0:00:07.184,0:00:10.724 テスト テスト[br]1 2 3 0:00:10.724,0:00:15.129 バンド演奏中の[br]フィードバック(ハウリング)は耳障りですが 0:00:15.129,0:00:19.509 大自然のオーケストラにとって[br]フィードバックは有益なだけでなく 0:00:19.509,0:00:21.672 あらゆる現象の原動力となります 0:00:21.672,0:00:23.543 フィードバックとは[br]一体 何でしょう? 0:00:23.543,0:00:27.831 音でも 環境でも[br]社会科学においてでも 0:00:27.831,0:00:31.392 その本質は[br]互いに影響しあう現象です 0:00:31.392,0:00:36.106 XがYに影響すると[br]YがXに影響するといったことが続き 0:00:36.106,0:00:39.822 フィードバックループという[br]一連の過程が生じます 0:00:39.822,0:00:42.664 自然界は 生物と非生物の[br]リンク(関連性)により生じる ― 0:00:42.664,0:00:46.171 このようなメカニズムで[br]あふれています 0:00:46.171,0:00:49.347 リンクが 事象に対する個体群の数と[br]食物連鎖の反応を支配することで 0:00:49.347,0:00:52.432 回復力を保っています 0:00:52.432,0:00:57.737 植物が枯れると 死んだ組織が[br]腐植土となって土壌を豊かにします 0:00:57.767,0:01:01.836 この腐植土から[br]水分と栄養分が出て 0:01:01.836,0:01:04.019 他の植物が成長します 0:01:04.019,0:01:07.545 植物が成長して枯れるほど[br]より多くの腐植土ができて 0:01:07.545,0:01:10.722 さらに多くの植物が成長するという[br]繰り返しが起きます 0:01:10.722,0:01:13.421 これは正のフィードバックの例であり 0:01:13.421,0:01:16.694 生態系に発達に[br]必要不可欠なパワーです 0:01:16.694,0:01:20.009 しかし正のフィードバックと呼ぶのは[br]利益をもたらすからではなく 0:01:20.009,0:01:24.146 ある効果や変化が[br]元の状態から増幅するという意味で 0:01:24.146,0:01:26.185 「正」なのです 0:01:26.185,0:01:30.149 「正の」 もしくは「増幅的な」ループは[br]害にもなり得ます 0:01:30.149,0:01:33.609 例えば 森林を伐採すると[br]侵食されやすくなります 0:01:33.609,0:01:36.522 すると有機物や養分は大地から失われ 0:01:36.522,0:01:41.502 土を固定している植物が減少すると[br]ますます侵食が進むのです 0:01:41.502,0:01:46.622 逆に 「負の」フィードバックは[br]生態系における変化を減少させるか 0:01:46.622,0:01:49.698 打ち消すように働き[br]バランスを保ちます 0:01:49.698,0:01:51.969 捕食者と被食者について[br]考えましょう 0:01:51.969,0:01:55.930 オオヤマネコが野ウサギを食べると[br]ウサギの数は減少しますが 0:01:55.930,0:02:00.845 食料が減ることで[br]オオヤマネコの数も 次第に減ります 0:02:00.845,0:02:05.785 食べられてしまう割合が減れば[br]ウサギの数は再び増えます 0:02:05.785,0:02:09.278 この継続的なサイクルは[br]上下する波のようなパターンとなり 0:02:09.278,0:02:14.865 長期的な平衡状態を保つことで[br]食物連鎖を ずっと維持してきたのです 0:02:14.865,0:02:18.344 私たちの多くは 予測しやすい[br]線形的な因果関係に慣れているので 0:02:18.344,0:02:22.434 フィードバックのプロセスは[br]直観に反するように思えます 0:02:22.434,0:02:24.437 例えば 殺虫剤の散布は 0:02:24.437,0:02:29.209 害虫を殺して植物の成長を促す[br]簡単な方法のように思えますが 0:02:29.209,0:02:32.882 