人類の家系図
-
0:00 - 0:09ジャンボ、ボンジュール、ズドラーストヴィチェ、ダヨ
いずれも「こんにちは」です -
0:09 - 0:13この6週間
これらの言葉を使ってきました -
0:13 - 0:1817カ国ほどを回る
思えばとてもクレイジーな旅でしたが -
0:18 - 0:21私たちのプロジェクトの
様々な面を確認しました -
0:21 - 0:23そのことについては後ほど少しお話します
-
0:23 - 0:26この旅では 大変面白い場所にも行きました
-
0:26 - 0:32モンゴル、カンボジア、ニューギニア、南アフリカ
タンザニアは今回 2回目です -
0:32 - 0:341ヶ月前にも来ましたから
-
0:34 - 0:39駆け足でこのような世界旅行が出来たことは
-
0:39 - 0:42多くの点で 実に素晴らしい経験でした
-
0:42 - 0:44目を見張るようなモノとの出会い
-
0:44 - 0:46また 世界中の人々のあいだに
-
0:46 - 0:48違いを見出すこともできました
-
0:48 - 0:50そこから分かること
-
0:50 - 0:53一見して明らかなことは
-
0:53 - 0:57世界は1つではないということ
- 今からこの話をするのですが -
0:57 - 0:59人々が いかに違っていることか
-
0:59 - 1:02世界は多様性に満ちています
-
1:02 - 1:05650億人によって話されている
6,000もの言語があり -
1:05 - 1:08様々な色の肌 身体の特徴や大きさ
-
1:08 - 1:11都会を歩いたり
世界旅行したりすると -
1:11 - 1:15人類の多様性に驚きます
-
1:15 - 1:18どうやったら この多様性に説明がつくのか
-
1:18 - 1:20今日はそのためにここに来ました
-
1:20 - 1:22どのように どれくらいの時間をかけて
-
1:22 - 1:28このような多様性が生まれたのか
遺伝学 特に集団遺伝学を使って -
1:28 - 1:30私が調べている方法を 紹介します
-
1:30 - 1:32人類の多様性の問題を
-
1:32 - 1:34- どのように説明がつくか とか
-
1:34 - 1:36そういう他の漠然とした疑問と同じく -
-
1:36 - 1:38具体的な問題に置き換えてみましょう
-
1:38 - 1:41小さな問題に分けて解いていくのです
-
1:41 - 1:43まず1つ目は 起源についての疑問
-
1:43 - 1:45私たちは全員
起源は同じなのでしょうか -
1:45 - 1:48もしそうだとすると
おそらく -
1:48 - 1:51ここにいる皆さんは思うでしょう
「起源っていつ?」 -
1:51 - 1:53人類としての始まりはいつなのか
-
1:53 - 1:55いつから 見た目が
大きく違ってきたのか -
1:55 - 1:592つ目の疑問は それと関連はありますが
少し違っています -
1:59 - 2:01もし私たちが同じ1つの起源を持つなら
-
2:01 - 2:03どのようにして地球上に散らばったのか
-
2:03 - 2:05世界中で このような多様性
-
2:05 - 2:08生活様式や 見た目の違い
異なる言語を -
2:08 - 2:10生み出しながら
どう拡散していったのか -
2:10 - 2:13起源の問題は
他の多くの生物学の問題と同じく -
2:13 - 2:151世紀前に
ダーウィンが答えています -
2:15 - 2:17『人間の由来』の中で
-
2:17 - 2:19「世界各地で 生きている哺乳類は
-
2:19 - 2:22同じ地域の絶滅種と
密接な関係がある -
2:22 - 2:25従って かつてアフリカに
ゴリラやチンパンジーと同類の -
2:25 - 2:28絶滅した類人猿が
