1 00:00:00,720 --> 00:00:02,136 こんにちは 私はエンジニアで 2 00:00:02,160 --> 00:00:04,136 ロボットを製作しています 3 00:00:04,160 --> 00:00:07,656 もちろん皆さんはロボットが どんなものかお分かりですね 4 00:00:07,680 --> 00:00:09,856 分からなければ検索してみると 5 00:00:09,880 --> 00:00:11,736 はっきりします 6 00:00:11,760 --> 00:00:13,000 ではやってみます 7 00:00:13,640 --> 00:00:16,376 検索するとこんな感じです 8 00:00:16,400 --> 00:00:19,576 色んな種類の ロボットがあるのですが 9 00:00:19,600 --> 00:00:23,336 これらは主に構造上 人型ロボットになっています 10 00:00:23,360 --> 00:00:25,016 如何にもロボットという感じです 11 00:00:25,040 --> 00:00:27,496 プラスチックや金属で出来ており 12 00:00:27,520 --> 00:00:29,816 モーターやギア等を 備えていますからね 13 00:00:29,840 --> 00:00:31,456 中には結構 親しみの湧く物もあり 14 00:00:31,480 --> 00:00:33,536 抱えて抱きしめたり 出来そうです 15 00:00:33,560 --> 00:00:34,976 そうでないものもあり 16 00:00:35,000 --> 00:00:37,456 『ターミネーター』から そのまま出てきたようです 17 00:00:37,480 --> 00:00:40,016 実際『ターミネーター』 そのものでしょう 18 00:00:40,040 --> 00:00:42,776 このロボットで ワクワクするような凄い事が 19 00:00:42,800 --> 00:00:44,416 沢山出来るのです 20 00:00:44,440 --> 00:00:47,376 しかし私は 違う種類のロボットに着目し 21 00:00:47,400 --> 00:00:49,376 そんな物を作ってみたいと 思っています 22 00:00:49,400 --> 00:00:52,816 そこで私は人ではなく ある物から 23 00:00:52,840 --> 00:00:54,240 ヒントを得ました 24 00:00:54,680 --> 00:00:57,256 それは自然の中に 存在する生き物で 25 00:00:57,280 --> 00:00:59,856 私達には出来ない 実に凄い事をするのです 26 00:00:59,880 --> 00:01:02,376 現在あるロボットにも 出来ない事を― 27 00:01:02,400 --> 00:01:05,576 色々な事―床を這い回ったり 28 00:01:05,600 --> 00:01:07,856 菜園に入り作物を食べたり 29 00:01:07,880 --> 00:01:09,136 木に登ったり 30 00:01:09,160 --> 00:01:11,376 水に出入りしたり 31 00:01:11,400 --> 00:01:13,976 虫を捕まえて消化したりするのです 32 00:01:14,000 --> 00:01:15,816 実に興味深い事をします 33 00:01:15,840 --> 00:01:19,216 彼らは生き、呼吸をし、死に 34 00:01:19,240 --> 00:01:21,056 自然の中にある物を食します 35 00:01:21,080 --> 00:01:23,656 現存するロボットは実際 そんな事をしません 36 00:01:23,680 --> 00:01:24,896 こんな特性をいくらか 37 00:01:24,920 --> 00:01:28,576 未来のロボットに取り込めたら 大いに関心を集める課題を 38 00:01:28,600 --> 00:01:31,296 解決する手助けになるかも しれませんよね? 39 00:01:31,320 --> 00:01:34,376 現在の環境が抱える 2つの問題を見てみましょう 40 00:01:34,400 --> 00:01:37,136 その環境の下では これらの動植物から見出した 41 00:01:37,160 --> 00:01:39,176 テクノロジーや技術を使う事ができ 42 00:01:39,200 --> 00:01:40,736 問題解決の為には 43 00:01:40,760 --> 00:01:42,856 ロボットが使えるのです 44 00:01:42,880 --> 00:01:45,240 2つの環境問題を 検討してみましょう 45 00:01:45,960 --> 00:01:47,376 両方共 