WEBVTT 00:00:01.443 --> 00:00:04.207 かつて哲学者プラトンは 言いました 00:00:04.231 --> 00:00:06.944 「音楽は 宇宙には魂を 00:00:06.944 --> 00:00:08.522 心には翼を 00:00:08.522 --> 00:00:10.498 想像力には飛翔を与え 00:00:10.498 --> 00:00:12.776 すべてのものに 命を与える」と 00:00:13.793 --> 00:00:16.211 音楽はずっと私の人生の 大きな部分を占めてきました 00:00:16.211 --> 00:00:18.409 音楽を作り 演奏することは 00:00:18.409 --> 00:00:21.524 国や時を超えて 人を結びつけます 00:00:21.657 --> 00:00:24.004 一緒に演奏する人たちと 00:00:24.004 --> 00:00:25.306 聞いている人たちと 00:00:25.306 --> 00:00:27.082 自分自身と 結びつけるのです 00:00:27.082 --> 00:00:29.283 楽しいとき 悲しいとき 00:00:29.307 --> 00:00:31.507 退屈なとき ストレスを感じるとき 00:00:31.531 --> 00:00:34.381 私は音楽を聴き 曲を作ります NOTE Paragraph 00:00:35.596 --> 00:00:37.851 子供の頃にピアノを始め 00:00:37.851 --> 00:00:39.488 後にギターを 弾くようになりました 00:00:39.488 --> 00:00:41.109 高校生になると 00:00:41.109 --> 00:00:43.509 音楽は私のアイデンティティの 一部となりました 00:00:43.509 --> 00:00:45.196 バンドというバンドに加わり 00:00:45.196 --> 00:00:48.028 音楽のイベントには みんな参加しました 00:00:48.028 --> 00:00:49.605 私は音楽に囲まれていました 00:00:49.605 --> 00:00:50.908 音楽が私を形作り 00:00:50.908 --> 00:00:53.408 居場所を与えてくれたのです NOTE Paragraph 00:00:54.536 --> 00:00:56.803 私はリズムというものに ずっと惹かれていました 00:00:56.803 --> 00:00:57.910 小さな頃 00:00:57.910 --> 00:00:59.728 学校の廊下を歩きながら 00:00:59.728 --> 00:01:01.712 よくリズムを 取っていたものです 00:01:01.712 --> 00:01:05.402 脚を手で叩いたり 歯を鳴らしたりして 00:01:05.684 --> 00:01:06.987 神経質な癖ですけど 00:01:06.987 --> 00:01:08.760 私はいつも神経質だったんです 00:01:08.760 --> 00:01:11.216 リズムの繰り返しが 好きだったんだと思います 00:01:11.216 --> 00:01:12.910 落ち着いたんです NOTE Paragraph 00:01:13.877 --> 00:01:15.107 それから高校の授業で 00:01:15.131 --> 00:01:16.644 音楽理論を習い始めましたが 00:01:16.668 --> 00:01:18.898 それは私にとって 最高の授業でした 00:01:18.922 --> 00:01:21.386 音楽について 知らなかったことを色々学びました 00:01:21.386 --> 00:01:23.539 理論とか 歴史とか 00:01:23.766 --> 00:01:26.920 その授業では基本的には ただ曲を聴き 00:01:26.920 --> 00:01:28.682 その意味について議論し 00:01:28.682 --> 00:01:30.052 分析し 00:01:30.052 --> 00:01:33.318 その何が心を動かすのかを 解き明かしました 00:01:33.650 --> 00:01:36.554 毎週水曜日に 「リズム聴音」というのがあって 00:01:36.554 --> 00:01:38.051 私はすごく得意でした 00:01:38.921 --> 00:01:40.861 先生が小節数と 00:01:40.861 --> 00:01:42.528 拍子記号を示して 00:01:42.528 --> 00:01:44.366 リズムを口にします 00:01:44.366 --> 00:01:48.252 それを私たちが 音符と休止符を使って 書き取るんです 00:01:48.412 --> 00:01:49.943 こんな感じです 00:01:50.542 --> 00:01:52.933 ター ター タカタカター 00:01:52.933 --> 00:01:55.836 ター タカタカタカー タカ 