0:00:00.000,0:00:04.000 イスラエルの山道を[br]自転車で走るということに 0:00:04.000,0:00:06.000 情熱と責任を持って取り組んでいます 0:00:06.000,0:00:09.000 情熱と責任を持って取り組んでいます 0:00:09.000,0:00:11.000 マウンテンバイクに乗っている間は 0:00:11.000,0:00:13.000 イスラエルの本当の美しさや 0:00:13.000,0:00:16.000 イスラエルの本当の美しさや 0:00:16.000,0:00:18.000 この国の歴史や 聖書の律法との 0:00:18.000,0:00:22.000 この国の歴史や 聖書の律法との 0:00:22.000,0:00:24.000 一体感を感じます 0:00:24.000,0:00:26.000 そして 私にとって 0:00:26.000,0:00:28.000 自転車に乗ることは[br]活力の源でもあります 0:00:28.000,0:00:30.000 周りに何もない 急な山の頂上に到達すると 0:00:30.000,0:00:32.000 周りに何もない 急な山の頂上に到達すると 0:00:32.000,0:00:34.000 自分は若く 0:00:34.000,0:00:37.000 向かうところ敵なし そして永遠である[br]という気持ちになれるのです 0:00:37.000,0:00:40.000 まるで自分が何かの伝説か 0:00:40.000,0:00:42.000 自分という存在を超えた 0:00:42.000,0:00:44.000 大いなるエネルギーの[br]一部になったような気分です 0:00:44.000,0:00:46.000 この写真の端には 0:00:46.000,0:00:48.000 私を心配そうな眼差しで見つめる 0:00:48.000,0:00:51.000 仲間達がいます 0:00:51.000,0:00:53.000 これも 彼らの写真です 0:00:53.000,0:00:56.000 残念ながら 私は彼らの顔を[br]お見せすることも 0:00:56.000,0:00:58.000 彼らの本名を明かすこともできません 0:00:58.000,0:01:00.000 私が一緒に自転車に乗っている仲間は 0:01:00.000,0:01:02.000 未成年の受刑者 0:01:02.000,0:01:04.000 犯罪者たちで 0:01:04.000,0:01:06.000 ここから自転車で20分ほどの 0:01:06.000,0:01:09.000 矯正施設に収容されているからです 0:01:09.000,0:01:11.000 イスラエルはどこでも[br]20分ですけど 0:01:13.000,0:01:16.000 私は少年達と週に一回[br]自転車に乗ります 0:01:16.000,0:01:19.000 この4年間 毎週火曜日に [br]晴れでも雨でも 乗っています 0:01:19.000,0:01:22.000 今では 彼らは私の人生の[br]非常に大きな一部です 0:01:22.000,0:01:25.000 この始まりは 4年前に遡ります 0:01:25.000,0:01:27.000 少年達がいる矯正施設が 0:01:27.000,0:01:29.000 たまたま 私がよく走るルートの 0:01:29.000,0:01:31.000 途中にありました 0:01:31.000,0:01:33.000 そこは鉄条網に囲まれて 0:01:33.000,0:01:35.000 電動式ゲートがあり[br]武装した守衛がいます 0:01:35.000,0:01:37.000 そのルートを走っていた ある日 0:01:37.000,0:01:39.000 話をして中に入れてもらい 0:01:39.000,0:01:42.000 所長に会いに行きました 0:01:42.000,0:01:44.000 私は所長に 0:01:44.000,0:01:47.000 マウンテンバイク・クラブを作って 0:01:47.000,0:01:49.000 少年達をそこから連れだし 0:01:49.000,0:01:52.000 ここへ 連れて行きたいと言いました 0:01:52.000,0:01:54.000 「週に一度 10人の子供が ー 0:01:54.000,0:01:57.000 夏の野山を自転車で走れる方法を考えよう」 0:01:57.000,0:02:00.000 と言いました 0:02:00.000,0:02:02.000 所長は非常に驚いて 0:02:02.000,0:02:05.000 頭がどうかしてるんじゃないか と言いました 0:02:05.000,0:02:07.000 そして こう言いました 0:02:07.000,0:02:10.000 「ここは矯正施設だ ここにいるのは[br]重罪を犯した犯罪者なんだから 0:02:10.000,0:02:12.000 