WEBVTT 00:00:07.742 --> 00:00:09.621 友達のパーティーの 準備を手伝っていると 00:00:09.621 --> 00:00:11.165 こんなメールが届きました 00:00:11.165 --> 00:00:14.082 “Bring Bob, a DJ and a clown” (「DJとピエロができるボブを連れてきて」) 00:00:14.082 --> 00:00:15.296 感心してしまいますね 00:00:15.296 --> 00:00:17.750 ボブがそんなに多才だったなんて 00:00:17.750 --> 00:00:19.333 しかし 迎えた当日 00:00:19.333 --> 00:00:21.082 そうではないことが判明します 00:00:21.082 --> 00:00:24.805 実は3人の人を連れてきてほしい ということだったのです 00:00:24.805 --> 00:00:27.082 ピエロのいない静かなパーティー会場で ボブと座っていると 00:00:27.082 --> 00:00:30.000 混乱を避けられたのではと思えてきます 00:00:30.000 --> 00:00:34.016 “DJ” の後に もう1つカンマさえあれば 00:00:34.016 --> 00:00:35.940 この列挙の最後のカンマは 00:00:35.940 --> 00:00:38.234 “and” や “or” や “nor” など 00:00:38.234 --> 00:00:41.167 主な接続詞の直前に置かれ 00:00:41.167 --> 00:00:42.989 「シリアル・カンマ」とか 00:00:42.989 --> 00:00:44.615 「オックスフォード・カンマ」と 呼ばれています 00:00:44.615 --> 00:00:47.201 文法の専門家を 長い間悩ませてきたのは 00:00:47.201 --> 00:00:49.203 主要な語学機関でさえも 00:00:49.203 --> 00:00:51.748 使用すべきか 意見の一致を見ないためです 00:00:51.748 --> 00:00:53.207 皮肉なことに オックスフォード・カンマは 00:00:53.207 --> 00:00:54.917 アメリカの方でよく使われており 00:00:54.917 --> 00:00:56.249 MLAや 00:00:56.249 --> 00:00:58.167 シカゴ・スタイルや 00:00:58.167 --> 00:01:00.167 米国政府印刷局が推奨していますが 00:01:00.167 --> 00:01:02.833 AP スタイルブックは推奨していません 00:01:02.833 --> 00:01:05.250 イギリスをはじめ 英語が話されている他の国々では 00:01:05.250 --> 00:01:07.499 ほとんどのスタイルガイドで このカンマは推奨されておらず 00:01:07.499 --> 00:01:09.166 その名の通り 00:01:09.166 --> 00:01:11.499 オックスフォード大学出版だけが例外です 00:01:11.499 --> 00:01:13.644 どうしてシリアル・カンマを 使わないのでしょう? 00:01:13.644 --> 00:01:15.022 主な主張のひとつは 00:01:15.022 --> 00:01:16.918 列挙されていること自体が 00:01:16.918 --> 00:01:18.565 異なる物を十分区別している というものです 00:01:18.565 --> 00:01:19.833 そうでない場合― 00:01:19.833 --> 00:01:21.442 残念な招待客リストのような場合は― 00:01:21.442 --> 00:01:24.916 順番を入れ替えることで 解決できるのです 00:01:24.916 --> 00:01:26.742 ジャーナリストも好まない理由は 00:01:26.742 --> 00:01:28.282 貴重なスペースをとられてしまい 00:01:28.282 --> 00:01:30.249 文面がごちゃごちゃするためです 00:01:30.249 --> 00:01:32.830 それ自体が混乱を招くことさえあります 00:01:32.830 --> 00:01:34.249 たとえば 00:01:34.249 --> 00:01:35.874 友達がこう言ってくれば― 00:01:35.874 --> 00:01:37.417 “Bring Bob, a DJ and a puppy” 00:01:37.417 --> 00:01:38.583 おそらく あなたはこれらが 00:01:38.583 --> 00:01:40.296 3つの別々のものだとわかるでしょう 