
  • 10:34 - 10:37
    過去のどこかの時点で
    幾つかのグループが
  • 10:37 - 10:41
    アフリカ大陸を出て
    世界中に移り住んでいきました
  • 10:41 - 10:43
    共通の先祖は
    何年前に生きていたのか?
  • 10:43 - 10:47
    数百万年くらい前だと思いますか?
  • 10:47 - 10:50
    世界中には驚くべき多様性が
    ありますからね
  • 10:50 - 10:53
    DNAを調べると 明らかです
  • 10:53 - 10:58
    わずか20万年さかのぼるだけで
    たった1人の共通の先祖に辿り着きます
  • 10:58 - 11:02
    ミトコンドリア・イブ
    聞いたことがあるでしょう アフリカ人女性です
  • 11:02 - 11:05
    現代の全人類が持つ
    ミトコンドリア変異を起こした人
  • 11:05 - 11:07
    しかし更に驚くべきことに
  • 11:07 - 11:09
    Y染色体の方を見ると
  • 11:09 - 11:13
    男性側の話ですね
    Y染色体アダムは
  • 11:13 - 11:15
    ほんの6万年前に生きていたのです
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    たった2000世代前です
  • 11:18 - 11:21
    進化という視点で言えば
    瞬き1つの間ですね
  • 11:22 - 11:25
    ということは その時点では
    全人類はまだアフリカに居て
  • 11:25 - 11:27
    1人のアフリカ人男性が
    現代の
  • 11:27 - 11:29
    全男性が持つ
    Y染色体変異を起こしました
  • 11:29 - 11:31
    たった6万年の間に
  • 11:31 - 11:35
    世界中で こんなにも素晴らしい
    多様性が生まれてきたのです
  • 11:35 - 11:37
    本当に驚きます
  • 11:37 - 11:40
    私たちは事実上
    アフリカの大家族の一員です
  • 11:41 - 11:44
    さて なぜもっと早く
    移住を始めなかったのでしょうか?
  • 11:44 - 11:48
    ホモ・エレクトスは なぜ人類の亜種へと
  • 11:48 - 11:50
    進化しなかったのでしょうか?
  • 11:50 - 11:54
    どうして近年になるまで
    アフリカを出なかったのでしょうか?
  • 11:54 - 11:56
    「なぜ」は 大いなる疑問です
  • 11:56 - 12:01
    特に遺伝学と歴史の分野では
    常に大きな疑問で
  • 12:01 - 12:03
    答えるのが非常に難しい
  • 12:03 - 12:06
    話に困ったら
    天気の話題に移りましょうね
  • 12:06 - 12:09
    6万年前の地球の天候は
    どうだったのでしょうか?
  • 12:09 - 12:12
    実は最終氷期の
    最も厳しい段階でした
  • 12:12 - 12:15
    最終氷河期はおよそ12万年前に始まり
  • 12:15 - 12:19
    最初はゆるやかでしたが
    7万年前から急激に冷え始めました
  • 12:19 - 12:21
    堆積物コアや 花粉の種類
  • 12:21 - 12:24
    酸素同位元素などから
    明らかになっています
  • 12:24 - 12:27
    1万6000年前にピークを迎えましたが
  • 12:27 - 12:31
    7万年前からすでに
    状況は厳しいものでした
  • 12:31 - 12:36
    とても寒く 北半球には
    巨大に発達した氷床がありました
  • 12:36 - 12:40
    NYやシカゴ、シアトルなどは
    氷床の下に埋もれていました
  • 12:40 - 12:45
    英国の大半とスカンジナビア半島全域は
    数kmもの厚さの氷に覆われていました
  • 12:45 - 12:48
    現在アフリカは
    地球上で最も暑い大陸です
  • 12:48 - 12:52
    その85%が
    北回帰線と南回帰線の間に位置し
  • 12:52 - 12:54
