WEBVTT 00:00:01.480 --> 00:00:03.376 シートベルトを締めてください 00:00:03.400 --> 00:00:05.376 これから火星に向かいます NOTE Paragraph 00:00:05.400 --> 00:00:07.496 ひと握りの宇宙飛行士だけでなく 00:00:07.520 --> 00:00:10.656 何千という人々が火星に 植民することになるでしょう 00:00:10.680 --> 00:00:13.800 それも すぐに そうなります 00:00:14.330 --> 00:00:17.536 皆さんの中から火星のプロジェクトに 関わる人も出るだろうし 00:00:17.560 --> 00:00:21.240 お子さんが火星に住むことになる人も きっといるでしょう NOTE Paragraph 00:00:21.760 --> 00:00:24.136 途方もない話に 聞こえるでしょうから 00:00:24.160 --> 00:00:27.350 それが いつどのように 起きるのか お話しします 00:00:27.760 --> 00:00:30.910 でも その前に当然の疑問について 考えましょう 00:00:30.910 --> 00:00:33.149 なぜ火星なんかに 行く必要があるのか？ NOTE Paragraph 00:00:33.420 --> 00:00:36.696 私は 12年前にTEDで 人類が突然滅亡しうる 00:00:36.696 --> 00:00:38.906 10の要因について 話しました 00:00:38.906 --> 00:00:43.150 私たちは宇宙の気まぐれに対して 極めて脆弱です 00:00:43.150 --> 00:00:47.276 たった１つの小惑星によって 人類は抹消されかねないのです 00:00:47.276 --> 00:00:50.576 生き延びるためには 地球の外に手を広げる必要があります 00:00:50.600 --> 00:00:54.566 人類の成し遂げてきたことが すべて 突然消失するとしたら 00:00:54.566 --> 00:00:56.180 何という悲劇でしょう NOTE Paragraph 00:00:56.720 --> 00:00:58.736 行くべき理由は もう１つあります 00:00:58.760 --> 00:01:01.696 探検は我々のDNAに 刻み込まれているのです 00:01:01.720 --> 00:01:05.176 ２百万年前 アフリカで 進化した人類は 00:01:05.200 --> 00:01:10.456 ゆっくりと しかし確実に 地平線の 彼方の荒野を目指しながら 00:01:10.456 --> 00:01:13.536 地球の隅々へと 広がって行きました 00:01:13.560 --> 00:01:15.660 我々の中に そういうものがあるんです 00:01:15.660 --> 00:01:17.900 そうやって 繁栄してきたのです 00:01:18.240 --> 00:01:21.520 文明や技術の 最も大きな進歩は 00:01:21.520 --> 00:01:24.390 探検したからこそ 生まれました NOTE Paragraph 00:01:24.860 --> 00:01:27.916 確かに 火星に植民地を 築くほどの費用があれば 00:01:27.916 --> 00:01:30.280 多くのことが できるでしょう 00:01:30.690 --> 00:01:35.710 我々自身の惑星を もっと大切にすべきだ というのも もっともです 00:01:35.990 --> 00:01:41.470 地球を台無しにしたように 火星も台無しに してしまうのではという懸念もあります NOTE Paragraph 00:01:42.120 --> 00:01:45.626 しかしジョン・F・ケネディが 人類を月に送ると言ったとき 00:01:45.626 --> 00:01:48.896 我々に何があったか ちょっと考えてみてください 00:01:48.920 --> 00:01:52.460 ケネディは すべての人に 夢を持たせました 00:01:52.970 --> 00:01:56.836 人類が火星に降り立つ姿は どんなに刺激的なことでしょう 00:01:56.836 --> 00:01:59.236 そして地球を振り返り 00:01:59.236 --> 00:02:02.716 今更ながら 人類は１つなんだと 00:02:02.716 --> 00:02:05.010 気付くかもしれません 00:02:05.010 --> 00:02:07.340 火星で生きようと もがく中で 00:02:07.340 --> 00:02:10.810 故郷の惑星がいかに貴重か 気付くかもしれません NOTE Paragraph 00:02:11.520 --> 00:02:16.440 それでは 我々が乗り出そうとしている ものすごい冒険の話をしましょう 00:02:17.040 --> 00:02:18.140 でもその前に 00:02:18.140 --> 00:02:21.210 我々の向かう先の 興味深い事実をいくつか — 00:02:22.040 --> 00:02:26.350 