WEBVTT 00:00:00.513 --> 00:00:03.266 こんにちは ジャレット・クロザウスカです 00:00:03.266 --> 00:00:07.732 子供向けの絵本を書くのが仕事です 00:00:07.732 --> 00:00:11.892 つまり 創造力を使って食べているわけですが 00:00:11.892 --> 00:00:15.221 それを仕事として活かす前から 00:00:15.221 --> 00:00:17.949 創造力にずっと助けられて 生きてきました NOTE Paragraph 00:00:17.949 --> 00:00:20.436 小さい頃から絵を描くのが好きでした 00:00:20.436 --> 00:00:23.302 その頃 誰よりも尊敬していた アーティストは 母でした 00:00:23.302 --> 00:00:25.136 その頃 誰よりも尊敬していた アーティストは 母でした 00:00:25.136 --> 00:00:28.452 でも母はヘロイン中毒だったんです 00:00:28.452 --> 00:00:31.897 親が麻薬中毒だと 00:00:31.897 --> 00:00:35.236 チャーリー・ブラウンが一生懸命 フットボールを蹴ろうとするのと同じで 00:00:35.236 --> 00:00:37.732 いくら がんばって 愛そうとしても 00:00:37.732 --> 00:00:39.970 愛されたいと思っても 00:00:39.970 --> 00:00:43.223 心を開くたびに失望させられるものです 00:00:43.223 --> 00:00:47.443 子供の頃ずっと 母は刑務所に入っていて 00:00:47.443 --> 00:00:48.869 父親もいませんでした 00:00:48.869 --> 00:00:52.529 僕が6年生になるまで名前すら知らなかったんです 00:00:52.529 --> 00:00:54.849 でも祖父母がいつも 側にいてくれました 00:00:54.849 --> 00:00:57.420 母方の祖父母の ジョセフとシャーリーです 00:00:57.420 --> 00:01:00.702 3歳になる頃に養子として引き取られ 00:01:00.702 --> 00:01:02.164 実の子供のように迎え入れてくれました 00:01:02.164 --> 00:01:04.092 実の子供5人も育てた後にです 00:01:04.092 --> 00:01:07.302 この二人は世界大恐慌の時代に育ち 00:01:07.302 --> 00:01:12.340 80代になったところで 新しい子供を引き取ったのです 00:01:12.340 --> 00:01:14.398 コメディー番組のテコ入れに 00:01:14.398 --> 00:01:16.504 突然 新しい親戚の子が登場するみたいな 00:01:16.504 --> 00:01:19.085 ひょんなところからきた子供だったんです NOTE Paragraph 00:01:19.085 --> 00:01:23.228 祖父母はあまり細かい事は気にかけず 00:01:23.228 --> 00:01:26.321 どちらも毎日 タバコ2箱ずつ吸うんです フィルターもつけずに 00:01:26.321 --> 00:01:28.524 僕が6歳になる頃には 00:01:28.524 --> 00:01:30.627 カクテルなんか注文させてくれて 00:01:30.627 --> 00:01:32.780 ドライにツイスト ロック オンザ サイド 00:01:32.780 --> 00:01:36.761 氷は別のコップにするのは もっとお酒が入るようにです NOTE Paragraph 00:01:36.761 --> 00:01:40.100 でもとても可愛がってくれました 本当に愛情一杯だったんです 00:01:40.100 --> 00:01:42.460 創作に取り組むのを いつも支援してくれました 00:01:42.460 --> 00:01:44.949 祖父も努力家だったからだと思います 00:01:44.949 --> 00:01:46.669 工場を経営し そこで作業もし 00:01:46.669 --> 00:01:49.132 祖母は専業主婦でした 00:01:49.132 --> 00:01:51.710 でもそんな生活に トランスフォーマーやスヌーピー 00:01:51.710 --> 00:01:55.851 ニンジャ・タートルズに夢中な 子供がやってきたのです 00:01:55.851 --> 00:02:00.652 僕は 本に出てくるキャラクターに のめり込み 00:02:00.652 --> 00:02:03.727 キャラクターを友達と思っていました 00:02:03.727 --> 00:02:06.029 子供時代の親友は こういったキャラクターで 00:02:06.029 --> 00:02:08.500 本の中から出てきたものです NOTE Paragraph 00:02:08.500 --> 00:02:11.587 マサチューセッツ州ウースターの ゲーツ・レーン小学校に通い 00:02:11.587 --> 00:02:14.283 良い先生に恵まれました 00:02:14.283 --> 00:02:17.684 特に1年生の時の アリッシ先生は特別でした 00:02:17.684 --> 00:02:21.443 今でも先生の 僕ら生徒に対する愛情を覚えています 