WEBVTT

00:00:01.088 --> 00:00:02.730
あなたの給料はいくらですか？

00:00:03.155 --> 00:00:05.163
口に出してはいけませんよ

00:00:05.666 --> 00:00:07.767
頭の中で数字を思い浮かべるだけです

00:00:08.017 --> 00:00:12.910
では 隣に座っている人の給料は
いくらだと思いますか？

00:00:13.086 --> 00:00:15.335
これも 口に出してはいけません

NOTE Paragraph

00:00:15.359 --> 00:00:16.461
（笑）

NOTE Paragraph

00:00:17.144 --> 00:00:18.816
それでは あなたの職場で

00:00:18.816 --> 00:00:23.418
机を並べて働いている人の
給料はいくらだと思いますか？

00:00:23.418 --> 00:00:24.843
知っていますか？

00:00:24.977 --> 00:00:26.881
知っておくべきことでしょうか？

NOTE Paragraph

00:00:26.881 --> 00:00:30.938
私だって こんな質問は
するのさえ気まずく感じますが

00:00:30.952 --> 00:00:34.662
でも 実際のところ
皆さんだって知りたいでしょう

00:00:34.993 --> 00:00:38.442
ふつうは 給料を大っぴらにするなんて
と思いますよね

00:00:38.442 --> 00:00:40.821
隣近所に言いふらすものじゃ
ありませんし

00:00:40.821 --> 00:00:43.907
職場の同僚に言うなんて
もってのほかです

00:00:43.931 --> 00:00:49.249
お互いの給料が分かったら
大混乱に陥ると思われているからです

00:00:49.283 --> 00:00:51.328
言い争いや もめ事が勃発し

00:00:51.328 --> 00:00:53.597
辞職する者も出てくるかもしれません

00:00:53.621 --> 00:00:57.400
でも そういった対立は
秘密にするから生まれるのだとしたら？

00:00:57.424 --> 00:01:00.212
この秘密を取り払ったら
どうなるんでしょう？

00:01:00.499 --> 00:01:03.904
もしオープンにすることで
社内で公平感が高まり

00:01:03.904 --> 00:01:05.836
連携が深まるとしたら？

00:01:05.860 --> 00:01:09.446
給料をすっかり公開したら
どうなるんでしょう？

NOTE Paragraph

00:01:10.254 --> 00:01:11.601
私はこの数年

00:01:11.601 --> 00:01:14.508
従来の経営手法に
疑問を投げかけている—

00:01:14.532 --> 00:01:17.915
企業リーダーを
研究してきましたが

00:01:17.915 --> 00:01:21.025
この給料の問題が
絶えず出てきます

00:01:21.025 --> 00:01:24.065
そして その結論には
いつも驚かされています

NOTE Paragraph

00:01:24.458 --> 00:01:26.265
給料に透明性を持たせると

00:01:26.289 --> 00:01:28.399
つまり 社内で給料を公開すると

00:01:28.423 --> 00:01:31.072
従業員にとっても
その組織にとっても

00:01:31.096 --> 00:01:33.263
より良い職場になるというのです

00:01:33.362 --> 00:01:36.461
同僚の給料に比べて
自分の給料がどうか分からないと

00:01:36.485 --> 00:01:38.301
給料が低すぎるとか

00:01:38.325 --> 00:01:40.610
差別されているとさえ
感じがちです

00:01:40.646 --> 00:01:43.551
従業員が 不当な待遇や
差別を感じていても

00:01:43.551 --> 00:01:46.489
知らんぷりな職場で
働きたいと思いますか？

00:01:46.697 --> 00:01:49.207
でも 給料を秘密にするとは
そういうことなんです

00:01:49.231 --> 00:01:52.434
これは どこにでもある
昔からの慣行で

00:01:52.544 --> 00:01:55.246
アメリカでは労働者に
給与について話す権利が

00:01:55.246 --> 00:01:58.690
法律で保障されているにも
かかわらずそうなんです

NOTE Paragraph

00:01:59.417 --> 00:02:01.975
百年近く前の有名な話があります

00:02:01.999 --> 00:02:04.079
雑誌『ヴァニティ・フェア』の経営陣が

00:02:04.079 --> 00:02:06.559
こんな題の文書を回覧したんです

00:02:06.559 --> 00:02:09.478
「従業員間での給料の話の禁止」

00:02:09.502 --> 00:02:12.904
禁止するんですよ
給料について話すことを

00:02:13.482 --> 00:02:15.629
それには みんな納得できなかったようです

00:02:15.653 --> 00:02:17.699
ニューヨークの作家たち
ドロシー・パーカー

00:02:17.723 --> 00:02:19.485
ロバート・ベンチリー
ロバート・シェアウッド

00:02:19.509 --> 00:02:21.950
アルゴンキン・ラウンド・テーブルの全員が

00:02:21.974 --> 00:02:23.755
透明性を求めて立ち上がり

00:02:23.779 --> 00:02:25.511
翌日 職場に現れたときには

00:02:25.535 --> 00:02:28.869
自らの給料を書いた札を
首からぶら下げていたそうです

