みなさんは別次元へ旅している 目や耳だけでなく心の別次元へ 不思議な地への旅 想像だけがその境界である 前方に道標がある 次の停留所は トワイライトゾーンだ 看護師さん? 睡眠薬の時間ですよ もう夜なの? 9:30ですよ まあ 昼はどうだった? 昼の何? お天気はよかった? 暖かかった? 太陽は出てたの? ちょっと暖かだったわ そう... 雲は? 空に雲はあった? あったと思うわ 私はあまり 空を見上げない方だから そう? 私は雲を見るのが好きだったの 長くじっと見れば 雲はいろんなものになるのよ 言ってること分かる? 人 船 望む何でもよ ほんとに もう体温を測る時間よ お願い あと一つ 何? 包帯をとるのはいつ? あとどれ位 看護師さん? あなたの顔を-- 直せるか決めるまでよ あぁ とても...ひどいのね? もっとひどいのも見たことあるわ ええ でも... とても ひどいんでしょ? とてもひどいと知ってるわ 物心がついてからずっと-- 小さい時からずっと-- 私を見ると人は顔をそむけたわ おかしいわね... 私が覚えてる最初のことは 私を見て別の子が悲鳴をあげたことよ 私... 綺麗になりたいわけじゃ ないのよ 絵のようになりたいとは 思ってなかった 愛されたいとすら思ってなかったわ ただ人が私を見て 悲鳴をあげて欲しくなかったの いつ 看護師さん? いつ? いつ? いつ包帯をとるの? 明日かもしれないし その翌日かもね さあ黙って あなたはもうずっと待ってきたでしょ あまり変わらないわよ 二週間だろうが何日だろうが そうでしょ? ベルナルデ先生 307号室患者の夜の報告書です 体温変化なし 心地良く休んでます 有難う あとで下りていくよ 彼女の顔を見た- 307号室? 見たわよ あれが私だったら どこかの墓に自分を埋めるわ 可哀想に どうでも生きる人もいるわ タバコ? ちょっと時と空間を一時停止して ジャネット・タイラー嬢を 紹介しよう 彼女が暮らしているのは 非常に私的な暗闇の世界で 宇宙の次元が 顔を覆っている包帯の大きさ 厚さ 長さである まもなく 私達はこの部屋に戻り 又 まもなく 包帯の下を見る 勿論 心では 見るものに驚かないつもりで-- ここはただの病院ではなく-- 307号室のこの患者は ただの女性ではないのだから ここはたまたま トワイライトゾーンで J・タイラー嬢は みなさんと共に そこに入るところなのだ 血圧と体温は正常です 先生 ずっと変化ありません よし 11時頃にまた来てくれ その時いつもの鎮痛剤をやって 分かりました 先生 今晩は暑いね タイラーさん ええ そう思ってましたけど はっきりしなかったの とても暑いよ 信じていい まもなく君の包帯をとるよ とても不快だと思う 顔の包帯に慣れてるわ そうだろうね 君はこれで9回目だ 9回目だよね? 11回目よ 時々 私... 生涯ガーゼの壁の暗い洞窟の中で 暮らした気がするの 洞穴の口に吹く風は エーテルと消毒剤の匂いがするって 勿論あるわ... この洞穴で暮らして 少し快適なこともある-- とても私的で 誰にも見られない 見込みないのね 先生? 見た目が今と変わらないんだわ 何とも言えないね 今まで君は無反応だった 注射や薬-- 証明済みのどの技術にもね 率直には君にお手上げだ これまでしてきた何も 全く変わってない だが この最後の治療には かなり望みをもってるよ 勿論包帯を外すまで 分からないがね 君の場合に形成外科の処置が できなかったのが残念だ だが君の骨格 肉の型... 多くの要因で外科的処置は できない 11回目となると もうこれで最後ね 先生 これ以上の試験はない 11回が実験の命令の数だ 11回以上は許されていない それで 先生? 君はちょっと早とちりだね? 君は最後の注入に反応したかもしれんよ 包帯をとるまでは 分からないんだから それで もし反応してなかったら どうなるの? 選択肢がある たとえば? 知らない? いいえ 知ってるわ 君は勿論分かってるね なぜこういう規則が 実施されてるかを 私達各自はできるだけ多く 社会適応する為の機会が 与えられている 君の場合 時間と 金と努力が 使われて 君の顔を... どんな風に 先生? 普通に 君が望むように 先生... 先生... 