00:01:40.296 --> 00:01:41.333 子犬はかわいいけど 00:01:41.333 --> 00:01:42.882 DJは上手くできなさそうです 00:01:42.882 --> 00:01:44.168 カンマがあるので 00:01:44.168 --> 00:01:45.082 こう理解するでしょう 00:01:45.082 --> 00:01:46.249 ボブはDJで 00:01:46.249 --> 00:01:48.387 ボブと子犬が要るのだと 00:01:48.387 --> 00:01:50.500 オックスフォード・カンマをめぐる論争は 00:01:50.500 --> 00:01:52.999 あまりに長年交わされてきたので 00:01:52.999 --> 00:01:56.406 ある種の休戦協定が結ばれています 00:01:56.406 --> 00:01:57.810 一般的に言われるのは 00:01:57.810 --> 00:01:58.982 好みの問題であり 00:01:58.982 --> 00:02:00.441 混乱を避けられるかどうかに 00:02:00.441 --> 00:02:02.000 左右されるというものです 00:02:02.000 --> 00:02:03.612 ひとつには 00:02:03.612 --> 00:02:05.654 オックスフォード・カンマを 00:02:05.654 --> 00:02:07.031 使うかどうかを 00:02:07.031 --> 00:02:09.284 文章全体で統一することです 00:02:09.284 --> 00:02:10.951 必要な場合だけ使うというのは 00:02:10.951 --> 00:02:12.620 よくありません 00:02:12.620 --> 00:02:13.703 文法の規則が 00:02:13.703 --> 00:02:15.702 「好みの問題」だということ自体が 00:02:15.702 --> 00:02:17.249 ちょっと変ですね 00:02:17.249 --> 00:02:19.499 パーティーの準備が上手くいって 00:02:19.499 --> 00:02:21.915 次の日にこんなメッセージが来ます 「皆 楽しんだよ― 00:02:21.915 --> 00:02:24.465 忍者も海賊もバイキングも 老いも若きも」 00:02:24.465 --> 00:02:26.666 オックスフォード・カンマが標準的なら 00:02:26.666 --> 00:02:28.083 使われていないため 00:02:28.083 --> 00:02:29.667 「老いも若きも」というのが 00:02:29.667 --> 00:02:33.167 すでに挙げられた招待客を 指しているとわかります 00:02:33.167 --> 00:02:34.166 しかし現状では 00:02:34.166 --> 00:02:35.249 果たしてこの文章が 00:02:35.249 --> 00:02:37.023 普通の子供たちや 00:02:37.023 --> 00:02:38.539 お年寄りも来たということなのかと 00:02:38.539 --> 00:02:40.064 考えてしまいます 00:02:40.064 --> 00:02:43.649 究極的には シリアル・カンマが 役立つのか 00:02:43.649 --> 00:02:44.933 それとも面倒なのかは 00:02:44.933 --> 00:02:46.377 他の好みと同様に 00:02:46.377 --> 00:02:47.499 どちらのスタイルに慣れ親しんで 00:02:47.499 --> 00:02:50.683 育ったかに関係しているでしょう 00:02:50.683 --> 00:02:52.630 高校の先生が好んでいたなら 00:02:52.630 --> 00:02:54.119 あなたはまだ使っているでしょう 00:02:54.119 --> 00:02:55.956 最初の編集者が嫌っていたなら 00:02:55.956 --> 00:02:57.456 あなたも嫌っているでしょう 00:02:57.456 --> 00:02:59.208 それに ページのほんの小さな記号に 00:02:59.208 --> 00:03:01.044 そこまでこだわるのも 00:03:01.044 --> 00:03:02.417 ちょっとばかばかしいですね 00:03:02.417 --> 00:03:03.380 結局のところ 00:03:03.380 --> 00:03:04.796 もっと心配すべき問題が 00:03:04.796 --> 00:03:05.748 たくさんあるのですから 00:03:05.748 --> 00:03:08.133 でも 些細なことが大きな違いを もたらすこともあるのです