1 00:00:01,480 --> 00:00:03,376 シートベルトを締めてください 2 00:00:03,400 --> 00:00:05,376 これから火星に向かいます 3 00:00:05,400 --> 00:00:07,496 ひと握りの宇宙飛行士だけでなく 4 00:00:07,520 --> 00:00:10,656 何千という人々が火星に 植民することになるでしょう 5 00:00:10,680 --> 00:00:13,800 それも すぐに そうなります 6 00:00:14,330 --> 00:00:17,536 皆さんの中から火星のプロジェクトに 関わる人も出るだろうし 7 00:00:17,560 --> 00:00:21,240 お子さんが火星に住むことになる人も きっといるでしょう 8 00:00:21,760 --> 00:00:24,136 途方もない話に 聞こえるでしょうから 9 00:00:24,160 --> 00:00:27,350 それが いつどのように 起きるのか お話しします 10 00:00:27,760 --> 00:00:30,910 でも その前に当然の疑問について 考えましょう 11 00:00:30,910 --> 00:00:33,149 なぜ火星なんかに 行く必要があるのか? 12 00:00:33,420 --> 00:00:36,696 私は 12年前にTEDで 人類が突然滅亡しうる 13 00:00:36,696 --> 00:00:38,906 10の要因について 話しました 14 00:00:38,906 --> 00:00:43,150 私たちは宇宙の気まぐれに対して 極めて脆弱です 15 00:00:43,150 --> 00:00:47,276 たった1つの小惑星によって 人類は抹消されかねないのです 16 00:00:47,276 --> 00:00:50,576 生き延びるためには 地球の外に手を広げる必要があります 17 00:00:50,600 --> 00:00:54,566 人類の成し遂げてきたことが すべて 突然消失するとしたら 18 00:00:54,566 --> 00:00:56,180 何という悲劇でしょう 19 00:00:56,720 --> 00:00:58,736 行くべき理由は もう1つあります 20 00:00:58,760 --> 00:01:01,696 探検は我々のDNAに 刻み込まれているのです 21 00:01:01,720 --> 00:01:05,176 2百万年前 アフリカで 進化した人類は 22 00:01:05,200 --> 00:01:10,456 ゆっくりと しかし確実に 地平線の 彼方の荒野を目指しながら 23 00:01:10,456 --> 00:01:13,536 地球の隅々へと 広がって行きました 24 00:01:13,560 --> 00:01:15,660 我々の中に そういうものがあるんです 25 00:01:15,660 --> 00:01:17,900 そうやって 繁栄してきたのです 26 00:01:18,240 --> 00:01:21,520 文明や技術の 最も大きな進歩は 27 00:01:21,520 --> 00:01:24,390 探検したからこそ 生まれました 28 00:01:24,860 --> 00:01:27,916 確かに 火星に植民地を 築くほどの費用があれば 29 00:01:27,916 --> 00:01:30,280 多くのことが できるでしょう 30 00:01:30,690 --> 00:01:35,710 我々自身の惑星を もっと大切にすべきだ というのも もっともです 31 00:01:35,990 --> 00:01:41,470 地球を台無しにしたように 火星も台無しに してしまうのではという懸念もあります 32 00:01:42,120 --> 00:01:45,626 しかしジョン・F・ケネディが 人類を月に送ると言ったとき 33 00:01:45,626 --> 00:01:48,896 我々に何があったか ちょっと考えてみてください 34 00:01:48,920 --> 00:01:52,460 ケネディは すべての人に 夢を持たせました 35 00:01:52,970 --> 00:01:56,836 人類が火星に降り立つ姿は どんなに刺激的なことでしょう 36 00:01:56,836 --> 00:01:59,236 そして地球を振り返り 37 00:01:59,236 --> 00:02:02,716 今更ながら 人類は1つなんだと 38 00:02:02,716 --> 00:02:05,010 気付くかもしれません 39 00:02:05,010 --> 00:02:07,340 火星で生きようと もがく中で 40 00:02:07,340 --> 00:02:10,810 故郷の惑星がいかに貴重か 気付くかもしれません 41 00:02:11,520 --> 00:02:16,440 それでは 我々が乗り出そうとしている ものすごい冒険の話をしましょう 42 00:02:17,040 --> 00:02:18,140 でもその前に 43 00:02:18,140 --> 00:02:21,210 我々の向かう先の 興味深い事実をいくつか — 44 00:02:22,040 --> 00:02:26,350 この写真は 火星と地球の 大きさの比較をしたものです 45 00:02:26,350 --> 00:02:28,606 火星は地球の姉妹星 というわけではなく 46 00:02:28,606 --> 00:02:31,286 地球の半分の大きさも ありません 47 00:02:31,286 --> 00:02:33,176 しかし その小ささに かかわらず 48 00:02:33,200 --> 00:02:35,896 立つことのできる 表面の面積は 49 00:02:35,920 --> 00:02:38,650 地球と同じです 50 00:02:38,650 --> 00:02:42,700 地球の場合 かなりの部分が 水に覆われているからです 51 00:02:43,000 --> 00:02:45,190 火星の大気は とても薄く 52 00:02:45,190 --> 00:02:47,760 地球の100分の1しかなく 53 00:02:47,760 --> 00:02:52,180 96%が二酸化炭素なので 呼吸はできません 54 00:02:52,760 --> 00:02:54,376 とても寒く 55 00:02:54,400 --> 00:02:57,376 平均気温は -63℃ですが 56 00:02:57,400 --> 00:03:00,910 実際の温度は とても広い範囲に及びます 57 00:03:01,320 --> 00:03:03,010 火星の1日は 58 00:03:03,010 --> 00:03:05,840 地球の1日より 39分長く 59 00:03:06,440 --> 00:03:11,480 季節や1年は 地球の倍の長さがあります 60 00:03:11,860 --> 00:03:16,270 いつか翼を付けて飛び回りたいと 思っていたなら 61 00:03:16,270 --> 00:03:19,526 火星は地球よりずっと 重力が弱いです 62 00:03:19,526 --> 00:03:21,356 車の反対側に 行くときは 63 00:03:21,356 --> 00:03:23,980 周りを回るより 飛び越えた方が早いでしょう 64 00:03:23,980 --> 00:03:27,906 このように火星は地球そっくり というわけではありませんが 65 00:03:27,906 --> 00:03:32,910 太陽系の中の他の場所に比べたら ずっと住みやすい場所です 66 00:03:33,360 --> 00:03:34,730 問題は 67 00:03:34,730 --> 00:03:37,056 火星がとても遠く 68 00:03:37,080 --> 00:03:41,920 月より千倍も 離れていることです 69 00:03:42,560 --> 00:03:46,336 月は38万キロ 離れていて 70 00:03:46,360 --> 00:03:50,450 アポロの宇宙飛行士たちは 行くのに3日かかりました 71 00:03:50,720 --> 00:03:53,856 火星は4億キロ離れていて 72 00:03:53,880 --> 00:03:55,630 行くのに8ヶ月 73 00:03:55,630 --> 00:03:57,660 240日かかるでしょう 74 00:03:58,080 --> 00:04:00,480 これは2年に1度だけの 75 00:04:00,480 --> 00:04:02,190 特別な日時に 76 00:04:02,190 --> 00:04:04,416 ロケットを 打ち上げた場合で 77 00:04:04,440 --> 00:04:07,616 火星と地球が 上手く並んで 78 00:04:07,640 --> 00:04:11,560 飛行距離が 最短になります 79 00:04:12,420 --> 00:04:18,079 240日というのは 同僚と狭い船内に 押し込められて過ごすには 長い期間です 80 00:04:18,800 --> 00:04:22,856 これまでの火星ロケットの成績は 酷いものです 81 00:04:22,880 --> 00:04:25,696 アメリカ ロシア ヨーロッパ 日本 82 00:04:25,720 --> 00:04:27,056 中国 インドが 83 00:04:27,080 --> 00:04:30,186 44のロケットを火星に向け 打ち上げてきましたが 84 00:04:30,186 --> 00:04:33,216 過半数が外れたり 激突したりで 85 00:04:33,240 --> 00:04:37,170 成功したミッションは 1/3 しかありません 86 00:04:37,760 --> 00:04:42,380 加えて 現在我々には 火星に行けるほど 大きなロケットがありません 87 00:04:42,940 --> 00:04:44,806 かつてはサターンVがありました 88 00:04:44,806 --> 00:04:47,816 それが2台もあれば 火星に行けたでしょう 89 00:04:47,840 --> 00:04:51,270 サターンVは人類が作った 最も壮大な機械であり 90 00:04:51,270 --> 00:04:53,900 月へと連れて行ってくれました 91 00:04:53,900 --> 00:04:59,136 しかしサターンVが使われたのは 1973年のスライラブ打ち上げが最後で 92 00:04:59,160 --> 00:05:02,386 月着陸の次に 