1 00:00:00,960 --> 00:00:04,072 今日は真面目な エイリアン(地球外生命体) 探索についてお話しします 2 00:00:04,675 --> 00:00:07,930 輝くUFOでやってくる 緑色の宇宙人ではありません 3 00:00:07,930 --> 00:00:09,678 そんなのが居たら良いのですが 4 00:00:09,678 --> 00:00:12,955 私が探しているのは 遠くの星の周りを回る惑星です 5 00:00:13,924 --> 00:00:15,783 夜空にある星は どれも恒星です 6 00:00:15,783 --> 00:00:17,188 恒星である私達の太陽に 7 00:00:17,188 --> 00:00:19,705 水星・金星・地球・火星などの 惑星があるのなら 8 00:00:19,705 --> 00:00:22,169 他の恒星にも惑星があるはずで 9 00:00:22,169 --> 00:00:23,455 実際あるんです 10 00:00:23,455 --> 00:00:24,897 ここ20年の間に 天文学者は何千もの 太陽系外惑星(系外惑星)を見つけました 11 00:00:24,897 --> 00:00:27,788 ここ20年の間に 天文学者は何千もの 太陽系外惑星(系外惑星)を見つけました 12 00:00:28,502 --> 00:00:31,337 夜空は系外惑星で溢れているのです 13 00:00:31,337 --> 00:00:32,913 統計的にいうと どの星にも 14 00:00:32,913 --> 00:00:35,406 少なくとも1つは惑星があるはずです 15 00:00:35,984 --> 00:00:37,985 この様に惑星を探したり 16 00:00:37,985 --> 00:00:40,771 将来 地球のような惑星を探す過程で 17 00:00:40,771 --> 00:00:42,168 人類が何世紀にも渡って 18 00:00:42,168 --> 00:00:45,047 問いかけてきた 壮大で神秘的な疑問に 19 00:00:45,047 --> 00:00:47,636 目を向けることができるでしょう 20 00:00:47,636 --> 00:00:48,882 なぜ我々はここにいるのか? 21 00:00:49,215 --> 00:00:50,889 なぜ この宇宙が存在するのか? 22 00:00:51,476 --> 00:00:53,523 地球はどのように生まれ 進化し 23 00:00:53,912 --> 00:00:56,896 生命はどのように誕生し 広まったのか? 24 00:00:57,665 --> 00:01:00,744 また この様な事も繰り返し考えます 25 00:01:00,744 --> 00:01:02,030 我々は「孤独」な存在なのか? 26 00:01:02,911 --> 00:01:04,299 他に生命体はいるのだろうか? 27 00:01:05,108 --> 00:01:06,601 彼らはどのような生き物なのか? 28 00:01:07,783 --> 00:01:10,813 この様に 何千年もの間 問い続けてきました 29 00:01:10,813 --> 00:01:13,254 少なくとも 古代ギリシャの哲学者の頃からです 30 00:01:13,254 --> 00:01:15,825 でも 人類は この謎の解明に 31 00:01:15,825 --> 00:01:18,730 迫っていると思うのです 32 00:01:18,730 --> 00:01:22,945 人類史上初めて 答えに手が届くところまで来たのです 33 00:01:23,294 --> 00:01:26,297 私は この宇宙に他の生命が 存在するかを考えるとき 34 00:01:26,297 --> 00:01:30,384 太陽が数多くある星の一つに すぎない事を思い出します 35 00:01:30,825 --> 00:01:32,727 これはある銀河の写真です 36 00:01:32,727 --> 00:01:35,197 私達の住む天の川も この様な銀河です 37 00:01:35,197 --> 00:01:36,860 銀河は重力で互いに結びついた 星の集まりです 38 00:01:36,860 --> 00:01:41,271 太陽はこの中にある 数千億もの星の1つにすぎず 39 00:01:41,271 --> 00:01:45,595 天の川銀河も 1000億余り存在する 銀河の1つにすぎないのです 40 00:01:46,707 --> 00:01:49,498 そこら中にある小さな惑星の数は 41 00:01:49,498 --> 00:01:50,772 計算してみればわかります 42 00:01:51,424 --> 00:01:55,435 つまり宇宙には星も惑星も 山ほどあるのです 43 00:01:55,449 --> 00:01:58,139 宇宙のどこかに他の 生命体があって当然ですよね 44 00:01:59,060 --> 00:02:02,504 でも こう言うと 生物学者に怒られます 45 00:02:02,504 --> 00:02:05,948 まだ地球外生物が存在する 