私は私の学生と一緒に
極小ロボットに取り組んでいます
皆さんもよくご存知の生き物の
ロボット版だと考えて下さい
アリです
アリをはじめ このサイズの昆虫が
かなりすごい能力を持っているのは
ご承知のとおりです
ピクニックのときに
アリなどの昆虫の群れが
ポテトチップスを引っ張っているのを
見たことがあるでしょう
このようなアリを作る
真の困難とは何でしょう?
まずはじめに
アリの能力をどうやって
同じサイズのロボットに
搭載すればいいのでしょう?
これほど小さいものを
どうやって動かすかを
まず考えなければなりません
脚や効率のよいモーターなどで
運動を支える必要がありますし
センサーや動力源や制御装置で
半自動制御のアリのロボットを
動くようにしなければなりません
最後に これらを
機能的にするためには
たくさん集まって より大きな作業を
できるようにしなければなりません
可動性から始めましょう
昆虫は非常にうまく動き回ります
このビデオはカリフォルニア大学のものです
ゴキブリが
とても凹凸の多い表面を
転ばずに歩いています
これはゴキブリの脚が
従来ロボットに使われていたような固い物質と
やわらかい物質の
組み合わせでできているからです
ジャンプも小さい生き物の動き方として
面白いものです
ばねに貯めたエネルギーを
素早く解放することで
たとえば 水から飛び出るような
大きな力を得ています
私の研究室が成し遂げた
大きな貢献のひとつは
固い物質とやわらかい物質を
とても小さいメカニズムに
混在させるということです
ジャンプのメカニズムは
幅4ミリほどで
とても小さいです
固い物質はシリコンで
やわらかい物質はシリコンラバーです
基本的な考えとしては
これを収縮させて
ばねにエネルギーを貯め
解放してジャンプするというものです
ですから モーターも動力源も
搭載されていません
これを動かすのに必要な方法論は
私の研究室で
「大学院生とピンセット」と
呼んでいるものです (笑)
次のビデオでは
これが非常によく
跳躍する様子が見られます
こちらは件のピンセットを持った
大学院生のアーロンですが
ここでは大きさ4mmのメカニズムが
高さ40cmもジャンプしているのが
わかります
これは大きさの100倍にも及ぶ高さです
壊れることなく
テーブルにバウンドしています
これは非常に堅固です
もちろんとても小さいので
失くさないよう
気を付けなければいけません
ですが最終的にこれにも
モーターを搭載したいので
研究室の学生たちは
小さい自動制御ロボットに搭載する
1mm単位のモーターに取り組んでいます
しかし可動性を考慮して
このサイズのものを始動させるために
ちょっとずるいですが
磁石を使っています
これはマイクロロボットの脚になるものです
接続部がシリコンラバーで
外の磁場によって動かされている
埋め込まれた磁石が
見えると思います
これが先ほどお見せした
ロボットにつながります
このロボットによって
解明される興味深いことは
この大きさの昆虫の動き方です
ゴキブリからゾウに至るまで
あらゆるものの動き方の
とてもいいモデルになるのです
皆走るときには
少し飛び跳ねるように動きますが
とても小さい場合は
脚と地面の間に働く力の方が
体の体積よりも運動に影響します
そのために飛び跳ねるように動くのです
これはまだうまく動きませんが
もう少し大きいもので
走り回れるものを作りました
これは1立法cmの大きさで
幅1cmで とても小さいです
1秒に全長10個分
走り回るようにしたので
秒速10cmです
この大きさにしては
かなり速いですが
試験環境に限りがあったため
この速さが限界です
でも動き方については
わかったと思います
障害物を越えることのできる
3Dプリンターで作ったものもあります
先ほどのゴキブリに
よく似ていますね
最終的にはすべてを
搭載したいと思っています
センサーや動力源 制御装置や
作動装置もすべて搭載したいのですが
すべてが生き物に由来している
必要はありません
このロボットは
タブレット菓子くらいの大きさです
この場合 動き回るための
磁石や筋肉の代わりに
ロケットを使います
これはマイクロ加工された
エネルギー物質で
数ピクセル分作って
このロボットのおなかに
つけることができます
そうすると 光が強くなるのを
感じてジャンプするのです
次のビデオは私のお気に入りです
300mgのロボットが
8cmほどジャンプしているのが
わかります
大きさはたったの
4mm x 4mm x 7mmです
最初にエネルギーが放出されたときに
大きな光が出て
ロボットが空中を浮遊しているのが
わかりますね
大きな光が出て
ロボットが空中をジャンプしています
このロボットにはロープも
ワイヤーもついていません
すべてが搭載され
学生がそばにあるデスクランプを
つけたことに反応して
ジャンプしたのです
ですから 走ったり這い回ったり
ジャンプしたり転げまわる
このサイズのロボットですごいことが
できることが想像できるでしょう
地震のような自然災害のあとで
出る瓦礫を考えてみてください
こうした小さなロボットが
瓦礫の周りを走り回って
生存者を探せたらどうでしょう
あるいは 小さなロボットが
たくさん橋の周りを走り回って
安全性を確認するのはどうでしょう
ミネアポリス近郊で
2007年に起こったようなことは
起こらないでしょう
あなたの血管を泳ぎまわれるような
ロボットがあったらどうか
想像してみてください
アイザック・アシモフの
『ミクロの決死圏』みたいでしょ?
開腹しないでロボットが
手術できたらどうでしょうか?
シロアリのように動き回る
小さなロボットがあれば
建設方法を大きく
変化させられるかもしれません
シロアリはアフリカやオーストラリアで
他のシロアリと一緒に住むための
とても換気のいい 高さ8mもの
山を作るのです
小さなロボットでできることの
可能性をいくつか
お見せしました
いくらか進歩したとはいえ
まだまだ道は長いですが
あなた方の中に この道に
貢献できる人がいることを願います
ありがとうございました
(拍手)