WEBVTT 00:00:02.134 --> 00:00:03.293 私が子供の頃 00:00:03.317 --> 00:00:05.825 ある強烈な体験をした事が きっかけとなり 00:00:05.849 --> 00:00:08.923 その日から同じ体験を ずっと探し求めてきましたが 00:00:08.947 --> 00:00:10.459 間違った場所ばかり 探っていました 00:00:11.327 --> 00:00:13.920 そのある体験とは バーチャルリアリティー(VR)ではなく 00:00:14.633 --> 00:00:15.816 音楽でした 00:00:16.251 --> 00:00:18.547 本日の話はそこから始まります NOTE Paragraph 00:00:19.797 --> 00:00:21.167 この子供は私です 00:00:21.191 --> 00:00:23.137 『ザ・ビートルズ』に 聴き入ってますが 00:00:23.161 --> 00:00:26.329 この表情を見れば 00:00:26.353 --> 00:00:29.099 私がずっと探し求めている体験が 何なのか分かると思います 00:00:29.938 --> 00:00:32.524 音楽は真っ直ぐに感情の脈を刺激し 00:00:32.548 --> 00:00:34.154 血管に入り込み 00:00:34.178 --> 00:00:35.509 ハートを打ちます 00:00:36.157 --> 00:00:38.678 全ての体験を深化させます 00:00:39.717 --> 00:00:40.883 音楽を NOTE Paragraph 00:00:41.454 --> 00:00:45.672 (音楽) NOTE Paragraph 00:00:47.472 --> 00:00:49.624 絶妙な2人 マッケンジー・スタバートと 00:00:49.648 --> 00:00:51.527 ジョシュア・ローマンです 00:00:51.551 --> 00:00:52.714 音楽とはー NOTE Paragraph 00:00:52.738 --> 00:00:53.932 (拍手) NOTE Paragraph 00:00:53.956 --> 00:00:55.114 ええ NOTE Paragraph 00:00:56.630 --> 00:01:00.455 音楽は全ての事に 感動の響きを加えます 00:01:01.229 --> 00:01:03.158 このトークにも 効果があるでしょうか 00:01:03.825 --> 00:01:07.569 ある音楽がある瞬間と 交わることにより 00:01:07.593 --> 00:01:08.918 細胞で感じる衝撃を与えます 00:01:09.382 --> 00:01:11.662 ある歌を耳にすると 00:01:12.502 --> 00:01:13.805 あのひと夏 共に過ごした 00:01:14.488 --> 00:01:15.665 ある1人の女性の記憶が 00:01:16.480 --> 00:01:18.501 一瞬にして戻ってきます 00:01:19.963 --> 00:01:21.130 ステーシー しばらくだね NOTE Paragraph 00:01:22.908 --> 00:01:26.186 そんな体験をすると 余計に欲がでてきて 00:01:26.210 --> 00:01:29.808 音楽以外の効果を 更に加えることにより 00:01:30.394 --> 00:01:33.646 もっと強烈な感情を 生み出せないものかと考え 00:01:33.670 --> 00:01:36.504 それがミュージック・ビデオ 制作活動の始まりとなりました 00:01:37.432 --> 00:01:38.906 初めはこんな感じでした 00:01:42.429 --> 00:01:43.672 これは兄弟のジェフです 00:01:44.799 --> 00:01:46.121 ジェフ 悪いね NOTE Paragraph 00:01:46.145 --> 00:01:47.232 (笑) NOTE Paragraph 00:01:47.256 --> 00:01:49.203 この私の様子も同様に笑えます 00:01:50.682 --> 00:01:51.885 凄い動きですよね 00:01:52.444 --> 00:01:53.785 ダンサーになればよかった NOTE Paragraph 00:01:53.809 --> 00:01:54.931 (笑) NOTE Paragraph 00:01:54.955 --> 00:01:56.267 このような実験が更に続き 00:01:56.291 --> 00:01:59.075 そのうち こう変わっていきました 00:02:01.852 --> 00:02:04.492 いずれも同じ体験を探し求めて 到達した結果です 00:02:04.516 --> 00:02:07.175 あの衝撃を作品に封じ込めるために 