    東アフリカの高い山の上以外に
  • 12:54 - 12:56
    氷河はありません
  • 12:56 - 12:59
    当時アフリカは
    氷で覆われてはいなかった
  • 12:59 - 13:02
    その代わり とても乾燥していました
  • 13:02 - 13:04
    これは古代の気候の地図です
  • 13:04 - 13:07
    先ほど述べた証拠を
    つなぎあわせると
  • 13:07 - 13:11
    6、7万年前のアフリカが
    どうだったかわかります
  • 13:11 - 13:15
    氷が大気中から湿気を吸い取るので
    乾燥していたのです
  • 13:15 - 13:19
    南極を想像して下さい
    降水量は少なく 実際は砂漠なのです
  • 13:19 - 13:21
    世界中が乾燥していた
  • 13:21 - 13:25
    海面は下がり
    アフリカは砂漠になった
  • 13:25 - 13:28
    サハラ砂漠は
    現在よりも遥かに大きかった
  • 13:28 - 13:31
    人類が住める場所は
    現在と比べると
  • 13:31 - 13:33
    ほんの数ヶ所になってしまった
  • 13:33 - 13:35
    遺伝子のデータによると
  • 13:35 - 13:38
    その当時 およそ7万年前の人口は
  • 13:38 - 13:41
    2,000人以下にまで減りました
  • 13:41 - 13:45
    人類は絶滅寸前でしたが
    首の皮一枚で持ちこたえました
  • 13:45 - 13:48
    そしてここで
    あることが起きたのです
  • 13:48 - 13:50
    この石器を見て下さい
  • 13:50 - 13:54
    左のはアフリカで発見されたもの
    100万年前のものです
  • 13:54 - 13:57
    右の石器はネアンデルタール人のもの
  • 13:57 - 13:59
    人類の直接の祖先ではなく遠い親戚で
  • 13:59 - 14:03
    5、6万年前 ヨーロッパにいました
  • 14:03 - 14:06
    ここに古人類学者や
    形質人類学者がいたら
  • 14:06 - 14:09
    反論されるかもしれませんが
  • 14:09 - 14:14
    基本的にこの2種類の石器の間に
    大きな違いはありません
  • 14:14 - 14:17
    どちらも互いによく似ています
  • 14:17 - 14:21
    人類の文化は100万年前から
    6、7万年前まで
  • 14:21 - 14:23
    長い停滞期にありました
  • 14:23 - 14:25
    道具の形に大きな変化がない -
  • 14:25 - 14:27
    つまりその間
    人類の生活様式に
  • 14:27 - 14:29
    大きな変化は無かったということです
  • 14:29 - 14:34
    しかし5万年から7万年前
    その地域のどこかで
  • 14:34 - 14:37
    大変動が起きました
    芸術が生まれたのです
  • 14:37 - 14:40
    石器はもっと精巧に
    作られるようになりました
  • 14:40 - 14:43
    特定の時期に
    特定の獲物を
  • 14:43 - 14:45
    狩るようになったということです
  • 14:45 - 14:48
    人口は増え始めました
  • 14:48 - 14:50
    多くの言語学者が言うには
    恐らく
  • 14:50 - 14:54
    現代な言語のように
    主語 動詞 目的語などとあって
  • 14:54 - 14:58
    複雑な概念を伝える系統的な言語は
    この時期に出現したと思われます
  • 14:58 - 15:02
    人類は社会的になりました
    ソーシャルネットワークが広がったのです
  • 15:02 - 15:07
    生活様式の変化したので
    悪化していくアフリカの環境でも生き残ることができ
  • 15:07 - 15:11
    世界中に移住していくことが出来たのです
  • 15:12 - 15:15
    アフリカでのサクセスストーリーですね
  • 15:15 - 15:18
    その結末が何かわかりますか?