私達が作り出した物で 46 00:01:47,400 --> 00:01:49,856 人が環境と関わる中で かなり不快な事態を 47 00:01:49,880 --> 00:01:52,256 引き起こしたと言える物です 48 00:01:52,280 --> 00:01:55,920 1つ目は人口の増加と 関連しています 49 00:01:56,440 --> 00:01:58,856 世界中の人口が急増する中で 50 00:01:58,880 --> 00:02:03,016 農家や農場は より多くの作物の生産を 求められるようになりました 51 00:02:03,040 --> 00:02:04,256 その為に農家は 52 00:02:04,280 --> 00:02:06,656 農地により多くの化学物質を 使うようになりました 53 00:02:06,680 --> 00:02:09,816 化学肥料や硝酸塩 殺虫剤等です 54 00:02:09,840 --> 00:02:13,216 それらは全て 穀物の生育を促す物ですが 55 00:02:13,240 --> 00:02:15,376 悪影響もあります 56 00:02:15,400 --> 00:02:18,856 その一例として 農地に化学肥料を与え過ぎると 57 00:02:18,880 --> 00:02:21,296 その全てが作物には行き届かず 58 00:02:21,320 --> 00:02:23,896 多くが土に留まり 59 00:02:23,920 --> 00:02:25,376 雨が降ると 60 00:02:25,400 --> 00:02:27,896 肥料は地下水面に流れ込み 61 00:02:27,920 --> 00:02:29,176 そして地下水面から 62 00:02:29,180 --> 00:02:33,920 流水となって湖や川に流れ込み 海へと流れて行くのです 63 00:02:34,400 --> 00:02:37,016 この化学肥料(硝酸塩)の全てが 64 00:02:37,040 --> 00:02:38,656 そうした環境に流れ込むと 65 00:02:38,680 --> 00:02:42,456 それに影響を受ける 生物がいるのです 66 00:02:42,480 --> 00:02:44,096 例えば藻類です 67 00:02:44,120 --> 00:02:46,656 藻類は硝酸塩や 化学肥料が好物なので 68 00:02:46,680 --> 00:02:48,776 そうした物質を 取り込み 69 00:02:48,800 --> 00:02:51,736 条件が整えば 繁殖し 70 00:02:51,760 --> 00:02:54,016 大量の新しい藻類が 増えるでしょう 71 00:02:54,040 --> 00:02:55,576 これをブルームと言います 72 00:02:55,600 --> 00:02:58,776 困った事に藻類が こうした形で繁殖すると 73 00:02:58,800 --> 00:03:01,040 水中の酸素が不足するのです 74 00:03:01,480 --> 00:03:02,736 この事態に陥ると即座に 75 00:03:02,760 --> 00:03:05,680 他の水中の生物は 生き残れなくなるのです 76 00:03:06,080 --> 00:03:08,096 では私達は何をすべきでしょう? 77 00:03:08,120 --> 00:03:12,136 藻類を食べ、それを消費し 安全な物にするロボットを 78 00:03:12,160 --> 00:03:14,016 試作しています 79 00:03:14,040 --> 00:03:15,400 それが1つ目の問題です 80 00:03:15,960 --> 00:03:18,456 2つ目の問題も やはり人が生み出した物で 81 00:03:18,480 --> 00:03:20,360 石油による汚染と 関わりがあります 82 00:03:20,800 --> 00:03:24,536 石油は私達が使用する エンジンやボートから 83 00:03:24,560 --> 00:03:25,896 流出します 84 00:03:25,920 --> 00:03:28,976 時折 タンカーのオイルタンクから 海中にドッと漏れ出し 85 00:03:29,000 --> 00:03:31,256 石油が海に流れ込みます 86 00:03:31,280 --> 00:03:33,856 油田からの汚染を食べてしまう ロボットを使って 87 00:03:33,880 --> 00:03:38,600 この問題を 処理できれば良いですよね? 