証拠が全くないからです 46 00:02:06,977 --> 00:02:11,794 私達の住む銀河を 外から見たイメージです 47 00:02:11,794 --> 00:02:14,026 太陽の方に拡大していくと 48 00:02:14,026 --> 00:02:15,586 真の星の分布が見られます 49 00:02:16,046 --> 00:02:19,069 明るく示されているのが 系外惑星の存在が分かっている星です 50 00:02:19,745 --> 00:02:21,934 これは氷山の一角にすぎません 51 00:02:22,642 --> 00:02:26,284 さらに このアニメーションで 私達の住む太陽系に近づくと 52 00:02:26,872 --> 00:02:28,381 惑星が見えます 53 00:02:28,381 --> 00:02:31,214 宇宙船なども太陽の周りを回っています 54 00:02:32,968 --> 00:02:36,352 北アメリカ大陸の西海岸から 55 00:02:36,352 --> 00:02:38,492 夜空を眺めてみましょう 56 00:02:38,506 --> 00:02:40,808 春の夜空はこのように見えます 57 00:02:40,808 --> 00:02:42,842 星座も重ねて表示されています 58 00:02:42,842 --> 00:02:45,135 ここでも 惑星を持つ恒星が沢山あります 59 00:02:45,135 --> 00:02:49,353 この空に惑星に溢れる特別な一角があります 60 00:02:49,353 --> 00:02:53,043 ケプラー宇宙望遠鏡は何年もの間 この領域を詳細に観測しています 61 00:02:53,576 --> 00:02:58,250 注目されている系外惑星に 近づいて見てみましょう 62 00:02:58,863 --> 00:03:02,124 この星はケプラー186fと呼ばれ 63 00:03:02,529 --> 00:03:04,751 5つの惑星が周回する惑星系にあります 64 00:03:04,751 --> 00:03:08,600 実はこれらの惑星については あまり情報がありません 65 00:03:08,600 --> 00:03:11,607 大きさや軌道などがわかっている程度です 66 00:03:11,607 --> 00:03:15,593 でも この中のケプラー186f は 特別です 67 00:03:15,593 --> 00:03:19,721 恒星から適度な距離の領域にあるので 68 00:03:19,721 --> 00:03:23,004 生命の存在に丁度良い温度かもしれません 69 00:03:23,004 --> 00:03:26,059 これは この惑星のイメージ図です 70 00:03:26,059 --> 00:03:28,329 近づいて見た惑星の様子です 71 00:03:31,074 --> 00:03:36,700 天文学者には ロマンチックなイメージがあります 72 00:03:36,700 --> 00:03:40,280 人里はなれた山頂にある天文台で 73 00:03:40,280 --> 00:03:43,853 大きな望遠鏡で 満天の星の輝く夜空を眺めていると 74 00:03:43,853 --> 00:03:47,249 でも実際は皆さんと同じように コンピュータの前に座って 75 00:03:47,249 --> 00:03:51,098 データをメールや データベースから収集してるんです 76 00:03:51,098 --> 00:03:53,631 今日ここでは 77 00:03:53,645 --> 00:03:56,800 地道なデータや データの分析や 78 00:03:56,800 --> 00:03:58,890 複雑なコンピュータ・モデルの作成ではなく 79 00:03:58,890 --> 00:04:01,108 他の角度から系外惑星探査について 80 00:04:01,108 --> 00:04:03,781 お話したいと思います 81 00:04:03,781 --> 00:04:04,971 これは旅行案内のポスター 82 00:04:04,971 --> 00:04:07,301 「ケプラー186f: 83 00:04:07,315 --> 00:04:10,053 ""隣の芝生は赤い"" 惑星」 84 00:04:10,053 --> 00:04:13,807 ケプラー186f は 赤い恒星を回っているので 85 00:04:13,807 --> 00:04:16,523 もし この惑星に 86 00:04:16,523 --> 00:04:19,165 光合成をする植物があれば 87 00:04:19,165 --> 00:04:21,108 色素が違い赤く見えるかもしれません 88 00:04:22,137 --> 00:04:28,015 「HD 40307g ― スーパー・アースで 強力な重力を体験しよう」 89 00:04:28,015 --> 00:04:30,183 この惑星は地球の何倍もの質量があり 90 00:04:30,183 --> 00:04:31,905 地表での重力も強くなります 91 00:04:32,333 --> 00:04:35,254 「ケプラー16bでリラックス 92 00:04:35,254 --> 00:04:37,174 影にもお友達がいる惑星」 93 00:04:37,174 --> 00:04:39,158 (笑) 94 00:04:39,158 --> 00:04:43,364 2つの恒星のまわりを回る惑星も 10個あまり 発見されていますが 95 00:04:43,364 --> 00:04:45,513 その数は今後もっと増えるでしょう 96 00:04:45,513 --> 00:04:47,498 そんな惑星に行けるとしたら 97 00:04:47,498 --> 00:04:49,403 1日に日の入りが2回 98 00:04:49,403 --> 00:04:50,658 影も2つ見えるはずです 99 00:04:51,484 --> 00:04:53,931 SFにも正しいものもあるんですね 100 00:04:53,931 --> 00:04:55,134 「スターウォーズ」のタトゥイーンです 101 00:04:56,047 --> 00:04:58,366 他にも興味深い惑星を 102 00:04:58,366 --> 00:04:59,587 ご紹介しましょう 103 00:04:59,587 --> 00:05:01,149 これはケプラー10bです 104 00:05:01,149 --> 00:05:03,126 とても高温の惑星です 105 00:05:03,642 --> 00:05:06,601 恒星との距離は 地球から太陽への距離の 106 00:05:06,601 --> 00:05:08,792 1/50 もありません 107 00:05:08,792 --> 00:05:10,396 実際 高温すぎて 108 00:05:10,396 --> 00:05:13,039 このような惑星には行けません 109 00:05:13,053 --> 00:05:15,027 到達するかなり手前で溶けてしまいます 110 00:05:15,051 --> 00:05:17,404 地表は岩が溶けるほど熱く 111 00:05:17,404 --> 00:05:18,830 溶岩の湖があるはずです 112 00:05:19,457 --> 00:05:21,065 GJ 1214(グリーゼ・ヤーライス1214) 113 00:05:21,065 --> 00:05:23,188 この惑星は重量と大きさから 114 00:05:23,188 --> 00:05:24,800 密度がかなり低いと分かっています 115 00:05:24,800 --> 00:05:26,058 比較的暖かい惑星です 116 00:05:26,058 --> 00:05:28,761 他に情報は殆どありませんが 117 00:05:28,761 --> 00:05:31,290 水の惑星である可能性があります 118 00:05:31,290 --> 00:05:34,817 木星のまわりを回る 凍った月を大きくしたような惑星で 119 00:05:34,817 --> 00:05:37,328 質量の半分以上が水かもしれません 120 00:05:37,328 --> 00:05:40,313 もし そうだとしたら 分厚い水蒸気で覆われ 121 00:05:40,313 --> 00:05:42,193 その下には海 122 00:05:42,193 --> 00:05:43,713 それも液体の水ではなく 123 00:05:43,727 --> 00:05:46,752 超臨界流体という特殊な状態にある 124 00:05:46,752 --> 00:05:48,770 気体とも液体ともいえない水の海です 125 00:05:48,770 --> 00:05:50,380 その下にあるのは岩ではなく 126 00:05:50,394 --> 00:05:52,010 ある種の高圧の氷 127 00:05:52,014 --> 00:05:53,290 「IX相の氷」などが予測されます 128 00:05:54,593 --> 00:05:56,792 この様に宇宙には 実に沢山の惑星があり 129 00:05:56,792 --> 00:06:00,016 その多様性には驚かされますが 130 00:06:00,030 --> 00:06:05,190 私達が探しているのは 「ゴールディロック惑星」です 131 00:06:05,190 --> 00:06:07,121 大きすぎず 小さすぎず 132 00:06:07,121 --> 00:06:08,982 暑すぎず 寒すぎず 133 00:06:08,996 --> 00:06:10,345 生命の存在に丁度良い惑星です 134 00:06:10,658 --> 00:06:12,800 でも そのためには 惑星の大気を 135 00:06:12,800 --> 00:06:14,158 観測する必要があります 136 00:06:14,158 --> 00:06:16,978 大気は熱を閉じ込める覆いとなり 137 00:06:16,978 --> 00:06:18,338 温室効果を生むからです 138 00:06:18,338 --> 00:06:21,182 この温室効果ガスを調べる手段が 139 00:06:21,182 --> 00:06:22,332 必要になります 140 00:06:23,169 --> 00:06:25,288 SFの中には間違いもあります 141 00:06:25,796 --> 00:06:27,206 「スタートレック」では 142 00:06:27,210 --> 00:06:30,867 エンタープライズ号が超スピードで 143 00:06:30,867 --> 00:06:32,614 宇宙の彼方の他の惑星を訪れ 144 00:06:32,614 --> 00:06:36,614 ミスター・スポックが大気を分析して 145 00:06:36,614 --> 00:06:38,599 惑星に居住可能かとか 146 00:06:38,599 --> 00:06:40,272 他の生命の存在を調べていました 147 00:06:40,745 --> 00:06:43,259 でも 本当はワープスピードで飛ばなくても 148 00:06:43,259 --> 00:06:45,412 他の惑星の大気を調べられるんです 149 00:06:45,412 --> 00:06:48,216 新進のエンジニアが ワープ装置を開発しようというのを 150 00:06:48,216 --> 00:06:50,167 引き留めるわけではないんですが 151 00:06:50,167 --> 00:06:52,483 でも惑星の大気は ここ 地球の軌道から 152 00:06:52,483 --> 00:06:54,126 観測することができるんです 153 00:06:54,126 --> 00:06:57,317 これはハッブル宇宙望遠鏡の写真です 154 00:06:57,317 --> 00:07:00,095 最後の有人ミッションを終えた スペースシャトル 155 00:07:00,095 --> 00:07:02,354 アトランティス号から撮影されました 156 00:07:02,354 --> 00:07:04,264 実は この時装着された新しいカメラで 157 00:07:04,268 --> 00:07:06,437 系外惑星の大気を調べています 158 00:07:06,437 --> 00:07:11,372 これまでに 何十もの系外惑星の大気を観測し 159 00:07:11,372 --> 00:07:13,520 うち6つは細かく調べることができました 160 00:07:13,520 --> 00:07:15,706 でも これらは地球サイズの小さな惑星ではなく 161 00:07:15,706 --> 00:07:18,124 もっと大きく 観測しやすい 高温の惑星です 162 00:07:18,124 --> 00:07:19,396 まだ現在の時点では 163 00:07:19,396 --> 00:07:23,765 小さな系外惑星を観測する 技術がありません 164 00:07:24,106 --> 00:07:25,288 でも どのように 165 00:07:25,288 --> 00:07:29,185 系外惑星の大気を調べるか 説明してみたいと思います 166 00:07:29,652 --> 00:07:31,874 虹を思い浮かべてください 167 00:07:32,532 --> 00:07:35,302 この虹を拡大して見てみると 168 00:07:35,302 --> 00:07:37,969 所々に暗い線があるのがわかります 169 00:07:39,127 --> 00:07:40,572 これは太陽です 170 00:07:40,572 --> 00:07:42,363 太陽の白い光を分けてみましょう 171 00:07:42,363 --> 00:07:44,673 虹のように水滴ではなく 分光器を使います 172 00:07:44,673 --> 00:07:47,144 すると こんな暗い縦の線が現れます 173 00:07:47,148 --> 00:07:48,982 狭い線もあれば 太い線もあり 174 00:07:48,982 --> 00:07:50,427 端がぼけているものもあります 175 00:07:50,427 --> 00:07:54,059 天文学者は この方法を使って 天体を観測してきたのです 176 00:07:54,059 --> 00:07:55,578 百年以上もです 177 00:07:55,578 --> 00:07:58,028 原子や分子それぞれに 178 00:07:58,028 --> 00:07:59,577 独特の線のパターンがあり 179 00:07:59,577 --> 00:08:01,157 指紋のようなものともいえます 180 00:08:01,157 --> 00:08:03,918 これを見て系外惑星の大気を調べています 181 00:08:03,918 --> 00:08:06,302 系外惑星の大気を研究し始めたのは 182 00:08:06,302 --> 00:08:08,182 20年以上前のことですが 183 00:08:08,182 --> 00:08:09,391 沢山の人に言われました 184 00:08:09,391 --> 00:08:10,624 「そんなの無理だ 185 00:08:10,624 --> 00:08:13,424 観測なんてできないのに なんでそんな研究をするの?」 