00:02:08.192 --> 00:02:09.865 それでも満足はできませんでした 00:02:09.889 --> 00:02:13.448 音楽に映像を加えることにより 確かに物語を伝えていますが 00:02:14.261 --> 00:02:16.785 生の音楽がもたらす感動は 00:02:16.809 --> 00:02:19.553 再現できませんでした 00:02:20.795 --> 00:02:23.949 自分の人生とプロとしてのキャリアを 00:02:23.973 --> 00:02:26.812 ミュージック・ビデオ制作に 捧げた者には納得できない結論です 00:02:26.836 --> 00:02:29.137 道を間違えたのだろうか?と 自問し続けました 00:02:30.353 --> 00:02:34.204 ここにいる皆さん 聴衆の皆さんを もっと引き込むことにより 00:02:34.228 --> 00:02:37.230 さらに強烈な体験を与えられないかと 考えるようになりました NOTE Paragraph 00:02:37.901 --> 00:02:41.086 そこでアーロン・コブリンと 新しい技術を試し始めました 00:02:41.110 --> 00:02:44.248 皆さんをもっと映像の中に 引き込む事が可能な技術です 00:02:44.272 --> 00:02:47.906 例えば『The Wilderness Downtown』では 幼少期を過ごした家を 00:02:48.750 --> 00:02:52.510 『The Johnny Cash Project』では 手書きの自画像を 00:02:53.581 --> 00:02:54.981 『3 Dreams of Black』では 00:02:55.791 --> 00:02:57.488 インタラクティブな夢を体験できます 00:02:59.469 --> 00:03:01.426 スクリーンに映し出される 映像を超え 00:03:01.450 --> 00:03:03.431 もっと深く 00:03:03.455 --> 00:03:05.832 人間のハートと想像力に 近づく事を試みてみました 00:03:06.745 --> 00:03:08.091 それでも何かが欠けていました 00:03:09.258 --> 00:03:14.057 ピュアな音楽が生み出す 純粋な感動は再現できませんでした NOTE Paragraph 00:03:15.443 --> 00:03:17.504 そこでSF小説の中でしか 00:03:17.528 --> 00:03:20.227 読んだことのないような 新しい技術を探し始めました 00:03:20.826 --> 00:03:23.235 そして数年経ち巡り合ったのが ある技術の原型です 00:03:23.871 --> 00:03:28.095 南カリフォルニア大のマーク・ボラス研究室の ノニー・デラ・ペーニャの研究です 00:03:29.102 --> 00:03:32.170 体験して直感したのです これだ!と 00:03:33.095 --> 00:03:34.587 雷を味わうような衝撃でした 00:03:35.334 --> 00:03:36.984 それがバーチャルリアリティーでした 00:03:38.047 --> 00:03:40.303 これが5年前に初めて 出会った時の原型です 00:03:41.530 --> 00:03:43.592 そして今です NOTE Paragraph 00:03:44.846 --> 00:03:48.751 この新しい媒体を使った作品に すぐに取りかかりました 00:03:48.775 --> 00:03:50.992 その過程であることに 気がついたのです 00:03:51.664 --> 00:03:55.081 VRは媒体の歴史の上で 00:03:55.105 --> 00:03:56.820 非常に重要な役割を果たすこと 00:03:57.681 --> 00:04:00.398 VRは媒体の最終形態だと確信しました 00:04:01.390 --> 00:04:05.005 本気でそう言えるのは VRでは制作者が映像で表現した体験を 00:04:05.029 --> 00:04:08.317 聴衆が作品を見ることによって 00:04:08.341 --> 00:04:10.011 感じ取る過程から 00:04:10.035 --> 00:04:12.687 直接体験する過程へ 一気に超える事が可能だからです 00:04:13.691 --> 00:04:15.855 腑に落ちない様子ですね ご心配なく 説明します NOTE Paragraph 00:04:15.879 --> 00:04:17.273 (笑) NOTE Paragraph 00:04:17.829 --> 00:04:21.019 媒体の原点にもどり 00:04:21.043 --> 00:04:22.408 分かる範囲で推測すると 00:04:22.432 --> 00:04:25.398 