88 00:03:39,160 --> 00:03:40,776 これが私達の仕事です 89 00:03:40,800 --> 00:03:43,400 汚染物質を食べる ロボットを作るのです 90 00:03:43,880 --> 00:03:45,216 実際そのロボットを作る為に 91 00:03:45,240 --> 00:03:47,440 2つの生物から ヒントを得ました 92 00:03:48,280 --> 00:03:50,416 右側にウバザメが見えます 93 00:03:50,440 --> 00:03:52,976 ウバザメは 大きな体つきをしています 94 00:03:53,000 --> 00:03:55,576 肉食ではないので 一緒に泳ぐ事が出来ます 95 00:03:55,600 --> 00:03:57,056 ご覧の通りです 96 00:03:57,080 --> 00:03:58,936 サメは口を大きく開けて 97 00:03:58,960 --> 00:04:01,800 水中を泳ぎ プランクトンを集めています 98 00:04:02,880 --> 00:04:05,096 動き回り続ける為にその体内で エネルギーを使っているのです 99 00:04:05,120 --> 00:04:08,640 そんなロボットが 私達に作れないものか 100 00:04:09,400 --> 00:04:11,256 海を泳ぎながら 汚染物質を食べ尽くす 101 00:04:11,280 --> 00:04:13,816 ウバザメのような― 102 00:04:13,840 --> 00:04:15,200 出来るかどうかやってみましょう 103 00:04:16,160 --> 00:04:17,896 別の生物からも ヒントを得ました 104 00:04:17,920 --> 00:04:20,976 ここにマツモムシの 写真があります 105 00:04:21,000 --> 00:04:24,886 本当に可愛らしい虫です 106 00:04:24,920 --> 00:04:26,496 水中で泳ぐ時 107 00:04:26,520 --> 00:04:29,000 ぺダルのような脚で 前に進みます 108 00:04:29,600 --> 00:04:31,616 私達はこれら 2つの生物をヒントにして 109 00:04:31,640 --> 00:04:34,640 その両方を繋げ新種の ロボットを作ったのです 110 00:04:35,320 --> 00:04:38,496 実際この虫からヒントを得て 作ったので 111 00:04:38,520 --> 00:04:41,296 このロボットは水面に浮かび 112 00:04:41,320 --> 00:04:42,576 水面を漕ぎます 113 00:04:42,600 --> 00:04:44,816 "Row(漕ぐ)-bot(ロボット)" という名前です 114 00:04:44,840 --> 00:04:48,696 漕ぐロボットなのです 115 00:04:48,720 --> 00:04:51,416 どんなものでしょう? 116 00:04:51,440 --> 00:04:53,176 ここに何枚か Row-botの写真があります 117 00:04:53,200 --> 00:04:54,416 お見せしましょう 118 00:04:54,440 --> 00:04:57,776 最初に見たロボットとは 全く違っていますね 119 00:04:57,800 --> 00:04:59,936 グーグルは間違っています ロボットは 120 00:04:59,960 --> 00:05:01,176 むしろ こんな感じです 121 00:05:01,200 --> 00:05:02,976 ここにRow-botを持って来ました 122 00:05:03,000 --> 00:05:04,416 お見せしますね 123 00:05:04,440 --> 00:05:06,096 大きさが分かるでしょうし 124 00:05:06,120 --> 00:05:08,256 他のロボットとは 違っていると分かるでしょう 125 00:05:08,280 --> 00:05:09,896 これはプラスチックで出来ています 126 00:05:09,920 --> 00:05:11,976 Row-botを構成しているパーツー 127 00:05:12,000 --> 00:05:13,316 これが何故特別なのか 128 00:05:13,340 --> 00:05:14,721 見てみましょう 129 00:05:15,760 --> 00:05:18,576 Row-botは 3つのパーツから出来ていて 130 00:05:18,600 --> 00:05:21,896 それら3つは本当に 生物の一部のようです 131 00:05:21,920 --> 00:05:23,576 脳があり 132 00:05:23,600 --> 00:05:24,976 体があり 133 00:05:25,000 --> 00:05:27,296 胃があります 134 00:05:27,320 --> 00:05:29,736 エネルギーを生み出す為には 胃が必要なのです 135 