この写真は 火星と地球の 大きさの比較をしたものです 00:02:26.350 --> 00:02:28.606 火星は地球の姉妹星 というわけではなく 00:02:28.606 --> 00:02:31.286 地球の半分の大きさも ありません 00:02:31.286 --> 00:02:33.176 しかし その小ささに かかわらず 00:02:33.200 --> 00:02:35.896 立つことのできる 表面の面積は 00:02:35.920 --> 00:02:38.650 地球と同じです 00:02:38.650 --> 00:02:42.700 地球の場合 かなりの部分が 水に覆われているからです NOTE Paragraph 00:02:43.000 --> 00:02:45.190 火星の大気は とても薄く 00:02:45.190 --> 00:02:47.760 地球の100分の１しかなく 00:02:47.760 --> 00:02:52.180 96%が二酸化炭素なので 呼吸はできません NOTE Paragraph 00:02:52.760 --> 00:02:54.376 とても寒く 00:02:54.400 --> 00:02:57.376 平均気温は -63℃ですが 00:02:57.400 --> 00:03:00.910 実際の温度は とても広い範囲に及びます NOTE Paragraph 00:03:01.320 --> 00:03:03.010 火星の１日は 00:03:03.010 --> 00:03:05.840 地球の１日より 39分長く 00:03:06.440 --> 00:03:11.480 季節や１年は 地球の倍の長さがあります NOTE Paragraph 00:03:11.860 --> 00:03:16.270 いつか翼を付けて飛び回りたいと 思っていたなら 00:03:16.270 --> 00:03:19.526 火星は地球よりずっと 重力が弱いです 00:03:19.526 --> 00:03:21.356 車の反対側に 行くときは 00:03:21.356 --> 00:03:23.980 周りを回るより 飛び越えた方が早いでしょう NOTE Paragraph 00:03:23.980 --> 00:03:27.906 このように火星は地球そっくり というわけではありませんが 00:03:27.906 --> 00:03:32.910 太陽系の中の他の場所に比べたら ずっと住みやすい場所です NOTE Paragraph 00:03:33.360 --> 00:03:34.730 問題は 00:03:34.730 --> 00:03:37.056 火星がとても遠く 00:03:37.080 --> 00:03:41.920 月より千倍も 離れていることです 00:03:42.560 --> 00:03:46.336 月は38万キロ 離れていて 00:03:46.360 --> 00:03:50.450 アポロの宇宙飛行士たちは 行くのに３日かかりました 00:03:50.720 --> 00:03:53.856 火星は４億キロ離れていて 00:03:53.880 --> 00:03:55.630 行くのに８ヶ月 00:03:55.630 --> 00:03:57.660 240日かかるでしょう 00:03:58.080 --> 00:04:00.480 これは２年に１度だけの 00:04:00.480 --> 00:04:02.190 特別な日時に 00:04:02.190 --> 00:04:04.416 ロケットを 打ち上げた場合で 00:04:04.440 --> 00:04:07.616 火星と地球が 上手く並んで 00:04:07.640 --> 00:04:11.560 飛行距離が 最短になります 00:04:12.420 --> 00:04:18.079 240日というのは 同僚と狭い船内に 押し込められて過ごすには 長い期間です NOTE Paragraph 00:04:18.800 --> 00:04:22.856 これまでの火星ロケットの成績は 酷いものです 00:04:22.880 --> 00:04:25.696 アメリカ ロシア ヨーロッパ 日本 00:04:25.720 --> 00:04:27.056 中国 インドが 00:04:27.080 --> 00:04:30.186 44のロケットを火星に向け 打ち上げてきましたが 00:04:30.186 --> 00:04:33.216 過半数が外れたり 激突したりで 00:04:33.240 --> 00:04:37.170 成功したミッションは 1/3 しかありません NOTE Paragraph 00:04:37.760 --> 00:04:42.380 加えて 現在我々には 火星に行けるほど 大きなロケットがありません 00:04:42.940 --> 00:04:44.806 かつてはサターンＶがありました 00:04:44.806 --> 00:04:47.816 それが２台もあれば 火星に行けたでしょう 00:04:47.840 --> 00:04:51.270 サターンＶは人類が作った 最も壮大な機械であり 00:04:51.270 --> 00:04:53.900 月へと連れて行ってくれました 00:04:53.900 --> 00:04:59.136 