WEBVTT 00:00:01.533 --> 00:00:04.479 私は長年にわたり 00:00:04.479 --> 00:00:06.506 ソフトウェア開発者 また技術者として 00:00:06.826 --> 00:00:08.302 民生技術開発に 携わってきました 00:00:08.472 --> 00:00:12.118 民生技術開発は時として 00:00:12.118 --> 00:00:15.763 人道的な問題を解決する 役目を果たします 00:00:15.763 --> 00:00:17.876 2010年ウガンダでは 00:00:17.876 --> 00:00:20.616 国民の不満を恐れた政府が 00:00:20.616 --> 00:00:24.099 人々の携帯電話を 監視することがないように 00:00:24.099 --> 00:00:26.328 技術開発がなされました 00:00:26.328 --> 00:00:29.216 その後 北アフリカでも 00:00:29.216 --> 00:00:32.998 政府がコントロール手段として 意図的に通信回線を遮断しても 00:00:32.998 --> 00:00:36.149 活動家たちが連結して いられるように 00:00:36.149 --> 00:00:38.225 同じ技術が使用されました 00:00:39.336 --> 00:00:42.522 しかし長年にわたり これらの技術について考え 00:00:42.522 --> 00:00:44.363 携わっていくうちに 00:00:44.363 --> 00:00:47.542 ある疑問が浮かび上がってきたのです 00:00:47.542 --> 00:00:50.267 もし我々が技術の 使い道を間違えたなら 00:00:50.267 --> 00:00:52.519 我々が力になろうと している人々を 00:00:52.519 --> 00:00:55.677 逆に傷つけてしまうのでは ないだろうかということです 00:00:55.677 --> 00:00:59.456 素晴らしい技術を開発すれば 00:00:59.456 --> 00:01:01.621 世界中の人々に 役立つものになる 00:01:01.621 --> 00:01:04.035 それが世界の技術産業に 共通する考え方です 00:01:04.035 --> 00:01:07.904 こうした革新は世に送り出され 人々の役に立つでしょう 00:01:07.904 --> 00:01:10.003 しかし必ずしも そうとは限りません 00:01:10.003 --> 00:01:15.264 手放しの技術賞賛を「技術開発における トリクルダウン理論」と呼びましょう 00:01:15.464 --> 00:01:18.129 レーガン大統領ありがとう (笑) 00:01:18.129 --> 00:01:21.045 私たちは 選ばれた少数の人々の ために技術を開発すれば 00:01:21.045 --> 00:01:23.447 いずれ全ての人々に 行きわたると考えがちです 00:01:23.447 --> 00:01:24.822 しかし必ずしも そうではありません 00:01:24.862 --> 00:01:30.018 技術や革新は 富や資本と 同じように広がっていきます 00:01:30.018 --> 00:01:32.897 それらはごく一部の人々に よって確かなものとなり 00:01:32.897 --> 00:01:36.287 残りの人々に行きわたる ことは稀です 00:01:36.287 --> 00:01:41.488 皆さんは週末に こんな事を議論 して過ごしたりしないでしょう 00:01:41.488 --> 00:01:45.714 そこでいくつかの例を挙げて お話ししたいと思います 00:01:45.714 --> 00:01:50.066 ウェアラブルや スマートフォンによって 00:01:50.066 --> 00:01:53.329 運動で消費したカロリーや 00:01:53.329 --> 00:01:56.377 運動量が足りているかなど 00:01:56.401 --> 00:02:01.220 個人の健康状態を管理できる アプリが話題となっています 00:02:01.220 --> 00:02:07.561 これらの技術は 医療施設において 患者により良いサービスを提供し 00:02:07.561 --> 00:02:11.496 同様に医療施設でも 00:02:11.496 --> 00:02:14.083 より効率的な医療を期待できます 00:02:14.083 --> 00:02:16.883 こうしたデジタル機器が 医療界に浸透し 00:02:16.883 --> 00:02:18.354 使用されるようになると 00:02:18.635 --> 00:02:21.297 逆にどのような不都合が 起こるでしょうか? 00:02:21.297 --> 00:02:23.297 自分たちの健康管理を してくれる 00:02:23.321 --> 00:02:26.655 400ドルの携帯電話や時計を 持っていない人々にとって 00:02:26.655 --> 00:02:28.448 医療はどのようなものに なるのでしょうか? 00:02:28.448 --> 00:02:31.281 彼らは医療システムから 取り残されてしまわないでしょうか? 00:02:31.281 --> 00:02:34.079 また必要に応じたサービスを 受けられるでしょうか? 00:02:34.079 --> 00:02:35.491 経済界では 00:02:35.491 --> 00:02:40.261 仮想通貨による貨幣流通の革命が 起こっていますが 00:02:40.261 --> 00:02:42.658 しかしこうした技術革新は 00:02:42.658 --> 00:02:45.247 越えがたい壁になってしまいますよね? 00:02:45.247 --> 00:02:49.043 それに対応する携帯電話や 携帯機器が必要ですし 00:02:49.043 --> 00:02:52.178 また それに対応する アプリを使用するためには 00:02:52.178 --> 00:02:57.217 ある程度の資本を必要とします 00:02:57.217 --> 00:02:59.480 世界が電子通貨に 変わって行く中で 00:02:59.480 --> 00:03:06.070 紙幣を使い続ける地域は どうなるのでしょうか? 