生息していた可能性があり -
2:28 - 2:31これら2つの種が人類に
最も近い種であることから -
2:31 - 2:33初期の人類が
アフリカ大陸に居たという -
2:33 - 2:35可能性は
他の地域よりも高いであろう」 -
2:35 - 2:39以上です 帰りましょう
起源の疑問は解けました -
2:39 - 2:43いや そうでもありませんね
ダーウィンのは遠い祖先の話です -
2:43 - 2:45類人猿と共通の祖先
-
2:45 - 2:49もちろん類人猿は
アフリカ大陸で誕生しました -
2:49 - 2:522300万年前の化石が発見されています
-
2:52 - 2:55当時アフリカ大陸は
他の大陸から分断されていました -
2:55 - 2:59プレートテクトニクスですね
インド洋を漂っていました -
2:59 - 3:011600万年前 ユーラシア大陸にぶつかり
-
3:01 - 3:04そしていわゆる
最初の出アフリカが果たされました -
3:04 - 3:06そのとき移動した類人猿は
東南アジアで -
3:06 - 3:08テナガザルとオランウータンになりました
-
3:08 - 3:10アフリカに残ったものは
-
3:10 - 3:12ゴリラとチンパンジーと
人類へ進化しました -
3:12 - 3:15そうです
類人猿と共通の祖先のことは -
3:15 - 3:19化石を見ると明らかなのです
そこから始まったのです -
3:19 - 3:21でも 私の疑問はそんなことではなく
-
3:21 - 3:23私が知りたいのは 人間の祖先
-
3:23 - 3:26今この場にいても
違和感がない -
3:26 - 3:28私たちのような姿の祖先
-
3:28 - 3:30もしあなたの肩越しに覗いていても
-
3:30 - 3:33こんな風にのけぞったりしないで済む
私たちの先祖のことです -
3:33 - 3:35ずっとずっと遠くの昔まで戻れば
-
3:35 - 3:38地球上全ての生物と共通の祖先がいます
-
3:38 - 3:41私たちは皆DNAで1つにつながっていて
10億年前には -
3:41 - 3:46魚やバクテリアやキノコとも
共通の祖先がいるのです -
3:46 - 3:48しかし知りたいのは
人類の祖先です -
3:48 - 3:50どうやって確かめるのか
-
3:50 - 3:54昔から一般的には
古人類学を用いて研究されてきました -
3:54 - 3:56発掘作業をして
-
3:56 - 3:58主に形態学に基づき
-
3:58 - 4:01モノの形 - たいてい頭蓋骨の形を見て
-
4:01 - 4:05「こっちの方が少し僕たちに似てるな
よし これが祖先に違いない -
4:05 - 4:08僕はこの人の子孫なんだな」
-
4:08 - 4:11古人類学の分野は 人類の祖先について
-
4:11 - 4:14夢のような可能性をたくさん示してくれますが
-
4:14 - 4:17科学者が望む
確実性の高い可能性は示してくれません -
4:17 - 4:19それは -
-
4:19 - 4:21ここに良い例があります
-
4:21 - 4:23ヒト科の3つの絶滅種で
-
4:23 - 4:25人間の祖先かもしれません
-
4:25 - 4:28リーキー夫妻が
タンザニアのオルドヴァイ峡谷で発見し -
4:28 - 4:30どれも ほぼ同じ年代に生きていました
-
4:30 - 4:32左から
ホモ・エレクトス、ホモ・ハビリス -
4:32 - 4:35アウストラロピテクス -
今はパラントロプス・ボイセイ -
4:35 - 4:40「頑丈なアウストラロピテクス」と呼びます
3つの絶滅種 同じ場所 同じ年代 -
4:40 - 4:43つまり この3人全てが
私の直接的な先祖ということはない -
4:43 - 4:46では一体 この中の誰なんでしょうね?