00:02:21.443 --> 00:02:24.190 今でも先生の 僕ら生徒に対する愛情を覚えています NOTE Paragraph 00:02:24.190 --> 00:02:27.089 僕が3年生のとき 00:02:27.089 --> 00:02:28.832 人生を変える事がありました 00:02:28.832 --> 00:02:31.176 作家が学校に遊びに来たんです ジャック・ガントスという人です 00:02:31.176 --> 00:02:34.616 本が出版されている プロの作家が来て 00:02:34.616 --> 00:02:37.114 彼の仕事について話をしてくれました 00:02:37.114 --> 00:02:40.488 話を聞いた後 教室に戻って 彼の本の主人公の絵を 00:02:40.488 --> 00:02:43.062 自由に想像して描きました 「あくたれラルフ」という悪いネコです 00:02:43.062 --> 00:02:44.511 自由に想像して描きました 「あくたれラルフ」という悪いネコです 00:02:44.511 --> 00:02:47.368 すると突然 あの作家が教室にあらわれ 00:02:47.368 --> 00:02:50.320 机の間をゆっくりと 00:02:50.320 --> 00:02:53.940 黙って 一人ひとりの絵を見ながら 歩いて来ました 00:02:53.940 --> 00:02:57.137 僕の机の横まで来ると 突然 ぴたっと足を止め 00:02:57.137 --> 00:02:59.637 机をトントンと指で叩き こう言ったのです 00:02:59.637 --> 00:03:01.991 「こりゃー いい猫だ」(笑) 00:03:01.991 --> 00:03:04.730 そして また去って行きました 00:03:04.730 --> 00:03:10.066 この二語が 僕の人生を変えてしまったのです NOTE Paragraph 00:03:10.066 --> 00:03:12.905 3年生を終える前に 初めて本を書きました 00:03:12.905 --> 00:03:16.587 『だれよりも飛べると思ったフクロウ』です(笑) 00:03:16.587 --> 00:03:18.872 ギリシャ神話を書くという宿題で 00:03:18.872 --> 00:03:21.715 伝説を作って書けと だから僕はフクロウの話を書きました 00:03:21.715 --> 00:03:25.658 飛行レースでヘルメスに挑戦する話です 00:03:25.658 --> 00:03:27.769 フクロウは ズルをし 00:03:27.769 --> 00:03:31.491 ギリシャの神のヘルメスは怒り カンカンになって 00:03:31.491 --> 00:03:33.360 フクロウを月に変えてしまいます 00:03:33.360 --> 00:03:35.299 フクロウは 残りの人生を月として生き 00:03:35.299 --> 00:03:38.342 夜に家族や友達が遊ぶのを見ながら 人生を送ります 00:03:38.342 --> 00:03:41.754 いいでしょう (笑) NOTE Paragraph 00:03:41.754 --> 00:03:43.906 きちんと奥付のページもつくりました 00:03:43.906 --> 00:03:48.208 著作権は大事だと 8歳ながら思っていましたので 00:03:48.208 --> 00:03:51.339 (笑) 00:03:51.339 --> 00:03:54.586 この本は言葉と絵を使って書かれています 00:03:54.586 --> 00:03:56.774 現在の僕の仕事そのものです 00:03:56.774 --> 00:04:00.461 時には言葉だけに物語りをゆだね 00:04:00.461 --> 00:04:03.531 また 時には絵に物語を伝えさせます 00:04:03.531 --> 00:04:05.766 また 時には絵に物語を伝えさせます NOTE Paragraph 00:04:05.766 --> 00:04:09.112 特に気に入っているのがこの 「著者紹介」のページ (笑) 00:04:09.112 --> 00:04:11.351 特に気に入っているのがこの 「著者紹介」のページ (笑) 00:04:11.351 --> 00:04:14.194 きちんと 三人称で 自分の紹介をしているんです 00:04:14.194 --> 00:04:17.314 子供なのに NOTE Paragraph 00:04:17.314 --> 00:04:20.838 特に最後のところが気に入っています 「彼はこの本を書くのを楽しんだ」 00:04:20.838 --> 00:04:24.769 いろいろ想像して書くのが 本当に楽しかったのを覚えています 00:04:24.769 --> 00:04:25.954 「書く」とはそういう ものなんです 00:04:25.954 --> 00:04:28.469 書くというのは紙上で 想像力を膨らませることですが 00:04:28.469 --> 00:04:31.440 最近 学校を訪問して危機感を感じるのは 00:04:31.440 --> 00:04:34.497 子供たちが 書くということが 想像力を使う事だとは 00:04:34.497 --> 00:04:38.311 全く思いもしないということです 00:04:38.311 --> 