予測できない反応を[br]引き起こすかもしれません 0:02:32.882,0:02:36.764 例えば 殺虫剤の散布で[br]害虫の数が減れば 0:02:36.764,0:02:38.835 害虫を食べる生き物の数が減ります 0:02:38.835,0:02:40.421 害虫を食べる生き物の数が減ると 0:02:40.421,0:02:44.487 天敵がいなくなることで[br]害虫が増加し 0:02:44.487,0:02:47.289 殺虫剤の効果が帳消しになります 0:02:47.289,0:02:51.743 また 各々のフィードバックは[br]ループ内のリンクの値の積で決まります 0:02:51.743,0:02:56.581 負のリンクが1つ加わると[br]フィードバック全体の正負が逆転し 0:02:56.581,0:03:01.777 弱いリンクがあると [br]フィードバック全体が弱まります 0:03:01.777,0:03:05.011 1つでもリンクが切れると [br]ループ全体が壊れます 0:03:05.011,0:03:06.850 しかし これは単純な例にすぎません 0:03:06.850,0:03:10.283 なぜなら 自然界の生物群は[br]個別の食物連鎖ではなく 0:03:10.283,0:03:12.619 相互に作用しあう[br]ネットワークだからです 0:03:12.619,0:03:17.073 フィードバックループは長い連鎖の末に[br]間接的に起きることが多々あります 0:03:17.073,0:03:21.516 20種の生物から成る食物連鎖では[br]20本のリンクから 0:03:21.516,0:03:23.680 何千ものループを[br]作り出す可能性があります 0:03:23.680,0:03:26.448 生態系フィードバックループは 0:03:26.448,0:03:30.059 無秩序な不協和音を出すのではなく 0:03:30.059,0:03:33.059 複数の楽器が一斉に[br]複雑ながらも調和した音楽を奏でるように 0:03:33.059,0:03:37.237 互いに協働しながら[br]規則的なパターンを作り出します 0:03:37.237,0:03:41.183 広い範囲に及ぶ負のフィードバックは[br]ドラムがリズムを保つように 0:03:41.183,0:03:43.878 正のフィードバックを[br]抑制しています 0:03:43.878,0:03:47.678 ある特定の生態系が[br]独特な生息域において機能する様子を 0:03:47.678,0:03:51.157 特徴的な音として[br]捉えることができます 0:03:51.157,0:03:54.872 海洋環境では[br]捕食者と被食者の相互作用と 0:03:54.872,0:03:59.347 自律的に減衰するフィードバックにより[br]安定化する強い負と正のループの影響を受け 0:03:59.347,0:04:03.744 振動数の高い[br]力強く大きな音が生じています 0:04:03.744,0:04:07.416 砂漠の生態系では[br]バイオマスの循環がゆっくりで 0:04:07.416,0:04:10.300 死した物質を経由する[br]弱いフィードバックループは 0:04:10.300,0:04:12.869 変化のない低いうなり音のようです 0:04:12.869,0:04:16.146 多種多様な生き物がいる熱帯雨林では 0:04:16.146,0:04:21.412 栄養分の循環が速く 強いフィードバックが[br]生物と死した物質の間にあり 0:04:21.412,0:04:24.320 豊かで華やかなサウンドのようです 0:04:24.320,0:04:26.074 多くの生息域と生態系には 0:04:26.074,0:04:31.247 安定化させる効果があるのにも関わらず[br]これらが創出するハーモニーと同じく 0:04:31.247,0:04:33.614 時間と共に発展し 変化します 0:04:33.614,0:04:37.437 成功したアンサンブルが[br]スター演奏者を失い解散するように 0:04:37.437,0:04:41.982 森林破壊は豊かな熱帯雨林を[br]不毛地帯に変えるでしょう 0:04:41.982,0:04:46.234 しかし 小さなバンドが[br]大オーケストラに成長するように 0:04:46.234,0:04:51.184 放棄された農耕地も[br]時間をかけて森林になるかもしれません