WEBVTT 00:00:07.248 --> 00:00:10.821 飛行機が地上1ミリの高さを 飛行しながら 00:00:10.821 --> 00:00:14.029 地球を一周25秒で 繰り返し周回し 00:00:14.029 --> 00:00:17.335 地上の草を1本ずつ数えている様子を 想像してみてください 00:00:17.335 --> 00:00:20.551 これを手の平に収まるサイズに 縮小してみましょう 00:00:20.551 --> 00:00:24.305 すると 近年のハードディスクと 同じ程度の大きさになりますが 00:00:24.305 --> 00:00:28.455 これには地域の図書館に含まれる以上の 情報を保存できることでしょう 00:00:28.455 --> 00:00:32.906 では大量の情報は この小さな空間に どのように保存されているのでしょうか? 00:00:32.906 --> 00:00:37.122 ハードディスクの中心部には 高速に回転するディスクが積み重ねられていて 00:00:37.122 --> 00:00:40.525 各表面の上を記録用の磁気ヘッドが 飛び回っています 00:00:40.525 --> 00:00:46.278 各ディスクには磁化された微視的な金属が フィルム状にコーティングされており 00:00:46.278 --> 00:00:49.591 しかも 人が見て認識できるように データは記録されているのではなく 00:00:49.591 --> 00:00:52.768 超微粒子が集まることにより 形成される ― 00:00:52.768 --> 00:00:55.819 磁気パターンとして記録されています 00:00:55.819 --> 00:00:58.169 1ビットとも呼ばれる 個々のグループにおいて 00:00:58.169 --> 00:01:01.121 すべての粒子が 磁化の向きを揃えています 00:01:01.121 --> 00:01:03.596 これには2つの状態があり 00:01:03.596 --> 00:01:06.805 0か1のどちらかに対応しています NOTE Paragraph 00:01:06.805 --> 00:01:08.668 データのディスクへの書き込みは 00:01:08.668 --> 00:01:12.577 一連のビットを電流に変換し 00:01:12.577 --> 00:01:14.994 電磁石に流すことによって行われます 00:01:14.994 --> 00:01:18.613 電磁石は金属粒子の磁化の向きを変えるに足る 強い磁場を作り出します 00:01:18.613 --> 00:01:21.145 電磁石は金属粒子の磁化の向きを変えるに足る 強い磁場を作り出します 00:01:21.145 --> 00:01:24.102 情報が一旦 ディスクに書き込まれると 00:01:24.102 --> 00:01:28.843 ドライブにある読み取り磁気ヘッドにより 利用可能なデータとして取り出せます 00:01:28.843 --> 00:01:33.468 蓄音機の針が レコードの溝を読み取り 音楽を奏でるのと似ています 00:01:33.468 --> 00:01:37.634 でも 様々な情報を 0と1だけで表現する仕組みは? 00:01:37.634 --> 00:01:40.300 多くの0と1をまとめて使うことで 表現しています 00:01:40.300 --> 00:01:45.246 例えば 1文字は1バイト つまり8ビットで表します 00:01:45.246 --> 00:01:47.879 平均的な写真のサイズは 数メガバイト程度です 00:01:47.879 --> 00:01:50.865 1メガバイトは 800万ビットに相当します 00:01:50.865 --> 00:01:54.779 各ビットはディスクの 物理的なスペースに書き込まれるので 00:01:54.779 --> 00:01:58.833 ディスクの面記録密度を高めること つまり 1平方インチあたりに 00:01:58.833 --> 00:02:03.572 より多くのビット数を詰め込む方法が 常に追求されています 00:02:03.572 --> 00:02:08.907 最近のハードディスクの面記録密度は 1平方インチ辺り約600ギガビットで 00:02:08.907 --> 00:02:15.524 これは1957年にIBMが製造した 初のハードディスクの3億倍にもなります 00:02:15.524 --> 00:02:17.929 記憶容量のこの様な 目覚ましい向上は 00:02:17.929 --> 00:02:20.732 すべてを小型化することだけではなく 00:02:20.732 --> 00:02:22.914 いくつもの発明が積み重なっています 00:02:22.914 --> 00:02:26.153 