00:04:42.390 学校で文章を書く機会があればの話ですが 00:04:42.390 --> 00:04:44.578 本を書くのが大好きで 学校から家に帰ると 00:04:44.578 --> 00:04:47.073 紙を束ね 00:04:47.073 --> 00:04:48.994 ホッチキスでとめて 00:04:48.994 --> 00:04:51.834 真っ白いページを 文と絵で埋めたものです 00:04:51.834 --> 00:04:55.510 空想を膨らませるのが とにかく大好きだったんです NOTE Paragraph 00:04:55.510 --> 00:04:57.622 作ったキャラクターが 友達となり 00:04:57.622 --> 00:05:00.682 卵やトマト レタスやかぼちゃ 00:05:00.682 --> 00:05:03.156 みんな冷蔵庫の街に住んでいます 00:05:03.156 --> 00:05:05.978 冒険してオバケ屋敷に行くと 00:05:05.978 --> 00:05:07.381 そこには危険が沢山待ち受けています 00:05:07.381 --> 00:05:12.065 粉々に切り刻もうとしてくる 悪のミキサーとか 00:05:12.065 --> 00:05:18.007 パンの夫婦を誘拐しようとする 悪のトースターとか 00:05:18.007 --> 00:05:20.362 友達を熱で溶かそうとする 悪の電子レンジ 00:05:20.362 --> 00:05:23.759 その友達は 実はバターなんです(笑) 00:05:23.759 --> 00:05:25.962 マンガも書きました 00:05:25.962 --> 00:05:28.099 文と絵を使って違った形で 話を伝えるものです 00:05:28.099 --> 00:05:31.330 文と絵を使って違った形で 話を伝えるものです NOTE Paragraph 00:05:31.330 --> 00:05:33.114 6年生になると 00:05:33.114 --> 00:05:35.970 ウースター学区全体の 美術の予算がカットされ 00:05:35.970 --> 00:05:38.014 ウースター学区全体の 美術の予算がカットされ 00:05:38.014 --> 00:05:41.398 毎週あった美術の授業が 00:05:41.398 --> 00:05:42.995 月2回になり 00:05:42.995 --> 00:05:45.841 月1回 そして 遂には無くなってしまいました 00:05:45.841 --> 00:05:47.713 祖父は頭がいい人で 00:05:47.713 --> 00:05:49.548 これは問題だと気が付いたのです 00:05:49.548 --> 00:05:53.128 これが無くなったら 僕には何もなくなってしまうと 00:05:53.128 --> 00:05:55.910 スポーツはしないので 美術が唯一の楽しみでした 00:05:55.910 --> 00:05:58.368 祖父は ある晩 僕の部屋に入って来ると 00:05:58.368 --> 00:05:59.913 ベッドの脇に座って 00:05:59.913 --> 00:06:02.152 「ジャレット もし行きたかったら 00:06:02.152 --> 00:06:04.641 ウースター美術館の教室に 通うといい」 00:06:04.641 --> 00:06:06.238 ほんとうに嬉しかったのを覚えています 00:06:06.238 --> 00:06:07.908 その後 6年生から高校卒業まで 00:06:07.908 --> 00:06:09.909 週に1回 2回 時には3回 00:06:09.909 --> 00:06:11.628 美術館の教室に通いました 00:06:11.628 --> 00:06:14.660 絵を描くのが好きな仲間に囲まれ 00:06:14.660 --> 00:06:18.064 情熱を共有できる友人たちと過ごしました NOTE Paragraph 00:06:18.064 --> 00:06:21.023 初めて出版された作品は 中学の卒業アルバムの 表紙のデザインでした 00:06:21.023 --> 00:06:23.634 初めて出版された作品は 中学の卒業アルバムの 表紙のデザインでした 00:06:23.634 --> 00:06:26.901 学校のマスコットが なぜ こんな服を着ているかというと 00:06:26.901 --> 00:06:29.509 当時 ベル・ビヴ・デヴォーやMCハマー 00:06:29.509 --> 00:06:33.370 バニラ・アイスにはまっていたからなんです 00:06:33.370 --> 00:06:37.263 今でも カラオケに行って 「アイス、アイス、ベイビー」なら 00:06:37.263 --> 00:06:39.806 歌詞を見ないで歌えます 00:06:39.806 --> 00:06:43.316 のせないで下さい 歌っちゃいますから NOTE Paragraph 00:06:43.316 --> 00:06:45.238 卒業後は私立の高校に進学しました 00:06:45.238 --> 00:06:47.461 中学まではずっと公立でしたが 00:06:47.461 --> 00:06:49.836 地元の高校で誰かが刺されて殺されたのを 00:06:49.836 --> 00:06:52.197 なぜか祖父はとても気にして 