WEBVTT 00:00:00.785 --> 00:00:03.840 ここに来る途中 私は 00:00:03.840 --> 00:00:07.542 飛行機の中で隣合わせた人と 00:00:07.542 --> 00:00:09.585 面白い話をしました 00:00:09.585 --> 00:00:14.113 彼はこう言ったのです 「アメリカでは 職業が不足してるようだね 00:00:14.113 --> 00:00:16.481 こんなものまで仕事にしてしまうんだもの 00:00:16.481 --> 00:00:22.743 猫の心理学者、犬のカリスマトレーナー、 竜巻の追っ掛け」 00:00:22.743 --> 00:00:25.560 そのすぐ後 私に聞きました 00:00:25.560 --> 00:00:27.812 「それで 君の職業は?」 00:00:27.812 --> 00:00:30.505 「平和構築家みたいなものかしら?」 私は答えました 00:00:30.505 --> 00:00:32.985 (笑) 00:00:34.925 --> 00:00:39.352 毎日 私は女性の声を広め 00:00:39.352 --> 00:00:42.450 和平プロセスと紛争解決での 00:00:42.450 --> 00:00:47.509 彼女たちの実体験に光を当てる為に 尽力しています 00:00:47.509 --> 00:00:50.288 その活動のお陰で 00:00:50.288 --> 00:00:56.464 女性の社会参加を世界的に 確かなものにする 唯一の方法は 00:00:56.464 --> 00:00:59.330 宗教を取り戻す事だと分かりました 00:00:59.330 --> 00:01:00.766 これは 私にとって 極めて重大な問題です 00:01:01.997 --> 00:01:05.434 私は若い女性イスラム教徒として 自分の信仰に誇りを持っています 00:01:07.805 --> 00:01:12.540 それは日々 活動する力と信念を与えてくれます 00:01:12.540 --> 00:01:15.299 そのお陰で私はここ― あなた方の前に居られるのです 00:01:15.909 --> 00:01:21.133 しかし私は宗教という名の下に 被った被害を見過ごす事は出来ません 00:01:21.133 --> 00:01:25.661 自分自身の宗教だけではなく 世界の主要な宗教に於いてもです 00:01:25.661 --> 00:01:30.165 経典の誤った説明、誤った使用、 改ざんなどによって 00:01:30.165 --> 00:01:33.694 私たちの社会や文化規範 00:01:33.694 --> 00:01:36.620 法制度や日常生活は 00:01:36.620 --> 00:01:40.474 気づかない所まで 影響を受けています 00:01:40.804 --> 00:01:45.490 私の両親は北アフリカのリビアから カナダに移住しました 00:01:45.490 --> 00:01:47.254 1980年代の初め頃です 00:01:47.254 --> 00:01:51.100 私は11人兄弟の真ん中です 00:01:51.100 --> 00:01:52.431 そう 11人です 00:01:53.431 --> 00:01:55.589 しかし成長する中で 私は自分の両親が2人共 00:01:55.589 --> 00:01:59.165 宗教的に熱心で敬虔な信者たちであり 00:01:59.165 --> 00:02:01.905 神から与えられた恵み―勿論つまり 私の事ですが 00:02:01.905 --> 00:02:06.664 他の子どもたちも― を祈り称えているのを目にしました(笑) 00:02:06.664 --> 00:02:09.822 2人は優しく愉快で忍耐強く 00:02:09.822 --> 00:02:16.161 無限の忍耐―11人の子どもが居たら 持たざるを得ない忍耐が備わっていました 00:02:16.161 --> 00:02:18.181 又 公正な人たちでした 00:02:18.181 --> 00:02:22.895 私は文化的な眼を通して 宗教に服従させられることはなく 00:02:22.895 --> 00:02:24.961 平等に扱われました 00:02:24.961 --> 00:02:27.410 同様にそれは私にも求められました 00:02:27.740 --> 00:02:32.177 神が性別によって 区別をすると 教えられたことは一度もありませんでした 00:02:32.647 --> 00:02:38.289 神を慈悲深く有益な友人・支援者と 理解していた両親によって 00:02:38.289 --> 00:02:42.143 私の世界観は形成されました 00:02:42.143 --> 00:02:46.970 さて勿論私の育った環境には それ以上の恩恵がありました 00:02:46.970 --> 00:02:51.722 11人兄弟の1人である事は Diplomacy101だということです(笑) 00:02:52.592 --> 00:02:55.169 今でも 私はどの学校を 出たのかをこう聞かれます 00:02:55.169 --> 00:02:57.652 「ケネディ行政大学院を出たの?」 