1 00:00:07,494 --> 00:00:09,502 私たちは「抗議」の時代に生きています 2 00:00:09,502 --> 00:00:11,210 世界中のキャンパスや公共の広場や 3 00:00:11,210 --> 00:00:12,807 街やソーシャルメディア上で 4 00:00:12,807 --> 00:00:17,028 現状に対する反発が起こっています 5 00:00:17,028 --> 00:00:21,060 抗議によって国家的な 更には世界的な 問題となった末に 独裁政権が 6 00:00:21,060 --> 00:00:22,621 倒されることさえあります 7 00:00:22,621 --> 00:00:26,846 抗議活動は市民として傍観者だった人々を 奮起させることもあります 8 00:00:26,846 --> 00:00:30,787 抗議は必要かもしれませんが、 それだけで十分なのでしょうか? 9 00:00:30,787 --> 00:00:33,375 アラブの春を見てみましょう 10 00:00:33,375 --> 00:00:35,241 中東の至る所で 11 00:00:35,241 --> 00:00:38,524 市民によって独裁者が追放されました 12 00:00:38,524 --> 00:00:40,098 ただしその後に 13 00:00:40,098 --> 00:00:45,685 生じた空白は多くの場合 戦闘と暴力で 満たされてしまいました 14 00:00:45,685 --> 00:00:48,244 抗議から永続的で前向きな変化を 生み出せますが 15 00:00:48,244 --> 00:00:50,929 そのためには引き続き 同様の熱意をもって努力して 16 00:00:50,929 --> 00:00:52,592 有権者を動員し 17 00:00:52,592 --> 00:00:53,481 投票をして 18 00:00:53,481 --> 00:00:55,188 政治への理解を深め 19 00:00:55,188 --> 00:00:58,555 より包括的な政治にしていく必要があります 20 00:00:58,555 --> 00:01:02,877 そのための3つの主要戦略があります それによって 平和的に 21 00:01:02,877 --> 00:01:06,960 意識を行動に移し 抗議活動を永続的な政治力に変えるのです 22 00:01:06,960 --> 00:01:09,717 まず 可能性の枠を広げるということ 23 00:01:09,717 --> 00:01:12,314 2つ目は 要所を攻める戦いを選択するということ 24 00:01:12,314 --> 00:01:16,592 3つ目は まず素早い勝ちを収めるということです 25 00:01:16,592 --> 00:01:19,878 可能性の枠を広げることから見ていきましょう 26 00:01:19,878 --> 00:01:22,776 ある政策の計画に対してこう言い返されるのを よく聞くでしょう 27 00:01:22,776 --> 00:01:25,530 「そんなことはできっこないだろ?」 28 00:01:25,530 --> 00:01:27,180 そう言うのはつまり 29 00:01:27,180 --> 00:01:31,504 私達の市民的な想像力に枠をはめようと している ということなのです 30 00:01:31,504 --> 00:01:35,024 私達が力強くあれば この枠を広げることができます 31 00:01:35,024 --> 00:01:36,712 こう問いかけるのです 32 00:01:36,712 --> 00:01:38,274 「もし可能性があるのなら」 33 00:01:38,274 --> 00:01:39,933 「もし色々な力 例えば… 34 00:01:39,933 --> 00:01:43,341 人々の力 考え お金 社会規範… 35 00:01:43,341 --> 00:01:46,401 それらが一つになったら 実現するのでないか」 36 00:01:46,401 --> 00:01:48,154 素直にこう問いかけ 37 00:01:48,154 --> 00:01:51,960 従来までの政治の考え方が全て 正しいものだとは考えないこと 38 00:01:51,960 --> 00:01:56,279 それが抗議活動を政治的な力にする第一歩です 39 00:01:56,279 --> 00:01:59,872 ただしそのためには 具体的なイメージが必要です 40 00:01:59,872 --> 00:02:02,775 例えば 徹底的に「小さな政府」を 志向するとしたらどうか 41 00:02:02,775 --> 00:02:07,209 反対に 単一支払者制度の医療保険が 採用されたらどうなるだろうか 42 00:02:07,209 --> 00:02:10,307 企業の不正行為に 説明責任を課したらどうなるか 43 00:02:10,307 --> 00:02:15,311 逆に企業が面倒な規制に 縛られないようにしたらどうなるのか 44 00:02:15,311 --> 00:02:20,245 これが第2の戦略 要所を衝いて攻める ということにも繋がっています 45 00:02:20,245 --> 00:02:22,928 