-
4:46 - 4:51人類の祖先についての可能性
でもそれは本当に探し求めている答えじゃない -
4:52 - 4:56つい最近まで
人類の形態学の取り組み方といえば -
4:56 - 4:59実際に手にしたモノだけを
- 主に頭蓋骨を -
4:59 - 5:01データとすること
-
5:01 - 5:05体系的な形態学を作ったのは
カール・リンネです -
5:05 - 5:07スウェーデンの植物学者です
-
5:07 - 5:0918世紀に リンネは
-
5:09 - 5:11地球上全ての生物の分類をしました
-
5:11 - 5:13皆さんのお仕事も大変でしょうが -
-
5:13 - 5:15彼は偉業を成し遂げました
-
5:15 - 5:19著書『自然の体系』で
12,000種もの分類をし -
5:19 - 5:22ラテン語で「賢い人」を意味する
ホモ・サピエンスという言葉を造り -
5:22 - 5:26世界を見渡して 人類の多様性を目にし
言ったのは -
5:26 - 5:30「我々人類も さらに小さな
亜種に分けられるようだ」 -
5:30 - 5:34ここでアフリカ人 アメリカ人 アジア人
ヨーロッパ人 その上で -
5:34 - 5:37露骨な人種差別的カテゴリー
「変人」について述べ -
5:37 - 5:40基本的にその中には
彼が嫌っていた人たちや -
5:40 - 5:43想像上の怪人や妖精などを入れました
-
5:44 - 5:49「善意」だったのかも知れませんが
実際のところ ダーウィンより前 -
5:49 - 5:5218世紀の科学者が
知らないことが -
5:52 - 5:54あったということです
-
5:54 - 5:56しかし 今から2、30年前の
-
5:56 - 6:00形質人類学でも まだ
あらゆる場面で 基本的に -
6:00 - 6:02これと同じ分類を教えていました
-
6:02 - 6:073、40年前まで 形質人類学では
人種は - -
6:07 - 6:09ダーウィンの登場後にも関わらず -
-
6:09 - 6:13100万年前 ホモ・エレクトスの時代に
分かれ始めた と -
6:13 - 6:16カールトン・クーンなどが言っていました
-
6:16 - 6:18どんなデータを元に?
-
6:18 - 6:22データなんてほとんどない
形態学と 大部分は推測です -
6:22 - 6:24今日お話しすることは
-
6:24 - 6:27この問題に取り組む新しい方法です
-
6:27 - 6:30外に出て 人類の祖先について推測する -
-
6:30 - 6:32祖先かも知れない誰かを発掘し
-
6:32 - 6:34形態学的に言うと・・・なんて
-
6:34 - 6:36形態学自体 よく分かっていないのに
-
6:36 - 6:40形状の変異を起こす
遺伝子的原因は掴めていないのです -
6:40 - 6:42そうではなく
全く新しい方法が必要です -
6:42 - 6:46何故なら 私たちが明らかにしたいのは
系統学的な問題 -
6:46 - 6:48系統学的な疑問なのです
-
6:48 - 6:53私たちが挑戦しているのは
今 生きている全ての人の家系図を作ること -
6:53 - 6:55きっと 過去には
-
6:55 - 6:57この中で 家系図を作ろうとした人
-
6:57 - 7:00または家族でそういう人がいたと思います
-
7:00 - 7:02確実にわかる現在から始めて
-
7:02 - 7:04あなたと兄弟には共通の親がいますね
-
7:04 - 7:06従兄弟とは共通の祖父母がいる
-
7:06 - 7:09そうやってどんどん過去にさかのぼり
-
7:09 - 7:11遠い親戚も付け加えていきます
-
7:11 - 7:15しかしどれほど教会の記録などを
調べ尽くしても -
7:15 - 7:19壁にぶつかる時が来ます
-
7:19 - 7:22先祖を辿れなくなる段階に入ると
-
7:22 - 7:26歴史と呼ばれる
暗くてミステリアスなこの領域では -
7:26 - 7:29ささやき声を頼りに
手探りで進まねばなりません -
7:29 - 7:31この人たちはどこから来たのか
-
7:31 - 7:34記録がない
いや 実はあるのです -
7:34 - 7:37私たちの遺伝子 DNAに刻まれた記録 -
-
7:37 - 7:39初期の人類まで辿ることが出来る
-
7:39 - 7:43そんな記録があるのです
それを調べるのです -
7:43 - 7:45DNAについて少し説明しましょう
-
7:45 - 7:48皆さんが 全員
遺伝学者ということはありませんね -