00:02:57.652 --> 00:02:59.558 すると彼らを見てこう言います  「いいえ 00:02:59.558 --> 00:03:02.367 『ムラビット国際関係学校』を出ました」 00:03:02.367 --> 00:03:08.195 そこは極端に排他的です 入学したければうちの母の許可が必要でしょう 00:03:08.195 --> 00:03:10.331 運良く 母はここに来ていますよ 00:03:11.879 --> 00:03:16.368 しかし11人の子どもの1人で 10人の兄弟がいると 00:03:16.368 --> 00:03:20.600 権力構造と協調について 大いに学べるのです 00:03:20.600 --> 00:03:23.403 集中力も身につきます― 早口で口数も少なくなります 00:03:23.403 --> 00:03:25.911 だっていつも遮られてしまいますから 00:03:25.911 --> 00:03:28.767 メッセージを送る事の大切さも学びます 00:03:28.767 --> 00:03:32.993 答が知りたければ きちんと質問をしなければなりません 00:03:32.993 --> 00:03:37.172 平和を保つ為には はっきりと ノーと言わなければなりません 00:03:37.172 --> 00:03:41.444 しかし 成長する中で学んだ 最も重要な教訓は 00:03:41.444 --> 00:03:44.974 「テーブルにつく」という事です 00:03:44.974 --> 00:03:48.805 母のお気に入りのランプが壊れ 誰がどうやって壊したのか調べていた時 00:03:48.805 --> 00:03:53.334 私は自己防衛の為 そこにいなければなりませんでした 00:03:53.334 --> 00:03:57.117 もしいないなら その時は疑いの目がその人に向き 00:03:57.117 --> 00:03:59.741 知らぬ間に 皆に取り囲まれてしまうのです 00:03:59.741 --> 00:04:03.018 勿論 自分の経験から そう言っている訳ではありませんよ 00:04:04.338 --> 00:04:09.750 2005年 私は15歳で高校を卒業し 00:04:09.750 --> 00:04:12.240 カナダのサスカトゥーンから 00:04:12.240 --> 00:04:16.319 両親の故郷であるリビアの ザウィヤに引越しました 00:04:16.319 --> 00:04:18.711 とても伝統的な都市です 00:04:18.711 --> 00:04:23.530 言っておきますがリビアには それまでに休暇でしか行った事はなく 00:04:23.530 --> 00:04:27.906 7歳の少女だった私にとって それは魔法でした 00:04:27.906 --> 00:04:32.898 アイスクリームを食べながらビーチまで行き 親戚と大いに盛り上がりました 00:04:33.468 --> 00:04:38.470 15歳の若い女性にとって今回は それとは同じものでないと分かりました 00:04:38.470 --> 00:04:44.438 私はすぐさま 文化的な 宗教の側面を知る事になりました 00:04:44.438 --> 00:04:48.896 「ハラム」という言葉は 「宗教上禁止された」を意味し 00:04:48.896 --> 00:04:52.402 「アイブ」は 「文化的に相応しくない」という意味で 00:04:52.402 --> 00:04:55.118 それらの言葉は軽率に取り交わされます 00:04:55.118 --> 00:04:59.437 まるでその二つの言葉が同じ意味で 同じ重要性を持つかのようでした 00:04:59.437 --> 00:05:04.174 気がつくと クラスメート 同僚 教授 友人そして親戚とさえ 00:05:04.174 --> 00:05:07.610 次々に会話を交わす中で 私は自らの役割や 00:05:07.610 --> 00:05:12.393 自らの野望に 疑問を持ち始めていました 00:05:12.393 --> 00:05:15.923 両親が私に与えてくれた基盤すら揺らぎ 00:05:15.923 --> 00:05:20.218 信仰に於ける女性の役割に 疑問を持つ自分に気づきました 00:05:20.218 --> 00:05:24.397 「ムラビット国際関係学校」では 00:05:24.397 --> 00:05:27.137 議論を非常に重視します 00:05:27.137 --> 00:05:32.632 そこでの最優先のルールはリサーチを する事なので 私はそれをやりました 00:05:32.640 --> 00:05:36.425 私の信仰上のリーダーであり 00:05:36.425 --> 00:05:40.442 刷新的で 政治的経済的軍事的にも 00:05:40.442 --> 00:05:43.994 力強い女性を あまりにも容易に 00:05:43.994 --> 00:05:47.360 見つけ出せたのには驚きました 00:05:47.360 --> 00:05:50.751 ハディジャはイスラムの運動の初期に 00:05:50.751 --> 00:05:52.412 資金を融通していました 00:05:52.562 --> 00:05:55.007 彼女がいなければ 私たちはここにはいません 00:05:55.627 --> 00:05:58.274 では何故彼女について 学ぼうとしなかったのでしょう? 00:05:58.274 --> 00:06:01.195 何故そんな女性たちについて 学ぼうとしなかったのでしょう? 00:06:01.195 --> 00:06:03.986 何故女性たちは私たちの 信仰の教えを先導する地位から 00:06:03.986 --> 00:06:06.656 追い払われていたのでしょうか? 