  • 15:18 - 15:21
    あなたです
    あなたが今日ここに存在すること
  • 15:21 - 15:25
    人類の脳に起きたこれらの変化は
    アフリカかも知れないし
  • 15:25 - 15:28
    他の移住先かも知れませんが
  • 15:28 - 15:31
    およそ6、7万年前に起きました
    そのおかげで
  • 15:31 - 15:34
    アフリカで生き残るだけでなく
    外へ出て行くことが出来ました
  • 15:34 - 15:37
    アジア南部の沿岸ルートをたどる
    初期の移住は
  • 15:37 - 15:39
    6万年前にアフリカを出て
  • 15:39 - 15:43
    すぐにオーストラリアに到達しました
    5万年前です
  • 15:43 - 15:45
    その少し後に
    中東に向けて出た移住者は
  • 15:45 - 15:47
    サバンナのハンターになりました
  • 15:47 - 15:49
    後で現地視察ツアーに参加する方は
  • 15:49 - 15:51
    本物のサバンナの姿がわかりますよ
  • 15:51 - 15:53
    基本的に肉の宝庫です
  • 15:53 - 15:56
    動物を殺す専門家になった人々は
  • 15:56 - 15:59
    野生動物の宝庫
    サバンナで狩りをしながら
  • 15:59 - 16:03
    草原に沿って
    4万5000年前に中東に入りました
  • 16:03 - 16:05
    サハラ砂漠が緑に覆われていた頃です
  • 16:05 - 16:08
    草原が広がる方
    東へと進みました
  • 16:08 - 16:10
    住むのに適していたからですね
  • 16:10 - 16:12
    中央アジアに到着すると
  • 16:12 - 16:15
    大草原が待ち受けていました
  • 16:15 - 16:17
    草原のスーパー・ハイウェイです
  • 16:17 - 16:19
    氷河期でしたが
    この大草原は
  • 16:19 - 16:22
    今のドイツから韓国まで
    広がっていました
  • 16:22 - 16:24
    大陸全部が彼らのものだったのです
  • 16:24 - 16:26
    ヨーロッパへは3万5000年前に到着し
  • 16:26 - 16:28
    そしてついに 小さなグループが
  • 16:28 - 16:32
    最悪の環境だったであろう
    シベリアに到達しました
  • 16:32 - 16:34
    最終氷河期の北極圏内は
  • 16:34 - 16:38
    氷点下50℃以下の極寒
    マイナス70℃ということさえあったでしょう
  • 16:38 - 16:42
    そこからアメリカに渡りました
    最後の開拓地です
  • 16:42 - 16:46
    この壮大な物語は
    全てアフリカから始まったのです
  • 16:46 - 16:48
    変化したおかげで -
  • 16:48 - 16:51
    適応できる脳へと進化したおかげで
  • 16:51 - 16:53
    新しい文化を生み出し
  • 16:53 - 16:56
    駆け足で回った世界旅行で見られるような
  • 16:56 - 16:59
    人類の多様性が発展したのです
  • 17:00 - 17:04
    今ここでお話したことも
    駆け足の旅行です
  • 17:04 - 17:09
    旧石器時代に世界中に広まった
    人類の足跡を辿りました
  • 17:09 - 17:11
    数年前に出版した著書
  • 17:11 - 17:15
    『アダムの旅』で書きましたし
    同じタイトルの映画も作りました
  • 17:15 - 17:18
    その映画の撮影が終わる頃
  • 17:18 - 17:20
    - ナショナル・ジオグラフィックと
  • 17:20 - 17:23
    共同製作でしたが -
    そのスタッフと話をしている時
  • 17:23 - 17:27
    彼らはとても興奮していました
    映画も気に入っていて 言い出したのは
  • 17:27 - 17:29
    「本当にこれは
  • 17:29 - 17:33
    人類の起源を研究する新しい切り口だね
  • 17:33 - 17:38
    我々はどこから来たのか
    DNAを調べて祖先の移動マップを作る
  • 17:38 - 17:40
    DNAを研究することで人類の起源を知る
  • 17:40 - 17:42
    これをもう1つ上のレベルに
    上げたいな
  • 17:42 - 17:44
    次に どうしたいんだい?」
  • 17:44 - 17:46
    大きな質問が投げかけられました
  • 17:46 - 17:50
    私は言いました
    「今のところ ここまでしか出来ていない
  • 17:50 - 17:54
    どうやって人類が地球上に
    広まっていったかという図だけなんだ
  • 17:54 - 17:57
    サンプルを採ったのは数千人
  • 17:57 - 17:59
    世界の人口からしたら
    ほんの少しだな
  • 17:59 - 18:03
    2、3の遺伝子マーカーを調べたら
    たくさんの変異が見つかった
  • 18:03 - 18:05
    その点と点を結んでいっただけだ
  • 18:05 - 18:09