7:48 - 7:52DNAはとても長い線状の分子で
-
7:52 - 7:55あなたを複製できる暗号 設計図です
構成しているのは -
7:55 - 7:584つの小さな要素で
A、C、G、Tと呼ばれています -
7:58 - 8:02その配列で設計図が描かれています
-
8:02 - 8:05長さは その要素の何十億個分にもなり
-
8:05 - 8:08人間の染色体は同じもの2つで1対ですが
その半数体で -
8:08 - 8:12小さな要素から作られた最小分子
ヌクレオチドを 約32億個つなげた長さ -
8:12 - 8:141対の染色体では
-
8:14 - 8:1660億個以上のヌクレオチドの長さ
-
8:16 - 8:19身体にある1つの細胞から
全てのDNAを取り出し -
8:19 - 8:23伸ばしてみたら
端から端まで約2メートル -
8:23 - 8:25身体の全ての細胞から
-
8:25 - 8:29DNAを取り出して 全部つなげたら
ここから月まで何千回も -
8:29 - 8:32往復するくらいの長さ
膨大な情報量ですね -
8:32 - 8:38だからDNAをコピーするというのは
大変な作業になるのです -
8:38 - 8:42思いつく限り長い本を想像して下さい
例えば『戦争と平和』 -
8:42 - 8:44それを100倍して
-
8:44 - 8:46それを手で書き写す
-
8:46 - 8:48夜遅くまで作業します
-
8:48 - 8:50とても注意深く
コーヒを飲みながら -
8:50 - 8:52気をつけてはいるものの
でも -
8:52 - 8:54手で書き写していると
-
8:54 - 8:56間違えることもあるでしょう
-
8:56 - 9:00e を i と書き間違えたり
T を C と書いたり -
9:00 - 9:04何世代も経る間に
同じことがDNAでも起こります -
9:04 - 9:07頻繁ではありません
私たちに備わった修正機能がありますから -
9:07 - 9:09しかし書き間違えが起こり
-
9:09 - 9:12それが次の世代に伝えられたら
マーカー、目印となります -
9:12 - 9:14誰かと同じマーカーを持っていたら
-
9:14 - 9:17過去 そのDNAを書き間違えた
共通の先祖が -
9:17 - 9:19いるということになるのですから
-
9:19 - 9:22世界中の人が持つ
遺伝的変異のパターン -
9:22 - 9:25これらの遺伝子マーカーのパターンを見て
-
9:25 - 9:29歴史を通して
それが起こった年代を割り出すことで -
9:29 - 9:32今 生きている全ての人たちの
家系図が出来ました -
9:32 - 9:35私たちが調査に用いるDNAは2種類
-
9:35 - 9:38ミトコンドリアDNAでは
母方の血統を辿れます -
9:38 - 9:41母から 祖母から
女性から女性へ受け継がれるので -
9:41 - 9:43一番最初の女性まで辿れるのです
-
9:43 - 9:46Y染色体は 男性にしかない遺伝子で
-
9:46 - 9:49父方の血統を辿ることが出来ます
-
9:49 - 9:53ここにいる誰もが
世界中の誰もが -
9:53 - 9:57この系譜のどこかに当てはまります
-
9:57 - 10:00簡略化した系譜とはいえ
まだ複雑なので -
10:00 - 10:02もっと簡素化してみましょう
-
10:02 - 10:04各々を横向きにし
先祖を下に -
10:04 - 10:07子孫を上にすると
木のようになります -
10:07 - 10:09ここで重要なことはなんでしょうか
-
10:09 - 10:11まず真っ先に目を引くことは
-
10:11 - 10:14この系図で一番深い血統が
-
10:14 - 10:19アフリカにあるということです
アフリカ人がそれを持っているのです -
10:19 - 10:22つまり この最初の変異は アフリカで
-
10:22 - 10:25長期間 保持されてきたということです
-
10:25 - 10:29人類の起源はアフリカにあるという証拠で
DNAに記されています -
10:29 - 10:34アフリカで DNAを比べると
世界の他の地域よりも 多くの多様性があります -
10:34 - 10:37過去のどこかの時点で
幾つかのグループが -
10:37 - 10:41アフリカ大陸を出て
世界中に移り住んでいきました -
10:41 - 10:43共通の先祖は
何年前に生きていたのか? -
10:43 - 10:47数百万年くらい前だと思いますか?