ここに監禁されてなくてはいけない 0:02:12.000,0:02:15.000 出かけることなんて考えられない」 0:02:15.000,0:02:17.000 まあ それでも 私と所長は対話を始め 0:02:17.000,0:02:19.000 色々な展開がありました 0:02:19.000,0:02:22.000 ニュージャージー州にいたら 0:02:22.000,0:02:24.000 州立刑務所に入っていって 0:02:24.000,0:02:26.000 そんな提案をするなんて 考えられません 0:02:26.000,0:02:28.000 でも ここはイスラエルです 0:02:28.000,0:02:31.000 所長が どうにか実現してくれました 0:02:31.000,0:02:34.000 そして 2ヶ月後 0:02:34.000,0:02:36.000 私達は「野放し」になったわけです 0:02:36.000,0:02:38.000 私と 0:02:38.000,0:02:41.000 10人の少年受刑者と 0:02:41.000,0:02:43.000 ラスという 素晴らしい青年です 0:02:43.000,0:02:45.000 彼とは とても仲良くなり 0:02:45.000,0:02:47.000 このプロジェクトの[br]パートナーにもなりました 0:02:47.000,0:02:50.000 その後の数週間で[br]素晴らしい体験をしました 0:02:50.000,0:02:52.000 少年達に完璧な自由が 0:02:52.000,0:02:54.000 存在している世界を見せました 0:02:54.000,0:02:57.000 息を呑むような展望が次々広がる世界 0:02:57.000,0:02:59.000 このような景色のことですが 0:02:59.000,0:03:02.000 ご覧いただいているのは[br]すべてイスラエルです 0:03:02.000,0:03:04.000 また ありとあらゆる種類の 0:03:04.000,0:03:06.000 小動物との出会いもありました 0:03:06.000,0:03:08.000 大きいのから小さいの 0:03:08.000,0:03:11.000 色も 形も 0:03:11.000,0:03:13.000 実に様々でした 0:03:13.000,0:03:16.000 このように 全てが素晴らしかったわけですが 0:03:16.000,0:03:19.000 初めの頃は 非常にイライラさせられました 0:03:19.000,0:03:21.000 小さな障害物 0:03:21.000,0:03:23.000 ほんの少しの上り坂 0:03:23.000,0:03:25.000 そんなもので この少年達は 0:03:25.000,0:03:28.000 いちいち自転車から降りて [br]諦めてしまうのです 0:03:28.000,0:03:31.000 こんな光景が良くありました 0:03:31.000,0:03:33.000 彼らは フラストレーションや困難に 0:03:33.000,0:03:35.000 向き合うことができなかったのです 0:03:35.000,0:03:37.000 体力がないわけではありません 0:03:37.000,0:03:40.000 それこそが 彼らが今の状況にある[br]要因の一つだったのです 0:03:41.000,0:03:43.000 私もだんだんとイライラしてきました 0:03:43.000,0:03:45.000 というのは 私がそこにいたのは 0:03:45.000,0:03:47.000 付き添い役としてばかりではなく 0:03:47.000,0:03:49.000 自分もチームの一員として[br]走りたかったからです 0:03:49.000,0:03:51.000 私は途方に暮れました 0:03:51.000,0:03:53.000 例を挙げますと 0:03:53.000,0:03:56.000 岩がゴツゴツした丘を下っていると 0:03:56.000,0:03:59.000 アレックスの自転車の前輪が 0:03:59.000,0:04:01.000 割れ目に嵌ってしまいました 0:04:01.000,0:04:03.000 彼は転んで 0:04:03.000,0:04:05.000 軽い怪我をしました 0:04:05.000,0:04:08.000 それでも彼は 飛び上がり 0:04:08.000,0:04:10.000 そのうちに自転車で飛び上がったりして 0:04:10.000,0:04:12.000 暴力的な言葉で罵り 0:04:12.000,0:04:15.000 ヘルメットを放り投げて 0:04:15.000,0:04:18.000 バックパックは別の方向にポーンと飛んでいく 0:04:18.000,0:04:20.000 それから 一番近くにある木に走っていって 0:04:20.000,0:04:23.000 枝を折って 岩を投げつけて 