1 00:00:00,000 --> 00:00:02,000 これから政治腐敗についてお話しします 2 00:00:02,000 --> 00:00:05,000 まず 2つの違ったことについて 3 00:00:05,000 --> 00:00:07,000 対比したいと思います 4 00:00:07,000 --> 00:00:12,000 ひとつは巨大な世界経済について 5 00:00:12,000 --> 00:00:15,000 つまり 巨大なグローバル化された経済です 6 00:00:15,000 --> 00:00:18,460 もう一つは 昔からある政府と国際機関 7 00:00:18,460 --> 00:00:22,000 世界経済を統治し形作る能力は 8 00:00:22,000 --> 00:00:27,650 大変限られた小さなものにすぎません 9 00:00:28,000 --> 00:00:33,000 なぜらなら この非対称が 10 00:00:33,000 --> 00:00:36,000 基本的に 11 00:00:36,000 --> 00:00:38,000 ガバナンスを腐敗させるのです 12 00:00:38,000 --> 00:00:40,000 ガバナンスの腐敗は多くの分野で起きています 13 00:00:40,000 --> 00:00:44,000 政治腐敗や環境破壊の分野 14 00:00:44,000 --> 00:00:47,000 女性や子供の搾取の分野 15 00:00:47,000 --> 00:00:51,000 気候変動の分野 16 00:00:51,000 --> 00:00:54,000 すべての分野で 本当に必要としているのは 17 00:00:54,000 --> 00:00:59,000 政治の優位性を 18 00:00:59,000 --> 00:01:02,000 経済の分野に 19 00:01:02,000 --> 00:01:04,000 取り戻すことであり 20 00:01:04,000 --> 00:01:08,000 世界中がその舞台となっています 21 00:01:09,000 --> 00:01:11,000 私は 政治腐敗や 22 00:01:11,000 --> 00:01:13,000 政治腐敗との戦い 23 00:01:13,000 --> 00:01:15,000 そして 政治腐敗の影響は 24 00:01:15,000 --> 00:01:17,000 もっとも興味深い方法で 25 00:01:17,000 --> 00:01:19,000 私が言うガバナンスの腐敗を 26 00:01:19,000 --> 00:01:22,000 明らかにしています 27 00:01:22,000 --> 00:01:26,000 私自身の経験をお話ししましょう 28 00:01:26,000 --> 00:01:29,000 私はナイロビにある 29 00:01:29,000 --> 00:01:32,000 世界銀行の事務所で働いていました 30 00:01:32,000 --> 00:01:34,000 担当は東アフリカでした 31 00:01:34,000 --> 00:01:36,000 その時 32 00:01:36,000 --> 00:01:39,000 大規模な腐敗が 33 00:01:39,000 --> 00:01:41,000 組織的に 34 00:01:41,000 --> 00:01:45,000 私達の仕事を蝕んでいたのです 35 00:01:45,000 --> 00:01:47,000 だから 私は 36 00:01:47,000 --> 00:01:50,000 世界銀行の仕事や 37 00:01:50,000 --> 00:01:52,000 私達のプロジェクトや 38 00:01:52,000 --> 00:01:54,000 私達自身のプログラムを 39 00:01:54,000 --> 00:01:56,000 政治腐敗から守ろうとしただけではなく 40 00:01:56,000 --> 00:01:59,000 より幅広く見れば 41 00:01:59,000 --> 00:02:01,000 世界のこの地域に住む人々を 42 00:02:01,000 --> 00:02:03,000 腐敗の被害から守るための仕組みが 43 00:02:03,000 --> 00:02:06,000 必要と考えました 44 00:02:06,000 --> 00:02:09,000 この仕事を始めるとすぐに 45 00:02:09,000 --> 00:02:12,000 世界銀行から通知を受け取りました 46 00:02:12,000 --> 00:02:14,000 それは法務部からの通知でした 47 00:02:14,000 --> 00:02:16,420 その中にこう書いてありました 「あなたは許可されていないことを 48 00:02:16,420 --> 00:02:20,000 しようとしています 銀行加盟国の内政干渉にあたります 49 00:02:20,000 --> 00:02:23,000 世界銀行の憲章によって禁止されている行為であり 