なぜほとんどのマンホールのふたは
丸いのでしょうか?
転がすのが簡単で どんな向きでも穴に収まる
という理由ももちろんあります
しかしもう一つ不可欠な理由があり
円と特別な形だけが持っている
幾何学的特性に関係しています
平行な2本の線が正方形に接している
様子を思い浮かべて下さい
正方形が回転すると
2本の線はまず引き離され その後元に戻ります
しかしこれを円でやってみてください
2本の直線は常に同じ距離-
円の直径のままです
円は正方形とは異なり
数学的には定幅(ていふく)曲線と
呼ばれる形なのです
この性質を持つ他の図形は
ルーローの三角形です
これを作るには 正三角形からスタートし
三角形の1つの頂点を
残る2つの頂点を通る円の中心にします
同様に残る2つの頂点を中心とする
2つの円を描きます
その結果 全ての円が重なった部分が
求める図形です
ルーローの三角形は平行線の間を
距離を変えずに転がることができるので
やや創造的な技術をもってすれば
車輪として使えます
もし同時に中心を
ほぼ円形の軌道で回転させると
周は角が丸くなった正方形を描き
三角形の掘削用ビットが
正方形の穴をあけます
あらゆる奇数の辺を持つ正多角形から
先程の説明と同じ方法を使って
定幅曲線を作ることができますが
同時に 他の方法によっても
たくさんの定幅曲線を作ることができます
例えばある定幅曲線を
別の定幅曲線の周りを転がすことにより
新しい定幅曲線を作ることができます
この先の尖った曲線群は数学者達を魅惑しています
定幅図形はバルビエの定理
「あらゆる定幅曲線の周は
円に限らず 直径(幅)の円周率倍である」
をもたらしました
また別の定理によると 「同じ幅を持つ
いかなる定幅曲線も
全て同じ外周をもち
ルーローの三角形はその中で面積が最小で
円 つまり無限の辺に対する
ルーローの多角形が
面積最大である」と示されています
3次元では定幅曲面
たとえばルーローの四面体などが作れます
正四面体を作り
各頂点を中心に 対面の頂点に接するまで
球を膨らませ
共通部分以外の全てを捨てるのです
定幅曲面は
2つの平行な面で一定の距離を維持します
そのためたくさんのルーローの4面体を床にまけば
その上を大理石の上のようにスムーズに
板で滑ることができます
さてマンホールのふたに戻ります
正方形のマンホールは ふたの短い辺が
穴のより長い部分に重なると
中に落ちてしまいます
しかし定幅曲線であれば
どのような向きでもおちることはありません
通常は円形ですが 良く見ていれば
ルーローの三角形のマンホールに
出会うこともあるでしょう