1 00:00:06,539 --> 00:00:09,958 空間 それは物事の起こる場所 2 00:00:09,958 --> 00:00:12,575 時間 それは物事の起きる時 3 00:00:12,575 --> 00:00:14,324 我々は 物のある場所と 物事の― 4 00:00:14,324 --> 00:00:15,658 起きる時間を測定できます 5 00:00:15,658 --> 00:00:17,157 しかし現代の物理学では 6 00:00:17,157 --> 00:00:18,993 「どこ」と「いつ」は実際のところ 7 00:00:18,993 --> 00:00:22,467 切り離すことのできない 一つの質問となるのです 8 00:00:22,467 --> 00:00:24,679 宇宙についての 理解が深まると 9 00:00:24,679 --> 00:00:28,055 3次元空間に時間を加えて 10 00:00:28,055 --> 00:00:29,847 一つの概念 つまり 11 00:00:29,847 --> 00:00:33,644 4次元の「時空」で 置き換える必要があるのです 12 00:00:33,644 --> 00:00:35,773 これから一連のアニメで 13 00:00:35,773 --> 00:00:38,273 時空を探検し これを説明していきましょう 14 00:00:38,273 --> 00:00:39,234 アニメ? 15 00:00:39,234 --> 00:00:40,317 まあね 16 00:00:40,317 --> 00:00:42,523 我々はアニメのようになっていないって? 17 00:00:42,523 --> 00:00:46,859 勿論なりますよ! ここから あそこまで行ってみましょう 18 00:00:46,859 --> 00:00:48,659 わお! どうやってたどり着いたの? 19 00:00:48,659 --> 00:00:50,024 どれ程 速かったんだろう? 20 00:00:50,024 --> 00:00:51,689 走った? それとも歩いた? 21 00:00:51,689 --> 00:00:53,357 真っ直ぐに移動した? 22 00:00:53,357 --> 00:00:57,108 おっと! それに答えるには 漫画的な物理学を 23 00:00:57,108 --> 00:00:59,543 物理学的な物理学にして見せないと いけませんね 24 00:00:59,543 --> 00:01:02,107 もっと多くのコマが必要になります 25 00:01:02,107 --> 00:01:05,301 お願い もっとパネルを! 26 00:01:05,301 --> 00:01:10,096 OK アンドリューの位置は パネルごとに少しずつ 異なっています 27 00:01:10,096 --> 00:01:11,975 そう 各パネルには 28 00:01:11,975 --> 00:01:14,892 各時刻にアンドリューが どこにいたか記録されていますね 29 00:01:14,892 --> 00:01:18,981 素晴らしいことです でも数百のパネルを 30 00:01:18,981 --> 00:01:20,440 切り出して 31 00:01:20,440 --> 00:01:22,773 積み重ね 32 00:01:22,773 --> 00:01:26,069 パラパラ漫画のようにしてみましょう 33 00:01:26,069 --> 00:01:28,155 パラパラと本をめくると 34 00:01:28,155 --> 00:01:30,607 1秒間に24コマのパネルが 35 00:01:30,607 --> 00:01:34,358 次から次へと表れてきます 36 00:01:34,358 --> 00:01:36,439 そらね!アニメだっていったでしょう 37 00:01:36,439 --> 00:01:39,376 今度は私が歩いているところを 見てもらいましょう 38 00:01:39,376 --> 00:01:42,046 各パネルを描いて めくる本を作るのは 39 00:01:42,046 --> 00:01:45,757 私の動きを記録する 一つの手段ですね 40 00:01:45,757 --> 00:01:49,773 アニメや映画の仕組みは こんな感じです 41 00:01:49,773 --> 00:01:52,346 お分かりのように 私の歩く速さはというと 42 00:01:52,346 --> 00:01:55,691 フェンスの杭の間を 通り過ぎる時間が2秒で 43 00:01:55,691 --> 00:01:58,521 4m間隔となっているので 44 00:01:58,521 --> 00:02:00,478 空間を移動した速さを 45 00:02:00,478 --> 00:02:02,482 計算することができて― 46 00:02:02,482 --> 00:02:05,484 毎秒2mとなります 47 00:02:05,484 --> 00:02:08,238 でも本をパラパラしなくても 48 00:02:08,238 --> 00:02:11,156 パネルから直接計算することだって できるかもしれません 49 00:02:11,156 --> 00:02:12,493 めくる絵本の端っこから 50 00:02:12,493 --> 00:02:14,608 杭とアンドリューを 全てのパネルで見ることができますが 51 00:02:14,608 --> 00:02:16,440 杭とアンドリューを 全てのパネルで見ることができますが 52 00:02:16,440 --> 00:02:20,124 パネルごとに彼の位置が 少しずつずれています 53 00:02:20,124 --> 00:02:23,230 毎秒24コマでめくったときの アンドリューの動きを 54 00:02:23,230 --> 00:02:26,775 ただ眺めるだけで 速度を含めて 55 00:02:26,775 --> 00:02:28,132 アンドリューに起こることを全て 