50 00:02:23,000 --> 00:02:26,000 直ちに中止するよう求めます」 51 00:02:26,000 --> 00:02:28,000 その時 例えば 52 00:02:28,000 --> 00:02:30,000 支援国の会議を主催していましたが 53 00:02:30,000 --> 00:02:32,000 さまざまな支援国があって 54 00:02:32,000 --> 00:02:35,290 多くの支援国はナイロビにいることを選びました 55 00:02:35,290 --> 00:02:37,000 確かに そこは 56 00:02:37,000 --> 00:02:39,000 世界で最も治安の悪い都市ですが 57 00:02:39,000 --> 00:02:41,290 しかし 支援国はナイロビにいることを選びました 58 00:02:41,290 --> 00:02:44,000 他の都市はもっとも居心地が悪かったからです 59 00:02:44,000 --> 00:02:46,000 そして 支援国の会議で 60 00:02:46,000 --> 00:02:48,000 多くの劣悪なプロジェクトが 61 00:02:48,000 --> 00:02:50,000 進められており 62 00:02:50,000 --> 00:02:52,000 それは世界銀行の顧客や各国の政府 63 00:02:52,000 --> 00:02:54,500 そして 推進者達によって押し進められているのです 64 00:02:54,500 --> 00:02:56,000 その多くは 65 00:02:56,000 --> 00:02:58,000 北側諸国の企業が 66 00:02:58,000 --> 00:03:00,000 それらの劣悪なプロジェクトを 67 00:03:00,000 --> 00:03:02,320 実現していたのです 68 00:03:02,320 --> 00:03:04,000 例えば 69 00:03:04,000 --> 00:03:06,000 巨大な発電所建設プロジェクトですが 70 00:03:06,000 --> 00:03:09,000 3億ドルもするプロジェクトだったのですが 71 00:03:09,000 --> 00:03:11,000 それが建設されるのは 72 00:03:11,000 --> 00:03:14,000 ケニヤ西部のとても美しい 被害を受けやすい 73 00:03:14,000 --> 00:03:17,000 場所だったのです 74 00:03:17,000 --> 00:03:19,000 私達は皆 そのプロジェクトには 75 00:03:19,000 --> 00:03:22,240 何ら経済的なメリットは無いと気付きました 76 00:03:22,240 --> 00:03:25,680 発電した電気を買う人がいなかったからです 77 00:03:25,690 --> 00:03:28,410 誰も灌漑プロジェクトには関心を持っていませんでした 78 00:03:28,410 --> 00:03:31,000 しかも このプロジェクトは 79 00:03:31,000 --> 00:03:33,000 環境を破壊するプロジェクトであったのです 80 00:03:33,000 --> 00:03:35,000 それは水辺の森林を破壊するものでした 81 00:03:35,000 --> 00:03:37,000 水辺の森林は 82 00:03:37,000 --> 00:03:39,000 遊牧民の生存の基盤でした 83 00:03:39,000 --> 00:03:43,000 この地域にはサンブル族とトルカナ族が住んでいました 84 00:03:43,000 --> 00:03:46,400 すべての人が知っていました これは不要なプロジェクトであるばかりか 85 00:03:46,400 --> 00:03:49,000 ひどい害をもたらす恐ろしいプロジェクトだということを 86 00:03:49,000 --> 00:03:53,000 国の将来の債務は言うにおよびません 87 00:03:53,000 --> 00:03:55,000 それは何億ドルにもなるのです 88 00:03:55,000 --> 00:03:58,000 そして経済の希少な資源を 89 00:03:58,000 --> 00:04:00,000 教育や医療など 90 00:04:00,000 --> 00:04:03,000 重要な活動から 91 00:04:03,000 --> 00:04:05,000 吸い上げるのです 92 00:04:05,000 --> 00:04:08,000 そして 私達皆でこのプロジェクトを拒否しましたが 93 00:04:08,000 --> 00:04:10,000 援助国はどこも 94 00:04:10,000 --> 00:04:13,000 拒否したことを知られたくありませんでした 95 00:04:13,000 --> 00:04:15,000 それが最初の実行に移された試みとなったのです 96 00:04:15,000 --> 00:04:18,000 良いプロジェクトとは 援助国の仲間のなかで 97 00:04:18,000 --> 00:04:20,000 守られていたプロジェクトです 98 00:04:20,000 --> 00:04:22,000 良いプロジェクトとは年月を必要とし 99 00:04:22,000 --> 00:04:24,000 調査を重ねなければなりません 100 00:04:24,000 --> 00:04:26,000 にもかかわらず しばしば失敗に終わりました 101 00:04:26,000 --> 00:04:28,000 一方で 悪いプロジェクトは 102 00:04:28,000 --> 00:04:30,000 経済的な被害をもたらし 103 00:04:30,000 --> 00:04:33,000 幾世代にもわたる環境被害を起し 104 00:04:33,000 --> 00:04:36,000 何千という家族を移転に追いやるものでした 105 00:04:36,000 --> 00:04:38,000 悪いプロジェクトは突然に 106 00:04:38,000 --> 00:04:41,000 銀行の連合や 107 00:04:41,000 --> 00:04:43,000 サプライヤーの手先と 108 00:04:43,000 --> 00:04:45,000 保険会社によって形作られます 109 00:04:45,000 --> 00:04:48,000 それはドイツなどの国の企業です 110 00:04:48,000 --> 00:04:50,000 彼らはあっという間にやって来ます 111 00:04:50,000 --> 00:04:52,000 それを促すのはとんでもない癒着関係です 112 00:04:52,000 --> 00:04:56,000 その癒着とはその国の 113 00:04:56,000 --> 00:04:58,000 権力者と 114 00:04:58,000 --> 00:05:00,000 北側の企業なのです 115 00:05:00,000 --> 00:05:02,000 今や これらの企業は 116 00:05:02,000 --> 00:05:04,000 大企業です 117 00:05:04,000 --> 00:05:07,000 彼らは世界市場の登場人物です 118 00:05:07,000 --> 00:05:09,000 私が最初に述べた企業です 119 00:05:09,000 --> 00:05:12,000 それはシーメンスのような大会社で 120 00:05:12,000 --> 00:05:14,000 フランス、イギリス、日本 121 00:05:14,000 --> 00:05:16,000 カナダ そしてドイツの企業です 122 00:05:16,000 --> 00:05:19,000 それらの企業は組織的に 123 00:05:19,000 --> 00:05:22,000 大規模な腐敗に駆り立てられているのです 124 00:05:22,000 --> 00:05:24,000 私達が話しているのは 125 00:05:24,000 --> 00:05:26,000 5万ドルや 126 00:05:26,000 --> 00:05:29,000 10万ドルや100万ドルどころのお金ではありません 127 00:05:29,000 --> 00:05:32,000 今話しているのは1000万ドルや2000万ドルのお金で 128 00:05:32,000 --> 00:05:34,000 スイスの銀行口座や 129 00:05:34,000 --> 00:05:36,000 リヒテンシュタインの銀行口座にあり 130 00:05:36,000 --> 00:05:40,000 その口座は大臣のものだったり 131 00:05:40,000 --> 00:05:43,000 半官半民企業の高官のものだったりするのです 132 00:05:43,000 --> 00:05:45,000 これが私が見た現実です 133 00:05:45,000 --> 00:05:47,260 このようなプロジェクトは一つだけではありません 134 00:05:47,260 --> 00:05:49,000 あえて言うならば 135 00:05:49,000 --> 00:05:51,000 アフリカで働いていた間に 136 00:05:51,000 --> 00:05:53,300 何百というこのようなプロジェクトを見てきました 137 00:05:53,300 --> 00:05:55,620 だから私は 138 00:05:55,620 --> 00:05:59,000 このような組織的な腐敗が 139 00:05:59,000 --> 00:06:02,000 開発途上国の経済政策をゆがめ 140 00:06:02,000 --> 00:06:05,000 それが主要な原因となって 141 00:06:05,000 --> 00:06:08,000 悲惨な現実や貧困や 142 00:06:08,000 --> 00:06:10,000 争いや暴力や 143 00:06:10,000 --> 00:06:12,000 絶望を 144 00:06:12,000 --> 00:06:14,000 多くの開発途上国で生み出すのです 145 00:06:14,000 --> 00:06:16,000 今 10億人以上の人々が 146 00:06:16,000 --> 00:06:19,000 絶対的な貧困線の以下で暮らしています 147 00:06:19,000 --> 00:06:22,000 10億人以上の人々が 148 00:06:22,000 --> 00:06:24,000 飲み水にも不自由な状態にあり 149 00:06:24,000 --> 00:06:26,000 その2倍もの数の 150 00:06:26,000 --> 00:06:28,000 20億人以上の人々が 151 00:06:28,000 --> 00:06:30,000 衛生環境が悪く 152 00:06:30,000 --> 00:06:32,000 そのために病気になる 153 00:06:32,000 --> 00:06:35,000 母子がいます 154 00:06:35,000 --> 00:06:38,000 とくに子供の死亡は 155 00:06:38,000 --> 00:06:40,000 毎年1千万人以上の 156 00:06:40,000 --> 00:06:42,000 5歳以下の子供が死んでいるのです 157 00:06:42,000 --> 00:06:45,000 その理由の大部分が 158 00:06:45,000 --> 00:06:47,000 大規模な腐敗にあるのです 159 00:06:47,000 --> 00:06:50,000 どうして世界銀行は 160 00:06:50,000 --> 00:06:53,000 この仕事を私にやらせないのでしょうか? 161 00:06:53,000 --> 00:06:56,000 後になってその理由に気づきました 162 00:06:56,000 --> 00:06:59,000 大ゲンカして世界銀行をやめた後のことです 163 00:06:59,000 --> 00:07:02,000 世界銀行のメンバーは 164 00:07:02,000 --> 00:07:05,000 外国からの賄賂を黙認しているのです 165 00:07:05,000 --> 00:07:07,000 ドイツもそうです 166 00:07:07,000 --> 00:07:09,000 ドイツでは外国への賄賂は認められており 167 00:07:09,000 --> 00:07:12,000 税額控除の対象とさえなっています 168 00:07:12,000 --> 00:07:14,000 ほとんどの重要な 169 00:07:14,000 --> 00:07:16,830 ドイツの国際的な大企業が 170 00:07:16,830 --> 00:07:18,870 ドイツだけでなくフランスやイギリスでも 171 00:07:18,870 --> 00:07:21,340 北欧でも どこでも贈賄が組織的になっているのです 172 00:07:21,340 --> 00:07:24,000 すべてと言うわけではありませんが ほとんどの企業がそうです 173 00:07:24,000 --> 00:07:26,000 この現象を 174 00:07:26,000 --> 00:07:29,000 ガバナンスの腐敗と呼んでいるのです 175 00:07:29,000 --> 00:07:31,000 ドイツに来て 176 00:07:31,000 --> 00:07:33,000 この小さなNGOを始めた時に 177 00:07:33,000 --> 00:07:37,000 ここベルリンのビラ・ボルジヒの外交官養成所で こう言われました 178 00:07:37,000 --> 00:07:38,620 「あなた方は 179 00:07:38,620 --> 00:07:42,000 我々ドイツの輸出業者の贈賄を 止めることはできませんよ」と 180 00:07:42,000 --> 00:07:45,000 なぜならば それによって契約を失うことになり 181 00:07:45,000 --> 00:07:47,000 フランスの企業に負けてしまうからです 182 00:07:47,000 --> 00:07:50,000 スウェーデンの企業にも 日本の企業にも負けるでしょう 183 00:07:50,000 --> 00:07:53,000 そこには囚人のジレンマがあり 184 00:07:53,000 --> 00:07:55,000 それが 185 00:07:55,000 --> 00:07:57,000 個々の企業が 186 00:07:57,000 --> 00:08:00,000 個々の輸出国が 187 00:08:00,000 --> 00:08:02,000 「大企業が賄賂を提供するという 188 00:08:02,000 --> 00:08:05,000 このまったく最悪の 189 00:08:05,000 --> 00:08:09,000 習慣を止めます」とは言えなくしているのです 190 