00:05:29,760 --> 00:05:31,976 どのRow-botにも これら3つのパーツがありますが 136 00:05:32,000 --> 00:05:34,376 それはどんな生物も同様です 137 00:05:34,400 --> 00:05:36,296 では1つずつ見て行きましょう 138 00:05:36,320 --> 00:05:37,576 プラスチックで出来た 139 00:05:37,600 --> 00:05:39,376 体があり それは 140 00:05:39,400 --> 00:05:41,616 水面に浮かぶのです 141 00:05:41,640 --> 00:05:44,576 その側面に水かきがあります 142 00:05:44,600 --> 00:05:46,096 動く手助けとなるオールです 143 00:05:46,120 --> 00:05:47,480 まるでマツモムシのようです 144 00:05:48,200 --> 00:05:49,536 体はプラスチックですが 145 00:05:49,560 --> 00:05:52,416 ここには柔らかい ゴム製の口がこことここにあり 146 00:05:52,440 --> 00:05:54,336 その口は2つです 147 00:05:54,360 --> 00:05:55,776 何故口が2つあるのでしょう? 148 00:05:55,800 --> 00:05:57,616 1つは食べ物を取り入れ 149 00:05:57,640 --> 00:05:59,576 もう片方は 食べ物を排出するのです 150 00:05:59,600 --> 00:06:03,096 つまり口とお尻が ある事が分かります 151 00:06:03,120 --> 00:06:04,336 お尻と言うかー 152 00:06:04,360 --> 00:06:05,376 (笑) 153 00:06:05,400 --> 00:06:07,136 物が出て行く場所で 154 00:06:07,160 --> 00:06:08,856 正に本物の生物のようです 155 00:06:08,880 --> 00:06:11,696 ウバザメにも似てきました 156 00:06:11,720 --> 00:06:13,096 それは体です 157 00:06:13,120 --> 00:06:16,256 2つ目のパーツは 胃かもしれません 158 00:06:16,280 --> 00:06:20,176 ロボットにエネルギーを供給し 汚染物質を処理する必要があるので 159 00:06:20,200 --> 00:06:21,736 汚染物質が中に入り 160 00:06:21,760 --> 00:06:23,256 何かを行います 161 00:06:23,280 --> 00:06:26,856 真ん中の この部分には 微生物燃料電池という電池があります 162 00:06:26,880 --> 00:06:29,640 これを置いて 燃料電池をお見せします 163 00:06:30,200 --> 00:06:32,056 これはバッテリーを 装備する代わりとなり 164 00:06:32,080 --> 00:06:34,256 従来の電力装置の 代わりとなるものです 165 00:06:34,280 --> 00:06:35,536 1つお見せしましょう 166 00:06:35,560 --> 00:06:36,816 これはロボットの胃です 167 00:06:36,840 --> 00:06:38,096 本当に胃の働きをします 168 00:06:38,120 --> 00:06:41,536 こちらの側から汚染物質という形で エネルギーを入れる事が出来るからで 169 00:06:41,560 --> 00:06:43,216 それが電気を生み出すのです 170 00:06:43,240 --> 00:06:44,456 これは何でしょう? 171 00:06:44,480 --> 00:06:46,136 微生物燃料電池と 呼ばれるものです 172 00:06:46,160 --> 00:06:48,256 少しだけ 化学燃料電池に似ています 173 00:06:48,280 --> 00:06:50,296 それを学校で 見かけたかもしれないし 174 00:06:50,320 --> 00:06:51,936 ニュースで見たかもしれません 175 00:06:51,960 --> 00:06:54,096 化学燃料電池は 水素と酸素を取り込み 176 00:06:54,120 --> 00:06:56,936 反応させて 電気を生み出します 177 00:06:56,960 --> 00:07:00,376 技術は十分に確立されたもので アポロ宇宙計画で使われました 178 00:07:00,400 --> 00:07:01,880 40〜50年前の事です 179 00:07:02,440 --> 