0:04:23.000,0:04:26.000 今までに聞いたことがないくらい 口汚く罵る 0:04:26.000,0:04:29.000 私はといえば ただそこに立って 0:04:29.000,0:04:31.000 信じられない気持ちで 0:04:31.000,0:04:33.000 ぼんやりと眺めて 0:04:33.000,0:04:36.000 どうしたらいいか わからないでいるわけです 0:04:36.000,0:04:38.000 私はアルゴリズムや 0:04:38.000,0:04:41.000 データ構造や 0:04:41.000,0:04:44.000 非常に意欲的な学生に[br]囲まれて暮らしていたので 0:04:44.000,0:04:46.000 私には 0:04:46.000,0:04:48.000 この怒り狂った 暴力的な若者に 0:04:48.000,0:04:51.000 対応する用意がまるでなくて 0:04:51.000,0:04:53.000 ただ荒野に立ち尽くしていました 0:04:53.000,0:04:55.000 そして こういったことは 0:04:55.000,0:04:57.000 都合の良い場所では発生しません 0:04:57.000,0:05:00.000 こんな場所で起こるんです 0:05:00.000,0:05:02.000 ユダヤ砂漠です 0:05:02.000,0:05:05.000 一番近くの道路は 20キロ先です 0:05:05.000,0:05:07.000 写真には写っていませんが 0:05:07.000,0:05:10.000 自転車に乗った少年達とカメラ間には 0:05:10.000,0:05:12.000 岩の上に座っている少年がいて 0:05:12.000,0:05:14.000 「ここから動かないからな! [br]もう たくさんだ!」 0:05:14.000,0:05:16.000 と言っているわけです 0:05:16.000,0:05:18.000 これは問題ですよ 0:05:18.000,0:05:21.000 なんとかして この少年を[br]動かさないといけない 0:05:21.000,0:05:24.000 あたりは暗くなり始めていて [br]危険が迫っていますから 0:05:24.000,0:05:27.000 しかし 何度か経験するうちに[br]対応方法が分かってきました 0:05:27.000,0:05:29.000 でも 最初は悲惨なものでした 0:05:29.000,0:05:31.000 きついことを言ったり 脅かしたり 0:05:31.000,0:05:33.000 でも 全然効果はありませんでした 0:05:33.000,0:05:35.000 彼らは そんなものには慣れっこです 0:05:35.000,0:05:38.000 ふとした折に 分かったのですが 0:05:38.000,0:05:40.000 こういう子供が 癇癪を起こした時に 0:05:40.000,0:05:42.000 私達ができる最善のことは 0:05:42.000,0:05:45.000 できるだけ近くにいてやることです 0:05:45.000,0:05:47.000 難しいことです 0:05:47.000,0:05:49.000 本当は離れたいと思っているのですから 0:05:49.000,0:05:51.000 皆が そうして彼から離れていったのです 0:05:51.000,0:05:53.000 皆が そうして彼から離れていったのです 0:05:53.000,0:05:55.000 だから そばにいてやるのです 0:05:55.000,0:05:57.000 そして 肩に手を伸ばして 0:05:57.000,0:05:59.000 なだめてやるか 0:05:59.000,0:06:01.000 チョコレートをあげます 0:06:01.000,0:06:04.000 「アレックス これが本当に難しいことなのは分かる 0:06:04.000,0:06:06.000 少し休んでから 0:06:06.000,0:06:08.000 また 行こう」と声を掛けると 0:06:08.000,0:06:11.000 「あっちへ行けよ この変人野郎 0:06:11.000,0:06:14.000 こんな所に連れて来やがって!」と言う 0:06:15.000,0:06:18.000 そこで私は 「リラックスしろよ アレックス 0:06:18.000,0:06:20.000 チョコレートがあるよ」と言います 0:06:20.000,0:06:22.000 アレックスはそれに食らいつきます 0:06:22.000,0:06:24.000 自転車に乗るとお腹が空くんです 0:06:24.000,0:06:26.000 こういう遠乗りでは ずっと空腹です 0:06:26.000,0:06:29.000 自転車を降りてからも空腹です 0:06:30.000,0:06:33.000 アレックスは なぜこうなったのか? 