焚き火を囲みながら 物語を語り継ぐことに遡ります 00:04:25.986 --> 00:04:27.451 我々の先祖である酋長がその日 00:04:27.475 --> 00:04:31.104 ツンドラで毛に覆われたマンモスを 狩りに出た話をしています 00:04:32.069 --> 00:04:33.408 彼の言葉を聞き 00:04:34.090 --> 00:04:37.363 自らの体験へと解釈します 00:04:38.839 --> 00:04:40.004 同じような解釈を 00:04:40.028 --> 00:04:42.670 洞窟の壁画でも 00:04:44.241 --> 00:04:45.824 マンモス狩りの話の本でも 00:04:46.472 --> 00:04:47.706 演劇でも 00:04:48.109 --> 00:04:49.295 ラジオの放送でも 00:04:49.749 --> 00:04:50.914 テレビの番組や 00:04:51.582 --> 00:04:52.737 映画でも行います 00:04:53.532 --> 00:04:57.264 これらの媒体には「不信の一時的停止」 と呼ばれる過程が必要です 00:04:57.288 --> 00:05:01.346 なぜなら 物語における現実と 00:05:01.370 --> 00:05:04.792 我々が自分の体験として 物語を理解する自己意識の間に 00:05:04.816 --> 00:05:06.084 隔たりがあるからです 00:05:07.081 --> 00:05:11.157 ここで「自己意識」と表現するのは 我々が周りを体験し 00:05:11.181 --> 00:05:14.517 実際に感じ取ることで生まれる 意識を表現しているからです NOTE Paragraph 00:05:16.580 --> 00:05:19.377 VRはその隔たりの橋渡しをします 00:05:19.985 --> 00:05:24.198 そうする事であなたはツンドラで 一族の酋長と狩りをしたり 00:05:24.222 --> 00:05:26.576 あるいは あなた自身が酋長になったり 00:05:26.600 --> 00:05:29.302 もしかしたら毛に覆われた マンモスだったり NOTE Paragraph 00:05:29.326 --> 00:05:30.961 (笑) NOTE Paragraph 00:05:34.218 --> 00:05:35.830 VRがなぜ画期的なのかと言うと 00:05:36.726 --> 00:05:38.305 他の媒体では 00:05:38.329 --> 00:05:40.599 あなたの意識が 媒体を解釈するのですが 00:05:41.044 --> 00:05:45.214 しかしVRではあなたの意識自体が 媒体だと言えるのです 00:05:46.399 --> 00:05:48.833 VRは無限の可能性を秘めていますが 00:05:48.857 --> 00:05:50.531 今どこまで進化しているのでしょう? 00:05:50.555 --> 00:05:53.141 この媒体の最新技術は どのようなものでしょうか? 00:05:54.318 --> 00:05:55.468 私たちは 00:05:56.746 --> 00:05:57.935 今 ここにいます 00:05:58.724 --> 00:06:01.872 映画技術の初年度と 同じ時点です 00:06:01.896 --> 00:06:03.522 これはリュミエール兄弟の映画ですが 00:06:03.546 --> 00:06:06.905 この映画を初めて見た観客は 映像の中の汽車に轢かれると錯覚し 00:06:06.929 --> 00:06:09.222 あわてて逃げ出したそうです 00:06:10.136 --> 00:06:13.412 この媒体の初期に 起きた事と同じように 00:06:13.436 --> 00:06:16.977 VRも単なる娯楽という枠を超え 00:06:17.001 --> 00:06:18.887 ストーリーを伝える媒体へと 進化するべきです 00:06:18.911 --> 00:06:20.658 映像という媒体でも 00:06:20.682 --> 00:06:23.340 映画という形が 物語を語るために 最も有効な言語なのだと 00:06:23.364 --> 00:06:25.140 悟るまで長い年月を要しました 00:06:25.164 --> 00:06:28.518 今のVRでは 言語を書いているどころか まだ文法を 00:06:28.542 --> 00:06:29.833 勉強しているようなものです NOTE Paragraph 00:06:30.880 --> 00:06:34.431 我々のVR会社Vrse(ヴァース)では 昨年15本のフィルムを作り 00:06:34.455 --> 00:06:36.072 その過程で 色々な事を学びました 00:06:36.801 --> 00:06:40.116 例えば 聴衆の感覚に直接入り込み 00:06:40.140 --> 00:06:42.949 皆さんの感情や体感にも 入り込む事が可能なこと NOTE Paragraph 00:06:43.897 --> 00:06:45.572 ここで実際体験してみてください 00:06:45.596 --> 00:06:46.994 このデモンストレーションでは 00:06:47.018 --> 00:06:50.083 可能な限り見渡せる範囲を 00:06:50.107 --> 00:06:52.320 この巨大な長方形に引き伸ばします 00:06:53.083 --> 00:06:55.033 それでは出発します NOTE Paragraph 00:06:57.642 --> 00:07:01.923 まず VRにおいて カメラの動きには工夫が必要です 00:07:01.947 --> 00:07:04.049 これを誤ると 気分が悪くなることもあります 00:07:04.930 --> 00:07:09.429 カメラを一定の速度で 一直線上に動かすと 00:07:09.453 --> 00:07:11.670 その現象を免れられることを 発見しました 00:07:11.694 --> 00:07:13.421 映像学校の初日に教えられるのは 00:07:13.445 --> 00:07:16.032 すべての手法を 習得してからでないと 00:07:16.056 --> 00:07:17.814 手法に反したことはできないという事です 00:07:17.838 --> 00:07:20.012 我々はVRの手法を 00:07:20.036 --> 00:07:21.564 学び始めたばかりの段階ですが 00:07:21.588 --> 00:07:23.405 手法に反した事を 実験することで 00:07:23.429 --> 00:07:25.958 クリエイティブな効果を 生み出す試みをしています 00:07:25.982 --> 00:07:29.694 ここ 地面を飛び立つ段階で 速度をあげてみました 00:07:29.718 --> 00:07:32.551 そうすることにより実際に 地面を離れる感覚を 00:07:32.575 --> 00:07:33.958 体感してもらいたいのです 00:07:33.982 --> 00:07:36.475 VRではそれが可能なのです NOTE Paragraph 00:07:37.797 --> 00:07:41.871 (音楽) NOTE Paragraph 00:07:43.882 --> 00:07:47.429 もちろんこの媒体でも音楽は 大きな役割を果たします 00:07:47.842 --> 00:07:49.716 音楽が我々の感情を導きます 00:07:50.354 --> 00:07:53.675 NYタイムズ紙と ザック・リヒターと 00:07:53.699 --> 00:07:55.454 友人のJRと共同製作の撮影では 00:07:55.478 --> 00:07:57.363 ヘリコプターに乗りました 00:07:57.387 --> 00:08:01.325 マンハッタンの上空2000フィートに いるのにもかかわらず 00:08:01.349 --> 00:08:02.937 恐怖は感じません 00:08:02.961 --> 00:08:05.869 JRの根性を称えたい そう感じます 00:08:07.022 --> 00:08:08.501 音楽がそこで導いてくれます NOTE Paragraph 00:08:08.525 --> 00:08:10.525 (音楽) NOTE Paragraph 00:08:17.364 --> 00:08:18.971 一般の考えとは反対で 00:08:18.995 --> 00:08:21.661 実はVRも構成から 出来上がっていきます 00:08:21.685 --> 00:08:23.746 映画は長方形の枠から 構成されますが 00:08:23.770 --> 00:08:25.495 それとは全く違うもので 00:08:25.519 --> 00:08:28.031 VRの構成は 意識が存在するところにあり 00:08:28.055 --> 00:08:30.002 自分を中心に 周りが動くことにあります 00:08:30.927 --> 00:08:34.291 この短編映画『Waves of Grace』は Vrse、国連 00:08:34.315 --> 00:08:37.224 ガボ・アローラと イムラーン・イシュマルの共同製作ですが 00:08:37.248 --> 00:08:40.490 VRの中では クローズアップの役割も変化します 00:08:41.139 --> 00:08:45.352 VR空間でクローズアップすると あなたは本当にその人に接近します 00:08:45.954 --> 00:08:48.597 あなたのパーソナルスペースに 人物が入り込みます 00:08:48.621 --> 00:08:52.466 