00:07:03,696 それより少しだけ新しいのが 180 00:07:03,720 --> 00:07:05,176 微生物燃料電池です 181 00:07:05,200 --> 00:07:06,456 原理は同じです 182 00:07:06,480 --> 00:07:07,896 片側に酸素を入れますが 183 00:07:07,920 --> 00:07:10,016 もう片側には 水素を入れる代わりに 184 00:07:10,040 --> 00:07:11,336 スープを少量入れます 185 00:07:11,360 --> 00:07:14,176 そのスープの中には 生きた微生物が入っています 186 00:07:14,200 --> 00:07:16,896 少し有機物質を入れると― それは廃棄物や 187 00:07:16,920 --> 00:07:19,256 サンドイッチの残りといった 188 00:07:19,280 --> 00:07:20,776 残飯かもしれませんが― 189 00:07:20,800 --> 00:07:23,616 そこに入れると 微生物がそれを食べ 190 00:07:23,640 --> 00:07:25,520 それが電気に変わるのです 191 00:07:26,400 --> 00:07:29,896 そればかりか 適切な微生物を選べば 192 00:07:29,920 --> 00:07:33,680 汚染物質を処理する為に 微生物燃料電池が使えるのです 193 00:07:34,400 --> 00:07:36,016 適切な微生物を選べば 194 00:07:36,040 --> 00:07:38,656 微生物は藻類を食べます 195 00:07:38,680 --> 00:07:41,016 別の種類の微生物を選べば 196 00:07:41,040 --> 00:07:44,560 石油溶剤や原油を 食べるでしょう 197 00:07:44,960 --> 00:07:47,656 この胃がどうやって 汚染物質を処理する為に 198 00:07:47,680 --> 00:07:50,936 使われているか だけでなく どうやって汚染から電気を 199 00:07:50,960 --> 00:07:53,760 生み出すのに使われているかが 分かるでしょう 200 00:07:54,400 --> 00:07:57,176 ロボットは 食べ物を胃の中に入れ 201 00:07:57,200 --> 00:07:59,296 消化して電気を作り 202 00:07:59,320 --> 00:08:01,816 自然環境の中で動き回る為に 203 00:08:01,840 --> 00:08:04,336 電気を使う行為を 繰り返すのです 204 00:08:04,360 --> 00:08:05,576 電気を使う行為を 繰り返すのです 205 00:08:05,600 --> 00:08:09,136 Row-botを作動させると 何が起こるか見てみましょう 206 00:08:09,160 --> 00:08:10,536 水を漕ぐとどうなるか― 207 00:08:10,560 --> 00:08:12,216 ビデオを2つお見せします 208 00:08:12,240 --> 00:08:14,896 最初にお見せするのは 209 00:08:14,920 --> 00:08:16,216 開いた口です 210 00:08:16,240 --> 00:08:19,256 前方と後方の口が開き 211 00:08:19,280 --> 00:08:20,816 十分に開ききると 212 00:08:20,840 --> 00:08:22,856 ロボットは 前方に漕ぎ始めます 213 00:08:22,880 --> 00:08:24,136 食べ物を取り込み 214 00:08:24,160 --> 00:08:27,256 処理物を排出する為に 水中をかき分けています 215 00:08:27,280 --> 00:08:28,536 ひとしきり動き終えると 216 00:08:28,560 --> 00:08:31,496 止まり 口を閉じますー 217 00:08:31,520 --> 00:08:33,936 ゆっくりと口を閉じるのです 218 00:08:33,960 --> 00:08:35,616 そしてそこに留まり 219 00:08:35,640 --> 00:08:37,280 食べ物を消化します 220 00:08:38,000 --> 00:08:40,696 もちろんこれは 微生物燃料電池で 221 00:08:40,720 --> 00:08:41,976 微生物を含んでいます 222 00:08:42,000 --> 00:08:43,856 本当は出来るだけ早く 223 00:08:43,880 --> 00:08:46,496 沢山のエネルギーを 微生物から出したいのですが 224 00:08:46,520 --> 