00:01:56.672 --> 00:01:58.091 それが大好きでした 00:01:58.091 --> 00:01:59.603 リズムのシンプルさ 00:01:59.603 --> 00:02:02.111 簡単な2〜4小節のものでありながら 00:02:02.111 --> 00:02:05.119 それぞれが物語を 語っているようで 00:02:05.527 --> 00:02:08.224 すごく大きな可能性があって 00:02:09.080 --> 00:02:13.124 あとやるべきなのは メロディを加えることだけです NOTE Paragraph 00:02:13.410 --> 00:02:16.732 (ギター演奏) NOTE Paragraph 00:02:21.458 --> 00:02:26.007 リズムが作る基礎の上で メロディやハーモニーが戯れます 00:02:26.007 --> 00:02:28.625 リズムが構造と安定性を 与えるのです 00:02:29.400 --> 00:02:30.574 音楽には 00:02:30.574 --> 00:02:33.233 リズムと メロディと ハーモニーがあって 00:02:33.233 --> 00:02:35.194 まるで私たちの人生のよう 00:02:35.552 --> 00:02:37.562 音楽のリズムにあたるのは 00:02:37.562 --> 00:02:39.790 日課や習慣です 00:02:39.790 --> 00:02:41.799 すべきことを思い出させ 00:02:41.799 --> 00:02:45.398 物事が順調に進むようにします 00:02:46.120 --> 00:02:47.819 気付かないかもしれませんが 00:02:47.819 --> 00:02:50.182 それはいつでも そこにあるのです NOTE Paragraph 00:02:50.666 --> 00:02:52.999 (ギター演奏) NOTE Paragraph 00:02:52.999 --> 00:02:54.740 それ自体はシンプルで 00:02:54.740 --> 00:02:57.987 退屈に見えるかもしれませんが 00:02:58.497 --> 00:03:02.521 それがテンポと拍を 与えてくれるんです 00:03:03.623 --> 00:03:06.206 それから その上にくる 人生の物事があって 00:03:06.206 --> 00:03:07.861 風合いを加えます 00:03:07.896 --> 00:03:09.659 友達であったり 家族であったり 00:03:09.683 --> 00:03:12.083 自分の人生や歌に 00:03:12.083 --> 00:03:14.752 調和した構造を作り出すもの 00:03:14.752 --> 00:03:16.558 ハーモニー 00:03:16.558 --> 00:03:17.619 カデンツ 00:03:17.619 --> 00:03:20.395 何であれ多声的にするもの 00:03:22.268 --> 00:03:24.925 それが美しい和音や パターンを生み出します NOTE Paragraph 00:03:24.925 --> 00:03:26.374 (ギター演奏) NOTE Paragraph 00:03:27.354 --> 00:03:28.943 それから自分がきます 00:03:29.401 --> 00:03:31.651 すべての上で奏でるんです 00:03:33.211 --> 00:03:36.615 リズムやビートの上で— 00:03:37.859 --> 00:03:39.738 自分というのはメロディだから 00:03:41.094 --> 00:03:44.655 物事は変化し 展開するかもしれませんが 00:03:45.166 --> 00:03:46.760 どんなことをしようとも 00:03:46.760 --> 00:03:48.888 自分というのは 同じ人間なんです 00:03:50.000 --> 00:03:52.291 曲を通して メロディが展開していっても 00:03:52.315 --> 00:03:54.625 ずっと同じ曲であり続けるように 00:03:55.143 --> 00:03:56.781 何をしようとも 00:03:56.781 --> 00:03:58.987 リズムはずっとそこにあるんです 00:03:59.011 --> 00:04:02.137 テンポに 拍 00:04:04.139 --> 00:04:06.080 去ってしまうまでは 00:04:07.075 --> 00:04:08.498 大学に行くと 00:04:08.498 --> 00:04:10.541 すべて消えてしまいました NOTE Paragraph 00:04:12.481 --> 00:04:14.624 最初に大学に行ったとき 00:04:14.624 --> 00:04:16.624 迷子になったように感じました 00:04:16.624 --> 00:04:19.744 