56 00:02:28,132 --> 00:02:30,343 予測することができます 57 00:02:30,343 --> 00:02:33,387 パネルをめくる必要は全くないのです 58 00:02:33,387 --> 00:02:34,638 アンドリューの動きを 59 00:02:34,638 --> 00:02:37,701 パラパラ漫画の線で表したものは 60 00:02:37,701 --> 00:02:40,066 時空図として知られ 61 00:02:40,066 --> 00:02:42,067 これで場所と時間が分かるのです 62 00:02:42,067 --> 00:02:45,151 アンドリューの動きを表す線を 63 00:02:45,151 --> 00:02:47,510 彼の世界線といいます 64 00:02:47,510 --> 00:02:49,865 私が歩くのではなく ジョギングすると 65 00:02:49,865 --> 00:02:54,454 杭の間を1秒ごとに 通り抜けることができるでしょう 66 00:02:54,454 --> 00:02:56,037 彼はアスリートでは…ありませんね 67 00:02:56,037 --> 00:02:59,207 それはさておき この新しいパラパラ漫画を 最初から見てみましょう 68 00:02:59,207 --> 00:03:02,260 前と同じように 解析することができます 69 00:03:02,260 --> 00:03:03,837 ジョギングするアンドリューの 世界線は 70 00:03:03,837 --> 00:03:05,297 彼が歩いた時の世界線よりも より傾いています 71 00:03:05,297 --> 00:03:07,759 彼が歩いた時の世界線よりも より傾いています 72 00:03:07,759 --> 00:03:10,926 パネルをめくらなくても 73 00:03:10,926 --> 00:03:14,395 2倍の速度で動いていることが 分かります 74 00:03:14,395 --> 00:03:16,638 でも ここからがちょっと難しい話 75 00:03:16,638 --> 00:03:20,361 物理学では 他人の立場から 見てみるのが良いのです 76 00:03:20,361 --> 00:03:22,226 結局 物理学の法則は 77 00:03:22,226 --> 00:03:23,861 誰にとっても同じであるべきです 78 00:03:23,861 --> 00:03:26,277 さもなければ 誰も法則なんかに 従いません 79 00:03:26,277 --> 00:03:29,066 もう一度 漫画のことを 考えてみましょう 80 00:03:29,066 --> 00:03:31,652 ジョギングするアンドリューを追って カメラ撮影をします 81 00:03:31,652 --> 00:03:35,237 塀の杭が近づいては 彼の後ろに通り過ぎていきます 82 00:03:35,237 --> 00:03:37,777 同じパラパラ漫画を眺めるだけでよく 83 00:03:37,777 --> 00:03:39,777 パネルを描きなおす必要はありません 84 00:03:39,777 --> 00:03:42,832 とり出したフレームを 単に少しだけ傾け 85 00:03:42,832 --> 00:03:45,110 アンドリューの傾いた世界線が 86 00:03:45,110 --> 00:03:48,003 完全に垂直になるようにします 87 00:03:48,003 --> 00:03:50,695 なぜかって? めくってみましょう 88 00:03:50,695 --> 00:03:54,424 そうです 私は静止した状態で パネルの中央の 89 00:03:54,424 --> 00:03:56,051 一点でジョギングしているのです 90 00:03:56,051 --> 00:03:57,552 パラパラ漫画の線は 91 00:03:57,552 --> 00:04:00,361 私の世界線は まっすぐ上に伸びています 92 00:04:00,361 --> 00:04:03,027 杭は私の後ろを通り過ぎていますね 93 00:04:03,027 --> 00:04:06,312 今や 杭たちの世界線が 傾いているのです 94 00:04:06,312 --> 00:04:09,438 このようにパネルを配置し直すことは 95 00:04:09,438 --> 00:04:11,649 ガリレイ変換として知られていて 96 00:04:11,649 --> 00:04:16,240 これで物理現象を他人の視点から 解析し直すことになるのです 97 00:04:16,240 --> 00:04:18,574 この場合 私のことですね 98 00:04:18,574 --> 00:04:21,945 結局のところ 特に観測者が 様々な速度で動いているとき 99 00:04:21,945 --> 00:04:24,694 別の視点に立ってみることは 100 00:04:24,694 --> 00:04:26,693 いつだって良いことなのです 101 00:04:26,693 --> 00:04:30,529 あまりにも速度が速くなければですが 102 00:04:30,529 --> 00:04:33,278 宇宙線が光速で動いていると 103 00:04:33,278 --> 00:04:38,028 あなたの視点をパラパラ漫画で 表わそうとすると失敗します 104 00:04:38,028 --> 00:04:39,805 そうならないようにするには 105 00:04:39,805 --> 00:04:42,140 パネルを積み重ねていくのではなく 106 00:04:42,140 --> 00:04:44,612 一緒にして くっつけなければ なりません 107 00:04:44,612 --> 00:04:47,977 固定された時空が必要となるのです 108 00:04:47,977 --> 00:04:50,694 これについては次回のアニメで説明しましょう