しかしサターンＶが使われたのは 1973年のスライラブ打ち上げが最後で 00:04:59.160 --> 00:05:02.386 月着陸の次に 火星へと向かうかわりに 00:05:02.386 --> 00:05:05.920 シャトルというのを やることになりました 00:05:06.460 --> 00:05:08.136 今あるロケットは 00:05:08.160 --> 00:05:11.490 火星に人間を送るには 小さすぎるのです NOTE Paragraph 00:05:12.060 --> 00:05:15.216 火星に行くのは 簡単なことではありません 00:05:15.240 --> 00:05:18.400 興味深い疑問は — 00:05:19.370 --> 00:05:24.080 火星に最初の人間が降り立つのは いつ頃になるのかということです NOTE Paragraph 00:05:25.160 --> 00:05:28.850 学者の中には 2050年までに行ければ 00:05:28.850 --> 00:05:31.730 大したものだと 考える人もいます NOTE Paragraph 00:05:31.730 --> 00:05:38.170 最近では NASAは2040年までに 人間を火星に送れるだろうと言っているようです 00:05:38.200 --> 00:05:39.820 できるかもしれません 00:05:40.450 --> 00:05:45.696 私自身は2035年までにNASAは 人間を火星軌道に送れると思っていますが 00:05:45.720 --> 00:05:46.960 率直に言って 00:05:46.960 --> 00:05:51.180 2035年に火星にロケットを送ろう などとはしないでしょう 00:05:51.180 --> 00:05:54.086 その時にはもう 人類は 火星にいるからです NOTE Paragraph 00:05:54.086 --> 00:05:56.900 2027年には 降り立っているでしょう 00:05:58.150 --> 00:05:59.360 その理由は 00:05:59.360 --> 00:06:01.576 この男がそうすると 心に決めているからです 00:06:01.600 --> 00:06:07.080 彼の名はイーロン･マスク テスラ･モーターズとSpaceXのCEOです 00:06:07.920 --> 00:06:12.976 彼は実際 2025年までに 人間を火星に送ると私に言いましたが 00:06:13.000 --> 00:06:15.120 イーロンは私よりも 00:06:15.120 --> 00:06:17.416 かなり楽観的なので 00:06:17.440 --> 00:06:20.440 ２年ほど余裕を 持たせました 00:06:20.960 --> 00:06:22.140 それでも 00:06:22.140 --> 00:06:23.736 問う必要があるでしょう 00:06:23.760 --> 00:06:28.100 この男は本当に2025年か2027年までに 成し遂げられるのか？ NOTE Paragraph 00:06:28.760 --> 00:06:32.790 イーロン･マスクにとっての10年が どんなものか 考えてみましょう 00:06:33.070 --> 00:06:35.290 これは10年前 どんなだったでしょう？ 00:06:35.290 --> 00:06:37.616 テスラの電気自動車です 00:06:37.640 --> 00:06:41.030 2005年には 自動車業界の人の多くは 00:06:41.030 --> 00:06:45.270 まともな電気自動車ができるまでに 50年はかかると言っていました NOTE Paragraph 00:06:48.130 --> 00:06:49.860 これはどうでしょう？ 00:06:50.120 --> 00:06:53.140 SpaceXのファルコン９ロケットが 00:06:53.140 --> 00:06:57.696 国際宇宙ステーションへの６トンの補給物資を 打ち上げているところです 00:06:57.720 --> 00:06:58.936 10年前には 00:06:58.960 --> 00:07:03.710 SpaceXは どんなロケットも 打ち上げてはいませんでした 00:07:04.600 --> 00:07:06.760 だから 十分見込みは あると思います 00:07:06.760 --> 00:07:11.540 10年未満で 自動車業界に 革命を起こし 00:07:11.540 --> 00:07:15.496 10年未満で ロケット会社を 丸々作り上げた人間なら 00:07:15.496 --> 00:07:18.430 2027年までに人類を 火星に連れて行っても 00:07:18.430 --> 00:07:20.120 おかしくありません NOTE Paragraph 00:07:20.760 --> 00:07:23.736 ここで押さえておかなければ ならないのは 00:07:23.760 --> 00:07:27.910 この競争を動かしているのは もはや 政府でもロボットでもないということです 00:07:27.920 --> 00:07:30.416 民間企業が宇宙に乗り出し 00:07:30.440 --> 00:07:33.460 皆さんを喜んで 火星へと連れて行くでしょう NOTE Paragraph 00:07:33.800 --> 00:07:36.990 これは大きな疑問を 提起します 00:07:37.180 --> 00:07:39.810 我々は実際 火星で生きられるのか？ 