00:03:08.260 --> 00:03:11.055 私の故郷である フィラデルフィアでのことをお話しましょう 00:03:11.055 --> 00:03:13.220 先日 公立の図書館へ 行ったのですが 00:03:13.220 --> 00:03:15.792 その図書館は存続の 危機に直面しています 00:03:15.792 --> 00:03:17.465 公的資金が減少しているので 00:03:17.465 --> 00:03:22.641 開館時間を 短縮せざるを得ないのです 00:03:22.641 --> 00:03:25.477 その一つの解決策として 00:03:25.477 --> 00:03:28.770 多くの本がデジタル化 されつつあります 00:03:28.770 --> 00:03:30.745 これは多くの子供たちには 素晴らしいシステムですね? 00:03:30.745 --> 00:03:32.598 家にいながら本を借りて 00:03:32.598 --> 00:03:35.147 通学途中や学校にいる時に 調べ物だってできます 00:03:35.147 --> 00:03:37.339 しかしこれは あくまで2つの 仮定を前提とした場合です 00:03:37.339 --> 00:03:39.336 一つ目は 家からインターネットに 接続できるということ 00:03:39.336 --> 00:03:41.936 二つ目は 携帯電話を 持っているということです 00:03:41.936 --> 00:03:44.812 しかし フィラデルフィアの 多くの子どもたちは そうではありません 00:03:44.812 --> 00:03:47.671 従来 勉強には 欠かすことのできなかった図書館も 00:03:47.671 --> 00:03:51.108 本がデジタル化されてしまうと 00:03:51.108 --> 00:03:54.567 これらの子供たちにとって 教育とは どのようなものになるでしょうか? 00:03:54.567 --> 00:03:56.556 どのように他の学生と 競い合っていけばよいのでしょうか? 00:03:57.566 --> 00:04:01.466 最後に 地球の反対側の 東アフリカについてお話します 00:04:01.466 --> 00:04:04.052 様々な理由によって 00:04:04.052 --> 00:04:07.473 土地の所有権がデジタル化 されつつあります 00:04:07.473 --> 00:04:11.285 移住者からなる地域や シニア世代の死亡 00:04:11.285 --> 00:04:13.925 また不十分な 登録作業によって 00:04:13.925 --> 00:04:17.392 誰が どこの土地を所有しているのか 分からなくなりました 00:04:17.392 --> 00:04:21.664 そこで 土地所有者の情報を オンライン上で公開し 00:04:21.664 --> 00:04:25.424 誰がどこの土地を 所有しているのかを 00:04:25.424 --> 00:04:28.119 人々や地域に知らせる 改革がなされました 00:04:28.119 --> 00:04:31.161 しかし 結果は意図しなかったものでした 00:04:31.161 --> 00:04:35.531 資産家や投資家 不動産業者が殺到し 00:04:35.584 --> 00:04:38.558 このような地域で 00:04:38.647 --> 00:04:40.564 土地を買い占めて しまったのです 00:04:40.564 --> 00:04:42.421 なぜなら彼らは そうした事を可能にする 00:04:42.421 --> 00:04:44.278 技術を使用する事が できるからです 00:04:45.438 --> 00:04:47.277 このように 私たちの開発する技術が 00:04:47.277 --> 00:04:49.287 こうした思わぬ結果を 00:04:49.907 --> 00:04:52.836 招いているのです 00:04:52.836 --> 00:04:55.801 時として私たち技術開発者は 00:04:55.801 --> 00:04:59.360 有効性よりも効率を重視します 00:04:59.360 --> 00:05:03.753 私たちは それによって 引き起こされる結果に目を向けません 00:05:03.753 --> 00:05:05.220 これは改善されるべき事実です 00:05:05.220 --> 00:05:09.251 世の中をコントロールする 技術であるからこそ 00:05:09.251 --> 00:05:12.734 技術によって引き起こされる結果に 目を向けるべきなのです 00:05:12.734 --> 00:05:14.174 90年代後半 00:05:14.174 --> 00:05:18.283 投資や銀行業務における 道徳性が大幅に見直されました 00:05:18.283 --> 00:05:22.091 そして2014年現在 科学技術においても 00:05:22.091 --> 00:05:25.753 同じような見直しが必要とされて いるのではないでしょうか 00:05:26.573 --> 00:05:35.065 事業家、社長、技術者、 そして開発者として 00:05:35.175 --> 00:05:36.327 皆さんにも 00:05:36.477 --> 00:05:39.784 これから開発していく技術の 招く結果について 00:05:39.784 --> 00:05:41.944 考えていただきたいと思います 00:05:41.944 --> 00:05:45.256 なぜなら真の革新とは 全ての人々に 行き渡る方法を見出す事だからです 00:05:45.266 --> 00:05:46.508 ありがとうございました 00:05:46.508 --> 00:05:51.278 (拍手)