火星へと向かうかわりに 93 00:05:02,386 --> 00:05:05,920 シャトルというのを やることになりました 94 00:05:06,460 --> 00:05:08,136 今あるロケットは 95 00:05:08,160 --> 00:05:11,490 火星に人間を送るには 小さすぎるのです 96 00:05:12,060 --> 00:05:15,216 火星に行くのは 簡単なことではありません 97 00:05:15,240 --> 00:05:18,400 興味深い疑問は — 98 00:05:19,370 --> 00:05:24,080 火星に最初の人間が降り立つのは いつ頃になるのかということです 99 00:05:25,160 --> 00:05:28,850 学者の中には 2050年までに行ければ 100 00:05:28,850 --> 00:05:31,730 大したものだと 考える人もいます 101 00:05:31,730 --> 00:05:38,170 最近では NASAは2040年までに 人間を火星に送れるだろうと言っているようです 102 00:05:38,200 --> 00:05:39,820 できるかもしれません 103 00:05:40,450 --> 00:05:45,696 私自身は2035年までにNASAは 人間を火星軌道に送れると思っていますが 104 00:05:45,720 --> 00:05:46,960 率直に言って 105 00:05:46,960 --> 00:05:51,180 2035年に火星にロケットを送ろう などとはしないでしょう 106 00:05:51,180 --> 00:05:54,086 その時にはもう 人類は 火星にいるからです 107 00:05:54,086 --> 00:05:56,900 2027年には 降り立っているでしょう 108 00:05:58,150 --> 00:05:59,360 その理由は 109 00:05:59,360 --> 00:06:01,576 この男がそうすると 心に決めているからです 110 00:06:01,600 --> 00:06:07,080 彼の名はイーロン・マスク テスラ・モーターズとSpaceXのCEOです 111 00:06:07,920 --> 00:06:12,976 彼は実際 2025年までに 人間を火星に送ると私に言いましたが 112 00:06:13,000 --> 00:06:15,120 イーロンは私よりも 113 00:06:15,120 --> 00:06:17,416 かなり楽観的なので 114 00:06:17,440 --> 00:06:20,440 2年ほど余裕を 持たせました 115 00:06:20,960 --> 00:06:22,140 それでも 116 00:06:22,140 --> 00:06:23,736 問う必要があるでしょう 117 00:06:23,760 --> 00:06:28,100 この男は本当に2025年か2027年までに 成し遂げられるのか? 118 00:06:28,760 --> 00:06:32,790 イーロン・マスクにとっての10年が どんなものか 考えてみましょう 119 00:06:33,070 --> 00:06:35,290 これは10年前 どんなだったでしょう? 120 00:06:35,290 --> 00:06:37,616 テスラの電気自動車です 121 00:06:37,640 --> 00:06:41,030 2005年には 自動車業界の人の多くは 122 00:06:41,030 --> 00:06:45,270 まともな電気自動車ができるまでに 50年はかかると言っていました 123 00:06:48,130 --> 00:06:49,860 これはどうでしょう? 124 00:06:50,120 --> 00:06:53,140 SpaceXのファルコン9ロケットが 125 00:06:53,140 --> 00:06:57,696 国際宇宙ステーションへの6トンの補給物資を 打ち上げているところです 126 00:06:57,720 --> 00:06:58,936 10年前には 127 00:06:58,960 --> 00:07:03,710 SpaceXは どんなロケットも 打ち上げてはいませんでした 128 00:07:04,600 --> 00:07:06,760 だから 十分見込みは あると思います 129 00:07:06,760 --> 00:07:11,540 10年未満で 自動車業界に 革命を起こし 130 00:07:11,540 --> 00:07:15,496 10年未満で ロケット会社を 丸々作り上げた人間なら 131 00:07:15,496 --> 00:07:18,430 2027年までに人類を 火星に連れて行っても 132 00:07:18,430 --> 00:07:20,120 おかしくありません 133 00:07:20,760 --> 00:07:23,736 ここで押さえておかなければ ならないのは 134 00:07:23,760 --> 00:07:27,910 この競争を動かしているのは もはや 政府でもロボットでもないということです 135 00:07:27,920 --> 00:07:30,416 民間企業が宇宙に乗り出し 136 00:07:30,440 --> 00:07:33,460 皆さんを喜んで 火星へと連れて行くでしょう 137 00:07:33,800 --> 00:07:36,990 これは大きな疑問を 提起します 138 00:07:37,180 --> 00:07:39,810 我々は実際 火星で生きられるのか? 