WEBVTT 00:00:06.794 --> 00:00:08.455 人類が誕生してから 00:00:08.455 --> 00:00:13.876 およそ千八十億人が 生きては 死んでいきました 00:00:13.876 --> 00:00:19.236 亡くなる人の数は 毎年 世界人口の 約0.8%ずつ増えています 00:00:19.236 --> 00:00:22.456 人が死んだ後 遺体には 何が起こるのでしょうか 00:00:22.456 --> 00:00:26.715 そして地球には 埋葬場所が なくなってしまうのでしょうか? 00:00:26.715 --> 00:00:28.506 人の心臓の鼓動が止まると 00:00:28.506 --> 00:00:32.656 いくつかの過程を経て 腐敗が始まります 00:00:32.656 --> 00:00:34.287 死後 数分以内に 00:00:34.287 --> 00:00:37.966 血液が 体の下側に集まり始めます 00:00:37.966 --> 00:00:40.005 通常は8から12時間後に 00:00:40.005 --> 00:00:46.084 死斑すなわち死後のシミによって そのあたりの肌が 変色します 00:00:46.084 --> 00:00:49.896 死後 しばらくすると 体の筋肉が完全に緩んで 00:00:49.896 --> 00:00:52.677 1次弛緩と呼ばれる状態になります 00:00:52.677 --> 00:00:58.247 2時間から6時間後に 筋肉は硬くなり 死後硬直と呼ばれる状態になります 00:00:58.247 --> 00:01:00.377 この硬直は 筋肉を通して広がり 00:01:00.377 --> 00:01:05.587 その速さは 年齢 性別や 周りの環境によって影響されます 00:01:05.587 --> 00:01:07.588 身体の体温も変わり 00:01:07.588 --> 00:01:10.897 通常 周りの環境に合わせて 冷たくなります 00:01:10.897 --> 00:01:13.055 そして 腐敗が始まります 00:01:13.055 --> 00:01:17.238 細菌や虫が 体を分解する過程で 00:01:17.238 --> 00:01:20.277 多くの要素が 分解の速度に影響します 00:01:20.277 --> 00:01:24.797 しかし 環境がどのように腐敗に影響するかは 基本的な手引きがあり 00:01:24.797 --> 00:01:26.758 それはキャスパーの法則と呼ばれています 00:01:26.758 --> 00:01:28.967 全ての条件が 同じだとすると 00:01:28.967 --> 00:01:35.198 空気中の遺体は 水中にある遺体より 2倍の速さで腐敗が進み 00:01:35.198 --> 00:01:39.322 土葬された遺体より 8倍の速さで腐敗が進みます 00:01:39.322 --> 00:01:43.554 土の酸性度も骨の 保存状態に影響を与えます 00:01:43.554 --> 00:01:46.981 pHが5.3以下の高酸性の土は 00:01:46.981 --> 00:01:49.658 急速に骨を分解しますが 00:01:49.658 --> 00:01:54.739 pH7かそれ以上の中性 またはアルカリ性の土では 00:01:54.739 --> 00:01:59.685 骨は何世紀もの間 比較的 良い状態を保ちます 00:01:59.685 --> 00:02:04.088 歴史を通して様々な文化が 埋葬に対して 特徴あるアプローチをしてきました 00:02:04.088 --> 00:02:06.720 最初のネアンデルタール人の 埋葬までさかのぼると 00:02:06.720 --> 00:02:09.100 死には儀式があり 00:02:09.100 --> 00:02:13.418 死体の置き方が決まっていたり 色や装飾をつけていました 00:02:13.418 --> 00:02:17.002 伝統的なキリスト教の埋葬では 身体をドレスで着飾る一方 00:02:17.002 --> 00:02:18.460 伝統的なイスラム教では 00:02:18.460 --> 00:02:20.940 遺体は 一枚の儀式用の布で包まれ 00:02:20.940 --> 00:02:24.059 