-
10:47 - 10:50世界中には驚くべき多様性が
ありますからね -
10:50 - 10:53DNAを調べると 明らかです
-
10:53 - 10:58わずか20万年さかのぼるだけで
たった1人の共通の先祖に辿り着きます -
10:58 - 11:02ミトコンドリア・イブ
聞いたことがあるでしょう アフリカ人女性です -
11:02 - 11:05現代の全人類が持つ
ミトコンドリア変異を起こした人 -
11:05 - 11:07しかし更に驚くべきことに
-
11:07 - 11:09Y染色体の方を見ると
-
11:09 - 11:13男性側の話ですね
Y染色体アダムは -
11:13 - 11:15ほんの6万年前に生きていたのです
-
11:15 - 11:18たった2000世代前です
-
11:18 - 11:21進化という視点で言えば
瞬き1つの間ですね -
11:22 - 11:25ということは その時点では
全人類はまだアフリカに居て -
11:25 - 11:271人のアフリカ人男性が
現代の -
11:27 - 11:29全男性が持つ
Y染色体変異を起こしました -
11:29 - 11:31たった6万年の間に
-
11:31 - 11:35世界中で こんなにも素晴らしい
多様性が生まれてきたのです -
11:35 - 11:37本当に驚きます
-
11:37 - 11:40私たちは事実上
アフリカの大家族の一員です -
11:41 - 11:44さて なぜもっと早く
移住を始めなかったのでしょうか? -
11:44 - 11:48ホモ・エレクトスは なぜ人類の亜種へと
-
11:48 - 11:50進化しなかったのでしょうか?
-
11:50 - 11:54どうして近年になるまで
アフリカを出なかったのでしょうか? -
11:54 - 11:56「なぜ」は 大いなる疑問です
-
11:56 - 12:01特に遺伝学と歴史の分野では
常に大きな疑問で -
12:01 - 12:03答えるのが非常に難しい
-
12:03 - 12:06話に困ったら
天気の話題に移りましょうね -
12:06 - 12:096万年前の地球の天候は
どうだったのでしょうか? -
12:09 - 12:12実は最終氷期の
最も厳しい段階でした -
12:12 - 12:15最終氷河期はおよそ12万年前に始まり
-
12:15 - 12:19最初はゆるやかでしたが
7万年前から急激に冷え始めました -
12:19 - 12:21堆積物コアや 花粉の種類
-
12:21 - 12:24酸素同位元素などから
明らかになっています -
12:24 - 12:271万6000年前にピークを迎えましたが
-
12:27 - 12:317万年前からすでに
状況は厳しいものでした -
12:31 - 12:36とても寒く 北半球には
巨大に発達した氷床がありました -
12:36 - 12:40NYやシカゴ、シアトルなどは
氷床の下に埋もれていました -
12:40 - 12:45英国の大半とスカンジナビア半島全域は
数kmもの厚さの氷に覆われていました -
12:45 - 12:48現在アフリカは
地球上で最も暑い大陸です -
12:48 - 12:52その85%が
北回帰線と南回帰線の間に位置し -
12:52 - 12:54東アフリカの高い山の上以外に
-
12:54 - 12:56氷河はありません
-
12:56 - 12:59当時アフリカは
氷で覆われてはいなかった -
12:59 - 13:02その代わり とても乾燥していました
-