0:06:33.000,0:06:35.000 彼は17歳です 0:06:35.000,0:06:37.000 8歳の時に 0:06:37.000,0:06:40.000 誰かがオデッサで彼を船に乗せました 0:06:40.000,0:06:43.000 彼はひとりでイスラエルに渡って来たのです 0:06:43.000,0:06:45.000 彼はひとりでイスラエルに渡って来たのです 0:06:45.000,0:06:47.000 行き着いた先はテルアビブ南部でした 0:06:47.000,0:06:49.000 運はあまり味方してくれず 0:06:49.000,0:06:51.000 通りを うろついたりするうちに 0:06:51.000,0:06:53.000 通りを うろついたりするうちに 0:06:53.000,0:06:56.000 有名なギャングのひとりになっていました 0:06:56.000,0:06:58.000 彼は この10年を2つの[br]場所で過ごして来ました 0:06:58.000,0:07:00.000 彼は この10年を2つの[br]場所で過ごして来ました 0:07:00.000,0:07:03.000 スラムと刑務所です 0:07:03.000,0:07:05.000 この2年は刑務所にいて 0:07:05.000,0:07:08.000 あの岩の上に座り込んでいるわけです 0:07:08.000,0:07:10.000 彼はおそらく 0:07:10.000,0:07:13.000 虐待され 放置され 0:07:13.000,0:07:16.000 無視され 裏切られてきたんでしょう 0:07:16.000,0:07:18.000 出会った大人全員にそうされてきた 0:07:18.000,0:07:20.000 そういう少年には 0:07:20.000,0:07:23.000 彼が尊敬できる大人がそばにいて 0:07:23.000,0:07:25.000 どんな状況でも 見捨てずに 0:07:25.000,0:07:27.000 どんな風に振る舞おうとも 0:07:27.000,0:07:30.000 見守る必要があります 0:07:30.000,0:07:33.000 それが 大いなる癒しとなります 0:07:33.000,0:07:36.000 無条件に受け入れられることを 0:07:36.000,0:07:38.000 彼は経験したことがありませんから 0:07:38.000,0:07:40.000 ビジョンについて 少し話したいと思います 0:07:40.000,0:07:43.000 4年前にこのプログラムを開始した時は 0:07:43.000,0:07:46.000 勝てる負け犬のチームが作りたい[br]と思っていました 0:07:46.000,0:07:48.000 勝てる負け犬のチームが作りたい[br]と思っていました 0:07:48.000,0:07:50.000 勝てる負け犬のチームが作りたい[br]と思っていました 0:07:50.000,0:07:53.000 ランス・アームストロングの[br]イメージが頭にあったのです 0:07:53.000,0:07:55.000 ランス・アームストロングの[br]イメージが頭にあったのです 0:07:55.000,0:07:58.000 2ヶ月にわたる 終わりがみえない 0:07:58.000,0:08:00.000 フラストレーションの期間を ー 0:08:00.000,0:08:02.000 過ごして ようやく このビジョンが 0:08:02.000,0:08:04.000 見当違いで 0:08:04.000,0:08:06.000 他に はるかに重要で すぐにも達成 0:08:06.000,0:08:08.000 できるようなビジョンが 0:08:08.000,0:08:11.000 存在することに気がつきました 0:08:11.000,0:08:14.000 このプロジェクトの中で 急に分かったんです 0:08:14.000,0:08:16.000 この自転車の旅の真の目的は 0:08:16.000,0:08:18.000 少年達をただ一つのものに 0:08:18.000,0:08:20.000 触れさせることなんだと 0:08:20.000,0:08:23.000 それは 愛です 0:08:23.000,0:08:25.000 国への愛 上り坂への愛 0:08:25.000,0:08:27.000 下り坂への愛 0:08:27.000,0:08:30.000 私達を取り囲む 全てのすばらしい生物 ー 0:08:30.000,0:08:32.000 動物や 植物や 0:08:32.000,0:08:34.000 昆虫への愛 0:08:34.000,0:08:36.000 そして チームのメンバー 0:08:36.000,0:08:38.000 一緒に自転車に乗っているメンバーを 0:08:38.000,0:08:40.000 愛し 尊敬すること 0:08:40.000,0:08:42.000 何より重要なのは 