通常親密な相手だけに 入ることを許すスペースです 00:08:52.490 --> 00:08:55.660 そうするとその登場人物に 親近感を感じます 00:08:55.684 --> 00:08:58.392 相手との距離が近づくことにより 生まれる感覚です NOTE Paragraph 00:09:04.639 --> 00:09:08.978 VRを監督するのは映画で 長方形の構成を考えるのとは違い 00:09:09.002 --> 00:09:12.086 どちらかというと視聴者の注目を 引くための振付といえます 00:09:12.864 --> 00:09:15.458 注目を導くのに使う手法を 00:09:15.482 --> 00:09:16.915 「spatialized sound (三次元音響)」 と呼びます 00:09:16.939 --> 00:09:19.907 音の位置を変えることにより 例えば前、左、右 00:09:19.931 --> 00:09:21.310 後ろだったり 00:09:21.334 --> 00:09:24.330 振り向くと 音も同時に回転します 00:09:24.354 --> 00:09:27.856 その手法を使い視聴者の注目を 導くことができるのです 00:09:28.308 --> 00:09:30.886 だからあなたの後ろか 歌声が聞こえたら 00:09:30.910 --> 00:09:32.171 ボノかもしれません NOTE Paragraph 00:09:32.195 --> 00:09:33.402 (笑) NOTE Paragraph 00:09:38.539 --> 00:09:41.294 VRは自分が何かの一部に なったような感覚を与えます 00:09:42.459 --> 00:09:45.968 人間は歴史のほとんどの時間を 小さな家族の一員として過ごしてきました 00:09:45.992 --> 00:09:47.503 それは洞窟の中で始まり 00:09:47.527 --> 00:09:50.960 そこから氏族の一員になり 村民 町民となり 00:09:50.984 --> 00:09:53.676 今はグローバル市民と言えます 00:09:54.211 --> 00:09:58.011 ただ人間の本能としては 00:09:58.035 --> 00:10:00.532 ローカルな身の回りに 強いつながりを感じます 00:10:01.325 --> 00:10:06.283 VRはどんな場所もどの人とでも ローカルな体験を可能にします 00:10:06.307 --> 00:10:08.815 共感を感じさせる装置なのです 00:10:08.839 --> 00:10:12.063 映画 『Clouds Over Sidra』で シリアの難民キャンプへ行くと 00:10:12.087 --> 00:10:16.638 ただ遠い場所を語った 物語を見ているだけではなく 00:10:16.662 --> 00:10:20.485 実際にここにいる我々の物語となります NOTE Paragraph 00:10:22.386 --> 00:10:23.896 これからどうなるのでしょう? 00:10:24.432 --> 00:10:26.889 難しい点は 過去の媒体では 00:10:26.913 --> 00:10:29.283 形式が誕生時に確定されたことです 00:10:30.182 --> 00:10:32.071 映画は長方形の映像という形式で 00:10:32.095 --> 00:10:34.934 初期の映像作家マイブリッジの馬から 現在に至るまで 00:10:35.377 --> 00:10:36.927 この形式は変化していません 00:10:37.654 --> 00:10:41.101 しかしVRは形式として 媒体としては 00:10:42.370 --> 00:10:43.619 まだ完成していません 00:10:44.767 --> 00:10:47.966 セル画や紙や テレビの信号を使うわけでもなく 00:10:47.990 --> 00:10:51.809 世の中を理解する上で 人間が使うものを使います 00:10:52.642 --> 00:10:56.545 私たちはみなさんの感覚を使い 絵を描いているようなものですが 00:10:56.569 --> 00:10:57.891 まだ2つしか使っていません 00:10:59.653 --> 00:11:03.493 そのうち人間の全ての感覚を利用して 00:11:03.517 --> 00:11:07.712 物語をどのように体験するかの選択も できるようになるかもしれません 00:11:08.575 --> 00:11:11.031 今はバーチャルリアリティーと 呼んでいますが 00:11:11.055 --> 00:11:13.849 いずれ これが仮想現実の枠を超えると 00:11:15.345 --> 00:11:16.775 それは何と呼ぶべきなのか? 