00:07:40.680 --> 00:07:44.530 NASAは 2040年まで 火星に人間を連れて行けず 00:07:44.530 --> 00:07:47.566 民間がずっと早く火星に 到達するとしても 00:07:47.566 --> 00:07:52.500 人間が火星で生きられるか調べる上で NASAは大きな役割を果たしています NOTE Paragraph 00:07:52.500 --> 00:07:54.600 問題をこのように 見てみましょう 00:07:54.600 --> 00:07:56.966 人間が地球上で 生きるのに必要なのは 00:07:56.966 --> 00:08:00.216 食料 水 住居 衣服です 00:08:00.240 --> 00:08:02.450 そして火星で 生きる上では 00:08:02.450 --> 00:08:05.200 これに加えて 酸素が必要です NOTE Paragraph 00:08:06.160 --> 00:08:10.256 このリストで最も重要なものについて まず考えてみましょう 00:08:10.280 --> 00:08:13.296 水は 既知のすべての生命の 基礎となるものですが 00:08:13.320 --> 00:08:17.896 火星で必要となる分を 地球から運ぶには重すぎます 00:08:17.920 --> 00:08:22.558 火星で生活しようと思うなら 水を見つける必要があります 00:08:23.840 --> 00:08:26.336 火星を見ると まったく乾燥していて 00:08:26.360 --> 00:08:29.176 惑星全体が 砂漠のようです 00:08:29.200 --> 00:08:31.216 でも そうでないことが 分かっています 00:08:31.240 --> 00:08:36.456 土壌だけを取っても 多いと60%も水を含んでいます 00:08:36.480 --> 00:08:40.850 今も火星軌道を回っている軌道船が いくつもありますが 00:08:40.850 --> 00:08:43.976 それが示しているのは — これは本物の写真ですが 00:08:44.000 --> 00:08:48.136 火星のクレーターには 凍った水が たくさんあるということです 00:08:48.160 --> 00:08:50.820 そこにコロニーを作り始めるのも 悪くないでしょう NOTE Paragraph 00:08:51.855 --> 00:08:56.266 これはフェニックス探査機が2008年に 地面を掘った時の様子ですが 00:08:56.266 --> 00:08:59.576 土壌表面のすぐ下に 氷があることを示しています 00:08:59.600 --> 00:09:01.750 白いのは氷です 00:09:01.750 --> 00:09:03.306 ２枚目の写真は 00:09:03.306 --> 00:09:05.416 １枚目の４日後に 撮ったものですが 00:09:05.440 --> 00:09:07.760 一部蒸発しているのが 分かります NOTE Paragraph 00:09:08.040 --> 00:09:09.416 軌道船はまた 00:09:09.440 --> 00:09:13.196 火星には大量の地下水や 氷河があることも 00:09:13.196 --> 00:09:14.936 教えてくれます 00:09:14.960 --> 00:09:19.120 実際 極地の氷が 溶けただけで 00:09:19.120 --> 00:09:22.740 火星の大部分が 10mの水に覆われるでしょう 00:09:22.740 --> 00:09:25.056 だから水は大量に 存在しますが 00:09:25.080 --> 00:09:27.616 大部分は氷として 地下にあり 00:09:27.640 --> 00:09:31.330 取り出すためには多くの エネルギーと労力が必要になります NOTE Paragraph 00:09:32.040 --> 00:09:34.130 この装置は 1998年に 00:09:34.130 --> 00:09:36.430 ワシントン大学で 考案されたものです 00:09:36.840 --> 00:09:39.896 これは基本的には ローテクな除湿器です 00:09:39.920 --> 00:09:44.086 火星大気は時に湿度が 100%にもなることが分かりました 00:09:44.086 --> 00:09:48.100 この装置は人間が 必要とする水を 00:09:48.100 --> 00:09:51.110 火星大気から 抽出しようというわけです NOTE Paragraph 00:09:51.890 --> 00:09:55.020 次に何を呼吸するか 心配する必要がありますが 00:09:55.020 --> 00:09:58.076 