外を歩いていい? ね いい? 出て...庭に座っていい? ただ... 少しの間だけ ただ...空気に触れるだけ ただ... 花の匂いを嗅ぐだけ ただ... 私が普通のフリをするだけ? もし... 外の暗闇に座ってたら 世界全体は暗いわ そんな風に私はもっとその一部に なれる ただの... 周り中特別な暗闇の 顔に包帯を巻いてる-- グロテスクな醜い女じゃなく 私は属したいの 皆みたいになりたい お願い 先生 助けて 君のような不幸の人は 他に沢山いる-- 君と同じように見える人達がね それで 選択肢の一つは... 結果的に-- この最後の治療が不成功なら 単に君は 特別地域に引越しできる そこでは君の仲間の人達が 集められてる 私の仲間の人達? 集められてる 隔離されてるってことね! 監禁されてるってことでしょ 先生? 隔離地区の話をしてるのね? 奇形の為の隔離地区よ! タイラーさん! 国家は無情じゃない 君がこの病院にいるのが その証明だよ 君にできること全てを してるんだ だが君はききわけがない タイラーさん 無理だと思うだろ-- どんな暮らしもこの中で... 普通の人達の中では やってみるわ 私... 面とかこの包帯をつけるとか... 誰の邪魔もしない 自分の道を行くだけで 職を得る どんな職でも! 私... とにかくあなた方は誰なの? この国は何なの? 誰がこんな規則や条件や法を 誰が作る: 違う人は普通の人から離れて いなければならないって 国は神じゃないわ 先生 タイラーさん どうか 頼む 国は神じゃない! 国に 生まれつきの偶然で 人を罰する権利はない! 醜さを罪とする権利はないわ! タイラーさん! タイラーさん すぐにやめるんだ 外の夜を感じる 空気に触れる 花の匂いを嗅げる ああ... ああ お願い お願い これを外して これをとって お願い これをとって! お願い これをとって! これをとって! これをとって! 助けて! 誰か 助けて! 助けて! いやいや 放して 放してちょうだい 放して お願い お願いよ お願い 放して お願い 放し... よし じゃ 包帯をとろう 麻酔医を連れてきて はい 先生 疲れたようね  先生 そう? 自分じゃそう思って なかった 確かにそうだな ずっとひどい葛藤だったのよ 先生にとって どれだけ重大か分かってるわ- 307号室のこのケースがね こういうことに感情を入れず 医学的に可能な全てをやる 人間として可能な全てを それから 最後に 指を交差させて 奇跡を望む ね 時には 奇跡は実際よく起こり-- 分からせてくれる 奇跡を望む自分が-- 間違ってないとか 愚かじゃないと だけどこうして体を壊すわ ごめんなさいね だけど 個人的に巻き込まれちゃ だめよ 分かってるよ 僕が自分でも そう言ってなかったと思う? だがね 僕は... あの包帯の下を 見た事がある 私もよ ひどい顔よ いや それよりもっと深くだ 憐れな歪んだ肉の塊より深く- 奇形の骨格の顔よりずっと深く あの女性の本当の顔を 見たんだ- 彼女の本物の顔だ あれはいい顔だ 人間の顔だ 分かります でも正直言って 私には 顔が覆われている時の方が 彼女を人間と思いやすいわ だが何故だ? 何故私達はそう 感じなければならない? どういう次元の違いだ? 美と忌避物で? 皮一重か? それ以下だ なぜだ? 何故人は違ってはいけない? なぜ? 先生 気をつけて あなたが話してるのは... 反逆罪 ああ この症例で先生は 均衡を失ったんだわ 価値観を まあそうだな 気にしないでくれ 包帯がとれたら僕は大丈夫だ どっちか分かったらね 今夜指導者の演説があるわ もうすぐ始まるわ では みなさん 我々の指導者です こんばんは みなさん 今夜の私の話は 我が統一社会の-- 栄えある調和-- 喜びと究極の満足についてです もう一度頼むしかない タイラーさん 絶対に約束ですよ 理性を失わないと 癇癪も 過敏反応も 暴れるのもだめです 分かりますね? では 僕がこれからすることを 細かに説明します 包帯を切るのは 一度に一片で その後包帯をだんだんと ほどきます 手順はゆっくりです 君の目が光に慣れていくようにね ご存知のように 今までの注入は 君の視力に影響したかも しれないのでね 分かります では ほどくに従い 君は目を開けたままにし 僕に述べて貰いたい 君が受けたままの光の様々な濃淡を 分かりました それで君が動いたり 私達に感情的になり始めると 看護師に君を抑えさせ-- 麻酔医に-- 鎮静剤を打たせるしかない いいですね そうしないと約束するわ よし じゃ 今光は見えるか? ああ ほんの少しだけ 灰色に よし では 静かにしてて 今度は タイラーさん? あ... ずっと明るいわ よし よし 見て- 光の方を見上げて 今度はどう タイラーさん? ええ とても...