00:11:17.503 --> 00:11:20.339 例えば ある時見た夢を 言葉で伝えるのではなく 00:11:20.363 --> 00:11:23.137 その夢の中に実際入り込む事ができれば? 00:11:23.860 --> 00:11:27.487 地球で起きる現実を体験するだけでなく 00:11:27.511 --> 00:11:31.937 またはブラックホールの淵の 重力の波の上をサーフィンしたり 00:11:31.961 --> 00:11:34.737 新しい星雲を誕生させてしまったり 00:11:34.761 --> 00:11:37.845 言葉を用いずに 頭の中のありのままの考えを 00:11:37.869 --> 00:11:39.772 伝えることを可能にできたら? 00:11:41.254 --> 00:11:43.335 これらはVR(仮想現実)を超えてしまい 00:11:44.052 --> 00:11:46.398 そうなると正直 何と呼ぶべきかわかりません 00:11:46.884 --> 00:11:49.216 でも 方向性は お分かりになったと思います NOTE Paragraph 00:11:50.629 --> 00:11:54.351 ここまでは体験型と呼んでいる媒体を 知的に表現しているだけですので 00:11:54.839 --> 00:11:56.265 実際に体験してみましょう 00:11:56.845 --> 00:12:00.040 皆さんの手元の Google Cardboardの 00:12:01.143 --> 00:12:02.776 フラップを開けてください 00:12:02.800 --> 00:12:05.333 電源ボタンをタップして 携帯のロックを外してください 00:12:06.145 --> 00:12:07.769 家から視聴している皆さんは 00:12:07.793 --> 00:12:09.629 今カードを表示しますので 00:12:09.653 --> 00:12:12.883 携帯電話にアプリを ダウンロードしてください 00:12:12.907 --> 00:12:16.208 一緒にGoogle Cardboardも 入手できます 00:12:17.275 --> 00:12:19.802 子供の頃ダンボール箱で 遊んだと思いますが 00:12:19.826 --> 00:12:24.410 大人になった今でもあの時に感じた 雷の光を感じるような衝撃を 00:12:24.434 --> 00:12:27.208 箱の中を覗いて体験してください 00:12:29.615 --> 00:12:31.044 これから皆さんは 00:12:31.068 --> 00:12:35.520 史上最大の 合同VR体験に参加されます 00:12:36.236 --> 00:12:39.854 古き良き時代と同じように 00:12:39.878 --> 00:12:42.109 全員同時に同じ映像を 00:12:42.133 --> 00:12:44.130 同時に見てみましょう 00:12:45.019 --> 00:12:46.442 うまくいく事を願って 00:12:46.466 --> 00:12:48.651 カウントダウンは何になってますか NOTE Paragraph 00:12:52.564 --> 00:12:59.558 聴衆:...15, 14, 13, 12, 11, 10, 9 00:12:59.582 --> 00:13:06.446 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1 NOTE Paragraph 00:13:10.327 --> 00:13:14.155 (鳥のさえずり) NOTE Paragraph 00:13:22.508 --> 00:13:25.168 (汽笛) NOTE Paragraph 00:13:33.351 --> 00:13:35.351 聴衆:(声があがる) NOTE Paragraph 00:13:51.285 --> 00:13:52.575 (ビデオ) JR:お教えしましょう 00:13:52.599 --> 00:13:55.076 NYタイムズ・マガジンの 表紙になった作品 00:13:55.100 --> 00:13:57.194 『Walking New York』の 撮影方法です 00:14:06.577 --> 00:14:09.987 ヘリコプターから乗り出した状態で 括り付けられて 00:14:10.011 --> 00:14:14.255 被写体と完全に垂直にならないと うまくいかないわけで 00:14:14.279 --> 00:14:15.897 完璧に頭上にいた時点でー 00:14:15.921 --> 00:14:18.658 風の影響で何回もやり直しした上で 00:14:18.682 --> 00:14:20.476 そこから連写し続けました NOTE Paragraph 00:14:27.598 --> 00:14:29.296 (ビデオ) 女性の声:神よ 00:14:29.900 --> 