1 00:00:00,528 --> 00:00:04,717 1885年 カール・ベンツが 自動車を発明しました 2 00:00:04,717 --> 00:00:08,469 その年 初の公開試乗会が 行われたとき 3 00:00:08,469 --> 00:00:11,844 本当の話ですが 壁に激突したそうです 4 00:00:12,184 --> 00:00:14,057 それ以来 130年の間 私たちは 5 00:00:14,057 --> 00:00:18,396 この自動車の最も信頼性の低い部分 運転手をどうにかしようとしてきました 6 00:00:18,396 --> 00:00:19,680 車体を強化したり 7 00:00:19,680 --> 00:00:22,748 シートベルトを付けたり エアバッグを付けたり 8 00:00:22,748 --> 00:00:26,549 この10年ほどは 自動車を賢くすることによって 9 00:00:26,549 --> 00:00:29,847 この運転手という欠陥部分を 正そうとするようになりました 10 00:00:29,847 --> 00:00:31,738 今日 お話しするのは 11 00:00:31,738 --> 00:00:36,356 運転支援システムによって この問題を手当てするアプローチと 12 00:00:36,356 --> 00:00:38,980 車を完全に自動運転にする アプローチの違いと 13 00:00:38,980 --> 00:00:41,230 それでどんな恩恵があるのか ということです 14 00:00:41,230 --> 00:00:44,165 また私たちが開発している 自動運転車と 15 00:00:44,165 --> 00:00:48,364 それが周りの世界をどう見 どう反応しているのかも お見せしますが 16 00:00:48,364 --> 00:00:51,351 その前にまず 何が問題なのか話しましょう 17 00:00:51,651 --> 00:00:53,179 大きな問題です 18 00:00:53,179 --> 00:00:56,388 世界で毎年120万人が 交通事故によって死んでいます 19 00:00:56,388 --> 00:01:00,172 アメリカだけでも 毎年3万3千人が死んでいるんです 20 00:01:00,172 --> 00:01:02,200 分かりやすく言うと 21 00:01:02,200 --> 00:01:07,317 これは737型旅客機が平日に毎日 墜落していることに相当します 22 00:01:07,342 --> 00:01:09,128 信じがたいことです 23 00:01:09,548 --> 00:01:11,846 自動車はこんなイメージで 売られていますが 24 00:01:11,846 --> 00:01:14,563 実際の運転はこんな感じです 25 00:01:14,563 --> 00:01:16,722 天気は悪く 26 00:01:16,722 --> 00:01:19,210 運転中にみんな 他のことをしたくなります 27 00:01:19,210 --> 00:01:20,832 その理由は 28 00:01:20,832 --> 00:01:22,690 交通事情が悪化しているからです 29 00:01:22,690 --> 00:01:26,196 アメリカでは1990年から 2010年までの間に 30 00:01:26,196 --> 00:01:29,700 自動車の総走行距離は 38%増加しましたが 31 00:01:30,213 --> 00:01:32,962 道路の増加は6%に留まります 32 00:01:32,962 --> 00:01:36,104 だから交通事情の変化は 単なる感覚的なものではなく 33 00:01:36,104 --> 00:01:38,840 この20年で現実に はっきり悪化しているんです 34 00:01:38,840 --> 00:01:41,249 これは人々にコストとして かかってきます 35 00:01:41,529 --> 00:01:45,477 アメリカにおける平均通勤時間は 約50分ですが 36 00:01:45,477 --> 00:01:48,756 これを労働人口の1億2千万人と 掛け合わせると 37 00:01:48,756 --> 00:01:51,531 毎日通勤のために 60億分という時間が 38 00:01:51,531 --> 00:01:53,377 浪費されていることになります 39 00:01:53,377 --> 00:01:56,204 大きな数字なので 分かりやすく言い換えましょう 40 00:01:56,204 --> 00:01:57,978 60億分を 41 00:01:57,978 --> 00:02:01,762 人の平均寿命で割ると 42 00:02:01,762 --> 