139 00:07:40,680 --> 00:07:44,530 NASAは 2040年まで 火星に人間を連れて行けず 140 00:07:44,530 --> 00:07:47,566 民間がずっと早く火星に 到達するとしても 141 00:07:47,566 --> 00:07:52,500 人間が火星で生きられるか調べる上で NASAは大きな役割を果たしています 142 00:07:52,500 --> 00:07:54,600 問題をこのように 見てみましょう 143 00:07:54,600 --> 00:07:56,966 人間が地球上で 生きるのに必要なのは 144 00:07:56,966 --> 00:08:00,216 食料 水 住居 衣服です 145 00:08:00,240 --> 00:08:02,450 そして火星で 生きる上では 146 00:08:02,450 --> 00:08:05,200 これに加えて 酸素が必要です 147 00:08:06,160 --> 00:08:10,256 このリストで最も重要なものについて まず考えてみましょう 148 00:08:10,280 --> 00:08:13,296 水は 既知のすべての生命の 基礎となるものですが 149 00:08:13,320 --> 00:08:17,896 火星で必要となる分を 地球から運ぶには重すぎます 150 00:08:17,920 --> 00:08:22,558 火星で生活しようと思うなら 水を見つける必要があります 151 00:08:23,840 --> 00:08:26,336 火星を見ると まったく乾燥していて 152 00:08:26,360 --> 00:08:29,176 惑星全体が 砂漠のようです 153 00:08:29,200 --> 00:08:31,216 でも そうでないことが 分かっています 154 00:08:31,240 --> 00:08:36,456 土壌だけを取っても 多いと60%も水を含んでいます 155 00:08:36,480 --> 00:08:40,850 今も火星軌道を回っている軌道船が いくつもありますが 156 00:08:40,850 --> 00:08:43,976 それが示しているのは — これは本物の写真ですが 157 00:08:44,000 --> 00:08:48,136 火星のクレーターには 凍った水が たくさんあるということです 158 00:08:48,160 --> 00:08:50,820 そこにコロニーを作り始めるのも 悪くないでしょう 159 00:08:51,855 --> 00:08:56,266 これはフェニックス探査機が2008年に 地面を掘った時の様子ですが 160 00:08:56,266 --> 00:08:59,576 土壌表面のすぐ下に 氷があることを示しています 161 00:08:59,600 --> 00:09:01,750 白いのは氷です 162 00:09:01,750 --> 00:09:03,306 2枚目の写真は 163 00:09:03,306 --> 00:09:05,416 1枚目の4日後に 撮ったものですが 164 00:09:05,440 --> 00:09:07,760 一部蒸発しているのが 分かります 165 00:09:08,040 --> 00:09:09,416 軌道船はまた 166 00:09:09,440 --> 00:09:13,196 火星には大量の地下水や 氷河があることも 167 00:09:13,196 --> 00:09:14,936 教えてくれます 168 00:09:14,960 --> 00:09:19,120 実際 極地の氷が 溶けただけで 169 00:09:19,120 --> 00:09:22,740 火星の大部分が 10mの水に覆われるでしょう 170 00:09:22,740 --> 00:09:25,056 だから水は大量に 存在しますが 171 00:09:25,080 --> 00:09:27,616 大部分は氷として 地下にあり 172 00:09:27,640 --> 00:09:31,330 取り出すためには多くの エネルギーと労力が必要になります 173 00:09:32,040 --> 00:09:34,130 この装置は 1998年に 174 00:09:34,130 --> 00:09:36,430 ワシントン大学で 考案されたものです 175 00:09:36,840 --> 00:09:39,896 これは基本的には ローテクな除湿器です 176 00:09:39,920 --> 00:09:44,086 火星大気は時に湿度が 100%にもなることが分かりました 177 00:09:44,086 --> 00:09:48,100 この装置は人間が 必要とする水を 178 00:09:48,100 --> 00:09:51,110 火星大気から 抽出しようというわけです 179 00:09:51,890 --> 00:09:55,020 次に何を呼吸するか 心配する必要がありますが 180 00:09:55,020 --> 00:09:58,076 NASAがこの問題を 解決済みであることを知って 