186 00:08:13,438 --> 00:08:17,136 でも現在は嬉しいことに 大気の研究が進んでおり 187 00:08:17,136 --> 00:08:19,009 新しい専門分野とも言えると思います 188 00:08:19,009 --> 00:08:21,555 では 惑星や地球のような惑星を 189 00:08:21,555 --> 00:08:23,656 将来観測できるようになったとき 190 00:08:23,656 --> 00:08:25,715 どのような気体に注目するのでしょう? 191 00:08:26,144 --> 00:08:29,343 私達の住む地球には酸素があり 192 00:08:29,343 --> 00:08:30,802 大気の20%を占めています 193 00:08:31,445 --> 00:08:32,714 かなりの量の酸素です 194 00:08:33,457 --> 00:08:36,226 でも 地球に植物や 光合成を行う生命がなかったら 195 00:08:36,226 --> 00:08:37,664 大気中の酸素レベルは 196 00:08:37,664 --> 00:08:39,501 ほぼゼロに等しいはずです 197 00:08:40,116 --> 00:08:42,058 生命があるゆえ酸素があるのです 198 00:08:42,058 --> 00:08:46,200 ですから 他の惑星でも大気を調べ 199 00:08:46,200 --> 00:08:48,255 生命がなければ存在しないはずの 200 00:08:48,255 --> 00:08:50,648 気体を探せば良いわけです 201 00:08:50,662 --> 00:08:52,773 でも どの分子を探せばよいのでしょう? 202 00:08:52,773 --> 00:08:55,460 先ほどお話したように 実に多様な系外惑星があります 203 00:08:55,460 --> 00:08:57,475 地球のような惑星が見つかるころにも 204 00:08:57,475 --> 00:08:58,786 多様性は変わらないでしょう 205 00:08:58,800 --> 00:09:01,396 ですから この研究にも取り組んでいます 206 00:09:01,396 --> 00:09:02,699 私にはアイデアがあるのです 207 00:09:02,713 --> 00:09:05,031 アイデアと言えば 208 00:09:05,031 --> 00:09:07,701 毎日のように 変わったメールを受け取ります 209 00:09:07,701 --> 00:09:11,352 重力の仕組みや宇宙論などの 奇抜な突拍子もないアイデアを 210 00:09:11,352 --> 00:09:13,208 送ってくる人がいるのです 211 00:09:13,208 --> 00:09:16,565 何か変わった事を思いついても 私に送らないでくださいね 212 00:09:16,565 --> 00:09:17,803 (笑) 213 00:09:17,803 --> 00:09:20,011 私にも奇抜なアイデアがありました 214 00:09:20,011 --> 00:09:22,199 MITの教授は こういう時 誰に相談すればよいのか? 215 00:09:22,703 --> 00:09:26,924 ノーベル生理学・医学賞を受賞した方にメールをしました 216 00:09:26,938 --> 00:09:28,935 「話を聞こう」と言ってくださったので 217 00:09:28,935 --> 00:09:30,958 生物化学の仲間を二人連れて 218 00:09:30,958 --> 00:09:33,334 この奇抜なアイデアについて 相談に行きました 219 00:09:33,334 --> 00:09:36,795 これは 生命が全ての 小さな分子を作るという仮説です 220 00:09:36,799 --> 00:09:38,497 いろいろな分子です 221 00:09:38,497 --> 00:09:41,416 化学者でない私が思いつく すべての分子です 222 00:09:41,416 --> 00:09:42,623 いろいろ ありますよね 223 00:09:42,623 --> 00:09:44,663 二酸化炭素 一酸化炭素 224 00:09:44,677 --> 00:09:46,566 水素分子や窒素分子 225 00:09:46,566 --> 00:09:47,956 メタンや塩化メチル 226 00:09:47,956 --> 00:09:49,135 いろいろな気体です 227 00:09:49,135 --> 00:09:51,094 他にも存在する理由はありますが 228 00:09:51,094 --> 00:09:52,970 オゾンでさえ 生命の賜物です 229 00:09:52,970 --> 00:09:54,758 これを相談したら 230 00:09:54,758 --> 00:09:56,894 アイデアはすぐさま撃ち砕かれました 231 00:09:57,226 --> 00:09:59,493 あり得ない例を指摘されたのです 