00:06:52.197 --> 00:06:54.893 その学校には行かせたくなかったようです 00:06:54.893 --> 00:06:57.704 私立に行くにあたって 選択肢をくれました 00:06:57.704 --> 00:06:59.440 共学のホーリーネームか 00:06:59.440 --> 00:07:01.813 男子校のセント・ジョンのどちらかです 00:07:01.813 --> 00:07:04.013 さすが祖父です いかにも僕が選んだような気にさせて 00:07:04.013 --> 00:07:06.749 僕がセイント・ジョンを選ばないだろうと 00:07:06.749 --> 00:07:08.545 はじめから分かっていたのです 00:07:08.545 --> 00:07:10.243 そんなわけでホーリーネームに進学しました 00:07:10.243 --> 00:07:13.011 新しい学校に慣れるのには苦労しました 00:07:13.011 --> 00:07:14.571 スポーツはやらないと お話ししましたが 00:07:14.571 --> 00:07:17.052 この学校はスポーツが盛んだったんです 00:07:17.052 --> 00:07:21.216 でもシラール先生の 美術室が救いでした 00:07:21.216 --> 00:07:23.714 そこで色々な事を学び 大きく成長しました 00:07:23.714 --> 00:07:26.873 毎日 あの教室に行くのが楽しみでした NOTE Paragraph 00:07:26.873 --> 00:07:29.160 どうやって皆と友達になったかというと 00:07:29.160 --> 00:07:33.393 先生達の面白い似顔絵を描いて(笑) 00:07:33.393 --> 00:07:36.150 授業中に回したんです 00:07:36.150 --> 00:07:39.948 高校1年の英語の授業中 00:07:39.948 --> 00:07:41.924 隣に座っていた友達のジョンが 00:07:41.924 --> 00:07:44.639 うっかり大きな声で笑ってしまったんです 00:07:44.639 --> 00:07:46.920 グリーンウッド先生は むっとしました(笑) 00:07:46.920 --> 00:07:50.827 グリーンウッド先生は むっとしました(笑) 00:07:50.827 --> 00:07:54.212 僕が問題の根源だとすぐにつきとめ 00:07:54.212 --> 00:07:58.227 人生初めて廊下に出されました 00:07:58.227 --> 00:08:00.409 「ああ どうしよう 00:08:00.409 --> 00:08:03.614 おじいちゃんに叱られる」 00:08:03.614 --> 00:08:05.175 先生は廊下に出てくると 00:08:05.175 --> 00:08:06.293 「紙を見せろ」と 00:08:06.293 --> 00:08:11.357 「やばい ばれた」と戸惑いながら 00:08:11.357 --> 00:08:14.193 仕方なく描いていた絵を渡しました 00:08:14.193 --> 00:08:17.406 数秒の沈黙の後 00:08:17.406 --> 00:08:19.554 先生が口を開きました 00:08:19.554 --> 00:08:22.917 「君 、才能があるぞ」(笑) 00:08:22.917 --> 00:08:25.606 「実にうまい 学校の新聞が 00:08:25.606 --> 00:08:27.989 漫画家を探しているんだ 君がなったらいい 00:08:27.989 --> 00:08:31.615 でも 僕の授業中に絵を描くのは やめてくれ」 NOTE Paragraph 00:08:31.615 --> 00:08:33.949 両親にもばれずに済み 00:08:33.949 --> 00:08:37.175 怒られも しませんでした ケイシー先生に紹介されました 00:08:37.175 --> 00:08:38.839 学校新聞の顧問です 00:08:38.839 --> 00:08:43.411 そこで卒業するまで 00:08:43.411 --> 00:08:45.787 学校新聞のイラストを担当しました 00:08:45.787 --> 00:08:47.959 テーマはとても複雑なもの 00:08:47.959 --> 00:08:51.067 例えば 上級生は意地悪だとか 00:08:51.067 --> 00:08:53.663 新入生はダサイとか 00:08:53.663 --> 00:08:59.468 プロム行くのに なんてお金がかかるのか… 等です 00:08:59.468 --> 00:09:03.052 校長先生の風刺もしました 00:09:03.052 --> 00:09:06.915 連載ものも やりました 主人公はウェスリーが 00:09:06.915 --> 00:09:10.161 どうしようもない恋に落ちる話ですが これは僕ではないと 00:09:10.161 --> 00:09:12.277 断言したのを覚えています 00:09:12.277 --> 00:09:16.079 でも 今言ってしまうと 実は僕自身の話だったんです NOTE Paragraph 00:09:16.079 --> 00:09:18.207 でも本当に楽しかった いろんな話を書いて 00:09:18.207 --> 00:09:19.385 好きな事を思い付いて 00:09:19.385 --> 00:09:21.688 それが学校の新聞に載り 00:09:21.688 --> 00:09:24.298 会った事もない人たちが 読んでいるんです 00:09:24.298 --> 00:09:27.353 自分の考えを 印刷されたページで 00:09:27.353 --> 00:09:29.683 伝えられるなんて 考えただけでも わくわくしました NOTE Paragraph 00:09:29.698 --> 00:09:32.879 14歳の誕生日に祖父と祖母が 00:09:32.879 --> 00:09:35.124 最高のプレゼントをくれました 00:09:35.124 --> 00:09:40.043 製図台で 今でも使っています 00:09:40.043 --> 00:09:41.299 20年たった今でも 00:09:41.299 --> 00:09:45.843 毎日その机に向かって 仕事をしているのです 00:09:45.843 --> 00:09:48.253 14歳の誕生日の夜に 00:09:48.253 --> 00:09:52.418 この机をもらって 皆で中華料理を食べました 00:09:52.418 --> 00:09:56.038 フォーチュンクッキーの中の紙には こんな運勢が書いてありました 00:09:56.038 --> 00:09:58.315 「仕事で成功するでしょう」 00:09:58.315 --> 00:10:01.143 この紙を机の左上に テープで貼りました 00:10:01.143 --> 00:10:03.102 ほら 今でもここにあるでしょう 00:10:03.102 --> 00:10:07.003 祖父母には何かをねだった事はありません 00:10:07.003 --> 00:10:09.347 実はふたつだけ… 偉大なるハムスターのラスティー 00:10:09.347 --> 00:10:13.483 小学校4年生の時買ってもらって 長い良い人生を生きました 00:10:13.483 --> 00:10:16.302 (笑) 00:10:16.302 --> 00:10:19.499 それから ビデオカメラ 00:10:19.499 --> 00:10:21.739 どうしても欲しかったんです 00:10:21.739 --> 00:10:24.220 クリスマスプレゼントに欲しいと 何回も頼んだ結果 00:10:24.220 --> 00:10:26.651 中古のビデオカメラを買ってもらいました 00:10:26.651 --> 00:10:30.483 それでアニメーションを作り始め 00:10:30.483 --> 00:10:32.683 自分で演出して 00:10:32.683 --> 00:10:35.363 高校にいる間ずっと 自作のアニメーションを作ったものです 00:10:35.363 --> 00:10:38.460 高校2年の時 英語の先生を説得して 00:10:38.460 --> 00:10:40.787 スティープン・キングの『ミザリー』の 感想文を書く代わりに 00:10:40.787 --> 00:10:45.551 短いアニメーションを作りました(笑) NOTE Paragraph 00:10:45.551 --> 00:10:48.407 漫画も沢山描きました 00:10:48.407 --> 00:10:52.351 漫画を よく描いていた頃 ウースター美術館で 00:10:52.351 --> 00:10:56.584 ある先生から人生で 最も大切な事を習いました 00:10:56.584 --> 00:10:59.473 マーク・リンチという素晴らしい先生で 00:10:59.473 --> 00:11:01.688 今でも親しくしてします 00:11:01.688 --> 00:11:04.095 僕は14歳か15歳 00:11:04.095 --> 00:11:07.116 漫画教室の半分ぐらいが経った頃 00:11:07.116 --> 00:11:08.930 わくわくしながら授業に行きました 00:11:08.930 --> 00:11:12.231 マーベル風コミックの描き方 という本を持って行ったんです 00:11:12.231 --> 00:11:14.536 スーパーヒーローの描き方や 00:11:14.536 --> 00:11:16.864 女の人、筋肉の描き方 00:11:16.864 --> 00:11:18.790 エックスマンでもスパイダーマンでも それらしく描く方法が載っていました 00:11:18.790 --> 00:11:21.615 エックスマンでもスパイダーマンでも それらしく描く方法が載っていました 00:11:21.615 --> 00:11:24.507 それを見た先生の顔から 血の気が引くのがわかりました 00:11:24.507 --> 00:11:26.246 僕の顔を見てこう言いました 00:11:26.246 --> 00:11:29.016 「この本から習ったことは全部忘れなさい」 00:11:29.016 --> 00:11:32.840 僕が戸惑っていると 「君はいいものを持っている 00:11:32.840 --> 00:11:37.002 自分のスタイルを認め 他人の描き方を真似するな 00:11:37.002 --> 00:11:39.160 自分のスタイルを貫いて 磨きをかけるんだ 00:11:39.160 --> 00:11:41.609 君は本当に才能があるんだから」と 