00:02:04,897 毎日162人分の命が 43 00:02:04,897 --> 00:02:07,822 この単なる移動時間のために 44 00:02:07,822 --> 00:02:09,866 無駄になっている計算です 45 00:02:09,866 --> 00:02:11,596 信じ難い話です 46 00:02:11,596 --> 00:02:14,440 それに加え この渋滞の中に座るという 47 00:02:14,440 --> 00:02:16,112 特権を持たない人たちもいます 48 00:02:16,112 --> 00:02:17,690 彼はスティーブといい 49 00:02:17,690 --> 00:02:19,455 とても有能な人ですが 50 00:02:19,455 --> 00:02:21,971 目が見えません 51 00:02:21,971 --> 00:02:25,188 仕事に行くのに 朝30分運転する代わりに 52 00:02:25,188 --> 00:02:28,847 2時間かけて 交通機関を乗り継ぐか 53 00:02:28,847 --> 00:02:31,952 送ってもらえるよう 友人や家族に頼まなければなりません 54 00:02:31,952 --> 00:02:35,221 私たちのような 移動の自由を持っていないのです 55 00:02:35,221 --> 00:02:37,681 これはどうにかする必要があります 56 00:02:37,891 --> 00:02:39,648 多くの人は 57 00:02:39,648 --> 00:02:42,140 運転支援システムを作って 58 00:02:42,140 --> 00:02:45,510 徐々に改良していけば 59 00:02:45,510 --> 00:02:48,432 いつか自動運転車ができると 考えます 60 00:02:48,432 --> 00:02:52,831 でもそれは 一生懸命ジャンプしてれば いつか空を飛べるようになると言うのと 61 00:02:52,831 --> 00:02:54,898 同じようなものです 62 00:02:54,898 --> 00:02:57,626 基本的に違うことを する必要があります 63 00:02:57,626 --> 00:03:00,987 自動運転車が 運転支援システムと異なる点を 64 00:03:00,987 --> 00:03:03,683 3つ示しますが 65 00:03:03,683 --> 00:03:06,334 まず私たちが経験したことを お話ししましょう 66 00:03:06,334 --> 00:03:08,587 2013年に 67 00:03:08,587 --> 00:03:11,250 初めて一般人を載せて 68 00:03:11,250 --> 00:03:13,277 自動運転車のテストを行いました 69 00:03:13,277 --> 00:03:15,479 100人のGoogle社員ではありますが 70 00:03:15,479 --> 00:03:17,482 このプロジェクト外の人たちです 71 00:03:17,482 --> 00:03:21,103 自動運転車を渡して 日常的に使ってもらいました 72 00:03:21,103 --> 00:03:24,822 自動運転車と言っても 留保付きです 73 00:03:24,822 --> 00:03:26,326 まだ実験段階のもので 74 00:03:26,326 --> 00:03:29,209 運転席の人に注意を払ってもらう 必要がありました 75 00:03:29,209 --> 00:03:32,564 十分テストはしていましたが それでも誤動作することがあったんです 76 00:03:32,564 --> 00:03:34,543 それで彼らに 2時間のトレーニングの後に 77 00:03:34,543 --> 00:03:36,635 運転席についてもらい 使ってもらいました 78 00:03:36,635 --> 00:03:37,962 そうして得られた声は 79 00:03:37,962 --> 00:03:41,516 新製品を世に送り出そうとしている者にとって 勇気づけられるものでした 80 00:03:41,516 --> 00:03:43,471 誰もがとても 気に入ってくれたのです 81 00:03:43,471 --> 00:03:46,277 普段ポルシェに 乗っている人がいて 82 00:03:46,277 --> 00:03:49,860 最初は「こんなの馬鹿げている 何考えてんのか分からない」と言っていたんですが 83 00:03:49,860 --> 00:03:53,620 終いにはこう言ったのです 「自分だけでなく すべての人がこの車を持つべきだ 84 00:03:53,620 --> 00:03:55,865 みんなひどいドライバーだから」 85 