00:08:09,000 --> 00:08:11,000 これが私の言う 191 00:08:11,000 --> 00:08:14,000 腐敗した行政機構なのです 192 00:08:14,000 --> 00:08:16,000 影響力を持った政府でさえ 193 00:08:16,000 --> 00:08:19,000 ドイツ政府のような政府ですら 194 00:08:19,000 --> 00:08:21,000 「海外への贈賄行為を許さない」と 195 00:08:21,000 --> 00:08:24,000 宣言することはできないのです 196 00:08:24,000 --> 00:08:26,000 彼らが助けを求めていました 197 00:08:26,000 --> 00:08:28,000 巨大企業自体が 198 00:08:28,000 --> 00:08:30,000 このジレンマに陥っているのです 199 00:08:30,000 --> 00:08:32,000 多くの大企業は 贈賄を望みません 200 00:08:32,000 --> 00:08:34,000 例えばドイツ企業の多くは 201 00:08:34,000 --> 00:08:36,000 ほんとうは 202 00:08:36,000 --> 00:08:38,000 高い品質の製品を 203 00:08:38,000 --> 00:08:41,000 安い価格で生産することで 競争力が高いと信じています 204 00:08:41,000 --> 00:08:44,000 ドイツの企業は贈賄には向いていません 205 00:08:44,000 --> 00:08:47,040 多くの国際的な競争相手の企業は 贈賄を得意としています 206 00:08:47,040 --> 00:08:50,160 ドイツ企業は その強さを示すことができませんでした 207 00:08:50,160 --> 00:08:55,000 世界が 大規模な腐敗に覆われていたからです 208 00:08:55,000 --> 00:08:59,000 だからこそ私はそのことを訴えたいのです 209 00:08:59,000 --> 00:09:03,000 市民社会がこれに対して立ち上がらなければなりません 210 00:09:03,000 --> 00:09:05,000 私達のこの小さなNGOは 211 00:09:05,000 --> 00:09:07,370 Transparency Internationalと呼ばれます 212 00:09:07,370 --> 00:09:09,000 私達はこの「囚人のジレンマ」から 213 00:09:09,000 --> 00:09:12,000 逃れる道をさがしています 214 00:09:12,000 --> 00:09:14,100 そして 215 00:09:14,100 --> 00:09:18,000 集団行動のコンセプトを作ったのです 216 00:09:18,000 --> 00:09:20,000 それは基本的にさまざまな競合する企業を 217 00:09:20,000 --> 00:09:22,000 一緒にテーブルに着かせようとするものです 218 00:09:22,000 --> 00:09:24,000 すべての企業に対して 219 00:09:24,000 --> 00:09:26,760 同時に贈賄を止めることが どれだけ彼らの利益になることか 220 00:09:26,760 --> 00:09:28,390 説明するのです 221 00:09:28,390 --> 00:09:31,000 そして簡単に言うと 222 00:09:31,000 --> 00:09:33,000 私達はついになんとかして 223 00:09:33,000 --> 00:09:35,000 ドイツを署名させたのです 224 00:09:35,000 --> 00:09:37,000 他のOECD加盟国も一緒でした 225 00:09:37,000 --> 00:09:39,000 そして他の輸出国も署名しました 226 00:09:39,000 --> 00:09:42,000 1997年に協定が 227 00:09:42,000 --> 00:09:44,000 OECDの後援のもとに成立し 228 00:09:44,000 --> 00:09:46,000 すべての加盟国が 229 00:09:46,000 --> 00:09:48,000 その法律を改訂し 230 00:09:48,000 --> 00:09:50,000 海外への贈賄を処罰するようになったのです 231 00:09:50,000 --> 00:09:54,000 (拍手) 232 00:09:54,000 --> 00:09:56,000 ありがとうございます 233 00:09:56,000 --> 00:09:58,000 これを行う際におもしろいことがありました 234 00:09:58,000 --> 00:10:01,000 私達は企業と会議の席につかなければなりませんでした 235 00:10:01,000 --> 00:10:04,000 