WEBVTT 00:00:16.400 --> 00:00:19.920 地球上に存在する 人間にとって 00:00:19.940 --> 00:00:23.580 住み良い土地は少ないですが 00:00:23.942 --> 00:00:25.742 私たちは生き延びて来ました 00:00:26.300 --> 00:00:30.556 太古の祖先たちは 彼らの生活や住居が危機に晒された時 00:00:30.579 --> 00:00:33.716 より良い定住先を求めて 見知らぬ土地へと 00:00:33.740 --> 00:00:35.580 突き進んで行きました 00:00:36.260 --> 00:00:38.476 こうした冒険家たちの子孫として 00:00:38.500 --> 00:00:41.780 私たちは 旅を好む血を受け継いでいます 00:00:42.540 --> 00:00:43.996 しかし同時に 00:00:44.020 --> 00:00:46.116 瑣末な日常に 気を取られ 00:00:46.140 --> 00:00:49.500 人間同士の争いに巻き込まれ 00:00:50.340 --> 00:00:53.500 冒険への欲求を 忘れてしまったようでもあります 00:00:54.820 --> 00:00:58.660 私たちヒトは地球の環境に合わせて 00:00:59.460 --> 00:01:03.460 地球に適応し 地球と共に 独自に進化を遂げて来ました 00:01:04.180 --> 00:01:07.316 そして住環境への適合に満足し― 00:01:07.340 --> 00:01:10.756 充足し過ぎ 忙しさに追われ 00:01:10.780 --> 00:01:12.700 地球の資源が有限で 00:01:13.260 --> 00:01:15.780 太陽の生命も有限だという事を 忘れてしまいました 00:01:16.900 --> 00:01:19.676 火星 そして その名を冠するあらゆる映画は 00:01:19.700 --> 00:01:22.716 宇宙旅行に対する気風に 新たな息吹を吹き込みました 00:01:22.740 --> 00:01:28.116 私たちの多くが 人類の脆い構造は 宇宙へと向かう長い旅の 00:01:28.140 --> 00:01:31.540 準備が全く出来ていないことに 気付いてはいません 00:01:32.660 --> 00:01:34.916 現実をとらえる為に 例えば 00:01:34.940 --> 00:01:36.756 近隣の国立公園を 訪れるとしましょう 00:01:36.780 --> 00:01:38.476 みなさんの中で 00:01:38.500 --> 00:01:42.076 この緑に覆われた自然環境で 数日生き延びられると 00:01:42.100 --> 00:01:43.300 思われる方は? 00:01:44.500 --> 00:01:45.796 多くの方が できる と思われるようです 00:01:45.820 --> 00:01:47.020 では数週間なら? 00:01:48.500 --> 00:01:49.756 そこそこ いらっしゃいますね 00:01:49.780 --> 00:01:50.980 では数ヶ月ならどうでしょう? 00:01:52.100 --> 00:01:53.596 まだ 結構いらっしゃいます 00:01:53.620 --> 00:01:56.276 今度は この国立公園が 00:01:56.300 --> 00:02:00.060 永遠に続く冬に入ったと想定しましょう 00:02:01.560 --> 00:02:05.440 同じ質問ですよ 数日は生き延びられると思う方? 00:02:06.480 --> 00:02:07.896 多くの手が上がっていますね 00:02:07.920 --> 00:02:09.120 では数週間の場合は? 00:02:10.565 --> 00:02:13.136 私が生き延びられると思うより かなり長い期間ですね 00:02:13.200 --> 00:02:17.896 じゃあ 今度は 飲み水になり得るのは 00:02:17.920 --> 00:02:21.320 地表からかなり離れた 地中深くの氷の塊だけで 00:02:21.880 --> 00:02:25.976 土は痩せていて 植物もどこにも見られず 00:02:26.000 --> 00:02:30.200 言うまでもなく 酸素もほとんど無い としたら? 00:02:32.040 --> 00:02:36.176 このような例は 私たちが火星のような惑星で 00:02:36.200 --> 00:02:38.040 出会う 多くの試練のうちの数例です 00:02:38.800 --> 00:02:43.976 では 常夏での休暇からかけ離れた 目的地への旅に備えるには 00:02:44.000 --> 00:02:45.480 何が必要でしょうか? 00:02:46.320 --> 00:02:48.960 ずっと地球から資源を 運び続けることになるのでしょうか? 00:02:49.680 --> 00:02:53.096 宇宙エレベーターや 長い長い運搬ベルトを造り 00:02:53.096 --> 00:02:56.020 選んだ惑星と 故郷である地球を繋ぐ? 