NASAがこの問題を 解決済みであることを知って 00:09:58.076 --> 00:09:59.640 とても驚きました 00:10:00.280 --> 00:10:03.560 これはMITの科学者 マイケル・ヘクトです 00:10:03.930 --> 00:10:06.616 彼はこのMoxieという 装置を開発しました 00:10:06.640 --> 00:10:07.856 私のお気に入りです 00:10:07.880 --> 00:10:10.456 いわば逆燃料電池で 00:10:10.480 --> 00:10:14.140 火星の大気を取り込んで 酸素を吐き出します 00:10:14.140 --> 00:10:17.936 火星の大気は96%が 二酸化炭素だということを 00:10:17.936 --> 00:10:19.830 思い出してください 00:10:19.830 --> 00:10:23.620 そして二酸化炭素の78%を 構成しているのが酸素です NOTE Paragraph 00:10:23.920 --> 00:10:28.256 NASAが次回火星にローバーを送るのは 2020年ですが 00:10:28.280 --> 00:10:30.496 この装置が搭載される予定で 00:10:30.520 --> 00:10:32.980 人間１人分の酸素を 00:10:32.980 --> 00:10:35.936 ずっと生成し続ける ことができます 00:10:35.960 --> 00:10:38.286 しかし それも テストに過ぎず 00:10:38.286 --> 00:10:40.896 この装置の すごいところは 00:10:40.896 --> 00:10:43.766 100倍の規模まで 拡張できるよう 00:10:43.766 --> 00:10:46.340 デザインされていることです NOTE Paragraph 00:10:46.610 --> 00:10:49.056 次の問題は何を食べるか ということです 00:10:49.080 --> 00:10:52.326 水耕法で農作物を育てる ことになりますが 00:10:52.326 --> 00:10:54.376 火星表面を水が流れ 00:10:54.376 --> 00:10:56.746 耕作できるようになるまでは 00:10:56.746 --> 00:11:00.266 15〜20%より多くの食料を 00:11:00.266 --> 00:11:03.920 まかなうことは できないでしょう 00:11:04.680 --> 00:11:05.490 それまでは 00:11:05.490 --> 00:11:07.270 食料の大部分は 地球から 00:11:07.270 --> 00:11:09.850 乾燥した形で 送られることになります NOTE Paragraph 00:11:10.480 --> 00:11:12.840 次に住む場所です 00:11:12.990 --> 00:11:16.736 はじめは 空気で膨らませた建物や 00:11:16.760 --> 00:11:19.016 着陸船を使うことに なるでしょう 00:11:19.040 --> 00:11:22.016 しかしこれは 日中だけです 00:11:22.040 --> 00:11:26.850 太陽や宇宙線による 放射線が強すぎるので 00:11:26.850 --> 00:11:29.336 地下に潜る必要があります NOTE Paragraph 00:11:29.360 --> 00:11:31.690 火星の土壌は概して 00:11:31.690 --> 00:11:35.056 レンガを作るのに適している ことが分かりました 00:11:35.080 --> 00:11:37.296 これもまたNASAが 解明したことです 00:11:37.320 --> 00:11:40.176 そのレンガにプラスチックを加え 00:11:40.200 --> 00:11:41.976 電子レンジにかけると 00:11:42.000 --> 00:11:45.256 厚い壁の建物を 作れるようになります 00:11:45.280 --> 00:11:48.190 あるいは地下に沢山存在する 00:11:48.190 --> 00:11:52.560 洞窟や溶岩洞に 住むこともできます NOTE Paragraph 00:11:54.040 --> 00:11:55.860 最後に何を着るかです 00:11:55.900 --> 00:11:59.120 地球では頭上に 何キロも層をなす大気が 00:11:59.120 --> 00:12:02.580 常に私たちの体に １気圧の圧力をかけていて 00:12:02.580 --> 00:12:04.823 体はそれを押し返しています 00:12:04.847 --> 00:12:08.147 火星では大気圧が ほとんどありません 00:12:08.510 --> 00:12:10.210 ダバ・ニューマンは 00:12:10.210 --> 00:12:12.096 MITの科学者ですが 00:12:12.120 --> 00:12:15.176 この格好いい宇宙服を 作りました 00:12:15.200 --> 00:12:16.696 これは体を 包み込み 