00:03:57,135 --> 00:03:59,450 これは私たちの耳に 心地よい言葉でしたが 86 00:03:59,450 --> 00:04:02,443 自動運転車に乗った人たちが 車内でやっていることには 87 00:04:02,443 --> 00:04:04,252 驚かせられることになりました 88 00:04:04,252 --> 00:04:06,690 これは私のお気に入りの 逸話なんですが 89 00:04:06,690 --> 00:04:10,719 ある人が運転中に携帯を見て バッテリーが切れかけているのに気付き 90 00:04:10,719 --> 00:04:15,067 こんな風に後ろを向いて バックパックの中を探って 91 00:04:15,067 --> 00:04:17,220 ノートPCを取り出し 92 00:04:17,220 --> 00:04:18,786 横の座席に置き 93 00:04:18,786 --> 00:04:20,551 また振り向いて 94 00:04:20,551 --> 00:04:23,918 バックパックを漁って 充電ケーブルを取り出し 95 00:04:23,918 --> 00:04:27,285 ノートPCと携帯を繋いで 96 00:04:27,285 --> 00:04:29,328 携帯を充電したんですが 97 00:04:29,328 --> 00:04:33,322 この間車はずっと 時速100キロ以上で走っていました 98 00:04:33,322 --> 00:04:35,806 信じられないような話です 99 00:04:35,806 --> 00:04:38,927 これを見て 答えは出たと思いましたね 100 00:04:38,927 --> 00:04:40,990 技術が進むほど 101 00:04:40,990 --> 00:04:43,311 運転手の信頼性は 逆に下がっていくので 102 00:04:43,311 --> 00:04:45,707 自動車を徐々に 賢くしていっても 103 00:04:45,707 --> 00:04:48,609 望むような結果には ならないだろうと 104 00:04:48,609 --> 00:04:52,510 少し技術的な話をしましょう 105 00:04:52,510 --> 00:04:54,788 このグラフの横軸は 106 00:04:54,788 --> 00:04:57,999 車がブレーキを かけるべきでない時にかける頻度です 107 00:04:57,999 --> 00:04:59,970 こちらの軸は概ね 無視して構いません 108 00:04:59,970 --> 00:05:03,339 街中を運転していて車が ランダムに停止するようなら 109 00:05:03,339 --> 00:05:05,040 そんな車は誰も買わないからです 110 00:05:05,040 --> 00:05:07,575 縦軸は事故を防ぐために 111 00:05:07,575 --> 00:05:11,464 車がブレーキを かけるべき時にかける頻度です 112 00:05:11,464 --> 00:05:13,685 左下隅が 113 00:05:13,685 --> 00:05:15,530 昔ながらの自動車です 114 00:05:15,530 --> 00:05:19,383 車が自分でブレーキをかけることはなく 馬鹿なことをすることもなければ 115 00:05:19,383 --> 00:05:21,442 事故を防いでくれることも ありません 116 00:05:21,442 --> 00:05:23,620 衝突回避自動ブレーキのような 117 00:05:23,620 --> 00:05:26,008 運転支援システムを 作ろうと思ったら 118 00:05:26,008 --> 00:05:28,900 色々な技術を取り込んで こんなグラフになり 119 00:05:28,900 --> 00:05:31,408 ある種の動作特性を 実現できるでしょうが 120 00:05:31,408 --> 00:05:33,808 事故をすべて防げるわけではなく 121 00:05:33,808 --> 00:05:35,657 そこまでの能力はありません 122 00:05:35,657 --> 00:05:39,116 それでもこの曲線上の いずれかの点を選んで 123 00:05:39,116 --> 00:05:41,400 事故の数を 半分にできるかもしれません 124 00:05:41,400 --> 00:05:42,797 これはすごいことです 125 00:05:42,797 --> 00:05:46,094 交通事故が 半分になるんですから 126 00:05:46,094 --> 00:05:50,381 アメリカで毎年死ぬ人の数が 1万7千人も減らせます 127 00:05:50,381 --> 