とても明るいわ よし よし では... 包帯の最後の層ですよ タイラーさん そう... 今 あなたが見えるわ 輪郭をぼんやりだけだけど あなたが見えるわ よし よし タイラーさん これから最後の包帯を とりますよ 鏡が欲しい? いいえ いえ 結構 鏡はいいわ よし それでは 君にこれを覚えてほしいのだが タイラーさん 聴いてるか? はい 聴いてます 僕達はできるだけのことをやった 成功したなら 結構 問題はない だが もし 逆に この最後の治療で望む結果に 達しなかったとしても 覚えておいて タイラーさん あなたはやはり長く 実のある人生を-- 送れると...仲間の人達と それで結果が分かり次第 僕達は君を退院させるか... 先生? 何かね? もし私がやはりひどく醜ければ... 他の選択肢は? 安楽死させてくれませんか? ある条件では 国は望ましくない者の 根絶を提供はしています だがその決定には考慮すべき 多くの要因があり 目下のところ 僕は... 私達に許されるとはあまり... ただ... 君を移送する他は 君の障害をもった共同体の 人達のところに じゃ私を行かせるのね? 多分そうなるかと ではじっとして 両目を開けてて よし タイラーさん... これで最後のところです ありったけの幸運を望みます 変化がない 全然変わってない これを恐れてたんだ 電気を点けろ 針を 暮らし... その患者を止めろ! 彼女を止めろ! 我々は今知ってる 必要なのは 単一の目的 単一の規範 単一の学習法 人々の単一の実体 単一の徳 単一の倫理観 単一の基準枠 単一の政府哲学 我々は異なるもの全てを がん性汚物のように 除去しなければならない! この社会で 不可欠なのは 規範を持つだけでなく その規範に適合することだ! 差異は我々を弱体化する! 変異は我々を滅ぼす! ...この規範は多くの国家を 終焉させ-- 屈服させたのだ! 適合を 我々は全体の為に 尊崇せねばならない! 適合が生存の鍵だ! タイラーさん タイラーさん 怖がらないで 彼は... 代表なだけだ 君が一緒に暮らす集団から きてる 妙なことに 君はまっすぐ 彼に来たんだ さあ さあ 怖がらないで 彼は君を傷つけないよ 君を傷つけない 怖がらないで 大丈夫 大丈夫だ タイラーさん これはスミスさんだ ウォルター・スミスさん スミスさんは北部の 村の集団の担当だ 今夜君をそこに連れていく 今はそれしかない タイラーさん きれいな村と素敵な人達がいる 僕が連れていくところが-- 気に入ると思うよ 君は... 君の仲間と一緒に なるんだ そうしてあっという間に- どんなにあっという間か 君は驚くだろうな- 君は大きな所属感を感じる筈だ 愛されてると感じ... 愛してると感じるよ タイラーさん タイラーさん... ...もう荷物を持ってきませんか? いつでも発てます スミスさん? はい? 何故私達はこういう顔で なくちゃいけないの? さあ タイラーさん ほんとに分かりません だが いいかな? それは重大じゃない 古い諺がある... とてもとても古い諺: 「美は見る人の目の中にある」 ここを出たら 村に行ったら それを考えてみて タイラーさん 何度も何度も自分に言ってみて 美は見る人の目の中にある さあ出掛けよう 君の荷物をとって 発とう さよなら タイラーさん ここで心に疑問が沸く: ここはどこでいつの話か? どんな世界で 醜さが規範で 美しさがその規範から外れるのか? 答を知りたい? 答は: どちらでもいいのだ 古い諺はたまたま本当なのだから- 美は見る人の目の中にある 今年でも100年後でも この星でも  人間がいるどこでも おそらく外の星の間でも 美は見る人の目の中にある トワイライトゾーンで 学ぶ教訓である