1 00:00:06,635 --> 00:00:12,495 "¿Hablas español?" "Parlez-vous français?" "你会说中文吗?" 2 00:00:12,495 --> 00:00:18,333 もしあなたが 英語でこの動画を見て "sí" "oui" とか "是的" と答えるなら 3 00:00:18,333 --> 00:00:23,469 おそらく世界の多数派である 複数言語を話すグループの一員でしょう 4 00:00:23,469 --> 00:00:25,563 旅行の時に 楽ができたり 5 00:00:25,563 --> 00:00:27,471 映画を字幕なしで 見たりできる以外にも 6 00:00:27,471 --> 00:00:29,895 2つ以上の言語を知っている人の脳は 外見も働き方も 7 00:00:29,895 --> 00:00:34,777 1つの言語しか知らない人の脳とは 違うかもしれません 8 00:00:34,777 --> 00:00:38,272 では 言語を知っているとは 実際どういう意味でしょうか? 9 00:00:38,272 --> 00:00:43,133 言語能力はふつう 「話す」「書く」の2つの能動的能力と 10 00:00:43,133 --> 00:00:46,985 「聴く」「読む」の 2つの受動的能力で決まります 11 00:00:46,985 --> 00:00:49,655 バランスのとれたバイリンガルは 2つの言語にわたって 12 00:00:49,655 --> 00:00:52,377 全能力をほぼ一律に 備えていますが 13 00:00:52,377 --> 00:00:55,760 世界中のバイリンガルのうち 大部分の人では 14 00:00:55,760 --> 00:00:57,981 その割合に偏りがあります 15 00:00:57,981 --> 00:01:01,612 彼らの状況や 各言語をどう獲得したかによって 16 00:01:01,612 --> 00:01:04,915 バイリンガルは 3タイプに分けられます 17 00:01:04,915 --> 00:01:07,767 例えば ガブリエラの場合は 18 00:01:07,767 --> 00:01:12,007 2歳の時 家族で ペルーからアメリカに移住しました 19 00:01:12,007 --> 00:01:13,823 ガブリエラは 「複合型バイリンガル」で 20 00:01:13,823 --> 00:01:18,275 2つの言語コードを 1つの概念体系のもとに 21 00:01:18,275 --> 00:01:20,297 同時に発達させています 22 00:01:20,297 --> 00:01:22,165 彼女は周囲の情報を 処理し始めた頃から 23 00:01:22,165 --> 00:01:25,358 英語とスペイン語の両方を 学習しているからです 24 00:01:25,358 --> 00:01:29,162 一方で 彼女の10代の兄は 「等位型バイリンガル」と言えるでしょう 25 00:01:29,162 --> 00:01:31,338 彼は2つの概念体系を使っており 26 00:01:31,338 --> 00:01:33,200 学校では英語を学んで 27 00:01:33,200 --> 00:01:36,764 家族や友達とは それまでどおり スペイン語で話します 28 00:01:36,764 --> 00:01:41,845 最後に ガブリエラの両親は 「従属型バイリンガル」でしょう 29 00:01:41,845 --> 00:01:43,410 彼らは第2言語を 30 00:01:43,410 --> 00:01:46,198 第1言語を通じて学んでいます 31 00:01:46,198 --> 00:01:50,215 アクセントや発音を別とすれば どのタイプのバイリンガルも 32 00:01:50,215 --> 00:01:52,723 充分に言語をマスターできるので 33 00:01:52,723 --> 00:01:55,843 ちょっと接しただけでは 違いは分からないかもしれません 34 00:01:55,843 --> 00:01:58,619 しかし近年の 脳イメージング技術の発展によって 35 00:01:58,619 --> 00:02:00,859 神経言語学者は 言語学習の特定の側面が 36 00:02:00,859 --> 00:02:05,714 バイリンガルの脳に及ぼす影響を 垣間見てきました 37 00:02:05,714 --> 00:02:09,008 脳の左半球が 論理的思考の際に 優勢かつ分析的に働き 38 00:02:09,008 --> 00:02:11,622 脳の左半球が 論理的思考の際に 優勢かつ分析的に働き 39 00:02:11,622 --> 00:02:16,202 右半球が情緒的・社会的な思考の際に より活性化されることはよく知られています 40 00:02:16,202 --> 00:02:20,075 しかしこれは程度の問題であって 完全な分業ではありません 41 00:02:20,075 --> 00:02:22,883 言語がこの両タイプの機能を含むこと そして その一方で 42 00:02:22,883 --> 00:02:25,861 脳の左右機能分化が 成長と共に徐々に進むことから 43 00:02:25,861 --> 00:02:28,799 「臨界期仮説」が生まれました 44 00:02:28,799 --> 00:02:30,430 この説によると 45 