00:05:52,231 しかし自動運転車を 作ろうと思ったら 128 00:05:52,231 --> 00:05:54,958 曲線をこのようなものにする 技術が必要になります 129 00:05:54,958 --> 00:05:57,117 車にもっとセンサーを付け 130 00:05:57,117 --> 00:05:59,178 基本的に衝突が起こらないという 131 00:05:59,178 --> 00:06:01,347 点を選ぶことになります 132 00:06:01,347 --> 00:06:03,790 衝突は起きたとしても 極めて低い頻度です 133 00:06:03,790 --> 00:06:07,761 これを見て 移行は段階的であるべきか 議論ができるでしょう 134 00:06:07,761 --> 00:06:09,856 80:20の法則というのもありますが 135 00:06:09,856 --> 00:06:11,764 上の曲線に移るのは 極めて難しいのです 136 00:06:11,764 --> 00:06:14,358 これを別の角度から 見てみましょう 137 00:06:14,358 --> 00:06:18,870 この技術はどれくらいの精度で 正しく振る舞わなければならないのか? 138 00:06:18,870 --> 00:06:22,036 緑の点は運転支援システムです 139 00:06:22,036 --> 00:06:24,461 アメリカでは 人間の運転手は 140 00:06:24,461 --> 00:06:27,508 事故に繋がるようなミスを 141 00:06:27,508 --> 00:06:30,680 10万マイル (16万km) に1度 犯しています 142 00:06:30,680 --> 00:06:33,847 これに対して自動運転車は 143 00:06:33,847 --> 00:06:37,200 1秒間に10回くらい 判断を行っています 144 00:06:37,200 --> 00:06:38,932 1マイルあたりだと 145 00:06:38,932 --> 00:06:41,764 およそ千回です 146 00:06:41,764 --> 00:06:44,249 この2点は対数目盛りで 147 00:06:44,249 --> 00:06:46,849 8つ離れています 148 00:06:46,849 --> 00:06:48,614 10の8乗倍です 149 00:06:48,614 --> 00:06:51,903 これは私が走る速さと 光の速さを 150 00:06:51,903 --> 00:06:53,629 比較するようなものです 151 00:06:53,629 --> 00:06:57,414 私がいかに頑張ったところで そこに到達することはありません 152 00:06:57,414 --> 00:07:00,092 とても大きなギャップが あるということです 153 00:07:00,092 --> 00:07:03,771 最後にシステムが不確定さを いかに扱うかという問題があります 154 00:07:03,771 --> 00:07:06,714 この歩行者は 道を渡るのかどうか 155 00:07:06,714 --> 00:07:10,299 私には分からないし どんなアルゴリズムでも分かりません 156 00:07:10,310 --> 00:07:12,594 運転支援システムは 157 00:07:12,594 --> 00:07:14,940 行動を起こせない ということです 158 00:07:14,940 --> 00:07:18,739 予期しないところでブレーキをかけるというのは 受け入れられないからです 159 00:07:18,739 --> 00:07:20,842 一方自動運転車の場合は 160 00:07:20,842 --> 00:07:23,962 歩行者がどうしようとしているのか 分からないという場合 161 00:07:23,962 --> 00:07:27,524 スピードを落として様子を見 それから適切に反応します 162 00:07:27,524 --> 00:07:31,226 だから運転支援システムよりも ずっと安全だということです 163 00:07:31,226 --> 00:07:33,956 2つのシステムの 違いについては分かったので 164 00:07:33,956 --> 00:07:37,120 自動運転車は世界をどう見ているのか という話をしましょう 165 00:07:37,120 --> 00:07:38,692 白いのが私たちの車です 166 00:07:38,692 --> 00:07:41,640 まず自分が世界のどこにいるのかを 知るところから始めます 167 00:07:41,640 --> 00:07:43,917 地図とセンサーデータを突き合わせ 168 00:07:43,917 --> 00:07:46,865 地図に現在見えているものを 重ね合わせます 169 00:07:46,865 --> 00:07:50,520 紫色の箱は 道路上の他の車です 170 00:07:50,520 --> 00:07:53,048 道の端にある赤い箱は 自転車です 171 00:07:53,048 --> 00:07:55,000 それからよく見てもらうと 172 00:07:55,000 --> 00:07:57,244 ずっと向こうに ロードコーンがあります 173 00:07:57,244 --> 00:08:00,297 これで車がいる状況については 分かりますが 174 00:08:00,297 --> 00:08:03,850 それだけでは駄目で この後何が起きるか予測する必要があります 175 00:08:03,850 --> 00:08:07,588 右手前方にいる小型トラックは 左に車線変更しようとしています 176 00:08:07,588 --> 00:08:09,561 道路の先が塞がっているのを 177 00:08:09,561 --> 00:08:11,222 迂回するためです 178 00:08:11,222 --> 00:08:13,555 1台のトラックの動きを 読むだけじゃいけません 179 00:08:13,555 --> 00:08:15,634 みんなの考えを読む必要があり 180 00:08:15,634 --> 00:08:18,141 これはとても複雑な問題です 181 00:08:18,141 --> 00:08:22,390 それを元に どう動くべきか判断します 182 00:08:22,390 --> 00:08:26,756 どういう経路を取り どうスピードを変えるか 183 00:08:26,756 --> 00:08:29,151 道に沿って進む 184 00:08:29,151 --> 00:08:33,018 左か右にハンドルを切る ブレーキやアクセルを踏む 185 00:08:33,018 --> 00:08:35,482 詰まるところ 2つの数値に集約できます 186 00:08:35,482 --> 00:08:37,722 難しくはなさそうでしょう? 187 00:08:38,433 --> 00:08:40,385 2009年に取り組み始めた頃は 188 00:08:40,385 --> 00:08:42,183 こんな感じでした 189 00:08:42,183 --> 00:08:43,624 私たちの車が中央にあり 190 00:08:43,624 --> 00:08:46,505 道を走る他の車が 箱として描かれています 191 00:08:46,505 --> 00:08:50,333 自分がどこにいて 他の車がどこにいるか おおよそ把握している必要があります 192 00:08:50,333 --> 00:08:52,332 世界を幾何学的に理解するのです 193 00:08:52,332 --> 00:08:56,040 街中を走行するようになって 194 00:08:56,040 --> 00:08:58,485 問題は格段に難しくなりました 195 00:08:58,485 --> 00:09:01,979 車の前を歩行者が横断したり 車が目の前を横切ったり 196 00:09:01,979 --> 00:09:03,790 様々な方向に進みます 197 00:09:03,790 --> 00:09:05,317 信号があり 横断歩道があります 198 00:09:05,317 --> 00:09:08,114 前と比べて 遙かに複雑になっています 199 00:09:08,114 --> 00:09:10,217 それに対応できる ようになったら 200 00:09:10,217 --> 00:09:12,729 今度は工事現場に 対応できなければいけません 201 00:09:12,729 --> 00:09:15,880 ここでは左側のロードコーンによって 右に移動させられています 202 00:09:15,880 --> 00:09:18,282 工事現場そのものだけでなく 203 00:09:18,282 --> 00:09:22,005 その周囲を行く人にも 注意を払う必要があります 204 00:09:22,005 --> 00:09:25,008 交通違反があれば警察が来ます 205 00:09:25,008 --> 00:09:28,280 屋根に点滅する ライトが付いている車は 206 00:09:28,280 --> 00:09:31,595 ただの車ではなく警察車両だと 理解できる必要があります 207 00:09:31,595 --> 00:09:33,527 道路の端にいる オレンジ色の箱は 208 00:09:33,527 --> 00:09:34,906 スクールバスです 209 00:09:34,906 --> 00:09:37,656 これも特別な扱いを 