NOTE Paragraph

00:02:28.869 --> 00:02:30.321
（笑）

NOTE Paragraph

00:02:30.716 --> 00:02:32.175
想像できますか？

00:02:32.175 --> 00:02:36.165
職場で みんなに見えるよう
給料を胸に書き出しているんですよ

NOTE Paragraph

00:02:37.573 --> 00:02:40.843
でも なぜ会社というのは 
給料を口外させたくないんでしょう？

00:02:40.867 --> 00:02:44.579
なぜ 従う人がいる一方で
こんな風に反対する人もいるんでしょう？

00:02:45.906 --> 00:02:48.684
よく言われる理由に加え

00:02:48.684 --> 00:02:52.277
給料を秘密にしておくと
実は大きなコスト削減になるんです

00:02:52.301 --> 00:02:54.212
給料を秘密にすることで

00:02:54.236 --> 00:02:57.187
経済学で言う「情報の非対称性」が
生まれます

00:02:57.211 --> 00:02:59.482
つまり 交渉の場において

00:02:59.506 --> 00:03:02.707
一方が 圧倒的に多くの情報を
持つことになります

00:03:02.707 --> 00:03:06.467
ですから 会社側は
雇用や昇進、昇給の交渉において

00:03:06.467 --> 00:03:10.358
情報が知られていないことを利用して
多額の節約ができるのです

00:03:10.358 --> 00:03:12.536
皆さんだって
他の人たちの給料を知っていたら

00:03:12.536 --> 00:03:15.453
昇給の交渉がしやすいと思うでしょう

NOTE Paragraph

00:03:17.462 --> 00:03:19.907
経済学では 情報の非対称性があると

00:03:19.907 --> 00:03:21.674
市場の失敗を招くとされています

00:03:21.674 --> 00:03:24.164
誰かコピー機に給与明細を
置き忘れようもんなら

00:03:24.164 --> 00:03:26.326
職場はもう大乱闘になるでしょう

00:03:26.866 --> 00:03:28.446
事実 経済学者は

00:03:28.446 --> 00:03:33.613
情報の非対称性は 市場の完全な失敗を
招きうるとさえ言っています

00:03:34.095 --> 00:03:36.109
私たちは その一歩手前にいます

00:03:36.133 --> 00:03:37.299
なぜ そう考えるのか

00:03:37.323 --> 00:03:42.551
まず ほとんどの人は同僚と比べて
自分の給料がどうなのか知りませんよね

00:03:42.834 --> 00:03:46.684
2015年に行われた
会社員７万人を対象とした調査では

00:03:46.708 --> 00:03:49.933
市場相場の給料をもらっている人の
３分の２が

00:03:49.933 --> 00:03:52.995
給料が不当に低いと感じる
と答えました

00:03:53.036 --> 00:03:55.915
また 給料が低すぎると
感じている人のうち

00:03:55.939 --> 00:03:58.892
60％が 転職を考えていると
答えています

00:03:58.916 --> 00:04:01.018
実際の給料が 相場よりも

00:04:01.018 --> 00:04:03.487
安いか高いかにかかわらずです

00:04:04.200 --> 00:04:06.660
皆さんだったら
この調査で何と答えたでしょうか？

00:04:06.684 --> 00:04:07.960
給料が安すぎる？

00:04:07.984 --> 00:04:10.153
でも ちょっと待って
なぜ分かるんですか？

00:04:10.153 --> 00:04:12.536
職場で給料について
話せないわけでしょう？

NOTE Paragraph

00:04:12.911 --> 00:04:16.510
また 情報の非対称性
つまり 給料を秘密にすることで

00:04:16.534 --> 00:04:19.313
現在の市場に存在している差別を

00:04:19.337 --> 00:04:21.804
ないことに しやすくなります

00:04:22.217 --> 00:04:25.914
2011年に女性政策研究所が
発表した報告書によれば

00:04:25.938 --> 00:04:27.976
男女の賃金格差は

00:04:27.976 --> 00:04:29.974
23％でした

00:04:30.451 --> 00:04:33.610
あの「１ドルに対して77セント」
という話はここから来ています

00:04:33.641 --> 00:04:35.104
一方 連邦政府では

00:04:35.128 --> 00:04:37.155
等級によって給料が決まり

00:04:37.155 --> 00:04:39.209
みんなに給料が分かる仕組みに
なっているため

00:04:39.209 --> 00:04:41.364
男女賃金格差は
11％にまで縮まっています

00:04:41.388 --> 00:04:43.964
ちなみに これは経済学者が
よく議論している

00:04:43.988 --> 00:04:47.201
給料に影響する様々な要素を
考慮する前の数字です

NOTE Paragraph

00:04:47.264 --> 00:04:49.936
男女の賃金格差を本当になくしたいなら

00:04:49.960 --> 00:04:52.748
給料の公開に踏み切るべきかもしれません

00:04:52.864 --> 00:04:56.070
もし これが
市場の完全な失敗というものであるのなら

00:04:56.070 --> 00:04:59.828
給料の公開こそが 公正を確保する
唯一の残された道でしょう