顔は メッカの方向にむけます 00:02:24.059 --> 00:02:27.023 伝統的なヒンドゥー教徒は 儀式的に火葬を行い 00:02:27.023 --> 00:02:31.270 最も古い 一神教徒の信者である ゾロアスター教徒は 00:02:31.270 --> 00:02:35.643 伝統的に死体を塔の上に置いて 太陽の光を浴びせて 00:02:35.643 --> 00:02:38.004 鳥に死体を食べさせます 00:02:38.004 --> 00:02:42.247 産業革命以前は 埋葬は 簡単で行いやすいものでした 00:02:42.247 --> 00:02:47.191 最近では人口が多い地域では 適切な埋葬地がなくなりつつあり 00:02:47.191 --> 00:02:50.290 個人の墓地を購入するには お金がかかってしまうので 00:02:50.290 --> 00:02:53.047 多くの人々が簡単な埋葬をする 余裕はありません 00:02:53.047 --> 00:02:56.862 世界で2番目に多い 埋葬の習わしである火葬さえも 00:02:56.862 --> 00:02:59.209 お金が かかります 00:02:59.209 --> 00:03:01.392 埋葬地がなくなるという 問題においては 00:03:01.392 --> 00:03:04.302 世界中に占める陸地の 大きさではなく 00:03:04.302 --> 00:03:08.788 多くの人口が都市に 密集していることが問題なのです 00:03:08.788 --> 00:03:10.977 世界中の大都市の多くでは 00:03:10.977 --> 00:03:14.570 一世紀以内に 埋葬に適切な土地が なくなる可能性があります 00:03:14.570 --> 00:03:16.390 ロンドンでは より早く 00:03:16.390 --> 00:03:18.883 おそらく2035年までに なくなってしまうでしょう 00:03:18.883 --> 00:03:21.842 それでは伝統的な 埋葬の代わりになり 00:03:21.842 --> 00:03:24.392 埋葬地の問題を解決できる選択肢は あるのでしょうか? 00:03:24.392 --> 00:03:29.341 いくつかの国では 超高層ビルの霊園で 垂直に伸びる墓地を可能にしています 00:03:29.341 --> 00:03:32.853 遺体と環境との関係に 焦点を置く方法もあります 00:03:32.853 --> 00:03:37.793 例えば 遺体を フリーズドライ加工して粉砕し 00:03:37.793 --> 00:03:40.342 粉の状態にすることで 00:03:40.342 --> 00:03:43.311 酸素と水を混ぜて肥料に 変えることが出来ます 00:03:43.311 --> 00:03:46.458 特別な素材を使う エコ埋葬もあります 00:03:46.458 --> 00:03:48.651 例としては 生分解性の棺 00:03:48.651 --> 00:03:50.542 木が育つ骨壺や 00:03:50.542 --> 00:03:53.802 キノコが育つ死装束などがあります 00:03:53.802 --> 00:03:57.442 海の深さにその発想を得た 「永遠のサンゴ礁」は 00:03:57.442 --> 00:04:03.433 遺灰とセメントを混ぜて 海洋生物の為の生息地を作ります 00:04:03.433 --> 00:04:06.552 死とは 人間にとって 避けられないものですが 00:04:06.552 --> 00:04:10.483 遺体の取り扱い方と埋葬方法は 進化し続けます 00:04:10.483 --> 00:04:12.392 私達は それぞれ異なる精神や 00:04:12.392 --> 00:04:13.373 宗教や 00:04:13.373 --> 00:04:15.943 死に対する実用的なアプローチを 持っているかもしれませんが 00:04:15.943 --> 00:04:18.533 今も増え続けている 埋葬地の需要は 00:04:18.533 --> 00:04:20.692 人生の最終段階が終わってから 私達の身体が どこに行くのか 00:04:20.692 --> 00:04:24.663 私達が独創的になれるように 一押ししてくれるかもしれません