00:02:56.097 --> 00:03:03.080 私たちと同じように地球育ちの 食べ物などはどう育てますか? 00:03:03.080 --> 00:03:05.380 まず説明が必要ですね 00:03:05.380 --> 00:03:09.360 新たな太陽の下での 新しい住環境を探すという人類の旅で 00:03:10.120 --> 00:03:13.976 私たちはほぼ確実に 長い間 旅をして 00:03:14.000 --> 00:03:15.560 過ごす事になりそうです 00:03:16.840 --> 00:03:18.456 宇宙空間で 00:03:18.480 --> 00:03:21.160 「密閉された空飛ぶ缶」 宇宙船の中 00:03:22.420 --> 00:03:24.140 おそらく何世代にも渡って 時間が流れるでしょう 00:03:24.980 --> 00:03:28.396 これまで 宇宙空間で 人類が長期滞在した記録は 00:03:28.420 --> 00:03:31.300 12〜14か月前後です 00:03:32.300 --> 00:03:34.636 宇宙空間での 宇宙飛行士の経験から 00:03:34.660 --> 00:03:38.436 微小重力環境で過ごすと 00:03:38.460 --> 00:03:43.036 骨量が減少し 筋萎縮が起こり 循環器系への問題が生じる 00:03:43.060 --> 00:03:44.636 ということがわかっています 00:03:44.660 --> 00:03:47.980 この他にも様々な 身体・精神的な 問題が生じます 00:03:48.600 --> 00:03:50.016 マクロ重力の影響のもと― 00:03:50.040 --> 00:03:52.536 私たちが到達する 惑星の引力の影響のもとでは 00:03:52.560 --> 00:03:54.480 どうなるでしょう? 00:03:55.960 --> 00:03:59.496 端的には 私たちの宇宙旅行は 既知の そして未知の 00:03:59.520 --> 00:04:01.120 危険を伴うでしょう 00:04:02.360 --> 00:04:06.376 今まで 私たちは 新たな機械技術や 00:04:06.400 --> 00:04:08.656 優れた次世代ロボットに 00:04:08.680 --> 00:04:12.120 宇宙で人類が生き長らえるための 備えの一部として期待してきました 00:04:13.399 --> 00:04:16.334 これらも素晴らしいものの 00:04:16.360 --> 00:04:20.616 今 これらの 大きな電子機器を 00:04:20.640 --> 00:04:22.860 既に自然が生み出した 微生物のちからで 00:04:22.860 --> 00:04:25.496 補完する時が来たのだと思います 00:04:25.520 --> 00:04:30.736 無性生殖し 自己複製する 単細胞生物 00:04:30.760 --> 00:04:31.960 生ける機械です 00:04:32.860 --> 00:04:35.276 メンテナンスの必要も ほとんど無く 00:04:35.990 --> 00:04:38.242 より柔軟性のある設計であり 00:04:39.020 --> 00:04:42.340 プラスチック製の試験管に 入れて運べてしまいます 00:04:42.799 --> 00:04:46.656 微生物資源利用の可能性を探る この分野の研究は 00:04:46.680 --> 00:04:48.280 合成生物学と呼ばれ 00:04:48.920 --> 00:04:52.936 抗生物質やワクチンを生んだ 分子生物学から派生しました 00:04:52.960 --> 00:04:56.256 分子生物学は 人間の身体機能の微細な様子を 00:04:56.280 --> 00:04:57.480 より精密に観察する手法でもあります 00:04:58.820 --> 00:05:01.195 合成生物学技術を用いて 00:05:01.220 --> 00:05:04.156 現在 私たちは 微生物であろうとなかろうと 00:05:04.180 --> 00:05:06.116 ほぼ全ての生命体の遺伝子を 00:05:06.140 --> 00:05:08.540 驚くべき速さと忠実さで 編集できるようになりました 00:05:10.260 --> 00:05:13.156 ヒトが生み出した機械の持つ 限界に比べ 00:05:13.180 --> 00:05:17.156 合成生物学は私たちにとって 食べ物を「編集」するだけでなく 00:05:17.180 --> 00:05:19.916 燃料や環境 00:05:19.940 --> 00:05:22.236 やがて自分たち自身までもを 00:05:22.260 --> 00:05:24.876 身体の限界を補うかたちで 編集し 00:05:24.900 --> 00:05:27.060 宇宙空間での生存を 可能にできるでしょう 00:05:28.500 --> 00:05:29.716 宇宙探査に 00:05:29.740 --> 00:05:32.556 合成生物学を利用できる例えに 00:05:32.580 --> 00:05:34.500 火星を想像してみましょう 00:05:35.660 --> 00:05:40.396 火星の土壌は ハワイの火山灰に似ていて 00:05:40.420 --> 00:05:42.300 有機物質を微量に含みます 00:05:43.200 --> 00:05:45.456 仮に こうしましょう 00:05:45.480 --> 00:05:48.216 地球由来の養分がなくとも 火星の土壌が 00:05:48.240 --> 00:05:50.080 植物を育てられるとしたら? 