0:08:42.000,0:08:44.000 自分自身を愛し 尊重することです 0:08:44.000,0:08:46.000 それが 今までの彼らに 0:08:46.000,0:08:48.000 一番欠けていたものです 0:08:48.000,0:08:50.000 少年達だけではなく 0:08:50.000,0:08:53.000 私自身も 目を見張るほどの変身を遂げました 0:08:53.000,0:08:55.000 冷徹な科学やハイテクの 0:08:55.000,0:08:57.000 世界に身を置いて来ましたので 0:08:57.000,0:09:00.000 理由や論理について考え 0:09:00.000,0:09:02.000 容赦なく物事を推し進めることだけが 0:09:02.000,0:09:04.000 私にとって 何かを達成する唯一の手段でした 0:09:04.000,0:09:06.000 少年達と関わる前は 0:09:06.000,0:09:08.000 彼らに対して行うことや 0:09:08.000,0:09:10.000 私が自分自身に対して行うことは 0:09:10.000,0:09:12.000 いつも完璧で 0:09:12.000,0:09:15.000 理想的で 最善であるべきだと[br]思っていました 0:09:15.000,0:09:19.000 しかし 彼らと関わるうちに 0:09:19.000,0:09:22.000 共感することや柔軟性の 0:09:22.000,0:09:24.000 大きな価値に気づきました 0:09:24.000,0:09:26.000 何らかのビジョンをもって始めて 0:09:26.000,0:09:29.000 それがうまくいかなくても [br]大したことではないのです 0:09:29.000,0:09:32.000 いろいろ試行錯誤したり 少し変えたりして 0:09:32.000,0:09:35.000 実際に効果がある 実行できる[br]別なものを考えればいい 0:09:35.000,0:09:37.000 そういったことがあり 現在は 0:09:37.000,0:09:39.000 それを原則にしています 0:09:39.000,0:09:41.000 あの手 この手です 0:09:41.000,0:09:43.000 あの手 この手です 0:09:43.000,0:09:45.000 (笑) 0:09:45.000,0:09:50.000 (拍手) 0:09:50.000,0:09:52.000 そんな私の指針の一つが 0:09:52.000,0:09:54.000 「集中すること」です 0:09:54.000,0:09:56.000 いつも自転車の旅に出る前に 0:09:56.000,0:09:58.000 少年達を集めて 0:09:58.000,0:10:00.000 自転車に乗ってる間に考える 0:10:00.000,0:10:02.000 言葉を一つ伝えます 0:10:02.000,0:10:05.000 彼らの意識を一つの事柄に[br]集中させておくためです 0:10:05.000,0:10:07.000 道中 いろんな事が起こりますから 0:10:07.000,0:10:09.000 例えば 「チームワーク」とか 0:10:09.000,0:10:11.000 「忍耐」といった言葉です 0:10:11.000,0:10:13.000 「資源分配」などの 0:10:13.000,0:10:15.000 難しいコンセプトを与えることもあります 0:10:15.000,0:10:17.000 「大局観」などは 彼らが[br]理解できない言葉です 0:10:17.000,0:10:19.000 「大局観」は 0:10:19.000,0:10:21.000 人生を切り開いていく上で 0:10:21.000,0:10:23.000 この上なく 重要な戦略です 0:10:23.000,0:10:26.000 それをマウンテンバイクが教えてくれます 0:10:26.000,0:10:28.000 少年達には こう言っています 0:10:28.000,0:10:31.000 「上り道が苦しくて 0:10:31.000,0:10:33.000 もうこれ以上駄目だって時には 0:10:33.000,0:10:36.000 目前の障害物は無視して 0:10:36.000,0:10:38.000 顔を上げて あたりを見回し 0:10:38.000,0:10:40.000 周囲の風景の変化に目をやりなさい」 0:10:40.000,0:10:43.000 そうすることで 本当に前に進めるのです 0:10:43.000,0:10:45.000 それが「大局観」なのです 0:10:45.000,0:10:47.000 または 過去を振り返って 0:10:47.000,0:10:49.000 もっと急な山を上りきった経験がある 0:10:49.000,0:10:52.000 と気付くこともできるでしょう 0:10:52.000,0:10:55.000 