00:12:16.720 --> 00:12:19.330 放射線を防ぎ 保温します NOTE Paragraph 00:12:20.160 --> 00:12:22.056 考えてみましょう 00:12:22.080 --> 00:12:25.080 食料 住居 衣服 水 酸素･･･ 00:12:25.960 --> 00:12:27.160 実現可能です 00:12:27.600 --> 00:12:28.800 本当に 00:12:29.778 --> 00:12:33.198 それでもまだ 困難で不自由です NOTE Paragraph 00:12:33.800 --> 00:12:36.616 火星で快適な 生活をするための 00:12:36.640 --> 00:12:38.216 次なる１歩 00:12:38.240 --> 00:12:40.056 非常に大きな１歩となるのが 00:12:40.080 --> 00:12:42.350 テラフォーミングです 00:12:42.440 --> 00:12:44.456 惑星全体を作り替えて 00:12:44.480 --> 00:12:47.320 地球のようにするのです NOTE Paragraph 00:12:47.740 --> 00:12:50.396 これは思い上がったことに 聞こえるかもしれませんが 00:12:50.396 --> 00:12:53.496 私がお話しすることを実現する テクノロジーはすべて 00:12:53.496 --> 00:12:55.540 既に存在するのです NOTE Paragraph 00:12:56.200 --> 00:12:58.410 まず温めなければなりません 00:12:58.410 --> 00:13:03.096 火星は大気の薄さのせいで とても寒い場所です 00:13:03.120 --> 00:13:05.970 そのための鍵が ここにあります 00:13:05.970 --> 00:13:07.960 火星の両極は 00:13:07.960 --> 00:13:11.720 大量の凍った二酸化炭素で 覆われています 00:13:11.720 --> 00:13:13.416 つまりドライアイスです 00:13:13.440 --> 00:13:14.786 それを温めてやれば 00:13:14.786 --> 00:13:18.790 地球上でと同様 ドライアイスは直接大気へと昇華して 00:13:18.790 --> 00:13:20.216 大気が濃くなります NOTE Paragraph 00:13:20.240 --> 00:13:21.456 ご存じのように 00:13:21.480 --> 00:13:25.120 二酸化炭素には 高い温室効果があります 00:13:25.840 --> 00:13:28.060 私のお薦めの方法は 00:13:28.060 --> 00:13:32.200 非常に大きな太陽帆を上げて 00:13:32.200 --> 00:13:34.320 それを鏡のようにして 00:13:34.320 --> 00:13:37.176 焦点をまず南極に合わせます 00:13:37.200 --> 00:13:41.326 火星が自転するにつれ ドライアイス全体が温められて昇華し 00:13:41.326 --> 00:13:43.496 大気に放出されます 00:13:43.520 --> 00:13:45.726 火星の気温が 上がり始めるのに 00:13:45.726 --> 00:13:47.486 そう時間はかからず 00:13:47.486 --> 00:13:49.880 20年以内でしょう NOTE Paragraph 00:13:50.560 --> 00:13:51.680 現在では 00:13:51.680 --> 00:13:53.306 赤道上の場所で 00:13:53.306 --> 00:13:55.830 真夏の条件の良い日には 00:13:55.830 --> 00:13:58.376 気温が実際 20℃に達します 00:13:58.400 --> 00:14:00.816 夜には -70℃に 下がりますが NOTE Paragraph 00:14:00.840 --> 00:14:02.416 (笑) NOTE Paragraph 00:14:02.440 --> 00:14:06.430 ここで狙っているのは 温室効果の暴走です 00:14:06.660 --> 00:14:09.350 十分に温度が上昇すると 00:14:09.350 --> 00:14:13.330 火星の 特に地中にある氷が 溶け出します 00:14:13.860 --> 00:14:15.920 すると本当の魔法が起きます NOTE Paragraph 00:14:15.920 --> 00:14:19.176 大気が濃くなると すべて良い方に動き出します 00:14:19.200 --> 00:14:21.816 放射線から 保護されるようになり 00:14:21.840 --> 00:14:23.840 より暖かくなり 00:14:23.840 --> 00:14:26.656 暖かくなることで 水が流れるようになり 00:14:26.680 --> 00:14:28.680 耕作ができるようになります 00:14:28.920 --> 00:14:33.896 