    もっとサンプルを増やして -
    1桁以上
  • 18:09 - 18:13
    世界中から何十万ものDNAサンプルを
    集める必要がある」
  • 18:13 - 18:16
    こうして ジェノグラフィック・プロジェクトが
    誕生し
  • 18:16 - 18:19
    2005年4月にスタートしました
  • 18:19 - 18:23
    プロジェクトには3つの柱があります
    その中で もちろん科学が一番大きいですが
  • 18:23 - 18:26
    世界中で
    先住民と一緒に行う現地調査
  • 18:26 - 18:29
    同じ場所で長期間にわたり
    生き続けてきた人々は
  • 18:29 - 18:31
    その土地との関係を保っています
  • 18:31 - 18:33
    多くの人々は既に失ってしまいましたね
  • 18:34 - 18:36
    私の祖先は北欧の出ですが
  • 18:36 - 18:39
    私は 旅行に出ていない時には
    北米の東海岸に住んでいます
  • 18:39 - 18:42
    どこの出身?どこでしょうね
    ごた混ぜです
  • 18:42 - 18:45
    しかし 祖先とつながりを
    保っている人々は
  • 18:45 - 18:48
    DNAの調査結果を解釈するのに
    不可欠なのです
  • 18:48 - 18:50
    現地調査の一番の目的です
  • 18:50 - 18:52
    世界中に10ヶ所
    調査センターがあり
  • 18:52 - 18:55
    世界最高レベルの
    集団遺伝学者が研究しています
  • 18:55 - 18:58
    そしてまた 世界中の人々に
    この研究に参加してもらいたい
  • 18:58 - 19:02
    大規模な科学プロジェクトに
    参加したいと思っても ヒトゲノム計画や
  • 19:02 - 19:04
    火星探査計画に 参加できるでしょうか
  • 19:04 - 19:06
    この研究では参加できるのです
  • 19:06 - 19:10
    ジェノグラフィック・プロジェクトの
    ウェブサイトへ行き
  • 19:10 - 19:13
    DNS検査キットを購入するだけです
  • 19:13 - 19:16
    遺伝的背景に関するアンケートを添えて
    自分のDNAの
  • 19:16 - 19:18
    検査結果を データベースに送ると
  • 19:18 - 19:22
    あなたのDNAデータが
    研究の一部として分析されるのです
  • 19:22 - 19:26
    非営利事業として行っているので
    集まったお金は
  • 19:26 - 19:29
    キットの作成や検査にかかった分を
    差し引いて
  • 19:29 - 19:31
    計画に回されます
  • 19:31 - 19:33
    大部分はレガシー・ファンドへ -
  • 19:33 - 19:37
    基本的には助成金を提供する
    慈善団体で
  • 19:37 - 19:39
    世界中の先住民グループに伝わる
  • 19:39 - 19:43
    教育的 文化的プロジェクトを
    支援します
  • 19:43 - 19:45
    色々なプロジェクトがありますが
  • 19:45 - 19:47
    例をお見せしましょう
  • 19:47 - 19:50
    どういう流れかというと
    今までに 25,000のサンプルが
  • 19:50 - 19:52
    世界中の先住民から集められましたが
  • 19:52 - 19:55
    驚いたのは
    一般市民の方々の関心です
  • 19:55 - 19:58
    21万人分のDNA検査キットが
  • 19:58 - 20:00
    この2年間で販売されました
  • 20:00 - 20:03
    その500万ドルの売上の大半
  • 20:03 - 20:06
    少なくとも半分が
    レガシー・ファンドに渡りました
  • 20:06 - 20:10
    最近 最初の助成金として
    50万ドル 承認されたところです
  • 20:10 - 20:13
    シェラレオネの口承詩を文書化したり
  • 20:13 - 20:16
    ガザの伝統的な織物パターンを保存したり
  • 20:16 - 20:19
    タジキスタンの言語を復活させたり と
    世界中で支援しています
  • 20:19 - 20:22
    とても 本当にとても うまくいっています
  • 20:22 - 20:26
    どうかサイトに行って
    プロジェクトを見て下さい
  • 20:26 - 20:28
    ありがとうございました
  • 20:28 - 20:30
    (拍手)
Title:
人類の家系図
Speaker:
スペンサー・ウエルズ
Description:

全ての人類は、アフリカにいた人類の祖先から受け継がれてきたDNAに、ある共通点を持っています。多様性に富んだ人類が、実は真に1つにつながっている。ジェノグラフィック・プロジェクトを通して、このDNAの共通点をヒントにそれを解き明かす方法を、遺伝学者スペンサー・ウエルズが語ります。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
20:30

Japanese subtitles

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