00:06:06.656 --> 00:06:08.931 もし私たちが神の目に 平等であるならば 00:06:08.931 --> 00:06:12.033 何故人間の目には 平等でないのでしょうか? 00:06:12.623 --> 00:06:17.690 私には 子どもの頃学んだ教訓が 蘇って来ます 00:06:18.350 --> 00:06:22.022 決定を下す人 メッセージを 管理するようになる人は 00:06:22.022 --> 00:06:24.604 テーブルについているのです 00:06:24.604 --> 00:06:29.504 そして不運にも 全てのあらゆる 世界中の宗教に於いて 00:06:29.504 --> 00:06:32.150 そういった人たちは女性ではないのです 00:06:32.150 --> 00:06:35.192 宗教組織は男性によって支配され 00:06:35.192 --> 00:06:37.143 男性のリーダーによって運営されていて 00:06:37.143 --> 00:06:40.579 私たちがそのシステムを すっかりと変えるまで 00:06:40.579 --> 00:06:44.672 彼らは似通った方針を作りだすのです 00:06:44.672 --> 00:06:47.939 女性の全面的な経済や社会への参画は 00:06:47.939 --> 00:06:51.515 現実的には期待できないのです 00:06:51.515 --> 00:06:54.626 私たちの宗教的基盤は崩壊しています 00:06:55.786 --> 00:07:00.778 母は「湾曲した基礎の上に まっすぐな家は建てられない」と言っています 00:07:02.521 --> 00:07:09.130 2011年リビア革命が勃発し 私の家族はその前線にいました 00:07:09.580 --> 00:07:12.644 その戦争の最中に 素晴らしいことが起こりました 00:07:12.644 --> 00:07:15.773 ほんの一時的でしたが 文化的な変革に近いものでした 00:07:15.773 --> 00:07:18.844 自分が携わっている事が 受け入れられると感じただけでなく 00:07:18.844 --> 00:07:21.816 勇気づけられたのは初めての事でした 00:07:21.816 --> 00:07:24.161 それが必要とされていたのです 00:07:24.161 --> 00:07:27.170 私自身と他の女性たちは テーブルにつく事が出来たのです 00:07:27.170 --> 00:07:30.569 私たちは差し伸べられた手を握るだけでもなく 仲介役でもなく 00:07:30.569 --> 00:07:32.427 意思決定に参加し 00:07:32.427 --> 00:07:35.840 情報を共有し合う かけがいのない存在でした 00:07:35.840 --> 00:07:40.890 私はこの変化が永遠に続く事を望み そうあるべきと思っていました 00:07:42.342 --> 00:07:45.128 それは さほど容易なものではないと 分かりました 00:07:45.128 --> 00:07:49.500 その時一緒に活動していた女性たちが 元の役割に戻ってしまうのに 00:07:49.500 --> 00:07:52.470 わずか数週間しかかかりませんでした 00:07:52.470 --> 00:07:55.275 女性たちの殆どは宗教や 政治指導者の 00:07:55.275 --> 00:07:58.177 勧奨の言葉に追い立てられたのです 00:07:58.177 --> 00:08:02.171 彼らの殆どは宗教の経典を引用することで 予防線を張りました 00:08:02.449 --> 00:08:06.000 そうやって彼らは自分たちの意見への 多くの支持を取り付けたのです 00:08:07.080 --> 00:08:12.317 最初 私は経済的、政治的な 女性の権限の強化に集中しました 00:08:12.317 --> 00:08:15.823 それが文化的、社会的な変革に 繋がると思ったのです 00:08:15.823 --> 00:08:20.165 実際に大いにではありませんが 少しは繋がるのです 00:08:20.165 --> 00:08:24.530 私は攻撃として 彼らの防衛を 利用することにしました 00:08:24.530 --> 00:08:29.174 イスラムの経典を 彼らと同様に 引用し 強調し始めました 00:08:29.174 --> 00:08:33.736 2012年と2013年に 私の組織はリビアで最大規模で 00:08:33.736 --> 00:08:36.221 最も広範囲に拡大した運動を指揮しました 00:08:36.221 --> 00:08:40.996 私たちは家庭、学校、大学そして モスクにすら入りました 00:08:40.996 --> 00:08:43.279 5万人の人々に直接話し 00:08:43.279 --> 00:08:47.343 広告板やテレビやラジオのコマーシャル、 ポスターを通じて 00:08:47.343 --> 00:08:50.130 何十万の より多くの人々に伝えました 00:08:50.130 --> 00:08:53.194 元々私たちの存在そのものに 反対していたコミュニティで 00:08:53.194 --> 00:08:56.166 女性の権利組織が おそらくどうやって それを 00:08:56.166 --> 00:08:59.161 可能にしたのだろうかと思うでしょう 