必要とします 210 00:09:38,576 --> 00:09:41,369 道路上の人々には それぞれ期待することがあります 211 00:09:41,369 --> 00:09:43,239 自転車の人が手を挙げているのは 212 00:09:43,239 --> 00:09:45,417 車線変更したいので 213 00:09:45,417 --> 00:09:47,920 道を譲ってほしいということです 214 00:09:49,030 --> 00:09:51,493 警官が路上に立って こんなポーズをしていたら 215 00:09:51,493 --> 00:09:53,943 止まれという意味だと 理解する必要があり 216 00:09:53,943 --> 00:09:57,449 進めという合図をしたら 進む必要があります 217 00:09:57,449 --> 00:10:01,210 このために私たちの取っている方法は 車同士で情報共有するということです 218 00:10:01,210 --> 00:10:02,906 最初の荒削りなモデルでは 219 00:10:02,906 --> 00:10:05,019 1台が工事現場を見つけたら 220 00:10:05,019 --> 00:10:06,581 他の車にも知らせ 221 00:10:06,581 --> 00:10:09,651 車線変更して問題を回避できるようにする というものでした 222 00:10:09,651 --> 00:10:12,315 しかし私たちはもっと 深い理解をしています 223 00:10:12,315 --> 00:10:15,324 これまで観察してきた 他の車のデータ — 224 00:10:15,324 --> 00:10:17,630 何十万という歩行者 自転車 225 00:10:17,630 --> 00:10:19,247 自動車のデータから 226 00:10:19,247 --> 00:10:21,512 それぞれがどんな姿を しているか理解し 227 00:10:21,512 --> 00:10:24,013 それを元に 他の車や歩行者が 228 00:10:24,013 --> 00:10:25,939 どう見えるか推測します 229 00:10:25,939 --> 00:10:27,790 さらに重要なのは 230 00:10:27,790 --> 00:10:31,290 それぞれがどう動くと予想されるかという モデルを作れたことです 231 00:10:31,290 --> 00:10:34,253 ここで黄色い箱は 前を横切る歩行者です 232 00:10:34,253 --> 00:10:36,503 青い箱は自転車で 233 00:10:36,503 --> 00:10:39,815 こちらの車を右に避けると 予想しています 234 00:10:40,115 --> 00:10:42,207 向こうからやってくる自転車は 235 00:10:42,207 --> 00:10:45,283 道に沿って進んでいくだろうと 予想できます 236 00:10:45,283 --> 00:10:47,320 ここでは車が右折していて 237 00:10:47,320 --> 00:10:50,610 こちらでは 目の前に Uターンしようとしている車がいて 238 00:10:50,610 --> 00:10:53,424 その動きを予期し それに応じて安全な動きをします 239 00:10:53,424 --> 00:10:55,922 見たことのあるものばかりなら 良いのですが 240 00:10:55,922 --> 00:10:57,417 現実の世界では 241 00:10:57,417 --> 00:10:59,418 見たことのないものにも 出くわします 242 00:10:59,418 --> 00:11:01,599 これはほんの2ヶ月前に 243 00:11:01,599 --> 00:11:03,594 マウンテンビューを 走行していて 244 00:11:03,594 --> 00:11:05,358 出会ったものですが 245 00:11:05,358 --> 00:11:08,060 電動車椅子の女性が 道の真ん中で 246 00:11:08,060 --> 00:11:10,677 ぐるぐる鴨を 追いかけていたんです (笑) 247 00:11:10,677 --> 00:11:13,788 陸運局のマニュアルの どこを見ても 248 00:11:13,788 --> 00:11:16,263 この状況にどう対処すべきか 書いてありません 249 00:11:16,263 --> 00:11:18,696 しかし私たちの車は この時 スピードを落として 250 00:11:18,696 --> 00:11:20,241 無事やり過ごせました 251 00:11:20,241 --> 00:11:22,932 対応しなければならないのは 