00:05:51.160 --> 00:05:53.256 最初に浮かぶ疑問は 00:05:53.280 --> 00:05:55.656 どうしたら植物に凍結耐性を 獲得させられるか? 00:05:55.680 --> 00:05:57.776 なぜかというと 火星の平均気温は 00:05:57.800 --> 00:06:00.560 身も凍る -60℃なのです 00:06:01.800 --> 00:06:03.576 次に考えるべき疑問は 00:06:03.600 --> 00:06:06.056 ほとんどの水分が霜となり 00:06:06.080 --> 00:06:08.896 私が「じょうはつ」と言い終える前に 蒸発してしまう環境で― 00:06:08.920 --> 00:06:11.760 植物にどう干ばつ耐性を持たせるか? ということです 00:06:12.920 --> 00:06:15.520 実は 私たちはもうこのような問題へ 対処をしているのです 00:06:17.080 --> 00:06:20.376 魚から不凍タンパクを作る遺伝子を借り 00:06:20.400 --> 00:06:23.576 干ばつ耐性のある遺伝子を 米のような植物から借り 00:06:23.600 --> 00:06:26.296 それらを必要とする植物へ 導入し 00:06:26.320 --> 00:06:29.280 ほとんどの干ばつや凍結を 耐え抜く植物を作り出しました 00:06:30.080 --> 00:06:32.696 それらはこの地球ではGMO あるいは 00:06:32.720 --> 00:06:34.520 「遺伝子組換え作物」 として知られ 00:06:35.280 --> 00:06:39.640 私たちは人類を養うため それらを 頼りにしているのです 00:06:40.760 --> 00:06:44.176 自然はすでに このような事を 人の手を介さず行っています 00:06:44.200 --> 00:06:45.736 自然はすでに このような事を 人の手を介さず行っています 00:06:45.760 --> 00:06:48.840 私たちはそれよりも精密な方法を 見つけただけなんです 00:06:50.080 --> 00:06:53.560 ではなぜ宇宙に向けて 植物の遺伝子組成を変えるのでしょう 00:06:54.720 --> 00:06:58.296 そうしないと 00:06:58.320 --> 00:07:01.736 全く未知の惑星で 無限に広がる土地に 00:07:01.760 --> 00:07:05.256 膨大な量の大気を放出させ それを入れておく 00:07:05.280 --> 00:07:08.320 巨大なガラスのドームを 建設しなければならなくなります 00:07:09.080 --> 00:07:11.136 この とても現実的とは言えない 建築事業は 00:07:11.160 --> 00:07:14.680 高コストの貨物宇宙輸送事業を 伴うことでしょう 00:07:15.840 --> 00:07:17.296 食糧や空気資源を確保する 00:07:17.320 --> 00:07:20.416 最良の方法の一つは 00:07:20.440 --> 00:07:23.536 新たな厳しい環境に 耐え得るように 00:07:23.560 --> 00:07:26.120 改良された有機体を 持って行くことです 00:07:27.360 --> 00:07:31.336 つまり 改変した有機体を用いて 惑星を地球環境化するのです 00:07:31.360 --> 00:07:33.400 短期的 かつ長期的に 00:07:35.000 --> 00:07:39.000 これらの有機体は医薬品や 燃料をも生み出すよう改変できます 00:07:40.520 --> 00:07:44.256 合成生物学を用いて機能を高めた 植物を持って行けば良いのです 00:07:44.280 --> 00:07:45.520 その他には何ができるでしょう? 