薄膜リソグラフィーと呼ばれる技術は 00:02:26.153 --> 00:02:29.847 技術者による 読み書き磁気ヘッドの 小型化を可能にしました 00:02:29.847 --> 00:02:32.767 その小さなサイズにかかわらず 読み取りの精度は 00:02:32.767 --> 00:02:39.090 物質の磁性と量子的特性に関する新発明を 応用することで さらに高まりました 00:02:39.090 --> 00:02:43.384 また数学的アルゴリズムは ビットの密度をさらに高めました 00:02:43.384 --> 00:02:46.600 これは 磁気干渉による ノイズを除去し 00:02:46.600 --> 00:02:51.474 一群の読み取り信号から 最もらしい 一連のビット値を決定します 00:02:51.474 --> 00:02:54.465 書き込み磁気ヘッドの下に加熱装置を 置くことで可能になった 00:02:54.465 --> 00:02:57.548 ヘッドの熱膨張制御技術は 00:02:57.548 --> 00:03:02.675 ヘッドがディスクから5ナノメートル未満の 高さで動くことを可能にしました 00:03:02.675 --> 00:03:06.661 これは2本鎖からなる DNAの幅の程度です 00:03:06.661 --> 00:03:08.417 過去数十年間で 00:03:08.417 --> 00:03:12.564 コンピューターの記憶容量と 処理能力は指数関数的に飛躍を遂げ 00:03:12.564 --> 00:03:15.816 2年ごとに集積密度が 2倍になると予測した ― 00:03:15.816 --> 00:03:23.099 1975年に提唱されたムーアの法則通りに 進歩してきました 00:03:23.099 --> 00:03:25.993 しかし 1平方インチあたり 約100ギガビットまでくると 00:03:25.993 --> 00:03:30.185 磁気粒子の微細化 あるいは 集積化において 00:03:30.185 --> 00:03:34.361 超常磁性効果という 新たな問題が発生しました 00:03:34.361 --> 00:03:37.545 磁性粒子の体積が小さすぎると 00:03:37.545 --> 00:03:41.476 熱エネルギーによって磁化の状態が 容易に乱され 00:03:41.476 --> 00:03:44.429 意図せずビットが反転してしまい 00:03:44.429 --> 00:03:46.714 データの損失が起こりうるのです 00:03:46.714 --> 00:03:50.819 科学者たちは 記憶する方向を ヘッドの移動方向から 00:03:50.819 --> 00:03:55.899 これに垂直な方向に切り替えるという とても単純な方法でこの限界を克服し 00:03:55.899 --> 00:04:01.225 面記録密度を1平方インチあたり 1テラビットに近づけることができました 00:04:01.225 --> 00:04:04.858 最近は 熱を使った磁気記録によって 00:04:04.858 --> 00:04:07.682 潜在的な限界が さらに 高められました 00:04:07.682 --> 00:04:11.451 この方法は熱に対して ずっと安定した記憶媒体を使い 00:04:11.451 --> 00:04:14.889 特定の場所をレーザーで熱し 00:04:14.889 --> 00:04:18.517 磁気抵抗を一時的に下げることで 00:04:18.517 --> 00:04:20.535 データの書き込みを可能にしています 00:04:20.535 --> 00:04:23.557 これらのドライブは現在 試作の段階にありますが 00:04:23.557 --> 00:04:28.295 科学者たちはすでに 次なる技術を秘かに準備しています 00:04:28.295 --> 00:04:30.291 ビットパターンドメディアでは 00:04:30.291 --> 00:04:35.267 ビットをナノサイズの構造として 分離して配列することで 00:04:35.267 --> 00:04:40.303 1平方インチあたりの面密度を 20テラビットかそれ以上に 00:04:40.303 --> 00:04:41.780 引き上げられる可能性があります 00:04:41.780 --> 00:04:46.247 何世代にもわたる技術者や 00:04:46.247 --> 00:04:48.014 物性物理学者 00:04:48.014 --> 00:04:49.976 そして量子物理学者のおかげで 00:04:49.976 --> 00:04:53.019 見事な能力と精度を有するこの装置が 00:04:53.019 --> 00:04:55.814 手の平の上で 回転していられるのです