13:02 - 13:04これは古代の気候の地図です
-
13:04 - 13:07先ほど述べた証拠を
つなぎあわせると -
13:07 - 13:116、7万年前のアフリカが
どうだったかわかります -
13:11 - 13:15氷が大気中から湿気を吸い取るので
乾燥していたのです -
13:15 - 13:19南極を想像して下さい
降水量は少なく 実際は砂漠なのです -
13:19 - 13:21世界中が乾燥していた
-
13:21 - 13:25海面は下がり
アフリカは砂漠になった -
13:25 - 13:28サハラ砂漠は
現在よりも遥かに大きかった -
13:28 - 13:31人類が住める場所は
現在と比べると -
13:31 - 13:33ほんの数ヶ所になってしまった
-
13:33 - 13:35遺伝子のデータによると
-
13:35 - 13:38その当時 およそ7万年前の人口は
-
13:38 - 13:412,000人以下にまで減りました
-
13:41 - 13:45人類は絶滅寸前でしたが
首の皮一枚で持ちこたえました -
13:45 - 13:48そしてここで
あることが起きたのです -
13:48 - 13:50この石器を見て下さい
-
13:50 - 13:54左のはアフリカで発見されたもの
100万年前のものです -
13:54 - 13:57右の石器はネアンデルタール人のもの
-
13:57 - 13:59人類の直接の祖先ではなく遠い親戚で
-
13:59 - 14:035、6万年前 ヨーロッパにいました
-
14:03 - 14:06ここに古人類学者や
形質人類学者がいたら -
14:06 - 14:09反論されるかもしれませんが
-
14:09 - 14:14基本的にこの2種類の石器の間に
大きな違いはありません -
14:14 - 14:17どちらも互いによく似ています
-
14:17 - 14:21人類の文化は100万年前から
6、7万年前まで -
14:21 - 14:23長い停滞期にありました
-
14:23 - 14:25道具の形に大きな変化がない -
-
14:25 - 14:27つまりその間
人類の生活様式に -
14:27 - 14:29大きな変化は無かったということです
-
14:29 - 14:34しかし5万年から7万年前
その地域のどこかで -
14:34 - 14:37大変動が起きました
芸術が生まれたのです -
14:37 - 14:40石器はもっと精巧に
作られるようになりました -
14:40 - 14:43特定の時期に
特定の獲物を -
14:43 - 14:45狩るようになったということです
-
14:45 - 14:48人口は増え始めました
-
14:48 - 14:50多くの言語学者が言うには
恐らく -
14:50 - 14:54現代な言語のように
主語 動詞 目的語などとあって -
14:54 - 14:58複雑な概念を伝える系統的な言語は
この時期に出現したと思われます -
14:58 - 15:02人類は社会的になりました
ソーシャルネットワークが広がったのです -
15:02 - 15:07生活様式の変化したので
悪化していくアフリカの環境でも生き残ることができ -
15:07 - 15:11世界中に移住していくことが出来たのです
-
15:12 - 15:15アフリカでのサクセスストーリーですね
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15:15 - 15:18その結末が何かわかりますか?
