1 00:00:05,224 --> 00:00:10,448 目の前に何かが泳いでいるのに気づいたことがありますか 2 00:00:10,448 --> 00:00:14,085 小さな虫や透明な得体の知れない物のように 見えるかもしれません 3 00:00:14,085 --> 00:00:18,076 それでもっとよく見ようとすると消えてしまって 4 00:00:18,076 --> 00:00:21,727 目をそらすとまた現れる 5 00:00:21,727 --> 00:00:23,816 でも眼を洗ったりしないでください 6 00:00:23,816 --> 00:00:28,451 実はこれはよく起きることで「浮遊物」なのです 7 00:00:28,451 --> 00:00:32,617 この浮遊物の科学的名称は 「ムスカイ ボリタンテス」 8 00:00:32,617 --> 00:00:34,779 ラテン語で「飛蚊症」を意味していて 9 00:00:34,779 --> 00:00:37,933 その名の通り煩わしい物です 10 00:00:37,933 --> 00:00:42,069 しかし実際は虫でもなければ 外的物質でもありません 11 00:00:42,069 --> 00:00:45,209 むしろそれは眼球の中に存在する物なのです 12 00:00:45,209 --> 00:00:48,766 その浮遊物は動いたり形を変えたりするので 生き物のように見えるかもしれませんが 13 00:00:48,766 --> 00:00:50,832 生きていません 14 00:00:50,832 --> 00:00:54,673 浮遊物は網膜に影を落とす小さい物体です 15 00:00:54,673 --> 00:00:58,010 網膜は目の奥にあって光を感じる組織です 16 00:00:58,010 --> 00:00:59,614 浮遊物は組織の小片か 17 00:00:59,614 --> 00:01:00,746 赤血球か 18 00:01:00,746 --> 00:01:02,705 タンパク質の固まりかもしれません 19 00:01:02,705 --> 00:01:06,230 硝子体液中に浮遊しています 20 00:01:06,230 --> 00:01:09,301 硝子体液は目の内部を満たす ジェル状の液体です 21 00:01:09,301 --> 00:01:11,604 だから浮遊物は目が動くと一緒に漂って 22 00:01:11,604 --> 00:01:15,142 目の動きが止まると浮遊物は少し弾みます 23 00:01:15,142 --> 00:01:19,460 大抵の場合 浮遊物はほとんど目立ちません 24 00:01:19,460 --> 00:01:22,735 網膜に近づくほどはっきり見えるようになります 25 00:01:22,735 --> 00:01:26,241 それはまるで電灯の下のテーブルに 手を近づけるのと同じようなことで 26 00:01:26,241 --> 00:01:29,555 もっとくっきりした影を作ることになります 27 00:01:29,555 --> 00:01:31,604 均一に明るい表面を見る時 28 00:01:31,604 --> 00:01:34,606 特に浮遊物が目立ちます 29 00:01:34,606 --> 00:01:36,243 空白のコンピューター画面や 30 00:01:36,243 --> 00:01:37,470 雪や 31 00:01:37,470 --> 00:01:38,838 晴れた空を見るときです 32 00:01:38,838 --> 00:01:43,107 背景の均一さが浮遊物を よりはっきりさせるからです 33 00:01:43,107 --> 00:01:46,785 光が明るくなればなるほど瞳孔が収縮します 34 00:01:46,785 --> 00:01:50,722 このことは大きく広がった光源を 35 00:01:50,722 --> 00:01:53,042 一つの光源に取り替えるのと 同じような効果をもたらし 36 00:01:53,042 --> 00:01:56,189 はっきりした影を作ることになります 37 00:01:56,189 --> 00:01:59,768 このほかにも浮遊物による視覚現象と 同じようなことがありますが 38 00:01:59,768 --> 00:02:02,382 全く別のものです 39 00:02:02,382 --> 00:02:04,784 明るい青空を見た時に小さな光の点が素早く動くのを 40 00:02:04,784 --> 00:02:07,001 見たことがあるでしょう 41 00:02:07,001 --> 00:02:12,273 この体験は「ブルーフィールド内視現象」と言います 42 00:02:12,273 --> 00:02:15,874 ある意味では浮遊物を見るのと反対のことです 43 00:02:15,874 --> 00:02:17,602 この場合は影を見ているわけではありません 44 00:02:17,602 --> 00:02:21,982 小さな動いている窓が光を網膜まで通過させているのです 45 00:02:21,982 --> 00:02:24,820 実はこの窓は網膜の表面にある毛細血管を通って動く 46 00:02:24,820 --> 00:02:28,635 白血球によって作られます 47 00:02:28,635 --> 00:02:31,467 白血球が毛細血管を満たすほど大きいと 48 00:02:31,467 --> 00:02:34,299 白血球の前に血漿だけを含むスペースができます 49 00:02:34,299 --> 00:02:37,132 白血球とこの血漿部分はともに 50 00:02:37,132 --> 00:02:39,166 毛細血管の中にある赤血球よりも 51 00:02:39,166 --> 00:02:41,720 青い光をたくさん透過させるので 52 00:02:41,720 --> 00:02:46,645 この現象が起こるとといつでも動く光の点がみられます 53 00:02:46,645 --> 00:02:51,825 この点は毛細血管の流れに沿って 脈拍と同じリズムで動きます 54 00:02:51,845 --> 00:02:54,080 いい条件が揃えば 55 00:02:54,080 --> 00:02:58,540 点の後ろに黒い尾のようなものまで見えるでしょう 56 00:02:58,540 --> 00:03:02,876 これは白血球の背後に集まっている赤血球なのです 57 00:03:02,876 --> 00:03:07,002 ある科学博物館では青い光の画面の展示がしてあり 58 00:03:07,002 --> 00:03:12,873 そこでこの青い光の妖精を普段よりも ずっとはっきりと見ることができます 59 00:03:12,873 --> 00:03:15,243 この目の体験は誰にでもできますが 60 00:03:15,243 --> 00:03:17,613 個人によって数や種類はとてもちがいます 61 00:03:17,613 --> 00:03:19,983 浮遊物の場合は 62 00:03:19,983 --> 00:03:24,029 脳がそれを無視することを覚えるので 多くの場合は気づきません 63 00:03:24,029 --> 00:03:26,005 しかし異常に数が多かったり 64 00:03:26,005 --> 00:03:28,979 大きな浮遊物が視野を妨害する場合は 65 00:03:28,979 --> 00:03:34,479 もっと深刻な状態を示していて すぐに治療を受ける必要があります 66 00:03:34,479 --> 00:03:37,663 しかし 大抵の場合 内視現象は 67 00:03:37,663 --> 00:03:39,951 例えば浮遊物や青い空の妖精は 68 00:03:39,951 --> 00:03:43,174 実は自分が見ていると思っているものが 69 00:03:43,174 --> 00:03:45,607 外部に存在しているものではなく 70 00:03:45,607 --> 00:03:48,430 生物学や心理によるものだということを そっと教えています