NOTE Paragraph

00:05:00.274 --> 00:05:02.775
自分がいくら稼いでいるか
知られることは

00:05:02.799 --> 00:05:04.445
気まずいもの かもしれません

00:05:04.469 --> 00:05:05.984
でも もっと気まずいのは

00:05:06.008 --> 00:05:08.072
自分が差別されているんじゃないかとか

00:05:08.072 --> 00:05:13.174
妻や娘、姉妹の給料が低すぎやしないかと
思いあぐねることの方でしょう

00:05:13.353 --> 00:05:17.107
オープンにすることが
公正を確保する最善の方法であり

00:05:17.107 --> 00:05:19.600
給料の公開は それを実現できます

NOTE Paragraph

00:05:19.991 --> 00:05:22.525
だからこそ 企業のリーダーたちも

00:05:22.525 --> 00:05:25.488
何年にも渡って 給料の公開に
取り組んできたわけです

00:05:25.512 --> 00:05:26.925
例えば デーン・アトキンソン

00:05:26.949 --> 00:05:28.682
彼は連続起業家で

00:05:28.682 --> 00:05:32.484
従業員の給料が非公開の形で
多くの企業を立ち上げ

00:05:32.484 --> 00:05:33.935
その条件を利用して

00:05:33.935 --> 00:05:37.415
同じような資質であっても
その人の交渉力によって

00:05:37.415 --> 00:05:40.104
大きく給料を変えていたことも
ありました

00:05:40.104 --> 00:05:43.782
でも デーンは
これが対立を生んでいると気づき

00:05:43.788 --> 00:05:46.115
一番新しく設立した会社 SumAll では

00:05:46.139 --> 00:05:49.679
最初から 全従業員の給料を公開すると約束し

00:05:49.701 --> 00:05:51.839
素晴らしい結果を生んでいます

00:05:52.234 --> 00:05:54.046
様々な研究が示しているのは

00:05:54.070 --> 00:05:55.946
自分の給料がどう決まり

00:05:55.970 --> 00:05:57.963
同僚の給料と比べてどうかが分かると

00:05:57.963 --> 00:06:00.560
従業員は業績を上げるため
より懸命に働き

00:06:00.560 --> 00:06:03.693
より積極的に関わり
離職率も下がるということです

NOTE Paragraph

00:06:03.693 --> 00:06:05.305
だからこそ デーンだけでなく

00:06:05.305 --> 00:06:07.475
Bufferのような
技術系スタートアップから

00:06:07.475 --> 00:06:11.451
何万人もの社員を抱えるホールフーズ・
マーケットまで 取り組んでいるんです

00:06:11.451 --> 00:06:14.682
ホールフーズでは
給料が公開されるだけでなく

00:06:14.682 --> 00:06:16.930
店舗や部門の成績も

00:06:16.930 --> 00:06:18.583
社内イントラネット上で

00:06:18.583 --> 00:06:21.135
誰もが見られるようになっています

NOTE Paragraph

00:06:21.805 --> 00:06:24.371
給料に透明性を持たせる方法は
たくさんあり

00:06:24.371 --> 00:06:26.239
どこにでも合うやり方
というのはありません

00:06:26.239 --> 00:06:28.589
給料を社外にも公開するところもあれば

00:06:28.613 --> 00:06:30.914
社内にとどめるところもあります

00:06:30.938 --> 00:06:32.667
給与の計算式を公開したり

00:06:32.667 --> 00:06:34.205
俸給表を作って

00:06:34.205 --> 00:06:37.193
等級で給料が分かるように
するところもあります

00:06:37.193 --> 00:06:39.196
職場で社員が身に付ける―

00:06:39.220 --> 00:06:41.744
給料を書いた札を
作る必要もなければ

00:06:41.768 --> 00:06:44.676
職場で ひとり寂しく
お手製の札を身に付けることもありませんが

00:06:44.676 --> 00:06:46.438
職場で ひとり寂しく
お手製の札を身に付けることもありませんが

00:06:46.454 --> 00:06:49.968
給料の透明化のためにできることは
たくさんあります

00:06:50.233 --> 00:06:51.705
透明化に向けて

00:06:51.705 --> 00:06:54.079
組織を動かす権限がある方は

00:06:54.103 --> 00:06:55.883
ぜひ進めてください

00:06:55.883 --> 00:06:57.665
その権限のない方は

00:06:57.665 --> 00:07:00.534
自らの権利のため立ち上がりましょう

NOTE Paragraph

00:07:01.263 --> 00:07:03.208
給料はいくらですか？

00:07:04.186 --> 00:07:06.813
同僚と比べて どうですか？

00:07:07.190 --> 00:07:08.996
あなたは知っておくべきだし

00:07:09.312 --> 00:07:10.957
同僚もまたしかりです

NOTE Paragraph

00:07:11.936 --> 00:07:13.104
ありがとうございました

NOTE Paragraph

00:07:13.128 --> 00:07:16.306
（拍手）