00:08:48,096 微生物に無理は利かず 225 00:08:48,120 --> 00:08:51,136 毎秒ミリワット又は マイクロワットといった 226 00:08:51,160 --> 00:08:54,416 ごく少量の電気しか 作り出せません 227 00:08:54,440 --> 00:08:56,296 これを分かりやすく説明すると 228 00:08:56,320 --> 00:08:57,856 例えばあなたのスマホは 229 00:08:57,880 --> 00:08:59,256 特に新型のものでは 230 00:08:59,280 --> 00:09:01,496 約1ワットが必要です 231 00:09:01,520 --> 00:09:05,336 それは微生物燃料電池と比較すると 千倍、百万倍の 232 00:09:05,360 --> 00:09:07,320 エネルギーとなります 233 00:09:08,000 --> 00:09:09,576 それをどう使えるのでしょうか? 234 00:09:09,600 --> 00:09:12,456 Row-botが消化を完了し 235 00:09:12,480 --> 00:09:13,936 食べ物を取り入れると 236 00:09:13,960 --> 00:09:17,496 すべての食物を消化するまで じっと待ちます 237 00:09:17,520 --> 00:09:20,736 それには数時間 時には数日かかります 238 00:09:20,760 --> 00:09:24,456 典型的なRow-botのサイクルは 次のようなものです 239 00:09:24,480 --> 00:09:25,736 口を開け 240 00:09:25,760 --> 00:09:27,016 動き 241 00:09:27,040 --> 00:09:28,296 口を閉じ 242 00:09:28,320 --> 00:09:30,176 その場にじっとして待つのです 243 00:09:30,200 --> 00:09:31,576 一旦食べ物を消化すると 244 00:09:31,600 --> 00:09:34,416 再び同じ事をして 動き回るのです 245 00:09:34,440 --> 00:09:37,416 しかし本当の 生物のようだと思いませんか? 246 00:09:37,440 --> 00:09:39,296 まるで私達が 行なっている事のようです 247 00:09:39,320 --> 00:09:41,376 土曜日の夜に 外出して口を開け 248 00:09:41,400 --> 00:09:42,936 腹を満たし 249 00:09:42,960 --> 00:09:45,896 テレビの前に座って消化をします 250 00:09:45,920 --> 00:09:48,296 十分消化したら 同じ事を繰り返します 251 00:09:48,320 --> 00:09:51,176 このサイクルを繰り返すと 252 00:09:51,200 --> 00:09:54,736 最後には他の事が出来る程の 余分なエネルギーが得られます 253 00:09:54,760 --> 00:09:56,896 最後には他の事が出来る程の 余分なエネルギーが得られます 254 00:09:56,920 --> 00:09:58,936 例えばメッセージを送ります 255 00:09:58,960 --> 00:10:00,456 こんなメッセージです 256 00:10:00,480 --> 00:10:02,816 「最近これだけ汚染物質を食べたよ」 とか 257 00:10:02,840 --> 00:10:05,416 「こんな食べ物に出くわしたよ」 とか 258 00:10:05,440 --> 00:10:07,120 「僕はここにいるよ」 259 00:10:07,800 --> 00:10:11,056 「僕はここにいるよ」 とメッセージを送る能力は 260 00:10:11,080 --> 00:10:13,016 非常に重要なものです 261 00:10:13,040 --> 00:10:15,536 以前目にした油膜の事や 262 00:10:15,560 --> 00:10:17,016 藻類の過剰繁殖を考えると 263 00:10:17,040 --> 00:10:19,736 求められるのは 自然の中でRow-botを浮かべて 264 00:10:19,760 --> 00:10:21,736 全ての汚染物質を食べ尽くし 265 00:10:21,760 --> 00:10:23,936 その後 回収する事です 266 00:10:23,960 --> 00:10:25,176 何故でしょう? 