教えてくれました NOTE Paragraph 00:11:41.609 --> 00:11:45.183 十代の後半は誰でも 気にならない事が色々あるものですが 00:11:45.183 --> 00:11:48.696 17年間 ヨーヨーの様に 00:11:48.696 --> 00:11:50.858 僕の人生に出入りを 繰り返す母や 00:11:50.858 --> 00:11:54.759 顔も知らない父を持ち 本当にムシャクシャしていました 00:11:54.759 --> 00:11:57.481 17歳の時 初めて父に会い 00:11:57.481 --> 00:12:01.382 同時に弟や妹がいる事を知りました 00:12:01.382 --> 00:12:03.302 父に初めて会ったその日に 00:12:03.302 --> 00:12:06.066 ロードアイランド・デザイン学校から 不合格の通知を受け取りました 00:12:06.066 --> 00:12:09.817 唯一 行きたいと思っていた 大学だったんです NOTE Paragraph 00:12:09.817 --> 00:12:12.209 そんな時 キャンプ・サンシャインで 00:12:12.209 --> 00:12:14.709 一週間ボランティアとして働き すばらしい子供たちに出会いました 00:12:14.709 --> 00:12:17.781 白血病の子供たちで エリックという子が僕の人生を変えました 00:12:17.781 --> 00:12:20.346 エリックは6歳になる前に 亡くなりましたが 00:12:20.346 --> 00:12:22.911 今でも僕の心の中に生きています NOTE Paragraph 00:12:22.911 --> 00:12:26.600 この経験と美術のシラール先生が 持ってきた絵本がきっかけで 00:12:26.600 --> 00:12:27.792 この経験と美術のシラール先生が 持ってきた絵本がきっかけで 00:12:27.792 --> 00:12:29.642 「子供の絵本を作ろう!」と 00:12:29.642 --> 00:12:34.710 子供向けの本を書き始めたのです 00:12:34.710 --> 00:12:36.439 高校を卒業する年でした 00:12:36.439 --> 00:12:39.227 後に ロードアイランド・デザイン学校 に合格し 00:12:39.227 --> 00:12:41.331 2年生から編入し 00:12:41.331 --> 00:12:44.962 ものを書く事について 受けられる授業は全て受けました 00:12:44.962 --> 00:12:48.995 在学中に巨大なオレンジナメクジの話を書きました 00:12:48.995 --> 00:12:50.647 ある子と友達になりたかったのに 00:12:50.647 --> 00:12:52.156 のろいので 駄目だった話です 00:12:52.156 --> 00:12:55.395 出版社 十数社に本を送ったのですが 00:12:55.395 --> 00:12:57.939 どの会社からも断られました 00:12:57.939 --> 00:13:00.692 その頃 ホール・イン・ザ・ウォール・ ギャング・キャンプという 00:13:00.692 --> 00:13:03.677 重病の子供のためのキャンプでも働いていて 00:13:03.677 --> 00:13:06.925 その子たちが僕の本のファンでした 00:13:06.925 --> 00:13:10.692 僕の作品を読み聞かせすると 喜んで聞いてくれたんです NOTE Paragraph 00:13:10.692 --> 00:13:14.428 RISDを卒業し 祖父母も喜んでくれました 00:13:14.428 --> 00:13:17.046 ボストンに引越し 作業場を整えました 00:13:17.046 --> 00:13:19.221 スタジオを構え 出版されるよう努力しました 00:13:19.221 --> 00:13:22.262 本を送ったり 編集者や美術監督者に 何百枚も絵葉書を送りました 00:13:22.262 --> 00:13:24.659 本を送ったり 編集者や美術監督者に 何百枚も絵葉書を送りました 00:13:24.659 --> 00:13:26.299 でも返事は返ってきませんでした 00:13:26.299 --> 00:13:28.154 祖父からは毎週電話がかかってきて 00:13:28.154 --> 00:13:32.485 「ジャレット どうだい 仕事は見つかったかい?」と訊かれます 00:13:32.485 --> 00:13:34.749 大学教育に 多額の投資をしてくれたので 00:13:34.749 --> 00:13:36.670 心配して当然です 00:13:36.670 --> 00:13:40.525 「仕事はあるよ 絵本を書いているんだ」 00:13:40.525 --> 00:13:44.043 「でも 誰か金を払ってくれるのかい」 00:13:44.043 --> 00:13:46.009 「まだ いないけれど そのうち 00:13:46.009 --> 00:13:47.169 きっといつか成功するよ」 NOTE Paragraph 00:13:47.169 --> 00:13:50.662 週末にはホール・イン・ザ・ウォールで働きました 00:13:50.662 --> 00:13:53.845 起業にお金が必要だったんです 00:13:53.845 --> 00:13:57.597 キャンプには たいへん落ち着きのない子がいて 00:13:57.597 --> 00:14:00.469 「おサル君」とあだ名をつけました 00:14:00.469 --> 00:14:04.150 帰宅後『おやすみ、おサル君』 という 本を書き 00:14:04.150 --> 00:14:07.432 これが最後と決め 出版社に絵葉書を送りました 00:14:07.432 --> 00:14:10.806 すると ランダムハウスの編集者から メールが届きました 00:14:10.806 --> 00:14:14.557 タイトルに「ステキな作品ですね!」 