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15:18 - 15:21あなたです
あなたが今日ここに存在すること -
15:21 - 15:25人類の脳に起きたこれらの変化は
アフリカかも知れないし -
15:25 - 15:28他の移住先かも知れませんが
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15:28 - 15:31およそ6、7万年前に起きました
そのおかげで -
15:31 - 15:34アフリカで生き残るだけでなく
外へ出て行くことが出来ました -
15:34 - 15:37アジア南部の沿岸ルートをたどる
初期の移住は -
15:37 - 15:396万年前にアフリカを出て
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15:39 - 15:43すぐにオーストラリアに到達しました
5万年前です -
15:43 - 15:45その少し後に
中東に向けて出た移住者は -
15:45 - 15:47サバンナのハンターになりました
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15:47 - 15:49後で現地視察ツアーに参加する方は
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15:49 - 15:51本物のサバンナの姿がわかりますよ
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15:51 - 15:53基本的に肉の宝庫です
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15:53 - 15:56動物を殺す専門家になった人々は
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15:56 - 15:59野生動物の宝庫
サバンナで狩りをしながら -
15:59 - 16:03草原に沿って
4万5000年前に中東に入りました -
16:03 - 16:05サハラ砂漠が緑に覆われていた頃です
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16:05 - 16:08草原が広がる方
東へと進みました -
16:08 - 16:10住むのに適していたからですね
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16:10 - 16:12中央アジアに到着すると
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16:12 - 16:15大草原が待ち受けていました
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16:15 - 16:17草原のスーパー・ハイウェイです
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16:17 - 16:19氷河期でしたが
この大草原は -
16:19 - 16:22今のドイツから韓国まで
広がっていました -
16:22 - 16:24大陸全部が彼らのものだったのです
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16:24 - 16:26ヨーロッパへは3万5000年前に到着し
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16:26 - 16:28そしてついに 小さなグループが
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16:28 - 16:32最悪の環境だったであろう
シベリアに到達しました -
16:32 - 16:34最終氷河期の北極圏内は
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16:34 - 16:38氷点下50℃以下の極寒
マイナス70℃ということさえあったでしょう -
16:38 - 16:42そこからアメリカに渡りました
最後の開拓地です -
16:42 - 16:46この壮大な物語は
全てアフリカから始まったのです -
16:46 - 16:48変化したおかげで -
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16:48 - 16:51適応できる脳へと進化したおかげで
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16:51 - 16:53新しい文化を生み出し
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16:53 - 16:56駆け足で回った世界旅行で見られるような
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16:56 - 16:59人類の多様性が発展したのです
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17:00 - 17:04今ここでお話したことも
駆け足の旅行です -
17:04 - 17:09旧石器時代に世界中に広まった
人類の足跡を辿りました -
17:09 - 17:11数年前に出版した著書
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17:11 - 17:15『アダムの旅』で書きましたし
同じタイトルの映画も作りました -
17:15 - 17:18その映画の撮影が終わる頃
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17:18 - 17:20- ナショナル・ジオグラフィックと
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17:20 - 17:23共同製作でしたが -
そのスタッフと話をしている時 -
17:23 - 17:27彼らはとても興奮していました
映画も気に入っていて 言い出したのは -
17:27 - 17:29「本当にこれは
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17:29 - 17:33人類の起源を研究する新しい切り口だね
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17:33 - 17:38我々はどこから来たのか
DNAを調べて祖先の移動マップを作る -
17:38 - 17:40DNAを研究することで人類の起源を知る
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17:40 - 17:42これをもう1つ上のレベルに
上げたいな -
17:42 - 17:44次に どうしたいんだい?」
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17:44 - 17:46大きな質問が投げかけられました
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17:46 - 17:50私は言いました
「今のところ ここまでしか出来ていない -
17:50 - 17:54どうやって人類が地球上に
広まっていったかという図だけなんだ -
17:54 - 17:57サンプルを採ったのは数千人
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17:57 - 17:59世界の人口からしたら
ほんの少しだな -
17:59 - 18:032、3の遺伝子マーカーを調べたら
たくさんの変異が見つかった -
18:03 - 18:05その点と点を結んでいっただけだ
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18:05 - 18:09もっとサンプルを増やして -
1桁以上 -
18:09 - 18:13世界中から何十万ものDNAサンプルを
集める必要がある」 -