181 00:09:58,076 --> 00:09:59,640 とても驚きました 182 00:10:00,280 --> 00:10:03,560 これはMITの科学者 マイケル・ヘクトです 183 00:10:03,930 --> 00:10:06,616 彼はこのMoxieという 装置を開発しました 184 00:10:06,640 --> 00:10:07,856 私のお気に入りです 185 00:10:07,880 --> 00:10:10,456 いわば逆燃料電池で 186 00:10:10,480 --> 00:10:14,140 火星の大気を取り込んで 酸素を吐き出します 187 00:10:14,140 --> 00:10:17,936 火星の大気は96%が 二酸化炭素だということを 188 00:10:17,936 --> 00:10:19,830 思い出してください 189 00:10:19,830 --> 00:10:23,620 そして二酸化炭素の78%を 構成しているのが酸素です 190 00:10:23,920 --> 00:10:28,256 NASAが次回火星にローバーを送るのは 2020年ですが 191 00:10:28,280 --> 00:10:30,496 この装置が搭載される予定で 192 00:10:30,520 --> 00:10:32,980 人間1人分の酸素を 193 00:10:32,980 --> 00:10:35,936 ずっと生成し続ける ことができます 194 00:10:35,960 --> 00:10:38,286 しかし それも テストに過ぎず 195 00:10:38,286 --> 00:10:40,896 この装置の すごいところは 196 00:10:40,896 --> 00:10:43,766 100倍の規模まで 拡張できるよう 197 00:10:43,766 --> 00:10:46,340 デザインされていることです 198 00:10:46,610 --> 00:10:49,056 次の問題は何を食べるか ということです 199 00:10:49,080 --> 00:10:52,326 水耕法で農作物を育てる ことになりますが 200 00:10:52,326 --> 00:10:54,376 火星表面を水が流れ 201 00:10:54,376 --> 00:10:56,746 耕作できるようになるまでは 202 00:10:56,746 --> 00:11:00,266 15〜20%より多くの食料を 203 00:11:00,266 --> 00:11:03,920 まかなうことは できないでしょう 204 00:11:04,680 --> 00:11:05,490 それまでは 205 00:11:05,490 --> 00:11:07,270 食料の大部分は 地球から 206 00:11:07,270 --> 00:11:09,850 乾燥した形で 送られることになります 207 00:11:10,480 --> 00:11:12,840 次に住む場所です 208 00:11:12,990 --> 00:11:16,736 はじめは 空気で膨らませた建物や 209 00:11:16,760 --> 00:11:19,016 着陸船を使うことに なるでしょう 210 00:11:19,040 --> 00:11:22,016 しかしこれは 日中だけです 211 00:11:22,040 --> 00:11:26,850 太陽や宇宙線による 放射線が強すぎるので 212 00:11:26,850 --> 00:11:29,336 地下に潜る必要があります 213 00:11:29,360 --> 00:11:31,690 火星の土壌は概して 214 00:11:31,690 --> 00:11:35,056 レンガを作るのに適している ことが分かりました 215 00:11:35,080 --> 00:11:37,296 これもまたNASAが 解明したことです 216 00:11:37,320 --> 00:11:40,176 そのレンガにプラスチックを加え 217 00:11:40,200 --> 00:11:41,976 電子レンジにかけると 218 00:11:42,000 --> 00:11:45,256 厚い壁の建物を 作れるようになります 219 00:11:45,280 --> 00:11:48,190 あるいは地下に沢山存在する 220 00:11:48,190 --> 00:11:52,560 洞窟や溶岩洞に 住むこともできます 221 00:11:54,040 --> 00:11:55,860 最後に何を着るかです 222 00:11:55,900 --> 00:11:59,120 地球では頭上に 何キロも層をなす大気が 223 00:11:59,120 --> 00:12:02,580 常に私たちの体に 1気圧の圧力をかけていて 224 00:12:02,580 --> 00:12:04,823 体はそれを押し返しています 225 00:12:04,847 --> 00:12:08,147 火星では大気圧が ほとんどありません 226 00:12:08,510 --> 00:12:10,210 ダバ・ニューマンは 227 00:12:10,210 --> 00:12:12,096 MITの科学者ですが 228 00:12:12,120 --> 00:12:15,176 この格好いい宇宙服を 作りました 229 