びっくりマークつきです NOTE Paragraph 00:14:14.557 --> 00:14:16.345 「ジャレット様  絵葉書受け取りました 00:14:16.345 --> 00:14:19.108 イラストが気に入ったので あなたのウエブページを見てみました 00:14:19.108 --> 00:14:23.069 お話も書くんですか? 00:14:23.069 --> 00:14:25.735 とても良いイラストで 何かストーリー性がありそうです 00:14:25.735 --> 00:14:29.806 ニューヨークに来る機会があったら 是非ご連絡ください」 00:14:29.806 --> 00:14:33.108 なんと ランダムハウスの児童書の編集者からです NOTE Paragraph 00:14:33.108 --> 00:14:35.444 翌週 ニューヨークに行く用事が「偶然」あったので(笑) 00:14:35.444 --> 00:14:38.388 翌週 ニューヨークに行く用事が「偶然」あったので(笑) 00:14:38.388 --> 00:14:40.700 この編集者と会い 00:14:40.700 --> 00:14:43.924 契約書を手にニューヨークから帰ってきました 00:14:43.924 --> 00:14:44.957 『おやすみ、おサル君』は 00:14:44.957 --> 00:14:48.419 2001年6月12日に出版されました NOTE Paragraph 00:14:48.419 --> 00:14:54.114 地元の新聞はこのニュースを賞賛し 00:14:54.114 --> 00:14:58.379 地元の本屋は大騒ぎし 00:14:58.379 --> 00:15:00.268 本は売り切れになりました 00:15:00.268 --> 00:15:04.045 ハッピーな「お通夜」に来たみたい と友達が言いました 00:15:04.045 --> 00:15:06.622 親族や知人が列に並び 僕に会いに集まっていたからです 00:15:06.622 --> 00:15:09.646 もちろん 死んでなんかいません 本にサインをしていたんです 00:15:09.646 --> 00:15:11.193 祖父母は皆に取り囲まれ 00:15:11.193 --> 00:15:13.782 とてもにこにこ 自慢げでした 00:15:13.782 --> 00:15:17.534 アリッシ先生やシラール先生 ケイシー先生もいました 00:15:17.534 --> 00:15:18.973 アリッシ先生は列に横入りして 先頭まで来ると 00:15:18.973 --> 00:15:22.230 「読み方を教えたのは この私よ」と自慢しました NOTE Paragraph 00:15:22.230 --> 00:15:24.774 その後 すごく嬉しい事がありました 00:15:24.774 --> 00:15:26.990 心に残るファンレターの第一号をもらったんです 00:15:26.990 --> 00:15:30.265 この子は「おサル君」が大好きで 00:15:30.265 --> 00:15:33.861 誕生日に「おサル君」のケーキを頼んだんです 00:15:33.861 --> 00:15:38.248 2才にとっては 刺青を入れるくらい 深い意味があるでしょう(笑) 00:15:38.248 --> 00:15:41.309 誕生日なんて1年に1回のものですから 00:15:41.309 --> 00:15:44.154 それも たった2回目の特別なものです 00:15:44.154 --> 00:15:45.160 この写真を見て思いました 00:15:45.160 --> 00:15:47.202 「この出来事を永遠に覚えていてくれるだろう 00:15:47.202 --> 00:15:50.878 家族のアルバムを見るたびに 00:15:50.878 --> 00:15:53.834 いつまでもこの写真があるのだから」 NOTE Paragraph 00:15:53.834 --> 00:15:56.502 僕も写真を額に入れて目の前に飾り 00:15:56.502 --> 00:15:59.549 それを見ながら 何冊もの本を執筆しました NOTE Paragraph 00:15:59.549 --> 00:16:02.109 これまで出版した絵本は10冊になりました 00:16:02.109 --> 00:16:05.509 『パンクファーム』 『バッグヘッド』 『紫色の象 オリー』 00:16:05.509 --> 00:16:07.793 グラフィックノベルの 『 給食のおばさん』シリーズは 00:16:07.793 --> 00:16:10.286 9冊目を描き終えたところです 00:16:10.286 --> 00:16:12.870 給食のおばさんが 悪と戦う話です 00:16:12.870 --> 00:16:15.686 低学年用の本 00:16:15.686 --> 00:16:19.366 『カモノハシ警察隊: 鳴いたカエル』も もうすぐ出版されます 00:16:19.366 --> 00:16:22.936 国中いろいろな学校を訪れ 00:16:22.936 --> 00:16:27.446 沢山の子供に「いい猫だ」と伝えてきました NOTE Paragraph 00:16:27.446 --> 00:16:29.974 紙袋をかぶった 本物の バッグヘッドたちにも会いました 00:16:29.974 --> 00:16:34.545 給食のおばさんは会うと とても親切にしてくれます 00:16:34.545 --> 00:16:39.069 このように有名になれたこのは 00:16:39.069 --> 00:16:40.919 子供たちのお陰です 00:16:40.919 --> 00:16:43.009 『給食のおばさん』シリーズは 00:16:43.009 --> 00:16:45.990 3・4年生向けの本のカテゴリーで 「今年最高の児童書」賞を2回 受賞しました 00:16:45.990 --> 00:16:47.960 賞を取った作品は 00:16:47.960 --> 00:16:52.220 タイムズ・スクエアの 電光掲示板に映し出されるんです 00:16:52.220 --> 00:16:54.944 『パンクファーム』と『給食のおばさん』は 00:16:54.944 --> 00:16:57.518 映画化が進んでおり つまり僕は映画プロデューサーです 00:16:57.518 --> 00:17:00.251 あの高校1年のときにもらった ビデオカメラのお陰です 00:17:00.251 --> 00:17:02.815 あの高校1年のときにもらった ビデオカメラのお陰です 00:17:02.815 --> 00:17:05.585 『パンクファーム』の誕生会や 00:17:05.585 --> 00:17:08.472 『パンクファーム』のハロウィーンの仮装や 00:17:08.472 --> 00:17:10.101 『パンクファーム』の子供部屋 00:17:10.101 --> 00:17:14.916 こんな部屋で育った子は 将来どうなるのか ちょっと心配ですね NOTE Paragraph 00:17:14.916 --> 00:17:17.387 心に残るファンからの手紙をもらたり 00:17:17.387 --> 00:17:19.795 すごい作品をもらったりします 00:17:19.795 --> 00:17:23.147 一番感動したのは 去年のハロウィーンの事です 00:17:23.147 --> 00:17:25.301 ベルが鳴ってドアを開けると 仮装した子供たちがいました 00:17:25.301 --> 00:17:29.458 僕の絵本のキャラクターに変装して うれしかったです NOTE Paragraph 00:17:29.458 --> 00:17:32.572 祖父母はすでに他界しましたが 00:17:32.572 --> 00:17:35.636 祖父母を記念する奨学金を ウースター美術館に設立しました 00:17:35.636 --> 00:17:38.911 難しい状況にある子供達で 00:17:38.911 --> 00:17:41.619 授業を受けるお金もない 子供達のための基金です 00:17:41.619 --> 00:17:44.210 美術館で展示会があり 十年間の作品が展示されました 00:17:44.210 --> 00:17:47.306 誰が見に来てくれたと思います? アリッシ先生です NOTE Paragraph 00:17:47.306 --> 00:17:48.993 先生に「お元気ですか?」と訊ねると NOTE Paragraph 00:17:48.993 --> 00:17:52.099 「まだ 生きてるわよ」と答えが返ってきました(笑) NOTE Paragraph 00:17:52.099 --> 00:17:58.713 そう まだお元気で なによりです NOTE Paragraph 00:17:58.713 --> 00:18:00.389 でも 何が 人生で最高かというと 00:18:00.389 --> 00:18:02.375 今 一番大切な事は 父親となり 00:18:02.375 --> 00:18:04.723 かわいい娘が二人いるんですけれど 00:18:04.723 --> 00:18:07.514 創造性を引き出す環境で 子供達を育てることなんです 00:18:07.514 --> 00:18:10.636 家中どこの部屋にも本が置いてあります 00:18:10.636 --> 00:18:13.226 子供部屋の壁には絵を描きました 00:18:13.226 --> 00:18:16.865 庭のテラスに顔を描いて遊んだり ふとした瞬間に創作意欲がわくものです 00:18:16.865 --> 00:18:20.350 庭のテラスに顔を描いて遊んだり ふとした瞬間に創作意欲がわくものです 00:18:20.350 --> 00:18:22.674 僕が20年愛用している あの机で遊ばせたりもするんです 00:18:22.674 --> 00:18:25.362 僕が20年愛用している あの机で遊ばせたりもするんです 00:18:25.362 --> 00:18:27.638 ありがとうございました(拍手)