18:13 - 18:16こうして ジェノグラフィック・プロジェクトが
誕生し -
18:16 - 18:192005年4月にスタートしました
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18:19 - 18:23プロジェクトには3つの柱があります
その中で もちろん科学が一番大きいですが -
18:23 - 18:26世界中で
先住民と一緒に行う現地調査 -
18:26 - 18:29同じ場所で長期間にわたり
生き続けてきた人々は -
18:29 - 18:31その土地との関係を保っています
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18:31 - 18:33多くの人々は既に失ってしまいましたね
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18:34 - 18:36私の祖先は北欧の出ですが
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18:36 - 18:39私は 旅行に出ていない時には
北米の東海岸に住んでいます -
18:39 - 18:42どこの出身?どこでしょうね
ごた混ぜです -
18:42 - 18:45しかし 祖先とつながりを
保っている人々は -
18:45 - 18:48DNAの調査結果を解釈するのに
不可欠なのです -
18:48 - 18:50現地調査の一番の目的です
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18:50 - 18:52世界中に10ヶ所
調査センターがあり -
18:52 - 18:55世界最高レベルの
集団遺伝学者が研究しています -
18:55 - 18:58そしてまた 世界中の人々に
この研究に参加してもらいたい -
18:58 - 19:02大規模な科学プロジェクトに
参加したいと思っても ヒトゲノム計画や -
19:02 - 19:04火星探査計画に 参加できるでしょうか
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19:04 - 19:06この研究では参加できるのです
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19:06 - 19:10ジェノグラフィック・プロジェクトの
ウェブサイトへ行き -
19:10 - 19:13DNS検査キットを購入するだけです
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19:13 - 19:16遺伝的背景に関するアンケートを添えて
自分のDNAの -
19:16 - 19:18検査結果を データベースに送ると
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19:18 - 19:22あなたのDNAデータが
研究の一部として分析されるのです -
19:22 - 19:26非営利事業として行っているので
集まったお金は -
19:26 - 19:29キットの作成や検査にかかった分を
差し引いて -
19:29 - 19:31計画に回されます
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19:31 - 19:33大部分はレガシー・ファンドへ -
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19:33 - 19:37基本的には助成金を提供する
慈善団体で -
19:37 - 19:39世界中の先住民グループに伝わる
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19:39 - 19:43教育的 文化的プロジェクトを
支援します -
19:43 - 19:45色々なプロジェクトがありますが
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19:45 - 19:47例をお見せしましょう
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19:47 - 19:50どういう流れかというと
今までに 25,000のサンプルが -
19:50 - 19:52世界中の先住民から集められましたが
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19:52 - 19:55驚いたのは
一般市民の方々の関心です -
19:55 - 19:5821万人分のDNA検査キットが
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19:58 - 20:00この2年間で販売されました
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20:00 - 20:03その500万ドルの売上の大半
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20:03 - 20:06少なくとも半分が
レガシー・ファンドに渡りました -
20:06 - 20:10最近 最初の助成金として
50万ドル 承認されたところです -
20:10 - 20:13シェラレオネの口承詩を文書化したり
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20:13 - 20:16ガザの伝統的な織物パターンを保存したり
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20:16 - 20:19タジキスタンの言語を復活させたり と
世界中で支援しています -
20:19 - 20:22とても 本当にとても うまくいっています
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20:22 - 20:26どうかサイトに行って
プロジェクトを見て下さい -
20:26 - 20:28ありがとうございました
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20:28 - 20:30(拍手)
- Title:
- 人類の家系図
- Speaker:
- スペンサー・ウエルズ
- Description:
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全ての人類は、アフリカにいた人類の祖先から受け継がれてきたDNAに、ある共通点を持っています。多様性に富んだ人類が、実は真に1つにつながっている。ジェノグラフィック・プロジェクトを通して、このDNAの共通点をヒントにそれを解き明かす方法を、遺伝学者スペンサー・ウエルズが語ります。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 20:30
Natsuhiko Mizutani approved Japanese subtitles for A family tree for humanity | ||
Retired user accepted Japanese subtitles for A family tree for humanity | ||
Yuriko Hida edited Japanese subtitles for A family tree for humanity | ||
Yuriko Hida edited Japanese subtitles for A family tree for humanity | ||
Yuriko Hida edited Japanese subtitles for A family tree for humanity | ||
Yuriko Hida edited Japanese subtitles for A family tree for humanity | ||
Yuriko Hida edited Japanese subtitles for A family tree for humanity | ||
Yuriko Hida edited Japanese subtitles for A family tree for humanity |