00:08:59.701 --> 00:09:02.170 経典を用いたのです 00:09:02.170 --> 00:09:07.560 コーランの一節や 予言者の格言を使いました 00:09:07.560 --> 00:09:11.525 例えばこんなハディースの格言です 00:09:11.525 --> 00:09:14.961 「汝の最良は その家族にとっての最良である」 00:09:14.961 --> 00:09:18.978 「汝の兄弟に他者を虐げさせてはならない」 00:09:18.978 --> 00:09:23.993 地域コミュニティのイマーム(導師) が執り行う金曜礼拝では 00:09:23.993 --> 00:09:26.478 初めて女性の権利が 推進されるようになりました 00:09:26.478 --> 00:09:30.076 DVといったタブーな事柄についても 議論を交わしました 00:09:30.656 --> 00:09:33.620 方針が変わりました 00:09:34.080 --> 00:09:37.205 あるコミュニティでは 00:09:37.205 --> 00:09:41.106 宗教学者によって書かれていないため 反対されていた世界人権宣言について 00:09:41.106 --> 00:09:45.192 宗教学者によって書かれていないため 反対されていた世界人権宣言について 00:09:45.192 --> 00:09:49.975 宣言と同じ原理が私たちの経典の中に あることまで示しました 00:09:49.975 --> 00:09:53.746 事実 国連は私たちの教義を 真似ているだけなのです 00:09:55.931 --> 00:09:58.774 メッセージを変えることによって 私たちは 00:09:58.774 --> 00:10:02.899 リビアの女性たちの権利を推し進める 新たな話が出来るのです 00:10:03.349 --> 00:10:08.201 この動きは現在 他の国にも広がっています 00:10:08.201 --> 00:10:12.590 本当に 容易なことではありません 00:10:12.590 --> 00:10:16.421 リベラル派は私たちを宗教を使った 最低な保守派呼ばわりするでしょう 00:10:16.421 --> 00:10:19.904 保守派の人間も 色々な事を言ってくるでしょう 00:10:19.904 --> 00:10:23.990 様々な声を耳にしてきました 「親はあなたを心底恥じているに決まっている」 00:10:23.990 --> 00:10:26.100 違います 2人は私の一番のファンです 00:10:26.100 --> 00:10:28.611 「次の誕生日は迎えられないだろう」 00:10:28.611 --> 00:10:32.304 これも間違いです  ちゃんと迎えられましたから 00:10:32.674 --> 00:10:34.810 そして未だ私は 00:10:34.810 --> 00:10:41.231 女性の権利と宗教は互いに 相容れないものではないと堅く信じていますが 00:10:42.291 --> 00:10:45.033 私たちは テーブルにつく 必要があるのです 00:10:45.723 --> 00:10:49.856 沈黙を続ける事によって 世界中の女性の 執拗な迫害や虐待を許しているのだから 00:10:49.856 --> 00:10:55.387 私たちは自分たちの地位を 諦めてはならないのです 00:10:55.837 --> 00:10:58.842 私たちは女性の権利の為に戦うと宣言し 00:10:58.842 --> 00:11:02.627 過激主義と 爆弾や 武力衝突で戦う事によって 00:11:02.627 --> 00:11:06.876 地元の社会活動を完全に鈍らせてしまいます 私たちはそれが持ちこたえられるよう 00:11:06.876 --> 00:11:09.105 問題に取り組む必要があるのです 00:11:11.496 --> 00:11:16.570 歪められた宗教のメッセージに挑んで いくのは容易ではありません 00:11:16.930 --> 00:11:21.770 皆が同様に 侮辱、嘲り、脅迫を 受ける事になるでしょうが 00:11:22.380 --> 00:11:24.216 それをする必要があるのです 00:11:24.216 --> 00:11:28.957 人権や私たちの宗教の教義の メッセージを取り戻すより 00:11:28.957 --> 00:11:31.604 他に選択肢はないのです 00:11:31.604 --> 00:11:34.367 私たちの為 家族の中の女性の為ではなく 00:11:34.367 --> 00:11:36.317 この部屋にいる女性たちの為ではなく 00:11:36.317 --> 00:11:39.491 他の女性たちの為ですらなく 00:11:39.491 --> 00:11:42.997 女性が参加する事で 変わるであろう社会の為に 00:11:42.997 --> 00:11:45.314 女性が参加する事で 変わるであろう社会の為に 00:11:45.884 --> 00:11:48.391 私たちに出来る唯一の方法なのです 00:11:48.391 --> 00:11:50.179 私たちの唯一の選択は 00:11:50.179 --> 00:11:53.709 テーブルにつき そこに留まる事なのです 00:11:53.709 --> 00:11:56.332 ありがとうございました 00:11:56.332 --> 00:11:59.911 (拍手)