それが 「自尊心」を築き上げるのです 0:10:55.000,0:10:57.000 例を挙げて ご説明します 0:10:57.000,0:11:00.000 2月初旬に 自転車で出掛けるとします 0:11:00.000,0:11:03.000 とても寒い上に 冷たい雨まで降っています 0:11:03.000,0:11:05.000 しとしと しとしと降り続け 0:11:05.000,0:11:08.000 寒くて凍えるような天気です 0:11:08.000,0:11:11.000 そんな日に まあ 例えば [br]ヨクネアムにいるわけです 0:11:11.000,0:11:14.000 雲の隙間から空を見上げます 0:11:14.000,0:11:17.000 すると ムフラカの頂上にある修道院が見えます 0:11:17.000,0:11:19.000 今からそこに上って行かなくてはいけません 0:11:19.000,0:11:22.000 「どうやったって 行けるはずがない」と思いますね 0:11:22.000,0:11:25.000 それでも 2時間後には 0:11:25.000,0:11:28.000 修道院の屋根の上に立っているのです 0:11:28.000,0:11:31.000 泥や 0:11:31.000,0:11:33.000 血や汗にまみれて 0:11:33.000,0:11:35.000 そこから ヨクネアムを見下ろすと 0:11:35.000,0:11:37.000 すべてが とても小さく見えます 0:11:37.000,0:11:39.000 「アレックス あれがスタートした駐車場だ」[br]と言います 0:11:39.000,0:11:41.000 「あんなに小さい 0:11:41.000,0:11:43.000 あそこから来たなんて信じられない」 0:11:43.000,0:11:45.000 そこから自分自身を 0:11:45.000,0:11:47.000 愛し始めることができるんです 0:11:48.000,0:11:50.000 少年達に教える特別な言葉について 0:11:50.000,0:11:52.000 これまでお話ししましたが 0:11:52.000,0:11:55.000 いつも自転車の旅の終わりには [br]また皆で集まって 0:11:55.000,0:11:57.000 その日の言葉が 0:11:57.000,0:12:00.000 胸に浮かんできて 変化がもたらされた 0:12:00.000,0:12:02.000 瞬間について 語り合います 0:12:02.000,0:12:04.000 その話し合いは 時に 非常に 0:12:04.000,0:12:06.000 インスピレーションに 溢れたものです 0:12:06.000,0:12:08.000 ある時 一人の少年がこう言いました 0:12:08.000,0:12:10.000 「死海を見下ろしながら 0:12:10.000,0:12:12.000 尾根を走っている時…」 0:12:12.000,0:12:15.000 彼が言っているのはこの場所です ー 0:12:15.000,0:12:17.000 「エチオピアの村を 0:12:17.000,0:12:19.000 出た日のことを思い出した 0:12:19.000,0:12:22.000 僕は兄弟と一緒に村を出た 0:12:22.000,0:12:24.000 120キロ歩いて 0:12:24.000,0:12:26.000 スーダンにたどり着いた 0:12:26.000,0:12:29.000 そこで初めて 水と食料を手に[br]入れることが出来たんだ」 0:12:29.000,0:12:32.000 皆は 話をする彼を ヒーローのように見つめています 0:12:32.000,0:12:34.000 きっと 彼にとっては人生初めての経験です 0:12:34.000,0:12:37.000 そこには ボランティアで来てくれている 0:12:37.000,0:12:39.000 私以外の大人もいて 0:12:39.000,0:12:42.000 彼の話を聞いていました 0:12:42.000,0:12:44.000 少年は こう続けました[br]「でも それは ー 0:12:44.000,0:12:46.000 イスラエルに着くまで続く 0:12:46.000,0:12:48.000 苦難の始まりに過ぎなかった 0:12:48.000,0:12:50.000 でも やっと今 0:12:50.000,0:12:52.000 自分がどこにいるのか分かった気がする 0:12:52.000,0:12:54.000 僕は ここが好きだ」 0:12:54.000,0:12:56.000 彼が話した時のことを思い出すと 0:12:56.000,0:12:58.000 今でも鳥肌が立ちます 0:12:58.000,0:13:01.000 彼はこの彼方にあるモアブ山脈を見ながらその話をしたからです 0:13:01.000,0:13:03.000 そこは