00:07:46.480 --> 00:07:49.336 先ほど触れたように 人類は 00:07:49.360 --> 00:07:51.680 地球環境に特化して 進化して来ました 00:07:52.400 --> 00:07:55.016 その事実は 今私と皆さんが 00:07:55.040 --> 00:07:57.480 ここにいた5分間のうちに 変わってはいません 00:07:58.080 --> 00:08:01.776 もし誰かが火星に 今 置き去りにされたら 00:08:01.800 --> 00:08:05.296 十分な食料、水、空気 00:08:05.320 --> 00:08:06.536 そして宇宙服が あったとしても 00:08:06.560 --> 00:08:09.936 ほとんど大気の無い 火星のような惑星では 00:08:09.960 --> 00:08:13.256 地表に降り注ぐ 電離放射線により 00:08:13.280 --> 00:08:17.120 何かしら不快な健康問題が 起こるでしょう 00:08:18.880 --> 00:08:20.896 もし地中に穴を掘り 00:08:20.920 --> 00:08:23.560 惑星にいる限り地中で 暮らすのでもなければ 00:08:24.080 --> 00:08:26.656 体重と同じ位の重さの 00:08:26.680 --> 00:08:29.336 防護服を着る必要無く 00:08:29.360 --> 00:08:31.816 あるいは鉛の壁の後ろに 隠れて過ごす以外の 00:08:31.840 --> 00:08:34.120 身体を守る方法を 見つけなければなりません 00:08:35.840 --> 00:08:38.440 では自然に着想を 求めてみましょう 00:08:39.799 --> 00:08:41.895 地球に存在する 膨大な数の生命の中に 00:08:41.919 --> 00:08:44.776 好極限性細菌という 生命体がいます 00:08:44.800 --> 00:08:46.776 極限条件下で生育する 微生物です 00:08:46.800 --> 00:08:49.256 高校の生物学の時間に 習ったかも知れません 00:08:49.280 --> 00:08:53.760 デイノコッカス・ラディオデュランス という極限環境微生物は 00:08:55.139 --> 00:09:00.515 寒さ、乾燥、真空、酸 00:09:00.540 --> 00:09:02.740 そして放射線に耐えることができます 00:09:03.912 --> 00:09:06.634 その放射線への耐性機能は よく知られていますが 00:09:06.659 --> 00:09:09.058 哺乳類に適応された 例は未だありません 00:09:10.020 --> 00:09:12.636 これは簡単には実現しません 00:09:12.660 --> 00:09:15.476 放射線耐性には様々な 原理が働いています 00:09:15.500 --> 00:09:17.740 ある一つの遺伝子を導入する という 単純な話ではありませんが 00:09:18.460 --> 00:09:21.716 人間の知恵と 00:09:21.740 --> 00:09:22.996 少しの時間をもってすれば 00:09:23.020 --> 00:09:25.460 実現はそれほど難しくないと 考えています 00:09:26.500 --> 00:09:32.260 放射線に耐えるために その能力を少しでも借りられれば 00:09:32.900 --> 00:09:35.916 肌に存在するメラニン色素よりも 00:09:35.940 --> 00:09:37.900 遥かに良いものが得られるでしょう 00:09:39.060 --> 00:09:41.076 合成生物学の技術を用いて 00:09:41.100 --> 00:09:44.116 デイノコッカス・ラディオデュランスの 特性を手に入れ 00:09:44.140 --> 00:09:47.860 致死的な放射線の下でも 生き延びることが出来ます 00:09:50.260 --> 00:09:51.740 知覚するのは難しいのですが 00:09:52.420 --> 00:09:54.740 ホモ・サピエンスつまり人間は 00:09:55.700 --> 00:09:57.996 毎日進化を続け 00:09:58.020 --> 00:09:59.940 今も進化しています 00:10:00.860 --> 00:10:02.636 人類が進化して来た 数千年は 00:10:02.660 --> 00:10:05.636 低酸素環境で生活出来る チベット人たちのような 00:10:05.660 --> 00:10:08.236 特性を持つ人々のみならず 00:10:08.260 --> 00:10:13.196 通常ならば人を死に至らしめる 化学物質であるヒ素を 00:10:13.220 --> 00:10:16.020 消化し代謝できる アルゼンチン人を生み出しました 00:10:16.860 --> 00:10:20.556 毎日 人間の身体は 偶然の変異により進化し 00:10:20.580 --> 00:10:23.436 それは偶然にも 過酷な状況であろうとも 00:10:23.460 --> 00:10:25.700 生き残れる人々を 生み出すのです 00:10:26.660 --> 00:10:28.540 しかし この「しかし」を強調しますが― 00:10:29.980 --> 00:10:34.156 そのような進化は常にあるわけではない 2つの要素を必要とします 00:10:34.180 --> 00:10:35.620 いつも手に入るとは限りません 00:10:36.620 --> 00:10:38.860 それは「死」と「時間」です 00:10:40.060 --> 00:10:43.076 人類が宇宙に新たな定住先を 見つけるという試練において 00:10:43.100 --> 00:10:45.556 地球以外の惑星に適応できるように 00:10:45.580 --> 00:10:48.116 自然に進化する為の時間が 00:10:48.140 --> 00:10:50.140 常に十分にあるとは限りません 00:10:52.360 --> 00:10:56.856 私たちが生きているのは エドワード・O・ウィルソンの言う 00:10:56.880 --> 00:11:02.256 「遺伝的回避」の時代で嚢胞性繊維症や 筋萎縮症のような遺伝的欠陥を 00:11:02.280 --> 00:11:04.880 一時的に補うような治療をする そんな時代です 00:11:05.960 --> 00:11:07.496 しかし 日々が過ぎるとともに 00:11:07.520 --> 00:11:10.696 私たちは「意志による進化」の時代に 近付いています 00:11:10.720 --> 00:11:12.696 それは 私たち人間自身で 00:11:12.720 --> 00:11:17.600 遺伝子の運命を決定することができる そんな時代です 00:11:18.920 --> 00:11:21.256 人体機能に新たな能力を加え 高めるというのは 00:11:21.280 --> 00:11:23.360 もはや「どうやって」 という問題ではなく 00:11:24.120 --> 00:11:25.320 「いつ やるか」です 00:11:26.440 --> 00:11:27.696 合成生物学を用いて 00:11:27.720 --> 00:11:30.816 生命体の遺伝子的組成を 改変するのには 00:11:30.840 --> 00:11:32.056 特に私たち人間の― 00:11:32.080 --> 00:11:34.400 倫理・道徳的疑問が伴います 00:11:35.480 --> 00:11:38.000 自分たちを改変すると 人間らしさを失うでしょうか? 00:11:39.160 --> 00:11:41.416 では改めて人類とは何でしょう 00:11:41.440 --> 00:11:43.960 何かしら偶然に意識を持ったもの? 00:11:45.400 --> 00:11:47.840 人間の英知は どこへ向かうべきなのでしょう? 00:11:48.840 --> 00:11:52.760 戸惑い 傍観するのは 時間の無駄ではないでしょうか 00:11:54.000 --> 00:11:55.336 私たちの英知を駆使して 00:11:55.360 --> 00:11:58.616 どうやって外環境の脅威から 安全を確保し 00:11:58.640 --> 00:12:01.280 自分たち自身からも 身を守ることができるでしょう? 00:12:03.000 --> 00:12:04.416 私はこれらの質問を 00:12:04.440 --> 00:12:06.616 科学への恐れを生じさせる 目的ではなく 00:12:06.640 --> 00:12:09.016 科学が私たちに提供する 様々な可能性に 00:12:09.040 --> 00:12:12.440 光をあてるために問いかけます 00:12:13.360 --> 00:12:17.336 私たち人類は 解決策を探し出すために協力し 00:12:17.360 --> 00:12:18.560 注意深く 00:12:19.240 --> 00:12:21.200 勇気を持って取り組むのです 00:12:22.800 --> 00:12:26.400 火星は人類が目指す 目的地の一つですが 00:12:27.040 --> 00:12:28.640 最後の土地ではありません 00:12:29.800 --> 00:12:32.656 我々の最終到達地は 人類の予測を超えた 00:12:32.680 --> 00:12:37.400 知性の可能性そして 何をすべきかの一線のその先です 00:12:38.680 --> 00:12:42.920 宇宙は凍える寒さで 厳しく過酷な環境です 00:12:44.420 --> 00:12:46.836 私たちの星々への旅は 試練に満ちたものになり 00:12:46.860 --> 00:12:49.836 我々は人類が何なのか そしてどう進化するのか 00:12:49.860 --> 00:12:51.620 という問いに 向かい合うようになるでしょう 00:12:52.460 --> 00:12:56.036 その答えは 私たちが これまで集積して来た 00:12:56.060 --> 00:12:58.156 技術を使うか使わないかに かかっていて 00:12:58.180 --> 00:13:01.912 宇宙における人類の運命を 決定づけることになるでしょう 00:13:01.937 --> 00:13:03.153 ありがとうございました 00:13:03.178 --> 00:13:04.647 (拍手)