ここベルリンのヴァンゼー地区にあるアスペン研究所で 236 00:10:04,000 --> 00:10:06,000 会議を開催しました 237 00:10:06,000 --> 00:10:08,000 各業界からその代表が20名ほど出席しました 238 00:10:08,000 --> 00:10:10,000 彼らと議論したのは 239 00:10:10,000 --> 00:10:12,000 国際的な賄賂の問題でした 240 00:10:12,000 --> 00:10:14,000 2年間に全部で3回討議を持ったのですが 241 00:10:14,000 --> 00:10:16,000 最初の討議で 242 00:10:16,000 --> 00:10:19,000 フォン·ワイツゼッカー大統領が 243 00:10:19,000 --> 00:10:21,000 最初の討議の議長を務め 244 00:10:21,000 --> 00:10:23,000 NGOとの取引に慣れていない 245 00:10:23,000 --> 00:10:26,000 企業の 246 00:10:26,000 --> 00:10:30,000 懸念を払拭しました 247 00:10:30,000 --> 00:10:33,000 最初の討議で企業側は 248 00:10:33,000 --> 00:10:36,000 「私達がおこなっているのは贈賄ではない」 現地の慣習であり 249 00:10:36,000 --> 00:10:39,000 「贈賄は文化が要求するものだ」というのです 250 00:10:39,000 --> 00:10:41,000 そう言って拍手すらしました 251 00:10:41,000 --> 00:10:43,000 実際に 252 00:10:43,000 --> 00:10:45,000 今もそう言う人もいます 253 00:10:45,000 --> 00:10:47,000 今だに多くの人々が 254 00:10:47,000 --> 00:10:50,000 賄賂はやめるべきだとは思っていないのです 255 00:10:50,000 --> 00:10:52,000 しかし 2度目の討議で早くも 256 00:10:52,000 --> 00:10:54,300 もう賄賂を贈ることはしないと認めたのです 257 00:10:54,300 --> 00:10:56,860 他の国では行っていることを 258 00:10:56,860 --> 00:10:59,660 ここドイツや英国やその他の国々では 行わないと決めたのです 259 00:10:59,660 --> 00:11:02,000 内閣の大臣もそれを受け入れ 260 00:11:02,000 --> 00:11:05,000 アスペン研究所での最後の会議では 261 00:11:05,000 --> 00:11:08,000 私達は彼らに公開書簡にサインさせました 262 00:11:08,000 --> 00:11:10,000 それは当時のコール内閣宛にでした 263 00:11:10,000 --> 00:11:11,590 彼らに対して 264 00:11:11,590 --> 00:11:14,350 OECDの協定に加わることを要求する書簡でした 265 00:11:14,350 --> 00:11:16,560 私の見解では 266 00:11:16,560 --> 00:11:19,000 これこそがソフトパワーの実例なのです 267 00:11:19,000 --> 00:11:20,410 私達は彼らに対して 268 00:11:20,410 --> 00:11:23,490 私達と歩調を合わせなければならないと 信じさせることができたのです 269 00:11:23,490 --> 00:11:26,000 私達は長期的な視点に立って 270 00:11:26,000 --> 00:11:28,000 幅広く 271 00:11:28,000 --> 00:11:30,000 地理的にも広大な 272 00:11:30,000 --> 00:11:32,000 組織を守ろうとしているのです 273 00:11:32,000 --> 00:11:34,000 だから法律が改正され 274 00:11:34,000 --> 00:11:37,000 シーメンス社がトラブルに陥り 275 00:11:37,000 --> 00:11:40,000 MIN社もトラブルに陥ったのもこのためです 276 00:11:40,000 --> 00:11:43,000 他の国々では OECDの協定は 277 00:11:43,000 --> 00:11:45,000 まだ施行されてていません 278 00:11:45,000 --> 00:11:47,000 まだ民間団体は 279 00:11:47,000 --> 00:11:50,000 権力に押さえつけられています 280 00:11:50,000 --> 00:11:52,000 例えばロンドンでは 281 00:11:52,000 --> 00:11:54,000 BAE社が 282 00:11:54,000 --> 