するとさらに 水が大気へと蒸発し 温室効果を強め 00:14:33.920 --> 00:14:37.830 火星に雨や雪が 降るようになります 00:14:38.160 --> 00:14:41.416 大気が濃くなると 十分な大気圧が生じ 00:14:41.440 --> 00:14:43.880 宇宙服を着なくとも 済むようになります 00:14:43.880 --> 00:14:47.516 人が生きる上で必要な大気圧は 1/3 気圧程度です 00:14:47.516 --> 00:14:53.000 最終的には 火星はカナダのブリティッシュ･ コロンビアのような場所になるでしょう NOTE Paragraph 00:14:53.790 --> 00:14:56.190 大気を呼吸可能な ものにするという 00:14:56.190 --> 00:14:58.546 難しい問題が残っていますが 00:14:58.546 --> 00:15:01.470 これには千年かかる かもしれません 00:15:01.800 --> 00:15:05.936 しかし人類は驚くほど賢く 極めて適応力があります NOTE Paragraph 00:15:05.960 --> 00:15:10.550 将来の技術で何が可能になるか 分かりません 00:15:10.550 --> 00:15:13.730 人間の体に どんなことが 可能になるか分かりません 00:15:13.750 --> 00:15:18.326 現在の生物学は様々なものを 制御可能にしつつあります 00:15:18.326 --> 00:15:21.350 我々自身の遺伝子も 00:15:21.350 --> 00:15:24.056 遺伝子が体内で していることも 00:15:24.080 --> 00:15:26.216 そして究極的には 00:15:26.240 --> 00:15:28.440 人類の進化までも 00:15:28.770 --> 00:15:32.536 いつか地球に住む人類と 火星に住む人類は 00:15:32.560 --> 00:15:36.600 若干異なったものに なるかもしれません NOTE Paragraph 00:15:37.820 --> 00:15:40.766 しかし火星で何をするのでしょう？ どうやって暮らすのか？ 00:15:40.766 --> 00:15:43.000 地球と変わらないでしょう 00:15:43.560 --> 00:15:45.816 レストランを始める人もいれば 00:15:45.840 --> 00:15:48.250 製鉄所を作る人もいるでしょう 00:15:48.610 --> 00:15:51.056 誰か火星のドキュメンタリーを作って 00:15:51.080 --> 00:15:52.940 地球で売るかもしれません 00:15:54.330 --> 00:15:57.916 どこかの馬鹿が リアリティTV番組さえ 始めるかもしれません NOTE Paragraph 00:15:57.916 --> 00:15:59.040 (笑) NOTE Paragraph 00:15:59.680 --> 00:16:01.936 ソフトウェア会社があり 00:16:01.960 --> 00:16:04.720 ホテルがあり 飲み屋があるでしょう NOTE Paragraph 00:16:05.760 --> 00:16:07.176 確かなのは 00:16:07.200 --> 00:16:11.416 それが我々の生きている時代において 最もインパクトのある出来事であり 00:16:11.440 --> 00:16:14.410 ものすごく刺激的なことだろう ということです NOTE Paragraph 00:16:14.680 --> 00:16:18.856 10歳の女の子に火星に行きたいか 聞いてご覧なさい 00:16:18.880 --> 00:16:23.620 今時の小学生は 火星に住むことを選ぶでしょう NOTE Paragraph 00:16:24.130 --> 00:16:27.180 人類が始めて月に降り立った時のことを 思い出してください 00:16:27.180 --> 00:16:30.020 その時 人々は顔を見合わせて 言ったものです 00:16:30.020 --> 00:16:33.620 ｢こんなことができるなら どんなことだってできる！｣ 00:16:33.640 --> 00:16:38.160 火星にコロニーが作られ始めた時 人々は何を思うでしょう？ NOTE Paragraph 00:16:38.920 --> 00:16:40.296 何より重要なのは 00:16:40.320 --> 00:16:43.696 それによって人類が 宇宙に広がる種になるということです 00:16:43.720 --> 00:16:49.176 それはつまり 地球に何が起ころうと 人類は生き続けるということです 00:16:49.200 --> 00:16:52.296 我々が最後の人類に なることはありません NOTE Paragraph 00:16:52.319 --> 00:16:53.536 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:16:53.560 --> 00:16:57.140 (拍手)