ヨシュアが下って 0:13:03.000,0:13:05.000 ヨルダンを超えて 0:13:05.000,0:13:08.000 イスラエルの民をカナンの地に導いた場所です 0:13:08.000,0:13:10.000 3000年前の 0:13:10.000,0:13:12.000 アフリカからの旅の 0:13:12.000,0:13:15.000 終盤です 0:13:15.000,0:13:17.000 大局観と 0:13:17.000,0:13:19.000 状況と 歴史の3つが 0:13:19.000,0:13:21.000 私が企画する 0:13:21.000,0:13:23.000 少年達との自転車の旅における 0:13:23.000,0:13:25.000 重要な要素となります 0:13:25.000,0:13:27.000 ホロコーストを生き延びた人たちが 0:13:27.000,0:13:30.000 作ったキブツ(農場)を訪ねることもあります 0:13:30.000,0:13:33.000 パレスチナ人の 0:13:33.000,0:13:36.000 廃墟となった村を訪ねて 0:13:36.000,0:13:39.000 どうして廃墟になってしまったのか[br]話し合うこともあります 0:13:39.000,0:13:42.000 数々のユダヤ人入植 ナバト人入植 0:13:42.000,0:13:44.000 カナン人入植の跡地を 0:13:44.000,0:13:46.000 見て回ることもあります 0:13:46.000,0:13:48.000 3千 4千 いや 5千年前のことですが 0:13:48.000,0:13:50.000 そういった歴史的事象 つまり 0:13:50.000,0:13:53.000 この国の歴史をたどることで 0:13:53.000,0:13:55.000 少年達は 教育において 0:13:55.000,0:13:57.000 おそらく 最も重要な価値観を 0:13:57.000,0:13:59.000 学びます 0:13:59.000,0:14:03.000 つまり 人生は複雑なもので 白か黒で 0:14:03.000,0:14:06.000 割り切れるものではないことを理解します 0:14:06.000,0:14:08.000 複雑さを受け入れることで 0:14:08.000,0:14:10.000 彼らは より寛容になり 0:14:10.000,0:14:13.000 寛容さは希望へとつながります 0:14:14.000,0:14:16.000 私は 少年達と毎週火曜日に 0:14:16.000,0:14:18.000 自転車に乗ります 0:14:18.000,0:14:21.000 これは先週の火曜日に撮った写真です[br]-- まだ1週間もたちません-- 0:14:21.000,0:14:23.000 明日も 彼らと走ります 0:14:23.000,0:14:26.000 自転車の旅に出る度に 0:14:26.000,0:14:29.000 こんな素晴らしい場所に立ち 0:14:29.000,0:14:32.000 自分を取り巻く風景の写真を撮ります 0:14:32.000,0:14:34.000 そして 生きているということは 0:14:34.000,0:14:36.000 祝福され 幸福なことだと実感します 0:14:36.000,0:14:38.000 だからこそ 体中の全ての繊維が 0:14:38.000,0:14:40.000 痛むのを感じるのです 0:14:40.000,0:14:42.000 そして 15年前に 0:14:42.000,0:14:44.000 ニューヨーク大学の[br]約束された地位を離れ 0:14:44.000,0:14:46.000 自分の生まれた国に 0:14:46.000,0:14:48.000 戻る勇気を持てたことは 0:14:48.000,0:14:50.000 祝福され 幸福なことだと感じます 0:14:50.000,0:14:52.000 自分の故郷で エチオピアや 0:14:52.000,0:14:54.000 モロッコやロシアから来た 0:14:54.000,0:14:56.000 問題のある少年たちと 0:14:56.000,0:14:59.000 こんなに素晴らしい自転車の[br]旅ができるのですから 0:14:59.000,0:15:01.000 そして 毎週火曜日に 0:15:01.000,0:15:03.000 ー実際は金曜日もですが ー 0:15:03.000,0:15:06.000 危険と隣り合わせの 0:15:06.000,0:15:09.000 イスラエルで生きることの真髄を 0:15:09.000,0:15:12.000 心の底から喜ぶことができるのは 0:15:12.000,0:15:15.000 祝福され 幸福なことだと感じます 0:15:15.000,0:15:17.000 ありがとうございました 0:15:17.000,0:15:24.000 (拍手)