232 00:09:59,948 --> 00:10:01,759 最初から考え直しでしたが 233 00:10:01,759 --> 00:10:05,205 他の分野で価値のありそうな事を みつけられたと思います 234 00:10:05,205 --> 00:10:06,635 系外惑星に話を戻すと 235 00:10:06,649 --> 00:10:09,958 生命は実に様々なタイプの ガスをつくるということです 236 00:10:09,958 --> 00:10:12,188 本当にたくさんあるんです 237 00:10:12,188 --> 00:10:14,875 そこで現在研究しているのは 238 00:10:14,875 --> 00:10:16,488 どんなタイプの系外惑星だったら 239 00:10:16,492 --> 00:10:19,712 どの気体が生命の存在を示すかという関係です 240 00:10:22,182 --> 00:10:24,254 将来 系外惑星にあるガスを 241 00:10:24,254 --> 00:10:25,625 見つけても 242 00:10:25,629 --> 00:10:27,749 何によってもたらされたのか 分かりません 243 00:10:27,749 --> 00:10:30,809 知能のあるエイリアンか樹木か 244 00:10:30,809 --> 00:10:32,037 沼かそれとも 245 00:10:32,037 --> 00:10:34,898 シンプルな単細胞生物によるものなのか 分らないのです 246 00:10:35,541 --> 00:10:37,115 コンピュータのモデルや 247 00:10:37,115 --> 00:10:38,790 生物化学の研究など 248 00:10:38,790 --> 00:10:40,011 うまく進んでいます 249 00:10:40,011 --> 00:10:42,920 でも 大きな壁があります それは「手段」です 250 00:10:42,920 --> 00:10:45,092 どうやって惑星をみつけるかです 251 00:10:45,106 --> 00:10:47,310 惑星を探すには様々な方法があって 252 00:10:47,310 --> 00:10:48,853 いくつか種類があります 253 00:10:48,853 --> 00:10:52,736 でも私が注目しているのは 254 00:10:52,736 --> 00:10:53,997 将来 地球型の惑星を 255 00:10:53,997 --> 00:10:55,876 多数 発見できる様にするものです 256 00:10:55,876 --> 00:10:58,227 生命のシグナルを掴むチャンスがあるのです 257 00:10:58,227 --> 00:11:01,377 最近まで2年間 リーダーとして 258 00:11:01,377 --> 00:11:03,495 「スターシェード」プロジェクトの 259 00:11:03,495 --> 00:11:06,167 重要なステップを 推進してきました 260 00:11:06,167 --> 00:11:09,140 スターシェードは特別な形状のスクリーンで 261 00:11:09,140 --> 00:11:11,031 これを宇宙に飛ばし 262 00:11:11,035 --> 00:11:14,153 星からの光を遮って 263 00:11:14,153 --> 00:11:17,122 望遠鏡で惑星が直接見えるようにするものです 264 00:11:17,122 --> 00:11:19,533 2人のチームメンバーと私です 265 00:11:19,533 --> 00:11:21,752 スターシェイドの一片と写っています 266 00:11:21,752 --> 00:11:23,350 全体では大きな花のような形で 267 00:11:23,350 --> 00:11:25,833 これは その花びらのプロトタイプです 268 00:11:26,907 --> 00:11:31,398 計画としては スターシェードと望遠鏡を同時に打ち上げ 269 00:11:31,398 --> 00:11:33,986 格納されている花びらを宇宙で開きます 270 00:11:34,896 --> 00:11:36,976 中央のトラスが開いて 271 00:11:36,976 --> 00:11:40,088 花びらを所定の位置にぴたりと止めます 272 00:11:40,092 --> 00:11:42,346 制作には精密さが肝心で 273 00:11:42,346 --> 00:11:43,958 花びらの製造はミクロン単位 274 00:11:43,958 --> 00:11:46,703 展開にもミリメータの単位の精度を要求されます 275 00:11:46,703 --> 00:11:48,776 また この装置は望遠鏡から 276 00:11:48,776 --> 00:11:52,165 何万キロという位置まで 移動しなくてはならないのです 277 00:11:52,165 --> 00:11:54,301 直径は数十メートルもあります 278 00:11:54,785 --> 00:11:59,768 