対立する物事こそが政治の本質です 46 00:02:22,928 --> 00:02:25,597 市民としての生活を 抽象的に捉える人はほとんどいません 47 00:02:25,597 --> 00:02:30,492 くっきり浮かび上がった物事を 他の何かと比べて考えていくものです 48 00:02:30,492 --> 00:02:33,871 対立の中で 折り合いを付けていけるのが 強い市民なのです 49 00:02:33,871 --> 00:02:35,992 良識ある市民の立場から 外れる訳ではなく、 50 00:02:35,992 --> 00:02:40,460 自分たちが望んでいる変化を巡って その本質をとらえた論点を捉え 51 00:02:40,460 --> 00:02:44,711 どう論じていきたいのかを きちんと考えることを意味します 52 00:02:44,711 --> 00:02:49,870 それを体現したのが アメリカで15ドルの 最低賃金を求めていた活動家グループでした 53 00:02:49,870 --> 00:02:53,963 15ドルで不平等が解消されると 考えていたわけではありませんが 54 00:02:53,963 --> 00:02:56,586 大胆で議論を呼びがちな目標を掲げ 55 00:02:56,586 --> 00:03:00,281 まずシアトルで さらに他地域でもそれを達成したので 56 00:03:00,281 --> 00:03:05,755 経済における正義と成功について さらなる議論を呼び起こすことができたのです 57 00:03:05,755 --> 00:03:08,936 彼らは可能性の枠を広げました これが第一の戦略です 58 00:03:08,936 --> 00:03:13,807 また 明確で象徴的な対比を 創り出しました ―第二の戦略です 59 00:03:13,807 --> 00:03:18,024 そして第三の戦略が早期の勝利を模索し 達成するということです 60 00:03:18,024 --> 00:03:22,063 早期の勝利は 最終的な目標ほど 野心的なものでなくても 61 00:03:22,063 --> 00:03:23,465 運動に勢いをつけ 62 00:03:23,465 --> 00:03:26,210 人々が可能だと思う範囲を変えていきます 63 00:03:26,210 --> 00:03:27,781 冷戦時代のポーランドにおける 64 00:03:27,781 --> 00:03:32,658 労働者の組織「連帯」は まさにこのように登場しました 65 00:03:32,658 --> 00:03:37,210 まず1980年の造船所でのストライキで 譲歩を勝ち取り 66 00:03:37,210 --> 00:03:38,846 次の10年の間で 67 00:03:38,846 --> 00:03:41,491 国内に広がったこの運動は ついに 68 00:03:41,491 --> 00:03:44,460 ポーランドの共産主義政権を倒すのに 寄与したのです 69 00:03:44,460 --> 00:03:48,718 早期の勝利によって 前向きなフィードバックが回り、 70 00:03:48,718 --> 00:03:51,369 影響の広がり 信念 意欲が 生まれました 71 00:03:51,369 --> 00:03:53,899 為政者に圧力をかける 72 00:03:53,899 --> 00:03:56,654 メディアを使ってストーリーを変えていく 73 00:03:56,654 --> 00:03:58,214 議論を公のものにしていく 74 00:03:58,214 --> 00:04:02,459 まだ納得していない隣人をひとりずつ 説得していく 75 00:04:02,459 --> 00:04:04,881 抗議活動に比べたら どれも地味なことです 76 00:04:04,881 --> 00:04:07,964 まさにこれがアメリカの公民権運動の 歴史そのものなのです 77 00:04:07,964 --> 00:04:09,783 インドの独立運動も 78 00:04:09,783 --> 00:04:12,308 チェコの民族自決も同じです 79 00:04:12,308 --> 00:04:14,250 その場限りの単発の勝利ではなく 80 00:04:14,250 --> 00:04:17,568 長く ゆっくり進む大変な仕事なのです 81 00:04:17,568 --> 00:04:21,057 この息の長い仕事に参加するのに 特別な才能は要りません 82 00:04:21,057 --> 00:04:23,021 可能性の枠を広げる 83 00:04:23,021 --> 00:04:25,254 要所を選んで戦う 84 00:04:25,254 --> 00:04:27,776 まず素早い勝ちを収める 85 00:04:27,776 --> 00:04:31,933 日常を生きる市民として参加すれば良いのです 86 00:04:31,933 --> 00:04:34,209 抗議の精神はとても力強いものです 87 00:04:34,209 --> 00:04:37,224 その精神は抗議活動の後にも現れます 88 00:04:37,224 --> 00:04:40,211 私たちは未来を共に創り上げる事が できるのです