00:11:56,000 大規模な汚職事件の訴追を免れています 283 00:11:56,000 --> 00:12:00,000 重大不正監視局が訴追しようとしました 284 00:12:00,000 --> 00:12:02,000 1億ポンドもの金を 285 00:12:02,000 --> 00:12:04,000 10年間にわたって毎年 286 00:12:04,000 --> 00:12:07,000 ある友好国の官僚に提供するという事件でした 287 00:12:07,000 --> 00:12:09,000 その官僚は 288 00:12:09,000 --> 00:12:13,000 440億ポンドの武器を購入したのです 289 00:12:13,000 --> 00:12:15,000 BAEはこの件で英国では訴追されていません 290 00:12:15,000 --> 00:12:17,000 なぜ? それは 291 00:12:17,000 --> 00:12:20,000 訴追は 英国民の安全を 292 00:12:20,000 --> 00:12:22,000 脅かすとみなされたのです 293 00:12:22,000 --> 00:12:24,000 民間団体は追及を続けています 294 00:12:24,000 --> 00:12:27,800 この問題の解決を目指しています 295 00:12:27,800 --> 00:12:29,000 英国でも 296 00:12:29,000 --> 00:12:31,660 日本でも OECDの協定は発効していません 297 00:12:31,660 --> 00:12:33,000 他の国々でも同じです 298 00:12:33,000 --> 00:12:34,690 ドイツで私達は 299 00:12:34,690 --> 00:12:37,000 国連の協定が批准されるように 圧力をかけています 300 00:12:37,000 --> 00:12:39,000 国連の協定はOECDに続く協定なのです 301 00:12:39,000 --> 00:12:41,000 それはドイツでも批准されていません 302 00:12:41,000 --> 00:12:44,000 なぜ? それを批准すると 303 00:12:44,000 --> 00:12:47,000 代理人の汚職を 304 00:12:47,000 --> 00:12:49,000 処罰しなければなりません 305 00:12:49,000 --> 00:12:51,000 ドイツでは 306 00:12:51,000 --> 00:12:54,000 役人への賄賂は許されていません 307 00:12:54,000 --> 00:12:57,000 しかし 代理人に賄賂を贈ることは許されています 308 00:12:57,000 --> 00:13:00,000 これはドイツの法律で合法であり 309 00:13:00,000 --> 00:13:02,000 議員達はこれを変えたがりません 310 00:13:02,000 --> 00:13:04,000 これが彼らが 311 00:13:04,000 --> 00:13:07,000 外国の賄賂提供に対する国連の協定に 署名しない理由です 312 00:13:07,000 --> 00:13:09,000 ドイツは公正さや清潔な行政を世界中で説いている 313 00:13:09,000 --> 00:13:12,000 数少ない国の一つなのですが 314 00:13:12,000 --> 00:13:14,000 協定を批准することはできません 315 00:13:14,000 --> 00:13:17,000 私たちはなんとか 世界160か国の協定書を 316 00:13:17,000 --> 00:13:20,000 策定しましたが批准はされていないのです 317 00:13:20,000 --> 00:13:22,000 私の持ち時間が終わりそうなので 318 00:13:22,000 --> 00:13:24,000 とりあえず 319 00:13:24,000 --> 00:13:27,000 これまでのことから結論を述べさせてください 320 00:13:27,000 --> 00:13:31,000 私達の 321 00:13:31,000 --> 00:13:34,000 腐敗との戦いのなかで幾分かが実現されました 322 00:13:34,000 --> 00:13:36,000 そして他の腐敗したガバナンスの分野でも 323 00:13:36,000 --> 00:13:38,000 達成しようとしていますが 324 00:13:38,000 --> 00:13:39,720 今では国連は 325 00:13:39,720 --> 00:13:42,000 完全に私達の味方です 326 00:13:42,000 --> 00:13:46,320 世界銀行はウォルフェンソン総裁のもとで サウロからパウロに回心したように改めました 327 00:13:46,330 --> 00:13:49,000 世界銀行は 私に言わせれば 328 00:13:49,000 --> 00:13:51,000 世界で最強の反腐敗勢力です 329 00:13:51,000 --> 00:13:53,000 大企業の大部分は 330 00:13:53,000 --> 00:13:55,000 今では全面的に 331 00:13:55,000 --> 00:13:57,000 賄賂などに反対する 332 00:13:57,000 --> 00:13:59,000 はっきりとした方針を 333 00:13:59,000 --> 00:14:01,000 導入しています 334 00:14:01,000 --> 00:14:04,000 それは民間団体が 335 00:14:04,000 --> 00:14:06,000 企業と一緒になって 336 00:14:06,000 --> 00:14:08,000 また政府とともに 337 00:14:08,000 --> 00:14:10,000 問題を分析し 338 00:14:10,000 --> 00:14:12,000 解決策を策定し 339 00:14:12,000 --> 00:14:15,000 改革を実行し 340 00:14:15,000 --> 00:14:18,000 その後に改革を検証することによって実現できるのです 341 00:14:18,000 --> 00:14:21,000 もちろん もし民間団体組織が 342 00:14:21,000 --> 00:14:23,000 その役割を果たしたいのであれば 343 00:14:23,000 --> 00:14:27,000 その責任が果たせるようにならなければなりません 344 00:14:27,000 --> 00:14:30,000 すべての民間団体組織が 良いという訳ではありません 345 00:14:30,000 --> 00:14:33,000 KKKもNGOです 346 00:14:33,000 --> 00:14:35,000 だから私達も意識して 347 00:14:35,000 --> 00:14:37,000 民間団体が 348 00:14:37,000 --> 00:14:39,000 自ら襟を正す必要があるのです 349 00:14:39,000 --> 00:14:41,000 民間団体にも一層の 350 00:14:41,000 --> 00:14:43,000 財務規律の透明性が必要なのです 351 00:14:43,000 --> 00:14:46,000 一層の一般参加型の統制が 352 00:14:46,000 --> 00:14:49,000 多くの民間団体で必要です 353 00:14:49,000 --> 00:14:52,000 民間団体のリーダーが より有能になることも必要です 354 00:14:52,000 --> 00:14:55,000 だから私達はベルリンに行政スクールと 355 00:14:55,000 --> 00:14:57,000 民間団体のセンターを設立したのです 356 00:14:57,000 --> 00:15:00,000 ドイツおよびヨーロッパの 357 00:15:00,000 --> 00:15:02,000 教育研究機関の大部分は 358 00:15:02,000 --> 00:15:04,000 一般的に 359 00:15:04,000 --> 00:15:06,000 まだ 360 00:15:06,000 --> 00:15:08,000 民間団体の能力養成と 361 00:15:08,000 --> 00:15:11,000 リーダーシップ養成が十分ではないからです 362 00:15:11,000 --> 00:15:14,000 しかし 私の実務経験から言うと 363 00:15:14,000 --> 00:15:17,000 民間団体がこれを正しく実行し 364 00:15:17,000 --> 00:15:20,000 他の団体と一緒に行動すると 365 00:15:20,000 --> 00:15:22,000 特に政府や 366 00:15:22,000 --> 00:15:25,000 国際機関 367 00:15:25,000 --> 00:15:28,000 それらは大きな国際的団体と協力し 368 00:15:28,000 --> 00:15:30,000 それらの団体が 369 00:15:30,000 --> 00:15:32,000 社会的責任を果たせるようになるのです 370 00:15:32,000 --> 00:15:35,000 その時 この魔法の三角形 371 00:15:35,000 --> 00:15:37,000 すなわち民間団体と 372 00:15:37,000 --> 00:15:39,000 政府と企業による三角形が 373 00:15:39,000 --> 00:15:41,000 より良い世界を作るために 374 00:15:41,000 --> 00:15:45,000 私達すべてに大きなチャンスをもたらすのです 375 00:15:45,000 --> 00:15:47,000 ありがとうございました 376 00:15:47,000 --> 00:15:49,000 (拍手)