267 00:10:25,200 --> 00:10:27,016 今のロボット― 268 00:10:27,040 --> 00:10:28,376 私がここに 持って来たRow-botは 269 00:10:28,400 --> 00:10:30,256 モーターやワイヤーがあり 270 00:10:30,280 --> 00:10:33,736 それ自体が生物分解性でない パーツで出来ています 271 00:10:33,760 --> 00:10:36,496 現在のRow-botは 有害な電池のような物が付いています 272 00:10:36,520 --> 00:10:38,496 それを自然の中に 放置する事は出来ないので 273 00:10:38,520 --> 00:10:40,016 それを探知する必要があり 274 00:10:40,040 --> 00:10:42,376 仕事を終えてしまったら 275 00:10:42,400 --> 00:10:43,656 回収する必要があるのです 276 00:10:43,680 --> 00:10:46,016 従って使用出来る Row-botの数は制限されます 277 00:10:46,040 --> 00:10:47,296 一方で 278 00:10:47,320 --> 00:10:50,456 少しばかり生物のような ロボットであるなら 279 00:10:50,480 --> 00:10:52,576 命の終焉となり 280 00:10:52,600 --> 00:10:55,056 朽ち果てます 281 00:10:55,080 --> 00:10:57,416 だから こんなロボットが 282 00:10:57,440 --> 00:10:59,679 プラスチック製ではなく そこらに捨てておくと 283 00:10:59,703 --> 00:11:01,296 生分解する別の素材で 284 00:11:01,320 --> 00:11:04,416 出来ていたら良いですよね? 285 00:11:04,440 --> 00:11:06,536 そうなったら ロボットの使い方が変わります 286 00:11:06,560 --> 00:11:09,936 10〜100個のロボットを 自然に放ち 287 00:11:09,960 --> 00:11:11,216 それらを追跡し ロボットが 288 00:11:11,240 --> 00:11:12,576 死んだ時 回収するのでなく 289 00:11:12,600 --> 00:11:13,816 死んだ時 回収するのでなく 290 00:11:13,840 --> 00:11:15,536 千、百万、十億個の 291 00:11:15,560 --> 00:11:18,296 ロボットを自然環境に 放つ事が出来ます 292 00:11:18,320 --> 00:11:20,136 ばら撒くだけで良いのです 293 00:11:20,160 --> 00:11:23,776 命の終わりには ロボットが 朽ち果てるのが分かっているので 294 00:11:23,800 --> 00:11:25,496 心配には及びません 295 00:11:25,520 --> 00:11:28,136 これはロボットに関する概念と 296 00:11:28,160 --> 00:11:29,536 その使い方を変えます 297 00:11:29,560 --> 00:11:31,416 問題は そんな事が 可能かということです 298 00:11:31,440 --> 00:11:33,616 可能だと私達は実証しました 299 00:11:33,640 --> 00:11:35,736 生物分解性のロボットを 作る事は可能です 300 00:11:35,760 --> 00:11:38,616 実に興味深い事に このロボットを作るには 301 00:11:38,640 --> 00:11:40,336 ありふれた素材が使えるのです 302 00:11:40,360 --> 00:11:42,936 いくつかご紹介しましょう 驚きですよ 303 00:11:42,960 --> 00:11:45,856 ゼリーから ロボットが作れるのです 304 00:11:45,880 --> 00:11:48,656 現在あるモーターを 付ける代わりに 305 00:11:48,680 --> 00:11:51,136 人工筋肉と呼ばれる物が 使えるのです 306 00:11:51,160 --> 00:11:53,456 人工筋肉はスマート素材で 307 00:11:53,480 --> 00:11:54,936 電気をその素材に通すと 308 00:11:54,960 --> 00:11:57,136 収縮したり 曲がったり 捻れたりします 309 00:11:57,160 --> 00:11:59,376 本物の筋肉のようです 310 00:11:59,400 --> 00:12:02,400 モーターを取り付ける代わりに この人工筋肉を付けるのです 311 00:12:02,424 --> 00:12:05,256 人工筋肉は ゼリーから作れるのです 312 00:12:05,280 --> 00:12:07,216 