時には楽しいこともあり 素晴らしかったんですが 00:04:19.767 --> 00:04:21.448 そうでないときには 00:04:22.821 --> 00:04:25.363 取り残されたように感じました 00:04:25.880 --> 00:04:28.147 自力でどうにか やっていくようにと 00:04:28.603 --> 00:04:31.301 自分にとって自然な環境から 連れ出され 00:04:31.301 --> 00:04:32.620 何か新しい 00:04:32.620 --> 00:04:35.436 リズムもハーモニーも 00:04:35.436 --> 00:04:38.773 形式もない場所で 00:04:39.508 --> 00:04:40.961 ただひとり NOTE Paragraph 00:04:40.961 --> 00:04:42.310 (ギター演奏) NOTE Paragraph 00:04:42.310 --> 00:04:45.183 沈黙と 自分のメロディがあるだけ 00:04:47.930 --> 00:04:50.349 それさえも揺らぎ始めました 00:04:50.349 --> 00:04:53.024 自分で何をやっているのか 分からなかったから 00:04:53.024 --> 00:04:55.800 自分に構造を与える和音も 00:04:56.309 --> 00:04:57.937 テンポを知るための 00:04:57.950 --> 00:05:00.157 リズムやビートも持たずに NOTE Paragraph 00:05:00.157 --> 00:05:03.395 (ギター演奏) NOTE Paragraph 00:05:03.395 --> 00:05:05.987 それから他の音を 聞くようになりました NOTE Paragraph 00:05:05.987 --> 00:05:07.317 (ギター演奏) NOTE Paragraph 00:05:07.670 --> 00:05:09.479 タイミングも 00:05:10.729 --> 00:05:12.474 音程も狂っていて 00:05:14.794 --> 00:05:16.662 そこに長くいるほど 00:05:17.686 --> 00:05:21.369 自分のメロディが 自分のでないように聞こえました 00:05:24.140 --> 00:05:26.897 そして ゆっくりと 自分を失っていきました 00:05:28.375 --> 00:05:30.307 洗い流されるように 00:05:33.064 --> 00:05:34.655 でも次の瞬間— NOTE Paragraph 00:05:34.655 --> 00:05:36.595 (ギター演奏) NOTE Paragraph 00:05:36.595 --> 00:05:38.208 聞こえたんです 00:05:39.634 --> 00:05:41.465 感じることができたんです 00:05:43.250 --> 00:05:44.652 それは私でした 00:05:45.464 --> 00:05:46.960 私がそこにいたんです 00:05:47.735 --> 00:05:49.539 違ってはいても 00:05:50.749 --> 00:05:52.714 悪くなっていたわけではなく 00:05:54.288 --> 00:05:57.105 ただ少し変わっていました NOTE Paragraph 00:05:59.376 --> 00:06:03.221 音楽は私が人生の変化と 折り合う方法です 00:06:04.288 --> 00:06:07.497 音楽と人生の間には 美しい繋がりがあります 00:06:07.497 --> 00:06:08.853 現実と繋げると同時に 00:06:08.853 --> 00:06:11.209 現実から逃れられるようにも してくれます 00:06:11.233 --> 00:06:13.727 音楽は自分の中に 生きているものです 00:06:13.727 --> 00:06:16.897 自分が音楽を作り 音楽が自分を作るのです 00:06:17.627 --> 00:06:20.733 人生は音楽に 導かれるだけでなく 00:06:20.733 --> 00:06:23.014 音楽で作られもするんです NOTE Paragraph 00:06:23.428 --> 00:06:25.640 ちょっと話を広げすぎに 聞こえるかもしれませんが 00:06:25.664 --> 00:06:27.351 どうか最後まで聞いてください 00:06:27.351 --> 00:06:29.229 音楽は私たち自身と 00:06:29.229 --> 00:06:32.892 私たちの周りのものすべての 基本をなすものなんです 00:06:33.216 --> 00:06:34.796 私は音楽に夢中ですが 00:06:34.796 --> 00:06:37.387 物理にも興味がありました 00:06:37.649 --> 00:06:38.806 学べば学ぶほど 00:06:38.830 --> 00:06:41.499 音楽と物理に 繋がりがあるのが分かりました 00:06:41.598 --> 00:06:43.739 とくに超弦理論には 00:06:45.125 --> 00:06:47.967 これは沢山ある理論の 1つに過ぎませんが 00:06:47.967 --> 00:06:49.993 私に訴えるものがあったんです 00:06:50.331 --> 00:06:55.141 超弦理論というのは すごく単純に言うと こうです 00:06:55.141 --> 00:06:57.337 物質を作っているのは 原子であり 00:06:57.361 --> 00:07:00.483 原子を作っているのは 陽子と中性子と電子で 00:07:00.483 --> 00:07:02.329 それを作っているのがクォーク 00:07:02.353 --> 00:07:04.330 変わっているのはその先です 00:07:04.330 --> 00:07:08.361 このクォークというのは 小さな螺旋状の弦からできていて 00:07:08.636 --> 00:07:13.174 その弦の振動によって すべてのものは決まっているのです NOTE Paragraph 00:07:13.641 --> 00:07:16.622 ミチオ・カクが 「宇宙入門」の講義の中で 00:07:16.622 --> 00:07:18.202 解説しています 00:07:18.202 --> 00:07:19.877 彼によれば 00:07:20.444 --> 00:07:22.744 「超弦理論のアイデアは シンプルで 00:07:22.768 --> 00:07:24.796 宇宙の4つの力である 00:07:24.820 --> 00:07:28.870 重力 電磁気力と 2つの核力は 00:07:28.870 --> 00:07:30.889 音楽と見なせる というものです 00:07:30.889 --> 00:07:34.084 小さなゴム紐が 奏でる音楽です」 00:07:34.514 --> 00:07:36.613 彼はさらに こう説明しています 00:07:36.613 --> 00:07:39.156 物理は弦の間の ハーモニーの法則であり 00:07:39.156 --> 00:07:42.653 化学は弦の上で奏でられる メロディであり 00:07:43.025 --> 00:07:47.548 宇宙は「弦のシンフォニー」なのだと 00:07:49.269 --> 00:07:51.481 弦が宇宙を規定しており 00:07:51.481 --> 00:07:54.444 私たちの見るものすべて 知るものすべてを形作っています 00:07:55.028 --> 00:07:56.252 弦は音符であり 00:07:56.252 --> 00:07:59.679 私たちを私たちたらしめ 私たちを一緒にまとめているのです 00:08:00.237 --> 00:08:01.629 そういうわけで 00:08:02.267 --> 00:08:04.038 すべては音楽なんです NOTE Paragraph 00:08:05.021 --> 00:08:05.935 (ギター演奏) NOTE Paragraph 00:08:05.935 --> 00:08:07.989 世界に目を向けたなら 00:08:08.013 --> 00:08:11.594 いたる所に音楽が見えます 00:08:13.264 --> 00:08:15.003 自分を見つめたら 00:08:15.734 --> 00:08:17.530 そこに音楽が見えます 00:08:21.178 --> 00:08:24.264 私の人生は 音楽によって定められてきました 00:08:25.278 --> 00:08:27.632 私は音楽を通して 自分を見いだしました 00:08:29.251 --> 00:08:31.094 音楽はどこにでもあり 00:08:31.737 --> 00:08:33.772 すべての中にあります 00:08:36.300 --> 00:08:39.011 音楽は変化し 高まり 00:08:39.011 --> 00:08:40.697 弱まります 00:08:42.440 --> 00:08:44.431 でも音楽はいつもそこにあり 00:08:44.771 --> 00:08:46.359 私たちを支え 00:08:46.359 --> 00:08:48.127 互いを結び合わせ 00:08:49.141 --> 00:08:51.543 宇宙の美を見せてくれます NOTE Paragraph 00:08:52.938 --> 00:08:55.046 だから道を見失ったときには 00:08:55.331 --> 00:08:57.999 立ち止まって 自分の音楽に耳を傾けてください NOTE Paragraph 00:08:58.481 --> 00:08:59.878 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:08:59.878 --> 00:09:04.502 (拍手)