目的は非常に高い精度で 星の光を遮り 279 00:11:59,768 --> 00:12:02,500 直接惑星を観察することを可能にすることです 280 00:12:03,333 --> 00:12:05,586 この形がとても大切なんです 281 00:12:05,586 --> 00:12:07,505 光の回折現象を防ぐためです 282 00:12:07,505 --> 00:12:09,742 これが実際に携わったプロジェクト 283 00:12:09,742 --> 00:12:12,234 本当に大変だったんです 284 00:12:12,234 --> 00:12:14,920 動画でないのもあります 285 00:12:14,920 --> 00:12:16,580 この写真は 286 00:12:16,580 --> 00:12:21,581 2世代目のスターシェード展開の テスト用スペースです 287 00:12:21,595 --> 00:12:23,698 ここで使用している中央のトラスは 288 00:12:23,698 --> 00:12:26,212 ラジオ衛星の 大きな展開式アンテナのものを 289 00:12:26,212 --> 00:12:28,126 流用しています 290 00:12:29,372 --> 00:12:31,052 このような労力を費やし 291 00:12:31,052 --> 00:12:34,869 宇宙に存在するかもしれない ガスなんかを予測し 292 00:12:34,869 --> 00:12:37,827 とても複雑な宇宙望遠鏡を作って 293 00:12:37,827 --> 00:12:39,068 宇宙に送り 294 00:12:39,068 --> 00:12:40,368 何が見つかるというのでしょう? 295 00:12:40,725 --> 00:12:42,507 上手くいけば 296 00:12:42,507 --> 00:12:45,304 地球に似た系外惑星の像を 見る事が出来るでしょう 297 00:12:46,328 --> 00:12:48,617 この かすかな青い点が地球 298 00:12:48,617 --> 00:12:51,194 これはボイジャー1号によって 299 00:12:51,194 --> 00:12:53,088 約60億kmのかなたから撮影された 300 00:12:53,088 --> 00:12:54,706 地球の写真です 301 00:12:55,159 --> 00:12:58,397 赤い光は単にカメラ内で反射した光です 302 00:12:59,315 --> 00:13:01,735 ここで凄いと思うのは 303 00:13:01,735 --> 00:13:04,814 もし知能の高いエイリアンが 304 00:13:04,814 --> 00:13:08,792 近傍の星を回る惑星に住んでいて 305 00:13:08,792 --> 00:13:10,855 私達の計画しているような 306 00:13:10,855 --> 00:13:12,812 複雑な宇宙望遠鏡を作ったとしても 307 00:13:12,812 --> 00:13:15,330 こんな青白い点が見えるだけ 308 00:13:15,330 --> 00:13:16,615 針の先ほどの光です 309 00:13:17,456 --> 00:13:20,546 ですから 時々ふと立ち止まり 310 00:13:20,546 --> 00:13:24,823 自分の研究の難しさや 野望の大胆さを考えても 311 00:13:24,823 --> 00:13:26,840 宇宙の広大さと比較べてしまうと 312 00:13:26,840 --> 00:13:29,259 お話しにもなりません 313 00:13:30,120 --> 00:13:34,270 でも 今後もずっと一生 314 00:13:34,270 --> 00:13:35,620 他の地球を探すつもりです 315 00:13:36,296 --> 00:13:38,531 そして絶対に 316 00:13:38,535 --> 00:13:40,938 次世代の宇宙望遠鏡で 317 00:13:40,938 --> 00:13:42,512 その次の世代のもので 318 00:13:42,512 --> 00:13:47,936 他の地球を探し 明らかにすることができると思います 319 00:13:47,936 --> 00:13:50,630 星の光を分けて 320 00:13:50,634 --> 00:13:52,211 大気がどのようなものか 321 00:13:52,211 --> 00:13:55,717 温室効果ガスも調べて 322 00:13:55,717 --> 00:13:57,339 表面温度を推測したり 323 00:13:57,339 --> 00:13:59,101 生命体が存在するか探ることもできます 324 00:13:59,736 --> 00:14:01,177 でもまだあります 325 00:14:01,181 --> 00:14:04,569 地球に似た他の惑星を探す過程で 326 00:14:04,569 --> 00:14:07,188 近くの星やその周りを回る惑星の 327 