00:02:30,430 --> 00:02:32,406 子供が言語を より簡単に学べるのは 46 00:02:32,406 --> 00:02:35,196 発達途上の脳には 言語獲得にあたって 47 00:02:35,196 --> 00:02:38,975 両半球を使えるほどの 可塑性があるからなのです 48 00:02:38,975 --> 00:02:42,992 成人の場合は通常 言語機能は片方の半球が優位です 49 00:02:42,992 --> 00:02:44,898 普通は左半球です 50 00:02:44,898 --> 00:02:47,684 これが本当なら 子供の頃に言語を学習すると 51 00:02:47,684 --> 00:02:52,480 社会や情緒の文脈まで含め より全体的に把握できる可能性があります 52 00:02:52,480 --> 00:02:54,810 逆に 最近の研究によると 53 00:02:54,810 --> 00:02:57,520 成人になってから 第2言語を学んだ人たちは 54 00:02:57,520 --> 00:03:01,423 第2言語を使っている時に 何か問題に直面した場合 55 00:03:01,423 --> 00:03:03,811 母語を使っている時に比べて 感情によるバイアスにとらわれず 56 00:03:03,811 --> 00:03:05,460 理性的に対処できるそうです 57 00:03:05,460 --> 00:03:08,109 でも新たな言語を いつ獲得するかに拘らず 58 00:03:08,109 --> 00:03:12,210 マルチリンガルの脳には いくつか顕著な利点があります 59 00:03:12,210 --> 00:03:13,754 目で見て分かるものもあります 60 00:03:13,754 --> 00:03:16,338 ニューロンやシナプスの大部分が 集まっている 61 00:03:16,338 --> 00:03:19,441 灰白質の密度の高さが その例です 62 00:03:19,441 --> 00:03:23,504 また第2言語に取り組む時には 特定の領域がより活性化します 63 00:03:23,504 --> 00:03:26,889 バイリンガルの脳は 生涯にわたって高度に鍛えられるので 64 00:03:26,889 --> 00:03:31,334 アルツハイマー病や 認知症などの発症を 65 00:03:31,334 --> 00:03:33,225 5年程度 遅らせることもあります 66 00:03:33,225 --> 00:03:35,943 バイリンガルが認知的に 大きな利点であるという考えは 67 00:03:35,943 --> 00:03:37,519 今や直観的に理解できそうですが 68 00:03:37,519 --> 00:03:40,507 昔の専門家が聞いたら 驚いたことでしょう 69 00:03:40,507 --> 00:03:44,194 1960年代より前は バイリンガルは ハンディキャップと考えられていました 70 00:03:44,194 --> 00:03:45,999 言語の区別に 過剰な労力が必要なので 71 00:03:45,999 --> 00:03:50,652 子供の発達を遅らせると 考えられていたのです 72 00:03:50,652 --> 00:03:54,089 これは主に欠陥のある研究成果に 基づく見解でした 73 00:03:54,089 --> 00:03:56,178 確かに より最近のある研究でも 74 00:03:56,178 --> 00:03:59,415 両言語を必要とするテストで バイリンガルの中には反応が遅く 75 00:03:59,415 --> 00:04:01,427 誤答の多い生徒がいることが 示されましたが 76 00:04:01,427 --> 00:04:03,825 同時に 言語の切り替えに必要な 努力と注意が 77 00:04:03,825 --> 00:04:06,776 活性化を高めるきっかけとなり 78 00:04:06,776 --> 00:04:11,465 背外側前頭前皮質を強化する可能性が あることも示されました 79 00:04:11,465 --> 00:04:14,142 脳のこの領域は 実行機能、問題解決、 80 00:04:14,142 --> 00:04:18,971 タスクの切り替え そして不要な情報を取り除き 81 00:04:18,971 --> 00:04:22,644 集中するのに大きな役割を担います 82 00:04:22,644 --> 00:04:26,480 バイリンガルだからといって 必ずしも頭が良くなる訳ではありませんが 83 00:04:26,480 --> 00:04:30,897 脳は より健康的に そして複雑になり 活発に物事に取り組むようになります 84 00:04:30,897 --> 00:04:33,422 たとえ子供の頃に 85 00:04:33,422 --> 00:04:35,651 第2言語を学ぶという幸運に 恵まれなかったとしても 86 00:04:35,651 --> 00:04:37,794 遅すぎるということはありません 87 00:04:37,794 --> 00:04:40,572 だまされたと思って 「ハロー」から 88 00:04:40,572 --> 00:04:43,559 「オラ」「ボンジュール」「ニーハオ」へと 言語を跳び越えてみてください 89 00:04:43,559 --> 00:04:48,081 ちょっとした運動でも 脳にはとっても大事ですからね