00:12:15,200 --> 00:12:16,696 これは体を 包み込み 230 00:12:16,720 --> 00:12:19,330 放射線を防ぎ 保温します 231 00:12:20,160 --> 00:12:22,056 考えてみましょう 232 00:12:22,080 --> 00:12:25,080 食料 住居 衣服 水 酸素・・・ 233 00:12:25,960 --> 00:12:27,160 実現可能です 234 00:12:27,600 --> 00:12:28,800 本当に 235 00:12:29,778 --> 00:12:33,198 それでもまだ 困難で不自由です 236 00:12:33,800 --> 00:12:36,616 火星で快適な 生活をするための 237 00:12:36,640 --> 00:12:38,216 次なる1歩 238 00:12:38,240 --> 00:12:40,056 非常に大きな1歩となるのが 239 00:12:40,080 --> 00:12:42,350 テラフォーミングです 240 00:12:42,440 --> 00:12:44,456 惑星全体を作り替えて 241 00:12:44,480 --> 00:12:47,320 地球のようにするのです 242 00:12:47,740 --> 00:12:50,396 これは思い上がったことに 聞こえるかもしれませんが 243 00:12:50,396 --> 00:12:53,496 私がお話しすることを実現する テクノロジーはすべて 244 00:12:53,496 --> 00:12:55,540 既に存在するのです 245 00:12:56,200 --> 00:12:58,410 まず温めなければなりません 246 00:12:58,410 --> 00:13:03,096 火星は大気の薄さのせいで とても寒い場所です 247 00:13:03,120 --> 00:13:05,970 そのための鍵が ここにあります 248 00:13:05,970 --> 00:13:07,960 火星の両極は 249 00:13:07,960 --> 00:13:11,720 大量の凍った二酸化炭素で 覆われています 250 00:13:11,720 --> 00:13:13,416 つまりドライアイスです 251 00:13:13,440 --> 00:13:14,786 それを温めてやれば 252 00:13:14,786 --> 00:13:18,790 地球上でと同様 ドライアイスは直接大気へと昇華して 253 00:13:18,790 --> 00:13:20,216 大気が濃くなります 254 00:13:20,240 --> 00:13:21,456 ご存じのように 255 00:13:21,480 --> 00:13:25,120 二酸化炭素には 高い温室効果があります 256 00:13:25,840 --> 00:13:28,060 私のお薦めの方法は 257 00:13:28,060 --> 00:13:32,200 非常に大きな太陽帆を上げて 258 00:13:32,200 --> 00:13:34,320 それを鏡のようにして 259 00:13:34,320 --> 00:13:37,176 焦点をまず南極に合わせます 260 00:13:37,200 --> 00:13:41,326 火星が自転するにつれ ドライアイス全体が温められて昇華し 261 00:13:41,326 --> 00:13:43,496 大気に放出されます 262 00:13:43,520 --> 00:13:45,726 火星の気温が 上がり始めるのに 263 00:13:45,726 --> 00:13:47,486 そう時間はかからず 264 00:13:47,486 --> 00:13:49,880 20年以内でしょう 265 00:13:50,560 --> 00:13:51,680 現在では 266 00:13:51,680 --> 00:13:53,306 赤道上の場所で 267 00:13:53,306 --> 00:13:55,830 真夏の条件の良い日には 268 00:13:55,830 --> 00:13:58,376 気温が実際 20℃に達します 269 00:13:58,400 --> 00:14:00,816 夜には -70℃に 下がりますが 270 00:14:00,840 --> 00:14:02,416 (笑) 271 00:14:02,440 --> 00:14:06,430 ここで狙っているのは 温室効果の暴走です 272 00:14:06,660 --> 00:14:09,350 十分に温度が上昇すると 273 00:14:09,350 --> 00:14:13,330 火星の 特に地中にある氷が 溶け出します 274 00:14:13,860 --> 00:14:15,920 すると本当の魔法が起きます 275 00:14:15,920 --> 00:14:19,176 大気が濃くなると すべて良い方に動き出します 276 00:14:19,200 --> 00:14:21,816 放射線から 保護されるようになり 277 00:14:21,840 --> 00:14:23,840 より暖かくなり 278 00:14:23,840 --> 00:14:26,656 暖かくなることで 水が流れるようになり 279 00:14:26,680 --> 00:14:28,680 耕作ができるようになります 280 00:14:28,920 --> 00:14:33,896 するとさらに 水が大気へと蒸発し 温室効果を強め 281 00:14:33,920 --> 00:14:37,830 火星に雨や雪が 降るようになります 282 00:14:38,160 --> 00:14:41,416 大気が濃くなると 十分な大気圧が生じ 283 00:14:41,440 --> 00:14:43,880 宇宙服を着なくとも 済むようになります 284 00:14:43,880 --> 00:14:47,516 人が生きる上で必要な大気圧は 1/3 気圧程度です 285 00:14:47,516 --> 00:14:53,000 最終的には 火星はカナダのブリティッシュ・ コロンビアのような場所になるでしょう 286 00:14:53,790 --> 00:14:56,190 大気を呼吸可能な ものにするという 287 00:14:56,190 --> 00:14:58,546 難しい問題が残っていますが 288 00:14:58,546 --> 00:15:01,470 これには千年かかる かもしれません 289 00:15:01,800 --> 00:15:05,936 しかし人類は驚くほど賢く 極めて適応力があります 290 00:15:05,960 --> 00:15:10,550 将来の技術で何が可能になるか 分かりません 291 00:15:10,550 --> 00:15:13,730 人間の体に どんなことが 可能になるか分かりません 292 00:15:13,750 --> 00:15:18,326 現在の生物学は様々なものを 制御可能にしつつあります 293 00:15:18,326 --> 00:15:21,350 我々自身の遺伝子も 294 00:15:21,350 --> 00:15:24,056 遺伝子が体内で していることも 295 00:15:24,080 --> 00:15:26,216 そして究極的には 296 00:15:26,240 --> 00:15:28,440 人類の進化までも 297 00:15:28,770 --> 00:15:32,536 いつか地球に住む人類と 火星に住む人類は 298 00:15:32,560 --> 00:15:36,600 若干異なったものに なるかもしれません 299 00:15:37,820 --> 00:15:40,766 しかし火星で何をするのでしょう? どうやって暮らすのか? 300 00:15:40,766 --> 00:15:43,000 地球と変わらないでしょう 301 00:15:43,560 --> 00:15:45,816 レストランを始める人もいれば 302 00:15:45,840 --> 00:15:48,250 製鉄所を作る人もいるでしょう 303 00:15:48,610 --> 00:15:51,056 誰か火星のドキュメンタリーを作って 304 00:15:51,080 --> 00:15:52,940 地球で売るかもしれません 305 00:15:54,330 --> 00:15:57,916 どこかの馬鹿が リアリティTV番組さえ 始めるかもしれません 306 00:15:57,916 --> 00:15:59,040 (笑) 307 00:15:59,680 --> 00:16:01,936 ソフトウェア会社があり 308 00:16:01,960 --> 00:16:04,720 ホテルがあり 飲み屋があるでしょう 309 00:16:05,760 --> 00:16:07,176 確かなのは 310 00:16:07,200 --> 00:16:11,416 それが我々の生きている時代において 最もインパクトのある出来事であり 311 00:16:11,440 --> 00:16:14,410 ものすごく刺激的なことだろう ということです 312 00:16:14,680 --> 00:16:18,856 10歳の女の子に火星に行きたいか 聞いてご覧なさい 313 00:16:18,880 --> 00:16:23,620 今時の小学生は 火星に住むことを選ぶでしょう 314 00:16:24,130 --> 00:16:27,180 人類が始めて月に降り立った時のことを 思い出してください 315 00:16:27,180 --> 00:16:30,020 その時 人々は顔を見合わせて 言ったものです 316 00:16:30,020 --> 00:16:33,620 「こんなことができるなら どんなことだってできる!」 317 00:16:33,640 --> 00:16:38,160 火星にコロニーが作られ始めた時 人々は何を思うでしょう? 318 00:16:38,920 --> 00:16:40,296 何より重要なのは 319 00:16:40,320 --> 00:16:43,696 それによって人類が 宇宙に広がる種になるということです 320 00:16:43,720 --> 00:16:49,176 それはつまり 地球に何が起ころうと 人類は生き続けるということです 321 00:16:49,200 --> 00:16:52,296 我々が最後の人類に なることはありません 322 00:16:52,319 --> 00:16:53,536 ありがとうございました 323 00:16:53,560 --> 00:16:57,140 (拍手)