鴨ばかりではありません 252 00:11:22,932 --> 00:11:26,180 鳥が突然前に飛び出しましたが 車はちゃんと対応しています 253 00:11:26,180 --> 00:11:27,795 ここではマウンテンビュー以外では 254 00:11:27,795 --> 00:11:31,085 およそお目にかからないような 自転車に対応しています 255 00:11:31,085 --> 00:11:33,513 もちろん他の車にも 対応する必要があります 256 00:11:33,513 --> 00:11:36,868 こんなミニサイズのものまで含めて 257 00:11:36,868 --> 00:11:40,999 右手を見てください 誰かトラックから降りてきます 258 00:11:42,460 --> 00:11:45,389 左にいる車の緑の箱が 259 00:11:45,389 --> 00:11:48,714 ぎりぎりになって 右折してきます 260 00:11:48,714 --> 00:11:51,565 車線変更しようとしたら 261 00:11:51,565 --> 00:11:55,118 左手の車も同時に 車線変更してきました 262 00:11:55,118 --> 00:11:57,811 車が赤信号を 突っ込んでくるので 263 00:11:57,811 --> 00:11:59,901 道を譲っています 264 00:11:59,901 --> 00:12:03,755 こちらでは自転車が 信号無視して入ってきます 265 00:12:03,755 --> 00:12:06,501 もちろん 危険がないように対応します 266 00:12:06,501 --> 00:12:09,472 そして道路では時々 理解できないことをする人たちがいます 267 00:12:09,472 --> 00:12:12,615 2台の自動運転車の間に 真横から車が入ってきました 268 00:12:12,615 --> 00:12:14,680 「何考えてんだ?」と 言いたくなるでしょう 269 00:12:14,680 --> 00:12:16,182 (笑) 270 00:12:16,182 --> 00:12:18,703 様々なケースを 立て続けにお見せしたので 271 00:12:18,703 --> 00:12:21,353 1つのケースを 少しだけ細かく見てみましょう 272 00:12:21,353 --> 00:12:23,843 先ほどの自転車のケースですが 273 00:12:23,843 --> 00:12:27,514 下の映像で分かるように この自転車はまだ視界に入っていません 274 00:12:27,514 --> 00:12:30,288 しかし車は自転車を把握しています 左端の青い箱です 275 00:12:30,288 --> 00:12:32,369 レーザーを使って 捉えたものです 276 00:12:32,369 --> 00:12:34,307 これは少しわかりにくいので 277 00:12:34,307 --> 00:12:37,281 向きを変えてレーザーによるデータを よく見てみましょう 278 00:12:37,281 --> 00:12:38,960 目をこらして見ると 279 00:12:38,960 --> 00:12:40,637 道の角にいくつか点があり 280 00:12:40,637 --> 00:12:44,249 この部分ですが 青い箱が自転車を示しています 281 00:12:44,249 --> 00:12:46,118 こちらの信号は赤ですが 282 00:12:46,118 --> 00:12:48,370 自転車の信号は既に 黄色になっています 283 00:12:48,370 --> 00:12:51,038 映像をよく見ると分かります 284 00:12:51,038 --> 00:12:54,004 しかし自転車は 交差点に入ってきます 285 00:12:54,004 --> 00:12:56,978 こちらの信号が青に変わり 向こうは赤になっていますが 286 00:12:56,978 --> 00:13:01,010 この自転車が道を横切ってくることを 予期しています 287 00:13:01,010 --> 00:13:04,752 あいにく隣の車は我々ほど 注意を払っていなかったため 288 00:13:04,752 --> 00:13:06,709 進み始めます 289 00:13:06,709 --> 00:13:09,040 幸い自転車はうまくよけて 290 00:13:09,040 --> 00:13:12,771 交差点を渡りきりました 291 00:13:12,771 --> 00:13:14,679 これで前に進めます 292 00:13:14,679 --> 00:13:17,627 ご覧いただいたように この技術はとても素晴らしい進歩を遂げ 