00:14:07,188 --> 00:14:10,468 新しい地図を作成しているのです 328 00:14:10,472 --> 00:14:14,243 その中には人間が住める 惑星もあるかもしれません 329 00:14:14,915 --> 00:14:17,326 私達の子孫が 330 00:14:17,326 --> 00:14:19,149 何百年も先に 331 00:14:19,149 --> 00:14:22,176 太陽系外の旅に出る日が 来ると思います 332 00:14:23,059 --> 00:14:25,995 そんな彼らが私達のことを顧みて 333 00:14:25,995 --> 00:14:29,003 地球似の惑星をみつけた 世代と思うかもしれません 334 00:14:29,822 --> 00:14:30,997 ありがとうございました 335 00:14:30,997 --> 00:14:37,538 (拍手) 336 00:14:37,538 --> 00:14:39,656 (ジュン・コーエン) 質問をしてくださる 337 00:14:39,656 --> 00:14:41,384 ロゼッタ・ミッションの責任者 フレッド・ジャンセンです 338 00:14:41,817 --> 00:14:43,868 (フレッド) 話の半ばで 339 00:14:43,872 --> 00:14:47,683 太陽系外にある地球のような惑星のスペクトルを 340 00:14:47,683 --> 00:14:50,342 観察する技術はまだないと言われましたが 341 00:14:50,342 --> 00:14:52,247 これが可能になるのは いつ頃で 342 00:14:52,247 --> 00:14:53,539 必要なものは何でしょう? 343 00:14:53,539 --> 00:14:58,154 私達が期待しているのは 次世代のハッブル望遠鏡ともいわれる 344 00:14:58,531 --> 00:15:00,896 ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡です 345 00:15:00,896 --> 00:15:02,619 これは2018年に打ち上げられます 346 00:15:02,619 --> 00:15:04,469 これを使って 347 00:15:04,469 --> 00:15:06,757 惑星が前を通過する際に生じる恒星の 348 00:15:06,757 --> 00:15:08,237 光の微妙な変化を調べるつもりです 349 00:15:08,237 --> 00:15:11,368 その小さな惑星に 生命が生息可能かどうかを示す― 350 00:15:11,368 --> 00:15:14,660 ガスの有無を初めて調べることが できると思います 351 00:15:15,477 --> 00:15:19,540 (ジュン) サラ 私からも1つ 一般的な質問をさせてください 352 00:15:19,540 --> 00:15:22,663 過去の研究に批判的な人もいたということが 353 00:15:22,663 --> 00:15:24,080 印象に残りました 354 00:15:24,080 --> 00:15:26,248 系外惑星の研究を始めた頃 355 00:15:26,248 --> 00:15:28,944 科学のコミュニティで その存在を強く疑う人もいましたが 356 00:15:28,944 --> 00:15:30,113 科学のコミュニティで その存在を強く疑う人もいましたが 357 00:15:30,113 --> 00:15:31,406 考えが正しいと証明しましたね 358 00:15:31,406 --> 00:15:33,143 どのように乗り越えたのですか? 359 00:15:33,143 --> 00:15:35,243 (サラ) 科学者というものは 360 00:15:35,243 --> 00:15:37,219 懐疑的であるべきだと思います 361 00:15:37,219 --> 00:15:40,291 他の人の考えを聞き それが納得できるものだと 362 00:15:40,291 --> 00:15:41,654 判断するのが仕事だからです 363 00:15:41,654 --> 00:15:44,241 でも科学者というものは 364 00:15:44,241 --> 00:15:46,679 このセッションでもお分かりのように 365 00:15:46,679 --> 00:15:48,385 冒険者のようでもあるのです 366 00:15:48,385 --> 00:15:50,398 大変に興味深く 367 00:15:50,398 --> 00:15:51,717 頑固でもあり 368 00:15:51,717 --> 00:15:54,127 誰に何も言われても 前に突き進む意志を持っています 369 00:15:54,127 --> 00:15:56,182 誰に何も言われても 前に突き進む意志を持っています 370 00:15:56,182 --> 00:15:57,882 (ジュン) 素敵ですね ありがとう サラ 371 00:15:57,882 --> 00:16:00,877 (拍手)