ゼリー少しと塩少々を用意し 313 00:12:07,240 --> 00:12:08,816 少しばかり細工をすると 314 00:12:08,840 --> 00:12:10,616 人工筋肉が出来上がるのです 315 00:12:10,640 --> 00:12:14,216 先程 紙から微生物燃料電池の胃も 作れると言いました 316 00:12:14,240 --> 00:12:15,656 先程 紙から微生物燃料電池の胃も 作れると言いました 317 00:12:15,680 --> 00:12:19,160 生物分解性の素材から ロボットの全体が出来るのです 318 00:12:19,480 --> 00:12:22,360 野外に放置すると その後 朽ち果てます 319 00:12:23,600 --> 00:12:25,456 心の底からワクワクします 320 00:12:25,480 --> 00:12:28,671 これは私達のロボットに対する概念を 全く変えてしまいそうです 321 00:12:28,695 --> 00:12:30,936 それだけでなく これらのロボットを使って 322 00:12:30,960 --> 00:12:34,296 出来る事への考え方が 実に クリエイティブな物にもなるのです 323 00:12:34,320 --> 00:12:35,576 一例をご紹介しましょう 324 00:12:35,600 --> 00:12:38,176 ロボットを作るのに ゼリーが使えたらー 325 00:12:38,200 --> 00:12:40,096 ゼリーを食べますよね? 326 00:12:40,120 --> 00:12:42,616 こんなものを作っては 如何でしょう? 327 00:12:42,640 --> 00:12:44,040 グミベアー・ロボットです 328 00:12:45,120 --> 00:12:47,896 ここにいくつか 予め用意しておきました 329 00:12:47,920 --> 00:12:49,520 さあここに グミの小袋があります 330 00:12:50,560 --> 00:12:52,440 レモン味です 331 00:12:53,600 --> 00:12:56,336 グミベアーを食べます この熊はロボットっぽくないですね? 332 00:12:56,360 --> 00:12:57,576 でもそういうふりをします 333 00:12:57,600 --> 00:13:00,616 1つ口の中に放り込みます 334 00:13:00,640 --> 00:13:01,880 レモン味 美味いですね 335 00:13:02,720 --> 00:13:05,625 あまり噛まないように気をつけます ロボットですから 嫌でしょうし 336 00:13:06,840 --> 00:13:09,056 そして飲み込みます 337 00:13:09,080 --> 00:13:10,776 胃の中に入ります 338 00:13:10,800 --> 00:13:14,616 そこでロボットは動き、思考し 曲ったりくねったりします 339 00:13:14,640 --> 00:13:15,856 何かをするのです 340 00:13:15,880 --> 00:13:18,056 更に腸の方まで移動して 341 00:13:18,080 --> 00:13:20,416 潰瘍やがんが あるかどうかを見極め 342 00:13:20,440 --> 00:13:22,536 注射のような事を するかも知れません 343 00:13:22,560 --> 00:13:25,416 一旦その仕事を終えたら 344 00:13:25,440 --> 00:13:27,656 ロボットは胃で消化されたり 345 00:13:27,680 --> 00:13:29,376 それを望まなければ 346 00:13:29,400 --> 00:13:31,016 そのまま消化器官を通り 347 00:13:31,040 --> 00:13:32,256 トイレに流され 348 00:13:32,280 --> 00:13:34,496 環境の中で安全に分解されます 349 00:13:34,520 --> 00:13:37,760 これは又 私達の ロボットへの概念を変えます 350 00:13:38,720 --> 00:13:43,016 はじめに汚染物質を食べるロボットを ご紹介しました 351 00:13:43,040 --> 00:13:45,696 次に私達が食べられる ロボットでした 352 00:13:45,720 --> 00:13:47,376 これが将来のロボットとの 353 00:13:47,400 --> 00:13:49,840 関わりのヒントを 与えてくれると思います 354 00:13:51,560 --> 00:13:53,456 ご清聴有難うございました 355 00:13:53,480 --> 00:13:56,963 (拍手)