00:14:31.220 我々を悪からお守りください 00:14:32.654 --> 00:14:33.865 [『Waves of Grace』より] 真実の神よ 00:14:35.044 --> 00:14:36.231 光よ 00:14:41.824 --> 00:14:44.207 我々に生命を与えた あなたが奪いました 00:14:46.191 --> 00:14:47.771 それがあなたの意志なのであれば 00:14:48.941 --> 00:14:53.505 愛する者を亡くした人々の 心に平和を与え 00:14:53.529 --> 00:14:55.272 再び生きる力をお授けください NOTE Paragraph 00:14:58.564 --> 00:15:01.683 (音楽) NOTE Paragraph 00:15:17.066 --> 00:15:18.527 [『Clouds Over Sidra』より] (ビデオ)(子供達の声) NOTE Paragraph 00:15:19.504 --> 00:15:24.169 子供の声:ザータリには今 大人よりも子供の方が多くいるので 00:15:29.924 --> 00:15:31.953 時々思うのは 00:15:31.977 --> 00:15:34.411 僕たちこそが指揮を とっているのさ NOTE Paragraph 00:15:39.410 --> 00:15:40.785 ミルク:どうでしたか? NOTE Paragraph 00:15:40.809 --> 00:15:44.524 (拍手) NOTE Paragraph 00:15:44.548 --> 00:15:47.477 なんだかわざとスタンディング オベーションをさせたようですね 00:15:47.501 --> 00:15:50.309 最後に拍手があると解っていたのでね NOTE Paragraph 00:15:50.333 --> 00:15:51.974 (拍手) NOTE Paragraph 00:15:51.998 --> 00:15:55.817 皆さんが今体験したことを 00:15:55.841 --> 00:15:57.421 全ての人に体験してほしいです 00:15:58.036 --> 00:16:01.203 そうする事により皆一体となり この技術を 00:16:01.227 --> 00:16:03.001 テクノロジーとしてではなく 00:16:03.025 --> 00:16:04.600 人間愛の手法として 育て始められます 00:16:05.498 --> 00:16:08.682 その目的で去年の11月 NYタイムズ紙とVrse合同の 00:16:08.706 --> 00:16:11.992 『The Displaced(避難者)』という VRプロジェクトを制作しました 00:16:12.016 --> 00:16:14.362 このプロジェクトの初日には 100万個のGoogle Cardboardを 00:16:14.386 --> 00:16:17.859 NYタイムズ紙日曜版の 購読者に配布しました 00:16:17.883 --> 00:16:20.401 その日曜日の朝に ある不思議な現象が起きました 00:16:20.425 --> 00:16:21.747 沢山の人々― 00:16:21.771 --> 00:16:25.977 購読紙の受取人以外の人の手にも 渡ったのです 00:16:26.001 --> 00:16:29.545 それと同時にInstagramに こんな投稿があふれました 00:16:33.059 --> 00:16:34.239 見たことありませんか? NOTE Paragraph 00:16:36.252 --> 00:16:38.395 音楽は私をある方向へと 導いてくれました 00:16:38.419 --> 00:16:41.468 長い間手が届かないと 思い込んでいた事を 00:16:41.492 --> 00:16:42.745 探し続ける事ができました 00:16:43.466 --> 00:16:47.437 それにより 何百万人もの子供たちが 私が幼少期に体験したような 00:16:47.461 --> 00:16:49.202 人格形成につながる体験を 00:16:49.226 --> 00:16:51.530 たった今体験しました 00:16:52.316 --> 00:16:54.545 彼らが体験した事は 私が感じた感動を 00:16:54.569 --> 00:16:55.727 更に超える事でしょう 00:16:56.358 --> 00:16:57.508 そんな体験をする事が 00:16:57.859 --> 00:16:59.009 どこに彼らを導くのか 00:16:59.573 --> 00:17:00.723 見届けましょう NOTE Paragraph 00:17:01.384 --> 00:17:02.535 ありがとうございました NOTE Paragraph 00:17:02.559 --> 00:17:09.040 (拍手)