293 00:13:17,627 --> 00:13:19,529 市場に送り出せると 294 00:13:19,529 --> 00:13:21,539 強い自信を持っています 295 00:13:21,539 --> 00:13:26,052 日々行っているシミュレーターによるテスト走行は 500万キロにも及びます 296 00:13:26,052 --> 00:13:28,851 この車がどれほど経験を積んできたか お分かりになるでしょう 297 00:13:28,851 --> 00:13:32,065 私たちはこの技術を道路にもたらせる日を 待ち焦がれています 298 00:13:32,065 --> 00:13:34,445 運転者支援システムではなく 299 00:13:34,445 --> 00:13:36,609 自動運転車が正しい道であると 信じています 300 00:13:36,609 --> 00:13:39,230 これはとても緊急性の 高い問題なんです 301 00:13:39,230 --> 00:13:41,623 この講演をしている間にも 302 00:13:41,623 --> 00:13:44,758 アメリカでは34人が 交通事故で死んでいる計算です 303 00:13:44,758 --> 00:13:47,126 これを世に出せるのは いつになるのか? 304 00:13:47,126 --> 00:13:50,958 非常に難しい問題なので 確答するは難しいです 305 00:13:50,958 --> 00:13:53,172 この写真は 私の2人の息子です 306 00:13:53,172 --> 00:13:55,305 長男は11歳で 307 00:13:55,305 --> 00:13:59,132 それはあと4年半で運転免許を 取れるようになるということです 308 00:13:59,132 --> 00:14:02,986 私たちのチームでは そんなことにならないよう 全力を尽くしています (笑) 309 00:14:02,986 --> 00:14:04,480 ありがとうございました 310 00:14:04,480 --> 00:14:08,147 (拍手) 311 00:14:09,110 --> 00:14:11,678 (クリス・アンダーソン) 1つ質問していいですか 312 00:14:11,678 --> 00:14:14,487 (クリス・アームソン) どうぞ 313 00:14:14,487 --> 00:14:18,411 (アンダーソン) あなた方の車の能力は 驚くばかりです 314 00:14:18,411 --> 00:14:22,870 運転支援システムか完全な自動運転車か という点については 315 00:14:22,870 --> 00:14:25,911 現在さかんに議論が行われています 316 00:14:25,911 --> 00:14:28,744 テスラのような会社は 317 00:14:28,744 --> 00:14:30,903 運転支援システムの道を選んでいます 318 00:14:30,903 --> 00:14:36,151 あなたのお話では それでは行き詰まり 319 00:14:36,151 --> 00:14:41,607 運転支援システムを改善していっても 自動運転車には到らないということでした 320 00:14:41,607 --> 00:14:45,137 運転している人が 「大丈夫なようだ」と思って 321 00:14:45,137 --> 00:14:47,784 後ろの方を向いて まずい事態になるだろうと 322 00:14:47,784 --> 00:14:49,550 (アームソン) その通りです 323 00:14:49,550 --> 00:14:53,697 運転支援システムなど価値がないと 言うのではありません 324 00:14:53,697 --> 00:14:56,055 過渡的には多くの命を 救うことができるでしょう 325 00:14:56,055 --> 00:14:59,888 しかしスティーブのような盲目の 人がどこにでも行けるようにするとか 326 00:14:59,888 --> 00:15:01,857 安全性を究極まで高めるとか 327 00:15:01,857 --> 00:15:04,336 駐車場所を車が自分で 見つけに行くことで 328 00:15:04,336 --> 00:15:08,540 都心から駐車場という名のクレーターをなくすといった 抜本的な変化を目指すなら 329 00:15:08,540 --> 00:15:09,780 自動運転車が唯一の道です 330 00:15:09,780 --> 00:15:13,378 (アンダーソン) 大きな興味を持って 今後を見守っています 331 00:15:13,378 --> 00:15:16,074 (アームソン) ありがとうございます (拍手)